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中日ドラゴンズバトルロワイアル第十二章

1 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/05(日) 21:58:40 ID:Ie/jKpKG0
<前スレ>
中日ドラゴンズバトルロワイアル第十一章
http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1114096225/

58 :623:2005/06/12(日) 23:16:25 ID:RgALpv7y0
180.免罪符

(ちくしょう!丸腰の相手に銃なんて反則だろうが…)
撃たれた脇腹と右腕を交互に押さえながら井上は思わず心の中で毒づいた。
(それにしても何なんだ、この人…)
頼みの綱だった最後のナイフは、確かに桧山の左肩に深々と突き刺さっているのだ。
だが銃の照準がうまく定まらないらしいこと以外、どういうわけか桧山に変化らしい変化はみられない。
血を流しすぎたせいではないだろうが、頭に上っていた血が下がり冷静さを取り戻しつつあった
井上としては、それは異常な事態なのだと、今の桧山は普通ではないのだと流石に
理解せざるを得なかった。
「さて、どうしようか?」
この現実を前に井上の脳裏にようやく『逃走』の二文字が浮かぶ。
銃撃は先程から止んでいた。
井上は痛みと自分の考えに没頭していたのとで、その理由にまで考えが至らなかったのだが、
苛立ったように桧山が草叢に銃を投げ捨てたのを見て、ようやく桧山の銃が弾切れをおこしたのだと気付いた。
安堵と理性と激情の狭間で揺れ動く井上の視線の先に、小さくドラゴンズのユニフォームの二人の姿が
飛び込んできたのは、その時の事だった。
「英智、小笠原!」
「ひでのりぃ?」
二つの影の正体が分かって無意識に叫んだ井上の声に反応して、桧山が振り向く。
その瞬間、桧山の顔に常に貼りついていた笑みが、いやすべての表情が消えさったのを井上は
見逃すことができなかった。
「英智、英智、英智、英智……」
(だから、なんなんだよ一体…)
無表情なままで、自分の後輩の名を連呼し続ける桧山の様子に井上は恐怖すら感じ始める。
「ひでのりぃぃ!!!」
しかしおそらく明確な殺意を持って、英智に向かって駆け出そうとしている桧山を見て
それを止めようと井上の身体は無意識のうちに動き、気付いた時には桧山の左足にがっちりとしがみついていた。
さすがにバランスを崩した桧山は転倒したが、それでも英智に向かって行こうともがき出す。

59 :623:2005/06/12(日) 23:16:37 ID:RgALpv7y0
「放せ…殺す、英智……放せ!!」
自由が効く右足で、容赦なく井上の傷を蹴りつけてくる。
「ぐっ…放すかよ……殺すだと?冗談じゃない!外野手は…ドラゴンズの選手は絶対殺させない!!」
激痛に顔を歪めながら、力を決して緩めない井上を桧山は更には右腕で、
そして肩にナイフが刺さったままの左腕でまで殴りつけてきた。
「…ライバルだけど仲間なんだよ…チームの状態がいいときも最悪な時も共に泣いて笑ってきた仲間だ。
 傷つけさせてたまるか…」
「邪魔すんな!」
「それは…こっちのセリフですよ!
 今年こそ日本一になるんだから邪魔はさせない!これ以上仲間は殺させない!」
「黙れ!」
「大事な後輩なんだよ!あんたには、そう思えるチームメイトが一人もいないって言うのかよ!?」
そのセリフに、一瞬 何かを思い出しかけたかのように表情が戻った桧山だったが、その表情はすぐに
掻き消えてしまった。
「いいかげん放せや!!!」
叫んでも、いくら殴りつけてもどうあっても離れない井上に業を煮やした桧山は
自らの肩に突き刺さったナイフを無造作に引き抜くと井上の背に突き立て始めた。
「一樹さん!!!」
とうとう井上の力が弱まり桧山が解放され立ち上がったのと、井上と桧山が揉み合っているのを見て
血相をかえて駆け寄って来た英智が桧山に体当たりを食らわせたのは、ほぼ同時だった。
地面に転がり揉み合いになった桧山と英智の間で、血を吸い赤く変色したナイフが暴れる。
お互いの身体に細かい傷を作りながら、まるでどちらの味方につくべきか悩むかのように。
「英智!」
一歩出遅れた小笠原は自らの武器である手榴弾を握りしめたが、当然揉み合っている二人に向かって
投げつけるわけにはいかず成り行きを見守るしかない。
だが力勝負で英智に分があるとも思えず、事実、徐々に英智が桧山の力と執念に押され始めているのが
わかって焦燥ばかりが募る。
「どうしよう…どうすれば…」
二人の様子を見ていられず、思わず視線を外した小笠原の目は、いつしか井上の近くでピクリとも動かずに横たわる
大西に釘付けになっていた。
いや正確にはその手に握られていた黒い光の正体に…

60 :623:2005/06/12(日) 23:16:49 ID:RgALpv7y0
「あっ…」
吸い寄せられるように側まで近付くと震える手を大西に向かって伸ばす。
何故、大西は動かないのか?そんな事にすら考えが及ばず、ただ友を助けたい一心で。
「助けなきゃ…英智を助けるんだ。」
免罪符のようにその言葉をつぶやきながら、硬直し始めていた大西の手から銃を
引き剥がす。
「助けるんだ。」
もう一度、同じセリフをつぶやくと小笠原は震えの止まらぬ手でその銃を構え、
銃口を桧山の背に向けた。

【残り14人・選手会10人】

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