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一億円プレーヤーバトルロワイヤル第三章

1 :ウグイス嬢:2005/11/26(土) 23:02:53 ID:I99P5NFu0
日本プロ野球高額所得選手による一億円プレイヤーバトルロワイヤル
−通称ビリオネア・バトルロワイヤルを開催しております。

前スレ
一億円プレーヤーバトルロワイヤル第二章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1128356484/

ビリオネア・バトルロワイヤル第一章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1125816172/

億バト保管庫
ttp://tokyo.cool.ne.jp/birioneabr/index.html
億バト保管庫用板
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/5254/
会場マップ
ttp://tokyo.cool.ne.jp/birioneabr/iup82970.jpg

2 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:03:34 ID:I99P5NFu0
関連スレ

各球団のバトルロワイアルスレを見守るスレ7
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1125897603/

阪神タイガースバトルロワイアル第六章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1118662966/
広島東洋カープバトルロワイアル2005
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130678239/
千葉マリーンズバトルロワイアル第11章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130845754/
横浜ベイスターズ バトルロワイアル7
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130921099/

3 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:04:11 ID:I99P5NFu0
球団バトロワ保管庫

広島東洋カープバトルロワイアル
ttp://brm64.s12.xrea.com/
讀賣巨人軍バトルロワイアル
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
横浜ベイスターズバトルロワイアル
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
中日ドラゴンズバトルロワイアル
ttp://dra-btr.hoops.jp/ (2001年版保管サイト)
ttp://dragons-br.hoops.ne.jp/ (2001年版・2002年版保管サイト)
ttp://mypage.naver.co.jp/drabr2/ (2002年版保管サイト)
ttp://cdbr2.at.infoseek.co.jp/ (中日ドラゴンズバトルロワイアル2 第三保管庫)
ttp://cdbr2004.hp.infoseek.co.jp/ (2004年版)

4 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:04:43 ID:I99P5NFu0
阪神タイガースバトルロワイアル
ttp://kobe.cool.ne.jp/htbr/
ttp://homepage2.nifty.com/sorasouyo/ (旧虎バト保管庫・若虎BR紅白戦進行中)
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
ttp://www.age.cx/~marines/cmbr/
ttp://sbh.kill.jp/m/ (仮保管庫)
ヤクルトスワローズバトルロワイアル
ttp://f56.aaa.livedoor.jp/~swbr/
プロ野球12球団オールスターバトルロワイヤル
ttp://www.geocities.jp/allstar12br/
福岡ダイエーホークスバトルロワイアル
ttp://www3.to/fdh-br/ (s氏作)
ソフトバンクホークスバトルロワイアル
ttp://sbh.kill.jp/
アテネ五輪日本代表バトルロワイアル
ttp://athensbr.fc2web.com/
東北楽天ゴールデンイーグルスバトルロワイアル
ttp://www.geocities.jp/trgebr/

5 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:05:11 ID:I99P5NFu0
バトロワSSリレーのガイドライン
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)

6 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:05:49 ID:I99P5NFu0
リアルタイム書き投下のデメリット
1.推敲ができない
⇒表現・構成・演出を練れない(読み手への責任)
⇒誤字・誤用をする可能性がかなり上がる(読み手への責任)
⇒上記による矛盾した内容や低質な作品の発生(他書き手への責任)
2.複数レスの場合時間がかかる
⇒その間に他の書き手が投下できない(他書き手への責任)
⇒投下に遭遇した場合待つ事によってだれたり盛り上がらない危険がある。(読み手への責任)
3.バックアップがない
⇒鯖障害・ミスなどで書いた分が消えたとき全てご破算(読み手・他書き手への責任)
4.上記のデメリットに気づいていない
⇒思いついたままに書き込みするのは、考える力が弱いと取られる事も。
 文章を見直す(推敲)事は考える事につながる。過去の作品を読み込まず、自分が書ければ
 それでいいという人はリレー小説には向かないということを理解して欲しい。

7 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:15:35 ID:sxlpZouK0
>>1


8 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:17:34 ID:sxlpZouK0
参加選手一覧

・セントラルリーグ
読売ジャイアンツ 
順位  氏名     年俸(万)背番号
4清原和博38000 5
5上原浩治 3500019
6高橋由伸 3400024
9工藤公康2900047
17小久保裕紀240006
27桑田真澄 2120018
28仁志敏久 200008
32清水隆行180009
41江藤智  1550033
47二岡智宏140007
55阿部慎之助 1200010
59前田幸長1100029
62岡島秀樹1060028
64元木大介100002
計14名 合計年俸 29億2300万

横浜ベイスターズ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
1佐々木主浩65000 22
17斎藤隆 2400011
25三浦大輔2200018
25鈴木尚典220007
28石井琢朗200005
50佐伯貴弘1300010
59若田部健一1100014
計7名 合計年俸 17億7000万

9 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:26:00 ID:sxlpZouK0
中日ドラゴンズ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
12   谷繁元信  25000  27
12   立浪和義  25000  3
19   岩瀬仁紀  23000  13
19   山本昌    23000  34
19   川上憲伸  23000  11
28   福留孝介  20000  1
47   井端弘和  14000  6
59    落合英二  11000  26
63   野口茂樹  10080  47
計9名 合計年俸 17億4080万

阪神タイガース
順位  氏名     年俸(万)背番号
11   金本知憲  26000   6
12    今岡誠     25000   7
19   井川慶    23000  29
32   片岡篤史  18000   8 
38   矢野輝弘  17000  39
46   下柳剛    14300  42
50   赤星憲広  13000  53
55   桧山進次郎 12000  24
計8名 合計年俸 14億8300万

10 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:27:52 ID:sxlpZouK0
ヤクルトスワローズ
順位  氏名     年俸(万)背番号
8    古田敦也  30000  27
32   宮本慎也  18000   6
37   岩村明憲  17400   1
39   五十嵐亮太 16400  53
計4名 合計年俸 8億1800万

広島東洋カープ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
41   前田智徳  15500   1
45   緒方孝市  14500   9
50   佐々岡真司 13000   18
58   黒田博樹  11500   15
64   野村謙二郎 10000   7
計5名 合計年俸 6億4500万

11 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:30:26 ID:sxlpZouK0
・パシフィックリーグ
ソフトバンクホークス
順位  氏名     年俸(万)背番号 
2    城島健司  50000   2
7    松中信彦  32000   3
43   柴原洋    15000   1
43   斉藤和巳  15000   66
57   大村直之  11600   7
計5名 合計年俸 12億3600万

西武ライオンズ
順位  氏名     年俸(万)背番号
12   松坂大輔  25000   18
12   和田一浩  25000   5
19   豊田清    23000   20
28   西口文也   20000   13
54   森慎二    12500   11
計5名 合計年俸 10億5500万

北海道日本ハムファイターズ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
3    小笠原道大 40000   2
40   金村暁    16000   16
計2名 合計年俸 5億6000万

12 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:31:53 ID:sxlpZouK0
千葉ロッテマリーンズ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
19   小林雅英  23000   30
32   福浦和也  18000   9
47   清水直行  14000   18
計3名 合計年俸 5億5000万

オリックスバファローズ
順位  氏名     年俸(万)背番号 
9    谷佳知   29000   10
64    村松有人 10000    3
計2名 合計年俸 3億9000万

東北楽天ゴールデンイーグルス
順位  氏名     年俸(万)背番号 
32   岩隈久志  18000   21
50   礒部公一  13000   8
計2名 合計年俸 3億1000万


総参加人数 66名 年俸総額 134億8080万

13 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:34:20 ID:sxlpZouK0
年俸額順位表

順位  氏名      年俸  球団背番号
1    佐々木主浩  65000  YB22
2    城島健司    50000  H2
3    小笠原道大  40000  F2
4    清原和博   38000  G5
5    上原浩治   35000  G19
6    高橋由伸   34000  G24
7    松中信彦   32000  H3
8    古田敦也   30000   S27
9    工藤公康   29000  G47
9    谷佳知     29000  Bs10
11   金本知憲   26000   T6
12   立浪和義   25000   D3
12   谷繁元信   25000   D27
12   今岡誠     25000   T7
12   松坂大輔   25000   L18
12   和田一浩   25000   L5
17   小久保裕紀   24000   G6
17   斎藤隆     24000   YB11
19   川上憲伸    23000  D11
19   岩瀬仁紀   23000  D13
19   山本昌     23000  D34
19   井川慶     23000  T29
19   豊田清     23000  L20
19   小林雅英   23000  M30
25   鈴木尚典   22000  YB7
25   三浦大輔   22000  YB18

14 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:35:17 ID:sxlpZouK0
27   桑田真澄   21200  G18
28   仁志敏久   20000  G8
28   福留孝介   20000  D1
28   石井琢朗   20000  YB5
28   西口文也   20000  L13
32   清水隆行   18000  G9
32   片岡篤史   18000  T8
32   宮本慎也   18000  S6
32   福浦和也   18000  M9
32   岩隈久志   18000  E21
37   岩村明憲   17400  S1
38   矢野輝弘   17000  T39
39   五十嵐亮太  16400  S53
40   金村暁     16000  F16
41   江藤智     15500  G33
41   前田智徳   15500  C1
43   柴原洋     15000  H1
43   斉藤和巳   15000  H66
45   緒方孝市   14500  C9
46   下柳剛     14300  T42
47   二岡智宏   14000  G7
47   井端弘和   14000  D6
47   清水直行   14000  M18
50   赤星憲広   13000  T53
50   佐伯貴弘   13000  YB10
50   佐々岡真司  13000  C18
50   礒部公一   13000  E8
54   森慎二     12500  L11
55   阿部慎之助  12000  G10
55   桧山進次郎  12000  T24
57   大村直之   11600  H7
58   黒田博樹   11500  C15

15 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/26(土) 23:36:10 ID:sxlpZouK0
59   前田幸長   11000  G29
59   落合英二    11000  D26
59   若田部健一  11000  YB14
62   岡島秀樹   10600  G28
63   野口茂樹   10080  D47
64   元木大介   10000  G2
64   野村謙二郎  10000  C7 
64   村松有人   10000  Bs3

16 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 00:05:28 ID:xAP+6eh50
>1乙
このままじゃ即死しそう…

17 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 00:40:09 ID:lIa/ydjFO
>>1
超乙!!
即死判定ってまだあるの?どういう基準だっけか
ロワスレには辛い制度だな…
とりあえず投下待ち☆ゅ

18 : 43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/11/27(日) 00:44:19 ID:iiCUXGB+0
「誓い」

自分は最後の退場者らしい…三浦大輔(YB18)はため息をつくと、
辺りをきょろきょろとうかがいながら、ゆっくりと道を行く。
それは恐怖や警戒からのものではなく、微かな希望と願望からであった。

「やっぱ…誰もいない、か…」
もしかしたら誰かが…仲間の誰かが自分を待ってくれているかもしれない。
そんな淡い希望を抱いていたが、誰も現れる事はなかった。

(しょうがないよな…俺は皆に…話しかける事ができなかった。)
ドームの中、自分の側で固まっている仲間達に話しかけようとした三浦であったが、
彼らの固まったままの表情、視線に躊躇してしまった。
それは今はいかなる言葉も拒絶されてしまうように見えてしまい…
三浦は話しかける事ができないまま、時間だけが過ぎていった。

誰か、誰か話しかけてくれないだろうか。
俺と一緒に行こう、と言ってくれないだろうか。

そんな思いで待ってたが、彼らは無言で固まったまま、次々とゲートへ消えていった。
自分はとうとう話しかける事ができないまま、最後の一人となった。
(こんなチキン…誰が待ってくれるというんだよ。)
話しかける事ができずに、話しかけられる事を待っていた弱い自分を誰が望むというのか。
だが、それでも…もしかしたら誰か自分を待っていてくれるかもしれない…
そんな希望は脆くも崩れたが、仕方のない事であった。
三浦は肩を落とし、手にある救急箱…薬や包帯、注射器などがびっちりと詰まった箱を見る。

19 : 43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/11/27(日) 00:45:37 ID:iiCUXGB+0
「これじゃ宝の持ち腐れだな…」
これを使う相手さえいない自分の手に渡る支給品ではない。
かといって自分に使う気にもなれず、思わず地面に叩き付けようとするが、辛うじて止める。
誰にも声をかけることができず、誰にも求められない自分。
誰もいない。それは死ぬよりも、殺されるよりも絶望的であった。
「誰もいない…それが俺の最後、俺の…本当の姿だったのかな。」
何故一言、仲間に声をかけることができなかったのか。
そんな後悔をしたところで、もう手遅れであり、三浦は天を仰ぐ。

誰か自分を必要としてくれる人がいるなら…自分はその相手に全てをかけよう。
この命だって惜しくはない。その相手のためにならいくらでも盾になろう。

「もう…遅い、か。もう…手遅れか…」
今更そう誓ったところで、もう遅い…もはや歩む気力さえ無く、足を止めた時であった。

「三浦!」

聞きなれた声が響く。今のは幻聴だろうか…三浦はぽかんと振り返る。
「あ…」
振り返った先にある姿。
心配そうに眉を寄せて駆け寄ってくる鈴木尚典(YB7)に、三浦は目を見開いた。
「良かった…待ってたんだぞ!」
待っていた…そんな言葉に三浦は信じられないように呆然とした。
「いや、本当はもっと出口に近いとこで待ってるつもりで、茂みに入ったんだけど…
信じられないものを見ちゃって…五十嵐が…あんな惨い事、誰が…」
悲痛に首を振りながら話す鈴木を、三浦は未だ信じられないように見る。
「さっきドームでお前に話しかけようとしたけど…お前、俯いたままだったから…
拒否されたらと思うと…怖くて声かけられなかった。」
そんな鈴木の言葉に、三浦は顔を上げる。

20 : 43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/11/27(日) 00:46:20 ID:iiCUXGB+0
「でも…やっぱり諦めきれなくてね。だからここでずっと待ってたんだけど…」
鈴木は済まなそうに頭を掻くと、ぺこりと頭を下げた。
「ごめん…さっき声かけりゃよかったのに…。なあ、その…俺と一緒に…」
言いかけた鈴木はぎょっと目を見開く。
先程から無言のままの三浦は、肩を震わせ、静かに泣いており、
いったいどうしたんだと顔を覗き込む。
「三浦??」
慌てる鈴木に、三浦は無言のまま何度も頷く。
「鈴木さん…ありがとう…」
涙で声を震わせながら、三浦は何度も繰り返す。

待ってくれる人が居た。自分を必要としてくれる人が居た。
三浦は手にある使う事が無いまま終わる筈であった救急箱を握りしめる。
手遅れではなかった…三浦は神に感謝するように上を向く。

自分を待っていてくれた鈴木、必要としてくれた鈴木に全てをかけよう。
鈴木のためならこの命も惜しくない。いくらでも盾となろう。

三浦は今一度そう誓った。自分に鈴木という仲間を与えてくれた神に誓った。


【残り64名 年俸総額130億2680万円】

21 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 00:47:23 ID:iiCUXGB+0
保守代わりにと思い、新作代理投下しました。

職人さん方ガンガレ!

22 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 00:53:14 ID:lIa/ydjFO
43氏も代理氏も乙です!
三浦&鈴木ガンガレ、超ガンガレ

23 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 01:07:50 ID:20As+oTh0
好感の持てる二人組みキタコレ!!
職人さんも代理投下さんも乙!

24 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 01:30:08 ID:RJI3tqB+0
虎の威を借る凶悪コンビとは真逆のコンビだねw
どっちもガンガレ!期待してる!!

25 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 02:03:16 ID:co+QH3jk0
☆コンビキタ!
三浦、良かったな…

26 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 08:17:34 ID:6+VX+OAH0
ほんと良かったね。

多数のBRスレが落ちちゃったみたいなので、
ここもこまめに保守しないと。

27 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 11:30:05 ID:lIa/ydjFO
>>23
好感の持てない二人組とはヤツラのことかぁぁぁ!w

あの話のあとにこの話ってワロス

28 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 13:36:48 ID:CgFGSsqhO
三浦はたしか「スーさん」って呼んでた希瓦斯
ともあれGJ!

29 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/11/27(日) 20:07:01 ID:hfrRiWsV0
『運命のルーレット』

 ジョー……?

 声はなかった。
 だがその唇は確かにそう呼んだ。
 城島健司(H2)は周囲を確認し、ゆっくりと繁みから歩み出た。
 横倒れになった死体を見下ろす。
 最期の瞬間、工藤公康(G47)は確かに、力を振り絞って身体を捻り、こちらを見た。
 声をかけたのは、自分を殺したのが誰なのか、それくらいは知らせてやりたかった
という、世話になった人間の情けだ。
 果たしてかつての教え子に殺されたことを知るのと、知らないまま死ぬのでは、
どちらが彼にとって幸福であったかは計りかねるが。
 まだ駆け出しだった城島に、捕手としての基礎を叩き込んだのはこの男だ。
 どれだけ彼に蹴落とされても、それをばねに変えて這い上がってきた。
 憎んだことも恐れたこともあったが、今はその全てに感謝している。
 自分がここまで上り詰めた、礎となった人だ。
 そう、ここまで――
(俺って5億じゃねぇか)
 三木谷の説明を聞き、そう思った瞬間、城島の心は決まっていた。
 これからどのような計画を立てるか、行動を取るか、すでにそこに城島の思考は
移動していた。
 振り返ると、工藤が飛び出して来たばかりのゲートがひっそりと構えている。
 鬱蒼とした森の中にポツンと運び込まれた野球場。正確にはそれを模した玩具。
 近代的なフォルムは、その背景とはやけにミスマッチで、まるでジャングルの中に
突然舞い降りた巨大な宇宙船のようにすら見える。
 むしろ、自分たちはこの宇宙船に運ばれてどことも知れぬ新たな星に放り込まれた
のだと言われた方が、清清しく奇想天外な分納得が言ったかもしれない。

30 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/11/27(日) 20:07:38 ID:hfrRiWsV0
 東京ドームは昔日本ハムの本拠地だったし、今年も交流戦で訪れることがあり
それなりに詳しいつもりだ。
 上位10名の特典とやらで別のゲートに案内され、外に出てから、適当に当たり
を付けて別のゲートを待ち伏せた。
 高額所得者がドームを出てすぐに殺されることをある程度防ごうとしているという
ことは、単に数を減らすだけが目的ではないのだろう。
 それはこんな凝った偽球場や無駄な演出からも分かっていたことだが――
 彼らはこのゲームにエンターテイメント性を求めている。
(それは何故だ?)
 ただこのゲームに駒として放り込まれている城島には、その理由を知る術はなかった。
 そして、はっきり言ってしまえば、そんなことはどうでもいいことだったのだ。
 城島健司にとっては。
 このゲートから出てくるのは年俸額上位の選手なはずだ。誰でもよかった。
 それが工藤公康だったのは――まあ、ただの偶然だと言ってしまえばそれまでだが、
ここはあえて感傷的に運命だったのだろう、とでも言っておこう。
(運命、か――)
 大切な人の死と、その血で汚れた己の手が、そんな薄っぺらい言葉で片づいてしまう
ことに苦笑を禁じ得ない。
 このゲームの参加者の運命を動かしている存在がいるとすれば、そいつは片手で
ルーレットを回して、眠そうな顔で次の被害者を決めているに違いない。
(次に玉が入るのは、どの番号だ?)
 城島健司は知らない。
 そして、それは知る必要のないことなのだ。彼にとっては。

31 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/11/27(日) 20:08:15 ID:hfrRiWsV0
 移動中にスタッフから聞き出した話では、パリーグの選手は東、セリーグの選手
は西側のゲートから退場したらしい。
 今城島がいるのは、ドームの中心から考えて西側のゲート。このまま西に進めば、
出会うのは大抵セリーグの選手ということになる。
 一暴れするには好都合だった。
 親しい顔を見て、躊躇わないで済む。
 現チームメイトがいないフィールドで、工藤を殺した自分を踏みとどまらせるもの
は、もう何もないように感じた。
(いや――)
 たった一人、思い浮かべた顔に、城島は頭を振った。
 ――小久保さん。
(あなたにだけは、会いたくない)
 その思いを胸にしまい、代わりに城島はポケットにしまっていた名簿を広げた。
 それと年俸額ランキングと見比べ、あることを確認する。
 このゲートから出てくるのが、上位10名のセリーグの選手だとしたら――
「あとは佐々木さんか……」
 6億5000万の男を待っていても良かったが、04年横浜は最下位だった上、
佐々木は背番号から言うとセリーグで一番最後の退場になる。
 あと3球団分は待たなければいけないというのは、なかなか苦痛だ。
(まあいいか)
 地図を折りたたみ、城島は先に進むことにした。
 城島がデイバッグを担ぎ直すと、パキリ、と自分以外の誰かが小枝を踏み折った
音が聞こえた。
(見られた――?)
「誰だ!?」
 音がした方を振り返り、叫ぶ。
 森の中をバタバタと逃げる気配を感じ、城島は後を追いかけようとした。だが、
木々の間を縫って去っていく逃亡者は思いの外早く森に同化していった。辛うじて、
白っぽいユニフォームの後ろ姿が確認できただけだった。

32 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/11/27(日) 20:08:45 ID:hfrRiWsV0
 城島は諦めてその後ろ姿を見送った。相手が逃げていった方向が自分が進むつもり
だったのとは逆方向だったのも、早々に追うのを止めた理由の一つだ。
「ちっ……」
(仕方がないか――)
 見られてしまったものは仕方がない。城島はすぐに気持ちを切り替えた。
 些細なことだ。どうせ、何も変わらない。
 その程度のことで何かが変わるほど、運命は甘くない。
 今のがどちらから来た人間かは分からないが、逃げていったのは東のゲートの方だ。
(和巳たちは大丈夫かな)
 ふとした隙にチームメイト達の無事を願っていることに気付き、そんな自分に
苦笑する。
 世話になった大先輩を殺しておいて、今更人間のフリをしても仕方がない。
 それでも、彼らのことを思うと、城島は自分がどうしたいのか、少し分からなく
なった。
 出来るだけ生きながらえて欲しいのか。
(それとも――)
 自分が手に掛ける前に死んでくれた方が、有り難いかもしれない。
 『希望』なんて自分勝手なものだ。
 だが、期待するだけなら誰にも文句を言われる筋合いはないだろう。
 願わくば、最後に生き残るのが、自分と、彼らであってくれればいい。
 確率の低いルーレットを回し、城島健司は西へ向かった。


 残り64名 年俸総額130億2680万円

33 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 21:10:15 ID:W15fzbI/0
新作キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!
職人様方乙です!
三浦良かったねばんてふ(ノД`)
ジョー・・・・テラセツナス

34 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 21:25:45 ID:HdWRDfwe0
新作イッパイキテタァァ。。・゚・(ノД`)・゚・。 せつねえ、せつねえよ・・・・
職人様乙乙祭り

35 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/27(日) 21:27:44 ID:8oNj9Dav0
職人さん乙です!
☆タコさん、ちょっと疑った私を許してくれ…。
城島は複雑だなぁ。見られたのが誰なのか気になるね。

36 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 01:14:09 ID:1ObyTs/G0
職人さん方、乙です。

ジョーは切ないけど冷静なのが怖いな…

37 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 12:34:16 ID:N5X5caa0O
小久保ならジョーを止められるかもしれん…

38 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 16:16:21 ID:RnRL0GQd0
億バトで移籍組は

巨:清原和博、工藤公康、小久保裕紀、江藤智、前田幸長
鷹:大村直之
横:若田部健一
中:谷繁元信
阪:金本知憲、片岡篤史、下柳剛
オ:村松有人

これだけか。岩隈と礒部は除外すると。巨人阪神は流石に多いな。
これらのメンバーの前チームとの絡みも見てみたい。

しかしどう見ても噛ませ犬にしかならなさそうな選手が何人かいるな。

39 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 16:30:20 ID:qV+kZIpe0
億ロワって性質上2億円以上貰ってる選手生き残らせづらいよなぁ。
かといってあんまり多く生き残らせるのもなんだし。

40 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 16:33:18 ID:gRHmkvefO
矢野も移籍組じゃないか?
中日から。

41 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 16:41:57 ID:N5X5caa0O
>>39
結果的に生き残るのが二人とか三人でもそれはそれで面白いとオモ

42 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/28(月) 21:00:28 ID:2CyPwVNq0
最大で9人、最少で2人だね<生き残り人数

43 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/29(火) 16:08:21 ID:twUVtgsyO
hosyu

44 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/11/29(火) 17:42:30 ID:VLfTx79L0
[人間が一人、悪魔が一人]


「あれもあかんなぁ‥‥。」
立浪和義(D3)は近くの茂みからゲートを眺めていた。
とはいっても、立浪の所属するセントラルが退場してくるはずの一塁側のゲートではなく、三塁側のゲート。
つまり、パシフィックに所属するチームが退場する選手が出てくるゲートを立浪は眺めていた。
そして時折何か呟きつつ、名簿にチェックマークをつけていく。


立浪は生きて帰ってイーグルスに入ることも死ぬことも、絶対にしたくはなかった。
前者の理由はイーグルスよりも18年間も所属した中日ドラゴンズの方が立浪は好きだったからだ。好きだったというよりはマシだからというものだったが、チーム色の面しかり金銭の面しかり。
しかし後者の理由は簡潔だった。『死んだら何も出来ないから』だ。
誇り高く死のうとは立浪の性格上考え付かなかった。でもだからといって泥を飲む覚悟をしてまで生きる気もなかった。
もっとスマートに生き残ることが出来ないかと立浪は考え、思いついた。



「金村……?誰やこれ…‥」
呟いた名前の前にチェックマークを入れる。
「福浦……パス。」
名簿の金村と同じように福浦の名前の前にチェックマークを入れた。
「……見るゲート間違えたかな、松中とか出てきぃへんやん・・・。」
不服そうな顔を浮かべつつ、頬杖をつく。鼻を掠める匂いが更に立浪の眉間の皺を深くさせた。




45 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/11/29(火) 17:43:18 ID:VLfTx79L0
そしてそれから何分経った時だったろうか、神経を蜘蛛の巣のように張り巡らせていた立浪の耳は小さな異変を感じ取った。
落ち葉が割れる音、それはそうつまり―――。
(誰か来た…‥か。)
鞄を持ち、なるべく物音を立てないようにして、その音に近付く。
その音を出している人物は立浪の今一番会いたかった人物だった。
思わず立浪は小さくガッツポーズをしかけてやめる。そしてその代わり喉を押さえた。

森の中を歩いていたのは、袖の黄色い2本線が特徴のユニフォームを着た背番号3。
松中信彦(H3)だった。
松中はきょろきょろと辺りを見回しながら歩いていた。多分こっちが出て来た方のゲート探しとるんやな、と立浪は感づく。
それならますますもって好都合ではないか。こっちには、最高の『武器』があるのだから。
隠れて笑う立浪に気付かず、目の前を通り過ぎようと歩き出した松中。


「誰や、そこに居るんは……」
返事をするより先に松中が立浪が居る方向に振り返る。
「……立浪さん、ですか?俺です、ホークスの松中です。」
立浪は短く息を吐き、表情を変えた。そして木に身を預けつつ、松中の居る場所へ一歩足を踏み出した。
そしてその瞬間、松中がはっと息を飲んだのが分かった。そしてその瞬間、立浪は心の中で笑った。
「松中か…‥」
「どうしたんですかその足!」

最高の『武器』―――それは立浪の白いズボンに広がった血。

「これか…‥?俺も、よぉ知らん。」
いかにもつらそうに笑ってみせた、少し息も荒くしてみる。
慌てて松中が駆け寄り、立浪はそれに合わせるように膝をゆっくりと折る。
面白いほど想像通りに物が運んでいると立浪は思った。
「止血は?」
松中の問いかけに無言で首を振る。その代わりに出発5分後に思いついた言葉を溜息と共に松中に送った。
最高の『武器』で刺す、とどめの一撃を。


46 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/11/29(火) 17:44:20 ID:VLfTx79L0



「森が殺された。」

松中の顔が驚きと困惑に満ちた、そして少しだけ動いた唇を立浪は見逃さなかった。
『冗談だろ』と唇が動いたのを見逃さなかった。
「俺もよぉ見えんかったんやけど、誰かが森を撃って、それから……」
わざと言葉を打ち切り、下唇を噛み締め、眉根を一気に寄せた。
「……俺が、もう少し早く気付いとったら森は…」
しばらく松中と立浪の間に沈黙が流れる。しかしその沈黙の過ごし方は二人とも違っていた。
松中は森の死を悼んでいるようだった、かつて戦った好敵手としての森の死を。

(ええ奴やなぁ、やっぱりこいつは。)
立浪はじっと地面を見たまま動かない松中を見ていた。何の感慨もなく、ただ見ていた。
次の言葉を捜すように、松中の口が少しだけ縦に開かれるも結局沈黙が続く。
そろそろやなと思い、立浪は怪我をさすりつつ松中に話しかけた。

「なぁ、松中。俺ら殺し合わんといけんの?」
びくりと松中の肩が動く、立浪は空を見上げた。気持ちいいほど綺麗な青空だ、がこの場面には著しく似合わない。
「そんなんおかしいよな?何でみんなやる気になってんのや?」
心の中で決意した。心の中とは便利なものだ、何せ自分の考えが全く相手に伝わらないのだから。
「……みんなでは、ないはずです。」
松中がようやく口にした言葉こそ、立浪は待っていた。
『やる気になっているのは全員ではない』、まさにキャプテンらしい発言だ。
どこまでも人を信頼するとは何と志のいいことだろう、と皮肉を込めて心で呟く。
「絶対にこのゲームとやらを壊しましょう。」
目に一点も曇りはない、立浪はそれがおかしくて表情を崩しそうになった。
「どないして崩すねん。何か方法でもあるんか?」
「…今はまだ分かりません、でも絶対に人が作ったものには穴があるはずです。」
それから一瞬間が空く。息を吸った松中はまっすぐ立浪を見つめながら、言った。


47 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/11/29(火) 17:44:46 ID:VLfTx79L0
「絶対に、壊しましょう。僕は絶対にゲームを壊そうと考えてる人をひとり知っています。」
松中が答えを言う前に、立浪は分かっていた。いやそれよりももっと前、立浪が松中を標的とした瞬間にその名は立浪の頭の中にはあったのだけど。


「ジャイアンツの小久保さんです。」

「…小久保か……」
また沈黙が訪れる。
立浪は眉間に皺を寄せたまま松中を見つめていた。それを見た松中は少し八の字に眉毛を下げた。
どうやら自分が小久保に会いたがってないように見えたんだと立浪は思った。しかしそれは逆だった。
「……小久保なら大丈夫よな。」
「立浪さん…」
「…足怪我してもうて、ほんとそれこそ足手まといになると思うけど。」
口元と目元にわずかな希望を見せるように表情を変え、立浪は松中を見返した。

「俺も、連れて行ってくれんか?」
「……もちろんです。」
どこまで人を信用する気で居るのか、立浪は松中の顔を見て思った。
連れて行ってくれと言った時の、本当の希望に満ちた表情は立浪の決意を更に固くさせた。
「その前にちょっと雑になると思うんですけど止血…」
「そんなんええ、早よ行かな小久保出るんとちゃうか?もうそんぐらい経っとるはずや。」
心配そうな表情の松中を振り切るように立ち上がろうとする。その瞬間、立浪は顔をしかめた。
別に痛くはない、だがいつものデッドボールを受けた時の条件反射のようなものだった。
「ほら、行くぞ。」
「やっぱり止血しましょう。」
「こんなん気にするな、こうしてる間にも…」
少し早口にしてみる、考えた通りの反応が返ってくる。立浪は笑いたいのとそれを抑えたいのとが戦っている、自分では極めて妙な表情になってしまった。
しかし松中は痛みのせいだと考えている、このギャップが更に立浪の表情をハンマーで崩していく。
「……とにかくはよ行かな。最後のチャンスになるんかも知れんのやから、小久保に会える。」
どうにかして、立浪は笑いをこらえることに成功した。
松中は不安げに顔をしかめていたが、何を思ったが次の瞬間。


48 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/11/29(火) 17:45:11 ID:VLfTx79L0

「すんません立浪さん。」
と言って、軽々と立浪を背中に負う。
「ちょおま降ろせ!」
一応反抗してみるが、まんざらでもなかった。左足がだるくて、歩くのも面倒だと薄々思っていたからだ。

(人よすぎやでー。森も松中も。)
ゆっくりと歩き出した松中の地面を踏みしめる感覚が一歩一歩伝わるのを感じながら、立浪は両口角を静かに上げた。
(ま、やけええんやけどな。)
スマートに生き残る為の一番簡単な方法は『正義感が強い奴と一緒にいる』ことだと立浪は思いついたのだった。

正義感の強い奴は、なるべく戦わず話し合いで解決しようとする。それでまず戦う確率が下がる。
そしてなおかつ、自分の仲間を庇う傾向がある。映画の世界でよくあることだ。
何故なら正義感が強い人間は自己犠牲の精神の固まりだからだ。自分は死んでもいいから、仲間は―――と出来る点で自分が守られる確率がかなり上がる。
そして極めつけはこれだろう、『最後に正義は勝つ』という言葉だ。
どんな話でも大体そうではないか、最後は一番善人が生き残るのだ。いやむしろ―――

(勝った奴が善人よな。)
勝ってしまえば、そう言ってしまえば生き残れば勝ちなのだ。
自分が生き残るということはすなわち最低でも他の60人近くは死んでしまうのだ。
『死人に口無し』というではないか、勝ってしまえば嘘だっていくらでもつける。言わば『勝てば官軍』。
(死人に口無し。森、でもお前が俺の太もも撃ったんは事実やんなぁ?)
まぁ、ある意味最強で最高の『武器』が手に入っただけよしとするか―――。

立浪は声を立てずに笑った。あまりにも人を信頼しようとする『人間』を嘲笑う為に。
松中は、気付かない。その背中に乗せているのが正真正銘の『悪魔』であることに。


【D3立浪・H3松中 D−5】
【立浪、森による銃撃で左太もも負傷】
【残り64名 年俸総額130億2680万円】

49 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/29(火) 20:17:43 ID:784+gNXR0
新作またまたキタコレ!(゚∀゚ ) 職人様乙です!
ってQさーん・・・・・(((((('A`ili)))))))テラコワス

50 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/29(火) 22:42:59 ID:iJi3G+Vh0
演技派Qさんテラコワス。

松中、背中ー、背中ーと叫びたい。

51 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/29(火) 22:51:41 ID:60v878XL0
新作キテタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ちょwwwwテラヒドスwwwwしかししっくりくるwwwwww

52 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/30(水) 15:02:43 ID:mvGfM/pa0
>>42
佐々木+(城島or小笠原)なら2人で10億超えると思う。

53 :代打名無し@実況は実況板で:2005/11/30(水) 16:25:21 ID:JWWfpz9PO
佐々木と城島のたった一人の生き残りを賭けたガチンコ対決

というのもあるということか

54 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2005/11/30(水) 19:59:16 ID:jG51hEO5O
>>1
乙です!
職人さま方も新作超乙です!
保管庫の更新なんですが今リフォーム中でネットつなげない環境なので
しばらく滞納してしまいそうです…申し訳ないですorz

55 :43 ◆YhefPZis9A :2005/11/30(水) 23:57:12 ID:iPeRVr7g0
「信頼しあう者、裏切る者」

「いや出口が別だったんだから…焦ったよ。」
腰に括り付けた日本刀をぶらぶらさせながら高橋由伸(G24)は言う。
「俺だって焦りましたよ。予想より来るのが遅かったから。」
ブローニングハイパワーと書かれたメモ書き程度の説明書を、デイバックにしまいながら阿部慎之介(G10)も苦笑する。
日本刀と拳銃…これらは人を殺すに十分なものであるが、あまりに非日常的な物であり、まだ二人はピンとこない様子であった。

(情けない成績で感謝しないとな。慎之介と打ちあわせる時間を貰えたと思えば…)
混乱と動揺、恐怖が混ざり合ったあの状況で真っ先に自分を信用してくれ、一緒に行動しようと言ってくれた阿部…大事な仲間を高橋は見る。
当初の予定では阿部の二人後が高橋だった為、それほどドームを出る時間の差は無いはずであり、とりあえず南に進もうと決めており、もっと早く合流できるはずだった。

「南に…ということだったんでさっきの茂みに隠れて待ってたんですよ。」
いずれやって来る大事な仲間…最も信頼し、感謝している先輩である高橋の事を考え、ずっと茂みに身を潜めて待っていた。
「お前がいきなり茂みから出てきた時にはビビったよ。」
暢気な声を出す高橋であったが、その心中は生まれて初めての抑えようの無いあのオーナー共への怒りが強く、濃く渦巻いていた。

(…俺はお前らの思い通りにはならねぇからな。)
オーナー共の望み通り動いてたまるか…高橋は唇を噛みしめる。
(お前等は仲間が仲間を殺し合う地獄を楽しみにしてるんだろう?残念だったな…
俺はそんなくだらないゲームには乗らないからな。)
高橋の脳裏に原の無残な姿が浮かび…憎悪、激怒、悲痛とさまざまな感情が吹き荒れる。
あれは果たして現実だったのか…今なおそう感じる。

「のどかな光景だなぁ…」
今は渦巻く怒りを押し殺し、高橋はあえて軽い口調で言うが、
ところどころ森があり、広大な平地が延々と続いている光景は確かにのどかで、ますますこのくだらなくも残酷なゲームが、現実のものと思えないように感じる。
「あいかわらずのん気すぎですよ、由伸さんは。」
阿部が笑った時、背後から声が響く。

56 :43 ◆YhefPZis9A :2005/11/30(水) 23:58:10 ID:iPeRVr7g0
「由伸、阿部!」
「オカジー!」
名を叫びながら走ってくる岡島秀樹(G28)に、高橋は顔を輝かせ、大きく手を振った。
チームメイトであり、同年代の岡島の姿は嬉しいかぎりであった。
「お前ら、のんびり歩きすぎだよ。でも…早くお前らに会えて本当、良かった。」
岡島の方も高橋の姿に安堵したようで、嬉しそうに肩を叩いた。
「俺もだよ。この調子で早くみんなと会いたいな。」
だが高橋の言葉に岡島は、元々無表情気味なぼんやりした表情に、否定の色を浮かべる。
「皆に、ね。…そうかな?正直に言えばとても信用できない人も居るよ。」
「オカジー…お前何言って…」
「チームメイトだからこそ、知っている事もある。お前等だから俺は声かけたけど…とてもじゃないけどそんな気になれない奴も居る。チームメイトでも、ね。」
それは誰か…と聞くのを躊躇う高橋は、じっと俯く。
チームメイトの中でも正直、心許す事ができなかった選手くらい高橋にも居たが、
それはあくまで相性の問題であるし、それをそのまま信用できないと繋げるものではない、
それはあまりに悲しい事じゃないかと高橋は黙り込んだ。

(岡島さんの言いたい事は分かる…俺だって仲間でも絶対信用できない人くらい居るし。)
あの人とか、あの人とか、あの人とか…結構居るもんだなと阿部はため息をついた。

「…由伸は刀で阿部は銃か…二人ともぶっそうなモン持ってるんだな。」
気まずい空気を変えよう、と岡島は話を変える。
「これ、本物なんですかね?なんかピンとこなくて…」
「だな。なんかピンと来ないよな。で、オカジーは何を支給されたんだ?」
「んー…これだよ。」
岡島は尻ポケットに入れてある警棒を高橋に見せた。
「一見普通の警棒に見えるけど、毒薬入りの特殊な警棒らしいよ。」
「毒っ!?お前の方がよっぽど物騒な…ちょっ、近づけるなよ!」
ふざけて警棒を突きつける岡島に、高橋は慌てて除けながら叫ぶ。
「触ったくらいで死にはしないって。」
「だから近づけんなって!ふざけんなよ!」
さらに警棒を近づける岡島に、高橋は殴る真似をする。
そんな中学生みたいなじゃれかたをする二人に、阿部は呆れ笑いを浮かべる。

57 :43 ◆YhefPZis9A :2005/11/30(水) 23:58:27 ID:iPeRVr7g0
「二人とも、何やってんですか。子供じゃないんだから…」
「んなこと言ったってこいつが…」
笑いながら高橋が言いかけた時…

パンッ
響く銃声音と共に高橋の笑顔は固まった。
「あ……」
胸を真っ赤に染める岡島の姿に、高橋は思わず乾いた声をもらす。
「オカジー!」
背中を撃たれた岡島は、口の端から血を流し、口をぱくぱくとさせる。

パンッ

さらに響く銃声音に岡島は身体を跳ね上がらせる。
「…な…に…?…お…れ、どう…なって…」
血まみれの手を高橋に向けると、岡島は何が何だかと小さく首を振ろうとしたが、
それも適わず、目を見開いたまま、その場に崩れ落ちた。
「オカジー…?…」
高橋は血相を変え、岡島を起こそうとするが、既に岡島は息絶えていた。
「……」
もはや動かない岡島の体を腕から滑り落とし、高橋は目を見開いたまま戦慄くと
銃声の方向に、見開いたままの眼球を向ける。

「へえ、やっぱこいつ本物の銃なんだ。凄いな。」
高橋の視線の先に悠然と現れる人影。
手にあるコルトガバメントに大げさに驚くフリをしながら後方から現れたのは
二岡智宏(G7)であった。

【残り63名 年俸総額129億2080万円】

58 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/01(木) 12:06:10 ID:t1G3vjIwO
職人様乙です。
あぁおかじー…ここでもかorz

59 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/01(木) 15:09:25 ID:bMppyW0x0
阿部のあの人とか、あの人とか、あの人の中に
好感持てない二人組も入ってそうw

岡島…カワイソス。
高橋と阿部、ガンガレ。

60 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/01(木) 18:04:24 ID:eVrWtuZdO
職人様、乙です!
おかじ早いよおかじ・゚・(ノД`)・゚・
由伸と阿部コンビ、なんかやってくれそうだw

61 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/01(木) 18:16:34 ID:eqj/Y0zu0
同じくオカズィーーーーーーー!!!!・゚・(ノД`)・゚・
コンビは絶体絶命なのかなそれともどうなるのかな。職人様毎回乙です。

62 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/02(金) 00:52:37 ID:3r+wfNsE0
『自分らしく』

「おいバイト! ちょぉ自分、教育がなってないんやないか??」
 西側のゲートで、ゲートスタッフにいちゃもんを付ける男がいた。
「ですから、中身を確認するのは球場を出てからで――」
 案内された入り口で受け取ったデイバッグを開け、その場で中身を確認しようとした
佐伯貴弘(YB10)を、荷物を渡したスタッフが慌てて止めたのだ。
 繰り返し注意をするスタッフを体格で圧倒し、佐伯がシッシと手で追い払う。
「ケチケチすんな! あと1メートルやろうが! ちょっとくらい待っとけ!」
 後1メートルなら素直に出ればいいものだが、そんな突っ込みを許さない剣幕で
スタッフに噛み付き、制止を振り切って佐伯は荒々しくカバンの中に手を突っ込んだ。
(殺されるか――?)
 まるで野球場にチケットなしで入ろうとする酔っぱらい張りの絡みを見せる佐伯だが、
さすがに、内心は冷や汗が絶えない。
 これくらいのことで、いきなり殺されはしないと思いたいが――
「はぁ?」
 掴みあげ、出てきたものに間抜けな声を上げる。
 スリッパだ。
 飲み屋の便所スリッパのような安っぽいスリッパ。
 しかも片方だけ。
 あまりと言えばあまりの支給品に、佐伯は騒ぐのも忘れて固まった。
 スリッパを握りしめた手が震える。
「……で、こんなもん渡して俺にどうしろっつーねん?」
 突っ込むのか? これで突っ込めばいいのか? 
 確かにスパーンッと小気味よい音がしそうだが、こんなものでどうやって生き延びろ
というのか? もしやゲーム自体が冗談か?
「このゲームの支給品はランダムで支給されております。それぞれ性能の違う道具を
いかに工夫して使っていくか、というのが今回参加者の皆さんと支給品に与えられた
テーマです」
 のうのうと言ってくれる。スリッパで工夫とは。笑える冗談だ。

63 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 00:53:29 ID:3r+wfNsE0
「ふっ……ざけんなぁっ!!」
 演技のつもりだったが、あまりにもふざけた武器に本気で頭に血が上った。
「責任者呼んでこーい! 責任者!」
 ――カチャッ
 スリッパを振り上げ叫び出す佐伯の後頭部に、銃口が突きつけられる。
「せ……」
 そのひんやりとした固い感触に、喉から声が出なくなる。
 佐伯が絡んでいた小柄なスタッフとは別の、背の高いチーフスタッフが、ニコリとも
せずに佐伯の背後に立っていた。
 その右手には、黒光りする小銃が握られている。
「申し訳ありませんが、年俸順位第50位の佐伯貴弘選手。これ以上騒がれるよう
でしたら、ゲーム進行の妨げになりますので然るべき処置を執らせて頂きますが」
 口調はどこまでも丁寧だが、そこには有無を言わせぬ冷徹さがあった。
 ここで佐伯が逆らえば、本当にその引き金を引くと確信できるような、底冷えした声。
「速やかにご退場願えますでしょうか」
「ちっ……やっぱり見かけだけかい」
 最後通告に、佐伯は両手を挙げ、しぶしぶ入り口に向かって足を踏み出した。
 どう見てもその辺で雇った大学生のバイトスタッフだが、そんな人間がこんな場所で
こんな大犯罪に荷担しているわけがない。
 予想はしていたが、手慣れた様子で脅しをかけてくる相手に、佐伯は減らず口を叩き
ながらも、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「ちょ、佐伯さん、何やってるんですか?」
 そこで、唐突に投げかけられた声に、チーフスタッフを含め全員が振り返った。
「おー、斎藤!! って黒田かい!」
 銃を突きつけられていることも忘れ、ペンッ! と手にしていたスリッパを床に叩き
つける。
 その先には黒田博樹(C15)が、驚いたように口を開けて立っていた。
 もう先に出ていったはずの佐伯が、ゲート前で複数のスタッフに囲まれ銃を突きつけ
られているのだから、無理もない話だ。
「岩隈が出て行ってから、ずっとセリーグのチームで交互に退場していたじゃないですか。
斎藤は次でしょう」
 佐伯のひとりボケ突っ込みに、真面目な顔で訂正してくる黒田。

64 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 00:54:33 ID:3r+wfNsE0
「知っとるわ。くそ、斎藤のヤツ、はよ来いや」
 ぶつぶつと斎藤に言いがかりを付けながら、親指の爪を噛む佐伯。
 ゲートを出る前に、なんとか粘って斎藤と合流しようとしたが、やはり無謀だったらしい。
 突然参加者たちに課せられた、10億円の年俸枠。
 計算するまでもなく、チーム全体年俸が限度額を大幅に超えているのは明かだった。
 その時点でチーム内に微妙な空気が漂ってしまったが、やはりある程度打ち合わせは
しておくべきだったかもしれない。と言っても、チームの誰に声をかければいいのかと
いう問題があったが――全員で足並みを揃える、ということは不可能なのだから。
 とりあえずグラウンドを出る前に、自分の次の背番号の斎藤にダッシュで来いとの
サインを送ったが、どこまで通じているかも怪しい。
「黒田はもうええから、はよ先に行……」
「年俸順位第50位の佐伯貴弘選手」
 立ち止まっている黒田を促す佐伯の言葉を遮り、再びチーフスタッフに名前を呼ばれる。
(だから、何やねんその枕詞)
 胸中毒づく。いちいち小馬鹿にされている気にさせる呼び方だ。そもそも、50位
というところからして微妙だ。
「当バトルロワイアルの規定では、退場時、後ろの参加者が前の参加者を追い越した
場合、前の参加者は自動的にアウトとなります」
 野球のルールでも説明するかのような平坦な口調。
 最も、野球では後ろの走者が前の走者を追い越した場合、アウトになるのは後ろの
走者だが。
(んなもん、どうでもええねん)
 このゲームでのアウトの意味は、佐伯の後頭部に張り付いて離れない金属の感触が
教えてくれる。
「わあったわあった」
 斎藤が来るまでなんとか粘るつもりだったが、こんな強行手段に出られてしまったら
どうしようもない。
 普通、スタッフはどれだけムカつく客に絡まれても絶対に手を出してはいけないはず
だが、ここでは関係ないらしい。球場で何度か会話したバイトの青年から、酔っ払いの
親父に喧嘩を売られ、殴り返すわけにもいかずライトからレフトまで全力疾走で逃げた
という苦労話を笑い飛ばしながら聞いた頃が懐かしい。

65 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 00:55:08 ID:3r+wfNsE0
「お忘れにならないようお願いします」
 もう一人のスタッフが、丁寧にスリッパを拾って差し出してくれた。よく教育が行き
届いていることだ。もちろん、感心というよりは皮肉だが。
(だからこんなもんどうしろと……)
 忘れたところで鼻くそ程も支障はなさそうだが、そこはそれ、マニュアル人間とは
まさにこいつらのことだと佐伯は思った。  
 しかしここは、そのマニュアルとやらに従うしかない。嘆息一つ、佐伯は乱暴に
スリッパを受け取った。
「まあええわ。黒田も頑張れよ!」
「はぁ……」
 適当なエールを送り、便所スリッパをチャッと掲げて敬礼する。
 おそらく絵面にすると相当間抜けであろうそれに、固かった黒田の表情に、少し笑み
が浮かんだ。
 佐伯はそのことに満足し、笑い返すと、渡されたバッグを抱えてゆっくりとゲートを
またいだ。
 その向こうに続く、一本の舗装されていない森道。狭い道の両脇は、ある部分を境に
鬱蒼とした森へと変貌している。
 その前で、一度、佐伯は大きく深呼吸した。
 ゲームが始まる。ここはスタート地点だ。
 ゲームと言うからには面白くないといけないはずだ。
 だがどいつもこいつも、糞真面目な顔でこんなくだらないゲームに参加している。
(こんなふざけたヤツも、ひとりくらいおってもええやろ)
 悲観的になるのも、達観的になるのも性に合わない。
 ただ――
 惑わされたくない。自分らしくいたい。
「みんなガンバろな」
 便所スリッパを握り締め、佐伯貴弘は散り散りになる仲間たちにエールを送った。


 残り63名 年俸総額129億2080万円

66 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 06:37:25 ID:xZhmxyKSO
乙です!

スリッパワロスwwwwwwwwwwww

67 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 13:06:49 ID:pbJlJvTbO
男前は便所スリッパ握っても男前

68 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 14:26:03 ID:pBrpsgGV0
支給品も心構えもカコイイ。さすが男前。

69 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 22:12:37 ID:cfkJvDg+0
やっぱりみんな巨人はチーム内のまとまりが一番薄いってイメージなんだな

70 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 22:24:51 ID:lCdcoLxXO
一番まとまりなさそうな人たちがまとまっちゃってるけどな、巨人w

71 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 22:25:32 ID:tDuTZrXCO
呼び名について…

>>18-20
この二人は「尚典さん」「大輔」と呼んでます
>>28さんの通り「スーさん」になったり、たまにタメ口になったりもしますが

>>62-65
斎藤隆と佐伯は同じ年の生まれだけど
学年だと隆が一つ上なので、佐伯は「隆さん」と呼んでます

すみません、どうしても気になったので
職人さん、頑張って下さい
楽しみにしてます


72 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/02(金) 23:53:48 ID:pbJlJvTbO
呼び名といったら金本も「矢野ちゃん」でなく「矢野プー」だったりする
ちと気になったものの知らなくて当たり前だから流してたけど、
訂正する人がいるならついでに言っとくよ

73 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 00:26:01 ID:+GW5NMi00
>>69
まとまり薄そう。高橋と阿部は前途多難だろうな。

74 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 11:59:37 ID:HSzQ1MOE0
保守

75 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 20:43:04 ID:8dTbToBBO
>>73
阿部と高橋は仲いいほうだよ

76 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 21:13:02 ID:uXJYA/uk0
仲良くてもまとまるかどうかとは違うとオモ

77 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 21:22:51 ID:Iyr2WoZU0
バトロワでどう書かれようと関係はないけど
巨人ファンじゃない人に纏まりないとか言われたくないのう

78 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 21:30:54 ID:ITTmFYH00
まぁまぁ落ち着けwレッテル貼りはイクナイぞー。

職人様方いつもありがとうなのです。色々ワクテカしながら気長に待ってます。

79 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 22:30:46 ID:+QGtQCnG0
hoshu

80 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 22:32:59 ID:JZeaXqbD0
>>77
俺もそうだが、みんな自分の応援してるチームは団結力があると思うもの。
だからこそ第三者から見てイメージが知りたかったり

81 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 23:17:26 ID:4+jYWqZdO
チームでまとまってるのは今のところカープと楽天くらい?
意外に少ない
あとはどこもマーダー抱えてたり別々に行動してたりするな

82 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/03(土) 23:24:36 ID:LDB4I0uc0
アテネみたいに12球団知っ得情報みたいなスレがあってもいいかもね
各球団のマニアがバト書くにあたって職人さんが使えるようなネタを投下する用の。
どの職人さんも複数の球団をまたいで書いてるから、あだ名とか参加者の交流関係とか、
なかなか調べ切れないようなのは読み手が協力するのもありだと思う

83 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 00:33:25 ID:E9SFvTlC0
まとまりの話でいえば、
上原がなんで外されてるのか気になるな。
伏線期待。

>>82
待て。
そもそもその辺を知らないでバトロワ(ファンフィク)って書き出せるもんなの?
チームを知らない人ってことじゃないのか?

84 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 01:02:02 ID:lgUNIdb+O
〉83 ある程度の交友関係はともかく、あだ名とかは球団のファンじゃないと分からない事もある。
アテネや一億は職人さんが複数球団書くから、知っとく情報はあってもいいかも。
俺もひいき球団の知ってる情報なら協力として提供したい。

85 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 01:03:19 ID:rpqfh+I60
上原はどのバトロワでもマーダーになってる気がするので
今回はどんな行動するのか楽しみ。

86 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 02:15:51 ID:F14lV9Q70
>>84
贔屓球団や選手に関する情報の提供は、読み手側としても協力したいなあ。
それとも職人さんにとってみれば、縛りが多くなる分こういうのはウザイのかな‥
一度スルーしてしまいましたが、>>44

> 「金村……?誰やこれ…‥」

Qさん、アンタがめっちゃ可愛がっている公の金村ですよ‥。orz
(片岡繋がりで立浪は公選手と仲良いです)

87 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 13:03:42 ID:pHQQc6qo0
まあ全球団またぐから、そこのファンが気づいたことを言っていくのもええことよ
選手の呼び方とか、チームのファンでもコアな人しか知らないこと多いし
もちろん基本情報以外で変に注文付けまくるのは論外だが

>>86のような突っ込みで、もっと話全体に関わるネタだったら、
いまさら言われても困ると思うし

知っ得スレで、あらかじめ小ネタ投下しといて、
使える情報・使いたいネタを職人さんが取捨選択、読み手側はスルーされても文句言わない
くらいのスタンスでどうか

あまりこういう話題で本スレ消費しすぎるとギスギスして見えそうなので別にスレ作るのは賛成
保管庫さんは今忙しそうだからすぐには難しいかもしれないが

88 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 21:31:41 ID:4xembUXA0
保守しておきますよ

89 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/04(日) 22:06:42 ID:vfGiLpRY0
確かにデータベースみたいなのはあったほうがリアリティが増していいと思う
それに書き手の人だって自分のひいきチーム以外のとこの選手を書くことだってあるだろうしな

90 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/05(月) 11:44:48 ID:J0z/SJoPO
各球団のファンが協力したほうがよりクオリティタカスになるのでいいと思うけど、
こういう場合怖いのは>>86も言ってるように読み手注文付け杉、縛り多杉になって
職人が書き辛くなって過疎るってパターンだね
あくまで協力するスレなので参考にするかしないかは書き手にお任せ、
とかあらかじめ入れといてもいいかも

91 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/06(火) 00:09:32 ID:EgOtyiBm0
じゃあまあその方向で

hosyu

92 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/06(火) 16:55:02 ID:/+1JnCK9O
捕手り

93 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:19:19 ID:76ID3fCG0
『マインド・ゲーム』
「答えてもらいますよ」
 斉藤和巳(H66)は、柴原洋(H1)からひったくったベレッタM92FSを、礒部公一(E8)の眉間に向けた。
「嘘吐きよったら、撃つで」
 声が掠れる。知らず知らず、低い、威圧するような声が出た。
 目の前の礒部と岩隈久志(E21)は、なす術もなく銃口を凝視している。すぐ隣では柴原の制するような声が聞こえていたが、今やその声を聞く余裕は、斉藤にはなかった。
 斉藤は、かつてないほど混乱していた。銃を構えている右手が、指先が震える。ともすれば間違えて引き金を引いてしまいそうで、恐ろしさに添えている左手に力をこめた。
 これは本当か、嘘か。
 現実なのか、夢なのか。



「柴さん一人だけ?」
 全部で五人集められたホークスの選手中、一番最後にゲートから出てきた斉藤は、そこにいるべき人物の頭数があまりにも少ないことに不安を覚えた。
そこで斉藤を待っていたのは、柴原ただ一人。斉藤の前には、他にも三人のチームメイトが出発したはずだ。当然の疑問が生まれた。
(松中さんは?城さんはどこや?大村さんは?)
 斉藤は、草や木ばかりが生い茂る辺りを見まわした。柴原以外に人っ子ひとり見当たらない。
「松中さんも、城も、出てこんかった」
 心の声が聞こえたかのように、柴原がため息まじりに答える。
「…はあ?」
「ワケわからんやろ?」
 柴原は、足元に置いていたカバンをスパイクのつま先で軽く蹴った。
「パリーグの奴はみんなこのゲートから出るようになっとるっち言いよったけど、ウソなんかなあ?」
 故郷である北九州の方言で、柴原が答える。


94 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:20:24 ID:76ID3fCG0
「じゃあ、大村さんは?」
 斉藤が訊く。
「大村さんは、ちゃんと出てきた」
「どこ?」
「もう、行った」
「はあ?」
「一緒に行動しましょうって誘ったんやけど、大村さん、「俺はええよ」ってしか言わんし、ついさっき一人で行っちゃったよ。
追いかけようっても思ったけどさ、とりあえずお前が出てくんの待ってようって思って」
 柴原は、もう一度カバンを蹴った。カシャ、と中で何かがぶつかりあう音がした。
「ワケわからん…」
 冷たい風が吹きぬけた。
(もしかして、信用されてないんやろか)
 自分、柴原、松中、メジャーリーグへの移籍が決まった城島。そして、今年移籍してきたばかりとは言えども、大村だって共に戦うチームメイトなのだ。
一緒に過ごしてきた年月の長さなど、信頼を量る目盛りにはならない。しかし、大村は違うのだろうか。
たった一年一緒にいた奴なんて、信用ならん。そんなふうに思われているのだろうか?
 同時に、姿を現さなかったという城島と松中の安否が懸念される。考えることが多すぎて、自分の頭だけでは整理しきれそうにもない。
「どうする?」
 カバンを拾い上げて、柴原が聞いた。
 次にゲートから現れるのは誰だろう。斉藤は、急いで昨年の順位を思い出した。
「小笠原さんか」
 かの特徴的な小笠原道大(F2)の風貌が二人の頭に思い浮かんだ。先のアテネオリンピックでは、城島と共に日本代表として戦った男。
言うまでもなく、信用がおける人物だ。しかし、今は。
「…とりあえず、そこに隠れて様子見ましょう」
 斉藤は小さく呟くと、ゲート横のススキが生い茂る茂みを指差した。
チームメイトすら信用しない人間がいるかもしれない。そのことに、いやがおうでも斉藤の警戒心は高まった。
 素直に頷いた柴原も、それは同じようだった。

95 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:21:38 ID:76ID3fCG0
しかし、小笠原もゲートから姿を現すことはなかった。
「どないなってんねん…」
 隠れていることを誰かに気づかれないよう声をひそめ、それでも呟かずにはいられない斉藤の横で、柴原は支給された名簿を広げている。
同じく支給されたボールペンを手に、柴原は何か考えている様子だ。
「松中さんに、城、小笠原さん…」
 柴原は、小声で現れなかった人物の名前を読み上げながら、その下にアンダーラインを引いていく。
「和巳、どう思う?」
 斉藤は、名簿を横から覗きこんだ。
「えらい稼いでる人ばっかですね」
「そうなんよねぇ。年俸高い順にランキングみたいになってるんやけど。ほら、見てみ」
 そこには、城島2位、小笠原3位、松中7位、とある。三人の年俸を足してみようとして、斉藤はやめた。試すまでもなく、その額は明らかに10億を越えていた。
…少なくともこの三人は、揃って生き残ることができない…首を振って、斉藤は浮かんできた不安を無理やり頭から追い出した。
「例えば、上位10人だけ別のところに集められてるとか」
「…何のために?」
 斉藤が訊いたが、柴原は口をつぐんだ。
 あまりにも残酷な想像が、二人の頭を同時に支配した。「年俸総額が10億円以下になるまで数を減らす。
残った選手に来季楽天でプレーしてもらう」という言葉が、急に現実感を伴って二人の脳裏に焼きついた。
「まさかもう、城さんたち、」
「滅多なこと言うなよ」
 柴原は斉藤の言葉を制した。
「そやかて、やったら何で出てけぇへんねや…!」
「何か事情があるかも知れんやろ?」
「事情って…どんな事情やって言うんですか!」
「しっ!」
 瞬間、ゲートの方から足音がした。二人は反射的に体勢を低くし、その方向を見る。金村暁(F16)だった。

96 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:22:13 ID:76ID3fCG0
斉藤は目だけを動かして柴原の手にしている名簿を確認した。ファイターズの選手は小笠原と、この金村二人のみ。そして、小笠原はこのゲートからは出てこなかった。
(この人はどうするんやろう)
 突然放りこまれたこの恐ろしい状況で、先に出発したはずのチームメイトはそこにいない。もちろん金村は、小笠原が「出てこなかった」ことなど知る由もない。
金村も、きっと自分のようにうろたえ、一人であることの不安に襲われるだろう…。そうしたら、声をかけて一緒に行動するべきだろうか。斉藤は固唾をのんで見守った。
 だが、金村は違った。
 ゲートを出てすぐの所でちょっと立ち止まり、くるりと周囲を見渡した。周囲に誰もいないことがわかると、すたすたと歩きだした。
 顔色ひとつ変えなかった。
(なんや、それ)
 体勢を低くしているせいか、何でもないように歩いていく金村のスパイクが、やけに印象的だった。
(違うやろ…!?普通、違うやろ?)
 斉藤はわからなかった。
 何もかもがわからなかった。
 ただ呆然と、森の奥の闇に消えて行く金村の背中を見つめていた。



「三木谷さんやっけ、スクリーンに映っとったんは。あんたらのチームのオーナーやろ」
 何グラムあるのだろうか、構えている銃が重い。斉藤は目と銃口で礒部の眉間を見据えたまま問うた。
「そうや」
 礒部が答える。
「楽天の補強策とか言うてましたよね。あんたらも何か知っとんのと違うんか」
「何も知らない」
「ほんまやろな?」
 斉藤は銃身をグッと前に押し出した。礒部のあご先から、一粒の汗が滴り落ちる。

97 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:22:54 ID:76ID3fCG0
「本当や言うてるやろ。俺も、岩隈も、何も知らん」
 礒部が答える。斉藤は岩隈の方を見た。岩隈も無言で頷いた。
「なら、質問変えるわ。松中さんと城さん、どこにおるか知らん?」
「松中と城島?」
 礒部は不審そうに眉を跳ね上げた。
「せや。いくら待ってもそこから出てけーへん」
 既に閉鎖された出発ゲートの方を顎でさした。
「ちょっと待てよ和巳。んなことこの人達が知っとるわけなかろ?」
「柴さんは黙っとって」
 自分のやっていることと言っていることがむちゃくちゃなのは、百も承知だ。
 彼ら二人は嘘など言っていない。
 そんなことは、斉藤も初めからわかっていた。本当に彼ら二人が何かを知っているのであれば、自分達と同じこのフィールドに放りこまれるわけがない。
スクリーンの中でふんぞり返っていたあの憎らしい連中と同じように、高見の見物をしているはずだ。
本当に楽天を強くしたいのなら、エースである岩隈、選手会長である礒部をも危険に晒すことはないのだ。いくら混乱した頭だとはいえ、斉藤にもそんなことはわかりきっていた。
 本当に斉藤が訊きたいのは、そんなことではなかった。
 しかし、何が訊きたいのか、それがわからない。斉藤はかぶりを振った。
「松中さんも、城島さんも、見ていません」
 ふと、岩隈が言った。
「本当やろうな?」
「こんなことで嘘ついて、何になるって言うんですか」
「……」
「斎藤さん、それ、下ろしてください」
「何でや」
 斉藤は、改めて岩隈に向けて銃を構え直した。開放された礒部の視線が、そのままの緊張感でわずかに斜め上へと移る。しかし、岩隈は動じなかった。
「俺達は丸腰です。あなたたちに危害を加えることはできない」
「…お前らの武器は何や」
「まだカバンの中です。確認してません」

98 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:24:31 ID:76ID3fCG0
「本当やろうな?」
 斉藤は、岩隈のかけているカバンをちらりと見た。
「嘘ついて何になるって言うんですか」
 もう一度そう言いきると、岩隈は肩にかけていたカバンを足元に落とした。中身のつまった音がする。かすかに、金属質のものがこすれあう音がした。
何か、銃器の類が入っているのだろうか。そして、岩隈はゆっくりとホールドアップのポーズ―両の手のひらを顔の横に広げる例の姿勢―をとった。
「何なら、斉藤さんに確認してもらっても構いません。だから、」
 そのまま、岩隈は斉藤を睨みつけた。身長がほとんど変わらないせいか、その視線はまっすぐで、ぎりぎりと音がしそうな強さだった。
「銃を下ろしてください」
 礒部は、驚いたように岩隈の顔を見上げた。
 もう誰も銃口など見てはいなかった。
「和巳、もういい加減にしぃよー」
 あきれたような、間の抜けた声がした。
 横から伸びてきた柴原の手が斉藤の右手を掴み、そのまま降ろさせた。反抗する暇もなかった。そうしておいて、柴原は二人に向き直った。
「ウチの後輩がすみません」
 そう言って、ぺこりと頭を下げた。
「色々わからないことばっかで、コイツも混乱しちゃったみたいで」
 斉藤は無言のまま、未だにものすごい力で掴まれている手首の痛みを感じていた。
 野球選手としては背の低い柴原。頭を下げているせいだろうか、その姿はいつもよりさらに小さく見えた。
「ほら、お前も謝れ。このバカ」
 およそ遠慮のない力加減でぐいぐいと頭を押され、斉藤も素直に頭を下げた。
「いいんですよ」
 ほっとしたように岩隈が口を開いた。

99 :26 ◇VYAQYjzFZE氏代理投下:2005/12/06(火) 20:24:57 ID:76ID3fCG0
「それに、」
 斉藤は、岩隈の顔を見あげた。岩隈はかすかに笑っていた。
「斉藤さんは、俺たちを撃つつもりなんてないってわかってましたから」
 ね、磯部さん。岩隈は、集中力が切れて全身の力が抜けたような礒部に問いかけた。
「やからってお前…本気で心臓止まるか思ったわ…」
 礒部はやっとのことでそう呟くと、額の汗をぬぐって天を仰いだ。

 かくして、ここに奇妙な四人組が誕生することとなる。

【柴原洋(H1) 支給武器/ベレッタM92FS(15+1発)】
【残り63名 年俸総額129億2080万円】

100 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/06(火) 20:25:49 ID:76ID3fCG0
避難所に投下してあったものを代理投下しました。
職人さん乙です。

101 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/06(火) 22:29:56 ID:jLmpIl8M0
職人様そして代理人様乙!!
アアー楽天組キタワァ!!!!なんか岩隈肝が据わってきたな。

102 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/07(水) 01:42:25 ID:2jDc38J60
職人さん乙!

細かいとこつっこんで申し訳ないけど、
大村(・◎・)より柴原の方が年上だよ。

103 :43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/12/07(水) 02:25:24 ID:uWH9VDy+0
「最強あるいは最凶」

仲間を信じるのが怖い。ならば何を信じればいいのか。
何もできない。さっきからずっとこの堂々巡りをしたまま動くことができない。
金本は髪を掻きむしる。そんな時、再び銃声音が聞こえた。

「…るさい。うっさいんじゃ!ボケ!」
そんなに何度も発砲しなくても分かっている。自分達は狂気の世界に放り込まれた。
そんな事は十分分かっている。金本は荒々しく叫ぶ。
「何度も発砲すんな!阿呆!もう十分わかっとるんじゃ!」
苛々と再び叫んだ時、隣の茂みがガサガサと大きく揺れ、金本は思わず身構える。

「あの〜、ちょっと静かにして欲しいんですけど…」
間延びした声に、ぼんやりとした様子で現れた野口茂樹(D47)に金本はぽかんと視線を送る。
あまり話したことのない投手であるが、矢野からあいつは変わっていると聞いた覚えはあった。
「お前な…何ふらふらしとんじゃ。銃声聞こえんかったか?」
「聞こえましたよ。でも金本さんの怒鳴り声の方がずっとうるさ…」
「そういう問題やないじゃろが!ふらふらしとったら死ぬと言うてるんじゃ!」
キレそうになる金本に、野口は首を傾げる。

「んー…死ぬなら死ぬでしょうがないかな?」
「しょうがない…じゃと?」
そんな野口の言葉に、金本はピクリと眉を逆立てる。
「じゃあ死ね!銃声の方へ行けや!さっさと撃抜かれたれや!」
怒号する金本に、野口は頷くと、銃声の方へ歩き出す。

104 :43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/12/07(水) 02:26:15 ID:uWH9VDy+0
「ま、待て!お前、何やっとんじゃ!」
「何って…金本さんが銃声の方へ行けというから…」
慌てて野口の腕を掴む金本に、野口はしれっと答える。
「お前、阿呆か!銃声の方へ行ったら死ぬじゃろが!」
「今、死ねって言ったじゃないですか?」
首を傾げる野口に、金本は再び絶句する。
「死ねと言われて死ぬ阿呆があるか…」
「だから俺は別に死んでもいいんです。」
再び金本の顔色が怒りで赤くなる事に気がつかず、野口は続ける。

「俺には家族が居るわけじゃないし、何も無い。やりたい事もない。
まぁ死んでもいいかなって…できれば死ぬ前に寮のおばちゃんの牛丼食べたかったけど…」
「何が何も無いじゃ…ちゃんとやりたい事あるじゃろが!」
言いかける野口の言葉を遮り、金本は激怒する。
「なのに何も無いから死んでもええって逃げるお前は根性無しじゃ…」
つぶやく金本に野口は目を見開くが、やがていたたまれないように俯き、
金本もやがて力なくうなだれた。

(根性無し、か…それは俺じゃろ…)
死ぬのは嫌だ。殺すのも嫌だ、仲間を信じるのは怖い…
(俺は、嫌だ、嫌だ、怖いばかりじゃ…ヘタレもええとこじゃ。)
どの面さげて野口を根性なしだと言うか…金本は首を振る。

「…俺はもう行くわ。じゃあな…」
気分は情けなくなる一方であり、金本はうなだれたまま、力ない足取りで歩き出す。
「……」
俯いたまま野口は動こうとしない。そんな様子に金本は立ち止まると、舌打する。

105 :43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/12/07(水) 02:26:48 ID:uWH9VDy+0
(そんな無防備に突っ立っとったら、危ないじゃろが…)
だが野口がどうなろうが知った事ではない。仲間に脅え、逃げる自分に野口を構う余裕などない。
(そうじゃ…こいつは俺にとってどうでもええ選手じゃ。)
だから…金本は俯いたままの野口に視線を送る。
(コイツに裏切られたとしても…そんな辛くも悲しくもないじゃろ…)
親しくもない、仲間でもないこの変人相手ならば…裏切られたとしても、大丈夫だ。
傷つき、悲しむ事もなければ、それに怯える事もない。
(俺にとってどうでもええ奴…そういう奴となら一緒に居っても怖くない。)
金本はそう決断すると、野口にずかずかと歩み寄った。

「…ヘタレ同士出会ったんも何かの縁じゃろ。」
「ヘタレ同士って誰と誰の事ですか?」
野口は顔を上げると、ぽかんと声を出す。
「俺とお前以外に誰が居るんじゃ!…まあええ、とにかくそういうわけじゃ…」
「はぁ…何がそういうわけなのか俺にはさっぱり…」
相変わらずぽかんとしたままの野口に、金本はしびれを切らせて頭を掻きむしる。

「ヘタレ同士一緒に行こうと言うとるんじゃ!」
「えっ…」
軽く目を見開く野口に、金本は疲れ切ったように背を向ける。
「もたもたしとったら置いてくけぇはよ来いや。」
「……」
野口は暫しじっと考え込み、立ち止まるが、やがて顔を上げ、意を決するように後に続く。
「そうじゃな…まずどこに行けば…ん?」
言いかけた金本は、野口が手ぶらなのに気がつき、首を捻る。
「なあ、お前の支給品って何やったん?」
「えっと…これです。イングラムとかいう…マシンガンなんですかね?」
デイバックから重いイングラムを取り出す野口に、金本は目を見開いた。
「お前…凄い武器やないか?何でバッグにしまったままなんじゃ?」
「え?だってバッグって物を収納して、持ち運びする為の道具でしょう?」
「……」
これが新井や藤本だったら瞬時に殴り飛ばしていただろう。金本はカクンと顎を落とす。

106 :43 ◇YhefPZis9A氏代理投下:2005/12/07(水) 02:27:14 ID:uWH9VDy+0
「…とりあえず持っておけや。ダンベル代わりにもなるじゃろ。」
「俺はあんまりそういう筋トレは…」
「ええから持っておけ!」
すかさず怒鳴る金本に、野口は渋々とイングラムを肩にかける。
「これ、重いです。金本さんのヌンチャクと変えてくれませんか?」
相変わらずの野口に、金本は絶句を通り越して目が点になると
「……俺のヌンチャクも相当重いぞ。」
やっとの思いでそれだけつぶやく。

こいつは最強…いや最凶じゃ…

後悔したところで、もう遅い。
究極のマイペース野口相手に金本は再びため息をつくのであった。

【残り63名 年俸総額129億2080万円】

107 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/07(水) 02:36:04 ID:uWH9VDy+0
避難所に投下されたものを代理投下させてもらいました。

職人さん乙です。
のぐちん牛丼食べる以外にやりたい事ないのかよw
普段は見れないような異色コンビのこれからが楽しみです。

108 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/07(水) 03:00:36 ID:vphIzCu80
代理投下&職人さん乙。野口むちゃくちゃワロス。

しかしすげぇコンビだなw 各球団混合バトロワならではだね。

109 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/07(水) 15:03:01 ID:SKJAR9VW0
[悲愴な美学]


いつも通りの青空が広がっている。
春独特の暖かい日差しが愛する球場の隅々に降りかかる。誰も居ないスタンドにもベンチにも。
そして愛する球場は今にもグラウンドに、スタンドに、熱気を巻き起こしそうで。
この広い球場の外野から一人、座り込んで見つめていた。
マウンド上の白いプレートは自分の守備位置からでも見える。その存在は誇り高く、また凛としたものがある。
その向こうのバッターボックスは誰かがバット片手に来るのかと今か今かと待っているように見える。
ふと思いつき、目を閉じるとそのまま後ろに倒れこんだ。両腕を横に伸ばし、大の字になって空を見上げる。
吸い込んだ香りは心地がいいほど澄み切った草の匂い。指先に触れる感覚は心地よい刺激。
瞼を開ける、本当に落ちてきそうなほど青い画面が瞳いっぱいに映る。
本当に、そう本当に落ちてきそうなほど―――。



110 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/07(水) 15:03:44 ID:SKJAR9VW0

(夢にまで見る、っていうのはこれか?)
寝起きの曖昧な意識の中、周りを見渡す。ここはさっきまで見ていた風景とは全く違うものばかりだと改めて思った。
深い紺色のスタンドは赤や黄が混じった広葉樹の集まりに、右手に見えた自分のチームのベンチは寂れた小屋だ。
そしてあの春独特の日差しは消え失せ、代わりにこの季節特有の突き抜けるほど冷たい風が指先に絡む。
村松有人(Bs23)は自分の頭を二、三度叩くと両膝を立てた。

野球が好きで好きでしょうがなかった、だからこそずっとここまでやってこれた。
その事に後悔したことは一度もない。したところでどうにもならないことぐらい分かっている。
むしろ感謝していた。常に高い意識で野球が取り組める環境に居させてもらったのだから、多くの人が自分のプレーを見てくれるのだから、野球好きとして最高の場所に居れたのだから。
だからその感謝を踏みにじらないように注意してきたつもりだ。自分なりのけじめをきちんと残してきたつもりだ。

だからこそ、ショックだった。自分なりのけじめは意味が無いものと言われたのと同じだったからだ。
その事がずっと頭を巡り、あまりにも可哀想とでも思ったのか村松の脳は勝手に意識をどこかに飛ばしていた。
そしてまた勝手に、あの球場の夢を見せていた。自分が憧れていたあの球場を。

村松は空を見上げた。その表情は傍から見れば泣きそうに見えたに違いない。
実際、村松は泣きたかった。泣くことで今目の前にある風景が元通りになるのなら。

「……こんなことって、ありかよ…。」
野球が好きなだけだったのに。あの球場が好きだっただけなのに。何故、何故。
―――何故、殺しあわなくてはならないのか。
例えシーズン中は敵であろうとも、同じ野球を愛する仲間を何故殺さなければならない?
開けっ放しの鞄の中のそれを村松は見遣る。
それとは清々しい青空には全く似合わない黒い色をしていた。同封されている説明書が正しければ、『シグザウエル P229/SIG SAUER P229』という銃だった。これで他の選手を殺せというのか?


111 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/07(水) 15:04:37 ID:SKJAR9VW0

(野球の神様っていうのは、俺のことが嫌いなのか?)
あの時も、そうだ。
チームが優勝争いを繰り広げていたというのに、骨折。
あの球場で野球がしたかったのに、あの球場で野球をするために入ったチームが、合併。
そして、今だ。
同じ野球を愛する仲間を、殺せと。


嫌だ。
今まで愛した野球、いやこれからも愛する野球を踏みにじるような真似は出来ない。それが自分なりの美学なのだ。
自分なりの、『野球選手』村松有人なりの美学だ。
ならば?どうすればいい?どうすればこの美学が守れる…?

強い風にあおられるように村松は鞄をかつぎ、ふらりと立ち上がった。
そしておぼつかない足取りで歩き始めた。それこそ風に押されるといった表現が一番当てはまるような歩き方で。
どこへ行くのかは本人さえ分からなかった。ただ、一歩一歩足を進めるその表情はあまりにも悲痛なもので。
もう行く場所も帰る場所はどこにもない村松は、心の中で祈る他なかった。


野球の神よ。もしも居るのならば俺を、『野球選手』村松有人をもうこれ以上嫌いにならないでくれ。
嫌いになるのならいっそ、殺してくれ。と。



【Bs3村松(シグザウエル P229/SIG SAUER P229) B−6】
【残り63名 年俸総額129億2080万円】

112 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/07(水) 18:35:56 ID:w6XE3DLy0
村松、切ないなあ・・・
骨折したときを思い出したよ

113 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/07(水) 19:18:14 ID:Ycx3gx7OO
職人様乙です!

村松がんがって村松

ここでも村松はせつないのか…(´д⊂)

114 : ◆mRM.DatENo :2005/12/08(木) 10:55:10 ID:AVrQnB2j0
[サムライ]

小笠原道大は走っていた。
「……ッ、ふっ……っ」

高額年俸組は別のゲートから出す、という主催者の考えには感心させられた。
なるほど、これなら確かに自分や清原、佐々木といった狙われやすい人間にも幾分スタート時に選択肢と安全が与えられる。
そして、原の死骸を見た後でも冷静にそんな事を考えられている自分に苦笑した。
極限状態ゆえに、人としての限度を突っ切って新たな境地に達したのか。
ドームを出ると、物陰で素早く地図を確認する。

──どこに、行こうか。

今の所は誰とも組む気にもならなかった。だから決めるのは自分の勘でいい。
「北……か」
ホームの札幌ドームを思い出す。多少回り道になる上に危険かもしれないが、北に行こうと思った。

北に向かう途中で、一度茂みに潜んだ。
そう遠くない距離に、ユニホームを着た男を見かけたのだ。
森の中ということもあって背番号や顔までは見えなかったが……あのユニホームは、巨人のものだ。
咄嗟に、あの会場にいた思いつくだけの巨人の選手を思い出す。
清原、上原、桑田、高橋、小久保、江藤、清水、仁志、阿部……多すぎて全ては思い出せない。
話せそうな男もいるが、どう考えても信用できない人間もいる。おまけにこの状況だ、殺し合いに発展しない保証はない。
支給品の鞄を漁る。一本の鉄の棒……もとい、日本刀がそこにはあった。
兼定と書いたメモがある。もし襲い掛かってくるのなら、やむをえないがこれで応戦するしかない。
巨人軍らしいその男の姿は、徐々に西の方に進んでいく。……やがて、見えなくなった。

ほうっと安堵のため息を吐いて、気を張り直す。
ユニホームの上は、脱いで鞄にしまった。ビジター用ならまだしも、白のユニホームよりはアンダーシャツの方が目立たないだろう。

115 : ◆mRM.DatENo :2005/12/08(木) 10:57:56 ID:AVrQnB2j0
そしてしばらく走って、島の北端に出た。ざっと見回したが、周りに島はなさそうだ。
周囲には岩によって激しい起伏が出来ており、所々に茂みが出来ている。
「まあ……この辺でいいか」
小笠原は人目につきにくい所に腰を下ろし、兼定を脇に置いて少し考えることにした。

……一体、なぜこんなことになってしまったのだろう?
確かに自分は高年俸だ。だが少なくとも、それに見合うだけの活躍をしてきた自負はある。
何より野球が好きで、様々なポジション、様々な打順を経験し、成績を残してきた。
そんな自分達が……技術の研鑽ならまだしも、なぜ殺しあわなくてはいけないのか。
なぜあのオーナー達は……!

自分達の所も含めた、オーナー達。その顔を一人一人思い出して、貴様らには屈さないぞと強く誓う。
死ぬのは真っ平御免だが、例え生き残っても連中の思い通りになるというのはもっと御免だ。
だが、どうすればいいのだろう。日本ハムからは自分と金村しか来ていない。
金村は自分の生き方を貫くだろうから協力し合う関係にはならないとして、他に信頼に足る人間がいるだろうか?
少し考えて、やめた。今思った男と出会えるわけもないし、その男が本性を隠していないとも限らない。

では、もし自分のチームの仲間が参加していたら?
背番号1のあの男なら、案外あっさり順応して、あっさり生き残ってしまいそうだ。
だが、自分にはそこまでの器用さはない。人脈もだ。
では尊敬する背番号6のあの人なら、どうするのだろうか。
やはり争いに乗るのか? それとも……。

自分の取るべき道という、命のかかった答えは出ない。

116 : ◆mRM.DatENo :2005/12/08(木) 11:01:03 ID:AVrQnB2j0
支給品の刀を手にして、鞘から刀身を抜く。
いい刀だ。この手のものに詳しくはないが、いい品が人を惹きつけるのはバットと同じだろう。
試しに、いつものように振ってみることにした。
体重を乗せて、思い切り振り抜く。描くイメージは今年のオールスターでの一発のような、弾丸ライナー。
そして何より、豪快で鋭いスイング。
思ったより重くない。何の因果か、いつも使っているバットとほぼ同じ重量のようだ。
下手に訓練もされていない銃器を渡されるよりは、こっちの方がマシだろう。
侍といったあだ名もある自分にも、合っている気がした。

「さて、これからどうするかな」
島の中央に向かう気はない。端の方に皆が散ることによって案外安全かもしれないが、そんな保証はない。
特に、4億という数字を持つ自分は誰かに出会えば集中的に狙われるに決まっている。
しばらくは様子見ということで、北の方に潜んでいるのが正解だろう。
そして、このビリオネアとやらの情報を得るのがベターだ。
それまではもし戦いになりそうでも、専守防衛がいい。自分は余計な命の奪い合いは御免だ。

鞘に収めた刀を、少しサイズをゆるくしたベルトの隙間に挿す。
ユニホームに刀というのがなんだか滑稽で、また笑った。ドームを出た時よりは幾分落ち着いている。
ポケットに入っていたカードを一瞥して捨てると、いつでも動けるように軽い体操を始める。
小笠原道大のビリオネア・バトルロワイヤルが、ここに幕を開けた。



【Fs2 小笠原道大 (和泉守兼定) A−4】
【残り63名 年俸総額129億2080万円】

117 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/08(木) 18:31:39 ID:fI+dhTOh0
次から次へと新作キタコレ
職人さまお疲れ様です!
和巳さん意外と?w クマ落ち着いててカッコヨス シバ頑張れw べっちしっかりしろよ・・・
かねもっさんw 野口テラマイペースw
村松・・・・考えすぎだよ村松
ガッツいざとなったらやる気か?ある意味テラコワス・・・・


118 :26 ◆VYAQYjzFZE :2005/12/08(木) 19:17:43 ID:LxPkGWLc0
>>102
ご指摘ありがとうございます。
修正して出直してきますorz

>>114-116
新規さんキタコレ
これからよろしくお願いします。

119 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/10(土) 00:10:39 ID:D8Kq+W3k0
ほしゅ

120 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/10(土) 23:45:32 ID:I6Fb5arJ0
城島捕手

121 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/10(土) 23:56:45 ID:UQcIzv2n0
>>114-116
小笠原に日本刀ってのがうまい

つかC前田と侍コンビって展開がもしあったら激しく笑えそう

122 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/11(日) 00:09:19 ID:BAwSlcWN0
下がりすぎのためあげ

123 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/11(日) 17:42:15 ID:+JdIcSLOO
hoshu

124 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/11(日) 20:54:44 ID:U3StYdaO0
避難所で時間設定の話が出てるが、26氏の話はつまり、
12話で朝の話だと分かっているのに他では触れられていないから
夕方の話として書いてあとで12話を訂正させてしまえ、ということなの?
それってリレー小説としてどうなんだ?

125 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/11(日) 21:52:36 ID:xbAmmQSD0
>>124
別に26氏は12話を修正しろと言ってるわけじゃないと思うけど…

まあ12話で開催時間は朝だと分かる描写があったんだし、
時間は朝でいいと思うんだけどね。

126 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/11(日) 23:02:36 ID:+JdIcSLOO
朝という描写に気付いていながら夕方の話を投下したというのがよく分からないけど、
とりあえず一度投下された設定は問題なければ極力変更しない方がいいと思う

127 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/12(月) 01:15:35 ID:BlAgII400
避難所の方で26氏のフォローが出てるね
前の方の話と矛盾する設定で書いたのはあれだけど(というか迷ったなら朝の設定で書けば問題なかったような)
修正して再投下するという選択肢はなかったのかなぁ。死刑執行ボタン面白そうと思ったんだが

128 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/12(月) 01:45:13 ID:S2Hr9SKe0
>>127
自分もそう思う。
リレーは書き手さん達が打ちあわせて書いてるわけじゃないし、
食い違いは出てしまうもんだから、修正して再投下でいいと思うんだけどな。
ましてや今後の投下を控えるなんて…
正直、今回くらいの矛盾はリレー小説に付き物の範囲だし、
今後も投下し続けてほしいんだけどね…

129 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/12(月) 22:42:40 ID:2E61ZJab0
まじめな話、選手に殺し合いをさせる[ネタ]とやらが不快でしょうがない。
なんで平気なんだ?ファンじゃないの?

130 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/12(月) 23:03:56 ID:tdOVZqIV0
てっきりこのプログラムは昼の12時開始かと思ってたorz
だとすれば全員出るの3時過ぎになるからちょっと進んでるだけなのかなとか思ってた俺テラアホス
そうか朝なのか・・・・

131 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/13(火) 12:32:07 ID:6+EKy7PN0
小笠原と前田が日本刀で超高度な鍔迫り合いしてるの想像した。
あいつらやっぱり日本刀が似合うな。
両方好きな選手、日本刀は一番好きな得物なんで期待。

132 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/13(火) 22:32:12 ID:1/vY05EaO
小笠原(和泉守兼定)VS前田(木刀)

133 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/13(火) 23:04:16 ID:N/5/1Mwf0
新作期待保守

134 : 43 ◇YhefPZis9A 氏代理投下:2005/12/13(火) 23:56:25 ID:N/5/1Mwf0
「せめてもの弔い」

(優勝したことが…こんな形でアダになるなんてな。)
岩瀬仁紀(D13)は本来あまり表情豊かと言えない面に、今ははっきりと焦りの色を浮かべている。
驚く間もなく福留、立浪、井端が退場してしまい、川上の名が呼ばれた時に、思わず立ち上がる。

「憲伸…」
岩瀬の声に川上は振り返るが、その表情を読み取ろうとする前に、スタッフの一人に阻まれた。
「選手退場を妨げるような事はご遠慮願いますか?」
無言のまま岩瀬はスタッフをかわすように覗き込んだが、既に川上の姿は無かった。

(次は俺か…)
時間が無い。僅かな時間で出来ること…岩瀬は隣に座る山本昌(D34)に振り返った。
「昌さん。俺と一緒に行きましょう。俺はゆっくり進みますから…」
すぐに追いついてくれるだろう。とにかく時間はなく、今の岩瀬にできることといえば、
偶然近くに座っていた大先輩に声をかけることくらいであった。
「岩瀬…」
山本は顔をあげると、力強くゆっくりと頷き、岩瀬は安心するように笑う。
「それじゃあ…待ってますよ。」
同時に自分を呼ぶアナウンスが流れ、岩瀬は一塁側ダグアウトに視線を送った。

「岩瀬!」
出口から出てほどなくした頃、山本の声が聞こえた岩瀬は振り返る。
「昌さん!…あれ?落合さんと谷繁さんは…」
山本と自分の間には、落合と谷繁が居るはずであったが…山本一人であり、岩瀬は首を傾げる。
「え?お前、見かけなかったのか?てっきり二人とも居るかと思ってたけど…」
茂みが連なる平地は、道のようなものになっており、てっきり二人ともそこを通って
岩瀬と合流してると思っていた山本も首を傾げる。

135 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/13(火) 23:57:31 ID:N/5/1Mwf0
「…危険を恐れて…あえて視界の狭い茂みを通って行った可能性もありますね。」
「そうか…」
待ち受けているのはチームメイトのみというこの状況でも、危険を感じるものだろうか…
山本は悲しげに俯いた。
「俺達仲間を警戒する、とかではなくて…この状況です。本能的に身を潜めたいと
考えてしまっても…不思議じゃないでしょう。」
落ち込む山本をなだめるように岩瀬は言う。
「そうだよな…じゃあせめて野口だけでも迎えに行こう。」
「そうですね。あいつが危険を恐れて茂みに逃げ込むとは思えませんしね。」
あの変人の事だから、と岩瀬と山本は苦笑しあい、今来た道を引き返す。

「あ、野口!」
引き返すなり、出口方面から歩いてきた野口に、山本は顔を輝かせるが、二人に気がついている
様子の無い野口は、のんびりと歩いたまま、突然、茂みの中に進んでしまった。
「ちょっ…野口!なんで突然そっちに行くんだよ!」
「…危険を恐れて、という様子はまったく無かったですけどね…」
多分、なんとなく茂みに進んでしまったのだろう。そうとしか説明できない。
「ったく…追うぞ!」
手間がかかるやつだと山本と岩瀬が野口を追おうと茂みに入ろうとした時であった。

パアン、パアンッ

立て続けに響いた銃声音に、二人は目を見開き、顔を見合わせる。
「今のはっ…」
続いて聞こえた悲鳴…それはおそらく谷繁のものであり、二人は血相をかえ、駆け出すが、
見えた光景に岩瀬は思わず山本の腕を掴み、茂みに翻すように身を隠す。
「谷繁さん…」
獣のような形相で、遠目で見ても血で汚れていると分かる包丁を片手に
横の森の奥へと消えていく谷繁の姿に、岩瀬は絶句する。
「あれは…まさか…」
茂みの合間からだとあまり良く見えない地面に転がっている人影…
ぴくりとも動かない人影に、山本は息を飲む。

136 :43 ◇YhefPZis9A 氏代理投下:2005/12/13(火) 23:59:07 ID:N/5/1Mwf0
(あれは岩村、か…)
よく見えない、おそらく遺体と化しているであろう地面の人影の横に膝をつく岩村は、
何を言っているかまでは聞こえないが、表情は何も読み取れないほどに無表情なのが分かる。
(手にあるのは…銃か?だったらさっきの銃声は…)
岩村が放ったものだろう。おそらく、地面に転がる選手をあの血に濡れた包丁で殺めた
谷繁相手に放ったものだろう…岩瀬はやるせないように目を閉じる。
「行ったぞ…」
山本の声に岩瀬は目を開いた。そこには既に岩村の姿はなく、人の気配がないのを
確認した二人は、真っ先に地面に転がる遺体に駆け寄った。

「…!五十嵐…」
ぽっかりと目を見開いた、幼さの残るその表情がなおも無残さをかきたてる五十嵐の遺体。
山本は暫し絶句すると、震えながら膝をついた。
「まだ…若い、これからの選手なのに…なんで…」
「昌さん…今のは…」
言いかける岩瀬に、山本は首を振る。

「…俺も見た。あの谷繁の包丁を、な。五十嵐にこんな酷い事をしたのは…」
無残な刺し傷達、真っ赤に染まったユニフォーム…山本は歯を食いしばった。
「認めたくない…認めたくないけど…俺達のチームメイトには…」
こんな酷い事ができる者が居るのは確かだ。目の前の生まれて初めて目にする
惨殺死体よりも、その方が山本にとって遥かにショックであった。

「岩村は…仲間の復讐のために…」
「…そういう様子には見えなかったですけどね。」
そういうつもりなら、このように死体を野ざらしのまま去ったりしないはずだ。
「昌さん?何やって…」
突然身をかがめ、五十嵐の遺体に手をかける山本に、岩瀬は驚きの声をあげる。

137 :43 ◇YhefPZis9A 氏代理投下:2005/12/13(火) 23:59:36 ID:N/5/1Mwf0
「このまま野ざらしにしとくのは…あんまりだろう。せめて人目の付かない茂みに…」
「ユニフォームが血で汚れます。この先、あらぬ疑いをかけられたら…」
「…自分とこのチームメイトがやっちまった事なんだぞ。」
一見落ち着いた表情ではあるが、その瞳を悲痛で曇らせる山本は強く言い切る。
「だったら…俺がせめてもの弔いをするのが筋というもんだろう?」
「昌さん…俺も手伝います…」
「いいよ、お前は。俺一人で十分だ。」
岩瀬を強引に押しのけながら、山本は五十嵐を引きずりながら茂みに移動する。
「…こんなに若いのにな。」
幼さの残る、絶望露の死に顔に山本はやるせない声を漏らし、瞳を閉じさせる。
「死ぬのは…俺みたいなオッサンでよかったのに。」
ため息交じりにつぶやく山本に、岩瀬は怒りとも悲痛ともとれる表情を浮かべた。
「ちっとも良くないですよ。あなたに死なれてたまるもんか…」
人目の付かぬ茂みに移動させた五十嵐の遺体の上に、枝を折り、その葉で
なるべく無残な姿を隠すように手を動かしながら岩瀬は言う。

「俺はさ、辛い事もあったけど、この年まで野球やってこれたし、本当に幸せだったよ。
こんな幸運あっていいのかなって思うほどにね…」

自分は世界有数の果報者だろう。だから…

山本は頷くと、そこで言葉を止め、そっと五十嵐の遺体を前に瞳を閉じた。

【残り64名 年俸総額130億2680万円】

138 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/13(火) 23:59:49 ID:N/5/1Mwf0
職人さん乙です。
『自覚なき執行人』の方は職人さん本人がなかったことに、とのことなので
とりあえず投下を控えさせてもらいました。

139 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/14(水) 18:13:36 ID:YRKV28IfO
職人さん代理さん乙です!
昌いいやつだ…

140 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/15(木) 00:36:54 ID:X5IL4wfh0
『使命』

 まずは古巣の仲間達に会いたかった。
 ゲートを出てすぐ小久保裕紀(G6)が考えたのは、東へ行くことだった。
 明らかに人数の少ない東側に行くのは、西に留まるよりは得策に思えた。
 だがそれ以上に、小久保には東に向かいたい理由があった。
 城島、松中、柴原、斉藤。
 ダイエー時代の仲間は皆そこにいるはずだ。
 彼らに会いたかった。なんとなく、小久保は彼らは一緒に行動しているのでは
ないかと思っていた。
 むしろそれは、そうであって欲しい、という願望だったのだろう。
(そうだ、ただの願望だ)
 現実を軽視した、甘すぎる願望。
 それを自覚するのに、ゲートを出てからさほど時間はかからなかった。
 己の甘さを悔いる。
 小久保は現実に打ちのめされながら、一人森を駆け抜けていた。
(まさか、ジョーが工藤さんを殺すなんて――!)
 衝撃、という他にない。
 東へ向かう途中、通りかかったゲートの前で見た、信じ難い光景。
 ボウガンを片手に、冷めた目で工藤の亡骸を見下ろす城島。
 その姿を見たとき、小久保はその場から一歩も動けなかった。
 ただ、そのあり得ない現実を突きつけられた衝撃に、頭の中が真っ白になった。
 己の中で思い描いていた彼らと出会う姿、彼らと共に行動する自分の姿が、音を
立てて崩れ去っていった瞬間だった。
『誰だ!?』
 あの声からとっさに逃げ出してから、ずっと走り続けていた足が、ついに限界を
訴えてくる。
「……っはぁっ、はぁっ!」
 立ち止まり、小久保は乱れた息を整えながら、すぐ近くにあった木の幹に右手を
かけた。
 すると、脚に動けと指令を出す必要がなくなった脳が、頼んでもいないのに先程
の光景を鮮明に再生しだす。

141 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/15(木) 00:37:30 ID:X5IL4wfh0
 最初に小久保が見たのは、赤い血しぶきを舞い散らしながら、踊るようにして
頽れた工藤の姿だ。
 『ドスッ』なのか『トスッ』なのか、とにかく何かが何かに刺さったと分かる音。
 何が何に刺さったのか理解したときには、もう手遅れだった。
 明らかに事切れた工藤の死を、あえて確認するようにのそりと茂みから這い出した男。
 城島健司。
 立ち眩みのするような光景だった。
 雛が親鳥を食い殺すような。
 例えばそんなシニカルで悪趣味な風刺画でも見ているような不快感。
 その程度では表現できないような嫌悪感。
「なんで……殺せるんだ……っ!」
 喉の奥に詰まる声を絞り出す。
 何故、彼が彼を殺すのだ? 
 否、殺すことが出来るのだ?
 今まで作り上げてきた信頼や、情や、目には見えなくとも確かにそこにある繋がり
は、一体どこへ消えるのか?
(あんまりじゃないか……!)
 殺人指令からほんの数時間で師を殺した男。彼が一体どういう思考で、その結論
に行き着いたのか、小久保には何一つ理解できなかった。理解できないからこそ、
哀しかった。
 目の前の代わり映えしない光景が急に滲んだことに気付き、小久保は乱暴にユニフォーム
の袖で顔をこすった。
(あいつは、もう人間じゃない……!)
 悲しむべきことだが、事実だ。
「工藤さん……」
 小久保は城島を育てた工藤を尊敬していた。
 そしてそれ以上に、城島は工藤を敬愛していると信じていた。
 まるで自分が裏切られたような怒りが湧き上がってくる。

142 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/15(木) 00:37:58 ID:X5IL4wfh0
「クソッ」
 ガンッ
 手を突いていた幹に右腕を打ち付け、小久保は小さく吐き捨てた。
 血にまみれたユニフォームで横たわる工藤の姿が、何度も脳裏に蘇る。
 同時に、口の中に溜まる唾に血の味が混じっているような気がして、小久保は足元
に唾を吐いた。
 これはこのくそやくたいもないゲームと、その首謀者への吐唾だ。
(くそ……っ)
 打ち付けた腕に力を込め、小久保は下を向いた。親の敵のように地面を睨み付けた
からといって、事態を打開する何かが浮かび上がってくるわけでもない。
(誰がアイツを止められる?) 
 恩師すら殺した男が、他の参加者たちを殺すことに躊躇を覚えるだろうか。
 自分は、とんでもない殺人者の誕生を目の当たりにしてしまったのではないか。
(本当なら……)
 本当なら、あそこで殺しておくべきだったのではないか。
(まともな武器があったら……)
 手の中のメスを握り締める。
 いや、おそらく、支給品が強力な武器であっても結果は同じだっただろう。
 尻尾を巻いて逃げ出した自分。
 混乱の中で、その時先だったのは怒りよりも恐怖だ。
 完全に圧倒された自分が悔しい。
 今になって湧き上がる憤怒を小久保は持て余していた。
 熱くなった手が、メスの持つ金属の冷たさすら奪っていく。
 それは城島に向けた怒りなのか、何も出来なかった自分に向けた苛立ちなのか――
 銀のメスを握りしめたまま、小久保は瞑目した。
 暗くなった視界の中でイメージされるのは、二種類の糸だ。
 怒りと苛立ち。粘土製の細い糸のような二種類の熱が絡み合い、ゆっくりと沈積
していく。
 次第に冷えていく頭の中で、それは確かな意志という形になって固まっていく。
 瞼を押し上げる。舞い戻ってきた深緑の世界の代わりに掻き消えた固形は、明確な
意志となって小久保の脳内に収まった。

143 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/15(木) 00:38:23 ID:X5IL4wfh0
(ジョー……今度会ったら、俺はお前を殺す)
 それは、自分に課せられた使命な気がした。
 工藤の仇は討つ。
 そして、大切な弟分だからこそ、誤った道に進む彼を止めなければいけない。
 力ずくでも。
(和巳たちに、伝えないと――)
 城島が工藤を殺したという事実。彼がゲームに乗る道を選んだ殺人者だということ。
 残酷だが、現実は知らせなければいけない。
 万一、このことを知らない彼らが城島に会えば、取り返しのつかない事態が待って
いる可能性は高い。
 一刻も早く、あの男よりも先に、彼らに会わなければ。

 二つの使命が出来た。
 小久保は使命感の強い男だった。
 明確な使命があれば、その為に命を賭けることが出来る気がした。
 背負ったものの大きさは、そのまま己の強さに変わるはずだ。今までの経験から、
小久保はそう信じていた。
 使命という名の決意を背負い、小久保裕紀は東へ走った。


 【残り63名 年俸総額129億2080万円】

144 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/15(木) 01:08:20 ID:q0EJ/qQe0
職人様お疲れ様です!
小久保さんキタコレ!そうか、あれは小久保さんだったのか・・・・

・・・・ってもしかして松中+立浪と真反対の方に移動してるのか?ナンテコッタ!

145 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/15(木) 14:24:57 ID:D7/3w7ezO
小久保…悲壮な決意だな…
ダイエー組のすれ違いがテラセツナス

146 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/16(金) 08:07:29 ID:y983TsjDO
ほしゅ

147 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/17(土) 00:49:25 ID:syeNxP/aO
hosyu

148 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/18(日) 00:10:21 ID:haCsVhWiO
☆ゅ

149 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/19(月) 02:51:54 ID:VLXMhuPIO
捕手tanisige

150 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/19(月) 04:35:22 ID:Duge2Ikw0
『ひょうたん島』

 全員が退場してから20分後に禁止エリアになるドーム周辺を、気を失った佐々岡
を交代で担ぎ、一行は西の海岸沿いへと抜けた。
 四方を海で囲まれたこの島は、一見したところ瓢箪のような形をしていた。
 数年前、子供と教育テレビで見ていた、あるいはもっと昔に見た記憶のある、
「ひょうたん島」を野村は思い出していた。
 ひょっこりひょうたん島。
 広く平坦な海原に、ひょこっと顔を覗かせた小さな島。
 そこで繰り広げられるのは、愉快な仲間たちのほほえましい冒険譚ではなく、昨日
までチームメイトとして、あるいはライバルとして、白球を追いかけてきた男たちに
よるおぞましい殺人劇だ。
 そう思うと、頭の中でエンドレスで流れるひょうたん島のテーマソングの一部分が、
えらく寒々しい歌に感じた。
「……さん! 野村さん! そこに立っていないで、降りてきた方がいいですよ」
 大きな洗面器に入れた砂をゆっくりと傾けたような波の音と共に、緒方の声が舞い
戻ってくる。
「危ないですよ」
 岩場の影から顔を覗かせた緒方が、こちらを見上げて手招きをしてくる。
西の海岸沿いは岩場になっていた。
 地図で確認したところ、北には灯台が、南には船着け場があった。西の海岸に出た
のは、一番近かったからという理由以外にはない。
 今いる場所はちょうど西側のくぼみ、地図記号で言えばC−2になるはずだ。
 波打ち際から砂浜まで、大小の岩が積み重なっている。裸足で歩くと怪我をしそう
な石や砂利の多い砂浜の先は、先ほど野村たちが抜けてきた森である。
 生い茂る木々の向こうには、まだ五十嵐を殺した殺人鬼が次の獲物を探して練り歩
いているかもしれない。
 出来るだけ遠くへ逃げたいが、佐々岡という大荷物を抱えながら動ける距離など限
られている。
 とりあえず、一向は大きな岩の陰に、佐々岡を避難させ、しばらく身を潜めることにした。
 緒方の声に頷き、野村はもう一度視線を地平線の向こうにやった。

151 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/19(月) 04:35:53 ID:Duge2Ikw0
 野村が立っているのは、その岩の上。緒方たちからは人一人分程差のある高台からは、
海原が望めた。
 ここは何という名前の海なのだろう。それが分かれば、少しは安心出来るかもしれ
なかった。
 緒方たちがいるところは、大きな岩の側面が抉れ、ちょっとした半アーチを描いている。
 一種の返しになっているので登りにくいが、高さは二メートルもないので、こちら
からは岩陰から顔を覗かせれば近づいてくる人間は一目瞭然だ。だが、向こうからこちら
を見つけ狙撃するとなると難しいだろう。
 足場は悪いが、気をつけて隠れれば、そこは天然のシェルターと化す。
 もっとも、それを提案したのは、野村ではなく緒方だ。
 こんな状況でも己を見失わない、それどころか、誰よりもチームメイトたち心の
揺らぎに配慮している。頼りになる男だ。
(本当は、俺がどうにかしないといけないのにな)
 最年長として、そして本来ならば来季から彼らの指揮者となるはずだった人間と
して、自嘲気味に苦笑する。
(――そういえば、禁止エリアの追加なんてのがあるんだったな)
 これに関しては、絶対に聞き逃さないようにしなければいけない。
 一日に4回の放送が、何時かは知らされていないが、だいたい昼頃には一度次の
放送が流れるのではないかと野村は予想していた。
 腕時計を確認すると、すでに10時を回っていた。
 ゲームが開始したのは6時頃だったか。
 もっとも、この時計が合っているのかどうかは定かではないが。
 日付が付いているタイプではないので、もしかしたらくるりと一周して本当は夜の
10時を指しているのかもしれない。
 それか、時差を悟られないよう、この島に着いた時点で現地時間に合わされている
かもしれない。寝ている間にユニフォームを着せられていた位だから、十分あり得る
話だ。没収されていないだけラッキーだと思うべきだろう。
 何にしろ、ここが国内か、国外かも分からない状況では、考えても詮無いことだ。
 今が朝であるという事実と、時間を計れる、というだけで十分だ。数時間のずれが
あったところで構うものか。
 秒単位まで合わされた時刻は、ここでは何の意味も持たない。分刻みで動く電車も、
見たい番組がテレビ欄の予告時間通り始まるテレビもここにはないのだから。

152 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/19(月) 04:36:29 ID:Duge2Ikw0
「緒方さん! 佐々岡さんが……」
 下方から聞こえた黒田の声に、野村を見上げていた緒方が頭を引っ込めた。野村
も、足元に気をつけながら岩の上から滑り降りる。
「佐々岡さん、大丈夫ですか?」
「う……」
 小さく呻き、目を開いた佐々岡を、緒方が手を貸して上半身を起こしてやる。
「う――ヒィッ!?」
 複数の人間に囲まれていることに気づいた佐々岡が、小さく悲鳴を上げ後ずさった。
だが、すぐに岩が壁になって背中を打つ。
 怯えた目をせわしなく左右に動かし、荒い息をしながら背後の岩にしがみつく佐々岡
に、さすがに誰も声をかけられず、しばらく不自然な沈黙が落ちる。 
 大勢で囲んでしまったのは失敗だったかもしれない。前田なんかは厳しい顔で木刀を
担いでいる。恐怖心に飲まれている人間を縮み上がらせるには十分だ。
 不器用だが心優しい佐々岡の性格が、こんな形で弱さとして出てきてしまったことに、
野村は心が痛んだ。
 『弱気は最大の敵』という言葉が蘇る。そう、弱気や恐怖は、ここではマウンド
以上に人の心を支配する。最初に戦うのは誰とも分からぬ殺人犯ではなく、まず自分
自身なのだ。
 極度に怯えている佐々岡を見て、野村はため息をついた。本来の彼を取り戻すには、
まだ時間がかかりそうだ。
「佐々岡さん、俺たちはあなたに危害を加えたりしませんから。一緒に助かりましょう」
 緒方が優しく声をかける。
 とりあえず暴れる様子はなかったので、先ほどよりは状況は改善したといえる。
そうでも前向きに思っていないとやっていられない。
「……寒いな」
 ポツリと、前田が呟いた。
 その途端、ヒュゥ――と音と立て海からの風が吹き込んだ。朝の冷たい風に、思わず
身を硬くする。
 臨時の避難場所としては最適とはいえ、いつまでもここにいるわけにもいかない。
佐々岡も自分の足で動けるようになったのだから、少し遠くても、風をしのげ長い間
留まれる拠点を探したほうがいい。

153 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/19(月) 04:37:09 ID:Duge2Ikw0
「どこか、5人で落ち着ける場所を探そう」
 そう切り出した野村に、佐々岡を除く全員の視線が集まった。
「ここは俺が見ておきます」
 真っ先に、緒方が挙手をする。
「そうか、じゃあここは緒方に任せて、前田、黒田と一緒に行ってやってくれ」
「野村さんは一人で大丈夫ですか?」
「大丈夫。やばくなったら逃げる」
「……。これ、持っていってください」
 自分の銃を差し出した緒方に、野村は一度その申し出を固辞した。
「でも、これはお前が――」
「ここからだと顔出せば近づいてくる相手はすぐ見えるし、向こうが茂みから狙撃
するのは難しいでしょう。それに、さっき確認したら佐々岡のかばんにも銃が入って
たんで、最悪なんとかなりますよ」
 そう言って、佐々岡が腹に大事に抱えているかばんに目を落とす。当の佐々岡は、
目の前のやりとりなど聞こえていないように、視線を落とし体を丸めていた。
「分かった。大丈夫だとは思うが、くれぐれも注意してくれ。一応、これを渡しておく」
 緒方から銃を借りる代わりに、野村は持っていたジャックナイフを手渡した。心もと
ない武器だが、ないよりはある方がいい。
 佐々岡の世話は緒方に任せ、三人は二手に分かれて周辺の避難場所を探すことにした。
 時間を決め、一時間ほどで何があっても元の場所へ帰る約束を取り付けた。
「やっぱり少し遠いけど、民家まで行った方がいいんかな……」
 地図を広げ、野村は一人呟いた。
 取り立てて収穫もなく野村が西の海岸へ戻ると、ちょうど別方向から二人が帰ってくる
ところだった。
 目が合うと、黒田の方が大きく手を振ってくる。足取りの軽い様子を見ると、何か
見つけたのかもしれない。
「あっちの浜辺に、舟小屋がありました!」
 黒田の知らせは、緒方にも届いたらしい岩場の裏から、歓声のような声が聞こえてきた。
「よし、さっそく動こう。緒方、大丈夫そうか?」
 これは佐々岡のことだ。二人が隠れている岩の上まで駆け寄ると、緒方がひょこっと
顔を覗かせてきた。

154 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/19(月) 04:37:39 ID:Duge2Ikw0
「はい、大分落ち着いてきたみたいなんで、行けると思います」
 答えた緒方の顔は、幾分明るかった。そのことに安心し、登りやすいように野村
は右手を差し出してやった。
「ちょっと待ってて下さい。俺が上がったら、すぐに引き上げますから」
 野村の角度からは姿は見えないが、大岩の影にいるらしい佐々岡に向けて一言断る
と、緒方は小さく「ありがとうございます」と言って野村の手を掴んだ。
 野村の後方から、黒田と前田の交わす会話と、足音が近づいてくる。野村はようやく
5人が揃った気分になった。
 これから何があっても、この5人で切り抜けていこうと、そう思える仲間が。
「よっと……重いな。お前太ったか?」
「酷いっスね、オフで、確かにちょっと増えましたけど……」
 笑って答える緒方が、スパイクの歯を岩に引っ掛け、野村の手に体重をかけて一気
によじ登ろうとする。
 ――パン!
 破裂音が聞こえた。聞いたこともない。だが何の音かは想像できる、音。
 突然、緒方の握力が緩み、ずるり……とその手が野村の右手を離れる。
 その時、野村が見たのは実に奇妙な光景だった。
 驚いたように目を見開いた緒方の精悍な顔。その顔が、不自然に野村から向かって
右側に傾いでいた。それはまるで、誰かに逆方向から思いっきり叩かれたかのようで――
「お……」
 カラン……――と緒方の靴裏に削られた岩の欠片が、乾いた音を立てて地面に落ちる。
 ゆっくりと。
 同時に、ゆっくりと緒方の身体も落ちていった。
 ドサッ――
 岩片とは対照的な重い音を立て、緒方の身体が岩場に打ち付けられる。
 軽くバウンドをした肩が揺れ、それきり、ピクリとも動かなくなる。
「緒方ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 緒方孝市(C9) 死亡 【残り62名 年俸総額127億7580万円】

155 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/19(月) 12:39:17 ID:ApH3exTEO
乙です
おおお緒方ぁーー!!
お前が死ぬのかよぉー!!!

156 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/19(月) 12:42:26 ID:i0aBthDP0
緒方が最初の離脱とは意外だ。誰が撃ったのか気になる。

157 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/19(月) 22:41:01 ID:xqFG4pqc0
おが、おが、おがちゃああああああああんn

158 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/19(月) 22:42:14 ID:DzAQ8q0F0
えええええー!緒方がっ!?
すげえ意外な展開…

159 : ◆mRM.DatENo :2005/12/20(火) 00:36:51 ID:3NKo0mM20
[背番号18]

江藤智は森の中を歩いていた。
「なんだって……どうしてこんなことに……」
順調とは言い切れないプロ生活ではあったが、決して後悔はしていなかった。
広島を捨てて長嶋監督の誘いに乗ったのも、今もベストの選択だったと思っている。
さすがに近年はホームラン王をとった頃の力はなかなか出すことが出来ないが、それでもこのまま終わるつもりではなかった。
だと、言うのに。これは悪い夢なのか。夢なら覚めて欲しい。頼むから、一秒でも早く。

風で茂みが揺れる音に、ビクッと身体を震わす。
まるで駆り立てられた兎のようだ。その上、支給された得物もどうも頼りない。
説明書にはスタン・グレネードとある。鞄に入っていたのは8つ。凄い音と光を出すらしいが、殺傷能力のないものを渡してどうしろというのか。これではあまり使えない。

「残りが十億になるまで、何とか隠れていよう……。そうしよう」
人を殺すなんてとんでもない。チームは違えど、同じ野球を愛した仲間だというのに。
「仲間……?」
言って、自らの言葉に疑問を覚える。
少し工夫すれば会えたであろう同じ巨人軍の仲間を避けるようにした逃げたのは誰か。他でもない自分だ。
だがそれだって仕方ない。何せ、巨人だけで合計年俸が30億には達してしまう。仲間割れが起こりうる。
参加者を見る限りチーム内で10億に達しないチームもあったが、もし自分がそのチームにいたとしても、チームメイトと組んだかどうか。

そんな事を考えていたせいか、江藤は自分を呼ぶ声に反応するのが一瞬遅れた。
そして呼ばれた方向にいたのは……。

160 : ◆mRM.DatENo :2005/12/20(火) 00:38:44 ID:3NKo0mM20
「桑田さ……?」
「しっ、静かに。早くこっちへ」
江藤に声をかけたのは、同じ巨人軍の18番である桑田真澄だった。
いつから潜んでいたのかはわからないが、顔色の悪い江藤に比べて随分と落ち着いているように見える。
「大丈夫? ケガしたりしてないか?」
そう尋ねる桑田の顔は、とても自分を殺そうというものではないような気がする。江藤は幾分安心した。
「桑田さんは、誰かに襲われたりしたんですか?」
自分は誰とも会わずにここまで来れたが、桑田はどうなのだろう。興味本位で聞いてみる。
「……遭ったよ、他の人と」
「……誰、ですか?」
妙に落ち着いた、達観したような声。表情はいつものポーカーフェイスだが、少し声のトーンが変わったような。
江藤の脳裏に、見知った、死んで欲しくない選手を思い浮かぶ。まさか、まさか。

「遭ったと言うよりは、結果としてそこに『あった』って感じなんだけどね」
桑田の口元が微かに歪む。それを見て、江藤は背中に冷水をぶっかけられたような面持ちになった。
これはこの人の癖だ、癖なんだ。球場でも良く見ているじゃないか。マウンドでも、練習でも見ている。……だと言うのに。
「人の死体ってああいう肉の塊なんだなって、よく理解できたよ」
「く、く、桑田さん……まさか」
こみあがる疑念を抑えられずに、江藤は言ってしまう。その言葉を。
「誰かを、殺したんですか……!?」
どこかで、カチリと音がしたのにも気づかずに。


161 : ◆mRM.DatENo :2005/12/20(火) 00:40:48 ID:3NKo0mM20
「いや、殺ったのは僕じゃない」
言いながら、悠然と桑田は鞄から……黒光りする、何かを。
「っ……待っっ」
江藤はついに立ち上がり、後ずさる。もはや彼自身も気づいていない何かから、必死に逃げるように。
「でも、ソレを見て、そして今の言葉を聞いて理解できたよ。僕も──殺さなきゃ」
後ろを向いて駆け出す江藤。桑田は取り出した短機関銃『FN P90』を構える。
「そう、殺さなきゃ……そうしなきゃマウンドへは還れない。僕とたまたま会ったのが、不運」
サブレッサーがついていたのか、銃声はほとんど聞こえない。
ただ静謐の中を銃弾が舞い、無慈悲に狙われた人間を貫くだけ。
奇妙なダンスのように身体を舞わせた後、貫かれた背番号33は何も言うこともなく斃れた。

「やれやれ、自主トレの成果がこんな所で出るなんてね」
桑田が数年前から、自主トレの一環として様々な銃で射撃を行っていたのはそれなりに知られている。
はからずも、マウンドの上ではなく殺し合いの中でそのトレーニングが生かされてしまったのだった。
「戻る為なら、もう躊躇はしない。……僕は生きて還る、ドームのマウンドに。その為なら、誰でも」
江藤の鞄から道具や食糧を漁ると、死体の方に微かに祈るような素振りを見せて桑田はゆっくりと歩き出す。
「キヨはどうしてるかな。あいつのことだからしぶとく生き残りそうだけど」
二人分の年俸を計算しようとして……やめる。どうせ共存することはないだろう。それでも、どこかで会えそうだが。
スタン・グレネード──またの名を閃光音響手榴弾──を手に取る。
重さは400gくらいか。塁間くらいの距離ならある程度コントロールできそうだ。
江藤が使えないと評したものを、桑田は大事にしまって歩き出す。
『一人分』を背負ったせいか。日の光を浴びているはずの背番号18は一部だけひどく暗く……それでいてまだまだ多くのものを背負えるだけの余裕があるように見えた。

【桑田真澄 FN P90、スタン・グレネード8個 E−4】

江藤智(G33)死亡 【残り61名 年俸総額126億2080万円】

162 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/20(火) 08:09:34 ID:pxmNgJJTO
く、桑田ぁぁぁー!

163 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/20(火) 18:08:42 ID:TMZf1DZ/0
新作乙です!桑田・・・・
やっぱりというか何と言うかジャイアンツ、結構マーダーいるなw

164 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/20(火) 19:30:54 ID:GhNWgzQR0
巨人も多いけど、全体的にマーダー多いよな。テラオソロシスw

165 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/20(火) 19:55:13 ID:0dUZUEH6O
人数多いしキャラ濃いしなw
マーダー同士の対決とかも楽しめそうだ

166 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/20(火) 21:46:06 ID:BB40J3qg0
ま た 桑 田 か ! 

167 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 01:18:13 ID:nY+r53RX0
「日記」(1/2)

友へ

突然だけど、これが最後のメッセージになるよ。
誰にもきちんとお別れができないから、申し訳なく思うし、とても寂しい。
でも終わる時というのは、案外こんなものかもしれないね。
今まで本当にありがとう。感謝しています。
そして、ごめんなさい。

あの偽ドームをスタートして数時間。
時間がたつにつれて、僕が僕でなくなって行くのを感じる。
急に意識が遠くなって、気付くと全然違う場所にいるんだ。
途切れたのはさっきので何度目だろう?悪い夢を見ているみたいだ。とても気分が悪い。
ここはどの辺りなんだろう?「彼」はわかっているんだろうか?
勝手をされて腹が立つから、この地図は隠してしまうよ。道に迷ってうんと困ればいい。

僕の体を手にいれた「彼」が、このゲームの中で何をするつもりなのか。
考えたくもないが、どちらにしろ僕にはもう止めることはできない。
もうすぐ本当の僕は消えてなくなる。

本当の僕。

チームメイトや他のたくさんの仲間達を愛しく思う僕と、自分の居場所を得るために人を殺しても構わない僕と。
どちらが本物なんだろうね?
そういう意味では、桑田真澄は既に充分人殺しだ。
17歳のあの日から。いや、恐らくはもっと前から。
こんなことされなくても、僕はいずれ仲間を殺して帰ることを選んだのかもしれないな。
マウンドに立ち続けるためなら、ピッチャー桑田真澄である為なら。ぼくはずっと、そればかり考え続けていた。
本物に人生を返してやる時がきたのかもしれない。


168 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 01:19:00 ID:nY+r53RX0
(2/2)
この地図を拾う人へ。
君は生きて帰れる。
おまじないって言うのかな。くだらないかもしれないけど、どうか信じてみて下さい。
そして君の前に桑田が現れたら、迷わずに殺して欲しい。彼が何を言おうとも。
どんな手を使ってくるか分からないよ。何しろぼくだから!
君が生きるためには、迷ってはいけない。
絶対に生きてかえるんだ。もういちど野球をするためにね。
どうか、気をつけて。

こんなことを頼むのは自分勝手で、ひどいことだと思うが   もうぼくにできることはこのくらいしかないんだ。
ぼくのこの異変がこのゲームをこわすカギかもしれないよ。 確信はないけど
ご老体の悪趣味な余キョウにしても へんなところが多すぎる
できることならみんな、


これでさいごだ。

それからもし、   に           あえたら

     かれにこそ    かえして


18


169 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 01:53:19 ID:7aj9uyEx0
おおいっぱいきてた。
てか緒方がぁぁああ!最もバトロワが似合うサイボーグなのに…

170 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 02:01:29 ID:61ZCHrxpO
うわ、ほんとの桑田のHPの文章みたいだ。職人さんすげー。
日記の終わりのほうが…(ノД`)゚・。

171 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 11:15:48 ID:0tJGdgjo0
>>169
カプロワではマーダー役になってるのにな・・・。
最初に死ぬのは佐々岡だと思ってた。緒方は早々と死なせるには惜しいなぁ・・・。

172 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 16:57:24 ID:+mfaFQ5DO
キヨぉぉぉー!彼を止めてくれ!

173 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/21(水) 21:56:48 ID:+mfaFQ5DO
ホシュ

174 :43 ◆YhefPZis9A :2005/12/22(木) 00:05:00 ID:VHcGAgS40
「10億リスト」

10億達成するまでの殺し合い…簡単に言えばそういうことや。
上原浩治(G19)は既に驚き、戦慄くのをやめていた。
驚き、混乱、怒りは今後命取りとなり、今1番必要な事は冷静さ、頭脳、体力…
そして情やなんやといった感情で動かず、割り切る事が大事である。

(自分以外はみんな敵と思うのも、みんな仲間やと思うんも、阿呆の考える事や。)
日ごろは感情の我慢が利かず、思ったことをそのまま語る自分であるが、
こういうイザという時は驚くほど頭が冷えるのもまた自分であった。
(ほな…まずどいつらと手を組むか、やな。…10億以内で。)
上原は動揺走るドーム内をグルリと見渡す。
10億以内で仲間を組む。
これが重要であった。10億以内で仲間を組む。それ以外は全て敵とみなす。
なるべく多い人数に越した事はないが、明らかに使えなさそうな選手では意味は無い。
イザという時のこの状況でも使える選手、そして情やなんやに翻弄されず、
まず生き残るための協力をできる「仲間」が必要であり…上原は考えを巡らせる。

(チームの奴らでも、他球団の奴でもどっちでもええ…)
自分の頭にあるのはただ一つ。生き残る事だけだ。こんな馬鹿げたゲームで死ぬ気はない。
そのために10億以内で最も相応しい選手達を集め、後は敵とみなし容赦しない…
非常に分かりやすい図式から成り立つリスト、10億以内の選手のリストを考え始めた。
(どのみち殆ど助からんシステムなんや…それにあがいて阿呆見るよりも…)
最初からそういうシステムなんだと割り切って、生き残る為の仲間を10億以内で集め、
彼らを運命共同体とし、他を全て敵とする。その他全ての敵の中に仲間が入っていようとも…
(…人の命を簡単に使える、使えないで割り切ろうとする俺は…酷い奴なんやろうな。)
そんな事は分かっていた。今更善人ぶる気など毛頭無い。上原はさらにリストを模索する。

(…由伸。お前はまずリスト漏れ、やな。給料高い以前の問題っつーかな…)
横でいつの間にやってきた阿部と話し合う高橋に上原は視線を送ると、
隣から聞こえてくる阿部との会話…あんな奴らの思い通りに動いてたまるか、
選手同士で殺し合いなんかできるか、など相変わらずな事を言っている高橋にため息をつく。

175 :43 ◆YhefPZis9A :2005/12/22(木) 00:06:57 ID:VHcGAgS40
(お前は相変わらずやな。まあ、お前はそれでええんや…)
今までただ真面目に野球だけやっていれば良い、と何の疑いも挫折も感じる事なくやってきた
幸せな選手だった高橋は、この期に及んでもなお、そのスタンスでいようとしている。
(お前の事や、どうせ俺の考えを非難するやろ?…どのみちお前とはやってけへんな。)
高橋がこの自分の考えに賛同するとも思えないし、それに…上原は再度高橋に視線を送る。
(それに…お前を生き残る為の駒と見るには…俺もまだまだ修業がたりへんわ。)
上原にとって高橋は、駒と扱うには、あまりに色々と複雑な思い入れがある仲間であり、そういう者を生き残る為の運命共同体の一員としたくなかった。
(義理も人情も友情も要らへん。必要なのは生き残るという意志と頭と体力や。)
運命共同体という名の駒となる仲間が欲しいだけだ。
(俺に対しても生き残る為の駒や、くらい考えてくれる奴やないと仲間にでけへん。)
互いを生き残る為の駒だと考えあうような、割り切った関係から成り立つ仲間でないと、この想像するだけでも恐ろしく過酷なゲームは乗り越えられない。
(そのために…さっさと10億以内で良さそうな選手をリストアップせなあかんな…)
次々と選手が去っていく中、あまり時間は無い。
(まずは今、会場に残っとる選手から声かけとくか。まずは…)
頭に浮かぶ大抵のリストに頷き、上原はそっと気配を消して移動しようとするが、
相変わらず阿部と打ち合わせに没頭する高橋に、思わず動くのを止める。

(由伸…さいなら。ごめんな…)
ほんの一瞬、泣きそうな笑いを浮かべる上原であったが、すぐに首を振る。

「えーっと…南ってどっちだ?」
「どっちって…南は南でしょう。」
頭を掻く高橋に、阿部はため息をつく。
「何だよ、その顔。まあいい…上原、お前、南ってどっちか分かる?」
あきれ顔の後輩に、高橋はバツが悪そうに振り返る。
「俺ら番号続いてるし、すぐ合流できるよな?その前にみんなに声かけとくわ…って、上原?」
高橋はぽかんと言葉を止める。

ついさっきまで側に居たはずの上原の姿は既に消えていた。

【残り66名 年俸総額134億8080万円】

176 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/22(木) 03:00:27 ID:8FatQ0Sf0
職人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
でもちょっと切ないな上原・・・・。
何気ない会話が本人に似てて面白い
これからどうなるのか気になります

177 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/23(金) 16:50:18 ID:urcE6nCqO
保守

178 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/24(土) 02:34:57 ID:3Nru8O7g0
『潮騒』

「緒方ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 喉が千切れんばかりに叫び、野村は岩から飛び降り横たわる緒方に駆け寄った。
「緒方! 緒方! しっかりしろ!」
 だが、呼びかけても答えはない。仰向けに倒れた身体を揺さぶる。覗き込んだ
そこにあるのは、朽ち果てた山小屋のような空虚な眼差し。
 光を反射することを忘れた瞳は、明らかに緒方孝市の死を物語っていた。
(嘘――だろ? 緒方……)
 実感が沸かない。この男が、こんなにあっさり死んでしまうなんて。
 緒方孝市は野村が知る限り、誰よりも強い男だった。肉体的にも、精神的にも
衰えを知らない鋼の男。
 こんな殺人ゲームの中でもどこかで――この男は大丈夫だという、根拠のない
安心感があったのは正直な気持ちだ。
 だが実感が伴わなくても、事実は確かにそこにある。
「緒方さん! 緒方さん!! ……そんな……っ!」
 野村に続き飛び降りてきた黒田が、緒方の遺体に縋り付き喉を詰まらせる。
 目眩がしそうな程の絶望を振り払い、野村は顔を上げた。油の切れたブリキ人形の
ようにぎこちない動作であると、自覚していた。だが今はそれが精一杯だった。
 カラカラの喉に、無理矢理つばを流し込む。
 誰が緒方を――そんな疑問が掠める余地すらない。緒方を殺せたのは、その場には
一人しかいなかったのだから。
 泣き喚く黒田の悲痛な声が遠のく。脳の奥の方が熱を持ち、真っ赤な染みが麻薬
のように広がっていく、そんな感覚。
 何とか声を絞り出し、野村はその名を呼んだ。
「佐々岡……」
 案の定、銃を構えた佐々岡が、凍り付きそうなほど冷たい表情でこちらを睨み付
けていた。
 強ばった頬。だが決して取り乱してはいない。

179 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/24(土) 02:35:13 ID:3Nru8O7g0
 いつから、佐々岡はこんなに冷静に戻ったんだ?
 そんな疑問が掠める。つい一時間ほど前まで、この男は確かに錯乱していたはずだ。
 緒方を殺した男がこちらに向ける視線は――明らかな敵意。
(敵なのか? 俺たちは――)
 佐々岡の目には自分も敵に映っているのだろうか。殺すと思われているのだろうか。
 あの、五十嵐を殺した人間と同じだと。
 野村は動けなかった。ただ、佐々岡の握る銃に魅入られるように居竦んでいた。
 空虚で、死を呼び込む暗い穴。
 真っ直ぐ野村に向けられた銃口は、どこか緒方の瞳に似ていると思った。
 トリガーにかけられた佐々岡の人差し指に、力が込められる。バッターボックス
から投手の握りを確認する時のように、一瞬、そのシーンだけがはっきりと見えた。
(俺も、殺すのか――?)
 野村はその時、確かな死を感じた。
 だが本当の死の瞬間は、悔やむ間も祈る間も、走馬灯のように駆け巡るという想い出
を思い出す間もないものなのだと、頭の隅で冷静に納得していた。
 死ぬなら目を瞑るべきだろうか。緒方のように、目を見開いたまま死ぬのはどこか
哀れみがあって嫌だ。そんなことを考え、なかなか来るべき時が来ないことに疑問を感じた。
「が……」
 うめき声というには余りにも中途半端なそれと共に、佐々岡の身体が前のめりに傾く。
 静かに頽れた佐々岡の後ろには、木刀を振り下ろした姿の前田がいた。
「前田……」
 野村の声には答えず、ゆっくりと木刀を収めながら、前田は厳しい視線で倒れた
佐々岡を見下ろす。
 そのまま野村も佐々岡に目を移し、4人の間に静寂が落ちた。
「……緒方さんは死んだのか」
 沈黙を破ったのは、前田の呟きだった。

180 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/24(土) 02:35:35 ID:3Nru8O7g0
 それは野村に向けられたものでも、黒田に向けられたものでもない。己自身に確認
するように、その場から緒方の遺体を見つめる。
 その時間は、決して短くはなかった。
 3分……いや5分はあっただろうか。黒田の嗚咽以外は、波の音しか聞こえない
空間で、前田が野村の向こうにいる、緒方を凝視していた時間は。
 その険しい視線が物語るものを、野村は汲み取ることが出来なかった。
 何を思ったのか、やがて視線を手にしていた木刀に移した。片手で掲げたそれの
刀身を、じっと見つめる。
「……前田さん……?」
 不思議に思った黒田が、目元をユニフォームの袖でぬぐい問いかけた。
 その声にわずかに眉を動かし、前田は木刀をまたいつものように右肩にかけ、静かに
黒田たちから背を向けた。
「どこに行くんですか……?」
「俺は降りる」
 前田の言葉に、二人の間に衝撃が走る。
「そんな、前田さん!」
 黒田の悲鳴に、前田は一度視線を後ろにやった。
「忘れるなよ、そいつは緒方さんを殺したんじゃ」
「……。でも……!」
「いい、黒田」
「野村さんも、何とか言ってくださいよ!」
 必死に前田を引き留めようとする黒田に、野村は力なくかぶりを振った。
「いいんだ」
「そんな……」
 黒田が絶句する。

181 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/24(土) 02:36:15 ID:3Nru8O7g0
 それきり途絶えた会話に、前田は別れの言葉を言うでもなく、野村達が降りてきた
のとは逆方向へと歩き出し、少し足場のいい場所を回って砂浜へと上がった。
 姿が見えなくなっても、野村は目で追おうとはしなかった。
 黒田も、それ以上前田を引き留めることはなかった。
(前田は正しい――)
 目の前で仲間が仲間に殺されても、まだ複数人でつるもうとするのは愚か者のする
ことだ。そもそも、前田は初めから5人で行動することに是も非も唱えてはいなかった。
緒方が殺されたことをきっかけに、彼が群れることを拒絶したとしても、それは何ら
不自然なことではない。
「…………」
「……緒方を、運んでやろう」
 ぽつりと呟く。
 海の風は冷たかった。
 潮を含んだそれに、いつまでを緒方を晒してはおきたくなかった。
 黒田が黙って頷く。何もない世界に、二人取り残された気分だ。野村は急に孤独や
不安を感じた。
 彼の身体を抱えて岩をよじ登ることは不可能だから、出来るだけ段差のない道を選んで
大回りに森の中に運んだ。
 黒田と二人がかりで運ぶ身体は、ついさっき手を差し伸べた時とは比べものにならない
程重い。主の意志を失った身体は、ただ重力に従って落ちていこうとするだけだ。
 風から守られた森の繁みにそっと降ろし、腕を組ませ死に顔を整えてやる。
 改めてその姿を見て、野村は目の奥が熱くなった。だが泣くわけにはいかなかった。
緒方が守ろうとしたチームメイトを守るのは、今度こそ自分の役割だ。
「すまない……緒方……」
 助けられなかったことへの謝罪の言葉を口にする。謝ったところで、彼が帰ってくる
わけでもないのだから、それはえらく意味のない、軽薄なもののように思えた。
 あの状況で、自分は何が出来ただろうか。緒方と佐々岡を2人にするべきではなかった
のだろうか。佐々岡を助けるべきではなかったのだろうか。
 ――そんな答えを、緒方が望んでいるようには思えなかった。

182 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/24(土) 02:36:57 ID:3Nru8O7g0
 元の岩場に帰ってきたとき、佐々岡はまだ同じ体勢で転がっていた。
 俯せに倒れた体を裏返す。
 前田から後頭部に木刀の一撃を喰らった佐々岡は、白目を剥き、歯を食いしばった
口から泡を吹いて気絶していた。
 決して穏やかとは言い難い寝顔。
 それは恐怖の絶頂に、人を殺すことを選択した人間の素顔だった。
「……佐々岡さんは、不安、なんじゃないですか」
 ポツリと、黒田が呟く。
 不安――そうだろう。彼に引き金を引かせたのは、おそらくその単語だ。不安。恐怖。
 それは、このゲームがかける、疑心暗鬼という名の暗い魔術だ。
 ザァ――
 潮騒が舞い戻る。
 ひょっこりひょうたんじーま
 ひょっこりひょうたんじーま
 その音に混じって、トーンの高い歌声が聞こえる。聞こえる気がした。
「……煩い」
 その声が自分たちを嘲笑っているように聞こえ、野村は小さく吐き捨てた。


【残り61名 年俸総額126億2080万円】

183 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/24(土) 12:03:46 ID:J3WzjHobO
前 田 強 す ぎ

184 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/24(土) 14:03:22 ID:w4KT828r0
>>183に言われんでも(ry

185 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/24(土) 14:19:21 ID:l0izXjtI0
前田神は鬼緒方を「孝市さん」と呼んでた気ガス

186 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/25(日) 19:48:31 ID:IRXpRgPrO
死守

187 :代打名無し@実況は実況板で :2005/12/25(日) 20:23:28 ID:VMoDxY/Z0
前田には金本や福留、前田オタの柴原と対決してほしい。
結果はどうでもいいけど。

188 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/26(月) 00:22:13 ID:u7Z4LA+a0
前田はソロで終盤まで生き残りそうだ。
生き残るか死ぬかは別として行動に期待が持てる。

189 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/26(月) 20:35:35 ID:68sXXt4AO
捕手

190 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/26(月) 23:58:08 ID:CD+31vs/0
捕手がてら

午前中の死亡者って今のとこ、

G工藤
G岡島
YS五十嵐
C緒方
G江藤

以上5名?
多いような少ないようなだな

191 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/27(火) 00:37:53 ID:KTkx/X9y0
『夢の狭間で』

「に、二岡さん……!?」
 阿部慎之介が掠れた声を上げた。その声に、高橋由伸はははっと息を飲んだ。
一瞬、フリーズしていた脳が解凍される。随分長い間息を止めていたかのように、
心臓が高速に脈打っていた。
 高橋は飲み込んだ息を静かに吐き出し、震えそうな声を抑えて絞り出した。
「にぃ……お前、いったいどういうつもり……」
 チームメイトであるはずの二岡が、チームメイトであるはずの岡島を殺した。
 その事実を事実と認識するのに、高橋は少し時間を要した。
 先ほどまで笑っていた岡島の死体が今目の前にある。あまりにも非現実的だ。
映画の中でしか起こりえないことが、今現実にある。
 これは、本当に現実なのか?
 夢だと割り切ってしまえればどれだけ楽だろう。そうできない自分の理性を高橋は恨んだ。
「二岡さん、何で、岡島さんを……」
 あまりにも唐突な殺人劇に、阿部は混乱しているようだった。この殺人ゲームの
中で、人を殺すのに『何故』と聞くのは、余りにもくだらない質問だ。
 だが、二岡の答えは二人の想像の範囲を遙かに超越したものだった。
「別に、確かめて見ただけ」
 さらりと、そう言う。
「た、確かめ……?」
 まるで理解が出来ない。
 二人の飲み込めない様子を察した二岡が、説明するように付け加えた。
「だって、銃とか触ったことないからさ。もしかしたらオモチャかもしれないだろ?」
 それが本当に人を殺せる武器なのかどうか、実際に人を殺して確かめたというのか。
 当たり前のような口調で言った二岡に、さっと、二人の顔から血の気が引いた。
 道理が通っているようで、通っていない。たとえ道理に適っても、人道に適わない行為だ。
「慎之介もヨシノブさんも、それ本物かどうか気になりませんでした?」
 にっこりと笑う。悪意すら感じない笑みに、高橋は言いようのない寒気を感じた。
(なんで……笑えるんだ……?)
 人一人殺して平然としている二岡の尋常でない様子を察し、高橋は青ざめた顔で
阿部の手を引いた。

192 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/27(火) 00:38:32 ID:KTkx/X9y0
「し、しんのすけ、逃げるぞ!」
 彼は危険だ。
 彼の正体が、真意が掴めなくとも、それだけは確かだった。
「は、はい!」
 阿部が頷き、手を取り合って駆け出す。
 二岡が本当にゲームに乗り、見境なく人を殺す人間ならば、間違いなくその45口径
のACP弾丸で、彼らは背中を打ち抜かれていただろう。 
 だがバタバタと逃げていく二人の背中を見送り、二岡はポツリと呟いた。
「本当に確かめみただけなんだけどな……」
 彼らが自分の言葉を信じた様子もない。まあ、当たり前といえば当たり前だろう。
 こんなところでも、彼らはせっかちだ。
 そんな暢気な感想を浮かべ、二岡は手にした銃を掲げ、日の光に照らしてみた。
 重量のある銃身が黒光りする。手に馴染む堅い鉄の感触も、発砲後の少し焦げ臭い
匂いも、全てがとてもリアルだ。
 だが、どうも実感がわかなかった
 現実味がない。
 当たり前だ。いきなりどことも知れぬ島に連れてこられて、はい皆さん殺し合って
ください。で信じられるわけがない。
(だから、確かめた)
 この銃が玩具だったら、自分は東京ドームに乗り込んでオーナーたちのおふざけに
苦情を申し立てていただろうし。
 本物だったら――本物なんだから、仕方がない。
 こういうゲームなんだと思って従うしかないだろう。
「殺しちゃったし、仕方がないよね」
 少し先に転がる岡島の死体を見やる。取り残された彼の亡骸を、弔う者は誰もいない。
(ゲームオーバー、ってやつか)
「多分夢だしね」
 そう言い切り、二岡はコルトガバメントをユニフォームのポケットに押し込んだ。
 こんな現実があるわけがない。
 夢と分かっている夢を見るのは久しぶりだ。
 そう思うと、心なしか少し頭の中がふわふわする。
 ああやはり、これは夢だ。

193 :2 ◆ACsLXL4x9o :2005/12/27(火) 00:38:54 ID:KTkx/X9y0
 夢ならいくらでもリセットが効く。今死んだ岡島も、目が覚めればまた普通に球場
で顔を合わすだろう。
『俺岡島さんのこと殺す夢見ましたよ』と言えば、ちょっとは彼をビビらせることが
出来るかもしれない。
 そんなことを思い、二岡は自然と笑みを浮かべた。
「殺し合いごっこか……」
 自分も悪趣味な夢を見るものだ。相当ストレスが溜まっているのかもしれない。
それとも、最近ミステリー小説にはまってしまっている影響だろうか?
「どうせなら探偵役が良かったな」
 とはいえ、夢の中で文句を言っても仕方がない。
 動かない岡島に歩み寄り、しゃがみ込んでその手に握られた警棒を取り上げる。
 彼らの会話を少し聞いていたが、毒薬入り警棒とやららしい。
「どうやって使うのか、よく分かんないけど……」
 とりあえずもらっておこう。アイテム集めもゲームの楽しみ方の一つだ。
「今130億円だっけ? 10億までって結構長くない? いつまでかかるんだろ」
 支給された名簿を取り出し、年俸リストを見ながら10億までの道のりを皮算用する。 
 とりあえず、夢なら一通り楽しんでから覚めようと二岡は思った。


【残り61名 年俸総額126億2080万円】

194 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/27(火) 00:47:37 ID:9vC6TFx/0
二岡、半分狂ったキャラか。こういうのがいてもいいかも。読めないし。

195 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:06:07 ID:iSYnT5U50
『友の死、あるいは死』


井川慶(T29)はこのゲーム――ビリオネア・バトルロワイアルに乗るつもりで東京ドームを模したとされる建物を出た。
普段やっている『ゲーム』のように格好よく戦うのだと考えていたし、そういう運命なのだと思っていた。
それは自らに支給された武器が――IMI ジェリコ941という名のついた――拳銃だった為でもあった。
銃の名前は聞き覚えがなかったが、形はそれこそ昨日の晩にしたゲームに出てきたものとよく似ていた。
持ってみると意外と重たかったが操作法はゲームの時に毎回見るものと一緒だった。
なので井川慶はゲームに乗ることにしたのだった。ただ―――

―――ただ、初めて出会う死が参加者の中では唯一というべきほど、仲の良かった『五十嵐亮太』ではなければの話だったが。


196 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:06:45 ID:iSYnT5U50




右肩にバックパックを提げ、左手に銃を持っていた井川は茂みの中で五十嵐を発見して、思わずその名を口にした。
用心深く辺りを見渡しつつ、五十嵐に近付く。五十嵐は何故か折ったであろう木の枝の中に横たわっていた。
近付いた後、もう一度声を掛けるも五十嵐に反応はなく、井川は妙だとは思っていた。
しかし何のためらいもなく五十嵐の体の上に置かれていた枝を払い始めた。
もしかしたら寝ているのかも知れない、体が冷えるのを覚えたらきっと反応するだろうから―――と。

五十嵐の体の上においてあった大きな葉の塊がついていた三本目の枝を除ける。
すると広がった光景に井川はふと夢かと思い、自分の頬を空いていた右手でペチペチと二度叩いた。
夢だと思っていたがちゃんとした痛みを感じ、井川は今目の前にいる五十嵐が現実のものであるとようやく認識できた。
認識できた瞬間、井川は目の前がふっと消えてしまうような感覚に陥りかけながらも慌てて五十嵐を抱き起こす。

「亮太…?」

もう一度名前を口にする、今度は聞こえるほどの声で。
いつもならすぐさまあの人懐っこい顔で振り返って、面倒そうな声で返事が返ってくる―――はず。
しかし井川の記憶とは違い、今の五十嵐は返事を返せなかった。いやむしろ返せなかった。
井川の腕から伝わるであろう体温は消え去り、五十嵐自慢の右腕は糸を失った操り人形のようにだらしなく地面をついている。
このことが井川にもたらす答えとはすなわち―――五十嵐の体の全機能が停止している。
つまり五十嵐が死んでいるということだった。返事など返せる訳がない。

「亮太…? おい亮太……何してんだよ…。」
その答えを導きだした井川は腕の中の存在が死んでいるとは頭の中では理解できていた。
「亮太…ちょっとさお前……嘘でしょ…?」
ただ、井川の心は理解しなかった。いや、理解できなかった。


197 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:07:14 ID:iSYnT5U50

はるかに自分よりも格好よくて、人から好かれていて、性格もよくて、優しくて―――野球が好きな五十嵐が死んでいることが理解できなかった。
つい最近髪形について盛り上がり、熱弁を振るって笑っていた五十嵐が何故死んだのか、理解できなかった。
今度一緒に新発売されるゲーム機で遊ぼうと約束をしていた五十嵐が死んだのか、理解できなかった。
そして何より―――今目の前で起こっている出来事が、理解できなかった。
白いそれとは分からないほど朱に染まったユニフォームを身にまとって、五十嵐が死んでいるということが、井川には理解できなかった。

だから名前を呼び続けていたし、だから銃を離してでも五十嵐を抱き上げていた。
しかし何度呼んでも呼んでも返事は返ってこないし、右腕は動かなかった。
「亮太! 亮太っ……こーたことあんめぇっ!!」
ひたすら声を上げ、ひたすら叫ぶかのごとく、井川は五十嵐の死体を抱きかかえたまま慟哭する。
そこに居たのは『阪神タイガース』の井川慶ではなく、『五十嵐亮太の友』また一人の人間としての井川慶だった。



198 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:07:42 ID:iSYnT5U50

しばらく泣いていた井川だったが喉の奥がひりつくような渇きを覚えた時、ようやく五十嵐の遺体を地面に降ろすことが出来た。
それでもしばらく井川は涙が溢れてしょうがない目をアンダーシャツの裾で拭く以外、動くことが出来なかった。
ふと顔を上げるとある物が井川の視線を止めた。
ある物とは井川の支給品であるIMI ジェリコ941。
右手首で2、3度目をこすると、それを手に取り、しばらく見つめていた。

「……亮太…」
もう一度友の名を呼ぶ。
井川は3度五十嵐と手の中で輝く銃を見比べた。
「なぁ、亮太。」
返事はない。先ほど思い知った現実に井川は一度目を閉じた。
そして再び目の前の光景を見る。
かもすればユニフォームの中央にあるチーム名さえ分からないほどの出血の酷さ、隠されるように置かれた体。
考えなくても分かる。
五十嵐は誰かに殺されたのだと。


「…亮太……お前誰に殺された…?」
泣き続け酷使した喉は井川に普段の声を出させなかった。
しかし、井川はそれを気にすることなく続ける。

「俺は…お前を殺した奴が憎いよ……だって…お前と仲良かったから…。」
偽物の東京ドームを井川が出たときにはまだ低かった太陽がいつの間にか上がりきって、その姿を全て見せていた。
銃を左手に持ったまま、空を見上げる。
空は突き抜けるほど澄み切って、青い。
その時キラリと何かが輝いた気がして、井川は思わず目を凝らす。しかし、空には何もない。
もしかしてと思った。
もしかしたら―――五十嵐が心配したのかも知れないと、思った。
心配してサインを出してくるなんてどれだけ優しいのだろう、と井川は虚空を見上げながら思った。


199 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:08:06 ID:iSYnT5U50

ふっと視線を地面に戻す。その瞬間五十嵐が少し微笑んでいるように見え、井川ははっと思い出した。
不意にあの建物を出た際にした自らの愚かで軽薄な決意を。
違う―――と井川は左右に頭を振る。
違うんだ。俺は、気付いたから。


「……なぁ、亮太…」
その時吹いた風にあわせたかのごとく、ふわりと井川の手が五十嵐の左手に触れる。
冬の夜のコンクリートのような冷たさにざらりとした肌の感触に、井川はもう一度泣き出しそうだった。
「俺、お前を殺した奴が憎いよ……でも…」
左手を右手で握り締め、井川は五十嵐にささやくように言う。
口にした決意は、最初の決意とは比べ物にならないほど、重かった。


「…お前を殺した奴にだけは……なりたくない……」

唇を噛み締め、左手の銃と右手の手を握り締める。ふっと全ての音が消えた気がした。
井川は五十嵐を見た後、手を離すとデイパックの紐を右腕に通した。
「亮太…お前の敵は晴らせないけど……でもね、聞いてくる。お前を殺さないといけなかった理由…」
空の上で五十嵐は見守ってくれてると、井川は信じた。
そしてもう一度空を見上げた。すると青すぎるほど青い空に心配そうな五十嵐の顔が浮かび、井川はきゅっと口元を締めた。
だから―――ともう一度目を閉じて、開けた。


200 :37 ◆37BnySDTgQ :2005/12/27(火) 02:08:25 ID:iSYnT5U50


「…心配するな。殺さない。理由聞くだけだよ。お前と一緒のところになんか絶対に、行かせない。」

右手を軽く握り締め、五十嵐の手の感触を覚える。
立ち上がり、井川は振り返らずに歩き始めた。
見上げた空には安心したように微笑む五十嵐が居るような気がして、井川は少しだけ口元を緩めた。



【T29井川(支給品:IMI ジェリコ941) D−4】
【残り61名 年俸総額126億2080万円】

201 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/27(火) 02:35:30 ID:+/Dy8GGDO
職人さん方乙です!
二岡こえぇ…
井川と五十嵐が仲良いとは知らなかった

>>190
そういえば森はどうなったんだろ…
生きてるのか死んでるのかも分からん

202 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/27(火) 20:59:22 ID:FjAQLJyD0
職人さま方乙です!
二岡ぁぁぁぁぁぁ夢じゃねぇぇぇぇぇぇorz
井川頑張れ井川・・・つか谷繁頑張れw

203 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/27(火) 22:54:21 ID:frDIjpQr0
ついに井川登場か
って昨日の晩にやったゲームは何だw バイオハザードあたりか?

204 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/28(水) 20:06:16 ID:o8m5MG0BO
★守

205 : ◆cZJuOTmaac :2005/12/29(木) 03:55:01 ID:k9upjlPZ0
『ウォームアップ』

森が尽きると緩やかな上り坂になり、やがて灯台がそびえる岬にたどり着いた。
清水隆行(G9)はその潮風に古びた建物を見上げ、ひとつ大きく息を吐いた。

灯台の入り口の扉には大きな錠前がかかり、太い鎖が何重にも巻きつけられている。
壊せないかと手をかけて揺らしてみたが、鉄錆がすこし剥がれ落ちるだけだ。諦めて、
海側を向いて草叢の上に腰を下ろした。ちょっと休憩。

灯台の上まで登れば、島の全体がよく見渡せるのだろう。
今は左手に、今出てきた森の切れ端と、その向こうに僅かに砂浜らしきものが見える。
右手は灯台、あとは枯れ草色の隆起。座ったままでは良くわからない。
正面は海に落ちるだけの崖になっている。一瞬覗き込んで、あまりの高さにすぐに頭を引っ込めた。

地図も荷物の中身も、清水はまだ確認していなかった。
スタートしてから振り向きもせずに走りに走った。
淡々とクロスカントリーのように(随分短時間で終わってしまったが)、何も考えずに。
「何も考えずに済む方法」として走ることを選んだに違いなかった。
立ち止まった今、やはり思い出してしまう。
原『監督』の無残な遺体。赤黒いあの血の色。鼻腔を衝く臭い。
恩人を失った感慨はまだ追いついてこない。悲しめないことを、ただ彼に申し訳ないと思う。


206 : ◆cZJuOTmaac :2005/12/29(木) 03:57:15 ID:k9upjlPZ0
鞄を開く。
ファスナーを押しのけるように何かふわふわしたものが現れた。武器、のイメージとはほど遠く、
虚を突かれたまま、とにかく引きずり出してみる。
たっぷりと大きい、アフロヘアーのかつらだった。色は鮮やかなピンク。まるでフラミンゴの羽のようだ。
ご丁寧に塩化ビニール製の鼻眼鏡と、『本日の主役』とかかれた襷も入っている。パーティーグッズのセットらしい。
どれほどヒットを打とうとも地味だの華がないのと言われる自分には、何のあてつけかと思うほどぴったりだった。
武器の割り当てはランダムではなかったのか?
つい先日TVで見たビールかけで、誰かが似たようなのを被って暴れていたような気がする。
いいよなあ、ビールかけ。いいよなあ、優勝。
しばし見つめて、清水はおもむろにアフロをかぶってみた。
「おー…」
意外とつけごこちは悪くない。
似合っている気がする。鏡がないのが残念だった。誰かカメラを持っていないだろうか?

…しかしこれでは、戦えない。

ひゅう、と海風が吹き付ける。アフロがふわふわと揺れる。
―――動かないと体が冷えてしまう。
アフロヘアーのまま、清水はストレッチをはじめた。


207 : ◆cZJuOTmaac :2005/12/29(木) 03:58:54 ID:k9upjlPZ0
手首、足首、肩、首、腰、アキレス腱、股関節。腰が少し張っているかもしれない。変な寝かされ方でもしていたか。
プロに入って10年、ずっと大事に気を遣ってきた体だ。管理は最早習慣である。
お蔭様で、大きな故障もなくやって参りました。地道にコツコツ・堅実が売りの清水です。
シーズン中に結果を残そうが残すまいが、入団時から先輩や同期とレギュラーを争い、
助っ人外国人とレギュラーを争い、新人選手とレギュラーを争い。
その繰り返しの甲斐あって、年俸も二億の声を聞くまでになり、なんだかんだでベテラン選手。さて来季は?
生きて楽天か、死んで天国行きです。おめでとう!
「と来たもんだァ!」
民謡か何かの合いの手のように叫ぶなり、どっと仰向けに倒れた。
いい天気だ。空が高く、青い。
潮の匂いがする空気を吸い込むと、鼻の奥が冷えて、つんと痛む。
運がない。
というなら、皆そうなんじゃないのか。ここに連れてこられた連中は皆。
お前如きと一緒にするなと怒られるかもしれないが、経過に多少の違いはあったとしても、
それなりの日々を過ごして来ての今日の筈だ。喜び、悲しみ、生活のすべてを野球に捧げて、
そして生きて戻りたければ殺せと、そんな結末。
だったら殺すことなんてできないのだ。
日の当たる人も当たらない人も、ここまで頑張ってきた月日を無にされる悲しさは、自分と同じだから。


208 : ◆cZJuOTmaac :2005/12/29(木) 04:01:32 ID:k9upjlPZ0
「もう、いいよ…」
呟いた声が思ったよりずっと情けなく聞こえて、投げ遣りな気分はいよいよ深くなる。目を瞑る。
闘えない武器でいい。何を貰っていても同じことだ。
もういい。ストレッチも何もかも、もう沢山だ。
ここで待っていれば誰か殺しにくるだろうか。
その前に禁止エリアとやらで、そのうち首輪が爆発するだろうか。
出発地点はもう禁止エリアになっているはずだ。いや、もっと手っ取り早く。

今立ち上がって、この断崖から飛んでしまえば。


『っとに、ばかやろうだお前は』

耳慣れた声を聞いた気がして、清水は目を開いた。


その瞬間。
どん、と地面が震え、体が浮き上がって落ちた。
「な…!?」
土ぼこりと火薬の臭いが、潮の匂いを打ち消すほどに漂う。
立ち上がれないまま音の方を振り向くと、良く分からない隆起の向こう側、程近い場所にもうもうと煙が上がっている。
「……」
予感を、信じるほうではないけれど。
清水は荷物を掴むと、アフロヘアーのまま煙が立ちのぼる方へと走り出した。

【G9清水隆行(支給品:パーティーの主役セット) A−3】
【残り61名 年俸総額126億2080万円】


209 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/29(木) 09:25:46 ID:Ccqp8sFHO
地味な人キタ━━(゚∀゚)━━━!!!

職人様乙です!
殺伐としてる中でもストレッチは忘れないジミタンらしくてイイ!(・∀・)
ガンガレ地味だけどアフロで超ガンガレw

210 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/29(木) 17:33:23 ID:XVhHXp/N0
三大地味様のうち、3番目に地味な人キタワァ(AAry
叫び声テラワロスw

211 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/30(金) 21:03:52 ID:aqSw9ofuO


212 :代打名無し@実況は実況板で:2005/12/31(土) 06:06:58 ID:GS59g2100
誰だろ? 気になる〜

213 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/01(日) 07:57:16 ID:xu7tXAyE0
あけおめ保守

214 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/02(月) 05:06:33 ID:Jw5fLqpF0
ことよろ保守

215 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/02(月) 06:10:27 ID:FmCJf9S/0
保管庫さんは忙しいのだろうか・・・hosyu

216 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/03(火) 00:59:06 ID:AyML3fnw0
保守

217 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/03(火) 19:34:40 ID:ih7dLpSD0
職人様方超乙です!

保管作業しばらく滞納してしまって申し訳ないですorz
『誓い』『運命のルーレット』『人間が一人、悪魔が一人』
『親愛し合う者、裏切る者』『自分らしく』『マインド・ゲーム』
『最強あるいは最凶』『悲愴な美学』『サムライ』
『せめてもの弔い』『使命』『ひょうたん島』
『背番号18』『日記』『10億リスト』『潮騒』
『夢の狭間で』『友の死、あるいは死』『ウォームアップ』
をうpしました

それと>>167-168の『日記』をお書きになった職人様の名前なのですが、
どう掲載したらよいのでしょうか・・・?

218 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/03(火) 21:24:44 ID:AyML3fnw0
保管庫さんキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
大量に更新乙です!
ついでに41氏製作退場順名簿が見れなくなってるので再うpしてもらえないでしょうか

219 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/04(水) 00:47:09 ID:tK27SPZ80
19作一挙更新w乙です!
読み直してたらいくつかコピーミスやリンク切れを見つけたんだけど、
これは掲示板の方に指摘しに行ったらいいのかな?
『日記』の職人さんは、本人さんの申告がないようなら
代打名無し氏とか名無し167氏(第三章)とかにしてみるとか

220 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/04(水) 12:46:00 ID:m2xer/paO
祝保管☆守

221 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/05(木) 06:56:04 ID:8VDPziKk0
捕手保守

222 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/06(金) 13:32:15 ID:UkldP2jTO


223 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/06(金) 16:02:54 ID:7JRh78pI0


224 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/06(金) 18:30:05 ID:3D5/SUlp0
『殺す人間に』


「寒いな…。」
指先に息を吹きかけながら、谷佳知(Bs10)は呟く。
とりあえず一番近くの家屋に入り、自らの支給品を確認したものの、あまり現実のこととして捉えられずにいた。

谷の支給品はステアー AUG――AUGはドイツ語で『陸軍汎用小銃』という意味らしいが――まぁ、平たく言えば銃。
もう少しつめて言えば、『突撃銃』で『オーストリア国防軍やイタリア軍警察対テロ特殊部隊等に制式採用!』されているものらしい。
銃にはそんなに――といっても大半の野球選手はそうであるが――詳しくない谷でも、そこそこは凄い銃な事はその一文で分かった。
その他には赤いトランシーバーのようなものと、銃の取扱説明書らしきものが入っていた。
その説明書には簡単な説明の他に、1枚のカードが挟んであった。
そこにはトランプでよく見るスペードのマークが表に印刷してあり、裏にはこう記されていた。

『君には悪役になってもらう、他の選手を一刻でも早く全滅させてもらいたい。
 武器は補充できないので、有効に使うように。
 あと、君はリーダーなので村松君やファイターズの2人と協力できるように連絡用の無線機を入れておいた。
 これは他の3人の首輪と繋がっている。精進するように。
    オリックス・バファローズ オーナー 宮内義彦 球団社長 小泉隆司』

リーダーというからスペードなのだろうか?と考えつつ、谷は2回読んだ。
直筆なのだろうか、達筆といえば達筆な文字で書かれた文章。
筆跡もどこかで見たオーナーの字に似ていた。
が、これは本当なんだろうか? という疑問が谷の頭にはあった。

本当に殺し合いなんてするのだろうか?
本当に10億になるまで帰れないのだろうか?
本当に俺は人を殺さなきゃならないのだろうか?
きっと違うだろう、何か―――何か悪い冗談だと思いたい。
そこまで考え谷は大きく息をついた。溜息にほど近い息の吐き方ではあったが。


225 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/06(金) 18:30:31 ID:3D5/SUlp0


「……本当、なのかな。」
数分後、無意識の内に谷は呟く。
両手に持った銃は銃であるらしいが、谷にはいまいちそれが『本物』とは思えなかった。
どう考えてもプラスティックで出来ている部分はある、銃は銃でもおもちゃの銃のようなフォルム。
そして―――軽い。取扱説明書を見ると、4キロ弱程しかないらしい。
銃というものはこんなに軽いものだっただろうか?
その前にステアー AUGとやらは『本当』に本物の銃なのだろうか?
疑問が疑問を呼び、谷はしばし苦い表情を浮かべていた。
試しに銃口を覗いてみるも、中は暗くほとんど何も見えない。

「…本物、なのかな?」

―――もしこれが偽物だとしたら、この事も嘘ってことだよな?
少し、谷は考えた。しばらく唸る。
そして唸るのを止めると顔を上げ、グリップを右手に持ち、目の前の壁に向かって銃を構えた。
ともかくこの銃が偽物かどうかで、全ての疑問は晴れるはずだと谷は考えた。
でも――と不意に、谷の脳内に新しい謎が生まれた。

―――じゃあ、もしこれが『本物』だったら?
その謎は谷に引き金を引かせず、再び思考の渦へと巻き込む。
「本物、だったら…?」
本物。
この銃がおもちゃでも何でもなく、人を殺せる能力を持った武器であるということ。
そしてこの『殺し合い』というものが、現実のものであるということ。

ならば―――俺は、どうする? 本当に人を殺すのか?
銃口を床に向けると、谷は右手を額に当てた。
「そんなこと、出来ないよな…。」


226 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/06(金) 18:30:49 ID:3D5/SUlp0

普通に考えれば、そうではないか。命とは大切なものであると学んだはずだ、自分もこの島にいる全員も。
命は地球よりも重いと、自分が生きる権利は自分しか持てないと、そう学んできたはずだ。
だが―――実際は、どうだっただろうか?
左手で銃を握り締め、谷は膝を抱え込む。

―――実際、その言葉通りだっただろうか?
命は大切であると学んだのは自分や他の選手達以外にも日本中、いや地球上の人々がそう学んでいるはずだ。
しかし、新聞やニュースで毎日流れるのは死んだ人の話ばかりではないか?
どこどこの住宅街で殺人が、どこどこの国で紛争が、どこどこで火事が。
少なくとも人が生まれたという話題よりも、死んだという話題の方が多かったはずだ。
そして死んだという話題の半分以上は『殺した』というものではないだろうか?
『殺した』ということはつまり、大切なものである命を同じ『人であるもの』が奪ったということ。
その『殺した』『人であるもの』は人間だ、そして俺も人間だ。どこが同じでどこが違う?
―――同じ『人であるもの』であることには変わりはないはずだ。
だとするならば―――。

「…一緒、か……俺も…。」

そうだ、俺は『殺した』人間と同じ人間ではないか。
地球上に生きるヒト科の人間という観点から見れば、同じだ。
だと言うならば?
谷はそこで一旦思考を打ち切り、左手に持った銃を構えた。


227 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/06(金) 18:31:25 ID:3D5/SUlp0


―――俺は『殺した』人間と同じだ。
右手でグリップを握り、トリガーに人差し指を掛ける。

―――なら? …俺は『殺した』人間になるのか?
左目を閉じ、最初から装着してあるスコープを覗く。

……『殺した人間』。つまりは―――
狙いを定め、引き金を深く引く。


その瞬間、空気を沢山蓄え膨らんだ紙袋が3つ割れるイメージが谷の頭に過ぎった。
手の痺れを覚えつつ、スコープから目を上げると狙ったところが寸分違わず抉り取られている。まるでアクション映画の1シーンのように。
谷の脳裏に浮かんだイメージ通り、3つの穴が壁にピラミット状で並んでいた。
その3つの弾痕見て、初めて谷は気が付いた。


「……『殺す人間』に俺が…」

このゲームは『本物』であるということと、自分が『殺す人間』になれることを。



【Bs10谷(支給品:ステアー AUG/トランシーバー型連絡用無線機) E−6】
【残り61名 年俸総額126億2080万円】

228 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/06(金) 21:39:51 ID:UkldP2jTO
新作キタ━(゚∀゚)━!!
谷…谷がぁ…お前がそうなのかぁよぉ…

229 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/07(土) 21:00:41 ID:xq+PtJa/0
「生き残るべき者は」

「…お前の年俸は1億80万なんか。」
たった80万のためにここへ…元々あんまり運が良くない投手だと思ってはいたが、
まさかここまで…金本は野口に同情の視線を送る。
「でもしょうがないですよね。契約更改の時に、こんなゲームがあるなんて聞いてないし…」
「そりゃ話すわけんかろう…」
相変わらずの野口であるが、ついてないと愚痴られるよりはよっぽど良い。
(こいつは…思うたより強いんかもしれんの。)
マイペース過ぎるが、平常心を忘れずにいることはできるだろう。

「…金本さんはこれからどうするつもりですか?」
ふいに真剣な面持ちで尋ねる野口に、金本は戸惑うように振り返る。
「そうじゃのぉ…わりゃぁどうしたいんだ?」
「俺は…誰かを傷つけたりとかしたくない。」
そんな野口の答えに、金本は安堵のため息をつく。
「俺も同じじゃ。ほぃじゃがな…俺は死にたくもないんじゃ。」
「死にたくないし、誰かを傷つけたくない…難しいですね。」
「ああ…いたしぃどころじゃないよの。どうすりゃぁいいんじゃろう」
本当にどうすればいいのか…金本は首を振るが、ふいに見えた人影に思わず身を隠そうとする。

「古田さん…」
身を隠す前に鉢合わせてしまい、金本はぼそりとつぶやく。
「おお、金本やないか。ん?珍しい組み合わせやなぁ。」
後ろでおどおどと様子を窺う野口に古田敦也(YS27)は笑いかける。
「まあ成り行き上…古田さんは何やって…」
「何やってって…そないなの決まってるやん。」
苦笑しながらポケットから取りだされた銃に金本は戦慄く。
何と言う名の銃か、威力はどれくらいか分からないが、銃を向けられた事に驚愕する。

230 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/07(土) 21:01:22 ID:xq+PtJa/0
「古田さん…」
身を隠す前に鉢合わせてしまい、金本はぼそりとつぶやく。
「おお、金本やないか。ん?珍しい組み合わせやなぁ。」
後ろでおどおどと様子を窺う野口に古田敦也(YS27)は笑いかける。
「まあ成り行き上…古田さんは何やって…」
「何やってって…そないなの決まってるやん。」
苦笑しながらポケットから取りだされた銃に金本は戦慄く。
何と言う名の銃か、威力はどれくらいか分からないが、銃を向けられた事に驚愕する。

「こないな無意味なゲーム、さっさと終わらせなきゃいけへんやろ?
終わらせるには早く10億以内になってくれへんとな。そういうことや。」
「あんたんような賢い人がそがぁな単純な事…」
銃を突きつけられ、一歩も動けない金本に、古田はただ笑ったままだ。

「分かってへんな。こういう未知の状況で本日この時までの経験や何やは無駄ちうもんや。
そういう時はな、いたってシンプルに動くに限るんや。」
まるで何かの野球理論でも語っているような、静かな声色。
それは言い様のない恐ろしさを感じ、金本は横で震える野口を見る。
「…野口は…助けてつかぁさい。こがぁなぁの年俸はたった1億80万なんじゃ…」

銃を向けられた自分は助からないだろう。
驚くほど簡単に諦めてしまうのは、まだこのゲームにピンと来ていないせいだろうか。

せめて野口だけでも…どうせ死ぬならなにも二人一緒に死ぬ事はない。
「なるほどなぁ。この場合、野口は強運の持ち主、となるなぁ。
野球やと運良いと思えんが、この状況やと必ずしも日常の運が比例すると限らんわけか。」
一つ参考になった、と言いたげに古田は頷く。
「…野口、早ぉ逃げろ。」
「嫌です…逃げません!」
野口は震える手でウージーを構える。だが、あまりに震えすぎているせいか、
上下に銃口は大きくぶれ、とても撃てそうに見えない。

231 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/07(土) 21:02:13 ID:xq+PtJa/0
「おいおい、手ぇがたがた震えすぎやろ?俺やなくて金本撃っちゃうかもしれへんぞ?」
「構いません!」
「ええっ?構わんのんかよ!」
思わず叫ぶ金本だったが、野口は震えたまま古田にウージーを向けたままだ。
「お前は助けたってもええよ?たった1億ちょいやしな。金本置いて逃げたらどや?」
「逃げません…絶対逃げません…」
低く呟くなり、野口の腕の震えは止まり、古田は微かに眉をひそめる。
「…なんでや?金本は逃げろと言うてくれてるのに。」
「だから、です…逃げろと言ってくれる人を置いて逃げるなんて…無理です。」
「野口…」
呟く金本に銃口を向けながらも、古田は野口を注意深く観察する。

「なるほどね。いや、参考になりよったわ。」
「?古田さん?参考って…」

「俺はこないなゲーム初めてやからな。おのれが死んででもせめて誰か助けたい、とか
逃げれば助かるのに逃げないちう事がほんまにあるんだな。
そういうのはドラマだけやないんだな。いや、ええ参考になりよったよ。」
完全に震えが止まり、真っすぐにウージーを向ける野口に、古田は肩を竦める。

「ほなここはひとまず退散することにするわ。じゃあな、頑張れや。」
「え?撃たないんですか?」
「野口!われ、何言ってんじゃ!」
こいつは…と怒鳴りつける金本に、古田は苦笑しながらも銃口を向けたまま
じりじりと後ろ歩きをし、あっという間に茂みの中に消え去ると、暫し歩き続ける。

232 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/07(土) 21:03:05 ID:xq+PtJa/0
「まだほんの序盤やからな…ああいう仲間意識っつーか、庇いあいも
ゲームが進むにつれ、どうなるか分からんけど…とりあえず参考になりよったな。」
足を止めるなり古田は手にある拳銃、デザートイーグルをポケットにしまう。
「なんせこないなゲーム初めてやからな。今はこうやってデータを集めるが1番や。」
茂みの前に現れた金本と野口の様子を暫く伺っていたが、金本は鉄製のヌンチャク、
野口は大層な武器だが、とても発砲などできないだろうと踏んで現れた。
「予想通り、あいつらから中々ええデータを得られたちうわけや。」
殺し合い、というゲームで誰かと群れるという心理状況、またはピンチとなった時、
どういった行動にでるものか…全ては未知の事であり、こうして多少体張っても
より多くのデータを得なければゲームには勝てない。

ゲームを制するにはまずデータ収集から。

まともなデータも無いのに、ガンガン動き回るのは阿呆のすることだ。
金本なり野口にけしかけてみたが、実際に今はまだ誰も殺す気はなかった。
ただデータ収集の一環としてけしかけたまでであり、それがあの二人に
警戒されたところで、許容範囲内である。結局手出しをしなかった、
ということでそれほどの危険人物とも取られなかったであろうから。

(どうせ敵も味方もないんやからな、このゲームは。)
誰かに銃を突きつける、ということは簡単にゲーム上で役立つデータを得られる。
庇うもの、逃げるもの、刃向かおうとするもの…
だが、それは同時にリスクも大きく、あまり頻繁に出来る事ではない。

233 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/07(土) 21:03:39 ID:xq+PtJa/0
(基本は陰から様子見、いけそうやったらさっきみたいに銃を突きつけてみる。)
それが1番無難なデータ収集であろう。古田は幹にもたれかかった。
どんなゲームでもまずデータ収集と研究から。
それは野球に限った事ではなく、殺し合いでも大差無いだろう。
(俺が研究しとる合間に、阿呆な奴らがガンガン動くやろうからな…)
序盤はその阿呆な奴らに任せておけばいい。
(問題はゲーム中盤から後半やな。それまでデータ収集に専念して…)

十分なデータが集まったら…動く。

古田はふいにニヤリと寒気がするような笑いを浮かべた。
(俺が動くのはまだまだや…動く時が来よったら…容赦せん。)
動く時が来たらあとは10億到達するまで…こいつを使うまでだ、と
ポケットにあるデザートイーグルを取りだした。

「こないな下らんゲーム、最初で最後にしなきゃなんないやろう?」
光る銃に語りかけるように、古田はつぶやく。
「俺以外、誰がそれをできるんや?」
自分には今後の球界を守る義務と権利がある。
「生き残るべき奴らが生き残らなきゃ…全ては無意味になるちうわけや。」
死ぬ者はそれまでの者にすぎない。だから自分は生き残る。

「俺は…生き残らなきゃならへん者や。」

神になったつもりでこのゲームを制する。
古田は銃を構える真似をし、再びにやりと笑った。

【残り61名 年俸総額126億2080万円】

234 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/07(土) 21:29:20 ID:MmYDoSs10
職人様乙です!
ふ、古田ぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・
ヤクルト何気にオソロシス・・・・

235 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/07(土) 21:58:13 ID:MxG8kAMB0
古田・・・お前と言う奴は。
野村監督がこの姿を見てたらどう思うだろうかね〜


ところで大変申し上げにくいことなんですが作者である>>43殿、あなたは広島・関西いずれの
出身でもないですね?

236 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/07(土) 22:17:02 ID:dB1e9e9r0
「なんないやろう」とかね。
しかしのぐちんのキャラがイイ

237 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/07(土) 22:46:25 ID:uMm9cxl/0
重箱の隅かもしれんが、気になった所を直してみた。
参考になれば幸いです。

そないなの→そんなん

終わらせなきゃいけへんやろ→終わらせなあかんやろ

撃っちゃうかもしれへんぞ→撃ってまうかもしれへんぞ

ほんまにあるんだな→ほんまにあるんやな

参考になりよったわ→(シンプルに)参考になったわ

〜ちう→〜ちゅう

しなきゃなんないやろう→せなあかんやろう

最後の「生き残らなきゃならへん者や」は上手い言い回しを思いつかずorz
「生き残らなあかんのや」ぐらいでは駄目ですかね?

238 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/07(土) 23:26:35 ID:/mZKiiaG0
「生き残らなあれへん者や」
「生き残らんとあかん者や」
って感じかな……。
金本の広島弁もかなりアレだけどフォローできず。
TVとかで聞く方言は誇張されてる事が多いし実際触れてない人には難しいな。

239 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/08(日) 01:18:44 ID:p2UiACb00
のぐちん、いいキャラだな。金本は大変だろうけど。
古田は頭良いぶんテラコワス。

突然だけど未登場の選手は

G 仁志敏久、前田幸長
YB 石井琢朗、若田部健一
D 川上憲伸、福留孝介、井端弘和、落合英二
T 今岡誠、片岡篤史、桧山進次郎
YS 宮本慎也
L 松坂大輔、和田一浩
Fu 小笠原道大、金村暁
M 小林雅英、福浦和也

ということになるのかな?

240 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/08(日) 12:50:28 ID:US+yH0kK0
日ハム二人は出てたんじゃ?

241 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/08(日) 13:45:57 ID:3aA6/zgd0
バーチャル達川くんとかのコンバーターで変換したんだろうけど、
アレは結構クセがあるから参考程度に使うといい。
標準語に方言をちょっとまぜて雰囲気伝える程度で構わないかと。

242 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/08(日) 18:50:03 ID:abigeAWP0
>>239
流石ハイパー地味様のいるチームだぜ!
小笠原は『サムライ』、金村は『何となく決める』で出てるよー。

243 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/08(日) 21:17:35 ID:HoPYPElW0
>>241
それが自然だな
まあ清原とかみたいな方言丸出しの人間喋らすときは別にして

244 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/09(月) 05:14:43 ID:5aiAG5lY0
『九死に一生スペシャル』

斜面を下り、薄野原を分けて進む。爆心はほどなく現れた。
前方の窪地の直径20メートルほどが大きく抉れていて、半壊した木造の建物と、並んでひしゃげた鉄の塊、
多分放置されたトラクターか何かが黒煙を上げている。燃料タンクに引火したのだろう。
近くに人影はない。
建物の残骸の中にちらりと白いものを認めて、清水は息を呑んだ。人が倒れている―――というより、瓦礫と
土に埋まっている。
小さな急斜面を滑り降りて小走りに近寄る。
土に汚れた人間の手、見慣れた白いユニフォームの袖と、首から後頭部にかけての半分程度が見えていた。
焼けて熱い瓦礫を押しのけ、土を掘った。
呼吸ばかりが速く、手の遅さがもどかしい。煙で喉がひりひりと灼けてくる。
背番号8が全て現れた所で両脇に手を入れ、全身を引きずり出す。
「仁志さん…!」
いつも力強い四肢はぐったりと投げ出され、その目は固く閉じられている。
「仁志さん!しっかりして!」
揺すってはまずいと思い、平手で軽く頬を打つ。が、反応がない。
口と鼻に手を充ててみた。
呼吸をしていない。
どっと全身の血が冷たくなる。
(じゃあさっきのは…)
今際の際に、情けなくも自殺願望に陥った同期を心配して、叱責の言葉をかけてくれたのか?

―――違う、この人ならそんなんじゃない。こんなのは絶対に違う。

245 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/09(月) 05:15:50 ID:5aiAG5lY0
必死に頭を働かせ、一つ思い当たった。
片膝立ちになり、仁志の体をうつぶせに抱えあげる。
鳩尾の裏辺りを、握り拳で思い切り打った。
ごぼ、と空気が逆流する音がして、仁志が拳ほどもある土の塊を吐き出す。
「うぇ…」
えづき、激しく咳き込んで、気道と口の中に詰まっていたものを吐く間、清水は背中をさすってやる。
ほらみろ、大丈夫じゃないか。頬が緩んで仕方がない。
咳き込みながら仁志がこちらへ向き直る。
涙目でにやにや笑うピンクのアフロの男を見、その岩のような顔を清水だと認識してぎゅっと眉を顰めるが、
色々つっこむのは後だと判断したらしい。
清水の肩越しを指差して、まだざらつく喉から辛うじて一言を絞り出す。
「来るぞ」
「え?」
振り向けば青空に弧を描いて、赤と鉛色のツートンのカプセル錠剤を大きくしたようなものが飛んでくる。
イタリア製OTOM35型手榴弾。衝撃作動式信管採用、別名「赤い悪魔」――清水には知る由もないが。
しかし直感は働いた。
つまり、あれが爆発して―――
「ふわぁあ!?」
間抜けな悲鳴を上げて尻餅をつく。それを仁志が引き倒し、アフロ頭を体の下に庇った。
こん、と軽い着弾音。
一秒、二秒。
仁志の体が離れた。
「…あ、あれ?」
恐る恐る目を開ける。その無骨なカプセル錠剤が、清水の足元にごろんと転がって沈黙していた。
不発弾、か?
無言の仁志に襟首をつかまれた。見ると既に、半分焦げた荷物を肩にかついでいる。
もたもたするな急げ、と目が語る。もう一発、こんどは生きている弾が飛んでくるかもしれない。
清水も慌てて鞄を取り、引きずられるようにしてその場を離れた。

【仁志敏久(G8)清水隆行(G9)B−4】
【残り61名 年俸総額126億2080万円】


246 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/09(月) 05:16:11 ID:5aiAG5lY0
必死に頭を働かせ、一つ思い当たった。
片膝立ちになり、仁志の体をうつぶせに抱えあげる。
鳩尾の裏辺りを、握り拳で思い切り打った。
ごぼ、と空気が逆流する音がして、仁志が拳ほどもある土の塊を吐き出す。
「うぇ…」
えづき、激しく咳き込んで、気道と口の中に詰まっていたものを吐く間、清水は背中をさすってやる。
ほらみろ、大丈夫じゃないか。頬が緩んで仕方がない。
咳き込みながら仁志がこちらへ向き直る。
涙目でにやにや笑うピンクのアフロの男を見、その岩のような顔を清水だと認識してぎゅっと眉を顰めるが、
色々つっこむのは後だと判断したらしい。
清水の肩越しを指差して、まだざらつく喉から辛うじて一言を絞り出す。
「来るぞ」
「え?」
振り向けば青空に弧を描いて、赤と鉛色のツートンのカプセル錠剤を大きくしたようなものが飛んでくる。
イタリア製OTOM35型手榴弾。衝撃作動式信管採用、別名「赤い悪魔」――清水には知る由もないが。
しかし直感は働いた。
つまり、あれが爆発して―――
「ふわぁあ!?」
間抜けな悲鳴を上げて尻餅をつく。それを仁志が引き倒し、アフロ頭を体の下に庇った。
こん、と軽い着弾音。
一秒、二秒。
仁志の体が離れた。
「…あ、あれ?」
恐る恐る目を開ける。その無骨なカプセル錠剤が、清水の足元にごろんと転がって沈黙していた。
不発弾、か?
無言の仁志に襟首をつかまれた。見ると既に、半分焦げた荷物を肩にかついでいる。
もたもたするな急げ、と目が語る。もう一発、こんどは生きている弾が飛んでくるかもしれない。
清水も慌てて鞄を取り、引きずられるようにしてその場を離れた。

【仁志敏久(G8)清水隆行(G9)B−4】
【残り61名 年俸総額126億2080万円】


247 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/09(月) 05:18:59 ID:5aiAG5lY0
明け方に二重投稿スマソですorz
後半を二つ投下してしまいました。片方ナシでお願いします。

248 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/09(月) 18:18:31 ID:35e9BdKT0
仁志キター!よかったな、地味な人。
でも誰が狙撃してるんだろう…

249 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/09(月) 21:23:31 ID:+H0uID6h0
職人さま方乙です!
『殺す人間に』『生き残るべき者は』『九死に一生スペシャル』うpしました

それとコピペミス等自分で気づいた限り直しておきましたが、
まだミス等見つけられた方いらしたら保管庫用板に指摘お願いします
『日記』の作者様の名前は
>>219氏の案をお借りして「名無し167氏(第三章)」と掲載させていただきました

250 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:17:16 ID:tV/nhuX10
『Dream Park』

 チャラララララララ 
 静まりかえった殺人ゲームの舞台に、唐突に爽やかな曲が流れ出した。
 その大音量に、清水直行(M18)は思わずビクンと体を跳ね上げた。
 ちょうど自分が背もたれにしていた、島内放送用のスピーカーが突然曲を流し
出したらしい。
 真上から降ってくる大音量に、思わず耳を塞ぐ。
 ♪だからー僕たちみーんな 野球場に連れてってー♪
 聞いたことのある曲だと思ったら、NPBの公式ソング『野球場へゆこう』だ。
(……趣味の悪い)
 こんな場所で聞きたい曲ではない。
 青い空と緑の芝生。
 デーゲームの休日に子供達の手を引いて休暇を球場で過ごす親御さんたち。
 マスコットのアクションに歓声を上げる少年少女。
 打撃練習で快音を上げて柵を越える白球。
 そんな試合前の光景が、まざまざと浮かび上がる曲は。
 ♪その名前ー呼べばーヒーローたちー舞い立つー♪
 彼らが望む野球場はどこにある?
 自分たちが出てきたのは、ベースボールパークでも何でもない、それを模した
だけの粗悪品だ。
 塁間は18.44メートルないし、ホームからレフトフェンスまでの距離も
76.199メートルもないだろう。
 あそこでは自分たちが今までやってきた、野球という競技は行えない。

251 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:17:37 ID:tV/nhuX10
(いや、そうでもないか……)
 そこまで考え、清水は考えを改めた。
 清水が今いるところは、小さな公園だ。
 公園の片隅、繁みからにょっきりと生えるスピーカーにもたれかかり考え事をして
いたところ、どうやら少しうつらうつらとしてしまったらしい。
 不意の目覚ましに飛び跳ねる心臓を落ち着かせながら、園内を見回すと、四隅に
滑り台やブランコというお馴染みの遊具がある以外、公園の中央辺りは何もない平坦
な広場になっていた。
(こんなところでも、やろうと思えば野球は出来る)
 バットとボールがあればいい。
 グラブも持たずに、放課後に日が暮れるまでクラスメートとボールを追いかけた
少年の日々が蘇る。
 ♪だからー大好きなーんだ 野球場へゆこうー♪
(俺も大好きやっちゅーねん……)
 今まで何気なく聞いていた歌詞が、悲しいくらい心に染みる。
 ヒーローになりたくて、そのボールで奇跡を起こしたくて、プロ野球選手になった。
 そんな原点を思い出す。
 今そのことを思い出すのは不幸かもしれない。
 このどうしようもない状況では、幸せな過去すら辛く重くのしかかる。
 あるいは、それすらも主催者達の思惑通りなのか――
 膝を引き寄せ、初心に返るつもりで三角座りをしてみる。
 その際に右手が硬いものにあたり、清水は忘れようとしていたその存在を思い出した。
 金村に押しつけられた(この表現が正しいだろう)ロケットランチャー。
 おそらく普通の生活を送っていたら一生お目にかからないであろう凶器を見下ろし、
清水はため息をついた。なんとはなしに、拾い上げ膝の上に乗せて見る。
 固いし、重い。

252 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:17:56 ID:tV/nhuX10
(何考えてんやろ……あいつ)
 いつも通りの生活をしてみる、とあの男は言っていた。
 確かに彼の様子はいつもと変わらなかった。だが、本人がどう思っていようが、
日常は否応なく非日常を連れてくるのでないのだろうか。
 彼のやろうとしていることは、結局清水には理解できなかった。
 仕方がないのかもしれない。
「俺は……どうするつもりなんやろな」
 ポツリと呟く。
 自分がやろうとすることすら分からない自分が、人を理解するなどというのは不可能だ。
『清水さん、生き残りたくないんですか?』
 金村に投げかけられた問いが蘇る。
(そりゃ、生きたいよ)
 死にたくない。生きたい。――だが。
(殺せるか?)
 膝上の鉄塊に肘を乗せ、思想に耽る。
 そもそもこのゲームは一体何なのか? 己の手を汚し、チームメイトを殺し、
そうするだけの価値があるものなのか? 何のために? 
 それが分からないまま、ゲームに乗るのは人の道を踏み外す行為に思えた。
 理由も分からないのに、こんなふざけたゲームに乗る人間などいないと思いたいが、
現に自分も迷っている。
 その迷いが振り切れたとき――人を殺すことを選ぶ人間がいないとは――清水は
言い切れなかった。自分にも、その可能性があるのだから。
(そもそも、なんでこんな目に遭わなきゃならんねん……)

253 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:18:52 ID:tV/nhuX10
 人を殺すとか殺さないとか。殺されるとか殺すとか。そんなことばかり考えさせ
られる状況に厭き厭きする。
 自分は地味なりに、チームに貢献してきたつもりだ。
(……地味だけど)
 この世界で1億以上もらっている人間というのは、例外を除けば、つまりは
そういう意味ではないのか。貢献。認知。価値。 
(そりゃ俺は地味だけど、もっと派手な――もとい、華がある人……)
 例えば松坂や、古田や城島や――
 彼らをまとめて失うことは、球界全体の損失にあたるはずだ。
 いくら腹黒いオーナー連中とはいえ、野球界を潰したいはずはないだろう。
――それが彼らにとって、損失になるならば。
「このリストに載ってる人間全員死んだら、野球界潰れちまうぞ……」
 いや――
 口に出してから気付く。
 そうではない。例えここに招かれた人間が全員何らかの形で存在を抹消されたと
しても、現実にはまだ大勢のプロ野球選手がいる。
 プロ野球は、なくならない。
「そうか……」
 途端に、自分たちの存在がえらくちっぽけなものに思えた。
 おごっていたつもりはないが――どれだけチームに貢献しようとも、一流になろう
とも、突然いなくなっても歯車は狂うことなく動き続ける。その事実に直面し、少な
からず衝撃を受けている自分がいた。
 何となく、このゲームの存在理由が分かった気がした。
 それは本来の全容の、ほんの一角にしか過ぎないこともまた、清水は分かっていた。
 全てを知ることに意味があるのか――あるいは知るときが来るのかは、やはり分から
ないが。
「どないしょ……」
 自分の存在価値すらあやふやになり、ますます頭を抱える羽目になる。 
 現在、清水が腰を落ち着けている公園は、地図で言えばF−6。東の海岸付近になる。
 わざわざ東の端までやってきた理由は単純で、これだけセとパで人数比に偏りがある
のだから、西側に比べ、こちら側で人に会う確率はかなり低くなるだろうと考えたからだ。
 禁止エリアの変更に影響がなければ、しばらくここに居座っておこうと清水は考えていた。

254 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:19:52 ID:tV/nhuX10
♪だからー僕たちみーんな 野球場へゆこうー♪
 チャーンチャチャチャ〜
 きっちりフルコーラスを終え伴奏がフィードアウトしたところで、マイクが切り
替わった。
『お待たせいたしました。第一回、定時放送をお知らせいたします』
 スタート地点で聞いた、あのウグイス嬢の声だ。
 清水は思わず身を強ばらせた。慌てて、デイバッグの中から地図や名簿と、ペンを
取り出す。
 そうしている間にも、ウグイス嬢は事務的な口調で報告を始めた。
『ゲーム開始より、12時現在までの死亡者――

 読売ジャイアンツ 岡島秀樹 背番号28 1億600万円
 読売ジャイアンツ 江藤智 背番号33 1億5500万円 
 読売ジャイアンツ 工藤公康 背番号47 2億9000万円
 ヤクルトスワローズ 五十嵐亮太 背番号53 1億7500万円
 広島カープ 緒方孝一 背番号5 1億2000万円
西武ライオンズ 森慎二 背番号11 1億2500万

 以上 6名 総額9億8500万円

 これによりまして、残り60名。現在の年俸総額は、124億9580万円
 となりました。
 続いて、禁止エリアの発表を行います――』
 ウグイス嬢の声が淡々と響く。
(なんてこった――)
 清水は愕然とした。6名? もうすでに、6人の死者が出ているというのか。
 すでに死亡者が出ているということ自体衝撃だが、特筆すべきは、ライオンズの森を
除けば、名前を挙げられたのがセリーグの選手ばかりだということだ。
 人数の差があるのは確かだが、だからといって死者を出した言い訳にはならない。
 まさか全員が自殺であったり、一人の人間に殺されたというわけはないだろう。
 ここから考えられるのは、セリーグの選手の中に、すでにこのおかしなゲームに乗って
いる人間が複数いるということだ。

255 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:20:48 ID:tV/nhuX10
『14時30分 C-3
 14時30分 C-3

 該当するエリア内で行動中の参加者は速やかに移動して下さい。
 次の定時報告は、午後6時を予定しております。
 皆様の御健闘をお祈りします』
 プッ――とマイクの切れる音を最後に、第一回目の『定時放送』が終わる。
 島全体を支配したのは、墓場のような静寂だった。
「C−3……だって……?」
 絶望的な沈黙の底から何とか這い上がり、清水は声を絞り出した。
(ちょっと待て、確かC-3は……)
 慌てて、手にしていた地図を確認する。
 予想通りだ。
 瓢箪型になった小さな島の、丁度西側の窪みと、中央の疑似東京ドームを含む禁止
エリアの間の部分。
 その一体を綺麗に覆っているエリア。
 ここが、14時30分から禁止エリアとなる。 
 つまり、南から北に、もしくは北から南に行きたければ、西側の人間は東を迂回
して行かなければならないということだ。
(なんてこった――)
 14時30分
 あと二時間半。
 セ・リーグの人間が大挙して東側に押し寄せてくる――
 その中に、殺人鬼が一体何人いるのか。
 物言わぬスピーカーに力なく背を預け、清水直行は天を仰いだ。
 清々しい青空の下、先ほど聞いた歌が耳の奥で反響した。
『だから僕たちみんな、野球場へゆこう』


【残り60名 年俸総額124億9580万円】

256 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/10(火) 00:27:03 ID:tV/nhuX10
森慎二(L11) 死亡 【残り60名 年俸総額124億9580万円】

に訂正します。すみません。

257 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/10(火) 03:46:51 ID:ZT8nCPnY0
「鬼を斬れるか」

たった今聞こえた放送に高橋は呆然と立ち尽くし、阿部はすかさずメモを取り始めた。
「…そこで休みませんか?」
禁止エリアをメモし終え、手前の茂みを指差し、先に言葉を出したのは阿部だった。
「…オカジーってさ…良い奴だったよな。仲間に殺されるような…奴じゃなかった。」
今の放送を聞いたか聞いてないか、青い顔のまま、絶望的な、悲痛な瞳で高橋はつぶやく。
「…なあ、これからもこういう目に合わなきゃならないのか?」

(このゲームが終わるまでは…その繰り返しだろうな…)
岡島の事はその序章に過ぎない。もう阿部は十分すぎるほど理解していた。
このゲームはそういう事だと把握しないと、生き残る事はできない…
静かに頷く阿部に、高橋はさらに瞳を揺らすが、やがて小さくため息をつく。

「今の放送…聞いたか?」
「もちろん。…江藤さん、工藤さんまで…」
死んだ仲間は岡島だけではなかった。それはさらに二人を暗い気持ちにさせる。
「巨人から3人も…一体何なんでしょうね。」
ため息交じりの阿部の言葉に、高橋は悲痛とも怒りともとれない表情で頷く。

「俺達の合計年俸は30億近い…そんなの知ってるけど、それでも皆で…助かりたかった。」
力ない足取りで茂みに入る高橋は、ぼそりとつぶやく。
「皆で…助かりたかったのになぁ…」
だが、それはあっさり叩き潰された。
「だれ一人欠ける事なく皆で…助かりたかったのに。」
何度も何度も皆で助かりたかったとつぶやく高橋に、阿部は何も言えなかった。

「それどころか…五十嵐、緒方さん、森さんまで…既に6人も…くそっ!
何考えてんだ…こんなゲームに乗る奴が、オーナー共の思い通りに動く奴が…」
既に数名は居る。高橋は歯ぎしりすると、手が真っ白になるくらいに強く、
日本刀の柄を握りしめる。

258 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/10(火) 03:47:27 ID:ZT8nCPnY0
「…こいつの名前ってさ、童子切安綱って名前らしいんだ。」
突然そんな事を言い、日本刀を見せる高橋に、阿部は首を傾げる。
「源のなんとかって武士が酒呑童子っていう鬼を切った刀らしい。
…と説明書に書いてたんだけどまぁ、そんなの伝説に過ぎないんだけどね。」
「鬼…ですか。」
「そう。俺達にとって鬼はあいつら…あのオーナー共だけどね。でも、それに乗る奴は
その鬼に魂売った奴で、二岡みたいに尋常じゃなくなった奴は…鬼に飲まれた奴だ。」
淡々と語る高橋に、阿部も頷く。
「鬼と化した奴も、飲まれた奴も平気で人を殺す…ですか。」
哀れな岡島を始めとした犠牲者達を思いだす。
「この先…鬼と化した奴、飲まれた奴等が一体何人出てきて…何人犠牲になるのかね?
俺は鬼と遭遇した時…こいつを振るう事ができるのか?」

高橋は立ち上がると、鞘を抜き、重厚に光る反った刃を眺めると、バットを振る勢いで
斜めに茂みを切りつける。
「鬼になりたくてなった訳じゃない鬼を…斬る事ができるのか?」
バサバサと斬られた葉が舞い上がる中、高橋は振り返る。
「斬った時点で…俺も鬼になっちまうんじゃないか?」

「…でも…」
悲痛につぶやく高橋に、阿部はぼそりと答える。
「慎之助?」
「いえ…」
阿部が言いかけた時であった。

「…!」
ガサガサと茂みをかき分ける音と同時に現れた人影。
目を不安と恐怖でキョロキョロさせ、引きつった顔で現れたのは高橋にとって
良く知った姿、井端弘和(D6)だった。
「井端!」
他球団選手とはいえ、川上と共に親しくしている井端に、高橋は笑いかけるが、
ビュン、と風を切る音に思わず目を見開いた。

259 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/10(火) 03:48:04 ID:ZT8nCPnY0
「く、来るなっ!ひっ…近寄るなよ!」
サバイバルナイフを子供みたいにブンブンと振り回し、威嚇する井端に、
高橋は眉をしかめる。どうやら井端は恐怖のため尋常ではないようだ。
「井端!俺だよ!なあ、俺だって!」
「!来るな!来るなよ!」
「井端…大丈夫だから、俺達と一緒に行こうぜ。」
「……一緒に?」
微かに落ち着くように手を止める井端に、高橋は頷く。
「そうだよ。憲伸も探そう。で、皆で一緒にここから出るんだ。」
「憲…伸?」
「そ、川上憲伸。あいつと俺とお前はチーム違うけど、いつも遠征試合前に
くだらねえ事言い合って遊んでただろ?」
「……」
「で、試合終わったら大抵飯食いに行ったじゃん。独身三人で何やってんだって
必ず誰かが愚痴ってさ…」
そんな高橋の言葉に、井端は微かに思いだしたのか、小さく笑う。
「そんで最後はやっぱ男友達だよなぁって終わってさ。
大丈夫、憲伸とも絶対に会える。お前と会えたようにな。」
「憲伸と、お前と…お前等は…大丈夫、なのか?」
相変わらず瞳をキョロキョロさせたまま、混乱しているようだが、
それでも何とか会話が通じるようになったようである。
「当たり前だろ。後はこいつ、慎之助も一緒にな。お前も何度か飯食った事あんだろ?」
高橋は一歩、足を踏みだした。
「俺達ならここから出れる。俺達なら大丈夫だ。だから一緒に行こう。」
もう一押しだ。まだ恐怖で顔を引きつらせる井端に、高橋がさらに歩み寄った瞬間…

「ひいっ!や、やめろ!撃たないでくれ!」
「…井端?…!し、慎之助!」
再び狂気の色を浮かべ、叫ぶ井端の視線の先にあるのは、無表情で銃を構える阿部だった。

260 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/10(火) 03:48:40 ID:ZT8nCPnY0
「慎之助!お前、何やって…井端っ!」
「嫌だ!助けて…助けてくれっ!嘘つき…嘘つき!」
「井端!待て!まっ…」
狂気の悲鳴を上げながら一目散に逃げ去ってしまった井端に、高橋は暫し絶句するが、
やがて憤怒の表情で阿部に振り返る。
「威嚇しただけですよ。殺す気なんてありません。」
静かに銃を降ろす阿部に、高橋は憤怒のまま詰め寄る。
「お前なあ!何で…!」
「…俺達は生き残るんだ。」
怒号する高橋に、阿部は挑むようににらみ返す。
「余裕ぶっこいてる場合じゃないでしょう…」
「余裕…?」
「…頼むから…理解してください。由伸さんだって見たでしょう?
…ここは仲間が仲間を平気で殺す世界。マトモな世界じゃないんだ。」
首を振る高橋に、阿部はさらに現実をつぶやく。
「俺と由伸さんは生き残る…それは簡単な事じゃない。
鬼に怯える…井端さんみたいな人を抱えちゃ命取りになるかもしれない。」

鬼と化した者、鬼に飲まれた者が敵なら…鬼に怯える者は足枷にしかならない。

「…余計な荷物を抱える余裕なんて無いんですよ。」
二岡が岡島を殺すという惨劇を突きつけられた今、余裕なんてものはどこにもない。
「…余裕なんて…ないんだ。」
阿部は悲痛に声を震わせ、もう一度つぶやいた。

【残り60名 年俸総額124億9580万円】

261 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/10(火) 03:56:26 ID:ZT8nCPnY0
方言について色々指摘がありましたが…すみませんでした。
自分は関東人ですが、これから方言使う選手を書く事がある場合、
分かる限りの方言を使わせてもらう形となると思いますが…
以後、気をつけますのでお許しを…

262 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/10(火) 15:05:37 ID:GQJH3BM00
>>261
>>235ですが、そこまで謝る必要はありませんよ。
どうかあまり気にしないでください

263 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/10(火) 19:23:35 ID:SjNTpc2C0
職人さま方お疲れ様です!
清水頑張れ頑張れ、仁志走れんのか?!
こっちの地味様はどうする?
井端・・・お前相変わらずだな・・・。

264 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/11(水) 00:26:36 ID:E0DD8dTE0
ヨシノブの刀は童子切安綱か。なるほどなぁ。
井端は…二岡とは異なるキレっぷりだね。

265 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/11(水) 01:38:13 ID:jq7ay3WR0
とうとう午後に突入か……

266 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/11(水) 17:13:09 ID:ixedpvpf0
>>261
あんまり気にしないでくれ
いっつも楽しく読ませてもらってるよ

267 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/12(木) 20:35:54 ID:v3SGbx++0
職人様方乙です!
『Dream Park』『鬼を斬れるか』
うpしました

268 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/13(金) 23:41:52 ID:HGiTLMFv0
保管庫さん乙です!
ほしゅ

269 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/14(土) 23:45:11 ID:W6r7OeaA0
職人さんも保管庫さんも乙!!!

270 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/15(日) 09:12:32 ID:e5Db805aO


271 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/16(月) 13:26:29 ID:ZC7OjaQbO
保守城島VStanisige

272 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/17(火) 15:12:53 ID:mapc9XQAO
古田vs矢野

273 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/17(火) 16:58:12 ID:qLZaw5HbO
保守age

274 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/17(火) 17:01:22 ID:7MXIXsDYO
川相vs井端

275 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/18(水) 08:58:10 ID:tlgsM4MqO
松坂vs上原

276 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/18(水) 15:06:13 ID:35BafgQH0
41氏作の参加者名簿再うpしようとおもったんですが
重すぎてうpできない・・・orz
どうすればいいんでしょうか・・・

277 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/18(水) 16:23:31 ID:fBcdsMYrO
サーバーの容量オーバーってこと?
劣化覚悟で圧縮するか、容量無制限で使えるところに乗り換えるか、
もうひとつ別のところ借りて画像だけそっちにうpするとか

278 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/18(水) 16:54:15 ID:73uNGXWT0
>>保管庫氏
画像作った奴です。
上限が何KBか教えていただければ、画質落として再うpします。

279 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/18(水) 20:34:01 ID:35BafgQH0
>>278
0.5Mまでです
お手数おかけして申し訳ありませんorz

それと遅くなってしまいましたが、
要望があったので職人様別インデックス作りました
選手別インデックスも欲しいとのことなので今製作中です

280 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/18(水) 21:57:02 ID:73uNGXWT0
ttp://syobon.com/mini/src/mini14148.jpg.html

多分これでOKだと思います。

281 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/18(水) 22:13:25 ID:A+WcRRYG0
保管庫さん41氏乙です!
作者別・選手別インデックスは読み返す時便利で(・∀・)イイ!
作るの大変だと思うけどガンガッてください!!

282 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:08:26 ID:4HhyEnBp0
『風変わり風任せ』

「さて問題です」
 唐突に、クイズ番組風のナレートが始まる。
「民家があります。鍵が開いてます。ちょっとだけ中が見えます。覗いてみます」
 一人レポートをしながら、佐伯貴弘(YB10)は目の前の民家の扉に張り付いて中
を覗き見た。
 数センチの隙間から見えるのは、ごくごく一般的な、昔ながらの木造建築の土間
だ。立て付けが悪いのか、段差が少し傾いて見える。
 その手前に、きっちりをかかとを揃えて並べられた、一対のスパイクシューズ。
「…………」
 一対のスパイクシューズ。
「靴があんねん!!」
 小声で叫ぶ、という器用なことをやってのけながら佐伯はもう一度確認するように
そっと玄関を覗いた。
(脱いでる! 誰やこの状況で靴脱いで家に上がるやつ!!)
 よほど礼儀正しいのか危機感がないのか変人なのか。突っ込みどころがありすぎて
自然にテンションが上がってしまう佐伯。
(っていうか誰かいる!)
 靴以前に突っ込むべき部分である。

 太陽が上りきった頃。かく言う理由で、とりあえず休む場所を求めて地図を頼り
に民家にたどり着いた佐伯は、その入り口で立ちつくしていた。

 今の状況で分かることは三つだ。
 休む場所がある。だが先客がいる。しかも少々変わっている。
(どないしょ……)
 つまりは、そういう問題である。

283 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:08:45 ID:4HhyEnBp0
(靴脱いでるような奴が攻撃しかけて来るとは思えへんし……いやいや、むしろ
そう見せかけて俺みたいな善良な人間をだまくらかそうっちゅーやつかもしれん……)
「うーん……うーん……。うぅ〜〜むむむ……」
 ふざけているようなうめき声を上げながら、戸口にしゃがみ込んで真剣に考え込む佐伯。
「人ん家の前でなにうんうん唸ってはるんですか」
 ガラリ。
 と何の前触れもなく開いた引き戸の向こうから、淡々とした声が降ってくる。
 驚いたようでも、怯えているようでもない。呆れられているというのが一番近い
かもしれないが、そういった感情も読み取れない口調。しかも関西なまりの。
 顔を上げると、やけに上の方に付いたのっぺりとした顔が、静かに佐伯を見下ろ
していた。
「あ、イマエくんや!」
「イマオカです。ウンコなら茂みの中でどうぞ」
「誰がこんなところですんねん! 俺は犬か! 野良犬か!?」
「冗談です。上がりますか?」
 返事も聞かずに奥に引っ込む。そんな今岡誠(T7)につられ、佐伯はそそくさと
玄関に滑り込んだ。
「どうぞ、何もありませんけど」
「……てかここ自分んち?」
 我が物顔で占有する今岡に、一応突っ込んでみる。勿論それに対するレスポンス
はなく、今岡はすでに奥の囲炉裏室で腰を下ろしていた。
「いつまでもそこにおったら、寒ないですか?」
 土間に突っ立ている佐伯に向かって、気遣ってくれているらしい今岡の声が飛ぶ。
「……お、おぅ」
 とりあえず敵意はなさそうだ。得体の知れなさはあるが。
(ええい! とりあえずいっとけ! 佐伯貴弘!)
 寒いし、歩き疲れてしんどい。ここは腹を括って家に上がることを決意する佐伯。
 思わず靴を脱いで上がりそうになって、やめた。自分まで危機感のない変人に
なってしまう。それは勘弁してもらいたい。

284 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:09:02 ID:4HhyEnBp0
 佐伯がスパイクのまま上がると、今岡は取り立てて嫌な顔もせず、向かいの席を勧めた。
 座布団は自分で出さなければいけないらしい。部屋の奥には数名分の布団が積まれ
ていて、その隣に同じように座布団が積まれていた。そのうち一つを手に取り、埃を
払ってから囲炉裏を挟んで今岡の向かいに座る。
「煎茶でいいですか?」
「ほうじ茶あんの?」
「ないです」
「あっそ……」
 間髪入れず答え、手元に置いた急須でお茶を入れる今岡。もとより茶葉の種類に
選択肢があったようには思えない。
(なんっか、調子狂うなー……)
 どこか浮世離れした今岡を相手に、佐伯は頭を掻いた。
 勧められたお茶をすすると、温かい煎茶が口の中に広がった。状況を忘れ、思わず
まったりしてしまう。
「はーーーーうま。」
「…………」
 今岡は答えない。間が悪くなり、佐伯も黙って茶をすすった。
「えーと……放送聞いた?」
 話題もないまま時間が進み、ようやく佐伯が絞り出した問いかけに、今岡が頷いた。
「ハイ」
「なんやろ、なんか、信じられへんよな。正直、まだ半信半疑やわ」
 本当か嘘かは分からないが、放送によるところ現在の死亡者は6名。うち5名は
セリーグの選手だ。単純に考えて、同じリーグの選手に殺人鬼が潜んでいることになる。
 放送を信じるならば、だが。
 そんな話をしながらも、彼の表情が変わった様子はない。どんな顔かと言われれば、
すました顔、という表現が一番近い。
「本当なら、ショックですよ」
「……真剣?」
「真剣です」
 無表情のまま、糞真面目に言い返す今岡。先ほどから眺めていても表情に変化は
ないが、もしかすると少しむっとしているのかもしれない。

285 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:09:18 ID:4HhyEnBp0
(よう分からんねんなー、こいつ)
 内野から見ていても、たまに意味の分からない球を唐突にホームランにする。実に
気持ち悪い。
 こうやって面と向かって話していても、どうにも、どこまで本気で言っているのか
分かりにくい。勿論、同僚の死を悼んでいないことはないだろうが。
「許せませんね」
 膝の上で握りしめた手に微かに感情の動きを見た気がして、佐伯は身を乗り出して聞いた。
「どうするんや?」
「何もしません」
「しないの!?」
「俺一人が立ち向かってもどうもなりませんから」
 茶をすすって言い切る今岡誠。座右の銘は『波風立てず』。
「そりゃそうやけど……」
 しっくりこないまま、手にこぼしたお茶をアンダーの袖で拭いていると、逆に今岡が
問い返してきた。
「佐伯さんはどうしたいんですか?」
「え? 俺?」
「立ち向かいたいんですか?」
「そりゃあ……」
 なんとか出来るに越したことはないだろう。
 だが、自分一人が立ち向かってもどうにもならない。
 今岡の言葉は、正直すぎるが実に的を射ていた。
「正直ずっと考えてるんやけどなぁ……分からんわ。――そんで」
 空になった湯飲みを置き、佐伯はこれまでに達した結論を述べた。
「あんまり考え込むのもらしくないから、考えんことにした」
 それはまったく、何の解決策にもなってはいないが。
「ぐじぐじ悩むのも、自己嫌悪に陥るのもアホらしいやろ。悩んでも悩まんでも状況
が変わるわけやないなら、悩まん方がマシやわ」
 何も今すぐ自分の道を決める必要はない。
 選ばなければいけない分かれ道が来たら、それはその時缶でも蹴って決めてやれば
いいことだ。
(ここまでくりゃ、風任せだ)

286 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:09:52 ID:4HhyEnBp0
 なるようになると思うしかない。
「正解かもしれませんね」
 意外なところで同意をもらってしまい、少々驚く。
 顔を上げると、感情の起伏が少ないイメージのある男が、柔らかい笑みを湛えていた。
「よし!」
 唐突に、ポンッと佐伯が膝を打った。
「俺と組もか」
「何ですか。漫才コンビですか?」
「そう」
「そこ否定してください」
「相方おらんと、ひとりでボケて突っ込んでるのもむなしいしー」
 今岡本人の意志を確認しないまま、一人ヒートアップしていく佐伯。
「ってことでイマエくん!」
「イマオカです」
「わざとやがな! 君、どうもノリ微妙やわ! ほんまに関西出身か?」
 お前のノリが微妙だ。とはもちろん今岡は言わない。
「生粋のアマですけど」
「出た! アマ! ジモティー用語!」
 ビシッ! と、無駄にチェキラポーズを入れて大喜びの佐伯。
 ちなみにアマとは尼崎(兵庫県)のことである。
「元気ですね、佐伯さん」
 佐伯の妙なハイテンションにも、臆さずついていく今岡。
「よろしゅう! ハマナカくん!」
「イマオカです」
 しっかり訂正しつつも、佐伯が差し出してきた手を握り返す。
 ドォン!!
「え」

287 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:10:10 ID:4HhyEnBp0
 その瞬間、震度7を軽くぶっちぎる地揺れが襲った。
 状況を理解するよりも先に、室内に異変が訪れた。
 轟音と共に、家具も壁も全てが一定の方向に吹き飛ぶ。大相撲の結び一番のように座布団
が乱舞する。
 部屋の隅に積まれた布団もまた、その衝撃にモモンガのようにジャンプした。――佐伯めがけて。 
 思わず、水族館の巨大エイに襲われる飼育係を想像した。 
「ぎゃぁぁぁぁ!?」   
 吹っ飛んだ。
(布団が!)
 佐伯も。
「ぶへっ!!」
 もしかしたら一瞬意識が飛んでいたかもしれない。布団に埋もれた苦しさから佐伯が這い
出ると、そこは元いた民家の囲炉裏部屋ではなくなっていた。
 家の半分が、台風の暴風にでもなぎ倒されたかのように崩れ落ちている。
 青空が見える。屋根も斜めになっていた。どうやら傾いた柱に支えられ、辛うじて下敷き
にならずに済んだようだ。
「な、なな、な……!?」
 混乱したまま身を起こすと、ガラガラと音を立てて布団の上に積まれた瓦礫が落ちた。
 この瓦礫の雨を生身で食らっていたら一溜まりもない。
(サンキュ……布団……)
 襲うと見せかけて、暴れ出した鮫からスタッフを救ったエイというところだろうか。
 危うく佐伯が布団との友情を育みかけていると、ガラッ、と瓦礫の一部が盛り上がり、
埃まみれの第二の布団が現れた。
 同じく突然の空襲にあった今岡が、被っていた布団を持ち上げて姿を現す。
「今岡! 無事やったか!」
「気付かれたみたいですね。この家にいること」
「誰が!? 何で!?」
 屋内にいる佐伯と今岡を狙い、何者かに攻撃したのは間違いない。青空の見える家と
なってしまった民家の残骸に隠れながら、二人は辺りの様子を探った。
 後ろを振り返ると、10メートル程先を中心に容赦のないクレーターが出来上がって
いた。直撃が免れたのは、不幸中の幸いと言える。

288 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:10:46 ID:4HhyEnBp0
「あの辺ちゃうか」
 クレーターの先には切り崩した山肌がある。赤茶けた土と石の壁が続き、その上には
背の高い繁みが見えた。奥は森だろう。
 これだけの威力の爆発物を、当人には危険が及ばないように投げ込むには、この周辺
ではあの上くらいしかない。
 一応の当たりをつけて警戒していると、隣の今岡が口を開いた。
「放送の少し前に、近くでさっきみたいな地震があったんですよ」
「地震じゃないやろ!?」
 明らかに人為的な爆発だ。
「比喩表現です。誰かが誰かを爆発物で攻撃していたみたいで」
「逃げろよ!?」
「大人しく家にいる限りは気付かれませんから」
 それはそうかもしれないが。
「じゃあ何、相手が気付いたのって俺!? 俺のせいですか!?」
 玄関先で唸っていた佐伯を家に入れるために、今岡は戸口から顔を出してしまった。
 これで少なくとも二人は屋内にいることがばれてしまったはずだ。
「言いにくいですが佐伯さんのせいです」
 たいして言いにくくもなさそうに言い切る今岡。
「………………ごめんなさい」
 素直に謝る佐伯。
「ま、まあ過ぎたことは仕方がないとして。おい、どうするよイマ」
「イマオカです」
「こんな時に間違えるかい!」
「死ぬしかないでしょう」
「死ぬの!?」
 何の努力もなく、あっさりとその結論に達する今岡。
 そんなことを言い合っている間にも、当たりを付けていた辺りから赤いカプセルが
飛来してくる。あれが爆発物だろう。
 死を誘う赤と鉛色の手榴弾が、くるくると回転しながら落ちてくる。

289 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:11:35 ID:4HhyEnBp0
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!?」
 逃げられない。佐伯は思わず頭を抱えてしゃがみ込んだ。
(待て男佐伯貴弘35歳!! こんな頭隠して尻隠さずの状態で死ぬ気か!? せめて
何か、ここは男らしく死ぬ前に言い残すことは――!?)
 有終の美を飾るべく、決め台詞を必死に探す。
「ベイスターズばんざぁぁぁぁい!!」
 戦争物アニメの悪役のような台詞しか思い浮かばなかった。
「……あれ?」
 しゃがみ込んだまま数秒が過ぎる。予想していたはずの衝撃が来ない。
 顔を上げると、立っていた今岡がある一点を見下ろしていた。つられてそちらに
視線を移すと、レッドカラーの入った鉛の塊が転がっていた。
「俺のベイスターズ愛が通じたのか……?」
 ありがとうホッシー。さようならブラックホッシー。
「冗談は置いておいて」
 心底感動している佐伯の言葉をあっさり切り捨てる今岡。
「イタリアの赤い悪魔ですね」
「なんで知ってんの」
 近づいてしゃがみ込んだ今岡が、手を伸ばしてそっとそれを拾い上げた。
「お、おおい!」
 何かの拍子に爆発するかもしれない。思わず声を上げる佐伯の心も知らず、淡々と
説明する今岡。
「点火後時間が経つと爆発するタイプやなく、衝撃を与えることで爆発するものです。
作動が不確実なのが欠点なんで、これは不発弾でしょう」
「だったら触ったらあぶあぶ危ないやろうが!!」

290 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:11:59 ID:4HhyEnBp0
「……もう一度衝撃を加えたら、爆発するかもしれませんよ?」
 そう言った今岡が、少し笑った、気がした。
「ほえ?」
 惚けた声を上げる佐伯。その間にも今岡は後ろに下がり、十分な助走の距離を取る。
「おい、おま、ちょ」
「はいれぇ!」
 よく分からないかけ声をかけながら、今岡が遠投の要領で、手榴弾が投げ込まれた
とおぼしき場所に向かって『赤い悪魔』を投げ返した。
 足は遅いが肩は強い今岡が投げた手榴弾は、綺麗な放物線を描いて順調に飛距離を
伸ばしていく。
 コツン
 と、茶色い山肌の上の方にそれが当たった瞬間。
 ――ドォン!!
 轟音と共に派手な砂煙が当たりを覆う。
「げほっ! ごほっ! 痛! 目ぇ痛! 砂入った! ――ってどぇぇ!?」
 どこまでも騒がしい佐伯の喚き声が、晴れた砂埃の後に現れた光景を最後に、途切れた。
 作動が不確実という役に立つのか立たないのか分からない『赤い悪魔』は、見事に
主人がいたはずの山肌を抉っていた。
 その部分だけが、隕石でも追突したように削れている。あまり比喩になっていないが。
 ハリウッド映画の中のような光景を、佐伯はその場に腰をついたまま口を開けて眺めて
いた。正確には、腰が抜けて動けない。
「直撃したわけやないから、運が悪くない限り死にはせんでしょう」
「ハ、ハハハ……」
 乾いた笑いしか出ない。
 開いた口の中に砂が入ってまずい。
「君、なかなかやるなぁ……」
 ユニフォームの埃を払う今岡を遠巻きに眺め、佐伯は呟いた。


【残り60名 年俸総額124億9580万円】


291 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/19(木) 00:13:55 ID:4HhyEnBp0
>>279
保管庫様乙です。
いつもありがとうございます。

292 :代打名無し@実況は実況板で :2006/01/19(木) 01:04:02 ID:5rKHxvyp0
佐伯今岡、おもしろかった

293 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/19(木) 01:12:40 ID:rWV4aTPR0
>>279
保管庫様乙です!
インデックス大変助かります。ありがとうございます。

>>2氏
ああそうか、こうやって使うのか…
いつも勉強させて頂いてます。自分も精進します。



294 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 01:24:55 ID:Zlf+gZZy0
職人様乙です!
佐伯×今岡(・∀・)イイ!

295 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 01:36:19 ID:O+b80WG8O
職人様乙です!
赤い悪魔が再び・・・

296 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 02:22:24 ID:0JDMPc7HO
職人様乙です!
男前×今岡ワロスw

297 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 10:12:24 ID:IiGVjqmTO
乙です!
マイペース組ワロスww
結局モナ岡にやり返されたやつ誰だよw

298 : ◆mRM.DatENo :2006/01/19(木) 17:54:23 ID:yY7zMwLW0
【生きて帰るため】

「……洒落にならんな。一体全体誰がこんなことを考えたんだ」
支給された武器を携えながら、前田幸長(G29)は一人呟いていた。

道具を支給されて擬似ドームを出ても、今一つ実感が持てなかった。
なぜ殺し合いをしなくてはいけないのか。楽天自体にそこまでの嫌悪感はないが、人殺しをして生き残らなければならないと言う、
突如突きつけられた条件に前田はどこかジョークのような感覚を抱いていた。
そう、ジョークにしてはあまりにもリアルなものを見てしまうまでは。

当初前田は、同僚である読売巨人軍の選手達と組むつもりだった。
10億以内に収まればいいのだから、どうするにしろ誰かと組むに越した事はない。睡眠もとらなくてはいけない以上、一人だとリスクが高い。
まだ現実を突きつけられる前でも、そうした思考はできていた。
だが、そう思った直後に前田が見たのは。

(桑田……さん!?)
人影を見て咄嗟に物陰に隠れたが、やってきたのは同僚であり投手としての先輩でもある桑田真澄だった。
姿を現して、情報交換と可能なら同盟を組もう。投手として模範になり尊敬している桑田さんなら、きっと大丈夫……そう前田は思っていた。
しかし、その期待は脆くも崩れ去ることになる。

近づいてきた桑田は、前田の知る桑田真澄ではなかった。
もともとポーカーフェイスでどこか冷たいほどの印象を与える事のある桑田だが、今の彼は冷徹そのものといった表情をしていた。そして何より、見たことは無いが確実に人を殺せるであろう銃。
出て行こうとした足が、いつの間にか竦む。

殺される。出て行ったら俺は殺される。きっと殺される。

桑田が通り過ぎるまで、前田は必死に気配を殺して隠れていた。

299 : ◆mRM.DatENo :2006/01/19(木) 17:56:22 ID:yY7zMwLW0
「乗っている。桑田さんほどの人が、積極的に殺すつもりなんだ」
桑田が去ってから、前田は必死にそこから離れた。ある程度の距離を走って、周りからは見えにくい窪地で身体を休める。
あの何かに憑かれたような桑田の表情が、脳裏から離れない。
「いや。あれは、俺の知ってる桑田さんじゃない」
ぶんぶんと頭を振って、そのイメージを振り払う。
そこに放送の音が聞こえてくる。江藤や岡島の名を聞いて、前田の困惑はますます深まった。

「これからどうしたもんかな……」
信頼できるともわからない巨人軍の仲間を探すか。それとも球団を渡り歩いてきた人脈を活かして他球団の選手と組むか。それとも一人でこの過酷な戦いに身を投じるのか。

前田の目的が「生還」にあることに変わりはない。あの暖かい家庭に戻りたいのだ。辛く厳しいペナントレースの疲れを癒してくれる、妻と子供達の笑顔のもとに。
「今頃どうしてるだろう……はぁ」
愛する子供の表情を思い浮かべる。
「ごめんな。パパ、家に帰れないかもしれない」
紐で首から提げて、ユニホームの中に隠したもの──長さ20cm強のマイクロウージーサブマシンガンに触れる。
今の自分は、ユニホームの中にマシンガンを隠し持っているような男なのだ。
そうしてもう一度深くため息をつこうとした時に、ずん……と重く鈍い音がした。

「なんだ……?」
爆発音にも聞こえた。誰かが戦っているのだろうか。偵察がてら行ってみるか。
日頃マウンドでも助けてくれる勘が、やめた方がいいと告げる。だがそれに逆らって、前田は走り出した。

300 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 17:57:46 ID:1GfRv0V/0
乙です
佐伯&今岡ワロスwwww

301 : ◆mRM.DatENo :2006/01/19(木) 17:59:06 ID:yY7zMwLW0
前田が辿り着いたのは、崖のような場所だった。
確かにさっきの爆発音はこの辺りから聞こえてきた。ひょっとしたら誰かがいるはず。
無意識に隠し持ったマイクロウージーに手を伸ばしながら、前田は歩を進める。すると。
「誰かいる……!」
見間違うはずはない。あれは確かに野球のユニホームだ。
そしてあの色は……もしかして。
「っ!!」
前田の姿に気づいたのか、ユニホーム姿の男はさっと身を翻してその場から離れる。顔は見えなかった。
「あっ、ちょっ、待ってくれっ!」
思わず声をかける。追おうとしてぐっと下肢に力を込めた前田の耳に、今度は別の男の声が届いた。
「……『はいれぇ!』?」
聞こえた言葉を反復して、その方向を見る。すると。
「……って何か飛んできとるしっ、何、どわぁっ!」

ボールじゃないと判断できたのが幸いだった。危険を感じ、咄嗟に跳躍してそこから離れる。直後、すぐ側で耳をつんざくような爆発音。
伏せていた身の上に、小石やら土やらが降り注ぐ。だが幸い爆発には巻き込まれなかったらしい。
身体が無事動くのを確認すると、前田は姿勢を低くしたまま声のした方向を見据える。人影が一つ。
「……あのユニホーム、阪神?」
それよりも第二波が心配だった。今の爆弾のようなものをもう一回撃ってこないとも限らない。
「に、逃げよ」
とりあえず人のいなさそうな方へ。さっき見かけたユニホームの男とは逆方向に。

それにしても、と前田は思う。
おそらくあの阪神の奴と戦っていたであろうユニホームの男。自分の目に狂いがなければ、確かにかつて自分が在籍していたチームの……。
前田は南へ走り続ける。何としてでも生き残るために、可能なら自らの手を血で染めずに済むように。

【前田幸長 G29(マイクロウージー) G方面へ】
【残り60名 年俸総額124億9580万円】

302 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 18:11:41 ID:1GfRv0V/0
割り込みスマソorz

303 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 20:11:46 ID:UbyrOOPu0
>>282-290
この2人をコンビにした発想がすごい
しかしモナは・・・変態クオリティの片鱗を味わったぜw

304 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/19(木) 20:26:30 ID:QbyWVcEM0
[ *`Д´ ]<組むってなればコンビ名決めなあかんなぁ
                 ・・・>(‘ ε ’;)

305 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/19(木) 21:27:28 ID:TA41lgNd0
41氏と職人様方超乙です!
>>280
とても助かりました、ありがとうございます!
お手数おかけして申し訳ありませんでしたorz

『風変わり風任せ』『生きて帰るため』うp、
41氏作退場順名簿再うpしました
それと保管庫板の方で指摘していただいたスペルミス、リンクミスも
修正しました。
ご迷惑をおかけしましたorz

306 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 00:57:42 ID:dl47LdGo0
>>304
[ *`Д´ ]<俺らの共通点ちゅーたらやっぱ K A N S A I  出身ってとこやな!
        『関西キッズ』でどうや!?カッチョエエヤロ!?

    モロぱくりな上にキッズでもないモナ>(‘ ε ’)

307 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 02:05:54 ID:gQLuBvOO0
>>282-290
ジモティー用語が何かとずっと考えてて、今頃やっと地元用語のことか!?と気づいた俺…
「波風立てず」「はいれぇ!」ワロスwww
このコンビめっちゃ和む。

>>298-301
前田も誰かと合流出来ればいいな。
狙撃者……次の展開にワクテカ

308 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 02:19:02 ID:s+Q+74uA0
前田が在籍してたチームってーと中日とロッテか

309 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/20(金) 11:07:25 ID:w89T5ipjO
今選手別インデックスを作っているのですが、
死亡後に話にでてきた選手(五十嵐など)はどうすれば良いでしょう?
質問ばかりですいませんorz

310 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 14:45:20 ID:PmczVcsEO
細かい部分は保管庫氏の方で決めて良いて思いますが、
五十嵐と井川の話みたいに、死亡後でも五十嵐がメインの話とかもあるので
死亡後も登場人物として扱った方がいいかもしれませんね
頑張ってください

311 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/20(金) 18:07:29 ID:Z2Ou7vlZ0
『極めてのんきな男』


意識を取り戻すと、そこは甲子園でした。

「…んな訳あらへんよな。」

1人でボケとツッコミをしながら目の周りと頭を掻く。
軽く背伸びをすると埃っぽい空気が体の中に入り、思わず咳き込む。


桧山進次郎(T24)は薄暗い倉庫の中でうたた寝をしていた。
出来ることであればずっと寝ていたがったが、現実はそううまくいくものではない。
倉庫に着き、桧山が眠りに入ったほぼ30分後に放送が始まった。
それにより桧山はいやでも体が眠りから離さなければならず、起きざるおえなかったのである。



312 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/20(金) 18:07:51 ID:Z2Ou7vlZ0
もう1度背伸びをしつつ、桧山は背中のそれにすがる。
背中のそれとは、桧山の支給品。正しくは背中のそれの『鍵』が桧山の鞄の中には入っていた。
桧山がこの古ぼけた小さな倉庫にきたのも、今背にしているそれを確認するためだった。
振り返り、背を預けていたそれの輪郭を桧山の手がなぞる。
そしてある程度触ると、桧山は両手を頭の後ろで組んだ。腹筋を鍛える訳ではなく、ただ両手が余ったので。

「つか、ほんま訳分からんて。」

小さく呟く。訳が分からない、と。
確か自分は年末年始お約束とも言える番組収録をするために、テレビ局に行った『はず』だ。
そしてそこで同じく呼ばれていた金本や矢野、赤星らと一緒に話なんかしつつ、呼ばれるのを待っていた『はず』だ。
それで部屋にあったみかんか何かを食べていると暖房のせいか急に眠たくなって、机に突っ伏して寝ようとしていた『はず』だ。
で? 目が覚めたらそこはへんてこな建物の中で? 殺し合いをしろと言われて?
これで訳が分からなくならない方がおかしい。まるで何かの映画のようだ。
「わーけーわーかーらーんー。」
もう1度呟き、桧山は軽く頭を背中のそれにぶつける。
そしてユニフォームのズボンの右ポケットに手を入れると、鍵を取り出した。

天井と窓から漏れる暖かな光を浴びて、鈍く光るそれにはどこでも見るような鍵の他に『Billionaire-BattleRoyale』と刻まれただけの銀色のプレートが1枚ついていた。
鍵とプレートを繋ぐ丸い塊がいくつも連なったチェーンの部分を右手の人差し指の先に引っ掛け、目の高さに上げる。
上げる際の抵抗で鍵が揺らめき、それに釣られるかのごとくプレートも揺らぐ。
その度に光の反射が変わり、少し間を置きつつきらめく。

「…っていうかぁ、こんなもんもらったらますます訳分からんしやな…。」
桧山は苦笑いを浮かべると鍵を握り締め、立ち上がる。
服についた埃を払い、革張りされたそれの一部分も同じく払う。
「一応、殺し合い言いよったけどドッキリちゃうん?」
握り締めた右手を広げ、それの鍵穴に手の中の鍵を差し込む。

313 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/20(金) 18:08:16 ID:Z2Ou7vlZ0



桧山に支給されたもの、それはスーパーカブ50 スタンダード。通称、カブ。
街中でよく会社員が乗っているのを見かけるあれだ。白と緑のコーティングが施されていることの多い、あれ。
しかもところどころ塗料が剥げていたり、スタンドの部分が黒ずんでいる辺りを見ると中古であることは間違いないといってもいいだろう。

「殺し合いやろ? もっとあのー、銃とか支給されるんと違うん?」
そうひとりごちつつ、座り込んでエンジン部分を覗き込む。
「それとも何? 俺クジ運無いとか?」
試しに指を入れてみると即座にぬめりを感じ、タールのようなものがこびりついていた。
適当な場所で付着したタールを拭うと、桧山はスーパーカブの座席の上に座る。
「っていうか俺原付持ってへんけどなぁ。」
ふと桧山は原付こと原動機付き自転車は免許が無ければ乗れないことを思い出した。
まぁでも大丈夫かなと根拠の無い自信を持ち、念のためと言って右手ハンドルを奥にひねる。
もっとも鍵は差し込んであるが、エンジンはかけていないのでスピードを上げる真似だけ。

そうのんきに独り言を呟いていた桧山であったが、そのうち倉庫の中で乗るだけに飽きてきた。
カブから離れ、倉庫の隅からしばらく座り込んで見つめていたが、思いついたように立ち上がると出口に向かった。
そして出口のシャッターを自分の身長ほどに上げると、再びカブの側に近づく。
「少しぐらいやったらええよなぁ。」
誰とも無く呟き、愛車となりつつあるスーパーカブを撫でる。


314 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/20(金) 18:08:39 ID:Z2Ou7vlZ0

―――島一周するぐらいならええよな?
心の中で自分に問いかける、間違いなく『YES』と返ってくる自分の心に。
桧山はいたずらをする子供のように笑うと、倉庫の中から探し出した白いヘルメットをかぶった。
きちんとベルトを閉じると、カブのハンドルを持ち、スタンドを足で払う。
するとタイヤが地面に接触する小さい衝撃が桧山の手に伝わり、両手と両足に力を入れるとカブが前に進んだ。
出口に向かってカブが1mずつ進むたび、桧山の心もときめく。

―――カブとかはじめてやんなぁ、チャリンコか車やったからなぁ。
―――えぇっとどうやったっけ? 鍵入れてエンジンかけて… ウインカーがこれで…
―――ま、どうにかなるわな。

出口を出ると南中した太陽光が直接桧山とカブにかかる。
あぁ気持ちええ空やな。きっと俺のためやろ。
持ち前のポジティブシンキング――悪く言えば自己中心的な考え方――で桧山は空を見上げ、右人差し指を上げた。


「日当たり良好、風は微風、おもかじいっぱーい!」


嬉々としてそう言うと、桧山はカブにまたがり、エンジンをかけた。
この先に待つことなど知らずに、のんきに。


【T24桧山(支給品: スーパーカブ50 スタンダード―通称・カブ) E−4】
【残り60名 年俸総額124億9580万円】

315 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 18:58:30 ID:BlpK8Xma0
職人様乙です!
桧山、「おもかじいっぱーい!」ってちょっとカワイスw
この先何が待ってるんだろうか…。

316 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 21:24:52 ID:AMko3OFQ0
>>311-314
桧山キター
これで阪神の選手は全て出揃ったことになるね

317 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 21:53:58 ID:leJre8CJ0
>316
あれ、片岡がまだじゃなかったっけ?
……どっちかっつーとマーダー属性な人だから出たら出たで心配だけどw

318 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/20(金) 23:37:19 ID:3fup0Usf0
重箱の隅ですまんが。免許のくだりは桧山のボケって事?

319 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 00:03:24 ID:hw/6hqhb0
>>286
今岡は生粋の宝塚

320 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 00:22:26 ID:rcTn6E+K0
同じく、今岡は宝塚出身じゃ?と思ってますた

尼崎出身は辻本賢人くんですな(ビリバトには関係ないけど)

321 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 00:26:53 ID:K6WdqoHcO
車の免許持ってるなら法律上は原付乗れるよね?
…まぁ俺も教習所で乗ったきりだけどさ。

322 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 01:44:28 ID:C31zM+RI0
便乗重箱の隅ですまんが。
「起きざる『を』えない」ですな

ひーやんがメット被ってカブ乗ってって絵がイイw


323 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 04:08:38 ID:qeGY44HY0
すいません。おもいっくそ思い違いしてました…orz
BBSに訂正しておいたので保管庫様よろしくお願いします。いつもすみません。

324 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 10:40:23 ID:h1GP6iPd0
免許は(今手元に)無い、つまり免許不携帯になるって事を言いたいんじゃないか?

325 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 11:03:49 ID:Ms/jK1Mb0
「(今)免許持ってへん」なら分かるけど「原付持ってへん」と言ってしまってるからなあ

326 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 16:11:23 ID:IH+Cr5bQ0
俺は車ばっかり乗ってるから、原付乗れること忘れたんじゃないかと思ったw

327 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 18:57:15 ID:K6WdqoHcO
まぁひーやんだしな。
原付でいかに戦うのか楽しみだ。一応燃料とかバッテリーとかはあるわけだけど…

328 :代打名無し@実況は実況板で :2006/01/21(土) 19:55:56 ID:NqZJh4s10
そろそろ激しい殺し合い

329 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 20:31:22 ID:qeGY44HY0
『解放の手立て』

 足がだるい。息が上がる。汗が噴き出る。
「はぁ……、はぁ……!」
 典型的な運動不足だ。
 片岡篤志(T8)は重い足を持ち上げ、一歩一歩山を登っていた。滴る汗を、アンダー
の袖で拭う。
 36歳の身体にこの強行はきつい。そう言えば、大げさだとか、身体を鍛えるのを
怠っていたからだとか、まだまだ衰えを見せない立派な先輩方に言い訳を封じられ
てしまうのだろうが。
 目の前の木の枝に左手をかけ、身体を引き上げた。落葉樹の山だ。足下には落ち葉
が敷き詰められ、スパイクでなければ足を取られもっと歩きにくかっただろう。
 右手にぶら下げた斧が重い。置いていきたいと何度も思ったが、今はこれだけが
片岡の身を守る武器だ。性能の良い銃器に比べたら、重くて小回りの効かない斧は
圧倒的に不利だが。
 東京ドームを囲む森を抜けたら、とりあえず皆落ち着ける場所を探して平地の民家に
向かおうとするだとう、と片岡は予想した。だから逆に山を登った。それだけだ。
 人は危険だ。人には会わない方が良い。
(地図にも載っていないような、山小屋が見つかれば最高なんやが……)
 息が上がっているのも、足がだるいのも、汗が絶え間なく流れているのも、ただ
山登りをしているからではない。
 その前の恐怖体験が、確実に片岡の体力と、精神を消耗させていた。

 ――パァン!
 それは一度目の放送が流れる、数時間前の出来事だ。
 疑似東京ドームを出てしばらく、途方に暮れて森の中をうろついていると、唐突
に手前の木の幹の一部が砕けた。
 己の血の気の引く音を聞きながら、片岡は一度だけ、後ろを振り返った。
 一瞬、10メートル程離れた木の陰から見えた、白っぽいユニフォーム。
(狙撃された……!)
 事態を把握し、片岡は走り出した。

330 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 20:31:42 ID:qeGY44HY0
 ――パァン! パァン!
 片岡の背を追うように、幾度となく銃声が響く。
 その度に周囲のどこかの木の幹や枝が爆ぜる音が聞こえたが、いちいちそんなこと
を気にしてはいられなかった。とにかく、その音が聞こえるということは、自分には
当たっていないということだ。
(逃げろ! 逃げろ逃げろ!)
 これだけ距離が離れているのだ。おまけに障害物も多い。『下手な鉄砲数撃っても
当たらない』の論理を信じ、片岡はがむしゃらに木々の合間をすり抜けた。
 どれくらい走っただろうか。相手を巻くようにくねくねと走ったので、距離はさほど
でもないかも知れない。やがて諦めたのか銃声が聞こえなくなり、片岡はようやく少し
歩を緩めた。
(一体誰が――もしかして――)
 背後から唐突に、片岡を狙撃した相手を思い返す。わずかに見えた白いユニフォーム
が、自分の着ている白のピンストライプと被って見えた。
 このゲームに呼ばれたタイガースの選手は、片岡を除いて7名。
 そのほとんどが一億円プレーヤーの名に恥じず、チームと優勝に貢献している人間達だ。
 その中には、片岡より年の上の選手もいる。
 負い目がなかったわけではない。
 もちろん彼らを尊敬はしていた。が、逆にプレッシャーになっていたのも事実だ。
 年齢も、環境が変わったことも、言い訳に出来ないだけの存在が身近にいることが。
 チーム内に大きなわだかまりがあったわけではない。だが、ある種の精神的な差異が
あったのは確かだ。それは、片岡が一方的に感じていたコンプレックスかもしれないが。
(落ち着けや、勝手に決めつけたら、あかんやろ)
 辛うじて残る理性が呼びかける。一番近い人間を疑うのは、一番最後だ。
 何も白が基調のユニフォームのセリーグチームは、阪神だけではない。
(だが――)
 もしかして、という気持ちが過ぎる。
 ろくにチームに貢献していないのにチームの年俸総額を底上げする片岡の存在は、
チームメイトにすら疎まれているかもしれない。
 そう思うと、急に足下の床が抜け、奈落の底に突き落とされる気持ちになった。
 暗い暗い穴。
 まとわりつく闇は、ねっとりと粘液のように片岡の思考を溶かしていった。

331 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 20:32:15 ID:qeGY44HY0
(6人――死んだ――誰かが殺した――)
 酸欠の頭で、定時放送後幾度目かの『6』という数字を巡らす。
 恐ろしい数字だ。恐ろしいけれども、些細な。
 66という数字から、6が減っただけだ。11分の1という、僅かな割合。
(11分の2、11分の3……)
 これから増えていくであろう割合の中に、いずれ己も含まれるのだろうか。
 ――嫌だ。
(なんでこんな目に……遭わんとあかんのや)
 嫌だ。誰かに狙われるのも、誰かを疑うのも、怯えるのも。
 パキリ。
 左手で掴んだ枝が折れた。持ち上げようとしていた身体のバランスが崩れ、危うく
仰向けに倒れそうになるのを、片岡は地面に突き立てた斧にしがみついて堪えた。
(クソッ……どこか、休むところは……)
 肉体的な疲労と、精神的な疲弊で霞む目を擦り、這うように険しい山道を登る。
 休息の地が欲しかった。誰もいないところ。安全な場所。眠りに落ち、全てが終わる
間で目を覚まさなくていいような。
「あった……」
 思わず、呟く。
 ようやく人が通れるような小道に出た。その道の先を目で追うと、すぐに小さな
山小屋にぶつかった。
 山人でも住んでいそうな朽ち果てた小屋。
 斧を持っている自分が、ユニフォームではなく然るべき作業着を着ていれば、
随分馴染んだのではないだろうかと片岡は思った。
(山小屋だ)
 こんなものは地図にも載っていないはずだ。誰にも見つからない。少なくとも
しばらくは。もしかしたら終わるまでずっと。

332 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 20:33:00 ID:qeGY44HY0
(終わるまで?)
 片岡は、自分の脳裏に流れた言葉を復唱した。
 終わるというのは、全員の合計年俸が10億を切るまでだ。
 124億8080万円分の命が消える。
 望んでいたことの実現を前に、片岡は初めてそれがどういう意味かを悟った。
 ――そうか、見殺しか。見ていないが見殺しだ。
 殺しているも同然だ。
(俺も――人殺しか……)
 そう思うと、誰にも見つからないよう隠れ、息を潜めて生きることすら苦しい。
 かといって死にたくない。自ら命を絶つこともできない。
(もう嫌だ。)
 助けてくれ、助けてくれ。
 考えすぎた思考がショートする。一本の電線の両端から電流を流したようだ。どこ
にも出口はない。
 苦しい。苦しい。苦しい。
 その言葉ばかりが頭を埋める。片岡はふらふらと小道に這い上がろうとした。あの
山小屋へ行かなければ。
 もう少しであの小屋に入れる。
 あのドアを開けたら、少し眠ろう。
 もしかしたら起きたら元の世界に戻っているかもしれない。そんな淡い期待を抱いて。
 
 ドアが開いた。
 
 なんてこった、先客がいたとは。 
 立て付けの悪いドアを開け、内側から出てきた人影は、見覚えがあった。
 否、この島にいる人間で見覚えのない者などいないだろうが。
 だがすぐに『それ』とは断言出来なかったのは、相手が奇妙なカツラを被っていたからだ。
 優勝祝勝会などで誰か必ず被る、ピンク色のアフロヘアー。
 おめでたい男だ。この絶望的なゲームに選ばれたことに乾杯。か?

333 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/21(土) 20:33:39 ID:qeGY44HY0
 男は片岡の存在には気付かず、小屋の裏手に回って立ち止まった。用でも足して
いるのだろうか。
 疎ましい。なんて疎ましい存在だろう。
 予想外の先客を、片岡は酷く疎ましく感じた。
 自分がこんなに苦しんでいるのに、休息すら許されないなんて。
 脳内の血流がゆるりと動き出す。ねっとりとした粘液に捕らわれたように頭がボンヤリ
する。身の回りの空気が、常温の液体のようだ。踏み出した足すらも、プールの中を
歩いているようにおぼつかない。
 無防備に背中を見せた男。
 背番号9。
『SHIMIZU』のローマ字。
 清水を見つけた。
(ああもう――)
 殺してしまえば、楽になるだろうか。


【残り60名 年俸総額124億9580万円】

334 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/21(土) 23:07:41 ID:xrmb0uXw0
乙です!
シミタン逃げてー

335 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 00:00:42 ID:rnY3EwPcO
職人様乙です。
シミタンどこまでも間の悪い…てか、二死タンはどうした?!

336 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/22(日) 01:12:43 ID:HsC1VlME0
「それぞれの共存方法」

「……既に6人も死んでる。ということは…」
「何人かはこのゲームに乗ってるんでしょうね…」
吐き捨てるようにつぶやくと、三浦は側に座る鈴木を見遣る。
「でも大丈夫ですよ。尚典さんは俺が…」
「大輔。」
守る、と言いかけた三浦の言葉を、鈴木は遮った。
「お前は昔から格好付けすぎなんだよ。マウンドの上ならいいけど、
こんなところで気取るもんじゃない。」
「そういうわけじゃ…」
「だったら尚更だ。俺を守ろうとか思うな。…迷惑だ。」
「……」
そんな言葉に俯く三浦に、鈴木はため息をつく。
「俺は…そういう利益求めてお前を待ってたわけじゃない。」
「尚典さん…」
顔をあげる三浦に、鈴木はにやりと笑うと、茶化すように手にある物体を見せる。
「これ、モロトフカクテルっていうんだってさ。早く言えば火炎瓶ってやつか。
こういう投げるやつは、どう考えても俺向きじゃないよなぁ。」
不良が投げるような簡易的な火炎瓶と異なり、クラシカルさが漂う、
ソビエト時代のマークが施された、触発式の本格的なそれに鈴木は笑う。
「そんなことないですよ。尚典さんはちょっと肩が弱くて、狙いを外すだけですから…」
「…やっぱりこれ、お前が持てよ。」
真顔で言う三浦に、鈴木は情けない表情で火炎瓶を渡そうとする。
「あ、投げないでくださいよ。渡すならゆっくりと…」
「なんだよ、その慎重さは…」
信用度ゼロじゃないかと鈴木が憤慨の声をあげた時…

「!…尚典さん…」
「ああ…誰か来るな…しかも複数。」
茂みをかき分ける音が響くなり、二人は顔を見合わせる。

337 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/22(日) 01:13:42 ID:HsC1VlME0
「尚典さん…俺の後ろに。」
「だから格好つけるなって…武器持ってるのは俺だろ?」
「…こんな茂みの中で外されたらあっという間に火の海の大惨事になるでしょ?」
「…お前、やっぱ俺を信用してないんだな。」
「信用してるに決まってるでしょ。でもここでそれをポロリされたら大惨事に…」
「そういうのを信用してない、というんだけど…」
そう思われるのも無理はないが…鈴木は情けない声を出す。

「…随分と楽しそうですね。」
「あ…」
いつの間に茂みをかき分けやってきた上原浩治(G19)の呆れた声に、鈴木と三浦はぽかんと振り返った。
「まあええけど。…へえ、火炎瓶ですか。中々怖いモン持ってるなぁ…」
「…それを問答無用で投げつける気か?それともこっちの出方次第、か?」
上原の横、落ち着いた声色で尋ねる宮本慎也(Ys6)に、三浦は首を振った。
「そっちの出方次第、です。俺はこのゲームに乗る気はないですよ。」
「なら安心せえ。俺らも現時点では自分達から仕掛ける気はない。…と言っても信用できんか。」
宮本はため息交じりに、上原に振り返る。

「…上原。この二人は…」
「ああ…残念ながらリストには入ってないですわ。」
リスト?と首を傾げる三浦と鈴木など目にも入らぬ様子で上原は答える。
「まあそうやろね。ほな上原、行くか。」
敵意剥きだしというわけではないが、決して友好的でもない二人に、
三浦と鈴木は顔を見合わせる。
「あんた達は自分達以外は信用しない、というわけですか…」
静かに尋ねる三浦に、今度は上原と宮本が顔を見合わせ、苦笑する。
「信用、ねぇ…お前達が考える信用と違うのは確かやね。」
ゆっくりと聡い喋り方をする宮本。それは以前と何も変わらないようだが、
この痛烈とさえ言える、拒絶する空気は明らかに以前と違い…

「…行こう、大輔。」
もうここには用は無いだろう。つぶやく鈴木に、三浦も頷き背を向ける。

338 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/22(日) 01:14:14 ID:HsC1VlME0
「そうやって簡単に背を向けるな。普通に会話出来たからって、
俺らに敵意が無いと簡単に決めるな。まだ始まったばかりやからサービスで忠告しとくけど…」
そんな宮本の声に、鈴木と三浦は振り返る。
「…お前等が火炎瓶持ってなかったら、ウォーミングアップがてらに
攻撃してたかもしれへんで?」
「…!」
にやりと笑う宮本に、二人は顔を引きつらせた。
「確かにこんな茂みの中で火炎瓶なんか投げられたら危険ですわ。」
「大輔!行くぞ!」
上原が頷くなり、鈴木はまるで未知の生物に怯えるかのように背を向けて全速力で走りだす。

「…尚典さん。背を向けるなって言われたばかり…」
呆れ声を出しながらも三浦は、注意深く二人を睨みながら、じりじりと後退していく。
「大輔!早く来いよ!」
「戻ってこないでくださいよ!今行きますから…」
全速力で戻ってくる鈴木を、慌てて押し戻すように三浦は後退し、茂みから消え去った。

「なんであんな余計な忠告したんです?」
咎めるわけでもないが、不思議であると上原は尋ねる。
「まぁ…あの調子じゃどうせ長生きできんやろうしね。」
「なるほどねぇ…」
「俺は今までファアザチーム、の意志でしかやってきたことがないからねぇ、
だからあの二人みたいに、情という絆で流されて組むのが楽なのはよう知っとる。」
苦笑とも憐愍の笑いともつかない表情で、宮本は言う。
「せやけどな、このゲームは楽して乗り越えられるもんやないやろ?
それを最初から楽な方向へ流れている時点で…長生きはできへんよ。」
「よう分かってますね。流石は宮本さん、や。」
真っ先に声をかけた甲斐があるというものだ。
自分のリスト上での最有力候補であった宮本に、上原は満足げに頷いた。

【残り60名 年俸総額124億9580万円】

339 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 03:08:37 ID:ObVHuuFmO
職人様乙です!
上原は宮本と組んだのか…
にしてもヤクルト勢皆コワス(((((゚д゚;)))))

340 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 03:35:45 ID:MPYg5NGs0
清水後ろー!そして仁志タンは…
ヤクルト勢は精神的に怖いな…好感持てる二人組もそりゃ逃げるわ。

下がりすぎなので浮上。

341 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 18:20:59 ID:604JMmqQ0
職人様方乙です!
片岡ぁぁぁぁぁぁ!(゚д゚;)
つか慎也さぁぁぁぁぁぁぁん……_| ̄|○
これがチーム対抗戦じゃなくてよかったと思ってしまった…ヤクルトテラオソロシス

342 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 23:00:43 ID:w4jJC5h/O
本能型マーダー(tanisige)を利用する岩村
情勢を見極めてゲームを制するつもりの古田
使えそうな奴と組む宮本

頭が良い奴らが多くて怖いな…

343 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:20:52 ID:PJyvkymz0
『ゴメン』

 急に寒気を感じ、仁志敏久は身を震わした。
「寒いな……」
 小屋の隅、一番入り口からは遠い場所に座り込み、仁志は肩にかけていた布きれ
を首元まで引き上げた。
 体温は高いのに体感は寒い。典型的な熱が上がっている時の症状だ。
 風邪を引いているというわけではなく、怪我のせいだ。
 爆破にやられた身体のあちこちが痛む。
 火傷跡。打撲。むち打ち。爆撃の後遺症か、肺や胃も気持ちが悪い。手榴弾に
攻撃されるのなんて初めてだから、どうすれば回復の近道だなんて分かるはずも
ない。それだけの設備も整っていない。
 出来るだけ身体を動かさないようにしながら、仁志は痛みが過ぎるのを待った。
 突然の空襲で意識を失った自分を、清水隆行が助けてくれたのは不幸中の幸いだった。
 彼がいなければ、自分はもうこの世にすらいないはずだ。例え後の攻撃が全て不発弾
だとしても、あのまま長時間の呼吸停止で死んでいた。定時放送の死者の数が、6から
7に増えていただろう。 
 すでに6人もの死者が出ているという報告に、仁志に驚きはなかった。自分が殺され
かけたのだ。66人も人間がいたら、それくらい死人が出ていてもおかしくはない。
「すいません、部屋の中全部探したけど、それくらいしか被れるものがありませんでした」
「いや、いいよ、ありがとう」
 カビ臭いボロ布だが、ないよりは遙かにマシだ。埃まみれになってまで探して
くれたのに、仁志の一言に申し訳なさそうに謝ってくる清水。何も清水を咎める
つもりがあったわけではない。礼を言い、仁志は更に身を縮めて暖を取った。
「お前がいてくれてよかったよ」
 痛む身体を押して仁志と清水は山へ登った。逃げ延びるために咄嗟に走ったものの、
途中動けなくなった自分を半ば背負うようにこの山小屋まで連れてきてくれた清水
には、本当に感謝している。
 年齢は違えど、96年の同期。
 俊足ルーキーコンビとして持てはやされ、新人王を争った。
 あれから10年。

344 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:21:25 ID:PJyvkymz0
 自分も含め癖のあるチームメイトが多い中で、仁志が一番気を許せるのはやはり
この男だった。
 清水隆行がどういう男かと言うと、クセがないところがクセ、としか言いようがない。
仁志自身がクセだらけだから、逆にこういう相手と一緒にいることが落ち着くのだろう。
 おおよそ絶望的なゲームだが、こういう形で彼と出会えたことに、一筋の光明が見えた
気がした。
「でも驚きましたね。もう6名も死者が出てるなんて……仁志さんもあんな目にあった
くらいだから、多分本当なんだろうな」
「五十嵐が……」
「え?」
「ゲートのすぐ近くで、死んでた」
「…………」
 繁みの中に横たわった遺体を、見つけてしまったのは不運だ。
 弔うように枝葉に身体を覆われていた五十嵐の顔は綺麗だったが、それで寝ていると
勘違いするほど仁志は現実を見えていない人間ではなかった。
 近づいて、生死を確認する必要はない。仁志は駆け足でその場を離れた。瞑目して、
弔ってやる余裕などなかった。
「一体誰がそんなことを……」
 清水が呟く。
「…………」
 答えず、仁志は親指の爪を噛んでその時のことを思い返していた。
 五十嵐はゲートのすぐ近くで死んでいた。
 ということは、ずっとあそこで佇んでいたのでない限り、誰か待ち伏せされて襲われ
たのだろう。
 そうなると、彼を殺したのは彼以前にゲートから出た選手になる。
 五十嵐はヤクルトの選手では一番背番号が大きい。
 だが、いきなり自分のチームメイトを殺すだろうか?
(ってことは、中日の誰かか?)
 その可能性は極めて高い気がした。
 人間、そう簡単に人殺しになれるのだろうか。だがこの極限の世界では、誰がどう
転んでもおかしくはない。

345 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:22:02 ID:PJyvkymz0
(俺には、理解できないけど)
 理解したくもない。
「嫌ですねぇ」
 仁志の意図を汲み取ったわけではないだろうが、清水がしみじみと呟いた。
「人殺しにだけは、なりたくないですね」
「ああ……」
 彼らは、自分とは別の生き物だ。理性を失った獣。見下すべき存在。
「そうだな――」
 それきり沈黙が落ち、やがて清水が、意を決したように告白した。
「実は俺、死のうと思ったんです」
「え?」
「人殺しになんかなりたくないし。与えられた武器もこんなアホみたいなものだし。
どうせ死ぬなら、もういいかなぁって――」
 ピンクのアフロ頭を指して、自虐的に笑う。
「崖から飛び降りようかと一瞬本気で思いました。そん時に、仁志さんの声が
聞こえたんですよ」
「俺?」
「馬鹿野郎って言われました。いつものことですけど」
「自殺しようとするなんて、本当にばかやろうだな、お前は」
「ほら、やっぱり」
 清水が笑う。
「おかげで目が覚めましたよ。俺こそ仁志さんに会えて良かった。一緒に生きて帰り
ましょう」
「当たり前のこと言うな、バカ」
「ははは」
 罵倒されたのにやけに嬉しそうに清水が笑う。ピンクのアフロ頭で真面目なこと
をいうものだから、思わず仁志も笑ってしまった。
「それにしても冷えるっスねー。山の上だからかな?」
 軽く身を震わせ、清水がユニフォームの上から二の腕をさすりながら立ち上がった。

346 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:22:36 ID:PJyvkymz0
「清水?」
「ちょっとトイレ」
「気を付けろよ」
「誰も来ないッスよ。その為にこんなところまで来たんだから」
「そうだな……」
 苦労して山奥まで来たのは、極力人目を避けるためだ。こんな朽ち果てた山小屋
でも、見つけられた自分たちはついている。あとは、ここが禁止区域に指定される
まではじっとしていればいい。
 ギギィ……と、嫌な音を立てて清水が小屋を出て、仁志は一人部屋に取り残された。
 座ったまま少し身を起こし、仁志は自分の手元に置いていた短剣を取り上げた。
 薄暗い部屋でも、銀色の光沢を帯びたそれはシンプルな洋剣だ。
 自身を襲った手榴弾などに比べれば全く微々たる戦力を、仁志は両手で握り締め、
前に勢いよく突き出してみた。
 日本の刀は『切る』が、西洋の刀は『突く』と聞いたことがある。確かに、上から
撫で切るよりは、切っ先で突いた方が効果がありそうな形をしている。
 何度か虚空に向かって練習をしてみるが、馬鹿馬鹿しくなって止めた。使わないに
越したことはないし、銃や爆弾にこんなもので太刀打ち出来るわけもない。身体に布
をかけ直し、壁に背を預ける。ボロボロの状態の仁志が、座りながらとはいえ短剣の
素振りをしているところなど見たら、清水が仰天するだろう。
「はぁ……」
 ついたため息が、胸元を覆った布にはねた。カビ臭い匂いと共に、熱い息が戻ってくる。
 熱は上がりきってしまったのかもしれない。先ほどより寒さは感じなかった。かわりに、
頭の奥がボンヤリと熱くなる。
 壁に頭を預け、仁志は目を瞑った。すると、すぐに睡魔が過ぎった。
『ぐあっ!!』
 ――ドサッ
「っ!?」
 壁越しに聞こえた清水の悲鳴と、何かが地面に落ちる音。
 落ちかけた眠りの沼から一気に浮上する。
「清水!?」
 声を上げ、仁志は被り布をはね除けて立ち上がった。一瞬、立ち眩みによろける
身体を叱咤し、短剣を握りしめて入り口に向かう。

347 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:23:05 ID:PJyvkymz0
「清水!!」
 小屋の裏手に回ると、鼻を突いた血臭に二岡は眉を潜めた。
 繁みと山小屋を繋ぐ赤茶けた地面に、横たわる清水の背中が見えた。斜め一文字に
切り裂かれた背中は真っ赤に塗れていて、背番号も、ローマ字すらも判別が付かない。
「に……しさ、ん……逃げ……っ」
 蚊の鳴くような声で、清水が呻く。まだ、清水は生きている。
 真っ赤な血から視線を引きはがし、仁志その手前――清水と仁志の間に仁王立ち
になる男を見た。
 背番号8。自分と同じ背番号の男が、ゆっくりと振り向いた。――血の滴る斧を携えて。
 ――片岡篤志。タイガースの。元ファイターズの。
 判別はすぐに出来たはずだ。背番号も、名前も、顔も、バッターボックスでの癖
さえも、全て知っている。
 だが一瞬迷ったのは、その顔が余りにも奇妙に歪んでいて、彼が自分の知っている
片岡篤志と認識するのに時間がかかったからだ。
「お、…ま…えっ!」
 引きつった口角はえらく上がっていたが、笑っているようには見えなかった。むしろ、
そこに張り付いているのは、怯えや、恐怖という感情だ。見開かれた目の瞳孔が縮まり、
奇異な輝きを放っていた。
 それは、人を殺し『た』人間の顔だった。
「お前が――清水を……!」
 喉に何かが詰まったように、声が震える。自分より圧倒的に長身の男を睨み付け、
仁志は短剣を握り直した。
 その間にも、清水を中心に、血の海はみるみるうちに血に染み込み広がっていく。
 清水が死ぬ――死んだ? 分からない。どちらにしろいずれ――死ぬ。
 真っ白になった頭の中を、彼の背を彩る深紅だけが染めていった。
(清水が――死ぬ……殺される……)
 音を立てて崩れていくのは、数分前に別れた時から、最初に出会った時までの
十年間の記憶だ。尋常でない勢いで襲い来る、終焉の予感。
 怒りや憎しみとか、そういった感情を超越した激情に、ジリジリと視界が焼けて
いくのを仁志は感じた。血管が切れるのではないかと思うほど、血液が波打つ。
 身体の痛みも熱も、全てが吹き飛んでいた。

348 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:23:31 ID:PJyvkymz0
(許さん……!)
 許さない。正義とか、モラルとか、そんな大義名分はどうでもいい。
 この男が清水を殺った。恐らく、仁志はこの島で唯一無二の支えを失うことになる。
「に、しさ……ん、やめ……」
 やめてください――
 無理矢理身体をねじ曲げ、こちらを向いた清水の懇願が耳に届いた。
「ゲホッ……ガハッ……!」
 清水が赤い吐瀉物を吐き出す。酷い血だ。顔も、身体も、全てが赤く染まっている。
あのふざけたアフロ頭さえピンクから赤に色を変えていっている。普通、これだけ
血が流れれば、人は死ぬのではないだろうか。
(お前、バカじゃないのか? なんで俺のこと心配してるんだよ。死ぬのはお前だろ? 
もう死ぬんだよ、何で、俺のことなんか――)
 ああそうか。
 もう死ぬから、心配しているのか。
 死ぬ時も人を心配するなんて、やっぱりこの男は大馬鹿野郎だ。
 逃げろと清水は言う。だが仁志は逃げなかった。
 狂気を張り付かせた片岡が、ゆっくりと斧を振り上げた。血が――清水の血が、滴る。
(かかってこいよ――)
 俺が、お前を殺してやるから。
 殺意とは理屈ではないことを悟った。それは、一瞬の理性の『弾け』だ。
 あるいは、止められない衝動。
 胸元で短剣を握りしめ、仁志は地を蹴った。
「だ、……め……」
 追うように、縋るように、清水の声が聞こえた。
「あ、なた……人――ゴ、ロ――」
 あなたは人殺しになっちゃだめだ――
 最期に。
 そんな声が、聞こえた気がした。

349 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:23:59 ID:PJyvkymz0
「ゴ、ボ……ッ」
 悲鳴と言うよりは、パイプから溜まった水が溢れ出るような音。
 びしゃりと、生ぬるい液体が仁志の背中を濡らした。不快な鉄の匂いが濃度を増す。
当たり前だ、頭からかぶっているのだから。
 片岡の懐に飛び込んだ仁志は、ユニフォーム越しに胸に埋め込んだ短剣の柄を素早く
握り直した。そのまま力を込め、抉るように回転させる。柄を通して、内蔵が潰れる
ような音が聞こえた。内臓とは、この場合心臓だろう。
 片岡の胸の中で、先刻まで激情とは裏腹に、どこか冷静な自分がいた。
「グゥ……ガァ…ッ」
 苦悶の声が頭上から降りかかる。同時に、ビシャビシャと吐血が仁志の後ろ髪から
首筋、背中を汚した。
 ゴトリ――と、重い音を立てて片岡の手から斧が落ちた。
 力を失った身体を強く引き倒すと、190センチ近い体躯があっさりと仰向けに転がる。
 膝を折り、仁志は片岡の胸に刺さった短剣を引き抜いた。
 抜いた先の傷口から、血泉が湧き出る。
 柄を握りしめたまま、仁志は血に染まった手を見つめた。
「……汚いな……」
 己の全身から放たれる鼻を突く匂いが、それが手だけではないことを示していた。
 これは穢れだ。人殺しの男の汚れ。そして、人殺しの自分の汚れ。
 森がざわめいていた。今ここで起こった惨劇を知る木々が風に囁く。――あいつは人殺しだと。
 今は昼間なはずなのに、なんて世界は暗いんだろう。
 全てにそっぽ向かれた気がした。空も、雲も、太陽も。――清水にも。
 立ち込める血臭と、転がる二つの死体。  
 仁志敏久は一人だった。

350 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 00:24:44 ID:PJyvkymz0
『人間、そう簡単に人殺しになれるか?』
 仁志は、もう一度自分にその疑問を投げかけた。
『NO』
 数分前、仁志はそう答えを出した。
「案外、簡単になれるもんなんだな……」
 膝元に転がる片岡の死体を見下ろし、仁志はぽつりと呟いた。
 きっかけさえあれば、誰だって獣になれる。
 それこそが、このゲームの恐ろしさだと仁志が知ったのは、自分自身が獣になって
からだった。
「ゴメン」
 漏れたのは、ただ謝罪の言葉だった。
「ゴメン、清水……ゴメン……ゴメン」
 それは、助けることができなかったことに対してなのか。
 目の前で人殺しになってしまったことに対してなのか――
『一緒に生きて帰りましょう』
 約束を、守れなかったことに対してなのか。
「ゴメン……」
『人殺しにだけは、なりたくないですね』
(清水――)
 君がなりたくないと言ったモノに――なるなと言ったモノに、なってしまった。
「ゴメン、ゴメン……本当に……ごめん……」
 泣くでもなく叫ぶでもなく。
 ただ動かなくなった男の傍らで、血に濡れた短剣を握り締めながら、仁志はそう
呟き続けた。
「ゴメン」

 
 清水隆行(G9)、片岡篤志(T8)死亡 【残り58名 年俸総額121億3580万円】

351 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 00:39:03 ID:rNwp0uDcO
職人様乙です。
シミタンがぁー(ノД`)・゚・。
仁志タンはこれからどうするのかな…

352 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 00:58:21 ID:PUkvUAP20
し、清水ー!!まじで…?

353 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 01:44:34 ID:yvtsk9cQ0
職人様乙です。
宮本くらいは善だろう、と思ってたヤクファン('A`)

そしてシミタンガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!
アフロ被ったまま逝ってしまうとはおもわなんだww


…orz
ニシタソ、シミタンの分までガンガレ

354 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 02:01:00 ID:I3/hwk/m0
職人様乙です。
清水ー!ファンなだけにショック!
これからは二死タンの回想でシミタンを待つ!

>>347
二行目に、仁志が二岡になってますよ。
軽くびっくりした。

355 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/23(月) 02:20:56 ID:PJyvkymz0
>>354
ホントだ・・・何で二岡orzスイマセンスイマセンorzorz
脳内変換お願いしますorz

356 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 09:11:40 ID:Ya33Qykq0
シミターン!!
最後の方でマジ泣きしてしまった……

357 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 15:15:11 ID:ATifIrUe0
しみたんもあっちゃんももったいねぇ!
とは言えこんなに泣かされちゃ文句言えねッス…


358 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 15:15:35 ID:ATifIrUe0
しみたんもあっちゃんももったいねぇ!
とは言えこんなに泣かされちゃ文句言えねッス…


359 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 17:09:12 ID:Wa80ratC0
スワローズが全員マーダー化してたことに今頃気付く。

ちょwwwww片岡&清水wwww・・・orz
午後最初からとか早いよ早いよ・・・
仁志これからどう出る・・・?

360 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 23:11:51 ID:Z3Xy4G/PO
鈴衛が出演するのは何年後だろうか

361 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 23:21:02 ID:PnP44Znn0
うちから最初の死人が出たか・・・
「バイク2人乗りする京都兄弟」みたいな展開を妄想してたのにw

362 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 23:48:23 ID:bBoYdrU5O
職人さま方乙です!

タコさんと三浦はコントやってるみたいだけど、タコさんの
>「俺は…そういう利益求めてお前を待ってたわけじゃない。」
ってセリフがすごく好きだ。

そして‥仁志が今後どう動くのか気になる。
清水より片岡のほうが可哀相なんじゃないか、と少し思った。

363 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 23:59:29 ID:N2+mxccHO
シミタンは仁志がいたけど、片岡は誰も信じられずに死んだしな…
片岡を追い詰めた最初の狙撃者は結局どこのどいつなんだろう

364 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 00:53:30 ID:f4rEhwtUO
片岡いっちゃたか・・・しかし佐伯、今岡、桧山あたりは凄く気があいそうだな

365 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 02:17:07 ID:5x6hvdu20
>>362
好感持てる二人組だからな。

しかし巨人は圧倒的な死亡者数だな。人数も圧倒的だからか。
死亡者除いて、ゲームに乗ってないのは高橋、阿部、前田は確定として、
仁志はどっちの方になるんだろうか…気になる。

366 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 02:24:46 ID:172ZsgX/0
これだけ死んでもいまだにチーム別人数1位の巨人
そら狙われるわ
人数多い割に音沙汰がないのはベイか
てか億バト注目株の佐々木はどうしてるんだろう

一番最初に絶滅しそうなのは意外にカープな気がする…
前田神がいるか
パ勢はもとの人数が少ないから逆に後半まで生き残るか?

367 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 17:09:15 ID:ouWv7MIR0
カープは案外最後の方まで生き残ると思うけど緒方死んじゃったからなぁ。
前田や野村は生き残るか死ぬにしても最後まで残りそう。

368 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 17:20:42 ID:6d+HLnG8O
アフロかぶっててもカッコよかったぜシミタン・゜・(ノД`)・゜・。
ニシタン辛いだろうがひたむきに生きてくれ・・・
なんかなぁ・・・片岡がシミタン殺したんだけど片岡も哀れだよ・・・セツナス

パはジョーカーズが今後どう動くか気になる

369 : ◆mRM.DatENo :2006/01/24(火) 21:27:18 ID:Fy7peO+H0
「侍とカメラマン」

昼の放送を聴いて、赤星憲広(T53)は北上していた。
既に6人もの死者が出ていたのもショックだが、それよりも人が集まるであろう禁止エリアの北にいるのはリスクが高いのだと気付いたからだ。
いくら写真を撮るのが目的とはいえ、積極的に他人を殺そうとする人間には近づくわけにいかない。
まだ阪神のチームメイトの名が呼ばれないことにホッとしつつ、赤星は慎重に足を進めた。

数分歩いた所で、近くに海を臨む高台に出た。岩場も多く、崩れかけた古い小屋もいくつか散らばって見える。
幾分暖かくなった陽の光と海風を纏った岩場は一種の幻想的な雰囲気を湛えており、一枚だけ練習がてら撮ってみようかという気持ちにすらさせる。
無意識にカメラを手に取ったところで、赤星は人の気配に気づいた。いや、気配どころではなく、相手はすぐ近くからこちらを見ている。そうして。
「赤星か」
自分を見ていたのが、日本ハムの小笠原道大(F2)だと気づいた。

小屋の壁に瀬を預けている小笠原の目は、赤星を見据えて離れない。見れば、右手には鞘に納まった刀を油断なく携えている。
「赤星」
短く言って、小笠原の声が赤星に届く。オールスターやイベントなどで一緒になったことはあるが、特別親交があるわけでもない二人。
10mほどの距離を置いている赤星も、自然と体勢が低くなる。
「何ですか、小笠原さん」
だが声に敵意はない。もともと、赤星には命の奪い合いをする気はないのだから。
「一応聞いとくぞ。お前は戦るのか、戦らんのか」
それは彼自身にも問いかけているような言葉だった。ぎり……と奥歯をかみ締めるような音すら聞こうそうなほどに、そう告げた小笠原の口は真一文字に閉じられている。

一拍置いた後で、それを受けた赤星が答える。
「戦いませんよ。俺の胸にかかってるもの……見えますか?」


370 : ◆mRM.DatENo :2006/01/24(火) 21:29:27 ID:Fy7peO+H0
「……カメラだな。それもなかなか値が張りそうなものだ」
小笠原が刀の鯉口に掛けた力が、幾分緩む。
「俺の支給品、このカメラなんですよ」
「まさか」
「……殺し合いにカメラなんておかしいですよね。でも、これを受け取って俺、思ったんです。ちょっと聞いてもらっていいですか?」
赤星は滔々と話し始める。自己の目的を。共に時代を創った選手達の姿を残そうとしていることを。
いくら赤星が球界屈指の脚を持っていようと、小笠原が無防備に近い彼の不意を突いて襲えば、あっさり斬ってしまえる可能性も少なくない。
それを理解しつつも、赤星は退くことなくその場で話し続けた。

「と言うわけで、この機会に小笠原さんの写真を撮らせてもらえると幸いなんですが。あ、不安なら先に撮ってみて下さい。
何も仕掛けなんてないですから」
「……悠長な奴だな。まあいい、せっかくだ」
撮ってくれ、と言って小笠原が地面に刀を置く。この行為も、彼がまだ命の奪い合いに直面していないからこそなのかもしれない。
赤星がカメラを構える。腕組みをした小笠原をしっかりと見据え、シャッターを切った。
カシャッという音と共に、小笠原の姿がフィルムに保存される。さらにもう一度。

「動きのある写真が取れないのは……まあ、仕方ないですね」
何とも複雑な表情をしている小笠原に向けてそんな事を言う赤星。その表情を見て、小笠原が大きく息を吐いた。
「……赤星。お前、昼メシは?」
「えっ? ……それどころじゃなかったんで、食ってませんけど」
予想外の質問に面食らったのか、赤星は目を丸くする。
「俺もまだだ。こんな所でメシを一人で食うのも侘しいからな、お前もここで食っていけ。……何か、毒気も抜けた」
どこか呆れたような、殺気が抜けた髭面。小笠原はどっかと岩に腰掛けて、返事も聞かずに鞄の中を漁り始めた。
赤星もリラックスした相手を見て、安心して適当な場所に腰を下ろした。

371 : ◆mRM.DatENo :2006/01/24(火) 21:31:21 ID:Fy7peO+H0
支給の食料は味気ないものだったが、さほど面識のない二人を喋らせるには十分な価値を持っていた。
「小笠原さんは、もう誰かに会いましたか?」
「いや。巨人っぽい奴は遠目に見たが、会ったのはお前が初めてだ。そっちは?」
「小笠原さんが初めてですよ。阪神の連中は、ひょっとしたら皆で一固まりになってるのかもしれないですけどね」
チームメイトに会えないのが残念なのか、赤星が天を仰いでそう言う。だが、小笠原ははっきりとこう言った。
「赤星、それはありえないだろ」
「えっ?」
ボトルに入っていた水を置き、小笠原が微かに哀れむような目で赤星を見る。
「名簿を見る限り、阪神の連中はトータルで10億を越えてる。皆で固まるって事はありえないぞ」
「……それは、そうですけど」
赤星も理解していなかったわけではない。自分を除いても、阪神の選手達は10億を越えている、つまり皆で生き残る事は出来ない。
「でも……チームメイトの誰かが死なないと生き残れないなんて、おかしいですよね」
「…………」
小笠原は答えない。おかしいと言えば、そもそもこのシステム自体がおかしいのだ。今更自分にどうこう言えるものでもない。
「……わかってます。だからせめて、みんなの姿をカメラで残したいと思ったんですから」
搾り出したような声で、赤星が言う。そうして。
「小笠原さんは、生き残るつもりですよね?」
「ああ。わざわざ死にたがる気はないし、それに」
「それに?」
聞き返した赤星の顔を見て、小笠原が微笑した。
「娘達が嫁に行くまでは、俺は死んでも死にきれん」
「娘さん……ですか?」
娘という単語が出た途端、にわかに表情が変わっていく小笠原。そんな小笠原に戸惑う赤星に構うことなく、話は続く。
「ああ。二人ともすくすく育ってくれてなあ。上の娘は小学校に上がる。毎年のオフは嫁さんと娘達とゆっくり過ごすのが何よりの休養で……」
以後数分に渡り小笠原の娘自慢が続き、赤星も小笠原の子煩悩に微笑しながら聞き役に徹していた。

372 : ◆mRM.DatENo :2006/01/24(火) 21:34:38 ID:Fy7peO+H0
「いえ、構いませんよ」
「そんなわけで、俺は死ねない。まだまだ打者として上に行けると思っているし、家族の為にも生き延びなきゃならない。
……ただ、人であることはやめたくない」
これは矛盾してるのかもな──と自嘲するように言ってから、今度は小笠原が赤星に聞いた。
「赤星は? ……お前、確か独身だろ。待たせてる彼女はいないのか」
話を振られた赤星は、少し考えているような顔を見せてから、笑ってこう言った。
「ダメですよ。こういう時に『彼女を待たせてる』とか『生き残ったらプロポーズ』とかそういう事を言うと、大抵そいつは死ぬんです。
映画や小説だとしょっちゅうじゃないですか。……だから、どっちにしても俺は何も言えません」
「そうか」
小笠原も、表情だけでなく口調も随分と柔らいでいた。

「……じゃ、そろそろ行きますね。もっとたくさんの人を撮らないと」
食事を終え、赤星が立ち上がる。
「小笠原さんも……元気で。また縁があったら会いましょう」
背番号53を背負った男は、再びカメラを首から提げて小笠原に別れを告げる。
「ああ。頑張れ……というのは変かもしれないが……」
少し間を置いて。
「よくわからんが、きっとお前は生き残れると思う。この先誰かに会ったら、赤星が被写体を探していたと伝えておくよ」
「ありがとうございます。……それじゃ」
そうして歩み始めた赤星に、もう一言だけ小笠原が告げた。
「写真、出来上がったら焼き増しして俺にもくれ。現像代と焼き増し代は俺持ちでいいから」
どこか儚げなその頼みに、赤星は了解とばかりに手を振る。そして林の中に姿を消した。

赤星を見送った小笠原。
その首に付けられた輪から、何かの通信をしている時のような音が鳴り始めていた。

【小笠原道大(和泉守兼定) A-4】【残り58名 年俸総額121億3580万円】

373 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 21:55:42 ID:/xNZYNh10
レッドきたー!ガッツきたー!職人様乙です!
ガッツ語ったなw
レッド頑張れ、ガッツみたいな奴ばっかじゃないけど頑張れ。
っていうかジョーカーフラグキタコレー!?

374 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 23:59:19 ID:lznT2dal0
おおおガッツ渋いー!

アフロのシミタンを赤星が写真に残すんだなーと妄想してた俺…


375 :代打名無し@実況は実況板で :2006/01/25(水) 00:34:46 ID:CMAOwgyq0
桐山みたいなシリアルキラーはまだか

376 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 19:12:41 ID:btlxTEOMO
谷からの交信か…?
ジョーカーズはまとまるんだろうか…

377 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:35:31 ID:Z9H9IJUj0
『駄々っ子』

「まいっちゃうわねーもうー」
 ぺれぺれぺれぺれ……
 慣れないカブで比較的走りやすい道を選びながら、桧山進次郎(T24)は南の島の
ドライブとしけ込んでいた。独りで。
 しかし、この独りドライブをむなしいと感じないのが、桧山が桧山たる所以だ。
(独り南の島を旅する桧山進次郎――カッコエエやん? カメラあったらHPに
乗せるんやけどなー)
 若い綺麗なお姉ちゃんが後ろにいた方が、とはあまり思わない。引き立て役には
なりたくない。自分が一番好きなのだ。
 天候良し、風景良し。おおよそ文句はないが、まいっちゃうのはその風だった。
 速度を上げて運転すると、嫌でも風と立ち向かうことになる。
 海に囲まれた小島なだけあって、顔に吹き付ける風はねっとりした潮を含んで
いた。舌を伸ばして口周りを舐めると、しょっぱい。
「潮臭くなっちゃう」
  無駄におねえ言葉で呟いてみても、ここには「気持ち悪いですよ、桧山さん」
と控えにさっくり突っ込んでくれる後輩もいない。
(マコや赤星は元気してるんかな〜)
 ふいに、桧山は同じくこのゲームに巻き込まれたマイペースな後輩と、しっかり
者の後輩を思い出した。
「あロンリロンリー切なくて〜♪」
 独りドライブはむなしくないが、一人でいること自体がそろそろ寂しくなってきた
桧山進次郎である。
「んー? ちょっとストーップ、確かここは〜」
 道の先に林が見え、桧山はブレーキをかけてポケットに入れていた地図を開いた。
 林の中にも小道は続いていて、少々走りにくいだろうが行けないことはない。
「あ、やっぱこの辺からC3やん」
 コンパスと地図で確認すると、桧山が今いるD3の境が林になっていて、その先
――北に向かうと、禁止区域に指定されたC3エリアに入る。
 時計を見る。まだ14:30には時間があった。

378 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:35:56 ID:Z9H9IJUj0
「どうしようかなー行っちゃおうかなー。よし行っちゃおー」
 元の倉庫に帰ろうかとも思ったが、ここまで来たら北へ行ってしまおう。そうしよう。
 1.5秒ほど考えてから、桧山はそう結論を下した。
 帰りたくなれば、一周して戻ってきたらいい。
 あともう少しでここも通れなくなってしまうことを思うと、なんとなく、もったい
ない気がしたのだ。別に北に行く当てがあったわけではないが。
 桧山が再びエンジンを吹かし、林の中に入ろうとした時――
「ん?」
 その林の奥で、聞き慣れた二人の声が聞こえた気がした。

「ここ、居れへんやんけ……」
『14時30分 C-3 』という放送を聞いてから、どれくらい時間が経っただろうか。
 落ちた沈黙は、思っていたより長かった気がする。
 時間的にはまだ余裕があるので、すぐさま行動を起こす必要はない。方針も決めず
に場所を移動するのは無駄足になる可能性がある。基本的には、慎重派×2の組み合
わせだ。お互いに何か考えるところがあり、思想に耽っていたとしてもおかしくはな
かった。実際の所、下柳はあまり何も考えていなかったが。
 面倒くさい時は、パートナーのリード任せだ。いつものことだ。
 下柳剛は顔を上げ、ようやく声を絞り出した矢野輝弘を見た。
 銃声を聞き、逃げた下柳と矢野が腰を落ち着けたのは、C-3の海岸林だった。
 実につい先ほど、次の禁止エリアに指定された場所だ。
 7×7のマス目に区切られた地図の一角。最初に指定された1エリアを除き、
めでたく48の選択肢から選ばれた区域にたまたま居座っていたというのは、運
が悪いとしか言いようがない。北と南、どちらを次の目的地にしても行きやすい
ように、効率を考えてこの場所を選んだのが裏目に出たか。
 死者に関してもいろいろ言及したいところはあるが、まずは次の居場所だ。禁止
エリアに引っかかってご臨終、というのは最も馬鹿らしい死に方であるのは確かな
ので勘弁してもらいたい。

379 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:36:18 ID:Z9H9IJUj0
 向かいの木の根に腰を下ろした矢野が、肩を落として天を仰いでいる。こちらも
木の幹に背を預け、下柳は左手でS&W M645を弄んだ。渋い銀の光沢を帯びるそれは、
見目は悪くない。機能美を追求したような、シャープなデザインが気に入った。
「どうする?」
「…………」
 振ると、矢野が無言で地図を広げた。
「禁止エリアか……」
 険しい顔で地図を睨み付け、ポツリと呟く。
「禁止エリアって、何で禁止エリアなんやと思う?」
 質問の意図が掴みにくい。恐らく、言っている矢野本人も、決まった答えを求めて
いるわけではないのだろう。
 好きに訳せ、ということか。
「入ったら首輪が作動して、自爆するからだろ」
 その答えで合っているのかどうか分からないが、下柳は思ったことを答えた。
 下柳の解答に、矢野からの返答はなかった。右手の親指を唇に当て、指の腹でなぞる。
何かを考えている顔だ。
「……何で?」
「…………そのナゾナゾは、難しいな」
 モノをよく知らない幼稚園児が、母親を「なんで」責めにしているようなクエス
チョンだ。
 そもそも禁止エリアとやらが、嘘か本当かも分からない。試した人間がいないからだ。
試したいとも思わないが。
「お前ならさー。あ、お前じゃなくてええわ。普通なら、この状況で死なないために、
どういう方法を考える?」
 まるで下柳が普通ではないとでも言いたげにわざわざ言い直して、矢野は重ねて
問いかけた。
 そのことにはあえて突っ込まず、下柳は言われたとおり、常人ならどうするかを
考えて答えた。

380 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:36:36 ID:Z9H9IJUj0
「……島から逃げる方法を考えるな。普通なら」
「うんうん」
「あとは、手近にある首輪をなんとかするか」
「そうやな」
 もっと言えと言わんばかりに、矢野がテンポの良い相づちを打つ。
「だが――」
「うん」
「そんな普通の方法で、助かるわけないだろうな」
 敵は悪趣味だが馬鹿ではない。むしろ老獪で、智謀に長けている。常人がどういう
考えでこのゲームから逃れようとするか、ある程度のシミュレーションは向こうにも
出来ているはずだ。
 彼らの考えが及ばないか、もしくは、考えが及んでも対処しきれない点を突くか。
「無茶苦茶機械に強くて、自爆装置なんてちょちょっと解除出来ればええのになぁ」
「まずはキーボードを打つ練習からだな」
「失礼やな、最近指二本で打てるようになってんで」
「あそ」
 どちらにしろ無い物ねだりだ。機械音痴な矢野の低レベルな自慢は軽く流して、
下柳は議題の方向修正を図った。
「そんな細々したこと出来るわけないし、もっと大きくいこうよ、豪快に」
「豪快?」
「そうそう、木を見て森を見ず、じゃなくて」
 コンコン、と背中にある気を叩く。
「おい矢野ちゃん、口開いてるぞ」
 じっとその様子を見たまま口を開けて動かなくなった相手に突っ込むと、慌てて
矢野が口を閉じた。
「そうやな……。島全体を見たら、何か分かるかもしれん」
 この広大な、殺戮遊技場の仕組みが。
「じゃあ……」
 矢野の言葉に、下柳も先ほど定時放送のメモを取るために開いていた地図を拾い
上げた。

381 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:36:52 ID:Z9H9IJUj0
 この島で、もっとも島全体を把握出来る場所。
 ちょうど、3列と4列の間の縦軸を真っ直ぐに北になぞった先にある――
『北の。灯台。』
 二人の声がハモる。
「決まったな」
 矢野が八重歯を見せて笑った。
「そんなにのんびりしてる暇はない。さっさと抜けよう」
 目的地さえ決まれば、迅速に動くのが吉だ。
「おう……――っ」
「矢野ちゃん?」
 威勢良く答え立ち上がった矢野がよろける。下柳が声をかけると、矢野は木に
もたれかかり、何でもない、というように手を振った。
「ちょっと、立ち眩みしただけや」
「しっかりしてくれよ」
 立ち上がる手助けをしてやろうと、下柳は近づいて矢野の手を取った。
「オイ――」
 その熱さに驚いて、下柳は思わず強く握った。
「お前、熱あるんじゃ……」
 言われ、矢野が乱暴に手を振りほどく。
「気のせいや」
「気のせいって……オイ!」
「時間ないんやろ、とっとと行くで」
 肩を掴もうとした下柳の手をすり抜け、荷物を持ってさっさと北へと向かう矢野。
 バッグを肩にかけ、下柳は慌ててその後を追いかけた。
 二人が拉致されたのは、某局での番組収録の待ち合い中だ。桧山も金本も、他の
メンバーもいた。
 そこでも普段と変わった様子は見せていなかった矢野だが、そういえば少し風邪
気味だと話していた記憶がある。
 暖かい部屋で、用意された果物をつまみながら雑談を交わし――それから先は、
記憶がない。

382 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/25(水) 23:37:25 ID:Z9H9IJUj0
「進路変更だ」
「はぁ!?」
「南西の方に出たら、すぐに湖の近くに集落があったはずだ。あそこなら休めるだろ」
 追いついた矢野の腕を掴み、引き戻す。
 つい先ほど目的地と定めた灯台とは当然逆方向だ。今そちらに向かえば、禁止エリア
後は島の東側を回って大回りしなければいけなくなる。
 下柳の決断に、矢野が馬鹿を言うなと言いたげに目を見開いた。押し問答が始まる
のは目に見えていたが、こればかりは譲れない。
 最近はようやく自分の存在の重みを分かってきたようだが、基本的には矢野は大切
なものの為なら自分を省みない人間だ。誰かがブレーキをかけないと、自分を軽んじ
すぎるきらいがある。
 この島において、下柳は己の最優先事項に、彼のブレーキ役になることを置いていた。
 それが出来るのは、今となってはチームでも自分と金本くらいしかいないだろう。
「俺は大丈夫やって!!」
「無人島だったわけじゃないし、最近まで人が住んでたはずだ。もしかしたら薬とかも――」
「聞けや!」
「んな状態でふらふらして倒れられちゃメーワクなの」
 乱暴に手を引くと、荷物を担いだまま矢野がよろけた。健康な状態ならば、スポーツ
選手のバランス感覚ならこうはならない。
「倒れへんわ! アホ!」 
「はい退場〜」
「あっコラ! いややーいややーっ! 」
 無理矢理腕を引っ張る下柳に、とうとう腰を落として駄々をこね出す矢野。
「暴れたら熱上がるぞ!」
「ないからー! 熱なんてないからー!」
「こんなところで何言い合ってるんですか? 二人とも。もうすぐ禁止エリアになりますよ」
『あ』
 ぺれぺれとカブに乗ってやってきた男が、白メットを外しながらブレーキをかけた。
 桧山進次郎だった。


【残り58名 年俸総額121億3580万円】

383 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 00:04:15 ID:9snxy7BUO
職人様乙です!
ひーやん…虎バトとのこの落差は何wさすがは自分ダイスキ桧山さんだ(ノ∀`)

384 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 00:27:33 ID:qrdxakL+0
職人様乙です!
ひーやん素敵だよひーやん…
虎バトではいなくなっちゃったがここでの活躍に期待


385 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 00:59:10 ID:JTz5NNkH0
矢野丼ネタキタコレw
えらい萌系で来ましたな

386 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 01:34:13 ID:tg0IUvnXO
自分大好き桧山と駄々っ子矢野キターw

>引き立て役にはなりたくない。自分が一番好きなのだ。
ここ好きww

387 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/27(金) 00:11:24 ID:YB7zELoy0
ひーやん最高ww

>自分が一番好きなのだ。
俺もここで吹いたw

388 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:48:00 ID:yEVFW7eI0
『愛するチームを守るため』


まぁこんなもんか、と手にしたばかりの錆付いた青いバールで肩を数回叩きながら呟く。
石井琢朗(YB5)は足元にあった崩れたブロック塀に座り、鞄を背負いなおした。



横浜ベイスターズを誰よりも愛しているという自負が石井を動かしていた。
『キャプテン』と呼ばれ、調子が悪いときは悪いなりにでもチームのために頑張ってきた。
自分を指名してくれた球団に対して、出来るだけ精一杯の仕事はしてきたつもりだ。
だからこそ自分こそが一番ベイスターズを愛していると思っているし、ベイスターズも自分を愛してくれていると思っている。
その考えはもちろん今でも、変わることはない。

疑似東京ドームから出た後、ここまで来るまでの間歩きながら石井はこう思うことにした。
『球団がこの場に自分を必要としたのだから、自分は今この場にいるのだ』と。
必要とした理由は何だろうと考えずとも、その答えはすぐさま出た。

―――ベイスターズで参加している選手を生きて帰らせること。
帰ればイーグルスらしいが石井にはそんな事どうでもよかった。
『キャプテン』と呼ばれて続けてきた自分が、今この場で共に野球をしてきた大切なチームメイト達を見捨てられる訳がない。
どうせこれに巻き込まれたベイスターズ選手全員の年俸は17億7000万。生き残りラインである10億に7億7000万も多いのだ。
自分が死ねば、その分だけ年俸が減り、他のベイスターズ選手が生き残れる可能性が上がる―――

まぁ愛娘の成長が見届けられないのは残念だが、それこそ星になってみればいいのか?
そう思うと何がおかしいのか自分でも分からないが石井は笑っていた。
一通り笑い、石井はそうして死ぬ覚悟をし終えた。


389 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:48:54 ID:yEVFW7eI0

ならば次は? 自ら問いかけた疑問に、目の色が変わる。
ベイスターズの選手を生き残らせるためには、何が必要だ?
石井の脳は先ほどと同様、答えをすぐさま出すことが出来た。そうそれはシンプルであり、このゲームの基本。

他の球団の選手を、殺すこと。
それがチームメイトを元の世界へ返すために必要なことならば―――自分はやるべきなのだ。他の球団の選手を殺すことを。
それこそが自らに課せられた、言わば『使命』のようなものだ。

『横浜ベイスターズのキャプテン』としての『使命』。選手たちを無事に元の世界へ戻すこと。
自分が殺した選手、見殺しにした選手の魂を抱えていく覚悟は、決めた。
例え生き残ろうが死のうが、自らの進む道は地獄であることには間違いない。しかし。
しかしそれでも、チームメイトを、ベイスターズを守りたいのだ。自分がもっとも大切にするものを、守りたい。

誰よりもベイスターズを愛しているという自負。
ある意味それだけが石井を突き動かしていた。今、この時も。




390 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:49:13 ID:yEVFW7eI0

石井は右手で数回バールを縦に振り、重く空気を切る音を耳にした。
それから両手でバールを握り締め、眺めると、石井は試合前にするようにバールの中ほどを額に当てた。
鉄独特の冷え切った感触は明らかに木のバットとは違う。
しかしそれでも石井は目を閉じると、神経を集中させた。
風のざわめきが聞こえ、遠くで聞きなれない物音が続いているのも聞こえる。

そして3秒ほどたった後、石井の目が再び光を受け入れた。目を開き、2回頭を横に振る。
背負いなおした鞄に手を入れるとチョコレートを取り出し、1かけらを乱雑に割って、口に放り込んだ。

元々石井の武器は先ほど食べたものと同じ板状のチョコレート20枚が入っているだけだった。
出発直後に確認し、めまいがしたものだが、冷静になって考えてみると食料が限られているこの場においては中々いい支給品なのかも知れないと思い始めていた。
しかし板チョコだけでは折角の決意も無駄になる確率が高そうだ、と石井はわざわざ武器がありそうな集落まで来ていたのだった。
散々探し回ってようやくバールを見つけた時は軽い喜びさえ沸いてきたものだ、と思いつつ、残った板チョコを右のポケットに収めた。
そして体についたゴミを叩き落しながら、それじゃあ行きますか―――と石井が立ち上がろうとした時だった。




391 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:49:43 ID:yEVFW7eI0

パンと軽い音がして、石井の顔に何かが当たった。
何だと手を左頬に当てると、石でもぶつかったのか血が手ににじんでいた。
そして不意に顔を上げた先には―――白いユニフォームが風に揺らいでいる、その手には銃。距離、15メートル。

瞬間、石井はほぼ反射的に右手にバールを持ち直し、走り始めていた。
目標を白いユニフォームに定め、逃げることなどまず思いつきもしなかった。
軽くフットワークを利かせ、右に左に体を翻しながら、石井は目標点との距離を縮めていく。1メートル、2メートル、3メートル…。
すると目標点である白―――に紺の線、胸に『CDragons』と入ったユニフォームの人間はいささか慌てた様子で銃口を石井に合わせようとする。
だが軽快なリズムで身を翻す石井に中々焦点が合わせることが出来ず、銃弾を装填して2発目を撃ったときにはすでにその間を5メートルにされていた。
男は次の弾を装填する暇もなく、石井から完全に距離に詰められ、一瞬ひるんだ。
その刹那、石井は懐に入る足が着地する寸前に両手でバールを握り替え、バッティングの要領で腰をひねる。
そして―――ボールよりかにはるかに大きい男の頭部目掛けて、バールを振った。まるでセンター返しでヒットを打つかのごとく。
しかし手の残る感触と目の前の景色は今までの経験とは大きく異なっていた。
鉄で何かを打ち砕こうとしたからかひどく手に振動が伝わり、痛みを感じるはずのない骨が痛んだ気がした上、なおかつ目の辺りに何か生暖かい水滴が飛んできた。

「ぐあっ…!」

白いユニフォームを認識してから、石井の目は全てをスローモーションで映し出していた。
だから相手がドラゴンズの選手だと分かった。だから打撃をするように足を踏みこむべきポイントが分かった。
だから―――目の前で倒れていく選手が福留孝介(D1)であることも、分かった。


392 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:49:59 ID:yEVFW7eI0

がしゃり、と金属が触れ合う音でようやく石井は我に戻った。
見るとうつ伏せになった福留は何事か呻きながら、立ち上がろうとしている。あぁ、まだ―――。
(まだ、死んでない。)
頭か顔か分からないがとりあえず派手に出血はしているものの、動いているということは生きているということだ。
目の端に銃らしきものが落ちているのが映っていることに気がつきながら、石井はまだ痺れの残っている手でバールを真上に振り上げた。


「孝介! 避けろ!」

その声と同時に、後頭部を狙っていた石井のバールは福留の顔をかばっている腕を捕らえる。
石井は無意識の内に舌打ちをすると落ちていた福留の銃――USSR ドラグノフと近くの木の根に置かれていた鞄を掴む。
その時、左側の茂みから音が近づいていることに気付き、これまた意識せずに福留の背中を踏みつけて、石井は走り去った。




393 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:50:34 ID:yEVFW7eI0
石井が福留から離れて数分後。走り続けていた石井はようやく立ち止まることが出来た。
自分より何倍も身長の高い針葉樹林の中で、石井はへたりこむように座る。
そして手に持っていた――元々は福留に支給された――鞄を開けるとその中の水のペットボトルを開け、1リットルを飲み干す勢いであおる。
「…っぷはー、あー生き返る。」
軽く首を回したりしつつ、ひと時の休息に浸る。
しかしそう休息に浸っているわけには行かない、とりあえずチョコでも食べながらこれからの事を―――。
と思い、チョコが入っているはずの右ポケットを探る。

「…‥あれ? おっかしーな…。」

落としたのだろうか、影も形も見当たらない。
まだたくさん残ってたのにと、先ほどまで殺気を漲らせていたとは到底思えない表情で石井は肩にかけた自分の鞄を開ける。
板チョコを取り出すと、べりべりと包装の銀紙を剥がし、そのまま口にくわえた。

その時ふと、開けっ放しにした鞄から白い紙が覗いているのが見え、石井は手に取った。
最初からこんなもん入ってただろうかと思いつつ、その紙を読む。
そこにはただ一言、『十二号食チョコレート』とだけ書かれていた。
「十二号食……? 変な名前だな。」
また紙を鞄に戻すと、石井はチョコレートを歯で割った。小気味いい音がして、チョコのかけらが地面に落ちる。
変な名前のチョコレートではあるが、中々な甘さとほろ苦さが絶妙に合っていていいチョコだろう。

「ま、いいかいいか。さーてと、この銃はっと…」
チョコレートを食べつつ、石井は福留の鞄から取扱説明書らしきものを取り出し、読み始めた。
とにかくベイスターズの仲間を生きて帰すのだ、他の選手はみんな敵だ―――。


そう考える瞳は『使命』に燃える目というより、『狂気』に燃える目だった。
石井はまだ、それに気付かなかった。

【YB5石井(支給品:十二号食チョコレート) F−4
 D1 福留(支給品:USSR ドラグノフ→石井に奪われる) E−3】
【残り58名 年俸総額121億3580万円】

394 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/01/27(金) 18:53:24 ID:yEVFW7eI0
>>322
遅くなりましたがご指摘ありがとうございます。

395 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 04:57:11 ID:2Scwa1qkO
職人さん乙です
琢朗カコイイな


396 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 13:44:13 ID:+8mOv/50O
タクローガンガれ

397 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 15:06:38 ID:KKkx8HKnO
チョコレートは何かヤバいものだったりするのか…?
矢野体調不良で対主催組も前途多難だな

398 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 16:27:05 ID:GQkKo3wy0
西武組がどう動くか気になるなぁ。
松坂なんてどう動かしても面白そうだが。

399 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/01/28(土) 22:29:20 ID:8lzp6Q460
職人様方超乙です!
『極めてのんきな男』
『解放の手立て』
『それぞれの共存方法』
『ゴメン』
『侍とカメラマン』
『駄々っ子』
『愛するチームを守るため』
うpしました


400 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/29(日) 01:13:38 ID:dv1IOEDc0
「壮絶な静寂による決意」

「いい加減、機嫌直してくださいよ。ガキじゃあるまいし…」
「うるせえな。じゃあなんで俺と一緒に行こうなんて言ったんだよ。」
先程の井端の件から、ぎこちなさで暫し無言のまま歩く高橋と阿部であったが、
阿部がやっと一言発した事に、高橋は憮然と振り返る。

「…俺、入団した時、結構叩かれたでしょ?チュウさん下げてまで使わなきゃならない
捕手かってね。守備位置までマトモに指示できない阿呆だって言われて…」
ふいに沈んだ声を出す阿部に、高橋は何とも言えない顔つきに変わる。
「仲間の人達に阿呆だと言わんばかりに肩を竦めて呆れ笑いされて…辛かったです。」
「慎之助…」
「ベンチでも相手にされなくて…でも由伸さんは違った。俺に声をかけてくれた。
今のはお前が悪い、今のは気にするな…由伸さんは…声かけてくれた。」
「俺は別にそんな…」
ただ…新人相手に苛々したり、ムカつく気がなかっただけだ。
「それでも…新人の俺からすればどれだけ助けられたか。」
阿部は昔を懐かしむような声を張り上げる。

「由伸さんには本当に感謝してるんです。こんな状況でも由伸さんだけは信用できる…いや…」
阿部は立ち止まった。
「由伸さんだけは助けたい、死なせたくないって思ったんですよ。」
「慎之助…」
「だから…さっきの井端さんの事に関しては、謝るつもりはないですよ。」
そんな阿部の言葉に、高橋は神妙な顔つきから再び憮然としたものに変わる。
「あの人は足手まといの大荷物になるだけだった。そんなもん要らないでしょ。」
「……」
そんな言葉に高橋は、怒りで眉を吊り上げるなり、無言でずんずんと先に歩き出してしまう。

「待ってくださいよ!離れて歩くのは危険です。」
阿部はため息交じりに後を追う。
どんどんと先を歩く高橋との距離はさらに広がり、阿部が叫んだ時であった。

401 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/29(日) 01:14:46 ID:dv1IOEDc0
「…!うわっ!」
茂みの側を通過しようとした途端、がさりと現れた人影は凄い早さで阿部を羽交い締めにし、
そのまま茂みの中に引きずり込んでしまった。

「…慎之助?…慎之助!」
遠く後ろを歩いていた筈の阿部の気配が消えたと同時に、振り返った高橋は、
茂みが揺れ動いたのが見えるなり、目を見開く。
「くそっ…!」
迂闊だった、と悔やむ時間はない。高橋は猛スピードで阿部が消えた茂みに向かった。

「まずは一人…か。じゃ、早速…」
冷や汗を流す阿部を逃さないように地面に重心かけて押し付けながら、
若田部健一(YB14)は淡々と細長い刺身包丁を阿部の喉元に押し付ける。
「…!し、茂みから獲物を狙って待ちかまえてた、というわけですか…」
とにかく何か言わねばならない。阿部は血相を変え、なんとか言葉を返す。
「こんな武器じゃ奇襲攻撃くらいしかできないしね。」
「…同じチームの人とかと一緒じゃないんですか?」
少しでも抵抗すれば喉元にグサリ、だと分かっている阿部は、体を固まらせながらも
気丈に言葉を返す。こうして一秒でも時間稼ぎをしなければならないからだ。
(由伸さんが来てくれるまで…)
それまでは…さらに冷や汗を流す阿部に、若田部は首を振る。

「時間稼ぎか?そうはいかないよ。じゃあ、そろそろ…悪く思うなよ。」
相変わらず無表情のままの若田部に、阿部は目を見開いたまま息を詰まらせる。
だが、響く葉の擦れる音に、ハッと振り返った。

「慎之助!?…!…」
ガサリ、と茂みをかき分けるなり、現れた高橋は目の前の光景に絶句する。
阿部は手足を押さえつけられ、今にもその喉元を突き刺されてしまう状況であり…

「くそっ…」
思ったより早い高橋の姿に、若田部は舌打すると同時に、刃物を振り上げる。

402 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/29(日) 01:15:47 ID:dv1IOEDc0
――こいつは慎之助を殺そうとしている。その刃物で咽を突き刺そうとしている。
――その刃物が振り降ろされれば、慎之助は…

阿部は死ぬ。そんな恐怖と怒りで思考をかき回される状態の高橋は、
引っかき回される思考に抗う余裕さえなく、その刀を抜いた。

「…めろ…やめろー!!!」
高橋は叫び、若田部目がけて突進すると、一気に肩口から背中にかけて光る刃を振り回し、
右から一度、左にもう一度と振り降ろした。
「ぐあっ…!」
ザクンッ、ザクン、と肉を切りつける響きと同時に、その肩口からビュッと鮮血が噴きだし、
若田部は血まみれの肩を抱え、壮絶な激痛により地面を転がり回った。
「あ……」
高橋は目を見開き、血まみれの刀を構えたまま絶句する。

――俺が…斬った?…人を…斬った…?
どういう事情であれ、人を斬った。その衝撃に呆然とする。

「うああああっ!痛いっ…痛いぃぃっ!」
吹き出す鮮血の水たまりをバシャリと跳ねさせ、激痛による狂気の悲鳴をあげ、
地面に身を何度も左右に反転させる若田部に、高橋は我に返った。
「俺が…斬った、のか?」
高橋は足下に転がる若田部を見下ろす。
「う……」
既に出血多量のせいか、叫び暴れる気力さえなく、蒼白のまま若田部は地面にうずくまる。

「…いや、だ…死にたく…ない…」
辛うじて声を搾り出し、血まみれの手を上げた瞬間…
ガクリ、と若田部の体は崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなってしまった。

「若田部…さん?…お…れは…」
動かぬ若田部が何を意味するか…高橋は血まみれの刀を握りしめたまま、がくがくと震えだす。

403 :43 ◆YhefPZis9A :2006/01/29(日) 01:16:20 ID:dv1IOEDc0
「…本当に…人を…殺し…て…俺は…」
高橋はまだ信じられないように刀を見ると、大きく首を振り、刀を地面に叩き付けた。
「殺したんだ…俺が…人を殺したんだっ…」
「違う!由伸さんは俺のために…だから…」
必死に声をかける阿部を振り払うと、何度も地面を叩き、高橋は泣き叫ぶ。
恩師である原の無残な死、二岡が岡島を殺すという惨劇。
それはどことなく悪夢のように思え、そういう現実逃避をしていたのかもしれない。
だが、今は自分自身が起こした惨劇であり、直視しないわけにもいかなかった。

「理由がどうであれ…俺は…人殺しだ。」
「……由伸さん。」
地面にうずくまり、嗚咽混じりにつぶやく高橋に、阿部は泣きそうな顔で眉を寄せた。
(俺のせいで由伸さんは…)
重く、惨い罪を背負い苦しむ事になってしまった。

――俺のせいで…
生き残るために、振りかかる火の粉を振り払うのは自分の役目の筈だった。

――これからは…全部俺が背負ってやる。
若田部のような、自分達を攻撃しようとする者には敵として容赦しない。
その結果、誰かを傷つける、殺めるといった惨い罪を背負うことになっても。
自分一人で背負えばいい。

阿部は静かに、そして壮絶と言えるほどに強く決意すると、睨みつけるように空を見上げた。

【残り58名 年俸総額121億3580万円】

404 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/29(日) 04:36:53 ID:NieuJHIu0
『瑕』

風景は緑と黒の線になり、次々と後ろへ飛んで行く。速く遠く、足の動く限り走る。右手には剥き出しの
サバイバルナイフ。
阿部から向けられた銃口が、井端の疑心暗鬼を強い確信へと変化させた。
きっと最初から、高橋が自分を上手に騙して、阿部が殺す算段だったのだ。仲が良いはずの選手まで
も自分を殺そうとした。裏切られた。
皆おかしくなってしまったのだ。誰も信じられない。逃げなければ!…だが、
どこへ?

不意に足がバランスを失い、視界が斜めに傾く。井端の体は勢いのままスライディングして、止まった。
頭を振り、手をついて立ち上がる。と同時に、右手後方の木立が揺れた。人だ。
「あ」
まるでトイレで鉢合わせでもしたような調子の声をあげ、二岡がこちらに向き直った。
「いばたさん」
目の据わった井端を見て、惚けたような、どうしたものか困ったような表情をしているのだが――今の
井端にそれは、見えていても認識できない。
佇むのは二岡の形を成した、黒い靄だ。さっきは阿部の形をしていた。
逃げたのに、追いつかれた。俺を殺そうと追って来た―――
呼吸が乱れる。肩が大きく上下し、吸い込んだ拍子に顔が泣きそうに歪んだ。
「嫌だ…――――嫌だ、嫌だ、嫌だァッ!」
ナイフを振りかぶり、地面を蹴った。顔を狙う。二岡が身を翻す。と、わずかに手ごたえがあった。
短い悲鳴を上げて、左目の辺りを押さえて二岡が後方によろめく。
ナイフをまっすぐ前に向けて握り直し、井端は突進した。一塊になって倒れこむ。ざっ、と枯葉が舞い上
がった。


405 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/29(日) 04:40:18 ID:NieuJHIu0
「―――はァッ…!」
わずかに交わされて、切っ先は二岡のユニフォームの脇腹を地面に縫いとめただけだった。
揉み合いになるより一瞬早く、井端の左手が二岡の喉を押さえつけた。馬乗りの姿勢で、ナイフを引き
抜く。
左手に体重をかけて首を押しつぶす。相手の顔が歪み、苦しげな音が漏れる。
井端も息があがって苦しい。さらに力を込める。全く馴染みのない感触はまた別種の恐怖だ。
畜生、何だ、何やってんだ俺。どこなんだここは。
今日の収録が終わったら、同世代の連中で呑みに行く筈だった。セパ関らず連絡先を知る限り声をか
け、各自呼びたい奴がいれば誰でもと言ってあるから、全員揃えばそれなりの大所帯になるだろう。き
っとまた盛り上がる。
二岡も来るようにと上原に伝言を頼んだが、あいつちゃんと伝えただろうか?
ふいに黒い靄は像を結びなおし、井端は瞬く。左の頬骨に傷をつけたその顔と、まともに目が合った。
そう、これは二岡だ。暗い愛想無しのように言われているが、実は饒舌でカラオケ好きで、酒が入れば
また無茶苦茶面白い。
歳が近くポジションも同じで―――
それでは、新チームではポジションが被ってしまう。二岡、それがお前が俺を殺す理由か―――
血で汚れた頬に、ぱたりと落ちる水滴。
「死にたくない…」
それが自分の涙と知らぬまま、井端はナイフを振り上げた。



406 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/29(日) 04:41:58 ID:NieuJHIu0

ぱん、と短く乾いた響きが、森の空気を震わせた。
がら空きになった井端の胴に、弾丸は至って冷静に撃ち込まれた。

ナイフを握り締めたまま、ゆっくりと井端の体が前に傾ぐ。それを二岡は煩そうに腕で押しのける。
「…っ、ふ…」
横ざまに投げ出され、もう声も出なかった。焼け火箸で貫かれたような、痛みというより熱さ。
その絶望の気配は、今まで経験したどんな負傷にも似ていない。
二岡は悠然と立ち上がり、ユニフォームの土を払って、それからコルトを構え直し―――ふ、と首を傾
けた。
「あぁ、そうですよね…あんまり弾使っちゃもったいないや」
妙にふわふわとした調子の声に違和感を覚える。いやそれより、誰と話している?
そこで井端は漸く、先ほどまでの恐慌が去っていることに気づいた。
腹を打たれて正気に戻れたのか。
だからと言って何にもなりはしない、自分はこれで終わりだ。苦笑いと一緒に咳き込み、吐いた血が落
ち葉を汚す。 
(荒木)
色気のない話で嫌になる。最期だと知れば想われるのは、同僚であり、無二のパートナーである彼だ
った。
生きて帰れても、楽天行きではもう二遊間は組めない。それなら、まぁ、同じことかな?
出会えたことは本当に幸福だった。年月、とまで言うには短すぎる日々だろう。それでも。
何かカッコイイ、しっくりくる最期の言葉はないものかと考えた。咄嗟には出てこないものだ。
ああでも、どうせ伝わらないのか。
(なあ荒木、やっぱり―――)
随分暗くなった視界に、二岡のスパイクの先が見えた。
何かが振り下ろされ、骨が――自分の頭蓋骨が砕ける音を聞き―――
(顔見て話したいよ)
それを最後に、井端の意識は途切れた。



407 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/29(日) 04:47:07 ID:NieuJHIu0
二度、三度、と特殊警棒で井端の頭を打ち据える。四度目を振り下ろす前に痙攣していた手足が止まり、
完全に沈黙した。
「119億9580万、円」
声に出して確かめる。残り全員分引く井端の、生命の値段。
改めて足元の井端を見た。自分でやっておいて何だが、また酷く打ったものだ。頭蓋骨が砕けて、何か
よくわからないものが見えている。
『そうだ、いいぞニィ』
再び耳元で江藤の声がした。二岡の記憶にある通りの、父親のように優しい声と言葉。
褒められれば嬉しい。二岡は満足して微笑む。

江藤は森の中に横たわっていた。背番号33の真ん中に、焦げた穴を穿たれて。
眠っているようにも見えるのに、触れてみた掌も頬も、いつものような温もりを返してはくれなかった。そ
れが寂しくてたまらない。
だがそれからずっと、江藤の声が二岡を励ましていた。
探せ、探せ、殺せ―――
時々江藤の声には似ていない気もしたが、他に誰もいないのだから江藤に違いない。その声に促されて
二岡は標的を探し歩き、間もなく出会ったのだった。
膝をついて井端の手にも触れてみる。まだ温かいが、じきに失われていく温度だとよく分かる。広がりゆ
く血溜りと漂う臭い以上に、肌の、質感が違う。
皮膚感覚に引き寄せられて、岡島の死に顔がよぎった。そして原の。
原は恩師だ。熱血すぎて時々怖かったけど、やっぱり親父みたいな人だった。それがあんなにぐちゃぐ
ちゃにされて。
岡島の遺体はあのまま放ってきてしまった。ゲームとはいえ、いきなり撃ったりして悪いことをした。
「……」
…これは夢だ。夢だが、それなら。
心の底では、自分は願っていたのだろうか?大切な仲間、尊敬している筈の人たちを、こんな風に死ん
でしまえと?
井端も、岡島も、原も…江藤までも。


408 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/29(日) 04:48:44 ID:NieuJHIu0
切られた頬の傷が、ちり、と痛む。
綿のような頭の中が、ぐにゃりと粘土の質感に変わった。
嫌だ―――
井端の叫びが蘇る。俺だってこんな夢は嫌だ。
―――これは本当に夢なのか―――?

『殺せ』
江藤が耳元で囁く。

殺せ。殺せ―――…そうか、そういうゲームだった。
ゲームをクリアすれば夢も醒めるだろう。一人でも多くを殺して、早く現実へ帰るのだ。
醒めてしまえば、夢はただの夢だ。どんなに酷くても。

井端の顔を覗き込み、少し考えてから、瞼を指で閉じさせた。
(井端さんも…頭さえ見なければ、寝てるみたいだ)

既に粘土質の不安は去った。傍には江藤がいてくれる。何も心細いことはない。
『さぁ、もっと―――』
頬の小さな傷口は既に乾き始め、二岡の世界についたそれも、やわらかな綿に覆われて見えなくなっていた。

井端弘和(D6)死亡【二岡智宏(G7)E−3】【残り56名 年俸総額118億8580万円】


409 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 16:09:02 ID:4YI4kEem0
職人様方乙です!
うああああああお前らああああああ・・・
若様出てこないと思ったら・・・・井端が痛々しいと思ったら・・・orz
特に井端! お前荒木がいなきゃ長生きしないのかよ!ウワァァァァァァン

410 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 16:43:02 ID:dYE0C/PLO
二岡ヤバいよ二岡
若様死んだ…orzっていうかヨシノブ人殺しちゃった…

411 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 17:05:59 ID:Ho3MKhaz0
ひぃぃぃ…若様!早いよorz。でも高橋…ガンガレ
阿部の決意はこれからどう動くかだな。

二岡怖っ!なにげに二人目…
井端は阿部が追い払わなきゃ、ということになるのかな…セツナス。
でも最期まで荒木か…

412 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/01/29(日) 17:41:47 ID:RWS0K/060
保管庫様、職人様方乙です。

遅くなってしまいすみません。
50話現在の地図を更新しました。

http://v.isp.2ch.net/up/20a572d56a3b.jpg

赤字=死亡者
緑字=地形
青字=施設
黒字=生存者(分かる範囲)

生存者はスペースの関係で省いている選手がいます。

見にくくてすみませんorz
過去の話を参考にして作ったつもりですが、間違いがありましたら言ってください。

413 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/30(月) 02:01:28 ID:a6Cl3WKs0
>>412
わかりやすくていいですよ。乙です!

414 : ◆cZJuOTmaac :2006/01/30(月) 02:33:28 ID:CCawfhgK0
>>399
乙彼様です!

>>403
自分のは若田部さん死亡としての金額を書きましたが、大丈夫でしょうか?
差し支えあるようでしたら修正します。

>>412
分かりやすいです。凄い。
しかしこうして見ると自分、えらい不自然な地形を創作したものです…orz



415 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/30(月) 21:30:41 ID:IidQLhoR0
職人様方、保管庫様お疲れ様でございます!
いよいよ午後が始まってワクテカしてますw

ttp://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up6708.jpg.html
>>412で2氏が上げられた地図を元にやってみました。参考になれば。
ちなみに背番号の色が赤=死亡、青=負傷、黒=通常となっています。チーム色が分かりにくくてすいませんorz

416 :代打名無し@実況は実況板で :2006/01/31(火) 01:59:24 ID:VS2xsJ/o0
hosyu

417 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 02:05:40 ID:QJYZ58CU0
>>415
早い仕事乙です!!
すげぇ凝ってる。カコイイ!
チーム分布も分かって分かりやすい。

418 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 02:48:40 ID:Lkyb8Du30
age

419 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 17:19:36 ID:abT9RglUO
☆守

420 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:30:21 ID:jAVRQNFT0
『自殺拳銃』

「さて……どうしたもんかな」
 ドサリと、気を失った佐々岡を小屋の隅に転がし、野村は肩を叩きながら呟いた。
「目、覚めたらどうしましょうね」
 部屋の壁に背をもたれさせ、黒田が佐々岡を見下ろして嘆息する。
 黒田が見つけた船小屋は、彼らがいたC2から更に南に下った、D2の海岸沿い
に佇んでいた。
 小屋の壁には櫂が立てかけられていた。波打ち側には、岸に上げられた古ぼけた
小舟が一艘、潮風に晒されている。
 この沖から遠目に見える島まで、漕げばたどり着けるだろうか。野村はふとそんな
ことを思ったが、最初にオーナー達が言った言葉が正しければ、海に逃げても首輪
からは逃れられないはずだ。
 木の板を組み合わせただけのような小さな船小屋は、柔らかい砂場に建てられた
だけあって、遠目に見て分かる程度には傾いていた。だが台風か地震でも来ない限
り、突然倒壊することはないだろう。
 しばらくはこの小屋を拠点にすることを決めた二人は、とりあえず中に入って潮
風を凌いだ。
 移動中に聞いた定時放送には、確かに緒方の名前が含まれていた。あの場には、
広島カープのメンバー以外誰もいなかったはずだ。首輪に生死を判別するセンサー
でも入っているのか、どこかにカメラでも設置しているのか。どちらにしろ、監視
されているようで気持ちの良いものではない。
「そうだな……」
 呟き、野村は壁際に設置された背の低い机に腰をかけた。手前には佐々岡が転がって
いる。目が覚めても急に暴れ出さないように、黒田の手持ちのロープでぐるぐる巻きに
された佐々岡は静かに寝息を立てていた。
 ふと、野村は腰をかけた机がえらく安定していることに気付いた。
 ささくれ立った木材で出来たぼろぼろの机だ。おそらく手作りであろうそれは、
意外に立て付けはいいらしい。よく脚元を見ると、小さな石や木片がはさまれて
おり、絶妙なバランスが保たれていた。生活の知恵だ。

421 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:30:47 ID:jAVRQNFT0
 今は無人島となったこの島にも、少し前までは島民達が静かに人生を送っていた
はずだ。どういった形で彼らを追い出したのかは知らないが、彼らの住まいが殺戮
の舞台になってしまっていることを野村は申し訳なく思った。
「説得……出来ればいいな」
「語尾が弱いですよ」
 それは仕方がない。
 心を尽くして介抱した緒方を殺した佐々岡を、改心させることが出来るだろうか。
野村の胸につきまとう不安は、そのことについて現実的に考えようとすればするほど
膨らんでいった。
 まともな状況判断が出来ているようには見えないとはいえ、彼が正常に戻るという
保証もない。
 なにより、緒方を殺したことが許されるわけではない。
 だがチームメイトとして、あんな場所に捨て置くわけにはいかなかった。放って
おいてはいずれ誰かに殺されるかもしれないし、野放しにすれば第二の犠牲者が出
ないとも限らない。
 まったくもって扱いに困る人物だが、しばらくは目を覚ましそうにないのが救いだ。
「これでいくらだ」
 現在のメンバーは野村と、黒田と、佐々岡の3名。
「3億4500万ですね」 
 黒田が名簿を見ながら暗算する。
「3億4500万……」
 あと6億5500万の空きがあるということだ。
 自分たちを金額で換算しなければいけないのは非常に不愉快だが、6億5500万
という数字に、野村は少し余裕を感じた。これなら、もう数名仲間に引き入れても問題ない。
 ゲームに乗るつもりはないが、一緒に動くなら10億以内でなければお互いに不信感
が芽生える。
 戦意のない者、脱出したい者で組めば打開策が開けるかもしれない。
 何にしろ、3人、しかも一人が佐々岡のような人間となれば、今のままでは展開
は望めない。
(動くなら早いうちがいい――)
 日が暮れては身動きが取れない。動くのは闇に隠れて悪事を働こうとする者達だけだ。
 時間が経てば経つほど、誰もが精神的に蝕まれていくような気がした。

422 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:31:04 ID:jAVRQNFT0
「仲間になれそうなやつを探してくるよ」
「えっ……」
 もう動くのか、と黒田が驚く。
「少し休んだ方がいいんやないですか?」
 ドームを出てから、二人は動きっぱなしだ。精神的なダメージも含めて、疲労は大きい。
 緒方を弔ってからは、泣き言一つ言わなかった黒田だが、赤く腫れた目元には疲れが
出ていた。
(こいつは……俺が守らないと)
 その誓いを聞けば、気丈なエースは拒むだろう。
 だがそれは、亡き緒方へのせめてもの償いだ。チームを守ろうとした男が遺したエース。
野村が守ろうとしている――緒方が守ろうとした――広島カープのこれまでを、そして
これからを、この男は背負っているのだから。 
「日が高いうちに動いた方が後々楽だ。お前は休んでおけ。……佐々岡の見張りも
してもらわないといけないし」
 言い切る野村を説得するのは諦めたのか、黒田が黙って頷く。
 それを確認してから、野村は荷物の整理を始めた。あまり遠出をするつもりも、
長く離れるつもりもない。食料などは置いていっていいだろう。武器や地図――あと
はコンパスか。必要最低限のものを身につけ、黒田を振り返る。
「大丈夫か?」
「これだけ縛ってるし、大丈夫でしょう。武器もこっちにありますし」
 今手元にある武器は、緒方の銃、佐々岡の銃。そして野村のジャックナイフだ。
 荷物の傍らに置いた佐々岡の銃を、黒田が丁寧に拾い上げた。
「一応ナイフと銃、両方持っとけ」
 言って、野村が手にしたジャックナイフを黒田に差し出す。
「俺は銃だけでいい」
「気を付けてくださいね」
「そうだな……1,2時間で帰ってくるよ」
 ナイフを受け取った黒田に手を振り、野村は船小屋を出た。

423 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:31:26 ID:jAVRQNFT0
 野村の背中を見送り、黒田は大きく息を吐き出した。護身用に渡されたナイフを
ベルトの隙間に挟む。
 気絶した佐々岡と二人船小屋に残され、室内に波音が満ちる。
 銃を置いてその場に座り込み、黒田は膝を立ててうなだれた。
(これからどうなるんやろ……俺たちは)
 先の見えない不安は、黒田も野村も同じだ。
 野村は十分に自分気を遣ってくれている。そのことが、申し訳なくも感じた。
(世話焼かれてばかりじゃあかん――俺が守らんと)
 いずれ彼は広島カープを指揮官となるべき人材だ。
 選手を守るのは監督の役目だ。ならば、チームの監督を守るのはまた選手の役目
であるはずだ。
 彼を失うわけにはいかない。緒方が愛した広島カープを、これから率いていく人物
なのだから。
 視線を部屋の隅に投げると、佐々岡は相変わらずくったりと動かないまま机の脇に
転がっていた。
 使えないと思われた支給品のロープが見事役に立った。もっとも、船小屋の中には
漁師が使う頑丈な荒縄や網がいくつも保管されているのだが。
 さすがに、チームメイトであり先輩である佐々岡を、そんな厳つい物で縛り付ける
のは申し訳ない気がしたのだ。
(なんでこんなことに……)
 未だに実感がわかない。
 佐々岡の手で緒方が殺されるなんて、一体誰が予想しただろうか?
 実感の伴わない喪失感を持てあまし、黒田は膝の上に載せた腕に額を置いた。
 殺したいほど憎めれば簡単なのだろう。
「……そんな簡単なもんちゃうやろ」
 思い出すのは、佐々岡も、緒方も、前田もいる広島カープというチームだ。新井
がいて。嶋がいて。苦しいチーム事情でもそこには確かに絆があった。
 佐々岡の人柄も、これまでの努力も、全て分かっている。その背中を見てきたのだから。
 あの、エースナンバーを。

424 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:31:51 ID:jAVRQNFT0
「クソ!」
 ガン!
 己の無力さと不条理な現実を呪う。行き場のない怒りのはけ口を求め、黒田は地面を
殴りつけた。
 すぐ手元にあった銃が、その反動でコトリと動いた。 
「…………」
 ふいに、黒田は佐々岡の支給品である銃をそっと持ち上げた。目の高さまで掲げ、
あらゆる角度からしげしげと眺める。
 銃器の知識がほとんどない黒田が見ても、その銃はどこか風変わりだった。
 まず素人目に見ても、デザインが洗練されていない。普通の拳銃に比べ、グリップ
が極端に短く、機関部が頭でっかちで実に不細工だ。
 メモには『九四式拳銃』との名が書かれていた。
 旧大日本帝国陸軍が正式採用した日本帝国オリジナルの拳銃だ。8mm口径で、装弾数
は6発。
 当時の日本軍の技術を結集したものだけあって、構造が非常にユニークで欠陥も多い。
暴発の危険性を伴い、戦利品として略奪した米国軍に、悪銃として『自殺拳銃』などと
いう有り難くない異名を付けられた。……などという知識は勿論黒田にはない。 
 緒方を殺したその拳銃を握りしめ、黒田は静かに向かいの壁を睨み付けた。
 見かけの悪さに反し、構えるとしっくり手に馴染むそれの照門越しに見えた壁の染み。
 それは、五十嵐のユニフォームを染めた血の跡によく似ているように思った。
 思い出すのは、赤と白のまだら模様。
 くだらないゲームだ。くだらなく、悪趣味なゲームは、若い五十嵐の命すらもあっさり
と奪った。
(五十嵐や緒方さんは被害者や。でも、多分、佐々岡さんも、五十嵐を殺したやつも――)
 このゲームに踊らされている被害者だ。
(間違いなく、俺自身も)
 くだらないゲームの中で踊らされているという意味では、死者も殺戮者も反抗者も、
全て糸に引かれたピエロに等しい。
 そう思うと、ふいに強烈な極彩色に変貌した、五十嵐のユニフォームが、ピエロの
衣装のように見えた。
(死んでも生きてもピエロなら、生きたほうがマシや)
 踊れるだけ踊ってやればいい。

425 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:32:30 ID:jAVRQNFT0
(そこで見てて笑ってろや、ボケ)
 どこかからか見下ろしていそうな主催者達に唾を吐く。
 野村は何とかしてこのゲームから脱出しようとするだろう。だが、黒田は違った。
 恨むべき相手も、復讐すべき相手も、ゲームに弄ばれている殺人者たちではない。
高みの見物を決め込んでる、13人のオーナー連中だ。
 もし、手が届くことがあるのなら――
(俺は、あいつらを……)
「――殺す」
 パン!
 ガタッ…
 トリガーを引いた瞬間、銃口を飛び出した鉛玉は板壁を貫き、後には硝煙の匂い
と一つの風穴が残った。
「…………」
 銃声とほぼ同時に物音が聞こえた気がして、黒田は佐々岡の方を振り返った。
 相変わらず佐々岡は横になっていて、起きた様子はない。しばらく耳を澄ませるが、
周囲のどこからも、それ以上気配を感じることはなかった。先ほどの物音は気のせいか、
眠っている佐々岡が銃声に驚いて身じろいだものだろう。
「ふぅ……」
 緊張を解き、息を吐き出す。黒田はそっと銃を床に置いた。
「野村さんまだかな」
 まだたいして時間が経っていないの分かっているが、一人そんなことを呟き黒田
は立ち上がった。
 銃を弄ぶのも、あまり感心したことではない。佐々岡も気絶したままだ。となると
することがなく、黒田はそわそわと何度となく外に出て人影を確認した。
 一歩障害物のない場所に立つと、潮風が頬を打ち髪を掠める。
 潮騒に数時間前の記憶を引き戻され、黒田はしばし瞑目した。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
 突然室内から叫び声が聞こえ、黒田は船小屋を振り返った。
「佐々岡さん!?」
 事態を把握できないまま、慌てて小屋へと駆け戻る。
 船小屋に戻ると、佐々岡が一人、叫び声を上げながら地面をのたうち回っていた。

426 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:32:51 ID:jAVRQNFT0
「さ、佐々岡さん!」
 侵入者の形跡は見当たらない。前田に殴られたときの当たり所が悪かったのだろうか。
「大丈夫ですか? どこか痛いところは……なっ!」
 駆け寄り、苦しむ佐々岡の身を起こそうとした瞬間、拘束されているはずの佐々岡
が勢いよく身体を跳ね上げた。
(いつの間にロープを――!)
 虚を突かれ、襲いかかってきた佐々岡に黒田は尻餅をついた。腰に差していたナイフを、
佐々岡が咄嗟の行動とは思えない判断力で素早く取り上げる。
「がぁっ!」
「うあっ!?」
 獣のような声を上げ、佐々岡が振り回したジャックナイフが黒田の左腕を切り裂いた。
なおも刃を振り回してくる佐々岡の攻撃から逃れるようと、身体を倒す黒田。
 その身体を飛び越え、佐々岡が床に置かれた九四式拳銃を乱暴に取り上げたのと――
 パァン!
 その銃口が火を噴いたのは、ほぼ同時だった。
「アアァ!?」
「さ、佐々岡さん! 耳が……!」
 暴発した銃弾は佐々岡の左頬を掠め、その先に飛び出た耳を食い破っていた。
「くっ……」
 止め処なく血の溢れる側頭部を抑え、佐々岡が再び銃を――今度は銃口が己に向かない
ように気を付けながら――掴み上げ、転がるように小屋を飛び出した。
「佐々岡さん!」
 負傷した腕を押さえながら黒田が後を追って外に出る。思いの外逃げ足の速い佐々岡
を追おうとして、野村がいないのにこの場を離れていいのか黒田は躊躇した。
「クソッ……」
 じりっ……と砂浜をスパイクで踏みにじり、吐き捨てる。
 いつの間に佐々岡はあれほど冷静に戻っていたのか?
 黒田は握り締めていたロープの切り口を睨み付けた。さほど太くないロープの先は、
何かで擦りきったようにささくれ立っている。
(やられた――)
 この島に来てから、怯え、混乱している佐々岡の印象しかないから油断していた。

427 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:33:19 ID:jAVRQNFT0
「黒田! 何があった!? 今の銃声は――」
 ようやく帰ってきた声に振り返り、黒田は言葉を奪って叫んだ。
「野村さん……! すみません、佐々岡さんを……!」
「逃げたのか!?」
 白い砂浜に点々と付く血痕がその先の繁みへと伸びてるのを見て取り、野村が事態
を察する。
「佐々岡さんが、ロープを切って俺に襲いかかって――銃を……」
 ジャックナイフは佐々岡が放り出し、室内に転がっていた。代わりに彼が奪って
いった九四式拳銃の危険性を思い出す。
「危ないですよ! あんないつ暴発するか分からない拳銃……」
「暴発!?」
「あんな支給品ないですよ!!」
 確かに佐々岡の扱いは乱暴だったが、あれくらいでいちいち暴発されてはたまった
ものではない。
 全く信じられない。何もそんなボロ銃を支給しなくてもいいではないか。
「追うぞ!」
「はい!」
 応え、黒田は血痕を辿り駆け出す野村の背中を追った。


【残り56名 年俸総額118億8580万円】

428 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/01(水) 01:34:01 ID:jAVRQNFT0
>>415
おおお乙です!
こっちの方が見やすいですね

>>414
自分も勝手に若田部死亡で地図を作ってしまったので心配です。
間違いでしたらすぐに直します。

429 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/01(水) 20:31:12 ID:v+cux/Ts0
済みません…若田部死亡です。
人数と合計金額引くの忘れてました…orz

地図、乙です。素晴らしいです。

430 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 18:50:40 ID:ylOYZVGDO
正☆守

431 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 21:00:03 ID:Ij9EeEpK0
職人様乙です!
ぼぼぼ暴発・・・・(゚Д゚;)
佐々岡ぁぁぁぁ・・・・・
黒田とノムケン、つらいだろうが佐々岡を頼むorz

432 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 00:40:48 ID:0NCGmieDO
灰汁金につき携帯より
耳イターイorz
物騒な拳銃持って佐々岡どうなるんだろう…

433 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/04(土) 13:55:20 ID:LPaGE7tu0
「どいつもこいつも」

「緒方…」
古田が去った直後に聞こえたあの放送。かつての仲間であった
緒方の死を告げる声が、今も尚、金本の耳に残ったままであった。
「嘘じゃ…何かの間違いじゃろ…」
あの緒方が…青ざめる金本は、重いヌンチャクを握りしめる。

(いや…俺は…出ていった奴じゃ。そんな俺が悲しむ権利なんか…無いじゃろが…)
「金本さん?」
不安げな野口に、金本は振り返った。
「いや…何でもない。」
精一杯強がるように言葉を吐き捨てる金本であったが、それでも言葉尻は大きく震える。
「何でも…無い事じゃ。何でも…」
今の自分はもう彼らの仲間ではない。新たな仲間達に囲まれ過ごしていた自分が
どの面下げて嘆き悲しむというのか。

俺に悲しむ権利は無い…
何度も自分に言い聞かせると、金本は大きく首を振る。

「金本さん、具合でも悪いんですか?」
首を傾げる野口に、金本は無理に笑う。野口を心配させるわけにもいかないだろうと。
「いや、心配…」
「あ、そうですか。」
「しろや!お前って奴は…」
ぶつぶつ文句を言いながらも、少しは気が楽になった金本は、地図を見る。
「ここは…禁止エリアになる。先を行こう。」
「あの…禁止エリアって何ですか?」
「なっ…」
あまりの野口の質問に、金本は絶句した。
「おまっ…ドームでのあいつらの話、何も聞いてないんか!?」
「はあ…あまりに話が長かったんで、ちょっとぼんやりしちゃって…」

434 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/04(土) 13:56:05 ID:LPaGE7tu0
「…話しが長かったって…」
あの場面でよくぼんやりとできるものであり、馬鹿か大物か判断付かないと
金本は力なく歩き出す。
「…禁止エリアというのはな、そのエリアに入ったら首輪が爆発するエリアで…」
「……」
「1日4回、そのエリアが増えるから、時間が経つにつれ、勿論増え続けて…」
「……」
「そうなると動けるエリアが少なくなって…お前、ちゃんと聞いとるか?」
「え、は、はい。でも…何で首輪が爆発するんですか?」
「〜〜!今説明したばかりじゃろ!お前って奴は…」
悲鳴に近い怒鳴り声を上げる金本は、肩を落とした。
(俺は自分で思ってたより…忍耐力があるんじゃな…)
新たな発見だとため息をつく金本だったが、左わきの茂みから何か嫌な気配を感じるように足を止める。
「…!」
ヒュン、と何かが過り、それが野口のデイバックに刺さったボウガンの矢だと悟ると、
金本は野口の腕を掴む。
「逃げるぞ!」
「は、はいっ!」
血相変えて走り出そうとする金本達に、矢は追い討ちかけるように何本も飛んできた。
「うわっ!」
運良く数本の矢は命中することなく方々に飛んで行くが、これではラチが空かない。
「くそったれが!」
焦りと怒りで金本は見えない敵を威嚇するように、鉄製のヌンチャクを振り回す。
ヌンチャクは真っ向から飛んできた矢を、偶然にもカツンと叩き落とした。
「うわぁ…何かのカンフー映画みたいですね!」
「阿呆か!感心しとる場合じゃないじゃろ!」
一瞬の追撃の隙を付くように、金本は野口を引きずるように全速力で逃げ去った。

「どうやら…もう大丈夫なようじゃ。」
息を整えながら金本は辺りを見る。もう追撃の矢が飛んでくる事は無かった。

435 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/04(土) 13:56:54 ID:LPaGE7tu0
「一体誰が…」
金本はぼそりとつぶやき、考え込む。
(C3が禁止エリアとなれば、あそこの位置を通過する選手は多いじゃろう…)
まるでそれを狙ったかのような先程の攻撃。さながら獲物を影から狙う狩人のように。

(さっきのボウガンの奴からすりゃ、俺も野口も人じゃなく兎や鹿みたいなもんか。)
人を獣のように捉える…そう考えると嫌悪で吐き気がする。

「さっきの矢を放った人は…俺達を殺す気だったんでしょうか?」
カンフー映画がどうのと言っていたとは思えないほど、神妙に野口は言う。
「そりゃそうじゃろ…いたずらであんなことするか。」
「やっぱり…。何でそんな簡単に…人を殺そうなんて思えるんだろう。」
さっぱり理解できないと呟く野口に、金本もゆっくりと頷いた。
「本当にな…俺にも分からん。ある意味単純で羨ましくもあるけどな。」
金本は大きく息をつき、じっと宙を見る。
「じゃが…そんな単純な奴は、思ったよりも多いかもしれん。」
先程のボウガンが特殊なケースだと考えるのは、あまりに楽観的すぎる。

「とにかく…ここらは危険じゃ。早いとこ移動した方が…」
言いかけた金本は、突然視界に入ってきた人影に身構える。

「谷繁さん……」
ぎらついた目でこちらを見据え、手には血が乾いた跡が残る包丁を持つ
谷繁元伸の姿に、野口は軽く目を見開く。
「……」
どう見ても好意的な様子とは言えない姿で、瞳をぎらぎらとさせ、
前方に立ちはだかる谷繁に、金本は眉を吊り上げる。

「…どいつもこいつも…単純な奴ばかりじゃ…」
舌打すると、金本は忌忌しそうに言葉を吐き捨て、ヌンチャクを構えた。

【残り56名 年俸総額118億8580万円】

436 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/04(土) 13:59:34 ID:LPaGE7tu0
谷繁元伸、ではなくて谷繁元信です…すみませんorz

437 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 20:29:42 ID:VcpGt/8A0
金本VS谷繁・・・ついに節目となる戦いになるのかな

438 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 01:29:16 ID:46fUEPZ30
構成とか文章の良し悪しっておまいらどーでもいいの?

439 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:24:29 ID:dMdvlEl80
職人様おつです!
ヌンチャクで矢落とした金本テラワロスw
ボウガンってことはジョーか・・・・しかも谷繁・・・。
宇宙と筋肉コンビはどうなるのかワクテカ

440 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 04:02:52 ID:d6q0XYcN0
宇宙と筋肉はなにげにいつもピンチなのに楽しそう。

441 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 08:48:50 ID:Z7EiNdjTO
マスター!次なる良作を一杯頼む

442 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 08:49:38 ID:QoUXwvwv0
このスレはじめてみたけど、おもろいな

443 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/02/07(火) 13:50:09 ID:cQ0u2aBX0
職人様方乙です!
『壮絶な静寂による決意』『瑕』『自殺拳銃』『どいつもこいつも』
>>415氏製作の地図うpしました

それと大変申し訳ないのですが、>>412の地図が流れてしまってみれませんorz
もしよろしければ再うpお願いしたいです
いつも迷惑かけてすいませんorz

444 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 19:51:09 ID:aSuUWqaD0
保管庫様乙です!

http://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up6837.jpg

445 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/02/07(火) 21:41:02 ID:G/X5PsfQO
>>444
ありがとうございます!
保存したので今度更新するときに一緒にうpしときます

446 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/08(水) 00:12:36 ID:CfTR10ER0
『追跡者』

 砂浜から直進して飛び込んだ繁みに身を隠しながら、佐々岡真司は追っ手を巻く
ために逃げ続けていた。
「痛ぇ……」
 呟いても痛みが治まるわけではない。だがジンジンと響く激痛を、黙って耐える
ことなど出来なかった。
 耳を押さえる左手には、生温い血が滴っている。血が止まらないのだ。
 出血の量に貧血を起こしそうな頭で、佐々岡は目が覚めてからここまでの経緯を
思い返していた。

 目が覚めたら、すでに身体の自由が奪われていた。
 驚くが、その場に野村達の気配があったので、佐々岡は目を覚ましていない振り
をして彼らの様子を探った。
 咄嗟の判断だが、今思い返せばあの時暴れ出さなかった自分を褒めてもいいだろう。
おかしな真似をしていれば、一歩間違えればもう殺されていたかもしれないのだから。
 あるいはその状況が、逆に佐々岡を冷静にさせたかもしれない。
 恐慌状態は長くは続かない。現状の認識と共に、佐々岡は自分が何をしたのかを
猛スピードで思い出していた。
 彼らは自分を殺すつもりだろうか。佐々岡は考えた。
 緒方を殺した佐々岡を、彼らが許しておくわけがない。おまけに、ロープで身体
を縛られて身動きが取れない状態だ。武器も向こうの手中だろう。彼らが殺そうと
すれば、いつでも自分を殺せる。
 佐々岡の命は彼らに握られているのだ。
 だが殺すつもりならば何故その場で始末せずにここまで運んできたのか、佐々岡
の思考がそこに及ばなかったわけではない。
(どうするつもりなんだ……)
 いくつか想像は巡るが、想像はあくまでも想像だ。どれが現実に即しているか、
情報が不足していてこれと言って決め手がない。 
 野村が去った後、一人残された黒田を、佐々岡は時折薄めを開けて観察した。
 厳しい表情で壁を睨み付ける黒田の手には、佐々岡の拳銃が握られていた。腰には、
野村に渡されたジャックナイフ。

447 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/08(水) 00:12:59 ID:CfTR10ER0
「――殺す」
 パン!
 錆付いたナイフのような、負の感情の入り交じった冷たい声。
 ほぼ同時に鳴り響いた予想外の銃声に思わず身がすくみ、佐々岡はビクリと身を
竦めた。その際に、背後にある机の脚にぶつかってしまう。
 慌てて気絶した振りを決め込んだ佐々岡に、物音を聞き咎めた黒田の視線が突き
刺さった。
(逃げないと……)
 頼むから聞こえてくれるなと思うほど、心臓は爆音を立てて血液を流動させていた。
 野村がどういうつもりで自分をここに連れてきたのかは知らないが、少なくとも、
黒田はやる気だ。
(ここにいたら殺される――!)
 震えそうな身体を必死に抑え、佐々岡は脱出の策を考えた。これ以上ないくらい、
左脳をフル回転させる。
 立ち上がり、戸口へと向かった黒田に、しめたと思った。
 すぐさま黒田の後ろ姿を確認した。腰にナイフを差しているが、銃は床に置いて
いる。あれは自分の銃だ。何とかあの銃を黒田に拾わせず、取り返さなければいけない。
 佐々岡は冷静だった。
 心拍数は怖いほど早くなっていたが、逆に頭はゆったりと冷めていった。
(逃げるなら、これをどうにかしないと――)
 背中に当たる、固い木の感触。
 僅かに身を動かし、後ろ手に縛られたロープを脚の角に擦りつけた。見たところ、
それほど太いロープではない。立て付けの良い机は不自然な力を加えてもガタつく
様子はなかった。地道な作業にはなるが、黒田が帰ってくる度に寝たふりを決め込み、
また外に様子を見に行くとロープを擦り切っていく、ということを繰り返した。
(切れた――!)
 その瞬間、佐々岡は叫んだ。

 その後はおおよそ佐々岡の算段通りに事が進んだ。唐突に目を覚まして暴れ出した
ように見せかけ、何事かと近づいてきた黒田から武器を取り上げて襲いかかった。
 だが、唯一にして最大の誤算が、現在進行形で佐々岡の身体を蝕んでいた。

448 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/08(水) 00:13:20 ID:CfTR10ER0
(暴発なんかしやがって……)
 腰に差した銃に忌々しく吐き捨てる。左耳は外耳と付け根が抉られただけで、鼓膜
には影響はなかったらしい。痛みと出血は酷いが、自分の呟く声もまともに聞こえた。
あと10センチでもずれていれば顔面を打ち抜かれていた事を思うと、幸運に感謝する
べきなのかもしれない。暴発自体が不運以外何者でもないが。
 まともな銃なら、そう何度も誤作動することはないだろう。この不運は一度きりだと
信じるしかない。この銃以外、佐々岡が頼れるものは何もないのだから。
「あれは……?」
 あえて人道を避け、背の高い繁みの中を進んでいく中で、遠目に人影を見つけた。
 佐々岡とは対照的に道の真ん中を歩く男の姿に、思わず身を強ばらせる。
 よくよく観察してみると、それは巨人のユニフォームだった。
 背番号は5。
(あれは清原だ)
 そのことを認識した瞬間、色んな意味で佐々岡の背筋が伸びた。心臓が跳ね上がる。
 球界で恐れられている男は、この殺人ゲームの舞台でも貫禄のある足取りで歩いて
いた。彼が年俸ランキング上位の選手であることは間違いない。狙われやすいはずの
男がこうも堂々としているのは、いくら彼が鷹揚な性格であるにしても、少々油断し
過ぎではないかと佐々岡は穿った。
(よし……)
 その後ろ姿にある決意を固め、佐々岡は静かに拳を握りしめた。
 清原の背中を視線で追い、十分に距離が開いてから後をつける。
 気付かれないよう息を潜めながらの尾行は、佐々岡の心拍数を逓減させると同時
に過去の罪過を思い起こさせていた。 
(緒方……ごめんな……)
 今更の謝罪の言葉が頭を過ぎる。
 あの時、緒方に向けてトリガーを引いた自分はどうかしていたのかもしれない。
 緒方は本当に自分を助けようとしてくれたのだろう。だが、あの時はその優しさ
すら怖かった。
 そこにあったのは、ただ殺さなければ殺されるという恐怖だ。
 五十嵐は殺されていた。惨殺されていた。

449 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/08(水) 00:13:47 ID:CfTR10ER0
(ああなるのは、嫌だ)
 嫌だ。それは今でも嫌だ。緒方を殺した己の罪を受け入れもなお、佐々岡は後悔
することはしなかった。その行為を否定してしまえば、今の自分自身をも否定して
しまうことになる。後戻りは出来ないのだ。 
 人を殺した自分が進める道は一つしかない。殺し続けて、生き残ること。
(民家に入った……)
 跡をつけていた清原が、集落のはずれに佇む一軒の民家に入った。
 それは塀も囲いもない、小屋というには少々立派、という程度の代物だった。
 入り口は家の西側、こんもりとした繁みに面して立っていた。その距離、およそ
10メートル。
(いけるか?)
 初心者には少し遠い気もする。だが、狙う場所は決まっている。
 入り口の正面の繁みに待ち伏せし、ドアが開いた瞬間を狙って構えていれば――
 小さく頷き、佐々岡は息を潜めて一歩を踏み出した。


【残り56名 年俸総額118億8580万円】

450 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 17:36:08 ID:/I4zdcbIO
乙です!
ひさびさに好感の持てない二人組クルー?(゚∀゚)

451 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 11:52:08 ID:lhj/XG21O
守備

452 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/09(木) 17:49:39 ID:XFMaPrNJ0
「根拠無い自信」

時間は第一回目の放送前に遡る。そこには山道を歩く二つの影。

「さっきの放送…ホンマの事なんですかね。」
「ああ…」
沈んだ声を出す大村に、西口も沈んだ表情で返すと、山道を登る足を止めた。
「俺を殺そうとした奴がいた。残念だけど、人の命を奪う事を決意した奴は…」
「思うてた以上に居るわけですか。なんだかなぁ…」
怒りや恐怖とは無縁の、いつもと大差無い様子で大村は頭を掻く。
「ま、俺等は運が良いっちゅーことになりますね。」
「運が良い?」
「だってそうでしょ?俺もあんたも誰かを殺すなんてけったいな事考え付きもしない。
その二人がこうして出会えたっちゅーことは、運がええという事です。」
「なるほどね…お前が居なかったら俺はどうなっていたか…」
後ろ向きの暗い考えに飲まれ、どういう方向に進んでいたか…

「あんたは俺を信用してくれたんでしょ?別のチームの俺を信用してくれた…
せやから俺もあんたを信用する。…俺とあんたは仲間や。」
「…そうだな。」
自分とはかなり異なる性格の別チームのこの男を、まさか生死を賭けたこの場で
仲間と呼ぶ事になるとは…西口は苦笑した。
「信用、か…良い言葉だ。投手にとって最高の褒め言葉だよ。」
「でしょ?ほな、サクサク行きましょ。」
満足げに応える大村であったが、どうも道の選択を間違えたのか、
あまりにも細く頼りない道に思わず足取りがゆるやかになる。

「なあ…一度引き返した方が良いんじゃないか?」
「…ですね。…ていうかもう少し早く言うてくれても…」
進むにつれ、壁に手を付かねば足下が崩れそうでとても歩けそうにない道幅とも
言えない程の細い道。崖下を恐々と見下ろしながら大村は答える。

453 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/09(木) 17:50:19 ID:XFMaPrNJ0
「いや…お前があまりに自信満々に歩くから…」
「根拠の無い自信ってやつですわ。と、とにかく戻りましょう。」
風が吹いただけでも身がすくむ。引返そうと大村が身を反転させようとした時…

ドンッ
地面が大きく震え、西口は跳ね上がる身体を何とか壁に押し付けるように保った。
「…!うわああっ!」
「お、大村っー!」
まさに身を翻そうとした瞬間であった大村は、足下を崩すように滑らせ、
真っ逆さまに崖下に落ちて行った。

「大村っ!くそっ…」
血相を変え、西口は今来た道を引返そうとするが、程近い場所に見える煙に気がつく。
(今の地響きはあそこからか…)
となれば、足場がしっかりある地はここをあえて進んだ方が近い。
そこに着けば本来のちゃんとした山道があるはずであり、そこを走って下った方が
確実であり、早く大村の元にたどり着けるであろう。
「…大丈夫だ。絶対…無事なはずだ。」
幸い、崖下からそこまでの距離はない。森が繁っているせいか、大村の姿は見えないが、
彼の事だ。崖から落ちて死ぬような男ではない。
「根拠無い自信…って言ってたな。」
それはこういう事を言うのだろう。彼の根拠無い自信は見事に外れたが、自分は違う。
大村は生きている。きっと大した事無い怪我に違いない。
「根拠無い自信ってのは、大事だからな…」
細道を進み、開けた土地に足を踏み入れた西口は、地図を開いて大村が落ちたであろう
位置を定めると、ゆっくりと頷き、仲間の元へと走り出そうとする。

454 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/09(木) 17:51:10 ID:XFMaPrNJ0
「西口さん?西口さん!ああ、よかった、やっと会えました!」
「…大輔!無事だったか!」
西口が振り返る先に、チームメイトでもあり、エース同士でもある松坂大輔が駆けよって来た。

「いやぁ…すげぇ地震でしたねぇ…あれのせいかな?」
ここからかなりの至近距離である場所であろうが、山肌が邪魔して見えない
その奥に舞い上がる煙にくい、と親指を向ける。
「爆発…だったのか。何で爆発なんて…」
「それよりも西口さん、一人ですよね?良かった、早速あんたに会えて。
これからは俺と一緒にみんなを探しましょう。」
「ああ。でもその前に…」
松坂と会えた事は幸運であるし、心強い。だがその前にやらねばならない事がある。

「大村が…崖から落ちてね。そこまで高い距離じゃないし、木も生い茂ってたから
無事だとは思うんだけど、あいつを助けに行かないと…」
「大村さん?なんであんたが…」
他球団の大村と…怪訝そうな松坂に、西口は苦笑する。
「まあ色々と。お前も一緒に来てくれよ。大村は信用できる。あいつも一緒に…」

「あんた…何言ってるんですか。」
絶望的な表情で、松坂は唇を震わせるようにつぶやく。
「森さんは死んだ…俺達の仲間が殺されたんだ。俺はもう絶対に他の奴らを信じない。」
「なっ…森が死んだ、だって?」
一体何を言っているのか。絶句する西口を、松坂は静かに見据える。
「俺達が生き残るんだ。俺達の合計年俸は10億以内になった。俺達だけでいい…
他の奴等は皆…要らない。」
「大輔…」
まだまだ幼さが残る顔つきであるが、こういった表情をする松坂は非常に頑固で、
もはや誰の意見も通じない程に意を決しているものであり、西口は首を振る。

455 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/09(木) 17:52:39 ID:XFMaPrNJ0
「…俺は大村を仲間と認めた。あいつを信用すると決めた。
だから助けに行かなきゃならない。お前がそれを受け入れてくれないなら…」
「…ここでお別れ…ですか。何でですか?俺はみんなと…あんたと生き残りたい。」
「俺もだよ。皆で…帰りたい。でも…大村を見捨てるわけにはいかない。」
「…あんたは頑固ですからね。そういう顔する時のあんたは手に負えない。」
悲しく顔をくしゃりとさせて笑う松坂に、西口も泣きそうな笑いを浮かべる。
「…今は大村を助けに行かなきゃならない。でも…その後で…お前とまた会えた時、
お前の考えが変わっていてくれてる事を祈るよ。」
エースという看板を張ってきた同士である。お互い譲れない所は、何があっても
譲らない性分であるのは、嫌になるほど知り尽くしている。

「…じゃあな。また、会えるだろう。…根拠の無い自信だけどな。」
「……」
背を向け、振り返る事無く坂道を下っていく西口を、松坂は悲痛の表情のまま見送る。

「…何で分かってくれないんだよ…」
唇を噛みしめ、松坂は俯く。
「大村さんが死んだら…分かってくれるかな。」
一言そう呟く松坂は、顔を上げた。その表情は先程までの悲痛な表情と一転し、
非常に無機質で冷たく冴えるものへと変化していた。
松坂は無言のまま、西口の後を追うように坂道を下っていく。

突然の大音量。爽やかな曲。野球場へゆこうとしきりに繰り返すその歌。
そしてウグイス嬢の冷たい、森の死を伝える声。
分かってるよ、と吐き捨てるように呟きながら、松坂は後を追う。

その後ろ手にあるのは、赤と鉛色のツートンのカプセル錠剤を大きくしたような姿。
別名「赤い悪魔」と呼ばれる手榴弾であった。

【残り60名 年俸総額124億9580万円】

456 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 22:06:06 ID:sVii1QxS0
職人様お疲れ様です!
モーさんっ・・・・・モーさんっ!?
太輔キタコレ!
にしぐっぴカッコヨサス・・・・って太輔えええええええええ?!
東の松坂・西の石井な勢いだな・・・・。

457 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 22:57:09 ID:8dIyQonR0
職人様乙です!
ついに『赤い悪魔』キター!!

458 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 23:03:49 ID:D9lKy8Q00
モーさんいきなりそれかよ…って松坂、お前だったのか!
森の死に関係があるようだけど…

459 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 23:13:26 ID:dXW0nBSS0
お前かー!「赤い悪魔」はお前か―――!!!
…て、あれ?前田チョコがかつて在籍したチームの選手じゃなかったんか?
MかDの誰かから奪ったんだろうか?

460 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 00:31:10 ID:itDONfBh0
じみたん仕留め損なったのが一個落ちてる。



461 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 00:31:24 ID:ahe6eOSG0
>>459
阪神の選手と戦ってた選手がチョコの元チームメイトらしいが、それが赤い悪魔なのか?
赤い悪魔が戦ってたのは仁志だったから、阪神選手と戦ってた奴とは別人だと思ってた…
…読解不足?

462 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 00:33:29 ID:3TR37POE0
>>459
つか逆じゃない?
仁志・清水が襲われたのは昼の放送直前だったような気がするし、
今岡・佐伯が襲われたのは放送の後で、前田の目撃はその時だし。

>>452-455の話だと寧ろこの後MかDの選手に奪われた…ってことになるか、
前田が見間違えてて彼らを襲ったのも松坂、と言う事になるか(DとLの色なら似てるし?)

ところで、>>452の最初2行…
大村が言う「さっきの放送」てどれのことか分からないアホな俺に解説おながいしますorz

463 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 00:49:44 ID:l+fER48m0
ほんとだ、放送後の話だと思って読んでたら放送前って書いてた・・・すごい読み飛ばしだorz

>>461
場所的に近いし時間差あるし、同一人物だと思ってた

464 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 00:55:55 ID:02wqve7P0
>>461
赤い悪魔は一人だと思ってた。


>>462
俺もわかんね。
「人の命を奪う事を決意した奴」云々の辺りは、一回目の放送で死亡者が出てると分かっての台詞だと思うんだが
その前にハッキリ「一回目の放送前」ってあるし。



465 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:13:17 ID:8fDaMI5L0
気になることをまとめて書いてみる。

『時間は第一回目の放送前に遡る』という記述の後で
「さっきの放送…ホンマの事なんですかね。」 と大村が言っている。

初見では『さっきの放送』とは、その第一回目の放送としか読み取れない。
根拠は、その後に続く、
「俺を殺そうとした奴がいた。残念だけど、人の命を奪う事を決意した奴は…」
「思うてた以上に居るわけですか。なんだかなぁ…」
という台詞から。これは6人死亡の報を聞いた上での反応と読み取れるため。

ただ、その仮定でいくと、西口の
「なっ…森が死んだ、だって?」
という台詞が矛盾点となる。第一回目の放送では森の死も報じられているため。

百歩譲って大村の言う「さっきの放送」が、出発前のバトロワの説明についてだとしたら
まだ納得できる部分もあるが、それでも「思うてた以上に居るわけですか」が引っかかってくると思う。

466 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:15:36 ID:ChOme94w0
同じB−4内で時間を置いて仁志と清水、今岡と佐伯が赤い悪魔食らってるから、
 西口を追いかける→山を下りきると動く影→ライオンズのユニフォームじゃないから赤い悪魔投擲→逃げられる
 →そうしてる間に西口見失う→見晴らしいいからとまた山に隠れる→山の上から民家発見、中に居るのはタイガースとベイスターズの選手と分かったので投擲
 →反撃食らう
  前田が見たのは、赤い悪魔投げてる松坂に驚いてるマリーンズかドラゴンズの選手
みたいな感じかと。松坂ならかなりコントロール利くと思うし。
放送は職人さんのちょっとした手違いかな?

467 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:20:52 ID:jq1W67/r0
保管庫の訂正のとこに、「さっきの放送〜」を修正してくれと
書いてあったから、放送は職人さんの手違いだと思われ。
だから完璧に放送前の出来事で、松坂が聞いた放送は第一回目かと。
(森の死を告げているし)

468 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:24:32 ID:8fDaMI5L0
だったらここも直さなきゃ。↓

「森さんは死んだ…俺達の仲間が殺されたんだ。俺はもう絶対に他の奴らを信じない。」
「なっ…森が死んだ、だって?」

それと、最後の記述。↓

突然の大音量。爽やかな曲。野球場へゆこうとしきりに繰り返すその歌。
そしてウグイス嬢の冷たい、森の死を伝える声。

じゃないと二回同じ放送聴いてることになるよ。

469 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:29:48 ID:jq1W67/r0
>>468
松坂は森の死を知ってて、西口は知らないってことは
松坂は放送前に森が殺されるとこを見たんじゃないか?

>そしてウグイス嬢の冷たい、森の死を伝える声。
 分かってるよ、と吐き捨てるように呟きながら、松坂は後を追う。

放送に対して分かってるよ、と言ってるとこから。

470 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:32:31 ID:l+fER48m0
まあ「放送前〜」の記述が手違いみたいだったから、あとの(前田目撃とか)
はちとややこしいが伏線と解釈したら丸く収まるかな?

なんだかんだで大村も実は伏線張られてるシナー

471 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:33:30 ID:ChOme94w0
>>468
そこは修正いらないんじゃない?
ライオンズの出発順は森→西口→松坂。
西口は出た瞬間に銃撃されて、混乱状態で逃げたから、森が死んでいるかどうか知らない。
松坂は死んだ森に会ってるんだと思う。

472 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:35:34 ID:8fDaMI5L0
>>469
別に問答する気はないけどね。ただおかしいと思うから言ってるだけで。
松坂が森の死を事前に知ってたのは分かるよ。そう書いてあるし。

そうじゃなくて、放送後なのに、西口が森の死に驚いてるのは変でしょ?

最後の放送の記述が、松坂の回想なんだとしたら、
『突然の大音量』じゃなくて、『耳の奥で繰り返される爽やかな曲』とでも
しておいた方が分かりやすいと思うな。

473 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:39:12 ID:ChOme94w0
>>472
大村落下→西口・松坂遭遇、会話→西口、松坂と別れる→松坂追いかける、その最中第1回放送開始
じゃないか?

474 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:42:57 ID:8fDaMI5L0
>>473
え?
これまでの流れだと、第一回目の放送→爆発による地震・大村落下→
西口・松坂遭遇、会話→西口、松坂と別れる→松坂追いかける

じゃないの?

475 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:48:49 ID:ChOme94w0
>>474
松坂、仁志&清水襲撃→その衝撃で大村落下→松坂、大村の声がした方へ行くと西口発見→・・・・
かと思ってた。
佐伯と今岡が襲撃されたのは放送から少し経ってからだし。

476 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 01:51:12 ID:jq1W67/r0
しょっぱなから時間は第一回目の放送前に遡る。と言っている。
なので西口と松坂遭遇時は放送前だろう。

おそらく手違いで「さっきの放送〜」と書いてしまったんだろう。
「ホンマにヤル気になっとる奴が居るんですかね?」と
修正してと言ってるんだから、そうなれば放送前の状況として収まるし。

477 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 02:07:57 ID:l+fER48m0
てかこここんなに人いたんだな

478 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/10(金) 04:22:04 ID:DaDdkbhV0
…すみません。色々揉めさせてしまって。
そもそも大村の「さっきの放送…」がと間違えてしまったのがいけないんですが…
最初は放送直後にしようとしたんですけど、放送前にしようと考え直し、書き上げ、
清書していたんですが、大村の台詞が清書前なのに気がつかず…

なので、西口と松坂が遭遇したのは第一回放送前で、松坂が西口を追いかけようと
した時に流れたのが第一回放送です。

大村落下→西口松坂遭遇→別れる→松坂、追いかける→第一回放送です。

文字ミスは論外とも言える大問題ですが、
時間を遡らせる、という事をしてしまったのもいけなかったですね。
こういった形式で進める中で、時間を遡らせるのは混乱を招く、という事が
今回の事でよく分かり、反省しました。

分かりづらい、他職人さんが書きづらいとの事ならば、この話は削除して下さい。

479 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 06:57:38 ID:JtiSsctvO
>>478
職人様、解説ありがとうございます。

ええと、てことは仁志清水を攻撃したのは松坂の可能性が高いが、
今岡佐伯を攻撃したのは別人の可能性もある(MかD?)ってことですか。
もちろんどっちも松坂で、前田の見間違いもしくは松坂が誰かのユニを奪った可能性もありますが。
今まで出てこなかった分、西口と出会う前にいろいろあったことは想像にかたくないですから。

480 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 16:30:21 ID:4dpb5+Z40
>>479
それは今解説されてしまったら、ネタバレになっちゃうよ。

でも、これでハッキリと書き間違えただけだと分かったし、
時間軸の謎は解けたんだから、もう何の問題も無いかと。
なので削除する必要もないし、あんま気にしないでください。

481 :代打名無し:2006/02/10(金) 17:00:17 ID:Ykd0/mCK0
「問題あれば」削除してくださいと言われたら、じゃあ消しましょうとは言いにくいのではと思います。
書いたご本人にはっきり決めて頂かないと。


482 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 19:11:28 ID:3TR37POE0
まとめると、

(おそらく)仁志らを襲った爆発→大友落下→松坂、西口と遭遇→別れて後追いかけ際に第一回放送

てことで合ってるよね?

じゃあ今後の可能性としては、

(1)松坂が仁志達を襲い、その後西口に遭遇→この後DかMの選手に(2個以上)奪われる
(2)松坂が仁志達を襲い、その後西口に遭遇→この後佐伯・今岡を襲う(前田の見間違い)
(3)誰か(MかD)が仁志達を襲い、そこで不発弾を拾った松坂が西口と遭遇

ぐらいが基本的には思いつくけど、実際にどうなるかは続きが来てのお楽しみ、てことで。
一応話的には繋がらない事ないと思うんで、>>480と同じく削除する必要はないと思います。

483 :482:2006/02/10(金) 19:13:10 ID:3TR37POE0
大友って誰よ、大村ですorz(俺ジャーンジャーン(ry

484 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 19:37:14 ID:lK317BY9O
職人様お疲れ様です。
話を書くということは大変だと思いますので
あまり気になさらないで下さい。
自分はいつも楽しませてもらっていますし。
続き、楽しみにしてます。

485 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 19:41:29 ID:jLcbGKBlO
削除とかではなくて、43氏に今まで問題のあがったところを直していただいたものを
保管庫板の方にもう一度投下してもらうのはどうだろう?
43氏がもしよければ、の話だけど

486 :43 ◆YhefPZis9A :2006/02/10(金) 23:24:10 ID:G7BSeE7E0
保管庫の方に「根拠無い自信」を修正したものを投下しました。

仁志らを襲った爆発→大友落下→松坂、西口と遭遇→別れて後追いかけ際に第一回放送
で合ってます。

あと、仁志と清水への攻撃、今岡佐伯への攻撃、
前田の目撃した選手についても、色々と混乱させてしまったようで…
後々投下する予定でしたが、同時に投下すべきでした。
なのでここへの投下を考えましたが、「根拠無い自信」と一緒に纏めて
投下した方が良いかと思い、保管庫の方に「根拠無い自信」と一緒に
「ノーアウトランナー無し」という題名で投下致しました。

今回は本当に混乱を招いてしまい、済みませんでした。

487 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 23:35:35 ID:SqYC7XzO0
>>486
しむらーーーー、おおともー、おおともー

投下、乙です。

488 :482:2006/02/11(土) 01:57:13 ID:6XBJ7Gmw0
>>486
投下乙です!
凄い気を使わせてしまってこちらも恐縮です。
そうかー、あの選手だったのかー・・・結構危ない人オオス

>>487
スンマセン、俺のせいっすねorz

489 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 09:49:05 ID:XqaWgmcTO
>>486
投下激しく乙です!
今回のことはあんまり気になさらないでこれからもがんがってください

490 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 18:08:59 ID:3XFGCADd0
投下乙です。

チョコは運良かったな。怖い奴二人の付近に居たうえ、
爆撃のとばっちり受けても生きている。さすがだな。

491 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 19:57:43 ID:PjWtDB9FO
defense

492 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 21:11:22 ID:OU9FZHQf0
コバマサ・・・・・やっぱりお前はそっちの道か・・・。

493 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/14(火) 08:13:14 ID:4wTrkwczO
守り

494 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/14(火) 11:10:39 ID:xWfNfHhdO
保守

495 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/14(火) 11:11:33 ID:xWfNfHhdO
sage忘れすいませんorz

496 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/15(水) 16:03:28 ID:Ct72NShbO
守り

497 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 00:48:43 ID:uQ/4ay1l0
ホッシー

498 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/02/16(木) 17:34:51 ID:sZvBzVDm0
職人様方乙です!
『追跡者』
『根拠ない自信』
『ノーアウトランナー無し』
2氏製作50話現在の地図   
をうpしました

499 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/17(金) 22:26:39 ID:3zgrRFKcO
保守がため

500 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/18(土) 12:32:38 ID:wMblUNvbO
捕手

501 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/18(土) 19:13:46 ID:ppYD+PiLO
城島

502 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/19(日) 11:22:00 ID:e0uTIFZLO
保守age

503 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/19(日) 22:58:09 ID:c6g3QmPv0
矢野

504 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 07:03:12 ID:HMLQvxzcO
古田

505 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 18:29:34 ID:bwivYKCxO
谷繁

506 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 07:10:20 ID:G1nwmszYO
捕手

507 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 18:24:19 ID:7usIKoz1O
投手

508 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/21(火) 20:53:19 ID:Im1bMz980
『C4森地点にて』

 放送後、五十嵐の名前が呼ばれたこと、そして谷繁と片岡の名前がなかったこと
を確認し、岩村は地図にチェックを入れた。
 死者の名に横線を入れていくという残酷な作業の中で、五十嵐の欄に辿り着いた
時、ふとその時のことが脳裏に蘇った。
 谷繁を見送り、五十嵐を弔った後、岩村は東京ドーム周辺に留まり次の獲物を待った。
 そんな彼の前にふらふらと姿を見せたのは、斧をぶら下げて歩く阪神タイガース
の片岡篤志だった。
「片岡さんも案外、逃げ足だけは速いんだなぁ」
 ペン先でこめかみを掻きながら呟く。
 咄嗟の機転、と言うべきか、本能的な行動と言うべきか。片岡はこちらの射撃
の腕が温いのを見越して、あえて障害物が多い方向へと逃げ出した。
 結果は見事に弾の無駄遣い。足の方はもう大分衰えているように思えたから、
格好の獲物だと思ったが甘かったか。
(まあいい)
 この孤島で当てもなく彷徨っていた男に、精神的に揺さぶりをかけるには十分だ。
 岩村が知っている片岡は、豪快で男気のある男だ。
 だが一方で、真面目過ぎる程真面目な性格の彼が、思い詰めた結果どういう行動
に出るか――
 もちろん、岩村は知るよしもない。
(自殺するもよし、殺しに走るもよし)
 怯えてどこかに隠れるという選択肢が有力だが、それはそれで岩村に損があるわけ
ではない。
「こういう脅しって結構使えるかもな」
 正体を現さずに相手を攻撃する。その結果、相手は勝手に恐怖と疑心暗鬼を抱いて
くれる。
 中には一暴れしてくれるやつもいるかもしれない。
 自分は手を下さずに殺人鬼を増産するのは賢い手だ。
「んあ?」
 古田さんとかこういうの上手そうだな、など勝手な想像を巡らしながら歩いていた
岩村は、人の気配を察知し足を止めた。

509 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/21(火) 20:54:23 ID:Im1bMz980
 木の幹に背を寄せ、周囲の様子を探る。
(…………)
 サクリ、サクリ、と芝を踏む静かな足音が聞こえる。
 近づいてきている。
 岩村は己の中に緊張の糸が張るのを感じた。極力気配を消し、相手を特定しようと
耳を研ぎ澄ませる。
 風上から風下に流れてくる話し声は、どこかで聞いた声だった。
「金額的にはあと一人か二人くらいですかね」
「せやね」
(上原さんと……宮本さん?)
 妙な組み合わせだ。
 妙、というほどではないか。アテネでも一緒だった二人だ。それなりに仲は良い。
 だがつるむには情が薄すぎるし、どちらもこの状況で人に依存するタイプとは思えない。
 いずれにせよ、それだけのヒントでは状況を理解するには至らない。今後の出方を
考えるため、岩村は更に息を潜めて二人の会話を聞いた。
「で、お前のリストにゃ他に誰がいるんや?」
「ちょっと……行動が予想しきれへん人もおるから、相手の様子を窺ってからに
なりますけどね」
(リスト……?)
「立浪さんとか。あとは……琢郎さんはどうしはるんでしょうね。斉藤隆……この人
も掴めへんな。可能性はあるけど」
 なかなか面白い話をしているようだ。
 ようやく岩村の視界の端に入ってきた二人は、ゆっくりと肩を並べて歩いていた。
 上原はしきりに手にした名簿に目を落としている。が、代わりに宮本が周囲に視線
を巡らし気を配っていた。彼の聡さは岩村もよく知っている。下手に物音を立てれば、
すぐに気付かれるだろう。緊張に震える指先を押さえ、岩村はそっとワルサーP38を
取り出した。
「古田さんも良い線いってるけど、年俸高いしちょっと手に負えんかな」
「あの人はやめとけ。怖いぞ」
「ですよね」
 宮本の冗談交じりの言葉に、はは、と上原が笑う。和やかとは言い難い雰囲気だが、
二人の間に敵対関係はなさそうだ。

510 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/02/21(火) 20:55:32 ID:Im1bMz980
(なるほどね……)
 岩村の予想が間違っていなければ、だいたいの経緯は掴めた。
(さて、どうする?)
 今後彼らと岩村の間には、二つの状況が考えられる。
 それはコインの裏表のようなものだ。
 コインを投げるのは、彼らだ。
(表が出るか、裏が出るか)
 そして、上原が続けた。
「あとは……ヤクルトは素質ありますよね。岩村なんてどうです?」
 宮本が顎に手を当て、岩村を思い返すように軽く上を向く。
「岩村――」
 パァン!
 唐突に、彼らの脇を駆け抜けた弾丸に、二人は凍り付く間もなく身構えた。宮本慎也
が拳を握りしめ、身体の前で構えた。その先には、虎の爪のような歪曲した金属の爪が
取り付けられていた。バグ・ナウという、古来インドの暗殺武器だ。
「ちょっと集中力が足りないんじゃないすか?」
 たっぷりと演出を入れて、隠れていた木の陰から姿を現してやる。ワルサーP38で
肩を叩きながら、岩村は二人の視線を交互に受け流した。
 ――そう、それはコインと裏表のようなものだ。
「で、俺がどうしましたって?」
 彼らが自分を必要とするのか、どうか。
 上原浩治が、目を細めて岩村を見返した。
 パーティ上原・宮本。
「驚かせんなや、岩村」
 C4−森地点にて――
「ちょうど今、お前に会えんかなと思ってたんや」
 岩村明憲(S1)が仲間になった。


【残り56名 年俸総額118億8580万円】

511 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 21:21:49 ID:Ku+086zM0
職人様おつでーす!
ついに怖い3人組が揃っちゃったよ・・・・・orz
しかも上原中々鋭いなwwwww立浪も琢朗も隆もゲーム乗ってる気配だよwwww
つか慎也さんの武器、何かすげぇwwwwww

512 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 21:56:04 ID:ehqwAjKx0
うわあああ…怖ぇ3人組だな…好感持てない二人組並に
あっちこっちで大暴れしそうだな…

513 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 21:57:40 ID:7usIKoz1O
職人さん非常に乙です!
うわ…上原……そっちには走らないでくれぇ。°(°´Д`

514 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 22:00:42 ID:daEOUiyMO
>>513
sage進行の方が良いと思う

515 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 23:00:55 ID:biPuHB6o0
職人様乙です。
岩村が仲間に…
使役の為のパーティ恐ろしい…

516 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/22(水) 00:32:49 ID:2u/eFn38O
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
職人様乙です!
岩村まで仲間に…やっぱヤクルト勢コワス

517 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/22(水) 04:20:07 ID:BR8xrdk70
なにこの無敵艦隊w

518 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/22(水) 11:39:19 ID:WK7ygknA0
岩村カッケー
宮本さんの武器カッコヨス

519 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 12:19:20 ID:luJzXjY8O
捕手

520 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 16:51:28 ID:xPeWsXv70
おまえら、クラウンで言われてる問題はスルー?

521 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 10:16:27 ID:6Qqx9DF8O
死守

522 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 18:19:45 ID:2bhEqyLzO
クラー

523 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 21:29:24 ID:zu5cfQPI0
WBC壮行試合で上原と宮本が笑顔で談笑してるの見て
何だかすごく恐かった

524 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 21:55:16 ID:yqo+Mjiy0
何でやねん

525 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 23:18:12 ID:Tq420hsGO
>>523
俺も億バト思い出して一瞬怖くなった

526 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:43:03 ID:H8Joa5lN0
『勝利への決意』


秋の高く澄み切った青い空に響く、コンクリートを叩きつける音。
一定のリズムを刻みながら、それは何度も何度も繰り返されていた。
音源地は島内唯一の役所、そこに立っているのは紺色の背番号を付けた男。
その男は真新しいボールを手にし、ところどころペンキの剥げた外壁相手にキャッチボールをしていた。

足場を整え、右手の握りを確かめ、短く息を吐く。
外壁を真正面から見た後、いつもであれば捕手が座っている場所を想定してそこから目を離さず、投球動作に入る。
足を上げ、腕をしならせ、リリースポイントで指を離す。
投げ終えた瞬間、即座に後ろに下がる。そして壁に当たったボールを素手で掴み、また足場を整える。

男はその動作を繰り返し、飽きもせずにボールを捕っては投げ続けていた。
秋の日差しとはいえ、晴れ渡っている今日、その男は時折額から流れる汗をアンダーシャツの袖口で拭っている。
しかしそれでもなお、男は白球を投げ続けていた。掴み続けていた。
その男の名は、川上憲伸(D11)。中日ドラゴンズのエースと呼ばれる男。

正確に言えば、呼ばれ『ていた』になるだろうか。
もしかすれば、名も知らないこの島で自分は死んでしまうかも知れないのだから。
強制的に参加させられた『殺し合いゲーム』とやらで。


527 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:43:29 ID:H8Joa5lN0


「……くそっ!」

縫い目に指を掛け、全力で投げる。
鈍い割れるような音がして、ボールが投げた速度よりも早く地面を叩く。
3バウンドして地面に転がるボールを掴むと、川上はそのままの勢いで地面に寝転がった。
意識的に深呼吸をしながら、大きく瞬きをする。見開いた目の先には、雲ひとつ無い晴天。
右手でボールを握ったまま、川上はしばし目を閉じる。

元々負けず嫌いではあってもいさかい事が嫌いな川上にとって、死にたくないからという理由だけで人を殺すことなど考えられない。
その上、川上は独身。守るべき妻や子供も居ない。
チームのためならばいくらでも投げる気合ぐらいはあるが、殺し合いをするのは話が違うというものだ。
ということで川上はこのゲームにさらさら乗るつもりは無かった。

ので擬似東京ドームと呼ばれた建物から出た後に自らに支給された物を見て、コンクリートの壁がある場所にやって来たのだった。
その理由は、昔懐かしい壁当てをするため。そう考え、歩く川上の手には白い球体。
川上の支給品は、商売道具でもある『NPB公式試合球』だった。



528 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:43:59 ID:H8Joa5lN0

「あー、疲れたー…。」

閉じていた目を開き、高く澄み切った空に向かって呟く。
空は本当に雲ひとつなく輝いている。またそれを遮るものもなく、言葉通り目一杯に青々とした画面が広がっていた。

―――空見たん、いつ振りやろう。
両腕を開き、両足を投げ出す。清々しい空気を吸い込みながら、そんなことを考える。
そうここまで気持ちよく晴れ渡ることがまず少ない、その上住んでいる場所はビルが雨後の竹の子のように建っている。
いつ振りか思い出してみれば、小学校や中学校時代に遡るだろうか。
校庭のグラウンドで必死にボールを追っていた時、こんな空だった気がする。

ふと川上は起き上がり、ボールを持ったまま、右腕を天に向かって伸ばした。
赤い縫い目と白い牛皮が滑るような光を浴びて、昔のことを思い出させる。

兄の背中を見て野球を始めた日のこと。
後ろで守る仲間たちと一緒に、土のグラウンドで白球を追い続けて成長した日々のこと。
熱に揺らめく甲子園を見た夏の日のこと、秋の神宮で優勝を成し遂げた日のこと、生まれて始めてノーヒットノーランを実現させた日のこと。
そして1年前、あのナゴヤドームでセ・リーグ優勝を果たした日のこと。

その全ての記憶が、さも今目の前であるようにはっきりと鮮明に脳裏に浮かぶ。



529 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:44:42 ID:H8Joa5lN0

しかし、今はどうだ。川上は目を細め、左手で拳を作る。
思い起こされた記憶は全て、自分が進もうと選んだ道の途中にあった試練を乗り越えたからこそ、生まれたものだ。
なのに、何だ。自分がこんな道を選んだとでも言いたげなあの老人どもの語り口は。
自分がこの道を進んで選んだか? これが試練だとでも言うのか?

「ふっ…ざっけんじゃねぇっ!」

怒りに打ち震える川上は、全力でボールを壁に向かって投げ飛ばした。
指先にうまく掛からずに投げた白球は先ほどまで当てていた場所から大きく外れ、真上の窓ガラスを割った。
雪のようにきらめくガラスの破片が地面に落ちる。

何故、こんな事になったか?
怒りが過ぎ去った後の独特な澄み切った頭で川上は考える。

あの老人たちは自分たちの年俸高騰や戦力の偏りが主な原因だと言っていた。
でも待て。
年俸高騰も戦力の偏りもそれを主導したのは誰だ?
好選手を大金で囲い込むのは誰だ?
戦力の偏りの原因となった逆指名枠も、FA権も、最終的に決めたのは誰だ?
それは全部が全部―――あの老人たちが決めたことじゃないか。
あの『オーナー会議』という名の談合場で全て決めたことではないか。
それで? 自分たちが困ったから? 俺たち選手に責任取らせるって?

段々考えてきて、川上は頭が痛くなってきた。
自分よりもはるかに年上であるはずの人物たちの、余りにも身勝手で子供のように単純な思考回路に対して。
ましてや社長や会長などという社会的地位の高い人間たちだ、尚更おかしいではないか。
どうしてそんな人物たちがこんなつまらなさ過ぎる考えが出来るのか不思議だった。


530 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:45:02 ID:H8Joa5lN0


「ついでに…俺が生きてきた理由も否定するつもりか?」
怒気のこもった声で川上が呟く。自分がこれまで生きてきた理由、それは野球がしたいから。
その野球が『したい』がために生きてきた自分を、野球を『していた』がために殺し合いに参加させる。
それはすなわち、自分の人生を全否定することだ。
野球選手、川上憲伸の人生を。

再び体の奥底から怒りの感情が溢れだす。川上はその感情を飲み込むように、深呼吸をひとつした。
深く息をついた後、川上は静かに立ち上がる。
そして鞄の中からボールを1球取り出し、右手で握り締め、目を閉じた。

―――自分の人生は、この白い2枚の牛皮を赤い糸で縫い合わせた球体が導いた道。
その道を、野球のために進み続けた道を誰が否定できるものだろうか?
例え神であろうが何であろうが、否定など出来ないはずだ。ならば―――
首輪を掴み、目を見開く。顔を上げると、空を睨んだ。



531 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/02/25(土) 11:45:43 ID:H8Joa5lN0


「…俺の人生を全否定するなら、俺が人生を否定させる権利だってある。」

―――そう。高笑いしたお前らを、俺は否定できる権利がある。
半ば叫ぶように川上は声を上げた。遠い空の向こうにいる、あの老人たちに聞こえるような大声で。

「絶対に、俺は負けない。」
握り締めたボールをポケットに仕舞い、地図を取り出す。
まずは人数と情報を集めなければならない。三人寄らば文殊の知恵、と言うではないか。
なるべく人の居そうな場所に向かうことを決めて、地図を再び鞄の中へと戻す。
そしてまた川上は決意を心の中で繰り返した。

絶対に、負けてたまるか。
絶対に、最後は笑ってやる。
見てろ、俺は絶対にお前らを許さない―――。


「俺は、絶対に負けない。絶対に、勝つ。」
―――勝って笑うのは、この俺だ。

開いた右手を高く上げ、握り締める。
太陽はもうすぐ南中しようとしていた。


【D11川上(支給品:NPB公式試合球 1ダース) E−2】
【残り56名 年俸総額118億8580万円】

532 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 15:14:55 ID:l9fC42Cz0
職人さん、乙っす
憲伸がんがれよ憲伸

533 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 01:28:01 ID:+s2G/03XO
川上カッコヨスw
ここで情報たいして持ってない佐伯組と合流したりしてw

534 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 01:40:05 ID:xmCsFlvT0
職人さん乙です!
>>533
同じこと考えてる人がいた!
波風立てSと合流したら川上疲れるだろうな…って思った。

535 :代打名無し@実況は実況板で :2006/02/26(日) 15:23:39 ID:W0BlSD5B0
選手が「登場して何らかの決意をして動き出すまで」がいちいち長過ぎる。
先々で折にふれて盛り込んでいくべきことまで説明し過ぎ。

536 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 17:13:06 ID:4iXh5dYEO
>>535
文句を言うならおまえが書けばええやん

537 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 00:23:12 ID:dBytQIlP0
ていうかどういう順序で書くかなんて人それぞれだろうに。
折にふれて盛り込んでいくべき、というのをグダグダだなと思う人もいるだろうし、
自分の意見が正しいからこうすべきだ、みたいな批判するくらいなら自分で書けばいい。

あと…533-534のようなこうなったりして、という事も書かない方がいいよ。
そういう事書かれると、職人さんもやりにくいと思うしさ。
513は論外。自分の選手論をバトロワスレで押し付けるもんじゃない。

職人さん達はきちんと考えた上で投下すべきとされてるんだから
読み手もちゃんと考えた上で書き込もうよ。

538 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 01:00:52 ID:2CSGVPkO0
>>535
長いかな…そうとは思わなかったが。
もし長いんだとしても短すぎよりは良いと思うし。
>>537
俺も批判は書くなと思うけど他のは大丈夫だと思う。
あくまで感想なんだし、職人さんも大して気にも留めないと思うんだが。
色々駄目とかになると感想って書きにくいし、感想が減ると職人さんも書く気なくすと思うし。
とりあえず作品読んだら感想を書いた方が良いと思う。やり過ぎは良くないと思うがな。

遅くなりましたが職人さん乙です。
川上は対主催者になったか…
どう戦っていくかが気になるな。


539 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 02:49:14 ID:Ha9nmIdi0
感想とか予想は良いだろ
そんなの気にしてたら物書きなんてできねーし。

職人に敬意を払って無いヤツは駄目だと思うけど

540 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 09:56:13 ID:aYD2m6t5O
予想は良いんじゃない?
予想する

想定外キタコレ
で盛り上がるし。
あと>>513みたいな書き込みも俺は良いと思う

541 :513:2006/02/27(月) 19:32:44 ID:cfI9nN2aO
別に自分はただそんなの押し付けたつもりなかったけど、もし進行にの邪魔になったんならスンマセン
以後はカキコすると気を付けますよ 長文失礼

542 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 19:37:21 ID:1ZqnyHv10
長文ではないぞw
まああんまり固くなりすぎずにマターリ感想投下して職人さんを待とうではないか
佐伯今岡とか金本野口とか清原元木氏ねとかキニナリング

543 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:14:41 ID:AY3GTb7O0
535はそういう「感想」なんだろうから別にいいと俺は思うけど

そんでもって同意 同パターンありすぎ



544 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:40:37 ID:7yYGj0Yd0
535や543みたいなのも感想の一つとしてスルーすりゃいいんだよ。
文句言うだけで書けるわけじゃない上での感想にすぎないでしょ。
口汚く罵ってるわけでもないし、その程度のことにいちいち反論されて
書き手が投下しにくい状況になるほうが嫌だしね。

545 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:44:51 ID:FThbp5He0
>>537が勝手に悪い取り方して騒いだからだろ

書き手だってGJレスだけじゃないことは承知の上で参加してるんだと思うが

546 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:57:09 ID:7yYGj0Yd0
まあここらで流れ変えよう。
というわけで、各選手の所持品をまとめてみたが…

読売
清原和博  U.S.M3 SMG(グリースガン)
上原浩治  不明
高橋由伸  日本刀(童子切安綱)
工藤公康  死亡
小久保裕紀 メス
桑田真澄  短機関銃『FN P90』・スタン・グレネード8個(江藤から強奪)
仁志敏久  洋剣
清水隆行  死亡
江藤智   死亡
二岡智宏  コルトガバメント・毒薬入り特殊警棒
阿部慎之助 ブローニングハイパワー
前田幸長  マイクロウージーサブマシンガン
岡島秀樹  死亡
元木大介  PSM特殊弾薬5.45×18弾(フルメタルジャケット弾)付き

横浜
佐々木主浩 不明
斎藤隆   不明
三浦大輔  救急箱
鈴木尚典  モロトフカクテル
石井琢朗  十二号食チョコレート・バール・USSR ドラグノフ
佐伯貴弘  スリッパ(片方のみ)
若田部健一 死亡

547 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:57:31 ID:7yYGj0Yd0
中日
谷繁元信  包丁
立浪和義  不明だが、おそらく拳銃所持
岩瀬仁紀  不明
山本昌   不明
福留孝介  無し(石井琢朗に強奪される)
井端弘和  死亡
落合英二  未登場
野口茂樹  イングラム

阪神
金本知憲  鉄製ヌンチャク
今岡誠   不明
井川慶   IMI ジェリコ941
片岡篤史  死亡
矢野輝弘  不明
下柳剛   S&W M645
赤星憲広  一眼レフカメラ&24枚撮りフィルム3本
桧山進次郎 スーパーカブ50

ヤクルト
古田敦也  デザートイーグル
宮本慎也  バグ・ナウ
岩村明憲  ワルサーP38
五十嵐亮太 死亡

広島
前田智徳  木刀
緒方孝市  死亡
佐々岡真司 九四式拳銃
黒田博樹  ジャックナイフ
野村謙二郎 緒方の拳銃

548 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 23:03:02 ID:7yYGj0Yd0
ソフトバンク
城島健司  ボウガン
松中信彦  不明
柴原洋   ベレッタM92FS(15+1発)
斉藤和巳  不明
大村直之  不明

西武
松坂大輔  OTOM35型手榴弾(赤い悪魔)
和田一浩  未登場
豊田清   不明
西口文也  不明
森慎二   死亡

日本ハム
小笠原道大 日本刀(和泉守兼定)・トランシーバー型連絡用無線機
金村暁   無し・トランシーバー型連絡用無線機

ロッテ
小林雅英  不明
福浦和也  未登場
清水直行  TDS M72 66mmHEAT弾(3弾付)

オリックス
谷佳知   ステアーAUG(陸軍汎用小銃)・トランシーバー型連絡用無線機
村松有人  シグザウエル P229/SIG SAUER P229・トランシーバー型連絡用無線機

楽天
岩隈久志  不明
礒部公一  不明

以上だけど、間違ってる点があったら教えてくれるとありがたい。

549 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 23:31:51 ID:1ZqnyHv10
GJ!
>佐伯貴弘  スリッパ(片方のみ)

www

550 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 01:40:58 ID:qZkj07Qa0
547ー!川上ー、川上ー!

NPB公式試合球 1ダースだよ。

551 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 21:08:51 ID:896jdKAcO
546-548
乙かれ様!保守

552 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 15:12:42 ID:6Vb+bepTO
正捕手小田

553 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 00:11:11 ID:kPOyDcOpO
正捕手小野

554 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 17:22:13 ID:6jb7MnnpO
正捕手實松

555 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 01:11:02 ID:nb/q6fYxO
パパー!
ばとるろいやるとばとるろわいやるってどう違うの?

556 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 06:40:19 ID:ntVxCfHM0
バトルロイヤルはあれだろ、場外20カウントで無効試合になるヤツだろ

557 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 23:01:48 ID:/+GDFu22O
里崎

558 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 14:45:23 ID:1N116fyKO
青柳

559 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 21:21:13 ID:95LoNlxFO
米野

560 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 01:23:19 ID:wr9oXymbO
武器一覧見たらシミタンのアフロは結構なハズレ武器だな。


561 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 21:34:49 ID:8MXo3qIO0
緊急保守しとく

562 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 01:42:10 ID:BLHk2blP0
『嵐の前の……』

「うおおおおお!!!」
 ガラリ、と瓦礫を押しのけ、立ち上がった一人の男が雄叫びを上げた。
 太陽に向かって片腕を突き上げ、瓦礫の山の上に仁王立ちするのは、佐伯貴弘
その人である。
「イマオカくん! あったでーーー!!」
 誇らしげに佐伯が掲げた右手にあるのは、今岡のスパイク(二足)だ。埃に
まみれたそれを振り回し、別の場所を探索していた今岡を呼ぶ。
 あれから数十分、靴を脱いで家に上がっていた今岡のスパイクが行方不明になり、
全力を挙げて民家跡地を掘り返していた今岡と佐伯だった。
「さすが鼻が効きますね、佐伯さん。犬並みの嗅覚ですね」
 瓦礫を飛び越え、ひょこひょこ近づいてくる今岡。
 パチパチと手まで叩きつつ、心底感心したように言ってくる。が、あまり褒めて
いるように聞こえないのは気のせいだろうか。
「……君、密かに俺のこと馬鹿にしてるやろ?」
「まさか。ともあれ、とっとと移動しましょうか」
 さらりと流される。言いたいことがないわけではないが、ここは大人な対応を
しよう、と先輩の余裕を見せるべく咳払いして全てを飲み込む佐伯。
「げふんげふん! ……えー、と、次どこ行くん?」
「あっちの民家でいいんやないですか?」
 手渡されたスパイクを丁寧に履いてから、今岡が指をさした。
 その先を目で辿ると、ほんの数百メートル向こうに、先程と似たような民家が
建っている。
「え! マジで近場引っ越し!?」
 爆発地点の目と鼻の先だ。いくらなんでも近すぎではないだろうか。佐伯は思
わず声を上げた。
「こんな派手なことしたところに残ってていいん? 誰か来るんじゃ……」
 先刻の『赤い悪魔』による爆発音は、かなり広範囲まで聞こえたはずだ。居場所
は割れている。

563 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 01:42:36 ID:BLHk2blP0
「来るときには来ます」
「んなあっさり!?」
「逆にこんな破壊活動が行われた近隣に二人が住んでるとは思わへんかもしれませんよ」
 住む気満々だ。
「あーなるほど、そうかもなー」
 何となく丸め込まれる佐伯。
「こういうのは極力動かないに限るんです」
 眉一つ動かさずに言い切る今岡。
「自分、動くの面倒くさいだけちゃうん……」
 さすが座右の銘は波風立てぬ。
 彼の自信に満ちた言葉の裏をなんとなく拾い上げ、小さく呻く佐伯。が、こちらの
同意も待たずに、今岡はさくさくとそちらに向かおうとする。
 結局、その後をついて行ってしまう自分が、なんとなく彼のペースに巻き込まれて
いる気がしてきた佐伯だった。
「あっ、ちょー待って! この布団持って行きたいんやけど運ぶの手伝っ……」
「失礼します」
「イマモトくーん!」
「イマオカです」
 そこだけは律儀に訂正する今岡。布団を引きずりながら佐伯が追いつくと、今岡が
珍しく眉を潜めた。
「布団くらい次の家にもあるでしょう」
「いややー! 俺はこの布団ちゃんじゃないといやなんやー!」
 命の恩人である布団を抱きしめ、駄々をこねる佐伯。身を挺して自分を爆発から
守ってくれた布団が、今は何物にも代え難い友人のように思えてならない佐伯だった。
「そうですか」
「……もうちょっと食い下がってくれんとおもんないわー、自分」
 納得した、というよりは本気でどうでもいいのだろう。あっさりと流して先に進む
今岡を、佐伯が嘆きながら後を追う。
「コンビっちゅーもんはなぁ、こう、一にノリの良さ、二に相手がどういう突っ込み
を求めてるかを的確に読み取って……」
「ハイ」

564 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 01:43:45 ID:BLHk2blP0
「何だ? あの平和ボケ共は……」
 斎藤隆(YB11)の支給品である双眼鏡を覗きながら、佐々木主浩(YB22)が呆れた声
で呟いた。
 バサバサバサッ
 大きな羽ばたきを上げ、頭上の気から一羽の烏が飛び立った。鋭い奇声を上げ、
青空に漆黒の羽が広がるのを見送る。
 佐々木主浩と斎藤隆。この二人は、当の佐伯たちから1キロ程離れた繁みの中で、
爆発からの一部始終を観察していた。
「やりますか?」
 佐々木の後ろに控えていた斎藤隆が、問う。手にした突撃銃を掲げ、その鈍色の
銃身を眩しそうに目を細めて眺めた。その口元に、穏やかな笑みが刻まれる。
「ああ……」
 双眼鏡から目を離し、佐々木主浩は二人の後ろ姿を静かに見送った。
 斎藤とは対照的に、一文字に引き締められた唇。鋭い視線が、背後の後輩とは
違う意味合いで細められる。
 大魔神と呼ばれた男の双眸が、静かな炎を宿していた。


【残り56名 年俸総額118億8580万円】

565 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 03:41:12 ID:FhdjWGUnO
乙です!
漫才コンビ、一難去ってまた一難って所だな。しかし今度は大魔神かぁ

566 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 03:48:55 ID:x2kx2CUsO
乙です。
あーなんかこの二人には死んでほしくないなぁ

567 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 11:43:32 ID:ijiCYCBxO
捕手age

568 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 16:58:07 ID:CEMIwg6cO
死守sage

569 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/08(水) 12:35:57 ID:EPWLz6eL0
名前欄を入れ忘れていましたが、上の話は2 ◆ACsLXL4x9o です
今頃気付きました。申し訳ないorz

570 : ◆cZJuOTmaac :2006/03/09(木) 01:00:30 ID:I+Nt//+j0
皆様お疲れ様です
いま恐る恐る書いていて、今週末までには投下したいと思っています。
一つお助け願いたい。
清水直はフクーラさんのことを何と呼んでいるでしょうか?ご存知の方お願い致します。

そんなことも知らずに手をつけるのはどーかと、自分でも思います。

571 :571 ◆Fly.B4DluA :2006/03/09(木) 17:48:03 ID:DgQl6NEH0
『誰かが、誰かを』


 島の南、エリアG−4。
 木造平屋建ての小さな学校に、ゲーム開始直後から一人の男が潜
伏していた。
(腹へったな)
 男は支給されたカバンの中からパンを一つ取り出し、三分の一だ
けちぎって、残りを再びカバンの中へ仕舞った。パンを一口かじる
ごとに、ミネラルウォーターを少しずつ口に含む。このゲームがあ
とどれくらい続くのかわからない以上、食料は貴重だった。少しで
も腹が膨れやすい食べ方をした方がいい。
 束の間の粗末な食事を終え、和田一浩(L5)はため息をついた。
ペットボトルをカバンにしまいながら、彼自身の支給武器をチェッ
クする。
(異常なし)
 そして、腕時計を確認する。――午後二時ちょうど。
(午後二時、異常なし)
 ただ、あと三十分もすれば禁止エリアになるC−3に、三人分の
生存ランプが点いているのが若干気になるところだが。
(おーい、そこの三人。誰だか知らんが、危ないから早いとこ逃げ
てしまえよ)
 無駄だと知りながら、和田は声を使わずにそっと呼びかけた。

 和田の支給武器は、電子手帳型の首輪探知機だった。
 画面には、配布されたものと同じ島の地図。電源を入れると、そ
こに無数の青いランプが点った。そして、わずかに赤いランプも。
説明書によると、青いランプが生存者、赤いランプが死亡者の現在
位置を示すものらしい。和田はそのことを知るなり画面に釘付けに
なった。まずは自分の位置を確認することから始めた。

572 :571 ◆Fly.B4DluA :2006/03/09(木) 17:49:19 ID:DgQl6NEH0
 画面下の中央、島の南端にある一つの青い光。これが自分らしい。
一番近いところだと、隣のG−3に四つの青いランプが点っている。
今のところ、この四人は動く気配がない。団体でじっとしていると
ころを見ると、さして危険性はないように思える。
 和田は、少しずつ増えていく赤いランプを見つけるたび、その場
所と時間をメモした。午後十二時の時点で、六つ。放送と照らし合
わせたところ、まず機能に疑いの余地はなさそうだった。
 そして、現在。
 赤いランプの数はさらに四つ増えて、十人の死者が出たことを知
らせていた。
(十人も死んだ)
 現実を悲観して、自殺したものがいないとも言いきれないが――。
(誰かが、誰かを殺しちゃったんだなあ)
 和田は、誰のものともわからない赤いランプを見つめる。いや、
正午までに死んだ六名の名前は放送で知らされていたが、誰が、ど
こで、誰に殺されたのかまでは彼の知るところではない。
 現実感がない。危機感がない。
 でも、確かに十人死んでいる。
(この目で見るまでは、とても信じられそうにないな)
 和田はそう思った。
「あれ?」
 思わず声を上げた。画面の右下の方で、何かがゆらりと動いたよ
うに見えたからだ。動いたものの正体はすぐにわかった。
(ずっとE−6にいたヤツが……こっちに向かってくる)
 青いランプは、ゆっくりとこちらに向かって南下している。その
先のF−5にも、先程から長いこと移動していない一人の生存者が
いた。
 まっすぐ、近づいてくる。
(これは……もしかして)
 和田は固唾をのんで画面を見守った。

573 :571 ◆Fly.B4DluA :2006/03/09(木) 17:50:58 ID:DgQl6NEH0
 E−6にあった青い点は、こちらに向かってくる、というよりは、
F−5の生存者を目指してきている、といった方が正しい。
(ヤバくないか?)
 二つの青い点の距離は、どんどん縮まって行く。
(おい……、気づけよ! そこのF−5のヤツ!)
 和田の願いもむなしく、F−5の生存者は微動だにしない。
(気づけ馬鹿っ! 北だ! 北の方を見ろ! 誰か来るぞ!)
 青い点が、重なるほど近くなった。
 ――。
 何も起こらない。
(杞憂だったか?)
 和田が、多少ほっとしたその瞬間。
 パァン!
 まさしくF−5の方向から聞こえてきた銃声に、文字通り和田は
飛びあがった。
(しまった!!)
 パァン! パァン!
 立て続けに三発。とっさに窓の方へと駆け寄ろうとした和田は、
しかし、はっとして首輪探知機の画面に目を戻した。
 赤。
 F−5にあった二つの青いランプのうち一つは、すでに赤へと変
わり果てていた。
(どっちだ……?)
 和田は戦慄した。背中から冷水を浴びせかけられたかのような恐
怖が彼を襲った。
 生き残ったほうの青は、ゆらめきながら赤いランプのまわりを徘
徊している。
(殺したのは……どっちだ?)
 青と、赤が、重なる。離れては、また重なる。
(誰だ! 殺したヤツは!)

574 :571 ◆Fly.B4DluA :2006/03/09(木) 17:52:03 ID:DgQl6NEH0
 ついっ――。
 と、青いランプが左下に移動した。
(こっちに来る!)
 弾かれたように立ち上がり、和田は荷物をまとめるのもそこそこ
に校舎を飛び出した。
(誰だ!?)
 誰かはわからない。
 和田にわかったのは、今まさに、誰かが誰かを殺したという事実
だけだった。


【残り55名 年俸総額117億7580万円】
【和田一浩(L5)/支給品:首輪探知機 G−4から北西へ移動中】

575 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/09(木) 21:42:29 ID:LJ7W8DCDO
フサフサさん逃げるんだ!誰だろ殺されたの・・・

576 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/09(木) 22:12:34 ID:K2fTwxo70
職人様乙です!

それにしても2323和田さんは、どこのバトロワでもマーダーにならないな…
まあ確かに悪役似合わんけどww

577 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/09(木) 22:16:49 ID:yAP1hprt0
「今ならば」

不快感露にヌンチャクを構える金本と、瞳をぎらつかせ包丁を握る谷繁の間に、
ザアッ…と木の葉舞う風が通り過ぎるが、二人は相変わらず睨みあったまま動かない。
「……」
風の音はまるで落ち着けと言わんばかりに耳に響き、谷繁はふいに口元を微かに緩める。
(本当ならマシンガン相手に挑んだりしねえけどな…)
先程の岩村の件から、銃というものがいかに恐ろしいかよく分かっている。
だが、そのマシンガンを持っている者が野口ならば話しは別であった。

――こいつにマシンガンぶっ放す度胸なんか無い。

金本の後ろで狼狽している野口は、マウンド上の姿とダブる。
ちょっと声を荒げたり、キツイ事を言おうものなら萎縮する、元エース左腕。
前捕手への信頼の半分も、自分に向ける事が無かった野口。

(お前はいつだってそうやってきたんだろ。誰かの後ろに付いてきたんだろ?)
今までは前捕手の後ろに、今度は金本の後ろに。そんな男にマシンガンなど使えるわけがない。
いかに強気で短気な自分とはいえ、新天地の投手に背を向けられた事について、
何も感じないとでもこの投手は考えていたのだろうか…谷繁は唇を噛む。
(けど俺にも責任が無いとは言えねえからな…お前は助けてやるよ。)
金額も大した事がないしな、と谷繁は野口から金本に再び意識を集中させた。
基本的に野口は狙わず、標的とするのは…目の前の金本ただ一人だ。

(金本さんは26000万だ。…それに武器はヌンチャクときてる。)
包丁の殺傷能力が予想よりも高いのは、五十嵐で証明済みであり、
そしてマシンガンを持つ野口はどうせ発砲さえできず、居ないようなモノである。

――勝てる。

彼なりに計算した結果、出た答えは勝利だった。故に攻撃をしかけるべく、目の前に現れた。

578 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/09(木) 22:17:38 ID:yAP1hprt0
「うらぁぁぁっ!」
硬直状態の隙を付くように、谷繁は叫び、金本に突進した。
「阿呆が!」
谷繁を交わしながら防御するように、金本はヌンチャクを振り回すが、
刃物を振り回す相手に、攻撃しかけるのは危険であるのは容易に想像できることであり、
故に必然的にヌンチャクを振り回しながら、後退する形になる。
「逃げるだけですか?とんだ見掛け倒しだな!」
「うっさいボケ!」
谷繁の挑発に、逆上するように顔を真っ赤にした金本は、さらにヌンチャクを振り回す。
「このガキが!ぶっ殺したるわ!」
すっかりキレた様子で金本は怒号するなり、ビュン、と鋭くヌンチャクを一回転させ、
それを二度、三度と繰り返しながら谷繁目がけ、猛進する。
(馬鹿だな。挑発に乗ってキレやがった。)
作戦通りの展開だ。谷繁はほくそ笑むと重心を低くさせ、包丁の刃を前にせり出した。

――これで終わりだ。キレた時点であんたの負けだ。

あとは突っ込んできた金本の懐に潜り込み、そのまま腹部を突き刺す。
谷繁は包丁を強く握り、金本の腹部を狙うべく、さらに重心を低くさせた。
「…!」
だが、突進すると思っていた金本の足がピタリと止まり、谷繁は目を見開く。
同時に不意を付かれる形で思わず前につんのめりそうになった瞬間、
金本は一歩後退しながら、鉄のヌンチャクをスイングするように振り付け、
それは谷繁のこめかみを捕らえ、鈍い音と共にパックリと割れた。
「ぐぁぁあっ!痛ぇっ!うあああっ…!」
加減をされたらしく、骨が砕ける事はなかったとはいえ、ヒビの一つは入ったようであり、
谷繁は血が噴き出すこめかみを抑え、激痛で地面を転がる。

「…野口。行くぞ。」
刃物を持つ尋常でない様子相手にキレるほど、自分は大胆ではない。
キレたフリをして突っ込むと見せかけ、フェイントで一歩下がると同時に
ヌンチャクで叩きつけるという作戦が成功し、金本は安堵のため息をついた。

579 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/09(木) 22:18:12 ID:yAP1hprt0
「た、谷繁さん!」
「あ、阿呆!こっち来るな!」
だが、野口は金本の声が聞こえないかのように駆けよって来て…
金本は思わず振り返ってしまった。
「うらぁ!」
激痛にすっかり意識がイッてしまっているのか、獣じみた声を上げる谷繁は、
隙を突くように金本に襲いかかり、地面に倒す。
「ぶっ殺してやる!くそっ…痛ぇ…痛ぇんだよ!糞が!」
こめかみから膨大な血を滴らせ、ユニフォームを真っ赤に染めながら
谷繁は狂気に近いわめき声をあげ、金本を地面に押さえつけ、包丁を振りかざす。
「谷繁さん!やめてください!」
「うるせえ!てめぇに用はねえんだよ!用があんのはこいつだ!」
野口に罵倒を浴びせ、谷繁は押さえつけられ冷や汗を流す金本を見下ろす。
もう金額も何も無い。ただこいつをぶっ殺さなくては気が済まない、もはやそれだけだ。
「畜生が…死ね!」
「金本さんー!」
目前で叫ぶ野口の声など、木の葉舞う風の音以下のざわめきでしかない。
谷繁は包丁を振り降ろそうとする。

「うわああああっ!」
声にならない叫び声。野口はマシンガンを右横の至近距離から、谷繁の割れたこめかみに向けた。

――嘘、だろ…お前に撃てる、のか…

頭の奥で谷繁がそう呟いた瞬間…バラバラと軽快な音が響き、マシンガンの雨が
谷繁の頭と顔面に吹きつけ、血が飛び散った。

――計算違い…か。お前にそんな度胸があったなんてな…

最期の心中のつぶやきを、自分自身聞こえたかどうか分からないまま、
谷繁はゆっくりと横倒れするように、地面に崩れ落ちた。

580 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/09(木) 22:18:51 ID:yAP1hprt0
「谷繁…さん…」
マシンガンを浴びた顔面は、もはや原形を留めないほどに崩れ…
野口は暫し何が起こったか分からないように呆然とする。
「野口……」
身を起こした金本もまた、目の前の惨状に呆然とするが、
それよりも野口の精神状態を考えると、息苦しさでロクな言葉さえ出ない。

「俺が…殺したんですね。」
だが野口は思ったよりも静かな表情で、ハッキリとした口調でつぶやく。
「俺…まだこんな度胸あったんだ。…こんな度胸が…」
それはまるで自分に言い聞かせるようであり、淡々とした語り口がより一層
絵空事のように感じてしまうほどであった。

「度胸なんてもう…無くなったと思ってた。だからいつも自滅してみんなに…
谷繁さんに迷惑かけて…でも…」
「……」
「俺…まだ度胸あったんですね。今なら…谷繁さんの要求通りに投げられるかな…」
谷繁の無残な姿を眺める野口はただ静かに、淡々と語り続ける。
「今なら…谷繁さんに迷惑かけずに…」
「野口…」
金本はいたたまれなさで目をぎゅっと閉じ、唇を噛みしめ、野口の肩に手を置く。

「…ごめんな。」
短く、悲痛な謝罪の言葉に野口はぺたんと地面に膝を突き、首を振る。
そしてその表情を見せないように地面に顔を向けるように俯き、何度も何度も首を振った。

金本に対してか、谷繁に対してか自分自身分からぬまま、何度も、何度も。

【残り55名 年俸総額117億7580万円】

581 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/09(木) 23:13:50 ID:d8Elijsb0
の・・のぐちん・・・・゚・(つД`)・゚・


582 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 00:03:17 ID:xNp2EvV3O
乙です。
のぐちがんばったな…

583 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 06:08:09 ID:rE3qrZFSO
起きたらなんかいっぱい新作きてる!
職人さん方激しく乙です

584 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 11:03:50 ID:QUg7wpDp0
新作乙
休日だから、と久しぶりに最初から読み返してみた
自分大好き桧山に乾杯!な気分になった

誰かと一緒にっていうんならとりあえず桧山だな、なんとなく

585 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 13:26:31 ID:aBe9501A0
のぐちん…切ないな。ガンガレ。

586 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 13:51:35 ID:N54ljGWeO
保守

587 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 18:38:30 ID:Njo5h20eO
投手

588 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 10:31:49 ID:NBbVH97DO
内野手

589 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 10:37:38 ID:QWbAJEPQ0
ヘッドコーチ

590 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 22:46:14 ID:xQCWmZCiO
ランナーコーチ

591 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/13(月) 11:37:02 ID:2+7EECoz0
塁審

592 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/13(月) 12:51:29 ID:sDf+wJAi0
橘高

593 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/13(月) 20:51:27 ID:5vs07O2CO
監督

594 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 13:46:29 ID:pT0BwsOt0
メガホン

595 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 17:34:18 ID:vn86iGk/O
ユニフォーム

596 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 21:09:03 ID:HRw+UAS4O
26番

597 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:19:18 ID:turthWVM0
『影踏み鬼』

「こんなもんかなー」
 棚の中を漁って見つけ出した非常用の缶詰を抱え、元木大介は一人呟いた。
「よっと……」
 清原に連れられるままにたどり着いた民家の食卓の上にそれらを載せ、椅子に
座って一息つく。
 ガタリ、と肘を突いた途端、テーブルが数センチ傾く。立て付けの悪い机だ。
 軽く舌打ちし、元木は目の前の缶詰の数を数えた。
「1,2,3,4,5,……」
 缶詰は全部で11個あった。少し考えてから、元木はそのうち一つを選び自分の
デイバックのポケットに隠した。
 これで10個。偶数だ。清原と半々に出来てちょうどいいだろう。
 留守番をしている間何もせずにぼーっとしていたと思われないように、収穫を
テーブルの上に綺麗に積んで、しばし待つ。
 チッチッチッチッ……
「はぁ……」
 改まって座っていても、時間だけが静かに通り過ぎていく。
 腕時計の秒針の音がやけに大きく聞こえ、元木大介は一人息をついた。
「キヨさん遅いな……」
 外に様子を見てくると出て行ったきり、もう一時間以上経つが帰ってこない。
「まかさ……途中で誰かに……」
 いやいや、それはあり得ない。
 通り過ぎた不安を、口にしかけてから、元木は思い直した。
 天下の清原様だ。彼を襲える人間が一体どこにいるというのか。しかも、凶悪な
武器まで手にした彼はまさに無敵といっても過言ではない。
 そこまで考え、元木の脳裏に別の不安が過ぎった。
「俺、置いてかれちゃったりして……」
 それは大いにあり得る。
 外でもっと組みやすくて、有能な人間を見つけたかもしれない。――例えば桑田とか。
(『お前がいるならもう元木なんかいらんわ』とか)
 捨てられる二番目の女のような妄想が過ぎる。

598 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:19:36 ID:turthWVM0
(それか、元から裏切るつもりで、時限爆弾でも仕掛けておいて……)
 ドカン!
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
 タイミング良く響いた大きな音に、元木が絶叫する。
「おい! 元木! 俺や、開けろ!」
「ききききキヨさん!??」
 思わずテーブルの下に逃げ込んだ元木だが、ガンガンと容赦なくドアを叩く清原
の声に慌てて戸口へと駆け寄った。
「もうちょっと静かにノックしてください……」
 ノックも豪快な清原に、寿命が縮まった思いの元木だ。まだドキドキする心臓を
抑えながら、ギギギィと嫌な音を立てるドアを開ける。最初にこの家に来た時より
も開けにくくなっているのは、気のせいではないだろう。
「何叫んどんのや」
「ち、ちょっと寝言を……」
「やかましい寝言やな」
(誰のせいだ、誰の!)
 と、思ってはいても、口が裂けても言えない元木大介である。
「遅かったですね」
「そうか?」
 外の様子を見てくる、と言っていたから、数十分で戻ってくるものだとばかり
思っていた。そもそも、特に目的もないのに外をふらつくのは危険だろう。何の
ためにこの民家を隠れ家にしたのか分からない。
「何か見つかったんですか?」
「…………」
「キヨさん?」
「いや、何も見つかんかったわ」
 元木の質問を聞いていないようだった清原が、もう一度呼び掛けられ、何事も
なかったように返す。
 そのことに首を傾げる、が、同時に言いたかったことを思い出し、元木はポンと
手を打った。

599 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:19:53 ID:turthWVM0
「あ! そうやキヨさん! 俺留守の間家ん中漁ってたんですけど、缶詰とか出て
きましたよ。分けましょうよ」
「あー、重いからお前持っとけ」
「え?」
 意外な言葉に拍子抜けする。もっと喜ぶかと思ったのだが。
(いや、それより、重いのは分かるけど……せっかくの食料、俺だけに持たせて
いいんやろうか)
 元木からすれば、このまま食料を持っていつでもとんずら出来るのだ。
 そこまで信用されていると思っていいのか、どうなのか。いまいち清原の真意が
計り切れていない元木だった。
(まあえっか。どうせ具合悪くなったら逃げたらいいんやし、信用されてるには越
したことはないか……)
 気を取り直し、ほくそ笑む。
「ほな行くで」
「え?」
 突然荷物を担ぎ直し、言ってくる清原に、元木は間の抜けた声を返した。
「こ、ここで隠れるんやないんですか?」
「なんで隠れんとあかんねん」
 きっぱりと言い切られる。
(ええー)
 むしろ何で出なきゃいけないんだ、と言いたい元木だ。そんなアクティブなユニット
は勘弁して欲しい。
「守りに入るのが一番危ないんや」
「はぁ……」
 もっともらしく言ってくる清原に、何とも言えない返事する元木。
 攻撃こそ最大の防御なり。とは確かによく言うが。
(いや、でもでも……)
 今回の場合、大人しくしている方が賢い気がするのは気のせいだろうか。
 しかし彼がすでに出る気満々なのに、元木が逆らえるわけもない。じぶしぶ10個
の缶詰をデイバッグに詰め込み、肩に担ぐ。完全な荷物持ちだ。
 こんなところでも軽量で携帯性のある支給品が幸いした。清原みたいな武器を持ち
ながら、重くなったデイバッグをいつまでも担いでいたら、腰を悪くしそうだ。

600 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:20:09 ID:turthWVM0
「お前先出ろ」
 よろよろと清原の後ろをついて行こうとしていた元木に、思わぬ指令が下る。
 くい、と顎で戸口を指され、元木はしばし清原の顔とドアを交互に見ながら逡巡した。
(出ろって……)
 実に気が進まない。
 彼にレディファーストされる筋合いもない。そもそも元木はレディではない。
「はぁ……」
 何かあるのだろうか。死ぬほど嫌な予感がするが、こう言われては逆らうことも
出来ない。そこには長い年月をかけて培われた上下関係というものがある。
 元木が意を決してドアノブに手をかけると、その真後ろに清原が立った。大男に
背中に張り付かれているというのは、女性でなくても気持ちが悪いものだ。
(俺盾にされてる……?)
 元もと盾にするつもりだったのだが、そんな気がしてきた元木である。
「何やっとるんや、はよせぇ」
 元木の気持ちを知ってか知らずか、清原が急かしてくる。ドスのきいた声に、思わず
背筋が伸びた。
(ちくしょー! 死にたくねぇ!!)
 半ばやけくそに目を瞑り、元木は勢いよくドアを開けた。
 パン!
「えええっ!?」
「うわぁぁぁっ!!??」
 悪い予想通り響いた銃声に、撃たれたかと思い、思わず胸元で腕を組む。が、痛み
も衝撃もない上に、元木の声の上に別の男の悲鳴が重なった。
「なんなんなんな……ぎゃ!」
 パニックに陥る元木を突き飛ばし、清原が飛び出す。
 突き飛ばされた方は派手に地面にダイブし、缶詰の入ったデイバッグの下敷きになった。
「いた、いたた、てか重……痛てー……」
 何とか身を起こしながら、擦りむいた鼻先を指で撫でる。
「一体な……っ!?」
「あぁぁぁぁっっ!?」

601 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:20:32 ID:turthWVM0
 驚愕に喉が詰まる。顔を上げた元木が見たのは、10メートル程先の繁みの中で、
足を押させてのたうち回っている佐々岡の姿だった。
 先程の銃声は、佐々岡の足を打ち抜いた弾丸によるものだとようやく把握する。
「だ、誰が……!?」
 慌てて立ち上がった元木が周囲に視線を巡らすが、周りに狙撃者の影はない。
「たいそうな歓迎やのぅ、佐々岡」
 確か、この二人は同い年だ。ずい、と前に出た清原に、佐々岡は脅えたように尻餅
を付いたまま後退した。
「く、来るなぁぁぁぁ!!」
 パン! 
「うおっ!?」
 ロクに照準も合わせずに発砲された銃弾が、標的から大きく外れて横にいた元木の
脇を掠める。
「あぶあぶっ、危っねー!!」
「そんなボロ拳銃じゃあたらんやろ」
 思わず仰け反る元木を尻目に、清原は余裕の笑みを浮かべて一歩、また一歩と佐々岡
に近づいた。
 次第に距離が縮まっていく中でも、清原には弾が当たるかもしれないという恐怖心は
全く伺えない。
 その銃がボロいのかどうかは元木の見立てでは分からないが、何より佐々岡は射撃
の初心者だ。足を打ち抜かれた激痛で体勢を崩しながら、離れた的を撃とうとしても
当たるものではない。
 だが、そんなことに気を揉まなくとも、それ以上の発砲はなかった。
「あ、あれ……?」
 佐々岡が強ばった顔で、手にした拳銃を見つめる。カチカチ、と何度もトリガーを
引くが、一向に発砲される気配はない。
「弾切れ、やな」
 あっさりと、その残酷な事実を伝えた清原が、ゆっくりとグリースガンを構えた。
 ゆっくりと、もったいぶるように。
 それは、僅かにでも死期を遅らせてやろうという――彼なりの慈悲だったのかもしれない。
「あぁ……ぅ……」
 口を開閉し、佐々岡が呻く。その表情が、見る見るうちに悲愴に歪んだ。

602 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:20:48 ID:turthWVM0
 パラララララ
 タイプライターを叩くような、子気味の良い音が辺りに響く。
「ギャァァァァ!?」
「お前が叫んでどーする」
 発砲と共に隣で叫びだした元木に、思わず突っ込む清原。
「ひ、はへ」
 腰が抜けた。
 せっかく立ち上がったのにまた地面に座り込み、元木は金魚のようにパクパクと
口を動かした。何か言いたいのだが、まともに声が出ない。
 迷いなく佐々岡を向けて放たれた銃弾の雨は、断末魔の悲鳴すら上げさせずに、彼を
背の高い繁みの中へと沈めてしまったのだ。
 一仕事終えた清原がサブマシンガンを降ろし、元木の方を振り返る。何もしていない
のに魂が半分抜けかかっている元木を、呆れたような顔が見下ろした。
「どうしたんや」
「…………」
「入れ歯でも忘れたか?」
「………………」
(……俺、ここにいても大丈夫なんだろうか……)
 自分はとんでもなく危険な男に取り入ってしまったのではないだろうか。 
 一連の衝撃を必死に頭の中で整理しながら、元木はそんな気がしてならなかった。
(そういえば!)
 不意に、それよりも先に身に迫っている危険を思い出し、元木はバッと立ち上がった。
「き、キヨさん! さ、佐々岡を撃ったやつは……」
「ありゃ自爆やろ」
「へ?」
 再び、空気の抜けた声を上げる。
 理解していない元木を見て取り、清原がガサゴソと繁みの中に入っていった。そこから
佐々岡の片足を掴み、引きずり出してくる。

603 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:21:06 ID:turthWVM0
「い、いや! 連れてこんでいいっす! いいっすから!」
 必死に遠慮する。「肝っ玉小さい男やの。キン○マついとんのか」とお得意の罵倒
をされるが、宦官と言われてもいいのでそんな人の死体など見たくなかった。
 一応はそんな元木の心境も慮ってくれたのか、結局身体の大部分は繁みに隠したまま、
引きずっていた右足だけを覗かせる格好で放り出し、清原はしゃがみ込んで佐々岡の右足
を指した。もう片方の手で手招きされ、仕方なしに死体に近寄る。
「見てみ、右足の甲や。こんなとこ背後から狙っても撃てへんわ」
「はぁ……」
 言われてみればそうだ。こうやってみると、彼の銃創は実に不自然な部位についていた。
「大方出てきた奴を撃とうとして、抜いた時に暴発でもしたんやろ。とんだ不良品やな」
 呆れたように言い捨て、しゃがみ込んでいた清原はユニフォームを払いながら身体
を伸ばした。
「あ、ま、待って下さいよキヨさん!」
 もうここには用はない、とばかりに大股に離れていく清原を追いかけながら、元木
は一度だけ佐々岡の死体を振り返った。
 繁みの中から人の足だけが覗く、奇妙な光景。
 直接の死因になったわけではないが、間近で見た小さな銃創が元木の頭を離れなかった。
 暴発の上に弾切れ。結局、あの銃は何一つ佐々岡の役には立たなかったということだ。
 自らの命を縮めただけの『自殺拳銃』。
(『人を呪わば穴二つ』――)
 そんな言葉が頭を掠めて、元木は空恐ろしくなった。
(呪いなら全部、あっちの人にかけてくださいよ……)
 殺したのは自分ではない。むしろその場に居ただけで何も手を下していない。危うく
殺されかけたくらいだ。二回も。
 必死に死体に懇願しながら、気がつけば距離を離している清原を小走りに追いかけた。
(キヨさんは一体……)
 恐ろしい男だ。そして、強い。このゲームで生き残る為に必要なものを、彼は持って
いる気がした。

604 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/14(火) 21:21:32 ID:turthWVM0
(この男を敵に回せるか?)
 答えはNOだ。
 味方に居ても恐ろしいのは変わりないが、一度敵に回れば、自分などに勝ち目はない
ことは誰よりも分かっている。
 元木が知る限り、彼は義を重んじる男である。それは男気であったり、義理人情であったり。
 ならば、義を盾にして彼と共同戦線を張ることが、一番の近道であり、また元木に
残された唯一の生き残る手段であるように思えた。
(俺は生きたいんや――!)
 他人の死は恐ろしいし、哀しい。だがそれ以上に、己の死への恐怖は強く、拭い去れ
ないものだ。その畏れは、人が生を受けた瞬間から死ぬまで、逃れることの出来ない
業ともいえる。
 自分は生きるために、彼を利用するために側にいる。それは、今でも変わらない。
 だが――
(やっぱ、この人はすごい)
 そこに微かな憧れや畏怖という感情が存在するのも確かだ。
「キヨさん! 俺、一生ついていきます!!」
 前を歩く逞しい背番号5の影を踏もうと、元木はその背中に駆け寄った。


 佐々岡真司(C18) 死亡 【残り53名 年俸総額113億9580万円】

605 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 22:20:49 ID:5xPaJfG9O
元木氏ね

606 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 23:10:11 ID:59irEEnQ0
ああ…佐々岡…

607 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 01:28:21 ID:LboaDT3t0
何だか好感持てるようなやっぱ好感持てないような二人だなw

608 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 01:35:00 ID:ujpNMerK0
この二人の顛末は楽しみ。

609 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 02:51:41 ID:fFhLgivB0
いや、持てないだろうww

610 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 05:57:35 ID:1bVYk3Ig0
好感持てないに1俵。
でもこの二人の顛末は楽しみ。

611 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 09:45:47 ID:o6sXYgInO
職人さん乙です。

612 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 12:54:33 ID:dTXGTYJ5O
携帯から保守
巨人勢で思い出したが桑田はどうなっちゃうんだ
誰か桑田の心を何とかしてくれ

613 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 13:06:58 ID:EaVXditd0
>>605
いきなりその感想でワラタ

614 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 13:09:22 ID:0zqWEK/W0
>>612
赤星に写真撮ってもらうとか

615 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 19:21:33 ID:Wqou/LJl0
 ああ、元木だ。しみじみと元木とキヨだ。
 しかしこのキヨと桑田が会ったらどうなってしまうんだ。

616 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 23:54:54 ID:cgpd7MCRO
保守がため

617 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 03:02:05 ID:GLV9ydOF0
相変わらず好感の持てない二人組だなw
だがそれがいい

618 : ◆cZJuOTmaac :2006/03/16(木) 04:18:24 ID:ScXGE3mZ0
『偶然論』


公園のある高台から島の南側へ降りる斜面は、緩い傾斜の芝原で、所々ごつごつとした岩が剥き出しになっている。
その岩陰のひとつに身を潜め、清水直行は動けずにいた。
(G6…G5のちょっと手前くらいか)
頭の中で地図を思い描く。
本当は林の方へ向かいたかったのだが、公園を出た所で狙撃され追い立てられるように来て、今いるのは斜面のちょ
うど中腹になる。
隠れられそうな大きさの岩は見渡してもこれが最後だ。
(俺もよう逃げたけど、あっちも相当根気強いな)
狙撃手の姿はまだ分からない。
それにしても一つ奇妙なのは――ここまでの間、結局当てられていない、ということだ。
無傷でいられてありがたいが、決して上手い避け方をしていたとは思わない。当たらないというより、ギリギリのコントロ
ールで外されている…ような気がする。
銃弾は自分の右手後方から飛んで来ていた。そっと岩陰から覗いてみる。
チュン、とかキュン、とか小鳥が鳴いたのかと思うような音がして土が跳ね上がり、清水は慌てて頭を引っ込めた。
その拍子に背中の荷物が重い金属音を立てる。金村に押し付けられたロケットランチャー。
使いたくないが、この状況を打破するには。
「クソッタレ!」
吐き棄ててデイパックを開く。


619 : ◆cZJuOTmaac :2006/03/16(木) 04:19:37 ID:ScXGE3mZ0
後ろのピンを引いて蓋を外し、後部コンテナを引き出す。弾というかロケットというか、は最初から装填されている。
これが照準、この黒いボタンがトリガー。胴体を掴んで肩に乗せた。
誰であれ殺したくない。驚いてくれさえすればいいのだ。当たりませんように、と祈って。
(1、2の、)
「3!」
50M程先で、清水の声を聞いて狙撃手―――桑田真澄が姿を見せた。清水はトリガーを押した。
反動で銃口が仰のく。放たれた弾は桑田の頭上を遥かに越えて行き、見えない落下地点でドッと爆炎を上げた。
弾道を見上げていた桑田がその煙を背景に振り返り、清水に肩を竦めてみせる。
「よう飛んだねぇ」
再び岩陰に飛び込むや否や、すぐ頭上が弾丸に弾かれて音を立てた。
大失敗だ。
(こうなったら…!)

再びランチャーを構えて立ち上がった清水を見て、桑田は銃の照準から顔を上げた。
ざあ、と二人の間を風が渡る。
「それ、弾入ってないでしょ」
「…ばれてました?」
空のランチャーを棄て、清水はため息をついて岩陰を出た。
「本体使い捨てやのに弾だけあと3つもあるんですよ、意味分からん」
「清水君、きみ、当てる気で撃たな。僕は殺しに来てんねんから」
桑田の口調は甲高いが穏やかで、微笑みすら浮かべている。銃口はこちらへ向いたまま。
「あんなもん当たったら死ぬやないですか。嫌です」
死ぬのは嫌だ。自分も、他の人も。
「優しいね」
「そんなんやないですけど…ただ」


620 : ◆cZJuOTmaac :2006/03/16(木) 04:20:50 ID:ScXGE3mZ0
覚悟が持てないだけだと思う。そこまでする意味がない。
「俺が帰りたいのは俺のチームだけですから」
そう、と桑田が頷き、沈黙が訪れた。
ふいにその奇妙な形の銃を、桑田は草の上に放り投げた。清水が手を伸ばせば届く距離に。
意図が分からずに清水は黒い銃身を見、桑田の顔を見る。やはり静かな微笑があるだけで―――そして。
「さっき福浦君に会ったよ」
ざあ、とまた風が渡った。
もう死ぬのだと思って鎮まりつつあったはずの胸が、その名を聞いて波立つ。
そうだ。福浦は、雅さんは、どこでどうしている?
帰りたいチーム。俺の誇り。
この人は福浦に会って―――何をした?
「君の事をね、とても心配してた」
その微笑の意味は。
全身の血が逆流したようだった。一瞬頭が真っ白になり、気づくと手の中にしっかりと銃を抱えていた。
照準を桑田の胸に合わせる。
「何で…福浦があんたに何をした!」
「理由、あると思う?」
「な…!?」
「相手が憎いから、自分が生き残りたいから、殺すのが楽しいから…ホンマはそうではないんよ。偶然、そうなって
しまうんや」
不思議に柔らかく響く言葉。独り言なのかもしれない。
「ホンマは殺すんも死ぬんも、理由なんていらん。人間は…生命は皆、偶々生まれて偶々死ぬんやから」


「ナオ!」
はっとして声の方を見る。先ほどの公園からこちらを見下ろし、福浦和也が叫んでいた。手に何か長いもの、多分ラ
イフルを下げている。
「やめろ!殺すな!」
やられた。
「生きとるやないですか」
「…」


621 : ◆cZJuOTmaac :2006/03/16(木) 04:21:41 ID:ScXGE3mZ0
清水がまだ銃口を下ろさないのに、桑田は笑うのだった。実に面白そうに。
背筋が冷えた。
この人をこのまま行かせては駄目だ。自分が、そして福浦が――今度こそ本当に――殺される。
また福浦に呼ばれたが、振り向かなかった。清水はトリガーに指をかけた。


福浦は威嚇のつもりだっただろう。
しかし銃弾は狙いを大きく外れ、清水の左肩を斜めに貫いた。
ぼたぼたと血が落ちる。銃がずるりと手を離れて落ち、清水は膝を折って蹲った。
必死に目線を上げる。狼狽した福浦が駆け出すのが見えた。恐らくこちら側へ下る道を探して。
「アホ、来るなッ…」
桑田が歩み寄り、ゆったりとした動作で銃を拾い上げた。その足に清水は縋り付く。
「待て…」
(来るな福浦、逃げろ…!)
上手く力が入らない。
すぐには振り払われなかった。清水は朦朧とする意識の中で、桑田の唇が何事か呟き、また笑みの形に結ばれるのを見た。



【清水直行 桑田真澄 G−6  福浦和也(レミントンM700) F−6】
【残り53名 年俸総額113億9580万円】

622 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 06:56:31 ID:uCqh5uTZ0
直行さん・・・。桑田さん、怖すぎますよ!!!!!

623 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 10:20:09 ID:IZKLOFP4O
職人さん乙です!
桑田も地味様もなんかあわれだよ(つД`)・゚・

624 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 16:14:18 ID:aY0Q8Ln60
保守

625 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 17:40:00 ID:oTKf1WpnO
ぐおぉー地味様まだ死なないでー!(つД`)゚・。

626 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 19:24:44 ID:b9xamHYfO
40万部のベストセラー『嫌韓流』の第2弾

『嫌韓流2』発売中

意外とおもしれーぞ

627 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 23:07:58 ID:1fpqQzQfO
保守隊

628 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 08:26:37 ID:auf5pxEEO
ほっしゅっしゅ

629 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 10:23:41 ID:p6GTueRC0
祈りながら保守

630 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:30:41 ID:yJGIf+910
『静かな沼のほとりのかげから』


先ほどから始まった頭痛に苦しんでいた落合英二(D26)がその時耳にしたのは、何かの歌だった。
『何か』は分からず『何か』のままであったが、とりあえず歌であることははっきりしていた。
道に面した沼の斜面で寝そべって休んでいた落合はうつ伏せになると、歌がしてきた方へと顔を向けた。

―――誰だよ、こんな時に歌とか歌ってる奴。
自分は歌を歌っていない、だからこの場合歌っているのは他の誰かだろう。
そして今は殺し合いとかいう意味の分からない非常事態。
非常事態とは『常態じゃない事態』のことだ。普通じゃないんだぞ?
普通じゃない時に歌とか歌っている暇は普通に考えて無いんだぞ。
だったら何で歌が聞こえる? それは、歌を歌っている奴がいるからだ。
非常事態に歌を歌っている奴がいる。普通じゃそれは考えられない。
それなら歌を歌ってる奴は普通じゃないってことか。ああそうだな。

「大抵普通じゃねぇけどなー…。」

頭をさすりながら、ポケットの中の名簿を取り出す。
名前の上に引かれた横線。約1時間半前の放送で伝えられた死者の印。
今のところ6人の名前の上に横線が引かれている。つまり、6人死んだということ。


631 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:31:27 ID:yJGIf+910

普通じゃない、それはこの印が示す意味にもっとも顕著に現れていた。
元々人が死んだ時の感覚はもっと重いもののはずだ。相手が誰かによってはその人に多大な影響をも及ぼす。
死とはそういうものだったはずである。
だが、今感じている『死』は何かが違う気がした。
それは出発の際、原の死体を近くで見なかったからかも知れない。
それは放送された中に自分のチームの選手の名前が上がらなかったからかも知れない。
ドラゴンズの誰かの名前が放送されていれば多少は違う感覚が得られたのかも知れない。

しかし、落合にとって現在感じている『死』は映画のスクリーンの中のような、どこか遠い場所で起こっていることにしか思えなかった。
本当に今、人が死んでいるのかがどうかが分からない。
死んでいたとしても、この目で、体で、感覚で死者というものを体験していないから分からない。
分からないから、人が死んだ時に感じる喪失感、重い感情が生まれない。
ゆえに、顔を何度も見合わせたことのある好敵手が死んでいるということで生まれるはずの感情が落合には湧き上がってこなかった。
否、湧き上がるはずが無かった。
その相手が現実に死んでいるのかどうか分からないのだから。もしかすれば死んでいないのかも知れないから。


そうこう考えていると落合は段々と歌がこちらに近付いていることに気付いた。足音も近付いている。
ずきずきと痛み続ける頭を撫でながら、落合は声のする方へ耳を傾けた。

‥る心のあか…明日‥かって…ゆけ‥


632 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:32:36 ID:yJGIf+910

(この曲…)
途切れ途切れに歌っている声はのんきとしか言いようのないものである。これは聞き覚えがない。
しかし歌われているその曲は落合も聞いたことがあった。あるチームの応援で耳にしたことがある。
その時、落合の脳裏に浮かんだのは交流戦の一幕。夏でも涼しい都市の、いささか変わったユニフォームのチームと戦った際の記憶。

「…ファイターズ賛歌かよ。」

夏でも涼しい札幌に本拠地を置く、北海道日本ハムファイターズの球団歌である『ファイターズ賛歌』。
この曲を誰かがのんきに歌っているのが落合の耳に届いていた。

何故、誰が、何のために今この時、この歌を選んで歌っているのか。
落合はただでさえ頭が痛いというのに更に痛みが激しくなってしまいそうだった。
近付いてくる声は限りなく緊張感が無い、尚更この場所で殺し合いが起こっていることなど忘れてしまいそうなほどに無い声だ。


「すっすめーファイターズー、しょーりのおとこー」
「おい。」

ちょうどすぐ上を通り過ぎようとする影に落合は声をかける。
頭は痛いが、それよりもこんなに緊張感の無い奴は一体誰なのかが気になって仕方が無かった。
落合が声をかけた影は何の警戒心も見せずに辺りを見渡している。そしてふと落合に気付くと身を屈めた。
身を屈めたことにより、落合はその人物の着ているユニフォームがはっきり見えた。
白地に金で囲った水色の文字、そして特徴的な黒い色の左袖。


633 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:33:13 ID:yJGIf+910

落合の目の前に座り込んだのはファイターズ賛歌が歌えるのが当たり前ともいうべき選手。
北海道日本ハムファイターズ、一瞬だけ見えた背番号は16。
即座に落合は頭の中の選手名鑑をめくり、16番の男は金村暁であることを思い出す。確か説明文は『ファイターズのエース級投手』。
そしてついでに今までの記憶を掘り起こしてみる。
2、3度札幌ドームやナゴヤドームで顔をつき合わせたことがあるが話したことはない、その程度の繋がり。
ある意味赤の他人とも言える人間だった。

「何か用っすか?」
不思議そうに金村が尋ねてくる。落合にはそれが不思議だった。
仮にも殺し合いをしろと言われた中で、全くの赤の他人から声を掛けられれば返事をする。かけたらかけたで用が何か聞く。
どれだけ平和なのかと思いつつも、自分自身も同じだということに気付き、それを口にするのは止めた。
「別に用とかないけど。」
「そーっすか。」
返事を返しながら、金村が落合のすぐ側に座る。頭を抱え込みながら落合も起き上がった。
座りながら欠伸をする金村を見た後、落合が話しかける。

「なぁ、金村。」
「はい?」
「はい?じゃないよ。何してるんだよこんなところで。」
落合の言葉に金村が黙り込む。そして風が3度吹いた後、金村が口を開いた。
が、その答えに今度は落合が黙り込む番だった。


「家探し。」


634 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:34:40 ID:yJGIf+910

「……はぁ?」
「家探しです。俺この島で一番広い家に住みたいんです。」

『家探し』という単語が落合の頭の中を高速で回る。
―――家探しってあれか、新聞広告にたまに入ってる不動産のチラシ見たりする奴だよな。
―――でもこの島でって言ってるから、ここのチラシとか入ってる訳ないもんな。
―――だったら何、コイツはこの島に永住する気か。
無駄な考えまで広がったところで落合は我に戻った。

「…家探し?」
もう一度尋ねる。
「そうです、家探してるんです。
俺ね、何か人殺すとか死ぬとか切ったとか張ったとか、そーゆーの結構苦手なタイプなんですよ。まぁゲームだったらいいんですけどね。
だからちょっと実験がてらに普通の生活してみたらどんなのかなーって思ったんですよ。
あ、俺武器とか持ってないですよ。いらないし。
そんで今大きい家探してるんですけど中々無くて困ってるんですよー。ってことでこの辺で大きい家って無かったですか?」
6倍か7倍で返ってきた金村の考えを、痛みで余り働かない脳でどうにか翻訳する。

まず、金村は殺し合いに参加する気は無いということ。
そして今は普通に生活するための、なるべく大きな家を探しているということ。

翻訳したところで落合は金村の頭の中がさっぱり分からなかった。
殺し合いが苦手だから普通の生活をするといった考え方も、その普通の生活をするためになるべく大きな家を探しているという願望も。
ついでにファイターズ賛歌を歌う気になれたことも。


635 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:35:23 ID:yJGIf+910

「まぁ無いんだったら道の途中でそれなりの家見つけたんでそこに住もうかなって思ってるんですけどー。」
考えるための沈黙を返答とみなし、さらさらと句を続ける金村に落合は呆れたように質問をした。
「…何お前、死ぬ気?」
「いや、生きる気も死ぬ気も無いんです。」
即答。もう誰かが先にこの類の質問をしたかのようにさらりと金村は答えを話した。
その内容も内容である。『生きる気も死ぬ気も無い』、だったら何故お前は今生きているのかと。
「いーみわかんねーしー。」
「だって人間ってどうせ死んじゃうじゃないですか。今回はそれが早くなるか遅くなるかの違いでしょ?」
さも『生まれたての鶏の卵は割れる』という至極当たり前のことを言うかのごとく、金村はあっさりと言い放つ。
それを聞いた落合は頭痛でいよいよ幻聴が聞こえたのか、自分自身に問うところだった。
(むしろ幻聴であって欲しかったよ。)
そう思うまでに落合にとって考えられないような答えだった。

「俺はね、自分のしたいことしかしない主義なんです。」

金村がそう言いきったと同時に落合は、この男に話しかけたことを後悔し始めていた。
声をかけなければ多分目の前の男はそのまま通り過ぎてしまったのに、と。
頭痛が激しくなってきた気がした落合は、金村と対話することを諦め、手の振りでどっかに行けと伝えた。
「もーお前どっか行け。俺は頭が痛いんだよー。」
額をさする。落合は、目の前の意味不明男のせいで熱まで出ているような気がするとその時思った。


636 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:35:56 ID:yJGIf+910

しかし16番は首を傾げながら落合の顔を覗き込むとまた喋り始める。
「あ、そう言われたら何か顔色悪いっすね。」
「元からだよー。」
「そうだ。さっき見つけた家にリヤカー立てかけてあったんで持ってきて運びますよ。」
「人の話聞けよー。」
「そうしましょう。野球選手が風邪ひいたらダメですもんね。」
「人の話聞けって。」
「そんじゃ俺リヤカー取ってまた来ますよー。あ、パンと水あげます。風邪はしっかり栄養補給しないとダメですからね!」
返事もせず、金村は一人で喋ったかと思うとそそくさと立ち上がり、封を切っていないパンとペットボトルを落合に投げ渡した。
そして元来た道に向かって走り始めて、消えた。
残されたのは落合とパンと水入りペットボトル。


「何だよあいつは…」
頭のちょうど中心辺りを押さえつけられているような頭痛に顔をしかめながら、それでも落合は律儀に地面に落とされたパンとペットボトルを拾い上げた。
一人で決め付けて、一人で突っ走って、一人で行動。お前はそれでも立派な社会人なのか?
今しがた姿を消した変な人間の文句を言いつつ鞄に投げ渡されたものを入れると、仰向けになった。
柔らかな午後の日差しは眠気を誘う。


637 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/03/17(金) 20:37:24 ID:yJGIf+910


「あー、もう寝よっかなー…。」

殺し合い、頭痛、金村、リヤカー。
意味の分からないことが重なりすぎて、頭の中が混雑を極めてきた。
こんな時は寝たら結構リフレッシュするものだ。むしろ寝たい。
なるべく人に見つからない木の陰に隠れ、落合は寝ることにした。

寝場所探しに荷物を手にして動いているとふと、金村に聞き忘れたことがあることを思い出した。
『何故ファイターズ賛歌を歌っていたのか』、ある意味一番金村における謎の部分。
ファイターズの選手だからってこんな場合に自分のところの歌が、いや今歌が歌えること自体意味が分からない。

(まぁ、また来るとか言ってたし、そん時聞けばいっか…。)

数分前の金村の台詞を思い出すと、リヤカーに自分を乗せて家に連れて行くといった趣旨だった気がする。
どちらにせよ、あの体感した妙な性格から考えたらもう一度ここに来るんだろう。
その時に聞けばいいのだと考えると、寝転んだ落合は頭のすぐ横に鞄を置いた。
「10分だけ寝よ…。」
10分後はちょうどキリがいい時間になる。少し寝れば頭痛も大分楽になることだろう。
欠伸をすると落合は腕時計を見てそう呟いた。


落合はいつものように左腕を下にして目を閉じると、そのまま眠りにつく。30秒も経つと、すでに寝てしまっていた。
そんな落合が最後に時計を見たのは『1時50分』。
目が覚めるまであと『10分』あった。


【D26落合 F−5  F16金村 E−5】
【残り56名 年俸総額118億8580万円】

638 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 21:47:13 ID:p6GTueRC0
職人様乙です!金村マイペースワロスwwwww

これで選手全員出た?

639 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 02:03:16 ID:ggGZUZbMO
新庄はなんで出てないんだっけ?

640 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 12:46:36 ID:6DgnBkEG0
>>639
新庄は当時年俸8000万

641 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 16:41:03 ID:0KaemRYWO
保守り

642 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 19:40:50 ID:6L2Hv3CHO
職人様乙です捕手age

643 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 22:54:47 ID:loX0HD+40
『久万俊二郎の一日』

 某月某日、久万邸。

 久万俊二郎(御年83歳)の朝は早い。
 この時期、まだ日も昇りきっていない時間から目が覚める。顔を洗うのは冷水と
決まっている。朝ご飯に卵焼きは欠かせない。
 後は書斎で新聞を読んだり、縁側で天気を確認したり、最近は玄関の前でご苦労
なことに久万が出てくるのを待ち続けるスポーツ新聞記者もいないから、散歩がてら
にアンパンを買いに行ったり、のんびりと余った時間を過ごす。
 昨年はいろいろあって、結局オーナー辞任という形で引退したが、そろそろ身体
もガタがきていたところだから、ちょうどよく暇をもらえたと思っている。
「ご主人、今、ちょうどお電話が……球団関係のお話のようですが」
 行きつけのパン屋の袋をぶら下げて帰ってきたところで、家政婦がコードレス電話
を運んできた。
「なんですか、わしゃもうオーナーちゃいまっせ」
 面倒くさげに受話器を取り、久万は保留のボタンを押した。
「はいはい、変わりましたよ。今日は何ですか」
 引退はしたが、今でも時折出社し、話は聞いている。
 正直久万としては、「隠居したんやしもうええやん」と言いたいところなのだが、
そういうわけにはいかないらしい。
 居間に座りながら話を聞いていると、家政婦がお茶を出してきた。久万が軽く手
で礼をすると、初老の女性は頭を下げ、静かに退室した。
「例のイベント? ナベツネさんの? ああ聞いてますよ。でもあれは今の球団
オーナーが集まりはるんでしょ? 手塚が行けばいいですやん。風邪? 儂が
代理? ホンマですか。別にええですけど……」
 寝耳に水の予定が入る。

644 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 22:55:10 ID:loX0HD+40

 電話を切り、久万は軽く首を回して嘆息した。
 まったく、幾つになっても周りは休ませてくれないらしい。
 まあ、暇すぎて呆けるよりはいいのかもしれない。
 適度な運動、適度な食事、適度な仕事。
 健康にはそれが一番だと最近主治医に聞いた。
「ほな、ちょいと出かけますかな」
 久万俊二郎は、面倒臭いと思いつつも重い腰を上げた。


「どうも」
 プシュー、と空気が抜けるような音がし、自動で鉄扉が開く。その向こうに自分を
招いた人物の姿を確認し、久万俊二郎は頭を下げた。
「クマさんお久しぶりですな。相変わらず時間にはルーズな方だ」
 嫌みにしてはストレートすぎる挨拶。
 マドロスパイプを燻らせながら、渡辺恒雄が椅子を回した。
「金には厳しいですけどな」
 冗談交じりにそう返す。笑いを押し殺すように、渡辺が唇を歪めた。
「話には聞いていましたが、お宅も妙なもんを作りましたな」
 自家用ジェット機に乗せられ、連れてこられたのは辺鄙な島の中央に座する、
東京ドームを真似たような建築物だった。
 案内された最上階のホールの中央には、巨大なドーナツ型の円卓。13の椅子が、
十分な間隔を空けて均等に鎮座している。
 ドーム型になった天井と壁には、所狭しと大小のスクリーンが敷き詰められていた。
 13の椅子の上座には渡辺恒雄が座っており、そのすぐ左隣は滝鼻だった。
 見ると、12球団のオーナーがすでに顔を揃えている。
 西武はオーナーの座が空席ということで、堤が来ていた。

645 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 22:55:33 ID:loX0HD+40
「なかなかよく出来ているでしょう。どうぞ、お座り下さい」
 勧められ、久万がテーブルに付くと、卓上のスクリーンがついた。卓上、という
よりは、卓そのものが一つのスクリーンになっているといった方が正しい。細かく
画面が区切られていて、その一つ一つに、12人の長老達の正面顔が並んでいた。
 この卓にもカメラが設置されいて、久万の正面顔が他のオーナー達にスクリーン
に映されているのだろう。
 ボァン、とドーナツ型にくりぬかれたテーブルの中央に、立体の地図が映し出された。
 この島の地図だ。
(どんだけ金かけとんねん……)
 こんなことをしなくても、全員に藁半紙にでも印刷した地図を配ればいいのだ。
 その方が、時間もコストもかからない。
「貴方ならお分かりでしょうが、これは娯楽じゃない」
「半分娯楽なんとちゃいますか」
 正直な感想を述べると、渡辺は否定も肯定もせずに曖昧な笑みを浮かべた。
 これのベースに大きなビジネスがあるのは、久万も承知していた。
 彼が大金をつぎ込むのは、それ以上の見返りが見込めるからだ。
 経営者としての彼の姿勢は徹底している。
 もっとも、趣味に関してはその限りではないようだが。
「ジェット機ですか? あんなもん乗せられて、老体には厳しいですわ」
「申し訳ない、手塚氏が体調を崩されたと聞いたもので」
「まあええですけど。座っとりゃいいんでしょう?」
 肘付きの黒皮張りの椅子に身を沈め、久万は大きく息を吐いた。
「良い椅子ですな。ああ烏龍茶をもらえますか。最近は酒は飲まんようにしとるん
ですわ。ちょっと前に身体を壊してから、命が惜しゅうなりましてな」
「心配しなくても、久万さんは長生きされますよ」
 聞かれてもいないのによくしゃべる老人に、三木谷が冗談交じりに口を挟んだ。
「悪童世にはばかる言いますからな、ホッホッホ」
 自分で自分の言葉に受けたらしく、言い終わる前に笑い出す久万。
 自分で言われては返しようがない。否定するにも肯定するにも窮し、三木谷は
愛想笑いを浮かべた。

646 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 22:55:51 ID:loX0HD+40
 沈黙が落ちたところで、渡辺が左隣に目配せする。それを受け、滝鼻が本題を
切り出した。
「では皆様揃われたようですので、よろしいですか? 大筋はもう聞いていらっしゃる
方がほとんどと思いますが、改めて説明させていただきます」
 パ――と、室内の壁という壁、天井が、いくつものスクリーンとなって光を放つ。
 それらに映っているのは、森、民家、湖――あらゆるこの無人島の景色だった。
「今は人っ子一人おりませんが、こちらの時計で午前6時ジャストに、今回のゲーム
の為に選出された参加者66名が放たれます」
 卓上の画面が切り替わり、66名の選手の顔写真が流れる。その中に、久万はちらほら
と見覚えのある顔を見つけた。
「皆様にはこちらの席でオブザーバーとして、彼らの行動を観察していただくと共に、
万一不正行為があった場合はその措置について裁決を下していただきます」
(不正行為ってなんなんやろ……)
 ぼんやりとそんなことを思いながら、ここはあまり興味がないので聞き流しておく。
「しかし、そう簡単に殺し合ってくれるものですかね」
 オリックスオーナー、宮内義彦が疑問を挟む。
「まあ小細工はいくつか仕掛けておきましたよ」
「またそれも追々ご覧になるでしょう」
 気を持たせた答えを返す渡辺に、滝鼻がフォローを入れてから話を続けた。
「また、ご承知の通り、これらの映像は全て録画されています」
「こんなもん撮ってどうするんですかねぇ?」
 久万の茶々入れに、滝鼻が苦笑いを浮かべた。
「分かってらっしゃるのに、人の悪い」
 気を取り直したように咳をし、質問に回答する。
「然るべき販路より世界へと販売されます」
「幾ら位なりますのん?」
「クマさん、それはまた後でじっくりお話しましょう。――失礼、続けてくれ」
「はいはい」
 渡辺の窘めに、気のない二つ返事を返したのは久万の方だ。

647 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 22:56:09 ID:loX0HD+40
 それで拗ねたというわけではないが、興味をなくした久万は、背もたれに頭を付
けて身を沈めた。
「今回のこのイベントでは――」
 滝鼻が単調な声で、何やら小難しい説明を続けていた。


「――以上がビリオネア・バトルロワイアルの概要です」
 滝鼻の長々とした説明が終わり、室内に複数の疲れたような鼻息が漏れる。
「何かご質問はございますか?」
 滝鼻の問いかけにも、反応はない。滝鼻が話した内容は全て予め12球団オーナー
の間で承認されたことであり、実際の所、この概要について理解していないのは、
緊急で招集された久万だけであった。
「分かってもらえましたか? 久万殿」
 その久万に対し、滝鼻が念を押すように振った。円卓を取り巻く12の視線が、
一点に集まる。
 久万俊二郎の返事はなかった。テーブルに肘を突いたまま、深く考え込むように
俯いている。
「久万殿?」
 カクンと、久万の身体が船をこいだ。

648 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/03/18(土) 23:02:59 ID:loX0HD+40
つ【残り56名 年俸総額118億8580万円】

649 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 00:05:10 ID:JamQHXPl0
乙であります!
オーナー達キター!

650 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 00:06:19 ID:JamQHXPl0
sage忘れましたすいません orz

651 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 00:26:08 ID:wPn9d3/8O
山本昌出たっけ?

652 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 00:38:24 ID:3CjflI2fO
職人さん乙です。
>>651
昌は出てた。

653 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 15:08:03 ID:ww6QM0uNO
保守

654 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 20:08:49 ID:OpbHjqNQ0
おお、久万
寝てるところが目に浮かぶようだ

655 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/20(月) 02:09:36 ID:nebfr6dF0
「侵入者」

力無い足取りで学校に足を踏み入れた高橋と、阿部は先程から殆ど会話無いままであった。
このどうあがいても拭えない罪を背負う事となった高橋は、暗く沈んだ瞳に、
一気にやつれたかのような青白い面のまま、ただひたすら歩くだけであった。
「どこへ…行きましょうか?」
「…ああ。」
一見、高橋は精神というものを放棄してしまったのではないか、というほどに
絶望で顔を強ばらせたままであるが、どうやら持ちこたえているらしく、
言葉を投げれば返事くらいはする。
「そうですね…じゃあ…」
単調な答えに、罪悪感そのものに俯く阿部を、高橋はじっと見遣る。
「…殺すつもりはなかったと言う気は無い。お前を殺す鬼だって…斬付けてしまった。」
やっと喋り始めた高橋に、阿部は顔を上げた。

「だからって由伸さんは鬼になったりしませんよ。」
枯れた声で小さくつぶやく高橋に、阿部も泣きそうな顔で眉を寄せていたが、
やがてまるで何かの冗談を言うかのような、明るい笑顔のまま高橋の肩を叩いた。
「慎之助……ありがとう。」
やっとほんの小さくではあるが笑う高橋は、吹っ切るかのように顔をあげると、
大丈夫だと何度も呟きながら、高橋は目の前の窓から校舎に潜り込む。
「由伸さん…」
「…そんな顔しなくても、もう大丈夫だ。俺は…っ、とっ…」
言いかける高橋であったが、ふいに窓から見える人影に目を見開いた。
「あの人って…あの後ろ姿は…」
「後ろ姿というよりもあの後頭部は間違いなく…和田さんですね。」
何があったのか分からないが、グランドを一直線に突っ切り爆走する和田。
とにかく急いで校舎を飛び出した事だけは確かなようであり、二人は顔を見合わせる。
「…何かあったんですかね?」
和田の姿はあっという間に消え去り、どうやら学校から出ていってしまったようだ。

656 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/20(月) 02:10:19 ID:nebfr6dF0
「…和田さんが慌てて逃げ出した校舎に俺達は乗り込んだわけだが…」
どちらからともなく、二人は疲れ切ったようにため息をついた。
「誰かとんでもない奴が居たとか…とんでもない事があったとか、ですかね?」
「いや…何となくだけど、この校舎自体はあんま嫌な感じはしないっつーか…」
「どういうことです?じゃあなんで逃げたんですか?」
「んー…走る和田さんの姿が…なんか校舎から逃げるって感じじゃなかったんだよ。
校舎から、校舎に何かあったから逃げるというなら…」
口にすることで考えを纏めるように高橋は答える。
「一度くらいは校舎に振り返るはずだ。人ってそういうもんだろ?
でも、振り返りもせず…まるで迫り来る恐怖みたいなモンから逃げている感じだった。」
「じゃあ…その迫り来る恐怖って何ですか?ていうかなんで和田さんは予測できたんです?」
「そんなの知らねえよ。まぁつまりだ、俺達もさっさと逃げ…痛っ!」
言いかけた高橋であったが、阿部に頭を押さえつけられ、廊下に思いきり倒されてしまう。
「んだよ!何しやが…」
「しっ!…窓の外…見てください…」
声低くつぶやく阿部に、高橋は眉をひそめながらそっと窓の外を覗き込む。
その視線の先に見えたのは、遠くにある校門からスッと現れた人影。
朧げに見えるユニフォームと背番号で誰か位なら分かる。

「あの人は…」
驚く程にゆっくりと、しっかりとした足取りで一歩一歩踏みしめるように
歩いてくる人影は、かなり遅い速度ではあるが、確実にこちらに…校舎に向かっている。
「…和田さんはあれから逃げたんじゃないかね?どういう手段で予測できたか知らんけど。」
「…由伸さん?」
今までのんびりとした様子の高橋であったが、まるで何か化け物でも見るような、
畏怖の念露の、険しい表情へと変貌しており、阿部はまじまじとその様子を眺める。

657 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/20(月) 02:11:01 ID:nebfr6dF0
「今出ていったら…鉢合わせるだけだ。こうなったら裏から逃げよう…」
窓の外の人影から身を隠す高橋に、阿部は微かに目を見開く。
「…危険な存在ということですか?」
「今始めて見かけたんだ…だから何の確信も無いけど…あれはヤバイ、そんな感じがするんだ。」
眉を歪ませながら呟く高橋は、自分でもどう言っていいか分からない様子であった。
「…足取りは怖いくらいに落ち着いてる様子ですけどね。だからヤバイと?」
「そんなんじゃねえ。足取りとか様子とかじゃなくて…何て言えばいいか…
とにかく頭ん中で誰かに危険だ、注意しろって言われてるような…」
そこまで言うと高橋は、ふぅと大きくため息をもらす。

「…色々ありすぎたから…気が変になってんのかな?」
阿部は即座に首を振る。自分は高橋以外の人物を信じるよりも、
注意しようという考えであるのだから、いちいち反論する必要もなかった。
「信じますよ。外れてもまぁ…あんたを信じないよりはずっとマシでしょう。」
そして自分は高橋を信じている。この島に来る前から、そして命がけの今現在まで
常に信じている先輩であり盟友だ。
「慎之助…」
感嘆するように高橋は頷くが、浸っている暇はない。侵入者はもうすぐそこまで来ている。
「裏から逃げよう。あの窓から裏庭に出れば…」
裏庭が見える窓を指さした高橋は、ぎょっとするように視線を元に戻す。
和田と入れ替わりにやってきた侵入者は、下駄箱が並ぶ扉まで行かずに、
丁度高橋達が進入したように、窓から校舎に入ろうと窓枠に手をかけたからだ。

「慎之助!こっちだ!」
もはや一刻の猶予も無い。侵入者と目が合い、思わず足を止める阿部の腕を
強引に引っ張ると、高橋は脇目もふらずに、窓に手をかけ裏庭に躍り出ると
あっという間に逃げ去って行った。

658 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/20(月) 02:12:10 ID:nebfr6dF0
「……」
その侵入者は、突然逃げられた事に暫しぽかんとするが、やがて苦笑すると、
窓の外から見える高橋達の遠ざかる背中を見つめる。
「あいつ失礼な奴だな…一目散に逃げやがった。」
まるでこいつは危険だと決めつけんばかりに逃げた高橋達。
「いや…正しい選択だと褒めてやるべきだな。」
だが何で分かったのだろうか。先程、生まれて始めて…人を殺すという事を行った時は、
細心の注意を払い、このユニフォームに返り血一つ浴びせずに済んだはずなのに…
(自分でも気がつかないうちに…危険なオーラでも出てんのかな?)
ならばこれからは気をつけねばならない。
それを気がつかせてくれた高橋達にとりあえず感謝だと侵入者は笑う。

(けどまぁ想像通り、学校は人が集まりやすい場所なことは確かだ。)
逃げられてしまったが、実際に早速二人の選手と遭遇したのが良い例だ。
ならば暫しここに居てもいいか、それとも動くか…考え込んでいる時に、
あの爽やかな曲…定時放送を知らせる曲が流れる。
(定時放送か…ということは…)
自分が殺したあの選手の名も挙がる事であろう。
「……」
自分が殺めた男に対し、せめてもの黙祷でも捧げよう。
端から見れば酷く悪趣味もいいとこな行動であろうが、このゲーム自体が
悪趣味そのものなのだ。

紙とペンを取りだし…やけに長く感じる定時放送のテーマ曲に
じっと耳を傾けながら、谷佳知はそっと瞳を閉じた。

【残り53名 年俸総額113億9580万円】

659 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 05:33:02 ID:/yms2pGS0
作家さん乙!
タニー北!

660 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 10:56:10 ID:bHesbjQn0
職人さん乙です
そうか、谷が殺したのか・・・

けど定時放送?ってのは2回目の定時放送になるのかな??
和田が学校から逃げ出したのが午後2時で
次の定時放送予定時刻が午後6時なはずなんだが・・・不定期放送?

661 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 10:59:36 ID:/krY8TRe0
乙です!!

後頭部だけで判る和田さんwwwwって笑ってたら谷ィィィィ…!
殺されたの誰だ…?

662 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 16:15:34 ID:fL9nagXVO
新作乙です!!!タニのスイッチが…

663 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 19:59:01 ID:0Vl07BXl0
>>660
直行登場の章で、『次の定時報告は、午後6時を予定しております』と書いてある。
矛盾してる・・・・・よな?

664 :658の修正です…:2006/03/20(月) 20:54:25 ID:eIngYL7f0
「……」
その侵入者は、突然逃げられた事に暫しぽかんとするが、やがて苦笑すると、
窓の外から見える高橋達の遠ざかる背中を見つめる。
「あいつ失礼な奴だな…一目散に逃げやがった。」
まるでこいつは危険だと決めつけんばかりに逃げた高橋達。
「いや…正しい選択だと褒めてやるべきだな。」
だが何で分かったのだろうか。先程、生まれて始めて…人を殺すという事を行った時は、
細心の注意を払い、このユニフォームに返り血一つ浴びせずに済んだはずなのに…
(自分でも気がつかないうちに…危険なオーラでも出てんのかな?)
ならばこれからは気をつけねばならない。
それを気がつかせてくれた高橋達にとりあえず感謝だと侵入者は笑う。

(けどまぁ想像通り、学校は人が集まりやすい場所なことは確かだ。)
逃げられてしまったが、実際に早速二人の選手と遭遇したのが良い例だ。
ならば暫しここに居てもいいか、それとも動くか…
色々と考えねばならないことがあるが、生まれて始めて人を殺めたという現実は
中々脳裏から消えてくれそうにない。

(どんな顔してたっけ…どんな事言ってたっけな…)
自分が殺めたあの選手は、最後にどんな顔で、どんな事を言っていたのか…
あの時は自分では冷静なつもりであったが、イザとなると所々に
記憶が欠如しており、思ってた以上に動揺していたのだろうか。

(いや…違う。単に覚えていてもしょうがないからだ。)
自分が殺した者が、最後どうであったか覚えていたところで何の役にも立たないし、
むしろそれは枷にしかならない。

だから忘れた。
それだけの事だ、と谷佳知はそっと瞳を閉じた。

【残り53名 年俸総額113億9580万円】

665 :43 ◆YhefPZis9A :2006/03/20(月) 20:55:37 ID:eIngYL7f0
最初、夕方設定で書いていたものを、昼設定に戻して
大幅に修正したんですが、最後の文面だけ修正前のをupしてしまい…
保管庫の方にも修正したものをupしたのですが…

この話自体を取り消しにしようと考えましたが、
こういう形で谷を出してしまったので、今回は修正投下することにしました。
前回に続き、御迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。

666 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 00:43:34 ID:tgKOv7oM0
谷と言えば小笠原の首輪の通信が気になる
保守

667 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 10:06:04 ID:nw7zevxGO
そろそろ始まる保守

668 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 11:51:11 ID:nw7zevxGO
日本先取保守

669 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 14:22:54 ID:JnRshEMTO
捕手

670 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 15:36:10 ID:nw7zevxGO
優勝オメ保守

671 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/03/21(火) 16:49:57 ID:vmPiKcUr0
職人さま方乙です!
『C4森地点にて』
『勝利への決意』
『嵐の前の……』
『誰かが、誰かを』
『今ならば』
『影踏み鬼』
『偶然論』
『静かな沼のほとりのかげから』
『久万俊二郎の一日』
『侵入者』
うpしました、更新遅くなってすいませんorz

672 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 23:33:17 ID:WTfmY1eY0
>>671
保管庫さん乙。
そして優勝オメ!

673 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 03:17:19 ID:JkL4SKCc0
作家さん、保管庫さん、皆さん乙。
小笠原といえば、死球乙。

674 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 14:44:09 ID:azYLydkaO
オメ保守

675 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 05:35:58 ID:UIzjdp6V0
hosyu

676 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 11:54:21 ID:W6WcoQbZO
捕手

677 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 19:20:01 ID:gAt2hZCRO
投手

678 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 22:57:17 ID:GwNQTxTRO
野手

679 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 23:57:40 ID:IQf3uDtH0
監督

680 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 00:01:03 ID:jCWotMAU0
コーチ

681 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 01:35:17 ID:IAysZ6//0
バッピ

682 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 07:17:22 ID:B9IA/zpa0
一塁ベース

683 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 12:25:51 ID:XqIJ+vk/O
橘高

684 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 14:53:11 ID:3gu8aBPOO
ボブ・デイビットソン

685 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 21:49:48 ID:Rj3vY1mT0
コデライク

686 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 12:00:46 ID:gboJ1Asb0
期待ほしゅ

687 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 17:51:30 ID:WXfUij7+0
hosu


688 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 20:42:16 ID:a2bDt6u/O
開幕勝利保守

689 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 16:30:08 ID:+17Z63EgO
>>688
おめ捕手age

690 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 22:03:33 ID:Q+PW2fy/O
二連勝保守

691 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 06:57:48 ID:HuufmpZW0
セ開幕間近保守

692 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 14:08:13 ID:CX7/6QnPO
愛知啓成高校サヨナラオメ保守

693 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 21:58:47 ID:o+OxoDbCO
すごいなー
下げ進行でこんな名スレがあったのか

694 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 13:55:44 ID:HCHGla71O
バトロワやる夢をみた保守


695 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 20:25:33 ID:xaWoZ3edO
頑張れ炭谷捕手

696 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 23:06:41 ID:pb78uYz5O
捕手

697 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 05:38:18 ID:AyHvAQtk0
hosyu

698 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 17:56:43 ID:In83+O9HO
ほっしゅ

699 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 03:43:54 ID:h5z+aIaI0
hosyu

700 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 14:28:24 ID:EDfCcReZ0
期待ほしゅ

701 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 18:48:20 ID:ngqcnu+OO
セ界開幕保守

702 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 19:39:21 ID:ngqcnu+OO
用心捕手

703 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 22:44:26 ID:845gF1YF0
開幕試合敗北で保守
アハハハハ('A`)

704 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 01:06:43 ID:QAzlpVel0
hosyu

705 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 14:44:38 ID:UuoZFkaLO
703残念保守








ぬるぽ

706 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 19:33:42 ID:CZxuG05bO
まさかの開幕2連勝保守age






>>705
ガッ

707 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 21:21:27 ID:OBlyNXgFO
↑燕か。古田捕手

708 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 22:06:19 ID:aLT/4IOD0
>>706
こっちはサヨナラ負けでアヒャヒャヒャヒャーーーー保守

709 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/02(日) 21:53:13 ID:HH7QvMxbO
>>708
今日は大差で負けたよ保守

710 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/03(月) 01:12:05 ID:mzRtQCd4O
なんだかんだで連敗スタート捕手

711 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/03(月) 18:17:20 ID:P3cXyKPA0
マンデーパリーグが無くなったのを惜しみながら保守

712 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/03(月) 23:56:48 ID:f7MdTljh0
保守

713 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 13:17:25 ID:SfvmWic7O
頑張れや清峰保守

714 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 21:56:30 ID:SfvmWic7O
清峰…保守

715 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 08:33:40 ID:LPkaMpDfO
元木氏ね保守

716 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 14:38:55 ID:PjXahnn6O
捕手するよ

717 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 07:27:34 ID:E8zWxE3KO
捕手

718 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 22:22:46 ID:fXUtmzA7O
ふぅ…巨人強すぎ保守

719 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 23:03:22 ID:i6xlCVPa0
あのままオクスプリングを続投させりゃ良かったんだよ保守

720 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 04:52:28 ID:NFOHOAbh0
hosyu


721 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 12:30:57 ID:io2oyOvYO
全然進まないねと言いつつ捕手

722 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 19:38:16 ID:fOviWkP9O
職人様もきっと忙しいからマタリまとうや保守

723 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 11:39:08 ID:2y2IJH01O
その通りと思いつつ保守

724 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 12:50:15 ID:yvGQHGxC0
期待しつつ体育座りで保守 &

725 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 12:00:22 ID:gxbjN2qjO
とりあえず捕手

726 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 17:55:26 ID:w2xvZIwq0
hosyu

727 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 23:46:16 ID:dfOWKpad0
タヌラが一億いってて参加してたらどこまで生き延びれるのだろうか…

とか考えつつ保守。

728 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 00:08:09 ID:Hpwupd7/O
>>727
連れ去られる予定の場所につく前にスペって不参加だな捕手

729 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 01:11:15 ID:kBEcorO30
>>727
眠らされてそのまま起きなくなる保守

730 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 01:45:40 ID:WzHH5m6L0
捕手

731 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 18:42:50 ID:emm2RC0GO
最近タヌラの知名度が一気にあがったよな…とニワカの俺
保守

732 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 10:43:13 ID:MsAAlPdyO
やっぱりシーズンはじまると職人様も忙しいんだね…とじゅっくり捕手

733 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 07:32:14 ID:l3zY2s1TO
捕手age

734 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 07:34:41 ID:yj7+db5WO
保守

735 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 21:53:36 ID:yj7+db5WO
一人でも保守し続ける

736 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 22:34:26 ID:OPmeBrXL0
俺も保守

737 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 22:38:10 ID:7DBsnNbm0
↑に同じく保守

738 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 09:32:02 ID:uQK+S+jj0
hosyu

739 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 19:54:46 ID:tiq4CHaMO
捕手

740 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 20:07:47 ID:j/fHh0LiO
「諦めたらそこで試合終了だよ」保守

741 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 21:09:01 ID:uQK+S+jj0
hosyu


742 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 23:40:37 ID:MBsU+qbl0
捕手り捕手り

743 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 01:44:40 ID:vs28ZE9+0
hosyu

744 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 23:50:36 ID:ADcBn6TbO
ほす

745 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 02:17:56 ID:YiqJKfXz0
hosyu


746 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 09:26:19 ID:0GIgGkHhO
まだまだ保守

747 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 12:24:56 ID:ZB9c6+F20
捕手


748 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 17:47:40 ID:rdcpzo9GO
捕手

749 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 23:08:54 ID:rdcpzo9GO
まだまだ捕手

750 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 06:40:10 ID:Aytfo8EDO
捕手

751 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 16:33:09 ID:SxJCKNm4O
期待保守

752 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:34:08 ID:vQgU9uSn0
『奇襲』

「あ、鍵閉まってますね」
「なんじゃそら……」
 辿り着いた民家の前で呟いた今岡に、思わず肩をこかす佐伯。
 新しいアジト(予定)は、倒壊したそれよりはいくらか小さかった。とはいえ彼ら
からすれば、身を隠し、寒さを凌げる場所があればどこでも良い。ついでにお茶も
飲めれば言うことはない。
「イマオカくん?」
 何も言わずに裏手に回る今岡を追いかける。通路程度の狭い庭に座り込み、彼は
何かを探し出した。
「何やってるん? 石なんか拾ってどうす……あ、オイオイ!」
 ガシャン。
 縁側のガラス戸を問答無用で割り、手を入れて解錠する。初歩的な空き巣の手口だ。
「開きましたよ」
「俺らって……」
 今更だが不法侵入に胸が痛む佐伯。プロ野球選手から空き巣に、という転落人生
にも、今岡はあまりギャップを感じていないらしい。
 よほど順応力があるのか、何も考えていないのか……。そのどちらでもない気が
するが、だったら何だと言われれば佐伯にも答えようがない。
「ほんまにええんかな〜。こんなとこおって……」
 おじゃましまーす、とせめて小声で呟きながら、縁側に上がる佐伯。先程の一件
で学習したのか、靴を履いたまま上がる今岡にとりあえずほっとする。

753 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:34:57 ID:vQgU9uSn0
「はー……うま」
 パチッ
「やっぱりお茶はほうじ茶ですね」
 パチン
 新しい家で早速お茶を失敬した二人は、ついでに机の下から見つけた将棋盤を
引っ張り出し、一局交えていた。
 恐ろしく平和な光景が繰り広げられる民家の一室。
 ごく普通の内開きの玄関ドアを一枚挟み、手前半分は板敷き、奥半分は畳敷きに
なっている手狭な部屋だ。板敷きの床には、壁に沿って本棚や食器棚という類の
家具が設置されていた。
 佐伯と今岡は、奥の畳の上に座布団を敷き、将棋盤を挟んで向かい合っていた。
「む、なかなかやるやん、コマナカくん」
 あぐらを掻いた足を組み替え、右へ左へと身体をゆすり盤を見る角度を変えて
みる佐伯。
 パチンッ
「イマオカです。そろそろネタ切れですね」
 パチッ
「自分たまに突っ込みキツイよな〜」
 パチン
 実に間延びした会話を続けながら、将棋を指す音が響く午後の無人島。
 この事態に将棋、というのもいかがなものかと思った佐伯だが、今岡が「別に
いいじゃないですか。やることないし」と押し切った形だ。ここから動かないの
なら特別やることがないのも事実である。
 チームの違う男と、こうして向き合い、将棋を指すのも奇妙な感覚だ。こんな
ゲームに突然引っ張り出されなかったら、まずなかったであろう対決である。
 感慨深いものを感じ、佐伯は目の前の男の顔を改めて眺めた。

754 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:35:27 ID:vQgU9uSn0
 今岡誠は将棋が好きならしい。埃の被った将棋盤を見付けてきた時、えらくウキウキ
と一局誘ってきた。といっても表情はあまり変わらないのだが、なんとなく、佐伯
は彼の感情の起伏を読めるようになってきた――気がしている。
(つっても会うてまだ数時間しか経ってへんけど……)
 チームメイトならともかく、あまり接点のなかった彼とこれだけ馴染んでいるのも
予想外の展開だ。
「将棋指すんとか久しぶりやわ〜」
 頭の回転もそうだが、精神力が問われるゲームだ。心を落ち着かせるには、悪く
ない遊びとも言える。
「殺し合いとか言わずに、あちらサンも将棋かなんかで白黒つけたらええのになぁ」
 パチン
 そんなことを口にしてみる。ふと思いついただけの言葉で、口にした佐伯自身、
さほど深くは考えていなかった。
「そうですね。そもそもこういったゲームは、戦争をシンプルにして、殺し合わずに
勝ち負けをつけているようなものですから」
 パチン
「あーなるほどな」
 将棋などは正に二つの軍に分かれ、相手の兵を殺し合い、奪い合って将の首を取る
のが目的の戦争ゲームだ。
「言ってみれば、俺たちの野球もそうですけど」
「…………」
 パチッ……、と盤に置いた指を、佐伯はしばらく駒から離すことが出来なかった。
(そうか――)
 なんとなく納得してしまい、佐伯は押し黙った。
 飛車で歩を討つ。少し乱暴に今岡の歩兵を奪い、手の内に転がした。
 ○○戦。○○軍。走者を殺す。一死。
 野球に使用される用語の多くは殺し合いを連想させる、紛れもない戦争ゲームだ。
(今まで野球を通じてやってた殺し合いを、実際に体験してみろっつーことか?)
 自分が今まで誇りをかけて戦ってきたものが、こんな殺し合いに通じるものなのか
と思うと、ぞっとしないものを感じ、佐伯は盤上の王将を睨み付けた。

755 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:35:47 ID:vQgU9uSn0
「でも、これは違いますね」
「え?」
 相手の次の手を待つ間、考え事をしていた佐伯の思考を汲み取ったように、今岡
が否定してくる。
「この『ゲーム』は、戦争ですらない」
 パチン
 大事な飛車が取られた。
「戦争には威信があります。大義あって、目的があって、確執があって、初めて起
こるものです。人はそこに『譲れない何か』があるから、命を賭けて戦うんです」
 其の局は佳境に入っていた。佐伯にとっては明らかな劣勢だが、今岡の言葉が
呪文のように頭に流れ込んできて、なかなか考えがまとまらない。 
「ここにはそんなものはない。俺たちは目的も理由も分からず放り出された。大義
なき殺し合いほど無益なものはない」
 読むように、今岡が続ける。佐伯に語りかけるというよりは、己の頭の中に発生
した言葉をそのまま口に出しているような、淡々とした口調。
「……こんなもんに、乗る奴はアホっちゅーことか」
「簡単に言えばそうです」
 思いっきり意訳してまとめる佐伯に、気にした様子もなく同意する今岡。
「あぶなかったわー」
「何がです?」
 頭を振り呟く佐伯に、今岡が聞き返してくる。
(あやうく、こんなもんと俺らの野球を同一視するところやったわ)
 そう、譲れない何かがあるから、戦ってきたのだ。
 負けると悔しい。勝つと嬉しい。これまでの人生で、誰かに踏みつけられもして
きたし、踏みつけもしてきた。だがそれは決して無益なものではなく、各々の夢の
実現の為に、必要不可欠な踏み台だったに違いないのだ。
(俺は――俺らは間違ってへん)
 自分が今まで歩んできた人生は間違っていない。そして、このゲームは間違って
いる。そう確信を持ち、佐伯は疑問符を浮かべる今岡に笑みを返した。

756 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:36:12 ID:vQgU9uSn0
「まあええわ。難しい話は終わりにしようや」
 パチン
 まとまらない頭で考えても仕方がない。半分フィーリングで次の一手を打ち、
佐伯は話を変えた。
「ところで、将棋もええねんけど、俺たち一応、万が一の襲撃に備えて、何か
準備しとくべきやと思うねん」
 パチッ
「正当防衛ですか」
「せや。つっても、俺の武器は猫追い払うのが精一杯のネタ武器やねんけど」
 長考せずに打って来た今岡に、顎に手を当てて戦況を見直す佐伯。
「そういえば、自分は何支給されたん?」
 パチン、と次の手を打ち、佐伯が問いかける。返事はなかった。
「今岡?」
 顔を上げると、今岡は不思議な表情で戸口の方を見つめていた。
「あ、すみません。俺ですか? 俺は――」
 少し慌ててこちらを向いた今岡が問いに答えようとし、盤上に目を向けた。
 そして、言葉を飲み込む。冷静な目が、じっと盤を見つめた。
「佐伯さん」
 パチン――
「王手、です」
「あっ!!!」

757 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/17(月) 21:36:46 ID:vQgU9uSn0
 パラララララ!
 ドドドドドッ
 その時、子気味の良い連続的な銃声と同時に、木製のドアに音を立てて風穴が
空いた。


【残り53名 年俸総額113億9580万円】

758 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 21:43:19 ID:lwcqtfdH0
今岡・佐伯コンビめちゃ好きだ。オモシロス
そしてふたりとも、性格は違えど何を考えているのか解らんあたりが…

759 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 21:46:39 ID:doUqHt+20
職人様乙ですー!
将棋打つ男前と変態の風景考えたらワロスwwwwwwwwwww
でも今岡は相変わらず今岡だなぁ
ってもう次の敵かよ?!Σ(´Д`;)
頑張れ関西コンビ・・・

760 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 23:01:06 ID:ZS4xLZ1UO
久々の投下、乙!
この襲撃はやっぱり大魔神とタカシか?
かなりwktk

761 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 23:28:10 ID:ZSHrpp920
書き手の人がこのスレを見捨てていなかったことに安堵。そして乙。
つかモナがいきなり撃ってきた相手に「やかましいわ」って言ったら神w

762 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 00:07:23 ID:97V0vMu50
新作キタキタキターー!!!!乙であります!

このコンビ凄ぇ好きだww
敵は大魔神とアレ様か…?

763 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 01:23:11 ID:SazdWk290
新作キテター!!職人様乙です!
このコンビ本当大好きだwww
どんな災難も何だかんだで乗り越えられそうな気がする…wktk

764 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 08:05:10 ID:/s0RV6uL0
阪神勢で「こいつは絶対大丈夫w」と思えるのって今岡と桧山だな

765 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 13:57:25 ID:DeqWZXtuO
モナが格好良くのたまってるのを
20文字でまとめてしまう佐伯さんが好きです

766 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 21:15:22 ID:DBRCg+UQO
フゥ〜(-o-;)見捨てられたかとオモタ…
いやぁそれにしても、久しぶり新作乙デス。職人様ご苦労様です

767 : ◆cZJuOTmaac :2006/04/19(水) 01:52:51 ID:T7HlunDD0

『トワイライト』


頬の下に砂利と枯れ草を感じ、清水直行は目を開いた。
混濁した意識が整理されるまでややあって、漸く気怠さを堪えて身を起こす。
―――桑田は。
どこかへ行ってしまったらしい。同じ景色も、緊張が解けてしまえば妙にがらんとして見えた。
左肩がじわりと熱く、触れてみると濡れている。
「なんや、これ」
触れた掌の赤、たっぷりと左肩から腕、指先までを染める鮮やかさ。
(どー考えてもあかんやんけ、俺死ぬんかな)
それ自体は然程怖いとも思わなかった。
そんな事より、福浦がいない。
探さなくては。
太陽がもう沈みきる間際で、辺りは薄暗かった。海風はいつのまにか止んでいたが、地面が無茶苦茶に、
荒れた海のように歪んで歩きにくい。
傾斜を登る。左肩は鉛のようになり、一足ごとに、ぼたぼた、ぼたぼたと血の雫が落ちる。何度かつんのめ
っては立て直し、思うように進まない焦燥が募った。
間に合わないかもしれない。既に全部終わってしまったのかもしれない。
急ぎながらも、登りきった後にある物を見るのは恐ろしかった。
恐れ、打消し、薄暮の中を行く。何度追い遣ろうとしても彼の顔がちらついた。
(桑田さん、あんたは…)

あの時、何と言ったんだろう。


768 : ◆cZJuOTmaac :2006/04/19(水) 01:53:56 ID:T7HlunDD0
「ナオ」
振り返って見れば、今登ってきた斜面から福浦が見上げている。
福浦!
よかった、無事で――
「ナオ、ごめんな」
何が?と問おうとしたが、福浦はもうこちらを見ていなかった。
あのライフルの銃身を縦に抱えて――まるで愛おしく抱くような仕草で――銃口が垂直に顎に突き当たっている。
「ふく…」
ストロボが瞬くように景色が明滅した。
トリガーに指がかかり、福浦の目が帽子の影から清水を見、血と肉と砕けた骨が飛び散って藍色の背景に映え、勝たせてやれんでごめんなと呟く声がした。

桑田がまた微笑んだ。

「―――あ、」
清水の長い長い咆哮が、夕闇に呑み込まれて行く。



769 : ◆cZJuOTmaac :2006/04/19(水) 01:54:43 ID:T7HlunDD0
ゆらり、と砕けたかけらが集まって、自分を覗き込む顔になった。
「おい…おい、清水、わかるか」
福浦、違う、誰だ?
ゆっくりと何度か瞬きして、やっとその特徴ある眉を見分ける。
「…村松、さん」 
僅かに声を出しただけで、胸元の肉がごっそり抉られたような不快感に襲われた。
頭がぼんやりとして酷く熱い。
あの芝原の風景は消えて、天井の白さが眩しく目を刺す。
「ここは…」
「学校だ。Gの4」
寝かされているのが自宅のベッドでもどこかの病室でもなかったことに、清水は少なからず落胆した。
現実だ。
最悪のゲーム、俺は銃で撃たれ――福浦はいない。



【残り53名 年俸総額113億9580万円】


770 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 03:51:10 ID:A8FvHiI/O
新作乙です!
って福浦っ!?ええっ!?
地味様大変だな…

771 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 22:06:28 ID:efYS9xZc0
ふ、ふくうら―――!?
とりあえず拾ってくれたのが村松でよかったけど地味様…
地味様がんがれー(ノД`)・゚・。

772 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 22:02:13 ID:TjqWQval0
職人様、乙です!!

結局桑田とフクーラはどうなったんだ…(;´Д`)キニナル

773 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 08:22:55 ID:JbcNyy82O
そろそろ保守るか…

774 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:02:46 ID:O192uRJo0
「カエサルのものはカエサルに」

山本と岩瀬は小休憩をとるべく、生い茂る樹林の中で腰を降ろす。
岩瀬の手にあるのは手にあるのはTVでしか見たことが無い拳銃。
とはいえ、説明書には「狙撃用麻酔銃-拳銃型」と書かれており、弾丸の代わりに
細長めの管がセットになっており、いずれにせよ普段では持つ事の無い銃に岩瀬はため息をつく。
「なあ…岩瀬。一つだけ約束してほしい事がある。」
不思議そうに振り返る岩瀬を、山本は真っすぐに見据えた。
「どんなピンチになっても、俺を助けようとか思うな。俺を守ろうとか思うなよ。」
「なに…勝手な事言ってるんですか。」
怒りという表情をあまり見せる事の無い岩瀬であったが、明らかに腹立しさ露に眉を吊り上げた。
「…俺はもう十分野球を愛してきたし、楽しませてもらった。だからその恩を返さなきゃならない。」
辛い事もあったけど、と付け加えながら山本は答えた。

「まだまだ野球を愛し、楽しまなきゃならない奴は沢山居て…お前はその中の一人で…
その沢山居る中でも一番…今まで散々恩恵受けてきた俺が守らなきゃならない奴だ。」
「…あんたに恩返しなんてさせませんよ。借りをつくるのは性分じゃないですから。」
感嘆と悲痛と怒り…様々なものに揺さぶられるのを押さえるように岩瀬はあえて平淡に答える。
「そんなことより…どうせ休むんですから、ちゃんと息抜きしましょう。」
早々と話を打ち切るように岩瀬はため息交じりに言った。
生い茂る木々は身を隠すのに絶好であるが、同時に視界が遮られるいう事もあり、
近くに誰か居るかどうかも分からないのが難点であった。
「…そうだな。ちょっと…そこで小便してくるわ。」
暫しの無言の後、場の空気を変えるように山本はそう告げると今居る場所の右側の茂みに向かう。
「すぐ戻ってきてくださいよ。何かあったらすぐに呼んでください。」
生理現象だけはどうしようもない。頷く山本は茂みをかき分け、隣茂みへ消えていった。
すぐ後ろの茂みの向こうに山本が居るとはいえ、僅かな距離でも離れるのは不安であり、
心配そうに岩瀬は山本が居るであろう茂みを見るが、少し体制をずらそうと
ほんの一瞬だけ、手前に向き直したが…
そんな時、ガサリと茂みが揺れ、岩瀬は思わず麻酔銃を構える。

775 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:03:23 ID:O192uRJo0
「!っと…」
何もこんな時に、というタイミングでがさがさと揺れる茂みから現れた人影。
事が事でなければ、偶然すぎるだろうと笑ってやりたいとこだが、現れた人影…
石井琢郎は、茂みをかき分けるなり目に飛び込んだ岩瀬の姿に目を見開き、
獰猛な目の色に変わるなり同じく素早く銃を向けた。

「また…このチームか。お前等のチームとは縁でもあるのかな?」
「また?ということは俺達の仲間と会ったというわけですか。」
極めて冷静に答えながらも、岩瀬は背中を流れる冷や汗を感じる。
(マズい…このままじゃマサさんが…)
このままでは何も知らない山本が、無防備のまま戻ってきてしまう。
何か言わないと…そんな岩瀬の心境など知るよしもない石井は、何度も頷いた。

「カエサルのものはカエサルに…いっちょ神の教えとやらに従ってみようかな…」
「…それは…」
言葉の意味を悟った岩瀬はギクリと身を強ばらせた。予想通り石井は好意的どころか…
「…税金を納めるべきかどうかという質問へのキリストが答えた言葉ですよね。
カエサルが彫られた銀貨はカエサルに、神のものは神に返しなさい、とね。」
何様のつもりだ…そう思いながら岩瀬は小さく眉を動かす。
「その銃は俺達のチームの奴から奪ったものでしょう?そしてそれで俺を狙撃する。
それがあんたの言うカエサルのものはカエサルに、なんでしょう?」
「大正解。さすがだな。まあ、銃なんて使った事ないんだけど…」
称賛の視線を送る石井であるが、当の岩瀬はただ祈る気持ちでいっぱいであった。
(昌さん…頼むからこいつとの会話を聞いていてくれ。頼むから…逃げてください。)
自分が今、第三者と遭遇してしまったと悟った上で逃げて欲しい。
山本がピンチだと飛び込んできたところで、彼の身が危なくなるだけだ。
(…昌さん、あんたは逃げてください。すぐに後を追いますから…)
山本の気性など嫌になるほど把握している。
逃げるどころか仲間を見捨てる事なんかできないと彼の事だからきっと…
だが、それでも逃げて欲しい、どうか逃げてくれと岩瀬は神に祈る思いで拳を握る。

776 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:04:07 ID:O192uRJo0
(けど説明書も頭に叩き込んだし、まあやってみるしかねえな。)
岩瀬の祈りも空しく、石井は心中で呟くと、今までの飄々とした様子を一転させる。
「…仲間を死なせるわけにいかないんでね。」
続けて石井は暗くぎらつく瞳で岩瀬を見据え、つぶやいた時…
「…!!うわっ…」
突然、背後から飛びかかってきた人影…山本に石井はたまらず地面に転倒する。

「岩瀬っ!逃げろっ…!」
「昌さんっ……あんたっ…!何やってんですかっ!」
山本の気性は十分把握しているつもりであったが…
銃を持つ相手に背後から飛びかかる程に無鉄砲だとは…岩瀬は思わず声を裏返らせ叫ぶ。
「逃げろ!俺が抑えてる間に早く!」
凄い力でもがく石井を、渾身の力で何とか羽交い締めにしながら叫ぶ山本に、
岩瀬は歯ぎしりをすると、引き金に指をかける。
説明書には麻酔銃と書かれていたこの銃が、実際にはどれほどの効果か謎であり、
石井だけでなく山本も眠らせてしまう可能性もあるが、仕方がない。

パンッ…
乾いた銃声に岩瀬は大きく目を見開く。
「なんで…だ…?」
自分はまだ引き金を引いていない。ということは…岩瀬は息を飲む。
硝煙があがる目の前の光景…地面に押し付けられる体制になりながらも、
脇から伸びた石井の腕にはしっかり銃が握られ…引き金が引かれていた。
「あ……」
鮮血溢れる左脇腹を抑え、呆然と声を漏らす山本の姿に、岩瀬は一層目を見開いた。

そんなわけがない…
岩瀬はじわじわと広がっていく山本のユニフォームの真っ赤な鮮血を凝視する。
こんな事があるわけがない、これは何かの間違いだと。

777 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:04:54 ID:O192uRJo0
「ちっ…」
銃を持つ手で山本を乱暴に突き飛ばすと、石井は身を翻すと、
岩瀬とここでやりあうより、今は逃げる方が正しい選択だと樹林から逃げ出した。

「昌さんっ…昌さん!」
我に返るように岩瀬は体を震わすと、地面にぐったりと倒れ込む山本に駆け寄った。
「しっかり!…我慢してください…大丈夫です、あんたは辛抱強い人ですから…」
病院なり診療所があるはずである。そこに行けば何とか…岩瀬は自分のユニフォームを脱ぎ、
きつく縛りつけるように山本の腹部に巻き付ける。
「いいんだ…岩瀬、お前だって本当は分かってるだろう?俺はもう…」
小さなか細い声でつぶやく山本に、岩瀬は即座に首を振る。
「何がですか?俺は何も分かっちゃいません…分かるつもりもないですけどね。」
分かってたまるものか。岩瀬は瞳をぎらつかせ、山本を背負うと、勢い良く走り出す。
「…ごめんな。もう少し長くお前を守りたかったけど…結局はこれだもんな…」
「…今度から気をつけてくださいよ。今度はあんな無鉄砲な事しないように。」
今度はある。今度気をつけてくれればいい。岩瀬は先程通りかかった集落目指してただ走る。

いつの間にか声が震えていた。
そんなわけがない。山本のような人がこの世からこんな形で消えるわけがない。
岩瀬は背負う山本が何者かに連れていかれないようにと思わず抱える腕に力を込める。
「くそっ…なんで…」
なぜ涙など出てしまうのか。何故自分は今、泣いているのだろうか。
これではまるで山本がもう…岩瀬は大きく首を振る。

「昌さん…あんたは恩返しをしなきゃなんないって言ってましたけどね…
もう十分してきました。俺を含めて皆…あんたと一緒にやってきた事に感謝してます。」
「岩瀬…」
背負う山本の表情など見る事はできないが、ほんの小さく笑っているのが感じる。

778 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:05:32 ID:O192uRJo0
「…やっぱり俺ほどの幸せ者は居ないな。大好きな野球をこの年まで続けてこれて、
お前を始めとした後輩に恵まれて…幸せ者だ。うん…幸せだった。」
「そう思ってくれるなら…これからもずっと…一緒に野球やりましょう。」
「ああ。岩瀬……ありがとう。」
優しく強い声に、岩瀬は思わず緩く笑みを浮かべるが…
「…?昌さん?」
肩に回されていた山本の腕がだらりと下がり…岩瀬は思わず足を止める。

「どうし…たんですか?ああ、ちょっと乱暴に走りすぎましたかね…」
勝手に震える声に、岩瀬は首を振るが、返事は無かった。
「昌…さん。何とか言ってくださいよ…」
震えが止まらない。声も肩もどうしようもなく震えだす。

お前だって本当は分かっているんだろう?

先程の山本の言葉が頭に響く。
分からない。分かってたまるものか。分かって…

岩瀬はそっと山本を地面に降ろす。その姿は穏やかな笑みを浮かべたままで、
本当に幸せに眠っているようであった。

「昌さん…ま…さ…さん…」
彼の幸せな眠りはもう二度と…誰も覚ます事はできない。
分かりたくなかった。だが勝手に流れる涙はこれが現実だと突きつける。
安らかに眠る山本の横に岩瀬は膝をつくと、頭を抱え、ただ悲痛な嗚咽を漏らす。

779 :43 ◆YhefPZis9A :2006/04/21(金) 11:06:15 ID:O192uRJo0
どのくらいそうしていただろうか。岩瀬は顔を上げる。
もはや涙もなく、その表情も無機質なものとなり、冷え始めた山本を眺める。
「昌さん…俺は…どうすればいいんですか?」
答える筈の無い山本に、岩瀬は静かに問い掛ける。
「昌さんのことだ、生きろ、とでも言うんでしょうね…そういうなら…そうしますけど…」
まだ微かに笑っているような様子で永遠に眠る山本の横、岩瀬は力なく腰を下ろす。
「あいつは…カエサルのものはカエサルに、とあんたを撃ち殺した。
神の教えとやらを都合よくねじ曲げてね…とんでもない罰当たりだ。だから…」
一旦言葉を止めると、岩瀬は引きつるような苦笑を浮かべた。

「俺が手を下すまでもなく…どのみち天罰が下るでしょう。」
天を仰ぐように顎を上げ、自分に言い聞かせるように呟く。
「…あいつはきっと天罰が下る。だから…安心して下さい…復讐なんてしませんよ。」
復讐など山本は望まないであろう。それどころか復讐だけはやめてくれと言うだろう。

「本当ならあいつをこの手でぶち殺してやりたいですよ。復讐したいですよ。
それで死ねるなら本望です。でも…駄目でしょう?駄目だって言うんでしょう?」
山本の遺体から視線を逸らし、岩瀬は恨み言を呟くように低く擦れた声を漏らす。
「…分かってますよ。本当に憎むべきはあいつじゃなくて…」
本当に憎むべきはあの男ではなくこんなゲームを企てた主催者であり…
分かってはいる。だが…ふいに岩瀬は声を震わせた。

「けどねぇ昌さん…俺はどうすればいいんですか?どうやって…生きればいいんですか?」

今度こそ本当に分からない。岩瀬は再び頭を抱え、じっとその場に蹲った。

【残り52名 年俸総額111億6580万円】

780 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 13:03:34 ID:BA2ZL8FY0
職人さん、野球観戦も仕事もある中お疲れ様です
仕事無かったらごめんw

781 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 14:03:19 ID:Rh14Z+imO
乙です!
昌ぁぁぁ゚・(ノД`)・゚。

782 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 17:21:59 ID:N6/veOS70
新作凄くキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
襲撃者妙にタイミングいいなw
ふくうらぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!? って学校谷がいたんじゃ?!
昌さん・・・・orz っていうか琢・・・・・orz

783 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 21:53:10 ID:doKbMprf0
>>782
もちつけw

職人さん乙です。
昌さぁぁぁん!orz岩瀬もがんがれ!

784 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 22:27:46 ID:1O76NMni0
昌兄〜〜〜〜〜〜っ!!!!
久しぶりに泣いてしまった。

岩瀬の今後が23しく気になる……


785 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 22:28:10 ID:QMmxu5Vb0
職人さま乙です!!

ああああ…昌さんがあ…。・゚・(ノД`)・゚・。
ベイの誰か…誰でもいいから琢朗を止めてやってくれorz

786 : ◆cZJuOTmaac :2006/04/21(金) 22:56:03 ID:qUphOsf80
職人諸兄へ業務連絡です メル欄

787 : ◆cZJuOTmaac :2006/04/21(金) 22:57:42 ID:qUphOsf80
ギャースorz

788 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/22(土) 01:22:57 ID:eLoGFLKb0
昌…岩瀬…カナシスage

789 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/22(土) 22:26:48 ID:eKnI+6B50
いつになったら勝つんだい、と思いつつ保守

790 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:25:43 ID:DDtHtOSF0
『誰もいない窓の外』


柴原が顔を上げる。そして窓の外を見た。
しかし窓の外には誰もいない。

「柴さん、休んでる暇無いですよ。」
後輩の声が背中から聞こえ、振り返る。
古びた壊れかけの椅子を半ば押し付けられ気味に受け取ると、その後輩は相も変わらず気の強そうな表情で柴原に背を向けた。
さっき鉄砲で撃った音が、と言いかけた柴原はその口を半開きにしたまま扉の前に重ねられた机の上に椅子を置いた。
そして二度手のひらを叩き合わせ、埃を落とすと柴原はまた窓の外を見る。
乱雑に重ねられた木々の大きな隙間からガラス越しに見える景色は先ほどと何も変わってはいない。
(…気のせーなんか?)
柴原は首を傾げる。さっきのは最近聞いた中でも結構近くの銃声だろう。
でももしかしたら本当に気のせいなのかも知れない。
2、3度柴原は自分の頭を小さく左の拳で叩いた。

「おい柴原、来ぃへんのか。今からちょっと話し合いすんぞ。」
「え? あ、すんません。」
ぼんやりとしていると今度はチームの違う1学年上の先輩から声を掛けられた。
普段なら決して話すことはないだろう。生まれ年が同じだとは言え、その他にはポジションが同じことぐらいしか接点がない相手。
しかも向こうは去年一年あのバファローズの選手会長として責任を果たした人間。
そうそう話せるもんじゃない。

「すんません、ぼーっとしてて。」
「柴さんしょっちゅうやないですか。俺が投げてる時とか一番口開けてぽやーっとしてますやろ。」
「だってお前そんなに外野に飛ばさんけん、暇なんよ。」
先輩の後について5歩ほど歩き、奥に入る。
正面のスプリングが見えるソファーに腰掛けたさっきの後輩が軽口を叩いてきた。
返事を返しながら入口に一番近い背もたれのない丸椅子に座るとドアの開く音がする。
振り返ると後輩の更に年下、つまり今いる4人の中で一番最年少の人物が最年長と話をしながら部屋に入ってきた。


791 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:26:39 ID:DDtHtOSF0
軽口を叩く後輩に負けず劣らずの身長ながら、どう見てもあの後輩よりかは線が細く感じる。
しかしながら相手は成長著しいエース格、昨年のシーズン中に抑えられたことなど山ほどあった。
こっちも話すことはない。まず投手と野手という違いもある、7歳も下だという違いもある。
よくよく思い出せば日本代表でもあった。ますます話すことはしないだろう。

「ほらまたぽやっとしとるでしょ。」
ソファーに座った後輩――斉藤はまた柴原に話しかける。
「してないし。」
してない、の部分に力を入れながら自分と斉藤の間にある机に椅子ごと動く柴原。
「してますよ。口また開いてますよ。」
「開いてないし。」
「お前ら…‥。」
柴原と斉藤のやりとりを見ていた最年長――礒部は呆れた声の後、口の前で人差し指を立てた。
最年少の岩隈はかすかに笑いながら、柴原の左隣にあった安楽椅子に座る。

「…まぁ少々は余裕ないとあかんけどな。あんまりありすぎるんもあれやろ。」
最後に礒部が近くにあった背もたれのある丸椅子を手元に引き寄せ半回転させ、席に着いた。
「斉藤さんも結構僕らに慣れてもらったんで良かったですよ。」
「こいつそこだけは巧い奴だから。」
「斉藤、お前凄い言われようやな。」
「いつも言われとるんで別に構いません。」
互いに机の足元に置かれた自分の鞄を持ち上げ、表面上には軽快なことを言い合う。斉藤だけはまだ神経質そうに眉をしかめてはいたが。
そんな3人の光景に柴原はふといつもの福岡ドームのロッカールームを思い出した。
試合前の斉藤は近寄るなとでも言い表すかのオーラが漂っている。
神経を集中させているエースの周りではスペイン語や東北弁が飛び交うロッカールーム。
それに今は少しだけ似ていると柴原は感じた。

しかし今回はそんなことを思っている暇など無いのだ。
そう思ったのは柴原だけではなかったらしい。突然、ぶつりと会話が途切れた。
誰で会話が途切れてしまったかは聞いていない柴原は分からなかったが、示し合わせたように3組の名簿と地図が机の上に出されたのは見た。
一拍置いて柴原が名簿と地図を取り出す。ついでにボールペンも。


792 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:27:20 ID:DDtHtOSF0


「俺が思うてた通り、には行かんかったな。」
背もたれの上部に腕を乗せ、そのまた上から頭を載せた礒部が切り出す。
思っていた通り、というのはあの偽東京ドーム3塁側出口で出会った後、礒部が考えた一つの案のことだった。
それは自分達を乗せてきたであろう船のようなものを乗っ取り、この島を出るという案だった。
50人を軽く越える大人数を簡単に、そして海の真ん中に、しかもあのご老人どもがお好きな金の節減をするのであれば、船ぐらいしかない。
そしてまだ開始してからそう経っていないこともあり、もしかすればまだ船着場に船が残っているかも知れない―――。
わずかながらの期待を込め、柴原と岩隈、そして斉藤は礒部の案に賛成した。
そして出来るだけ速く移動してみたものの、船着場には船はもう無かった。
もしかすればそもそも船で連れてこられていなかったのかも知れないが、そればかりはここに居る4人の知識を合わせても分からないことだ。
今度はとりあえず雨風が来ても大丈夫なところで休みたい、という斉藤の案で船着場近くの寄り合い所にしばらく身を置くことにした。
念の為、岩隈発案のバリケードをして、現在に至る。

「まぁそんなもんでしょうね。あの面倒な人らがこんな場で間抜けなことそうそうせんやろし。」
いつもは間抜けなことばっかりしてるくせにやな。毒を込めて斉藤が小さく呟く。
「でもどうしますか? ここがどこかはまだ分かってないですけど、海の真ん中なのは確かですから…」
後に続くのは泳いで行けないだろうし、だろうか。岩隈の切れ長の目が少し歪む。
「首輪あるから、そうそう妙なこと出来なさそうっすよね。」
机に片肘をついた柴原が首輪を指でなぞった。
その仕草に他の3人も首輪を触る。不機嫌そうな斉藤、心配げな岩隈、眉間に皺を寄せた礒部の表情が柴原の目に映る。
「……問題はこれなんよなぁ。これさえなけりゃあ絶対ドッキリや思うのに…。」
「映画で外してる人いましたよね。」
「あれ確か爆弾作れるぐらい頭のええ奴やろ。俺高卒なんで無理っす。」
「俺も一応農業の高校出とるけど社会人経由で近鉄やしな。」
「僕も…。」
3人の目が片肘をついたまま地図を眺めていた柴原に集まる。
視線でようやく気付いた柴原が顔を上げると、真正面に座る斉藤は急に溜息をついた。


793 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:28:00 ID:DDtHtOSF0
「何よお前。」
「…いや、柴さんにちょっとでも期待した俺があかんかったです。」
「…‥何が?」
話がまるで耳に入っていない柴原は斉藤に聞き返す。今度は両隣の岩隈と礒部に溜息をつかれた。
「人の話ちょっとちゃんと聞いとけな、柴原…。」
「…‥すんません。」
しばらく柴原にとっていたたまれない雰囲気が流れる。

「…そいや俺の武器は銃でしたけど、他の武器見てないんですけど俺。」
無理矢理空気を元に戻すため、柴原が話を振る。
その話に思い出したように柴原以外の3人が鞄のジッパーを開けるのを見て、柴原は一つ息を吐いた。良かったと。
まず顔を上げたのは岩隈だった。しかし表情はあまり晴れてはいない。
「……クマ?」
礒部の呼びかけに岩隈が机の上に出したのは、ショットガン。
透明な袋に入ったままではあるが、ショットガン独特の銃身下部の装填装置が目を引く。
「イサカM37…な。」
「何お前知ってんのや?」
「袋ん中紙入ってるでしょ。これ。」
覗き込んだ斉藤がショットガンが入ったままの袋の中から説明書らしき紙の束を取り出す。
確かにその拍子には『イサカM37』の文字が大きく踊っていた。
礒部はページを一枚めくるとまた眉間に皺を寄せて机の上にそれを投げ出した。
「銃、銃って嫌がらせか? 嫌がらせやなぁ…。」
「人撃って何になるって言うんですかね…‥。」
また空気が沈み込む。



794 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:28:26 ID:DDtHtOSF0
大分慣れてきたのか、今度は斉藤がふてくされそうな礒部に声を掛けた。
「礒部さん何入ってたんすか?」
「あ、俺? 俺は…」
表情は冴えないながらも礒部は鞄の中を探る。
そして取り出したのは瓶、そこそこ内容量も多そうな大きさの瓶。
その瓶が茶色をしていることが柴原は気になった。
「その中身なんですか?」
「ん? 中身? 中身はえーっと、硫酸やって。」

硫酸。
礒部から発せられた言葉で一斉に柴原、斉藤、岩隈の3人は礒部とは反対方向に後ずさる。
「落とさんといてくださいよ!」
「割っちゃダメですよ!」
「溶けますよ!」
「……お前ら酷いぞ…。」
辺りを見渡し、少し離れた棚の上に礒部が硫酸の入った薬瓶を置くまで柴原をはじめとする3人は元の場所に戻らなかった。
礒部が薬瓶を置き、そしてようやく元の場所に戻る。
「持ってるの俺なのに何であんな事言うんや。傷つくやろ。」
「やって…。」
戻るなり溜息を吐く礒部を見つつ、斉藤は柴原に目配せをする。
俺に話を振るなと思いつつ、柴原は斉藤の鞄に手を伸ばした。
支給された物を見ていないのは斉藤だけになってしまったからだ。
なるべく気をつけながら鞄の中を探る。
いつの間にか他の3人が自分を見ていることを感じながら、鞄の底に手を入れるとふと冷たい感触が指先に触れた。
取り出す。細くて冷たくて金属製。

「あ。」



795 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:28:57 ID:DDtHtOSF0
出てきたのは紛れもなく、スプーンだった。
取り出した右手を高く上げていた柴原は顔の高さにまでそれを下げた。
左右対称でさかさまに自分の顔が映っている。スプーンだ、間違いなく。

「…フォークならまだしもなぁ。なぁ、和巳。」
「…‥俺のせいちゃいますやん。」
鞄とスプーンを斉藤に返す。斉藤は不機嫌そうな表情を更に渋くさせていた。
柴原の両脇では礒部と岩隈が口元を押さえたまま、うつむいている。肩も震えている。

「ま、まぁ武器も分かったことやしな。今後どないするか決めんとな…。」
目元を押さえながら礒部が言う。
どないするか、標準語で言えば、どうするか。
これからどうするのか、どうしなければならないのか。
「とりあえず、無駄な戦いはしない、ってことで。」
柴原が机の上に置かれた自らの武器に目をやる。
拳銃、名前は何だったか忘れたが殺傷能力があるとは言え相手がマシンガンだったりすれば絶対に負けてしまう。
それに人を殺すのは嫌だ。色んな意味で。
目を伏せ、柴原は一定のリズムで机を右人差し指で叩いた。
「せやな…いざという時戦えんことなったら困るからな。向こうと。」
「それで後、出来るだけゲーム抜ける方法探す、っていうことですかね。」
岩隈の言葉にさっきの硫酸の一件でいささか緊迫した空気を解いた斉藤が微かに首を縦に振る。

「セもパも死人が出とる、なるべく早くにせんと全滅してまうからな…」
「……やるしかないですね。」


796 :37 ◆37BnySDTgQ :2006/04/23(日) 18:29:34 ID:DDtHtOSF0

空気が緊張感で張り詰める。
礒部も、岩隈も、斉藤も、マウンドに立つ時のような、打席に立つような精悍な表情にいつしかなっていた。
否、なるしかなかった。
自分達、この島で生きている選手全員が帰ることがすなわち、明日の野球界を救うと分かっているからだった。
理屈ではなく、本能的な部分で分かっていたのだった。


ただその中で、柴原は思い出したように顔を上げるとまた窓の外を見ていた。
外はまだ変わりなく、昼の柔らかな日差しが差し込んでいる。
その中で柴原は、再度誰かの叫び声と銃声を聞いた気がしていた。

【H1柴原・H66斉藤(支給品:スプーン)・E8礒部(支給品:硫酸)・E21岩隈(支給品:イサカM37) G−3】
【残り53名 年俸総額113億9580万円】

797 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 21:43:43 ID:GjUSwYp+O
新作乙です!
今回は少しほっこりしますた

798 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 22:16:38 ID:9CJcughr0
職人様超乙です!

カズミ様スプーンてww
ピンクアフロ、スリッパに匹敵するハズレだな…

799 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 11:20:03 ID:L8SYtnN90
この4人はマシンガンとかにゃ勝ち目無いなあ。。


800 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 07:31:58 ID:hKSPGR1T0
スプーンか・・・懐かしの板対抗バトロワでは脅威だったなぁ。

801 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 20:14:13 ID:NRECfJzCO
保守

802 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/25(火) 21:30:08 ID:wgatAgY50
『猫』

「大村! 大丈夫か!?」
 坂道を駆け下り、大村が落ちたとおぼしき崖下の繁みを掻き分けて探していた西口
は、くぐもった呻き声を聞き咎めそちらへと駆け寄った。
 この辺りは木や繁みが密集して、崖から落ちたとしてもそれらがクッションの役割
を果たしてくれるはずだ。少し落ちる位置がずれていたら、固い地面に直接叩き付け
られ即死しているだろう。
 何より、見上げると、青空の手前、数十メートル先の崖がごっそりと抉られていた。
 先程起こった爆発によるものだ。辺り一帯を覆った砂煙は大分落ち着きはしたもの
の、まだ口を開ければ砂を食べてしまいそうな息苦しさは続いていた。
 もし大村が落ちたのが、あの真下だったら……ぞっとしないものを感じながら、
西口は行く手を遮る蔓を乱暴に払った。
「――っ!」
 ぶちぶちと千切れた蔓が顔に跳ね返り、棘が掠めて頬に痛みが走る。
「クソ……!」
 すでに顔や手などの、外界に触れている部分は傷だらけだった。とんだサバイバルだ。
 ――ぅ……
(……?)
 その時、ある音に違和感を覚え、西口は立ち止まった。
(これは……)
 人間の声ではなく、草木のさざめく音でもない。
 それに導かれるように、西口は静かに歩き出した。落ち着いて動くと、不思議と
先程ほど草木は西口の行く手を阻もうとはしなかった。荒々しく自分たちを荒らす
者を、拒んでいたのかもしれない。

803 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/25(火) 21:30:24 ID:wgatAgY50
「……大村……!」
 見覚えのあるユニフォームを見付け、西口は声を上げた。
 土の壁に背を預け、ぐったりと横になる大村がいた。
「……西口……はん……」
 俯いていた男が僅かに顔を上げる。大丈夫だと自分に言い聞かせていたものの、
実際に対面してみて彼が無事でいたことに、西口は膝の力が抜けるほどの安堵を感じた。
「良かった……」
 その場に膝をついた西口を笑うように、あの声が聞こえた。
 みゅう……
 音にしてみたらそのような、小さな愛らしい鳴き声。
「猫……?」
 大村の影から、一匹の白っぽい猫が姿を現した。
 白っぽい、という表現はおそらく正しいのだろう。実際には白地の多い三毛猫
だったが、その白毛の部分は、泥にまみれて小汚くくすんでいた。
「あんたが来るまで、俺のこと看病しとってくれたんですわ」
 面食らっている西口に、笑いを含んだ声が答えてくる。軽く人差し指で眉間の辺り
を撫でた大村に対し、すりすりと身体をすり寄せる三毛猫。
「首輪ないけど、飼い猫でしょーな。めっちゃ人なつっこいですわ」
 捨て猫だろうか。もしこの島が最近無人になったのなら、移動の際に置いて行か
れたのかもしれない。
 汚れ、痩せ細った身体が、このゲームの影に隠れた様々な犠牲を体現している
ようで、西口は心臓の裏が重くなるような感覚を覚えた。
「猫ってほんまは野生でツンツンしとるくせに、一回懐くとほんまに警戒心なくなる
んですよね」
 そんな猫に、穏やかな目を向け、大村が世間話のように言う。
「……裏切られたら、どうするんやろ」
「え?」
 ぽつりと呟いたトーンと、その一瞬、どこか冷めた瞳に、思わず西口は己の耳を
疑い聞き返した。

804 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/25(火) 21:31:48 ID:wgatAgY50
「ああすんません。昔、捨て猫に懐かれて家に持って帰ったら、親に『捨ててこい!』
って怒られて、泣く泣く置いてきたことがあったんですわ。こいつ見てると、その時
のこと思い出して」
 幼少の辛い記憶と重なったのか、大村が目頭を押さえる。西口も似たような経験
があった。子供故の純粋な慈愛からの行動だが、救う力もないのに手を差し伸べる
のは、また考えがなく、余計に残酷な仕打ちとも言える。
「……そいつ、どうするんだ?」
「連れて行かん方がええでしょ。誰かに襲われて逃げる時に邪魔になるし、下手
したらコイツが殺されるかもしれん。……この辺りに居着いてるみたいやし、全て
が終わったら迎えに来てやりましょう」
 全てが終わったら。
 当たり前のように行った大村の言葉は、実際は果てしなく遠く、また実現できる
かも分からない未来だ。
 だがそれがあるべき未来であると確信させるような口調に、西口はひどく安心した。
(やっぱこいつは、凄い)
 頼りになる男だ。一緒にいると、大丈夫だと思えるような。
「痛っつつ……」
「おい、大丈夫か、動けるか?」
 立ち上がろうとし、痛みに呻いた大村に、西口が慌てて駆け寄る。
 近くで見る大村のユニフォームはボロボロで、すでにあちこちが擦り切れていた。
岩肌などに擦って破れたのだとしたら、少なくともそれと同じだけの傷は負っている
はずだ。
「大丈夫、です……寝てたらたいぶマシになりましたわ」
「無理するな、肩貸すから、掴まれ。どこかベッドがあるところで横になった方が
いいな……」
 崖から見下ろしたとき、すぐそこにいくつか民家があった。だがあの爆発だ。
 民家に潜む誰かを攻撃したのは間違いない。そんな危険な場所にあえて乗り込む
のには躊躇いがあった。

805 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/25(火) 21:32:52 ID:wgatAgY50
「どこ打った?」
「そりゃもう身体中」
 大村の身体を担ぎながら、彼の様態を確認する。名残を惜しんで鳴き声を上げる
猫に対して手を振りながら、大村が具体性の欠けた答えを返した。
「意識は?」
「一度飛んだんですけどね、例の大爆発で叩き起こされましたわ。ほんま鼓膜破れる
か思いましたよ。上を見上げたらあんなんなってるし、寿命縮まりますわ」
 しゃべるのは苦痛ではなくなってきたのだろう。彼らしい流暢なしゃべりが復活
し、ほっと胸を撫で下ろす。
「あれは……松坂がやったのかな」
「松坂?」
 状況から考えて、一回目の爆発は崖の上から投げ込まれたものだ。西口が知る限り、
あの時あそこにいたのはチームメイトの松坂である。もちろん、他にも潜んでいる
者がいて行ったという可能性も否定できないが。
「お前が崖から落ちた後、松坂に会ったんだ。仲間になろうって言われたけど……
俺は大村を信用していたから。……あいつは、自分のチームの人間以外は信用出来
ないみたいだ」
「まあそうでしょうな」
 自分が信用されなかった、という状況にも、大村はあっけらかんと応えた。
「普通の人間は、そうでしょう」
 その言葉は――
『普通』でない大村は、チームメイト以外の人間も信用するのだと、そう西口は
解釈していた。
「柴原も、他の奴らを待つつもりやったみたいやし」
 何気なく続けられた台詞に、違和感を感じだ。

806 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/25(火) 21:33:28 ID:wgatAgY50
「お前……」
 その違和感の正体に気付き、西口は息を飲んだ。
『人どころか犬にも会えんかったんですよ』
 出会った時の言葉が蘇る。
 すぐ隣にある彼の顔を見る。
 その横顔、その視線は、えらく冷めた印象を西口に与えた。
 ――あの時と、同じ眼だ。
「……大村?」
 違和感を感じた。
 おかしなことに、西口は自分の鼓動が早まっていることに気付いた。
「どないしたんですか? 西口はん」
 振り返った大村は、笑顔だった。
 『……裏切られたら、どうするんやろ』
 そう呟いた時の無機質な表情に、そのまま笑顔だけ貼り付けたような、のっぺり
とした顔だった。


【残り52名 年俸総額111億6580万円】

807 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 00:01:10 ID:ZkIkbzG10
職人様超乙です!!

エエエ大村さん!?
乙様どうなるんだ…(;´Д`)

808 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 12:05:16 ID:fyu/YB9t0
超乙!

楽しみな展開だ。。

809 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 00:04:11 ID:46Cr5lrh0
捕手

810 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 15:03:46 ID:+6TeIkKc0
捕手。
大村、何考えてるんだろ。俺が西口だったら背筋凍るな。
柴原たちのグループに、何気に期待。

811 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 01:51:32 ID:40uv9iSJ0
>「普通の人間は、そうでしょう」

普通の人間じゃない  → ヽ<´θ`>ノpico-n

とか思ってしまった…すごいシリアスな展開なのに…
ともあれ、職人様GJです
今後の展開がすこぶる気になりますな

812 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 22:47:01 ID:I4i0tYo20
捕手

813 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 01:06:32 ID:sLGoupp20
捕手

814 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 01:46:58 ID:W5kB2wgS0
職人さん乙。

大村は柴原のことさん付けで呼ぶと思うけど。

815 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/29(土) 22:11:45 ID:hUecwoPU0
『放浪の民』

 繁みで血痕を見失った二人が、再び佐々岡の場所を察知したのは、一発目の銃声
が聞こえた時だった。
 その後、立て続けに2発。
 音を頼りにようやく二人が現場にたどり着いた時、彼らが見たのはマシンガンで
繁みを撃つ清原と、その傍らに座り込んだ元木の姿だった。
 まさか――
 嫌な予感だけが空間を支配する中、咄嗟に地面に伏せ、様子を伺う。
 次に野村と黒田が見たのは、『何者か』が清原に足を掴まれ、繁みから引きずり
出されるところだった。
 足。
 この位置からは、繁みから覗く右足しか見えない。
 だがそれでも、彼をよく知る者からすれば、彼が何者であるか確信を持つには
十分だった。
「……ぅ……っ」
 黒田が、すぐ隣で口元を覆う。嗚咽を抑えようとしているのはすぐに分かった。
 パタパタと、彼の頬を伝い落ちる涙の音が聞こえてきそうな程の静寂。
 背番号5と、背番号2。
 二人の足下から伸びる影が重なりながら去っていくのを完全に見送ってから、
野村は繁みから這い出した。 
 ついてこようとする黒田を手で制し、一人、男の足が覗く繁みへと近づく。
 次第に明らかになる、その足の主。
「……はぁ……っ」
 無意識に止めていた息を、野村は一気に吐き出した。
「くっ……なんてことだ……」
 瞑目する。背の高い繁みに埋もれ、事切れた男。
「清原さんが……」
 それは紛れもなく、佐々岡真司その人だった。

816 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/29(土) 22:12:19 ID:hUecwoPU0
「ちくしょう、畜生……!」
 迫り上がってきた怒りに、野村はすぐ側にあった木の幹を殴りつけた。
 チームカラーに染まったユニフォーム。仰向けに倒れた佐々岡の顔は恐怖に引き
つっていた。大きく開いた口から、生々しい赤い舌が反り返っている。喉から声を
絞り出そうとして、そのまま事切れたような――
「何かの……何かの間違いじゃないのか」
 気が遠くなる。無責任に意識を失うことが出来れば、どんなに楽だろうか。そんな
甘い誘惑に駆られる自分を、別の自分が叱咤する。
「いくら清原でも、こんな……こんな簡単に人を殺すなんて……」
 オカシイ。正気を失っていた佐々岡とは訳が違う。恐ろしく冷静に、そして淡泊
に、身近な人間が身近な人間を殺したという事実。
 一瞬平衡感覚がなくなる感覚に、よろめく。先程殴りつけた木に縋るようにして
野村は爪を立てた。
「しっかりしてください! 野村さん!」
 野村の異変を察知した黒田が、駆け寄りその肩を掴む。
「これが現実なんです!」
 マシンガンで上半身を撃ち込まれた佐々岡の身体は、子供でも一目見て死んで
いると分かるだろう。
 だが野村はその場に跪き、彼の脈を確認した。
「野村さん――!」
 黒田の悲痛な声が届く。
 すでに体温を失いかけている手首を握りしめる。
 視線を感じ、野村が顔を上げると、黒田が縋るような眼でこちらを見つめていた。
「逃げても、この現実は消えません!」
 消えてなくなってしまえば、どれだけ幸せだろう。
 佐々岡の手を離し、野村は薄く笑みを浮かべた。守ると決めた後輩に叱責されて
いる自分への自虐の笑みだった。
 項垂れ、野村はそっと佐々岡の手を置いた。
「分かってるさ……」
 これが、現実だってことくらい。

817 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/29(土) 22:12:40 ID:hUecwoPU0
 清原がわざわざ引きずり出した遺体を繁みの奥へと運び込み、二人は死に顔を
整えた佐々岡に跪き黙祷していた。
 まさかこの短期間に二人の同僚を追悼することになるとは思わなかった。
 先程まで泣いていた黒田は、何かに耐えるように眉間に皺を寄せ、固く目を閉じ
ていた。
 彼は彼なりに何かを考えているはずだ。その心の最奥を覗くことは敵わないが、
知る必要もないと野村は考えていた。
 事実の受け止め方は人それぞれだ。互いの価値観を突き詰めていって、摩擦が
生じたとき、関係が決裂することを野村は恐れていた。
 袂を分かった、あの男のように。
(前田……)
 佐々岡の死に、不思議と涙は出なかった。
 それが酷く、恐ろしかった。
(こうやって当たり前になっていくんだ)
 死が。殺人が。
 それは、罪人ではないのか。
 許し難い価値観の世界に、少しずつ足を踏み入れているような不安と恐怖。
 自分たちが罪深い暗闇に連行される、囚人の行列のように思えた。


「なんでこんなことに……」
 弔いを終え、身を起こした黒田が、ユニフォームの袖を払いながら呻いた。
「……俺も知りたいよ」
 野村が応えた。意味のない答えだが、彼からすればそう応えるしかないだろう。
黒田自身、明確な答えを求めての問いかけではなかった。
 ただ、嘆きたかっただけだ。無益だとは分かっていても、嘆かずにはいられない。
 理不尽に課された突然の試練は、不条理な絶望を一方的に与えてくる。
 神も仏もない。不条理の塊のようなこの世界で、自分が何をしたのだと叫んでも、
それは無意味なことだ。
「この銃……」
 死に際、佐々岡が握っていた銃に黒田は目を落とした。
 九四式拳銃。

818 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/29(土) 22:13:03 ID:hUecwoPU0
 弾のないそれは、佐々岡の傍らに置いたままだ。あの時黒田が見たこの拳銃の暴発
と、清原の話を照らし合わせれば、自ずと真実は見えてくる。
 佐々岡はこの銃に殺されたのだ。
 マガジンはもう一本、佐々岡のバッグに入ったままだが、使うことはないだろう。
「もうあの船小屋も使えませんね」
 3人の荷物を置いたままの場所を思い出し、黒田は呟いた。
 佐々岡と黒田の残した血痕が浜辺に残っている。血に飢えた奴らに、手負いの人間
が隠れていると宣伝しているようなものだ。
「置いたままの荷物だけ取りに戻って、引き上げた方が良い」
「そうですね。また新しい場所探さないと」
 野村の提案に、黒田が同意する。それは最重要課題だった。二人は、来た道を戻る
ように歩き出した。
 黒田は、一度だけ佐々岡の眠る場所を振り返った。
 自分たちが、同僚たちの屍を乗り越えて生きている。
 その現実を、忘れてはならない。
 彼の死に顔を、逃げずに目に焼き付けておくことが、助けられなかったせめてもの償いだ。
 そしてその怒りを、力に転化しなければ、生きていく意味を見失ってしまいそうだった。
「日が暮れるまでには、落ち着ける場所を探さないとな」
 幸い、まだ辺りは明るい。この近くには湖があり、その周辺には集落もあった。
 ハズレさえ引かなければ、眠る場所を探すのは可能だろう。
「俺たち放浪の民みたいですね」
「合ってるんじゃないか、俺たちには」
「やけくそですか」
「やけくそだよ」
 自暴自棄に応える野村に、黒田は軽く笑った。その笑みの裏に、秘めた思いを押し隠す。
 自分の中に灯る下らない復讐心を、彼に知らせる必要はない。
(多分俺はもっと、やけくそなんやろうな)
 復讐の為なら、命を賭けてもいいと思えるのだから――


【残り52名 年俸総額111億6580万円】

819 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/04/29(土) 22:13:44 ID:hUecwoPU0
>>814
やってしまった・・・orz
すみません。ご指摘ありがとうございます。

820 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 14:19:08 ID:7FGgk01MO
保守

821 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 23:07:17 ID:r1sPe/CR0
職人様乙華麗です。

馬様そっちへ行っちゃうんですかー!?

822 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 00:15:41 ID:37mAxg5d0
age

823 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 21:24:33 ID:cojmV+gk0
職人様乙です!
ノムケン・・・・

824 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 01:00:53 ID:uun6JlNf0


825 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/03(水) 00:26:28 ID:n6UQkSUCO
保守

826 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 00:41:21 ID:/WqF1/R/0
hosyu

827 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 02:24:14 ID:MPp8iWrl0
≡∴∵∵∴∴          Σ[;`Д´] (‘ ε ’)<王手モナ
    ↑
    銃弾

ちょっとした保守


828 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 12:05:16 ID:pLk17i+/0
>>827
佐伯ー! 後ろ後ろー!

(‘ ε ’)<戦争には威信があるモナ。大義あり、目的があり、確執が・・・云々
       ・・・大義なき殺し合いほど無益なものはないモナ

(‘ ε ’*) フフ・・・モナかっこいいモナ・・・

[ `Д´ ] ・・・・・・

[* `Д´ ]<要するにアホっちゅーことやな!

(‘ ε ’;)<・・・まあそういうことモナ


保守。改変スマソ

829 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 21:39:24 ID:MBE0xig70
捕手。age

830 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/05(金) 17:32:06 ID:kGD4ZDfiO
ほ(・∀・)しゅ 

831 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/05(金) 22:48:05 ID:FdSqK8UL0
捕手

832 :保管庫 ◆aJXRzq7RiQ :2006/05/06(土) 16:18:27 ID:YcPMs/9L0
職人様、保守してくださってる方々超乙です!
『奇襲』『トワイライト』『カエサルのものはカエサルに』
『誰もいない窓の外』『猫』『放浪の民』
うpしました。
それと、職人様にお願いがあるのですが・・・
題名はなるべく『』でくくって下さるとありがたいです。
面倒とは存じますがよろしくおねがいします。

833 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 17:27:42 ID:5smVx5+X0
何もしてない俺だが保管庫乙

834 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 18:18:00 ID:aR4avkovO
保管庫様乙華麗です!
いつもありがとうございます!

835 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 18:45:25 ID:qdV0XBI40
秘酒

836 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 01:00:00 ID:+OxShKCA0
保管庫様、いつも乙です!!

837 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 11:38:58 ID:qhmiC5XcO
たまにはあげてみる

838 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 07:02:06 ID:Hd5EWHnNO
捕手

839 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 07:08:32 ID:Qvhrf45O0
いよいよ交流戦保守

840 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 10:56:06 ID:RarIZL7CO
巻き返し狙う
……ッテか願うorz保守

841 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:08:22 ID:TWgtYs3A0
『奇襲返し』

「佐伯! 今岡! 死んでもらうぞ!」
 散弾の衝撃に鍵が壊れたドアを開け放ち、突撃銃を片手に飛び込んできた一人の
男――斎藤隆。
 反撃に備えて身を低くして突入した斎藤は、部屋に転がり込むと即座に身体を
起こした。銃を構え、辺りを見回す。
「あれ……?」
 そこはごく普通の、小さな民家だった。
 入って正面奥に、8帖程の畳の間がある。
 その中央に置かれた、古ぼけた将棋盤と、それを挟むように敷かれた座布団二枚。
飲みかけの湯飲み。
「いない……」
 確実に先程までそこにいたと感じられる気配が満ちた部屋。ただ、あるはずの人間
の姿がだけ、忽然と消えていた。
 いやそもそも、この部屋の間取りで、この位置に座っていたならば、最初の襲撃
で蜂の巣になっていてもおかしくはないはずだ。
(どこかに隠れたのか……?)
 周囲に気を配りながら、一歩踏み出す。そう思うと、部屋の奥の物置が怪しく映った。
物置に通じる襖を睨み付けながら、斎藤は一歩ずつ部屋の中へと踏み込んだ。
 銃口と一緒に視線を動かしながら、ぐるりと周囲を見渡す。こんな狭い部屋で隠れて
いたら、すぐに見つかるはずだ。
 だが、そこに人影はない。

842 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:08:42 ID:TWgtYs3A0
 念のために、背後も振り返り、180度確認する。正面の開け放たれたドア。視線
を左にずらすと、黄ばんだ白い壁が続き、すぐ隣に背の高い棚が置かれていた。その
隣の壁には、布団が貼り付いているだけだ。
「布団……!?」
 布団は壁に貼り付けるものではなく床に敷くものではなかったか?
 あっさりと見送ったその光景に疑問を感じ、斎藤は思わず、もう一度そちらを振り
返った。
 カコーーーン!!
「がっ……!?」
 その瞬間、脳天に響いた激痛と甲高い金属音に、斎藤の視界は暗転した。 
 どさっ……
「ふぅ……」
 崩れ落ちた斎藤を確認し、静かに床に降り立った今岡が嘆息する。手には、器の
部分が金色の金属で出来た柄杓が握られていた。
「意外に上手くいきましたね」
「んっふっふ……だ・い・せ・い・こ・う!」
 くぐもった浮かれた声が壁から聞こえ、ばさりと壁に貼り付いていた布団が二つ
折りになった。その裏から、佐伯貴弘が姿を現す。
 あの時、いち早く敵襲に気付いた今岡の指示を受け、二人はそれぞれ棚の上と布団
の裏に隠れ、手持ちの冗談のような武器での対抗策を講じたのである。
「どや、忍法布団隠れの術!」
「人間、当たり前のように不自然な物が存在すると一瞬思考が停止するもんです。
さすが佐伯さん、見事な演技でした」
 布団を引きずりながら近づいてくる佐伯に、今岡が称賛の言葉を贈る。 

843 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:09:10 ID:TWgtYs3A0
「……ってか、誰かと思ったらタカシさんかい」
 予め棚の上に登っていた今岡から柄杓攻撃を受け、後頭部にたんこぶを作って気絶
している斎藤隆を確認し、がっくりと肩を落とす佐伯。
「新たなアホのお出ましかと思ったら先輩かいな……何や凹むわ〜。俺そんなに嫌わ
とるんかな〜」
 急転直下のテンションと一緒にその場にしゃがみ込む。
 仮にも一緒に行動しようと思って、命がけでゲートスタッフに絡みながら待って
いた相手なだけに、ショックは大きい。やはりグラウンドに出る時に出したサイン
は届いていなかったらしい。
「アホと行動しなくて良かったやないですか」
 気絶しているとはいえ、この縦社会で年上をアホ呼ばわりする今岡。
(なんや、励ましてくれてるんかい……)
 すぐ隣にしゃがみ込み、淡々と言ってくる今岡の思惑を何となく感じ取り、佐伯は
少し気持ちが軽くなった。
 相変わらず変化に乏しい表情からは分かりにくいが、彼なりに落ち込んでいる佐伯
を慰めてくれているらしい。
「自分、よく敵が近づいてること分かったな」
 不景気な話題はそこで止め、話を変える。今岡が敵の襲撃を察知し、知らせてくれ
なければ、今頃王手をかけられた状態でうんうん唸っている間にドア越しに散弾に当
たり、二人仲良く死亡という洒落にならない事態になっていたはずだ。
「勘です」
「…………うん、まあ今岡クンやしな」
 そういうことにしておく佐伯。

844 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:09:25 ID:TWgtYs3A0
「てか、君に言われたとおり移動せんかったら、えらい目におうたぞ!」
 こんな大爆発のあったところに住んでいる人間がいるなんて誰も思わないとか何とか
もっともらしいことを言っていたはずだ。事前に敵を察知するだけの勘があるなら、
そもそもこんな目に合わないだけの危機回避能力を見せて欲しいところだ。
 彼に出会ってからはどうもとんでもない敵に出会ってばかりな気がする佐伯だった。
「人生こんなこともあります」
「まぁそうやわなー。何が起こるか分からんのが人生……ってちょっと待てオイ!
 反省の色なしかい!」
「反省はしますよ。次に活かしましょう。というわけで後は頼みます。」
「後!? 後って何やねん!?」
 そそくさと部屋の奥の襖を開け、物置に避難する今岡。
 そんな佐伯の疑問は、さほど間をおかずに解消された。
「隆ー!!」
(ぎゃーーーー!? )
 先に突入した斎藤隆の異変を感じ、もう一人の男が駆けつけたのだ。大型の突撃銃
を持ち近づいてきた佐々木が、ドアの向こうに倒れている斎藤の姿を見て目を見張る。
「どうした隆……って布団!?」
「うばぁぁぁ!」
 再び布団に扮し襲いかかってきた佐伯に度肝を抜かれる佐々木。
「わぶっ!?」
 頭から布団をかぶり、思わず尻餅をついた佐々木に、上からのしかかる佐伯。
「失礼しまっす!」
 布団の下でもがく佐々木の両足を掴み、一応先輩なので断りを入れてから両脇に
抱え込む。
 その瞬間、佐伯は兄弟の杯を交わした友のことを思い出していた。

845 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:10:10 ID:TWgtYs3A0
「友よぉぉぉぉ!」
 叫び、189センチの巨大な体躯を持ち上げる。
「らっしゃぁぁぁぁ!」
 気合いで左右に振り込み、身体ごと佐々木を振り回し出す佐伯。
「ぎょえぇぇぇぇ!?」
 ぐるんぐるんぐるん! と次第に遠心力を利用し、スピードを上げてきた回転に
悲鳴を上げる佐々木。
「どりゃあ!」
 十分にスピードが乗ったところで手を離し、その反動で、佐伯はたまらずその場
に座り込んだ。
 飛んできた佐々木の体に弾き飛ばされ、将棋盤がひっくり返る。派手な音を立て
盤上の駒が飛び散り、ぶちまけられたほうじ茶が畳に染みを作った。
「きゅぅ……」
 手を離された当人は、短い距離を飛行し派手に壁にぶち当たり、星を飛ばして
気を失った。
「頭のでかいお前に比べれば回しやすかったぜ……」
 尻餅をついていた体勢を慌てて正し、膝を付き、決めポーズでフィニッシュを飾る佐伯。
「お見事です。さすが佐伯さん」
 パチパチパチ
 格好を付ける佐伯に、物置から顔を出した今岡の事務的な拍手が部屋に響いた。
「お前、本気で隠れてるだけやったな……」
 どうにも無感動な今岡に憮然と突っ込み入れる佐伯。
「佐伯さんも一人目の時は布団になってただけやないですか」
 それもそうだ。
 納得してしまう佐伯。

846 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:10:56 ID:TWgtYs3A0
 ペースを乱されるだけの今岡との会話を取り止め、佐伯は大きく息を吐き出した。
オフでここしばらく技をかけていなかったから身体が鈍っている。肩を回し、大嵐
が去った部屋をぐるりとを見回す。
 何の変哲もないはずの民家の一室には、武装した男が二人、気を失い転がっていた。
幾つもの風穴が空いたドアが、吹き込んでくる風にギコギコと音を立てて揺れている。
 ひっくり返された将棋盤。
 今岡が突然ゲームを取り止めたので、首の皮一枚繋ぎ止められていた佐伯の王将は、
無惨に畳の上に転がっていた。
 足元に落ちていたそれを拾い上げ、じっと見つめる佐伯。
「戦争ですらないゲーム――か」
 感傷に浸る男を眺めていた今岡が、ぽつりと呟いた。
「佐伯さん、案外せこいですね」
「ちゃ、ちゃうわい! 不可抗力や!」
 結果がうやむやになったことを内心喜んでいたのを隠して言い返す佐伯。
「それにしても……」
 話を逸らし、佐伯は壁にもたれ掛かり、気絶している佐々木に目を落とした。
「なんなんや? この重装備は」
 佐々木と斎藤、二人ともが、同じ型の突撃銃を担いでいる。それだけならともかく、
佐々木の腰には一丁の拳銃と、一振りのナイフが差してあった。
「俺はスリッパ(しかも片方)やっちゅーのにたいした差別やな!」
「どこから手に入れたんでしょうね」
 それが誰かを殺して奪ったモノなら気味が悪いし、この二人は大変な危険人物で
あるということになる。無論、問答無用で奇襲を仕掛けてきた時点で危険人物確定
ではあるが。
「……って、何してるんですか、佐伯さん」
「お! この拳銃ちっこくて持ち運び便利そうやな。てかどんだけ武器持っとんねん。
目ぇ覚ます前に丸裸にしといたろか」
 ケケケ、と笑い声が聞こえてきそうな悪魔の角を生やしながら、気絶した佐々木
の装備を漁る佐伯。
「追いはぎですか」
「素晴らしく響きの悪い言葉やな。ほれ、お前も何かもらっとけや。そんな武器じゃ
道端に水撒くくらいしか出来へんやろ」 

847 :2 ◆ACsLXL4x9o :2006/05/09(火) 23:11:23 ID:TWgtYs3A0
「俺はいいです」
 親切心で拳銃を渡そうとする佐伯にあっさりと断りを入れる今岡。
「あぁん? ガンジーかお前は! 無抵抗主義か!」
「俺の仕事は、銃を持つコトじゃありませんから」
 ノリで逆ギレしてみせた佐伯に、今岡が真顔で答えてくる。
「…………」
 その言葉に、思わず黙り込んだ佐伯は、柄杓を握りしめる今岡を見上げた。
 こんな目に遭っても、そんな支給品一つで飄々と言ってのける今岡が、えらく
格好良く見えた。
 さらりと言った、今岡の言葉に考えさせられる。
(俺の仕事は……)
 バットを持つことだ。白球を打って、走って、守って、チームを勝たせること。
 ファンを喜ばせること。
 横浜の夜空に浮かぶ花火を思い出した。
「そんなん、俺やってそうやわ」
 ガシャン
「佐伯さん?」
 抱え込んでいた佐々木の銃をその場に投げ捨てると、佐伯は屈伸をしてから立ち
上がった。
「あーもーなんか気ぃ悪いわー。行くで、ハマオカくん」
「…………ハイ」
「あれ? 突っ込みは?」
 スタスタと戸口に向かう佐伯の後を大人しくついて来る今岡。
 その時、彼が珍しく嬉しそうな笑みを浮かべていたことを、佐伯は知らない。


【残り52名 年俸総額111億6580万円】

848 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:19:10 ID:eMkkMk3+0
乙です。

849 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:27:26 ID:4kACP8b50
乙です
やっぱりこの2人好きだw

850 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:50:27 ID:14+a79zhO
乙っす!
布団キタ―――(・∀・)―――!!

851 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 00:01:34 ID:Q82OXu2b0
あげ

852 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 00:22:06 ID:wh/PVSeM0
>>851
感想書こうよ…

職人さん乙です。
モナさん柄杓でもカッコイイよ…
この2人がなんか鍵を握ってる様に思ってしまうから困る。

853 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 00:40:06 ID:PI4CdarM0
職人様超乙であります!!

布団wwwやっぱこの2人最高。
なんかリアルで好きになってきたw


854 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 01:13:55 ID:Ts70MqcJ0
職人様乙です。
柄杓と布団で重装備なやる気の人間二人も撃退できるこのコンビ大好きだww

855 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 04:11:54 ID:2oZknoK40
この二人TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEwwwww
ふたりともリアルじゃアレダガ。

いやーでも、こいつらはいつかきっと痺れるような展開を見せてくれる気がしてしまうw



  職  人  様  超  乙  !! 

856 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 13:34:44 ID:6alxcTeT0
佐伯のファンになりそうですw

857 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 15:09:19 ID:jep6vz780
大爆笑させて頂きました!強ぇよおまいら(w
二人が大好きになりつつある、今日この頃です。

858 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 20:51:31 ID:qTqUl/Gf0
ここでジャイアントスイングと黄色いアイツ(回想)が出てくるとは…!
腹抱えてワロタw職人さんうまいなぁw

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