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千葉マリーンズバトルロワイアル第12章

1 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:10:29 ID:7XlG9yKw0
前スレ
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130845754/l50
第10章
(p)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1122561045/
第9章
(P)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1121436971/
第8章
(p)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1117500482/
第7章
(p)http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1116257158/
第6章
(p)http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1110970758/
第5章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1110788201/
第4章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105085112/
第3章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105003484/
第2章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099564992/
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097081116/




2 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:11:11 ID:7XlG9yKw0
各球団バトロワ保管庫

讀賣巨人軍バトルロワイアル
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
横浜ベイスターズバトルロワイアル
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
広島東洋カープバトルロワイアル
ttp://brm64.s12.xrea.com/
中日ドラゴンズバトルロワイアル
ttp://dra-btr.hoops.jp/ (2001年版保管サイト)
ttp://dragons-br.hoops.ne.jp/ (2001年版・2002年版保管サイト)
ttp://mypage.naver.co.jp/drabr2/ (2002年版保管サイト)
ttp://cdbr2.at.infoseek.co.jp/ (中日ドラゴンズバトルロワイアル2 第三保管庫)
ttp://cdbr2004.hp.infoseek.co.jp/ (2004年版)
阪神タイガースバトルロワイアル
ttp://kobe.cool.ne.jp/htbr/
ttp://homepage2.nifty.com/sorasouyo/ (旧虎バト保管庫・若虎BR紅白戦進行中)
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
ttp://www.age.cx/~marines/cmbr/
ヤクルトスワローズバトルロワイアル
ttp://f56.aaa.livedoor.jp/~swbr/



3 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:12:59 ID:7XlG9yKw0
プロ野球12球団オールスターバトルロワイヤル
ttp://www.geocities.jp/allstar12br/
福岡ダイエーホークスバトルロワイアル
ttp://www3.to/fdh-br/ (s氏作)
ソフトバンクホークスバトルロワイアル
ttp://sbh.kill.jp/
アテネ五輪日本代表バトルロワイアル
ttp://athensbr.fc2web.com/
東北楽天ゴールデンイーグルスバトルロワイアル
ttp://www.geocities.jp/trgebr/



4 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:13:22 ID:7XlG9yKw0
バトロワSSリレーのガイドライン
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)



5 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:14:27 ID:7XlG9yKw0
リアルタイム書き投下のデメリット
1.推敲ができない
⇒表現・構成・演出を練れない(読み手への責任)
⇒誤字・誤用をする可能性がかなり上がる(読み手への責任)
⇒上記による矛盾した内容や低質な作品の発生(他書き手への責任)
2.複数レスの場合時間がかかる
⇒その間に他の書き手が投下できない(他書き手への責任)
⇒投下に遭遇した場合待つ事によってだれたり盛り上がらない危険がある。(読み手への責任)
3.バックアップがない
⇒鯖障害・ミスなどで書いた分が消えたとき全てご破算(読み手・他書き手への責任)
4.上記のデメリットに気づいていない
⇒思いついたままに書き込みするのは、考える力が弱いと取られる事も。
 文章を見直す(推敲)事は考える事につながる。過去の作品を読み込まず、自分が書ければ
 それでいいという人はリレー小説には向かないということを理解して欲しい。



6 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 04:16:21 ID:7XlG9yKw0
前スレ(第11章・実質第12章)
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130845754/l50
第11章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1127569582/
第10章
(p)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1122561045/
第9章
(P)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1121436971/
第8章
(p)http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1117500482/
第7章
(p)http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1116257158/
第6章
(p)http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1110970758/
第5章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1110788201/
第4章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105085112/
第3章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105003484/
第2章
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099564992/
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
(p)http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097081116/

すみません、このスレ実質第13章でしたorz
逝ってきます

7 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 09:40:38 ID:KJkDs9Yk0
完全に巨人が裏で仕掛けた強奪劇じゃん
人的保証もないししてやられただけ
ライブドアの錬金術にも等しい不当行為なのに
なんでロッテファンは怒らない?
ひょっとして単なる馬鹿の集団かお人よし?
読売の好き勝手を許すなよ!

8 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 11:37:30 ID:RRN6XfXe0
なんで新スレ?

9 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 13:09:37 ID:SzJkdMld0
>>8
ヒント:容量超え

それはそうと>>1乙。
前スレのラスト、久しぶりにハードな展開になっててびびった…

10 : ◆QkRJTXcpFI :2006/01/22(日) 15:40:14 ID:1m8Q+IjA0
新スレ立て乙です。

>◆prGJdss8WMさん
今後について相談したいことや連絡その他ありますので、打ち合わせ板の方にレスいただけますでしょうか?
よろしくお願いします。

11 :今は昔(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/01/22(日) 18:24:42 ID:7EG5yQKP0
初芝は手当てを終えると、里崎のズボンの裾を下ろした。
「よし、これで大丈夫。ちょっと立ってみて」
里崎は促されたように、土壁に手をついて立ち上がる。
「歩けるか?」
数歩足を動かしてみる。少し引きずるが、痛みは和らいだ。
一歩一歩踏みつける土の感覚が、しっかりと足に戻っている。
「普通に歩くだけなら、何とか……ありがとうございました」
礼を言って再び地面に腰をおろすと、改めて周りを見回した。
外を見れば、わずかばかりの月明かりが差し込む。奥には果てるともない闇。
この洞窟は、崖沿いを見ればすぐ見つけることができた。
そこで里崎の右ひざの手当てをし、今に至っている。
「この島は本当に洞窟が多いですね」
「だな。僕と成瀬君が会ったのも洞窟の中だったし」
成瀬が頷く。
「天然のものなのか、人が造ったものなのか…。防空壕の名残かもしれないね」
ここは戦争の傷跡を物語る場所なのだろうか。
占領権争いに巻き込まれた島、戦場になった島、敗戦の末に貢がれた島。
そんな悲劇の島々が日本にはたくさんあるはずだ。それでも、今なお繰り返される過ち。
あれから60年近く経って、この島は再び新たな戦争の舞台になっている。
戦争中の人々もこの洞窟で、こんなやりきれない思いを抱えていたのか。
里崎はひざを抱え込むと、うつむいた。
「あいつも、この穴の先にいるのかな…」
ぽつりと漏らす。
「?」
「あ…俺も、最初は洞窟の中にいたんです。こんな森の中じゃなくて、海沿いで。
 俺だけじゃなくて、もう一人…寺本四郎と。もう、あいつは……いないんですけどね。
 もしかして、あの洞窟もこの洞窟も繋がってんのかな、なんて……」

12 :今は昔(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/01/22(日) 18:25:09 ID:7EG5yQKP0
話すうちに、思い出して感情が高ぶってくる。
鼻をすすろうとして顔を上げると、里崎はある異変に気づいた。
「成瀬…?」
成瀬が震えている。こみ上げる震えを沈めようと、自分で自分の両肩を押さえていた。
暗がりでは確認できないが、その顔はきっと青ざめているのだろう。
「てらもとさん…ぼくが……ころした……」
はっと、里崎が息を飲む。
成瀬の目の前には寺本四郎の姿がはっきりと思い浮かんでいる。
包帯の巻かれた自分の左腕を押さえる。これは寺本から受けた抵抗の跡。
目を閉じれば、寺本を手にかけたときの生々しい情景がよみがえってくる。
殺し合いの魔力に取り付かれていた、もう一人の自分の存在が。
「今、何て…?」
里崎が聞き返す。今聞いたことが事実なら、すべて説明がつくかもしれない。
成瀬の言動に覚えた違和感も、サブローに対して垣間見せた殺意も、
浅間敬太が成瀬に見せた敵意も。
「どういうことだよ…? お前か? お前が四郎を殺したのか?
 あいつはお前のせいで死んだのかよ!? はっきり言えよ! なぁ、成瀬!?」
「サト、やめろ!」
成瀬に掴みかかった里崎を、初芝が引き剥がす。
「初さん、止めないでください! こいつは…」
「誰か来る」
初芝の言葉に里崎は黙る。耳を澄ませばヘリコプターの音。
そしてそれとは別に、近づいてくる誰かの足音。速い。
隠れる時間すら与えずに、その足跡の主は目の前に現れた。
月明かりがそのひょろりと痩せた姿を照らし出す。
「お前は…?」――

13 :今は昔(3/3) ◆vWptZvc5L. :2006/01/22(日) 18:25:27 ID:7EG5yQKP0
――「なぁ、俺暇なんだけど。そろそろ降ろしてくんない?」
ヘリコプター内の座席に背を預け、於保が退屈そうにあくびをする。
「なんだい、このヘリはお気に召さなかったかね?」
「ああ、つまらんね。やることもないし。下でウロついてた方がよっぽどマシだぜ」
「OK. 適当な場所で降ろしてあげよう」
バレンタインがノートパソコンのキーボードを叩く。画面に地図と隠しカメラ映像が映し出された。
その情報を元に、近くでヘリを下ろせる場所を探す。その様子を於保が一瞥する。
「何だ、あんたらそんなもん見てんのか。そんなの生の迫力には敵わねぇのに」
於保が鼻であざ笑う。
ある映像を映したところで、バレンタインは手を止めた。
「Oh...」
於保が再び画面を覗く。
「…代田か。誰か見つけたみたいだな」
ようやく面白い展開になってきたかと、於保は含み笑いを見せる。
「ハツシバミタイデスネー!」
陽気な日本語とともに、バレンタインもニヤリと笑った。

14 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 20:13:59 ID:sgdR7p+L0
前スレも含めて職人様乙です。
明ぁ…初様ぁ…テラヤバスorz

15 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 22:30:42 ID:6zaNz8Cd0
明ぁ・・・大物も間違われて襲われ無い事を祈るし
初様や里・成瀬もテラヤバイ

16 :北へ2(1/2) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/01/22(日) 22:46:17 ID:BojQaRcx0
 薮田と小宮山は北の方角―ボートがある場所―へ向かって走っていた。
 ふたりで必死に走りながらも、お互いの荒い息遣いを感じて少し速度を緩める。
「コミさん、大丈夫ですか?」
 チラリと隣を走る小宮山を見ながら、薮田はそう尋ねた。
「おい、まだ若いつもりだぞ」
「いや、そんな意味で言ったんじゃ…」
 小宮山の言葉に、薮田は慌てて弁解する。
「―解ってる。しかし、時間が迫っていると思う。禁止エリアも増えてきたし…。できる限り、
船のところまでは行きたい。本当に限界だと思ったら無理しないから気にするな」 
 その言葉に、薮田は頷いて返事をした。
 
『絶対に、諦めちゃいけない』 
 
 先程の薮田の言葉を、小宮山は思い出す。
(見かけはちょっと頼りないと思っていたんだけどな…)
 いつも柔和で、けれどいつも少し泣きそうな表情をしている薮田。
 彼は中継ぎとしての自分の道を見つけ、マウンドで堂々とした姿を見せていた。
 一時期密かに囁かれていた「チキンハート」の彼はもういなかった。
 彼は自分の心を見抜いていた。
 何かの、誰かの為に自分の命を捧げ―いや、捨てようと思っていたことを。
 それは杉山の精神を破綻させてしまった後悔からきた気持ちだった。
 しかし、薮田は苦しみをひとりで背負わないでほしいと小宮山に告げた。
 自分もいろんな人を巻き込んでしまったと。
 それでも、前に進むのだと。

 そして今、その通りに薮田は前へ進んでいる。それは足だけではなく、この「ゲーム」を
終わらせようとする気持ちもろとも。
 そんな彼の姿を見て、小宮山は考えていた。
(手遅れじゃなければ、俺もお前の考えに乗らせてもらうとするよ)
 彼の贖罪は、別の方向へと向かい始めていた。
 それは命を捨てることから、生かすことへと――――。

17 :北へ2(2/2) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/01/22(日) 22:48:10 ID:BojQaRcx0
「そろそろ…か?」
 小宮山が辺りを見回す。しかし、海はまだ視界に入ってこなかった。
「もう少しありますね。…少し、歩きながら移動しましょう。体力を残しておかないと、
いざというときに不利かもしれません」
「そうだな」
 薮田の意見に小宮山も同意し、ふたりでスピードを緩め、歩き出す。
 今までの疲れがどっと出たのか、薮田も小宮山も激しい息遣いをしていた。
 しばらく歩いてから、息を整えた薮田が口を開く。
「たしか…Aの4だったと思うんです。でも、すみません、そこまで正確な場所は…」
「―いや、仕方ないだろう。もしAの4でなかったら、6に向かえばいいことだ。
Aの5はもう禁止エリアだから、4から6に移動することになったら慎重に回避して進もう」
 いちかばちかじゃないがAの4に船があればいいな、と小宮山は付け加えた。
「そうですね。あれなら使えると思うので、どうにか…」
「人はどれくらい乗れそうなんだ? そういえば」
 その言葉に、薮田がハッと気づいたような表情をする。
 先程は気づかなかったことだったが、それは重要な情報だった。
「…そんなには、乗れなかったと思います」 
「そうか。……。―とりあえず、行こう」
 海の方へ、そして船の方へとふたりは歩いた。
(そういえば…あの人は無事なんだろうか)
 ふと、薮田の脳裏にひとりの人物が浮かんだ。
 先程薮田と愛甲が船から下りたときに遭遇したあの人物のことを。
(…家族のところに、帰れればいいですね。無事に)
 こんな状況の中でも、薮田は彼らしい優しさを忘れていなかった。 
 
 ふたりはA−4を目指して進んでいた。
 しかし、既にこの時点で、A−4にあった船は今江の揺りかごになり海へ出ていたのだ。

18 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/22(日) 23:18:00 ID:Wy4H2ukYO
職人様乙です!
修羅場になってきた…ドキドキだ…。

19 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 06:35:34 ID:l+BfWKo+O
このリレー形式って自分の書いた設定が後でちょろっと書かれるとちょっぴり嬉しいですね。
たぶん一年くらい前の話なのに職人様は熟読してるんだなと感心です。
現薮田職人様、自分の丸投げ後の展開スゴイす。

初芝vs代田・・・
(;・∀・)

20 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 08:47:12 ID:wNxqPAN80
なんかここ二日で一気にキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
職人の皆様本当に乙です!

投下直後に読めるとドッキドキするし、
まとめて読めば、なんかお得感倍増(・∀・)イイ!

しかし、まとめて来た分、急に話が進んでる。
これからの展開がこれまた気になります。

>>19
前職人さん乙でした。貴方の蒔いた種がこんな展開に…!

21 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 09:03:08 ID:A4N0BB3X0
初芝最近出番多くておkおkw
って今度はピンチかよ

22 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 15:23:12 ID:mMcwwSD5O
一気にキテター!職人様乙です(・∀・)!!
初様も今江もどうなってまうんだ…。

23 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/23(月) 22:45:52 ID:+BNFSu79O
いやすげー面白いんですけど!
明には生きてホスィがどうなるのか。
職人さん23しく乙です!

24 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 12:37:47 ID:FcStByCgO


25 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 13:43:41 ID:V1wvbX3mO


26 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 18:04:32 ID:+I29Uf++0


27 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 20:58:06 ID:XfHzlvJm0


28 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/24(火) 23:45:09 ID:tkpvSFEs0


29 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 00:07:23 ID:zgW0blUEO


30 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 00:12:15 ID:yk94yLg20


31 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 00:32:49 ID:cnX8d//oO
J( ΘーΘ)し

32 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 06:59:14 ID:22q1cjxa0


33 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 07:48:47 ID:cnX8d//oO


34 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 12:46:25 ID:zgW0blUEO


35 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/25(水) 13:22:28 ID:yUqqLgTe0


36 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 07:46:37 ID:cqTvLqbbO


37 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 08:19:21 ID:QqBm4uWF0


38 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 14:58:00 ID:QqBm4uWF0


39 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/26(木) 18:00:26 ID:0rf+Ma/X0


40 :月の光が肩に冷たい夜には(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/01/27(金) 00:15:42 ID:DH5KqYYT0
「代、田…? なんでこんなとこに……」
「リスト外、3人」
初芝が皆まで言う前に、機械的な返事が返ってくる。
どこかで聞き覚えのあるセリフ。それに思い当たったときには代田はすでに、
右手に握ったサバイバルナイフを振り下ろそうとしていた。
「!?」
初芝がとっさに里崎と成瀬を突き飛ばし、地を転げる。代田のナイフは空を切った。
再び、代田が3人をめがけてナイフを振りかざす。
初芝は代田の右手首を引っぱって、向かってくる力を流す。
「逃げろ!」
代田はよろけながらも、ナイフを左手に持ち替えようとする。
初芝がその手をとめようとして、代田と取っ組み合いになる。
里崎が加勢しようと足を踏み出す。
それを見て代田の狙いが初芝から里崎に変わる。
「早く!!」
初芝が叫ぶ。その目がこっちに来るなと訴えていた。
里崎へ向かおうとした代田の向きを強引に変えさせる。
成瀬はすぐに初芝の意図を察し、里崎の手を掴んで走り出す。
初芝が代田と真正面から向かい合う。瞬きもせず、ぎらついた目。
やっぱりそうだ。この目はサブローのときと同じ。
危険すぎる。1秒油断しただけで、息の根を止められそうな程。
「代田、お前もなのか…?」
その声は代田の耳には届いていなかった――

──「成瀬、放せよ! 初芝さんが…」
成瀬が引き摺るように、強引に里崎を引っ張ってゆく。
「はつしばさんは、しにません!」
力強い受け答え。その言葉には不思議と説得力があった。
そうだ、初芝は体を張って自分たちを逃がしてくれたのだ。
ならば今できることは、ここから全力で逃げてそれに応えること。
思うように動かない右足を懸命に運ぶ。
自分を引っ張っている成瀬の手を見る。

41 :月の光が肩に冷たい夜には(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/01/27(金) 00:16:10 ID:DH5KqYYT0
その手は手負いの自分を置いていくまいと、しっかり導いてくれている。
さっき聞きそびれたことが、ふと頭をよぎった。
(そうだ、成瀬が人殺しなんかするはずがない。今だってこうして…)
そう思うと同時に、里崎ははっと自分の首筋に手を当てる。
まだくっきりと残っている爪跡。締め上げられた感触がよみがえる
――『人殺しなんかするはずない』
そんな根拠がどこにある。今まで『人殺しなんかするはずがない』人たちが
人殺しに変わるのを幾度となく見てきたはずじゃないか。
現にそういう人間に殺されかけたこともある。
それに成瀬は誰から強制されるでもなく、誰をかばうでもなく、自らそう言ったのだ。
自分が寺本四郎を殺したのだと。
里崎はもう一度、成瀬の手を見た。

違う、これは俺を導いてくれる手じゃない。これは寺本を殺した手。
どうやって殺した? なぜ殺した?
寺本が殺されるようなことをするはずがない。
だってあいつは、最後にはわかってくれたから。
わかってくれたからこそ、あんなに苦しんで、それでも立ち直ろうとして。
それをこいつは、どうやって踏みにじった?

走ることに集中しなければならないのに、次々と入り込んでくる邪念。
寺本の断末魔まで聞こえてきそうだった。里崎はもう成瀬の手から目をそらせない。
この手を逆に引っ張り返せば、成瀬を引き倒せるだろう。
そしたら首を締めればいい。自分がされたように、手に体重をかけて。
それできっと、こいつをたやすく殺すことができる。
そうすれば、あいつは浮かばれるだろうか。
道半ばにして倒れた無念を、晴らすことができるだろうか。

42 :月の光が肩に冷たい夜には(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/01/27(金) 00:16:38 ID:DH5KqYYT0
ぐっと手に力を入れようとしたとき、足がもつれて、里崎の体がバランスを崩しかける。
「だいじょうぶですか!?」
成瀬が足を止める。
「あ…、あぁ……」
うわの空な返事。はっと我に返る。
(俺は今、何をしようとした…?)
「いきましょう」
再び走り出す成瀬。今度は里崎のひざに配慮するように速度を緩めて。
その姿を見ながら、背中にゾクッと寒気を感じた。怖い。
それは寺本を殺しておきながら、何事もなかったように振舞える成瀬への恐怖。
そして何より、成瀬に対して何をするかわからない自分への恐怖。
(冷静になれ。そんなことを四郎が望む訳がない。
 憎むべき相手は成瀬じゃない、他にいるはずだ。)
頭ではわかっている。けれども、思う事とそれができる事は別物。
どうしても気持ちがそれを受け入れてくれない。
もともと自分は気が短いほうだ。それは自覚している。
スタメンを外されればキレるし、ピッチャーがリード通りに投げてこなけりゃキレるし、
審判が不可解なジャッジを下せばキレる。
カッと頭に血が上ったとき、成瀬への憎悪を抑える自信などない。
殺さない、殺させない、なんていう正論、きっと全部飛んでしまう。

再び里崎がよろめく。ひざが痛い。
緩いスピードにもついていけない。
そのままつまずいて転ぶ。体が土の上に打ち付けられた。
もう限界だった。心も、体も。
「さとざきさん!」
「成瀬、ひとりで逃げろ。俺がいると……足手まといになる」
伏し目がちに放たれる心隠した言葉。
「そんなことできません!」
成瀬が里崎を起こそうと手を差し出す。
里崎は面を上げてしっかりと成瀬の顔を見た。

43 :月の光が肩に冷たい夜には(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/01/27(金) 00:17:09 ID:DH5KqYYT0

こいつは何も気づいてないのか。いい加減、気づけよ。
俺が今、どんな目でお前を見ているのか。
何故こんな上ずった声で喋っているのか。

「お前、四郎を殺したんだろ……?」
あふれ出す本音。夜にさざめく風が吹き抜ける。
成瀬の目が怯む。
月の光が肩に冷たい。草木のかすかなざわめきだけが肩を包みこむ。
「そんな奴と一緒にいられるわけないだろっ!?
 …行けよ。さっさと行け! 俺の前から消えろ!」
差し出された手を弾き返す。成瀬が手を引っ込める。
里崎が成瀬を睨みつける。それは成瀬を拒絶する眼差し。
成瀬はその眼力に押されて後ずさりをする。
数歩下がったところで駆け出した。
里崎から遠ざかっていく成瀬の背中。
成瀬の負担になりたくないと思ったのは嘘じゃない。
でもこれ以上、成瀬のそばにいることに耐えられなかったのも事実。
抑えきれない憎悪がひとり歩きをはじめて、今にも成瀬に襲い掛かりそうで。
落ち着きを取り戻そうと里崎は深呼吸をする。
もう吐き出す息さえ黒くよどんでいるような気がする。
立ち上がって、一人ひざをはらう。
右ひざから下の感覚は薄れかかっていた。
無理して走ったからだろう。そっと触れてみれば、熱を感じる。
冷やせば少しはよくなってくれるだろうか。
右足を引きずりながら、里崎は歩き出す。
じんじんと脈打つように伝わってくる痛み。足は思うように進んでくれない。
それでもこの痛みのおかげで、少しだけ余計なことを思い出さずにいられそうだった。


44 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/27(金) 00:23:25 ID:/LFeyQ6D0
うわ・・・初めてリアルタイム投下に遭遇・・・
職人様いつも乙です!

里崎の葛藤、そして今後の成瀬の行動・・・ドキドキするなぁ

初様vs代田・・・

45 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/27(金) 00:27:58 ID:AdsintBX0
職人様乙です
里崎の葛藤、マイナスの方に行かないと良いんだが
初芝vs代田、どちらも生き残って欲しい

46 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/27(金) 08:01:57 ID:VeaHaMX3O
職人様乙です
皆バラバラになっちゃった…
代田も正気を取り戻したりしないだろうか…

47 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/27(金) 08:15:16 ID:It9L6vdp0
初芝かっこよすぎる・・・初芝ガンガレ

職人様乙

48 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 00:26:01 ID:RzAHhj+k0


49 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 01:01:00 ID:1xWutab7O



50 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 01:41:08 ID:Oq0Igi3s0


51 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 02:49:06 ID:k8cTCx3xO


52 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 02:52:29 ID:Zwzy2Jid0



53 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 16:59:02 ID:wgLHFMbaO


54 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 19:47:14 ID:Oq0Igi3s0


55 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/28(土) 22:22:09 ID:kEF8GijAO


56 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 00:32:16 ID:VR7yawO+0


57 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 09:40:51 ID:Ac+9xxj50
危ないからage

58 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/29(日) 16:28:15 ID:VhXXDAFHO


59 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/30(月) 12:18:16 ID:J4YJuZCgO


60 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/30(月) 16:07:44 ID:nHKpoUHfO
新世紀四番キャリオン

61 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 07:49:19 ID:A/DxdOqlO


62 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 08:45:22 ID:ayvI0UiVO


63 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 13:22:27 ID:iLXxInyc0


64 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 13:45:39 ID:fXZUvITU0


65 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 13:54:57 ID:C1dQPWNvO


66 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 16:41:28 ID:TS9RNLEDO
不思議にチームワーク良いなw

67 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 17:20:41 ID:Dd/DoTFq0


68 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 17:38:35 ID:TN8EcFvz0


69 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 18:43:56 ID:1/AJQqPg0


70 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 19:08:58 ID:PPStitwy0


71 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 23:14:27 ID:A/DxdOqlO


72 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 23:36:18 ID:mRYi2kDv0


73 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 23:47:33 ID:Z74ek2Y3O


74 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 23:55:03 ID:h1WQmMdjO


75 :代打名無し@実況は実況板で:2006/01/31(火) 23:55:14 ID:drzQyjFE0


76 :Returnee(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/01(水) 01:14:01 ID:8dmo+91t0
 なんや、どこやここは?
家の中? そうや、俺はずっと座ってるんや。
そうや、直行さんと一緒やった。このゲームが始まって、すぐ連れてきてもらって。
カレーの匂いがする。川井さんや。冷蔵庫から卵も取り出してきた。
小瓶? 支給のバッグから何か出したと思ったら。その小瓶、何が入ってる?
わからん。中の液体を卵の中に注射してるけど、何してるん?
あ、直行さん、正人さんと一緒に帰ってきた。
飯や。カレーにゆで卵。正人さん、卵嫌いなん? 直行さん、なら俺がもらうって…

「駄目や!!」
目の前の清水直を止めようと両手を前に突き出すと、足場が激しくグラついた。
「うあおっ、おお」
起き上がりかけの体を必死に動かしバランスを取る。
座っているはずの面はひどく柔らかい。まるで水の上にいるようだと思った。
「いや、そうや」
事実ボートの上にいることをようやく思い出し、今江敏晃は頭を振った。
どうやらボートの上に横になったまま眠ってしまっていたらしい。
波がチャプチャプとボートの端にくっつき、小さなしぶきを上げる。
潮の香りが眠る前より濃い。それが鼻を突いて完全に目が覚めた。
「ああ、こんなことしてる場合か」
ここに留まっているわけにもいかない。行かなくては。
(どこに?)
自問自答がまた揺り返す。後ろを振り向けばあの森がある。
行きたくない。あの先には悲しいことしかないのに。
(そうや、もう俺は向こうには……)
「アレ?」
おもむろに後ろを振り向いた先には、あるはずの森が無い。
そこにあった岩場も無い。暗闇の中、月の光がゆらゆらと水面に揺れている。
「あ、あ、あ」
目を凝らすと、海と空の間に黒い巨大な塊が浮かんでおり、その上空がほのかに光っている。
それはどうやら紛れもなく島だったが、明らかに彼の知る姿ではない。
「縮んだ?」

77 :Returnee(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/01(水) 01:14:23 ID:8dmo+91t0
思わず口を突いて出たのを、すぐに首を振って否定する。
遠くにある。いつの間にか、島の全体が見渡せるほどに距離が離されている。
このとき今江は始めて気づいた。
「ええええええ!? ちょっ、まっ、おい。
 何や、何で流されてん?」
すぐそばの波の上に岩場にかけてあったはずの紐がプカプカ浮いている。
しばし呆然と、向こうに佇む島の姿を眺める。
「ハッ」
すぐさまボートに載せられているエンジンに手をかける。
動かし方、確か何かの本で読んだような気がする。
あれやこれやといじっていると、エンジンが低くうなりを上げ始めた。
あとは紐を引けば動き出す、はずだ。
「早く、帰……」
そこで手が止まる。さっきと同じ自問自答だ。
心の中に何度も繰り返す。
目線を上げる。暗い海と暗い空の間に、巨大な塊とぼんやりとした光。
そのおかげか上辺の輪郭だけがよく見える。
森だ。
無力な自分、惨めな自分、大切な人を失った自分、裏切られた自分。
全てそこに居る。
「何のために」
沖合いの波はことさら静かで、周りを囲む広大な水面に声まで呑み込まれるようで。
静か過ぎて、心細さだけはどんどん募っていく。帰りたくないのにだ。
「何のために、帰るんや」
目の前で、また福浦が静かに息を引き取った。
少しずつ力が抜けていく、体温が奪われていく、目から光が消えていく。
『うらむな』
その間際に彼は言った。振り絞れば、それだけ後に続く苦しみも大きいだろうに。
自分のために最期の一滴を使ったのだ。諭すために。
それなのに自信がなかった。もし小林雅英にあいまみえたら、そのときどうなってしまうのか。
殺せるのか。できないだろう。川井には引き金を引けなかった。その度胸すらないのだ。
渡辺正人に命をもらっても、それでも自分はひどく臆病者で。

78 :Returnee(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/01(水) 01:14:43 ID:8dmo+91t0
ふと振り返れば、今みたいに海の上でぽつんと戸惑う自分がいるのだ。
「帰って、戻って何をしろって言うんや」
びゅうと海の上を風が駆け抜ける。
身構えた瞬間、かぶっていた帽子が羽のように舞い上がる。
「あっ」
手を伸ばした時には福浦の帽子は高く、もう届かない。
また自分の手から逃げていく。
一人で、瀕死の状態で小林雅を迎えて。おそらく彼は止めようとしたのだろう。
強い人だ。そしてそれだけ強いのは、きっと気高い誇りを持っているからだ。
どんなに傷ついて辛いところにいても、彼はそれを失わずにい続けたのだろう。
だから、だから自分が守らなければいけなかったのに。
気づいた時には、今江の指の間を彼の命はすり抜けていた。
その彼の帽子が空に舞う。そして、ゆっくりと舞い落ちてくる。
決して遠くではない。手を伸ばせば届くか届かないところを落ちてくる。
風に時折煽られる。いつものマリンのファールフライよりも揺れ動く。
必死で手を伸ばす。精一杯体を乗り出す。ボートがひっくり返りやしないか気がかりで。
なんとか最後の一伸びをして、福浦の帽子は彼の手の平に着地した。
強く握り締めると、体をボートの中に戻す。
「福浦さん……俺、まだ、掴めますかね?」
空には月が白く光る。野球ボールと思えば、うっすらついた模様が汚れに見えなくもない。
あのとき清水直がくれたボールは、今はバッグの中にしまってある。
「俺にもまだ、掴めるもんがあるんですかね?
 もし俺が諦めなければ」
そのボールを取り出す。微かに黒く見える汚れは、月に照らすと赤みがさした。
清水直の命とともに、そのボールはこぼれ落ちた。
「いや……」
それを拾い上げたのは自分なのだ。
「どの面下げて言う。俺に諦めていい理由なんかないやんか。
 けど、けど!」
言葉に詰まる。
きっと自分は泣きそうな顔をしているんだろう。
「俺は俺が信じられん。俺が何をしても、また……」

79 :Returnee(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/01(水) 01:15:09 ID:8dmo+91t0
体が萎縮するのを感じる。
それでも右手にはボール、左手には帽子。その二つをことさら強く握り締める。
「無駄や、何もできんで終わるに決まってる」
そう言いながら、なぜか手はエンジンを始動していた。
大きくうなりを上げて、ボートは勢いよく水面を滑り出す。
向かう先は、今江の見る先にはあの島がそびえていた。
「俺にはきっと誰も救えん」
ボートの左右にしぶきが上がる。その飛沫が顔にかかる。
風を切って、帽子だけは大事に抑えながら今江は島が近づくのを眺めていた。
「わかってます。俺は戻らないけません。
 でも俺は信じてへんのです。また繰り返してしまうと思うんです、俺は」
しばし押し黙る。
「あんたらのせいや。
 こんな俺やのに、こんな役立たずに残して逝ってまうから。
 また俺はあそこに行かなならん。本当に、あんたらのせいや……」

「お」
大き目の懐中電灯を抱えたその男は、小さな船着場の端で海の向こうを見渡す。
カチカチと何度もスイッチを切り替えると、光が点いては消えた。
光路は海の方へと消えていく。その遥か先に、小さなボートが浮かんでいる。
ボートはしぶきを上げて近づいてきていた。
乗り主がしきりに頭を動かしているのが見える。こちらを窺っている。
そうこうしているうちに姿が確認できる距離まで間が詰まってきた。
「今江です! ずっと照らしていたのはあなたですか!」
「今江か!? 通りすがりの船だと思ったぜ」
「ああ」
 戻ろうとしたものの、どの海岸線が禁止エリアになっているか見当がつかなかった。
そこにまるで誘導するように見えた光。否応もなくそこへ向かったが不審に思っていた。
どうやら助けが来たと勘違いさせてしまったらしい。
「でも、ちょっと無警戒やないですか? 俺がもし敵やったら」
「ああそうか。考えもしなかった」
信じてもよいのだろうか。笑みを浮かべて佇む於保浩己を見て、今江はしばし逡巡した。

80 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/01(水) 02:01:32 ID:sCgF+F9o0
職人様乙です!
於保キタ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
今江どうなっちゃうんだ……

81 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/01(水) 02:05:42 ID:ahm+fJE30
新作キテター、職人様乙です!
今江どうするどうなる、於保は何する気だ、薮田&小宮山はまだか、内は無事か、って続きが気になる…

82 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/01(水) 07:47:28 ID:pV4DzzabO
職人様乙です!
於保コワイヨー

83 :一縷の望みに(1/4) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/02/01(水) 23:20:57 ID:CZk2DY/j0
 薮田と小宮山は海の方までようやく辿り着いた。
 辺りを見回し、薮田は記憶の糸を辿る。
「ここ、だ…」
 先程、愛甲と降り立ったところを薮田はきちんと憶えていた。
「そうだ、この辺りだった…」
 薮田が自分に話しかけるかのように小さく呟く。
「コミさん、ここです。A−4でアタリです」
 ほんの少し前は自分の記憶に自信がなかったが、見覚えのある場所を目にし、薮田は
ホッとした表情を見せた。
 彼の表情を見て、小宮山もしっかりと頷いた。
「よし、早速船が使えるかどうか確認しよう。この辺りに停めたのか?」
「はい、たしか…この辺りだったかと…」
 そう言いながらも、薮田は違和感を抱いていた。
(…ここに見覚えがあるなら、ここにすぐ船があるはずだ)
 そうでなければ、自分の記憶の辻褄が合わない。
 愛甲とここに降り立った。
 そしてそのままスタジアムへ向かった。
 船は動かしていない、そのまま降り立ったここに停めてあるはずだ。
(まさか、あの人が…?)
 先程彼の脳裏に思い浮かんだ人物―山下徳人が船を操ったとでもいうのだろうか?
 愛甲と薮田がこの島に、このポイントに降り立ったときに唯一遭遇した人物。
 しかし、彼は家族を人質に取られやむなく自分達を貶める側についていたのだ。
 彼はあのとき涙を見せていた。
(あんなことを演技でできるような人ではない)
 薮田は首を振る。
「おい、薮田。―薮田?」
 そんな彼の異変に気づいたのか、小宮山が心配そうな表情で彼の名を呼んだ。

84 :鬼ごっこ4(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/02/01(水) 23:21:55 ID:8y6/2Ykc0
「代田、何故ここにいる?
 好き好んでこんなところに来た訳じゃないよな?」
――自分はなぜここにいる?
代田の頭に浮かんだ疑問は、脳内に埋め込まれたチップの
繰り出す火花によって、一瞬でかき消された。
「殺す……」
そうだ、自分は殺すためにここにいるのだ。
解雇されたときの雪辱を遂げるために。
野球を続けていた人間にその恨みをぶつけるために。
「おまえは、そんなことしなくてもいいんだぞ」
初芝の力によって、代田の背中が土壁に押し付けられる。
ナイフを奪おうとして、初芝が代田の手を壁面に叩きつける。
それでも代田はナイフをしっかりと握ったまま離さない。
「またプロを目指して、頑張ってたんじゃないのか!?」
初芝の切実な訴えに代田の動きが止まる。
(もう一度……プロで……?)
それと同時に、握っていたナイフが地面に落ちた。
ぱちん。代田の頭の中で再び火花が飛ぶ。
落ちたナイフに気をとられて、初芝の注意が一瞬下へそれる。
その隙を突いて、代田が初芝の腹部に膝蹴りを食らわす。
それでも初芝が後ろへ蹴ったナイフが、地面を滑っていった。
よろめく初芝を押しのけて、代田がナイフを拾いにいく。
まずい。話は通じないし、これはもう逃げるしかない。
すぐさま初芝は洞窟の奥へ向かって駆けていく。
出口へ逃げるわけにはいかなかった。里崎と成瀬がきっとまだ近くにいる。
里崎のあのひざでは、十分に逃げ切れていないだろう。
成瀬の足だって万全ではないはずだ。
どうしても代田を自分にひきつけておく必要があった。
それに光の届かない奥の方なら、暗闇に紛れて何とかできる。
ナイフを拾うと、代田はすぐに初芝を追う。
暗闇で何も見えないはずなのに、代田の足音は何の迷いもなく近づいてくる。
初芝はその理由にすぐ気づいた。

85 :一縷の望みに(2/4) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/02/01(水) 23:22:12 ID:CZk2DY/j0
「確かにここだと思ったんですが…。遠くに停めるようなことはしませんでした。だから
そんなに探しまわる必要はないはずなんです」
 薮田の言葉に、小宮山は唇をきゅっと噛む。
「じゃあ、A−6の可能性もあるってことか…」
「…でも、俺の記憶ではここに船を停めたはずなんです。ここまで来てようやく解りました」
「そうか…」
 しばらく、ふたりは黙っていた。
「…誰かに先を越された可能性もある…か」
 ぽつりと呟く小宮山の言葉に、薮田はハッとする。
(そんなことない。そんなことない)
「そいつが他の船やどこかの島に辿り着いて、どうにか脱出手段を整えてくれればいいんだが…。
それはあくまで希望でしかないな」
 顎に手をやりながら考え込む小宮山は、しばらくずっとそうした後で、薮田の方へと振り向いた。
「とりあえず、ここには船がないことが解った。誰かが使ったか、あるいは…。念のため、A−6
にも行ってみよう。もしかしたらちゃんと船をつけてなくて流されたのかもしれない」
 それは一縷の望みだった。
 この船がどういう経緯で今ここにないのかは解らない。
 しかし、小宮山の言うように船がこの場所から他へと流されている可能性もないわけではない。

 諦めちゃいけない。

 薮田は心の中で、繰り返した。

86 :一縷の望みに(3/4) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/02/01(水) 23:24:49 ID:CZk2DY/j0
 ふたりはA−6へ移動することにした。
 小宮山ははっきりとは口にしなかったが、薮田の記憶違いの可能性も否めなかったのだろう。
 薮田はそれを気にするでもなく歩き始める。
「…もう少し、一緒に行動できる人がいれば心強いですね」
「そうだな」
 少なくとも、船で沖まで出てしまえば安全だということを薮田は身をもって解っていた。
 その情報を一人でも多くのチームメイトに伝えたかった。
「誰かに遭遇して…。情報交換でもできればいいんですが」
「ああ。協力者…と言っていいのか解らないがそういうやつらがいればいいな」
 これから先のことを考えるとふたりだけじゃいろいろ不都合だろうからな、と言って小宮山は
ため息をついた。
 ―瞬間、小宮山の体がぐらりと揺れた。
「コミさん!」
 薮田は慌てて小宮山の体を支える。もう少し遅かったら、地面に倒れていただろう。
「すまん。…大丈夫だ。ちょっと、立ちくらみしただけだ…」
 そう言う小宮山の表情には、明らかに疲労が蓄積されていた。
 走っているときは大丈夫だと言っていたが、それはきっと無理をしているのだろうということに
気づけなかった自分を、薮田は責めた。
(この人は自分の命を捨てようとまでしている人なんだ。…なのに、俺はコミさんの大丈夫っていう
言葉を鵜呑みにして…)
「少し、休みましょう」
 薮田はそう言って近くにある雑木林の方へ小宮山を連れて行こうとした。

87 :一縷の望みに(4/4) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/02/01(水) 23:26:03 ID:CZk2DY/j0
「でも、もう時間がない」
 小宮山は自分を支えている薮田の腕を振り解こうとする。
「ダメです。休んでください」
 厳しい口調で薮田が言う。
「俺は大丈夫だから…」
「お願いです。休みましょう」
「急がないと」
 いたちごっこのような会話に痺れを切らし、薮田はむりやり小宮山を雑木林の方へ連れて行った。

「いざってときに、コミさんがそういう状態になったら困りますから」
 小さな木に小宮山を凭れ掛けさせてから、薮田がそう告げた。
「…解った。手間かけさせてすまないな」
「とんでもない」
 小宮山が目を閉じながら、薮田に話しかけた。
「体を休めながらでも、作戦会議はできるな。―今後のことだが…」
 
 そしてしばらく、ふたりは船に関することや今後のことについて意見を交わしていた。
「船で外に出られる人数が限られていると仮定して…。とにかく、他のやつらを一箇所に集めて
おかなきゃならないだろうな」
 もし船が三人くらいしか乗れないものだったら、先発隊としてその三人を出発させ大きな船に助けを
求めるなどということができるかもしれないしな、と小宮山は付け加えた。
「今…、無事なやつらはどこにいるんでしょうね」
「見当もつかないな。―ただ、きっと後からひとり俺達と会えるやつは知っている」
 薮田はその言葉にコクリと頷いた。
 ふたりは信じていた。
 先程あの場所に残してきた内竜也が、再び彼らと共に行動することを。 

88 :鬼ごっこ4(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/02/01(水) 23:26:46 ID:8y6/2Ykc0
(足音か!)
いったん立ち止まって、靴を脱ぐ。もうなりふり構っちゃいられない。
靴下だけを履いたつま先で、音を立てないようそろりそろりと進んでいく。
こういう暗がりでは、靴下をすねまで上げる彼特有のスタイルは都合がよかった。
例えば、これがフランコのような長くだぶついたズボンだったなら、裾を踏んで転びかねない。
背後から聞こえる足音の速さが落ちていく。ついには止まってしまった。
姿は見えない音も聞こえないで、標的を見失ったのだろう。
どんなに足が速くても、居場所のわからないものは追えないのだ。
再びかつかつと洞内に響き始めた足音は、あらぬ方向へと向かっていく。
その音に初芝は内心ほくそ笑んだ。
(うん、いけるな。これ)
と、突然、何か物音とともに急に目の前が明るくなった。
「!」
見れば、目の前には数mおきに点在する裸電球の列。
岩壁に張りつけられた木の板、それにコードごと電球とソケットが打ち付けられている
白熱灯の温かな光も、初芝からすれば身も凍るような光景。
背後からはばたんという物音。振り返れば、代田が分電盤の蓋を手荒く閉めていた。
初芝の動きが固まる。
(嘘だろ…なんでこんな洞穴に電気が引いてあんだよ!
 お前もなんでそんなスイッチを見つけられるんだよ!? 反則だ、こんなの!
 だいたい、いきなり代田が現れること自体おかしいのに、
 ここで電気が点くとか、完全に反則――)
代田がこちらを向く。初芝を確認するや否や、再び向かってくる。
「無理だぁぁぁーーーーっ!!」
初芝はとにかく全力で走った。
優勝がかかった試合の、同点か勝ち越しのランナーにでもなったような気持ちで。
そのスピードが普段より速かったのは、火事場の馬鹿力というよりほかない。
もちろん、初芝が全力を出したところで韋駄天・代田に敵うはずもない。
迫りくる足音、縮まる差。振り返る。すぐ後ろには代田。
初芝の背中めがけて、サバイバルナイフを振りかざす。

89 :鬼ごっこ4(3/3) ◆vWptZvc5L. :2006/02/01(水) 23:27:05 ID:8y6/2Ykc0
「おわっ!?」
初芝は無我夢中で手に持っていた靴を投げつけた。
代田の右手に当たる。予想外の反撃に面食う。
思わずナイフを取り落とした。代田の足が鈍る。
間髪をいれずにもう片方の靴が飛んでくる。代田の顔を直撃した。
こんな至近距離からスパイクが飛んできたら、きっと痛い。
「代田、すまんっ!」
代田の足が止まっている隙に差を広げる。
ただの時間稼ぎにしかならない事はわかっていた。
こんな全力疾走がいつまでも続くはずがない。
ふと、数m先に白熱灯とは違う明かりがあるに気づいた。
見上げればそこは崩落した天井。穴が空いている場所がある。
出口付近に生い茂る草の間からは、わずかに除く星空と月明かり。
人が通り抜けられるほどの幅がある。壁の高さは5mほど。
木の根や石、崩れた土砂が足場を作っている。
(これだ!)
初芝は迷わずその土壁を登り始めた。このまま走り続けても勝ち目はない。
でもそれは平面上での話。その速度ベクトルを鉛直方向に変えたなら、
たぶん代田も自分もそうたいして変わらない。まだ互角に戦える。
壁面の凸凹を手でしっかりと掴み、足場を探っていく。
昼間の雨で地盤が固まったのか、思ったより登りやすい。
不意に足を踏み外す。体勢を直そうと下を向けば、そこには既に代田がいた。
初芝を引き摺り下ろそうと手を伸ばす。
「ひぃっ」
慌てて足を引き上げる。代田の手が空を切った。
壁にしがみつく手に汗がにじむ。
(どこが互角だ! どう考えても、体重の分だけこっちが不利じゃねぇか!?)
今さら気づいても遅い。だが、他に方法があったわけでもない。
初芝は死に物狂いで、ひたすら代田から逃げ続ける。

90 : ◆vWptZvc5L. :2006/02/01(水) 23:29:19 ID:8y6/2Ykc0
思いっきり邪魔しました。ごめんなさい。

一縷の望みに◆1Y1lUzrjV2  >>83 >>85-87
鬼ごっこ4 ◆vWptZvc5L.  >>84 >>88-89 でお願いします。

91 : ◆1Y1lUzrjV2 :2006/02/01(水) 23:35:21 ID:CZk2DY/j0
こちらこそ申し訳ないです。
しかしケコーン未遂、初のことでドキドキしました。


92 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 00:06:37 ID:0HO6vh4K0
新作いっぱいキテルー!!
職人様方、GJです!!!!

93 : ◆vWptZvc5L. :2006/02/02(木) 00:10:31 ID:w4Fpoa1L0
度々すいません、誤字発見。3/3の中盤

×わずかに除く星空と月明かり
○わずかに覗く星空と月明かり

94 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 00:28:36 ID:jjX/hnUoO
職人様方、乙です。ただ最近、平下は、何してるか、気になってます。

95 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 08:05:49 ID:sQJUYzxQO
職人様方、乙です!
代田コワス(((゚Д゚;))))
そういえば酔っ払いのあの人もどうしているのでしょうか…

96 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/02(木) 09:30:37 ID:2BjQYQSs0
ひい初芝逃げてくれー頼む
この戦いを終わらせるのは初芝しか

97 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 02:49:11 ID:XeGD1pZdO


98 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 05:34:31 ID:v+j4pMNNO


99 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 08:08:36 ID:s+0VKsHZO


100 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 13:37:26 ID:tBtNyDBt0


101 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 13:38:35 ID:tBtNyDBt0
は  なんか初芝が殺されそうでずっとガクブルしている俺がいる

102 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 20:32:20 ID:yJuwVxXv0


103 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 20:37:18 ID:lxOOkKYS0


104 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 20:47:32 ID:ijfBkqnS0


105 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 23:11:41 ID:54JIW2oYO


106 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/03(金) 23:14:35 ID:+qUBMGGz0


107 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 05:07:57 ID:pX+9dRMcO
おとこまの!?

108 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 13:34:35 ID:uCoPW0XE0


109 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 14:13:55 ID:shacykvB0


110 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 14:24:29 ID:wOAWEbJwO


111 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 20:11:36 ID:pX+9dRMcO


112 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 21:38:35 ID:9zRXmQ3z0


113 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 22:22:47 ID:8DzPvwiYO


114 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 23:17:32 ID:J5NCu4V70


115 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/04(土) 23:39:14 ID:duP7ZqBF0


116 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 00:31:11 ID:iJjF5Pop0


117 :Honesty(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/05(日) 01:25:33 ID:gmrF59+P0
 エンジンを止めてもなお、ボートはゆっくりと船着場の中を進んでいた。
今江敏晃はその不安定な船上で、中腰にバランスを取りながら座って進行方向を凝視している。
夜の暗闇の中でただ一点、まばゆく伸びる光は今江の下まで届いていた。
それが懐中電灯だと分かったのは、その更に後ろに立つ黒い人影が見えたときである。
呼びかけに答えたのは於保浩己であった。
離れるべきか悩んだ末、話も聞かず去るのもはばかられて今江はボートをそのまま進めることにした。

「まさかこんな形で会うとは思わなかったぜ」
近づいてやっと、懐中電灯の光にぼんやりと於保の顔が浮かぶ。
良く見えるわけではないがなんとなく表情は読み取れる。
今江にはとても不思議に思えた。於保は笑っているようだった。
「俺もそうですよ」
緊張を解くためか、嘘の仮面なのか。疑問はとりあえず留めておく。
前に立つ男は、敵か味方かハッキリしていない。
誰が信じられるかなどもう判らない。確かなのはそれだけだった。
だがいたずらに疑いをかければ疑心暗鬼の繰り返しになる。それは避けたい。

 とらえどころの無い先輩という印象しかない。
外野と内野という違いもあってか彼と浦和で話すことはほとんどなかった。
もう二軍のベテランになりつつあった於保に若い今江が話しかけることもなかったし、
於保からも特別今江に、というより若手に積極的に話しかけようとはしなかった。
マイペースといえば聞こえは良いが、いつも坦々と過ごしているようで好印象もない。
ただ時折、試合中だと言うのに外野に佇み空を眺める於保を見ることがあったのを覚えている。
その於保が、このような状況下で生き残っていた。
普段ではあまり見た記憶のない笑い顔を浮かべて、だ。

「すげえな。それはボートか? どうしたんだ、そんな物」
「海岸線で見つけました。それで乗ってきてしまって」
於保はボートを舐めるように見つめた。
次の言葉まで、何か考えるように一瞬の間が開いた。
「どこで見つけた?」
「え? 実は、元あったトコの正確な場所がよく分からなくて」

118 :Honesty(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/05(日) 01:25:54 ID:gmrF59+P0
「なんで?」
一瞬、今江が答えを迷う。ため息をつくと、頭をかきながらまた口を開く。
「実は……乗ったまま寝てしまいまして、流されてしまって、それで」
「気づいた時には海の上ってか?」
「ええ、まあ」
「ククク」
笑いをこらえきれない様子の於保。今江は顔から火が出そうになった。
 呼吸を整えると、於保の顔が急に引き締まる。
「ありがとう。気が紛れたよ」
「え?」
声の調子まで低く、どこか悲しげに変わる。
それに驚いて今江が於保を見つめると同時に、於保は顔を背けた。
「どうかしたんですか?」
「いや、なんでもないさ」
そう言って額に手を当てると、完全に体は今江に背を向ける形になった。
自分を警戒していないのかと、今江の方が思わずたじろぐ。
まだ体を低く構えている今江とは対照的に、そのときの於保は完全に無防備である。
両手には、電灯以外には武器になりそうなものどころか何も持っていなかった。
「攻撃しないのか? やるなら今だぞ」
「ええ?」
疑問を反射したかのような於保の言葉。今江は更にたじろぐだけだった。
「もう、どうでもよくなっちまったよ」
背中越しに聞こえる於保の声は淡々としていて、逆にそれが寂しそうでもある。
ひどくだらしなく、まるでなで肩のようになった両肩に無力感が漂う。
「於保さん、何かあったんですか?」
首を振る。無言の返事だ。
「於保さん!」
少し語気を荒げる。何か今江を駆り立てたのだろう。
力なく落ちた肩が、まるでついさっきまでの、いや今の自分を見るようで。

「黒木さんが、死んだ」
「え……? そんな! だって、さっきの放送では!」

119 :Honesty(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/05(日) 01:26:18 ID:gmrF59+P0
つい一・二時間か前の放送で、その名前は呼ばれなかったはずだ。
黒木知宏、その人のことなら誰もが知っている。
怪我をしてからずっと浦和で頑張っていた。誰よりも熱心にリハビリに励んでいた。
若手にも積極的に話しかけ一軍の選手より信望も熱い存在で。
言い方は悪いが、丁度それは目の前の於保とは対極の姿でもあった。
「ゲームが始まってから、俺は内と一緒に行動してたんだ。
 今日になって黒木さんを見かけて追って行ったら、スタジアムに着いた」
「え?」
"スタジアムに着く"というその突飛な展開に思わず声が出る。
しかし於保は気にすることなく坦々と言葉をつむぐ。

「黒木さんは運営側の内通者だったんだ」
「そんな!?」
「もっとも、脅されて仕方なくやっていたらしい。
 でもな、結局黒木さんは抵抗した。最後の最後でボビーに歯向かった」
思わず安堵のため息をつく。於保の口から語られる言葉に、胸の動悸は高まっていた。
その緩急に、徐々に今江の緊張と平静は緩んでいく。
於保の言ったこと。黒木の裏切りと、その訂正。
今江のひそかな期待を否定し、そのあとに期待通り安心させる。
簡単なアメとムチ。心の信じたがる方向に展開すれば、その話を徐々に信じ始める。
「運営側と撃ち合いになった。俺もその場で、黒木さんのすぐ傍にいた。
 だけど、だけど…」
於保が言葉を詰まらせる。
そうして作られた間に今江は引き付けられる。
「俺の目の前で、黒木さんは撃たれて死んだんだよ。
 俺の……目の前で……!」
両腕を抱えるようにして於保は叫ぶ。
そしてひざから崩れ落ちた。背中越しで表情は見えなくても、肩が震えるのは分かる。
今江は於保の感情と、そこにあったであろうストーリーを補完した。
「俺も同じです。直さんと、福浦さん……何もできなかった」
目の前で、そう、清水直行も福浦和也も彼の目の前で死んでいった。
結局何もできずに、それを見ていることしか出来なかったのだ。

120 :Honesty(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/05(日) 01:27:02 ID:gmrF59+P0
「今江……だけど、俺のせいなんだ。黒木さんが死んだのは。
 そうだ、俺が黒木さんを殺したんだよ」
「責めないでください! 何があったか知りませんけど、俺だって……
 俺が馬鹿じゃなければ、あの人達が死ぬことなんてなかった」
もし川井の企みを前に行動を起こしていれば、福浦を一人にしなければ。
自分のせいだと何度も責めて、打ちのめされた。
それは於保にというより、今江自身への言葉。しかし今江は気づかない。
まるで自分を励ますように、必死で於保へ訴えかけた。

 今江の身に起きたこと。それによって彼の思うこと。かけるべき言葉。
全く憎たらしいぐらい的確だな、と於保は思った。
最後に一言。また悲しそうに声を震わせて。
「でもさ、内が黒木さんの死んだ場所にいたんだよ。
 あいつは俺を責めてた。恨んでた。俺が黒木さんを殺したんだって。
 スタジアムから逃げるときに散り散りになったけど、もし次に会うことがあれば」
頭を抱えて、更に背を丸めてみせる。
心配そうな今江の声が響く。
「於保さん……」
「だから俺はどうでもよくなってしまったんだ、もう……」
ボートの樹脂製の船底と、靴の摺れる音がする。
その後にドサッという音がして、足音が近づいてきた。
「於保さん、俺もずっとそう思ってました。
 もう自分が生き残ってる意味なんて何にもないんやって」
ボートから陸に上がった今江は、うずくまる於保の背後に立つ。
於保は何も言わずに、今江の言葉を待っているようだった。
「黒木さんも、最後まで抵抗したんでしょう。
 なら、生き残った俺達はもう簡単に諦めたらいかんと思うんです。
 どんなに辛くても」
「今江」
於保が下を向いたままで、今江の目を見ず呟く。

 俺達と言った。もう完全に自分と、彼自身とを重ねている。

121 :Honesty(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/05(日) 01:27:37 ID:gmrF59+P0
自分を励まそうと気持ちを込めて。なんとも哀しいものだなと於保は思った。
「俺達、まだ何かできるのか」
「わかりません。でも俺達はまだ生きてる。それは、きっと義務や。
 内に会ったら俺からも説得します。だから行きましょう」
打ちのめされても立ち直る。資質と言うのだろうか。
少し妬ましさすら覚えた。さすがにリストに入るだけのことはある。
さて、最後に確かめなくてはならないことがある。
「今江」
於保が消え入るような声で呟く。
「嘘はついてない。信じてくれるのか」
「嘘なんて思ってません! さあ行きましょう、於保さん」

 そう、何一つ嘘はついてない。
自分はつとめて誠実に、真実だけをかいつまんで言っただけだ。
尺に触るのはバレンタインの言っていた通りに振舞ったことだ。
普通なら人間不信になるほどの体験をしたはずの今江。
それがいとも簡単に警戒を解き、あまつさえ積極的に仲間になろうとするのだ。
憎たらしいぐらいに、バレンタインの指示は的確だった。
(それにしても)
また一つ、楽しみが増えた。
この自分と違い将来性の溢れる男が真実を知ったとき、どんな顔をするのだろうか。
(内よ。早く立ち直って来い)
楽しみで仕方が無い。こらえきれない。

 於保は頷きながらまだ下を向いていた。
それは涙を隠すためでも、感動に打ち震えるのでもない。
笑いに歪む顔を今江に見られないと、必死に抑えていたからだ。

122 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 01:38:03 ID:taNs/nk40
職人様乙です!!
今江だまされてるよー今江ー。・゚・(ノД`)・゚・。
一体この先どうなってしまうんだ…('A`;)

123 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 01:42:26 ID:XQ57X87C0
職人様乙です!
ひゃあぁぁ…於保テラコワス(((;゚д゚)))


124 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 02:10:26 ID:MNgYdG+90
乙です!
すごいハラハラしながら読みました…。
早く続きが読みたい!でも、怖い!!
於保とボビーは何を企んでるんだ〜…。

125 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 08:13:58 ID:WsM/FlqLO
新作キテター!乙です!
於保こえぇぇ(((゚Д゚;)))

126 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 12:16:39 ID:kANFDqCP0


127 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 17:09:53 ID:1WwtA1IPO


128 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 18:32:19 ID:SC+Uz1wmO


129 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:19:43 ID:uwiGLKUEO


130 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:31:25 ID:+RcarqDf0


131 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:36:18 ID:QuGY6F4N0


132 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:39:28 ID:+wH+JcmT0


133 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 19:45:18 ID:UvRyJvd40


134 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 20:24:43 ID:iJjF5Pop0


135 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 20:39:01 ID:RMPWJw5D0


136 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 20:47:43 ID:XQ57X87C0


137 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 20:53:56 ID:L2ivDPhT0


138 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 21:07:37 ID:F4gDQc280




ケツの穴にらっかせい詰め込ませたら日本一だと自慢する




それが千葉人クオリティ




そ れ が 千 葉 人 ク オ リ テ ィ
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1139106833/l50



139 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/05(日) 22:05:40 ID:JjwNgXJP0
>>138
あと一文字だったのに…orz

140 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 00:00:55 ID:olog5/5GO


141 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 00:06:16 ID:JjwNgXJP0


142 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 00:08:05 ID:Yil3AEeS0


143 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 00:28:35 ID:J9Pf/8ZK0


144 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 00:47:10 ID:xq/BfPXZ0


145 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 01:25:45 ID:rQ5PNDHk0


146 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 04:01:50 ID:0XCTWSR90


147 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 04:49:54 ID:ryTkTHeJO
(´エカ`)

148 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 08:39:34 ID:6W/Akcy5O
ヌッ
壁|Д`)
壁|ノ)
壁||


149 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/06(月) 18:01:30 ID:Oro4EaxSO


150 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 00:18:56 ID:7F/a9zm60


151 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 00:38:36 ID:bXqQ9u4G0


152 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 01:25:14 ID:mGIZq1jV0


153 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 02:33:43 ID:NA4XU0T60


154 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 08:07:22 ID:lWt1SFF3O


155 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 08:16:45 ID:LN316Dnf0


156 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 09:39:41 ID:vCywEHCC0


157 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 09:50:08 ID:BYC5sUFn0


158 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 16:11:50 ID:JMu8xuSZO


159 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 16:31:46 ID:76LwqO4p0


160 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 16:40:13 ID:vCywEHCC0


161 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 16:47:11 ID:NA4XU0T60


162 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 17:59:14 ID:FNUX8PF1O


163 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 18:12:13 ID:H9bCKReiO


164 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 18:59:34 ID:HJdzuLTw0


165 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 19:56:18 ID:blVEfRn10
>>149-164
何この連係プレー

166 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 21:07:25 ID:5jcIm8Av0
おまいらw

167 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:08:58 ID:Oidm6Dd90


168 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:14:33 ID:lWt1SFF3O


169 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:24:41 ID:aRZ61lRd0


170 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:25:24 ID:/m+zF7yj0


171 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:27:11 ID:/Pu/1GLE0


172 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:35:23 ID:sJfbBjrLO


173 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/07(火) 23:54:04 ID:JMu8xuSZO


174 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 00:19:56 ID:kIa2Ge6SO


175 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 00:22:44 ID:TMkQz7nm0


176 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 00:27:46 ID:WIMZtYer0


177 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 00:54:46 ID:tvr6Dgfl0


178 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 01:05:21 ID:NLOzyM1O0


179 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 01:08:53 ID:lkUPVjb70


180 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 02:56:13 ID:3IN/qt7jO


181 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 09:49:35 ID:C90UruW00


182 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 10:37:56 ID:vA5Kok7N0


183 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 14:39:26 ID:3IN/qt7jO


184 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 18:01:54 ID:pNazbx0C0


185 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 19:59:24 ID:lzgnTAGfO


186 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 21:58:10 ID:2BxHxugAO


187 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 22:04:00 ID:g9D+01Ux0


188 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 22:10:17 ID:NLOzyM1O0


189 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/08(水) 22:21:07 ID:wTcw0pef0


190 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 00:47:34 ID:/h8gC8aPO


191 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 00:51:01 ID:fTU05JSn0


192 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 00:55:24 ID:JTuUthwS0


193 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 01:02:12 ID:v3Q1uqXfO
(`・ω・){コサッチです

194 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 06:18:06 ID:3421nsI/0


195 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 08:13:15 ID:gwvQKkel0


196 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 08:25:39 ID:Y3w1zs070


197 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 08:53:23 ID:zWRGXKoKO


198 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 08:55:53 ID:pf113XvTO
Ι

199 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 08:58:11 ID:n0ZYEcO70
B

200 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 09:15:00 ID:DpG79ESo0


201 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 18:17:40 ID:ApvneE8l0


202 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 19:02:13 ID:cTGn6zOC0


203 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 22:47:53 ID:sgCVD0Ea0
平日の千葉はライト外野すら空席多し
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1139456197/

204 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/09(木) 23:21:07 ID:dXW0nBSS0
( ^Å^)

205 :Reminder(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/10(金) 03:09:22 ID:+RCCPFrF0
 今江は切々と自分の後悔を語った。清水直のこと、福浦のこと。
川井のこと、小林雅のこと。川井から奪った生き残りリストのこと。
「リストだと!? そんなことが……、ふざけてるな!」
リストのことを初めて聞いたように於保が憤ってみせた。
「本当にあいつら信じられません。俺らをもてあそんでるんです」
「今さら驚かないさ。俺は入ってないだろうな、殺されそうになったから。
 黒木さんも……そうなんだろう?」
「はい、そうみたいです。於保さんも危ないところでしたね……」
今江がそう言って少しうつむいたのを於保は見逃さない。
少し迷っているのは、理不尽な差を告げたくないからなのだろう。
その謙虚さが美徳に見えて、同時に卑屈にも見えた。
若いくせにその気の利かせ加減が、於保にとってはじれったい。
「お前はそれに入ってるんだろう?」
今江がギョッとした顔で、於保を凝視する。そして顔が曇った。
「分かるさ。内通者の川井がお前を狙わなかったってことだろう? 雅さんも。
 なあに、気にするこっちゃない。お前と俺の期待値を考えれば、な」
「いや、俺はそういうつもりとは」
「分かってるさ。だからこれ以上その泣きそうな面は見せるな」
そう言われて今江の顔が更に崩れる。
そんな年頃だろう。もっと自己嫌悪すればいい。内心、於保はその様をほくそ笑んだ。

 腫れ物でも触るよう。目の前の藁きれを恐る恐る掴むように。
やっと得た仲間を失うまいとしているのか。だから自分の機嫌を損ねないように。
(なんだかな)
きっとまた誰かを失ったときのことでも考えているのだろう?
川井に清水直が手違いで殺され、結局リストに載ったお前だけ生き残った。
小林雅に福浦が手違いで殺されたときも、結局お前が避けられたのは他ならぬリストのおかげだ。
それを自問自答しては死んだ人間に詫びているのだろう?
(腫れ物は、お前の方だぜ)
いい気味だ。
今江敏晃の選手としての将来性。目の当たりにした人間は誰しも分かる。
遠からず、もしかすれば来年にも一軍で活躍するかも知れない。

206 :Reminder(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/10(金) 03:09:45 ID:+RCCPFrF0
その上で、この状況でまだギリギリ己を見失わずに抵抗しようとしている。
タフなやつだ。そんなお前が苦しんでいる。全く楽しいったらない。
その屈強な精神が、いつ消し飛ぶのか想像するだけで楽しみだ。
全くこうでなくては俺の人生なんて楽しくもなんともないのだから。

「それはそうと、あの船はどこから持ってきた?」
楽しみはさておき、とりあえず今江を動かさなくてはならない。
於保は海に浮かんだままのボートを指差した。
「いえ、ですからそれが分からんので」
「俺はずっと海岸線を見てたんだが、ほら、向こうの方だ。
 お前が来たのは」
そう言って於保が指差したのは水平線に対し前方やや左寄り、方角で言えば北西だ。
「向こう?」
「そうだ、向こうの方に白っぽいものが浮かんでると思ったら船だって分かってさ」
今江がバックから地図を取り出し、地面に広げる。
「ここはエリアで言うと、どこですか?」
「A−6の、えー、この辺りのはずだが」
そう言って於保が指したのはA−6のエリアでも西端の、A−5との境界線だ。
二人のいると思われる船着場が小さく記載されていた。
「俺がここより西の方から来たとすると、禁止エリアに入ってるはずですよ?」
「と言っても、境界までいくらか距離はあるぞ」
「それにしても……どれぐらい流されてたんか分かりませんが」
「エリアを飛び越えてきたとでも言うのか?」
今江の目が於保のそれと合う。
地図の上、今江の人差し指がA−6からゆっくりと動く。
その軌跡は地図を飛び出し、枠外でA−5の脇を通過して、そしてA−4へと到達した。
「脱出防止のために地図外は禁止エリアだと思ってたが」
「俺がボートを見つけたのは砂浜の海岸です。この周辺は見渡す限りそれがない。
 覚えてます。森の端で、切り株がたくさん並んでるところがあった」
今江の目に、於保と会ってから初めて生気が宿った。
地図を照らす懐中電灯のせいか、眼に確かな光を帯びている。
「もし、俺があれを見たのがA−4だったら……沖は禁止エリアと違うことになります」

207 :Reminder(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/10(金) 03:10:06 ID:+RCCPFrF0
「船があれば、逃げられる?」
二人が同時に船、ボートに注目する。
「あります」
今江が指差す。
「いや、あれでは小さ過ぎる。第一逃げたとしてどこへ行く?
 ここがどこにある島なのかは誰も知らないんだぞ?」
「確かに。でも」
於保の指摘も、もはや熟考のための材料でしかないようだ。
今江の希望に満ちた顔がはっきりと確認できる。
「とりあえずA−4から俺が来たことを確かめられれば、脱出可能かがはっきりします」
小さな期待、だが陰鬱の底にいる人間にとってそれがどれほどの光か。
明らかに表情が変わっている。
もう彼について行くしかないことは於保自身が分かっている。
そして今江は確かめるだろう、脱出の糸口を。
そうなった時に、閉塞から抜け出したとき、この男は突っ走る。
悩む暇さえ忘れて、救うことに全力を捧げるだろう。
「行きましょう」
さっと今江は立ち上がる。
その足取りは、さっきまでのうなだれていた様子が嘘のように力強い。
ただ目の前の希望をしっかり見据えて、体全体に活力が漲っている様子だった。

 それでこそ教えてやったた甲斐がある。
今は前を向いて、光を見つめていればいい。
もっとこれから先、最後の最後で絶望にくれる顔を見せてくれれば。
「ああ、行こうぜ」
於保もすぐ、今江の後を追って歩き出した。

208 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 07:47:55 ID:QapQP2I70
職人さん乙です。
持ち上げてから突き落とすつもりなのか…於保コワス
今江ガンガレ薮田たちと会えるといいなぁ(つд`)


209 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 13:23:53 ID:v4XrGwEb0
職人さん乙です

初芝のことがずっと心配な俺がいる

210 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 14:42:50 ID:QaramzDn0
於保こえっ…orz
でも…嫌いじゃない。

211 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 15:57:12 ID:LLWwpB7CO
>>210
自分も何故か嫌いになれない…。
なんでジョニー殺したんだよぉ(つД`)

212 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 21:47:15 ID:l2pJZqhr0
乙です!
今年の今江の活躍っぷりを知ってるだけに
1/3の最後の2行、なんだか切なくなりました。
もちろん、この話ではどうなるか判らないですけども…。

続き、期待してます!

213 :もう迷わずに(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/02/10(金) 22:46:51 ID:JCxBJPLg0
眠りが深くなったのか、いびきも寝言もぷっつり止まってしまった。
目の前の戸部は、何の音もたてず死んだように眠っている。
「まさか本当に死んでたりしないよな…?」
垣内はなんとなく不安になる。
あれほど騒音の種だった奴が、急に黙ってしまうと寂しい。
ふと思いついて、その辺の草をむしる。それで戸部の顔を突っついてみた。
それまでぐっすりと寝ていた戸部の表情が、あからさまに嫌そうなものに変わる。
「おー、生きてる生きてる」
反応があることが妙に嬉しい。さらに頬をくすぐってみる。
安眠を阻むものを払いのけようとして、戸部が手をばたつかせる。
その様子を見ているだけで、なんだか楽しくなる。
昔話の中の、カメをいじめる子供のような気分だった。
そこへ何者かの影が差す。垣内は振り返った。
一瞬、本気で浦島太郎に咎められるのかと思ったが、
そんな馬鹿げた発想はすぐに捨て去る。
手元のサブマシンガンを手繰り寄せ、垣内はそこにたたずむ人影を見た。
「平下」
怯えるでもなく、睨むでもなく、平下晃司が垣内を見下ろしていた。
構えはしないものの、その右手にはしっかりと銃が握られている。
あらぬ疑いと恐れで全身が汗ばむ。互いの警戒心がぶつかり合うのがわかった。
張り詰める緊張の糸。喉が渇く。周りを包む空気が重い。
「それ…」
先に沈黙を破ったのは平下の方だった。
「それ?」
平下が何を指しているのかわからず、垣内はキョロキョロと周りを見回す。
はたと、あるものに目が留まった。
「もしかして……コレ、か?」
自分の後ろで寝ている酔っ払いを差す。
平下が頷いた。

214 :もう迷わずに(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/02/10(金) 22:47:14 ID:JCxBJPLg0
「あなたが殺したんですか」
「バカ、違う違う! こいつは死んでない、寝てるだけだって」
平下の警戒はそのせいだったのかと、垣内は安堵する。
サブマシンガンから手を離す。これでようやく重苦しさから逃れられると、そう思った。
平下の真の狙いには気づかずに。警戒を解く垣内をよそに、
彼の右手が銃を握り締めたままだったのも、気に留めなかった。
「おい、戸部」
とにかく誤解を解こうとして、垣内が戸部の肩をゆする。
戸部は疎ましそうに寝返りを打って、背を向けてしまった。
「いいですよ、起こさなくて」
平下の言葉に、垣内は戸部の体から手を離す。
垣内の様子からして、何も聞いていないのだろう。
なら、寝ててもらった方がいい。ここで余計なことを言われては困る。
「見ろよ。呑気な顔してるだろ? 寝てんだぜ、これ。
 こんなところで、しかもこんな状況でさ。信じらんねえだろ?」
垣内が呆れた口調でおどけたように話す。
平下も促された通り、渋々戸部の顔を覗き込んだ。
「いいよな、何にも考えない奴はさ…って、最初はそう思ってた」
ふっと垣内の目が遠くを見る。
「こいつ、寝言で言うんだよ。曽我部、とかユウゴー、とか。もういない奴らの名前をさ。
 何にも考えていないように見えて、やっぱりこいつも辛かったんだろうな。
 自分ばっかり苦しいように思ってても、それはみんな同じだったんだよな、って」

そう、辛いのはみんな同じ。
喜多だって、他人には見せない辛さがあったのかもしれない。
隣を歩いて行く奴は誰もが幸せ上り坂、転んでいるのは自分だけ。
そんなふうに見えてしまっても、きっと誰もが心でそう思っている。
誰にも見せない涙があるのは、みんな同じなのに。

215 :もう迷わずに(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/02/10(金) 22:47:41 ID:JCxBJPLg0
「おまえもそうだろ?」
「…え?」
急に話を振られて、平下が戸惑う。
「いや、聞かないけど。ほら、ここまでいろいろあっただろ?
 辛いこととか苦しいこととか、この島に連れて来られてからに限らずさ。
 俺もトレードでこのチームに来たからな、お前の気持ちがわかる気がするんだ」
平下が目を伏せて、黙り込む。
触れられたくないところに触れてしまっただろうか。
「そういうのは……わかってても口に出すことじゃないです」
「あぁ、そうか?」
垣内が照れくさそうに笑う。
「他人にそういう弱さを見せるのは」
平下が右手をゆっくりと持ち上げる。そこにはしっかりと握られた拳銃。
「殺してくださいって言ってるようなものですから」
銃口を垣内に突きつける。垣内の顔が強張った。
暗い穴が睨みつけている。
「……冗談だよな?」
平下が平然と垣内の顔を見る。その目からは何もうかがい知れない。
静寂の中にかちゃり、と撃鉄を起こす音が鳴った。
「みんなって誰ですか。あんた、自分の意見が全てだとでも思ってんですか。
 ここには獲物か敵しかいないんです。勝手な仲間意識持たないでください」
「平下、おまえ、そん…」
皆まで言わせずにトリガーをひく。
手に返ってくる反動。垣内の眉間に穴が空く。
垣内の体が後方へ吹っ飛ばされた。血飛沫を散らしながら。
銃口から硝煙が立ちあがる。

216 :もう迷わずに(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/02/10(金) 22:48:07 ID:JCxBJPLg0
何を迷ったのだろう。
始めからさっさと撃ち殺してしまえばよかったのに。
あんな自分語りなんか、聞く必要なかったのに。
なのに、この後味の悪さは何だろう。
今まで冷淡に狡猾に過ごしてきたのに、こんな些細なことで何故。
曽我部だってユウゴーだって躊躇なく殺してやったのに。
やるべきことはわかりきっている。俺はどうしても居場所が欲しい。
だからもう迷わずに進めばいい。今度こそ、必ずここで手に入れる。

手足を放り出して、横たわる垣内を見る。
見開いた目、何か言いかけた半開きの口。全てが虚しい。
何を言ってももう届かないその耳に、平下はひとり呟く。
「垣内さん、あんたわかってませんよ。何もわかって…」
「うるせぇ、静かに寝かせろ!」
いきなり怒鳴りつけられて、ぎょっとする。
思わず振り向いた平下が見たもの、それは銃声に叩き起こされた戸部の姿だった。

【38垣内哲也× 残り16名】

217 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/10(金) 23:36:02 ID:62vP0UHnO
おいやん…・゚・(ノД`)・゚・。
戸部どうなるんだろう…(´・ω・`)

218 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 00:09:38 ID:pR6Rtf5pO
うわぁぁぁ垣内ぃぃ。・゚・(つД`)・゚・。
…と思ったら最後の戸部でワラタw
職人様乙です。

219 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 00:45:16 ID:ic8KeVi+0
職人様乙です!
垣内がああああ。・゚・(ノД`)・゚・

220 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 01:45:44 ID:70IOk6kD0
職人様乙です。
って垣内ぃ〜…。・゚・(つД`)・゚・。
戸部生`

221 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 02:17:43 ID:kRPT/dmiO
おいやん゚・゚(ノД`)゚・゚

222 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 03:11:31 ID:G4yNvs3N0
かっきー・゚・(つД`)・゚・

223 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 23:23:02 ID:8MiXOP8eO


224 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/11(土) 23:28:24 ID:ep9zOh590


225 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 10:22:35 ID:wS50Sjvt0


226 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 10:36:53 ID:t2SJ5Ut90


227 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 11:14:35 ID:6D3NGAvuO


228 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 12:55:28 ID:i6DVg8zF0


229 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 13:15:26 ID:EFo+8wLw0


230 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 14:48:57 ID:56+am1fbO


231 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 17:12:38 ID:8GBv4Y51O


232 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 17:14:31 ID:T1HVEocJ0


233 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 17:42:43 ID:YwWeWWu20


234 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 17:48:39 ID:iuk50cgn0


235 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 18:05:19 ID:s1rKR5A+0


236 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/12(日) 18:12:30 ID:i6DVg8zF0


237 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 00:19:34 ID:TpAuoYJ90
大物たちはどうなったんだろう(´・ω・`)

238 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 00:21:14 ID:FLVmAiG4O


239 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 00:51:33 ID:VUAqMpnd0


240 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 01:14:59 ID:2GB0r4SE0


241 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 01:38:38 ID:NMl55KYf0


242 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 02:02:42 ID:L4rW/3Nj0


243 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 02:32:51 ID:an/j5oD90


244 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 02:37:31 ID:VhCUR3pm0


245 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 02:46:58 ID:SRvoVVrz0
「我が忠勇なる千葉ロッテマリーンズファン達よ。
 今やロッテオリオンズ時代の大多数が、我がフロントによって球界外に消えた。
 この輝きこそ、我等千葉ロッテの正義のあかしである。
 決定的打撃を受けた堀、小宮山に、いかほどの体力が残っていようと、それは既に形骸である!
 あえて言おう、カスであると!
 それら軟弱のベテランが、このレギュラー争いを生き抜くことは出来ないと私は断言する。
 球団は、我等選ばれた優良種たるマリーンズフロントに管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。
 これ以上ベテランを使いつづけては、チームそのものの危機である。
 川崎時代の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん。
 今こそ、マリーンズは明日の未来に向かって立たねばならぬ時であると!」
    
 総帥せとやま、ア・バオアクーにて



246 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 06:40:48 ID:FLVmAiG4O


247 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 07:54:44 ID:Z28MqLsHO


248 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 08:16:49 ID:waYzUjvs0


249 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 08:18:33 ID:gRoRUdhCO
仁志

250 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 10:47:29 ID:UU28SEtAO
保管庫避難所に投下されてるの、誰か代理投下してくれないだろうか…
携帯なので代理投下できんorz

251 :夜風の中から(1/2) ◇vWptZvc5L:2006/02/13(月) 11:03:31 ID:5X3IG/nW0
進んでも進んでも似たような風景ばかり。
生い茂る草木、道ともいえない道、どこまでいっても抜けられない暗闇。
成瀬の足が思うように動かないのは、怪我のせいでも疲れのせいでもない。
彼の心が錨を引いているからだ。それでも足を止めなかったのは、
一度立ち止まれば、もう泣き崩れるよりほかなさそうだったから。
目を閉じても浮かんでくる里崎の尖った目線
耳をふさいでも聞こえてくる里崎から突きつけられた言葉。
あのとき感じたもの全てが、成瀬を咎め続ける。
あそこまで拒絶されたなら、もう里崎から離れるしかなかった。
それがせめてもの罪滅ぼしになってくれればと願う。

ふと潮のにおいが鼻についた。夜風が運んできたらしい。
雑木林を抜けて一気に視界の開けた場所に出た。
「あ、うみ…」
広がる砂浜、きらきらと月明かりを反射する水面。
心地よい波の音が成瀬を迎え入れる。
『ここです。A−4で……』
不意に聞こえる誰かの声。そっと身を隠して覗き見る。
二つの人影が見えた。小宮山と薮田だった。
『早速船が使えるか……』
聞こえてきた「船」という単語に反応する。
そのままじっと聞き耳を立てた。
『…でも、俺の記憶ではここに船を……』
(やぶたさんがふねを…とめた?)
成瀬は首をかしげる。どうも船の話をしているようだ。
聞こえてくる話をもとに、ことの成り行きを推し量る。


252 :夜風の中から(2/2) ◇vWptZvc5L.:2006/02/13(月) 11:04:47 ID:5X3IG/nW0
『そいつが他の船やどこかの島に辿り着いて、どうにか脱出手段を……』
小宮山のその一言に、一筋の光が差した。
今聞いたこと、そして初芝が言っていたことを合わせれば、出る結論はひとつ。
(ふねがあれば、ここをぬけられる!)
成瀬は確信する。
沖に出れば禁止エリアなんて関係ない。
だから初芝の言うように、漁港から船が撤去されていたのだ。
沖に逃げてしまえば、こんなゲームを終わらせられる。
『…もう少し、一緒に行動できる人がいれば心強いですね』
さらに広がる希望。自分達の事だとすぐに思った。
成瀬が駆け寄ろうとしたそのとき、急に動きが止まる。

『一緒にいられるわけないだろっ!?』

よみがえる里崎の言葉。
もしここで里崎のように、薮田や小宮山からも拒まれたなら。
里崎のように、自分があの二人を苦しめたなら。
そう思うと足が動かない。はじめの一歩が踏み出せない。
この足を押さえつけるのは、藤田だろうか、寺本だろうか。
永遠に外れることのない足かせが成瀬を苛む。
お前に向こうへ行く資格があるのかと、責め続ける。
『誰かに遭遇して…。情報交換でもできればいいんですが』
成瀬の葛藤を空回りさせるような薮田の声。
やっぱり自分は必要とされている。そこに行くべき場所がある。
あと少し。そこへ駆け寄って、自分が見たもの聞いたものを話すだけでいい。
なのに、そんな簡単なことができない。前に進めない。
すぐそこに、ほんのわずか先に、出口が見えているというのに。
自分と彼らとの間には暗く深い河がある。罪びととそうでない者の境界。
一度その河を渡ってしまったら、二度と戻ることはできない。
対岸に臨む者を置き去りに、夜風がその境界を越えていく。
打ち寄せる波が音をたて、立ち止まる成瀬をあざ笑っていた。


253 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 11:49:09 ID:UU28SEtAO
>>251-252
サンクス!

254 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 15:43:15 ID:bfIboF5CO
職人さんも代理投下の人も乙です。
成瀬がんがれ成瀬…

255 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/13(月) 22:59:12 ID:h5E9n+mO0
職人さん&代理投下の方乙です。
折角薮田小宮山と合流できそうなのに…。
成瀬負けるなー(つД`)

256 :番外 園川一美と愉快なコーチ達27(1/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/02/14(火) 07:43:31 ID:NZW4W9iW0
―バタンッ!
すでに暗闇の中に溶け込み、誰もいないはずの浦和球場で物音がした。
「遅いですよ、高沢さん。」
「・・・兼伊知か。待たせたな。」
球場にいるのは、佐藤兼伊知2軍内野守備走塁コーチ(76)だった。
「・・・まあ、それは良いんですけどね。」
兼伊知はそういって、自らの背後を指で示した。
そこには、机の脚に縛りつけられた大谷がいた。

「大谷は見てのとおり確保しましたよ。」
そう言いながら、兼伊知はナイフの平らな部分で大谷の頬を引っ叩いた。
今までも何度か叩かれたのだろう、大谷の頬はやや赤く腫れていた。
「ううっ、や・・・やめ・・・。」
「うるさいなあ。これくらいじゃ死なないだろ!!」
「ごふうっ!!」
大谷の態度に苛立ったのか、兼伊知は大谷を拳固で殴り飛ばした。
殴られた衝撃で、向き直った大谷の鼻から血が、ぽた、ぽたと垂れていた。
その様子を、高沢は何も言わずに眺めていた。

257 :番外 園川一美と愉快なコーチ達27(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/02/14(火) 07:44:32 ID:NZW4W9iW0
しばらくして、兼伊知は高沢の方を振り返った。
「で、そっちはどうなんです?こんなに時間がかかるなんて・・・、もしかして。」
兼伊知は訝しげに高沢を見つめた。
「・・・変な人に追いかけられてた。」
「は?」
「いや・・・それはいい。」
呆気に取られた兼伊知を軽く制して、肩にかけていたカバンを下ろした。
「とりあえず、例のものは取り返して来た。」
兼伊知は左手でカバンを受け取ると、ずい、と大谷の前に突き出した。
「おい、これお前のだよな?」
「ぐ・・・ふぇ?」
「とっとと答えろ!!」
兼伊知はそばにあった椅子を思い切り蹴飛ばした。
「ひいっ!!・・・そ、そうだと思います!!」
「・・・思う?」
じろり、と兼伊知は大谷を睨みつけた。
「いえっ、僕のです!!はいっ!!」
「そうか・・・。」
その答えに満足したのか、兼伊知はにやっと笑いかけた。
そして、兼伊知はカバンを丁寧に床に置くと、右手のナイフをしっかりと握りなおした。
「じゃあ、サヨナラだ。」
そう言うが早いか、兼伊知はナイフを大谷目掛けて振り下ろした。

「ひいいいっ!!」
大谷の悲鳴が響きわたった。

258 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/14(火) 11:13:17 ID:bZe9vEAN0
愉快じゃない方のコーチたち怖い…。

259 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/14(火) 19:00:18 ID:ghnCYLXo0
愉快じゃねえええ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

260 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/15(水) 01:15:13 ID:KT7gQoyq0
佐藤コーチって数年前に利き手を縛ったまま、
ノック受けさせてたコーチだよね。ハマリ役だな…

261 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/15(水) 09:06:59 ID:vcJnLpA10
ぜんぜん愉快じゃない!
兼伊知コーチこえええええええええぇぇぇぇぇぇ((((;゚Д゚))))

262 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 08:55:15 ID:KKX7nT3sO


263 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 11:41:51 ID:dZhxT5gxO


264 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 11:47:03 ID:tVtLelMC0


265 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 11:55:26 ID:Y+oYTcUkO


266 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/16(木) 20:04:02 ID:wGLWW2Im0


267 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/17(金) 05:11:14 ID:ZUMoGRToO


268 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/17(金) 14:35:55 ID:XL5jiF33O


269 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/17(金) 15:32:11 ID:vzjcdVwLO


270 :番外 園川一美と愉快なコーチ達28(1/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/02/18(土) 09:37:36 ID:CRZVuZqJ0
「ちょ、ちょっと待て!!」
今にも大谷に斬りかかろうとする兼伊知を見て、高沢は思わず大声を上げた。
「ひっ!?」
高沢の声に反応したのか、兼伊知は思わずナイフを落とした。
その弾みで、ナイフの切っ先が大谷の頬をかすめた。
「・・・っ!!」
大谷の頬からわずかに血が滲んできた。
兼伊知はへたり込んでしまい、恨めしげな顔で高沢のほうへ向き直った。
「なんですか、高沢さん?本当に刺しちゃったらどうするんですか!?」
その顔に気おされたが、高沢はやや言葉に詰まりながら、兼伊知にたずねた。
「ええと・・・、お前、・・・その・・・『本当に刺す』・・・って?」
高沢の問いに、兼伊知は慌てふためいた。
「いや、もちろんやりますよ、やりますって当然!!」
「いやそんなに強調しなくても・・・。っていうか、さすがに本当にやったらまずいだろ。」
「・・・は?」
何わけの分からないことを言っているのか、という兼伊知の表情に、高沢は当惑した。
しどろもどろになりながら、高沢は兼伊知に返す言葉を探した。
「いや、ほら・・・見つかるとまずいし・・・、あと・・・そう、後片付けも大変だし・・・。」
「まあ、そうですけど・・・。」
兼伊知はそこでいったん言葉を切り、やれやれといった表情でため息をついた。
「・・・何のんきな事を言ってるんですか、高沢さん。」
「へっ?」
「俺らの立場分かってます?」
「そりゃあ、・・・まあ・・、な。」
高沢は、兼伊知と大谷を交互に見やった。
「しくじったら、やられるのはこっちなんですよ。」
「・・・。」
そして、二人はお互いの顔をまじまじと見つめあった。

271 :番外 園川一美と愉快なコーチ達28(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/02/18(土) 09:39:19 ID:CRZVuZqJ0
一瞬の間をおき、高沢はふっと顔を横に向けた。
「まあ・・・、袴田さんみたいな事にはなりたくないよなあ。」
「そうですねえ。」
兼伊知も高沢から顔を背け、軽く頭をかきむしった。
そして再び、二人は黙りこくった。

しばらくして、兼伊知は壁にかかっている時計を見つめると、大きく息を吐いた。
そして部屋の隅で小さくなっている大谷を鋭く睨みつけた。
「おい大谷!!」
「・・・ふぇ?」
「時間が無いんだ、さっさと行くぞ!!」
「ひ・・・ひぃっ!!」
兼伊知は大谷を縛り付けている縄を強引にほどき、
首根っこをつかむと、そのまま外に停めていた車に押し込んだ。

そのやり取りを、やれやれといった表情で見届けると、
高沢は兼伊知が床に置いたカバンを拾った。
大谷が座っていたあたりがびしょびしょに濡れていたが、そこはあえて見なかったことにした。
「あれ・・・?」
高沢はカバンを持ち上げると、ふとしたことに首をかしげた。
「チャック開けたままだったっけ・・・?」
先ほどのことを思い出してみたが、どうもチャックをいじった記憶がない。
「・・・まあ、いいか。」
大して気にかけずに、高沢も後について車に乗り込んだ。

272 : ◆GDAA.BMJxc :2006/02/18(土) 09:40:23 ID:CRZVuZqJ0
>>270 は(1/2)でお願いします。

273 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/18(土) 11:59:00 ID:ADMg6qSUO
>>270-272
新作乙

何だかホッとした…

274 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/19(日) 05:51:04 ID:z895d4S70
ギャップがたまらない

275 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/19(日) 12:16:35 ID:1OND9C61O
男性差別主義者の堂本が支配する県か。
こんな差別主義者が知事になれるなんて、千葉の男はMが多いのか?

276 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 00:12:34 ID:t+cv7RDtO


277 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 12:54:43 ID:XDlkxhpD0
ロッテは韓国企業part5【在日球団】
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130725294/

ロッテドットコム(www.lotte.com)は鬱陵(ウルルン)島と独島を周回するツアー(2泊3日・24万9000ウォン)をお目見えした
ロッテ百貨店本店は今月18〜20日、小学生以下の子どもを伴った顧客の中から先着で20人に独島の写真入りタオルを無料で配る
ロッテマートの全国21か店舗は昨年4月から「独島を愛するTシャツ」を販売している
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/03/16/20050316000057.html

グループの親会社であるロッテ製菓が韓国内に設立され、食品産業の近代化と国民生活水準の向上に貢献
1965年には韓国と日本の国交が正常化し、辛格浩会長が母国韓国で初の投資事業であるロッテ製菓は、荒廃した韓国の地に新鮮な活力を与え、韓国食品産業界の改革・推進化において先導的な役割を果たしました
http://www.lottetown.com/japanese/intro/intro_4.jsp

日本のロッテの「本社」と思っていたものは、
http://www.lotte.co.jp/cp_compa.html
韓国のロッテ製菓の「海外支社・東京事務所」だった
http://www.lottetown.com/japanese/room/room1_1.jsp

オーナーは誰なんでしょう?
http://www.lottetown.com/japanese/intro/
「辛格浩」さん 
http://www.lotte.co.jp/cp_greet.html
日本のロッテのオーナー「重光武雄」さんそっくり…じゃなくて、辛格浩さんは重光武雄さんという日本名も持っている

韓国プロ野球4球団の監督を歴任した金星根(キム・ソングン/63)氏が、日本プロ野球千葉ロッテマリーンズの1・2軍巡回コーチになった
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/12/05/20051205000031.html
「日本通」で知られる千葉ロッテの金星根(キム・ソングン/64)コーチがワールドベースボールクラシック(WBC)で日本を破る秘策を披露した
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/04/20060104000055.html

ロッテのV納会は、韓国の済州島でw
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-051124-0026.html
ロッテファンはロッテジャイアンツでも応援したら?マスコットもシンボルマークも同じw
http://www.h6.dion.ne.jp/~k-bb/frame-lg.html

278 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 23:12:11 ID:/H6mDqw/O


279 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/20(月) 23:57:27 ID:eza7Whmb0


280 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 00:22:21 ID:+xgDqNDJ0


281 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 00:27:45 ID:oftkZcTN0


282 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 00:40:13 ID:r1AGiK/B0


283 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 00:49:03 ID:yAn9GJta0


284 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 08:03:03 ID:VATe+xF2O


285 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 09:58:53 ID:jh0eUpOk0


286 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 14:33:52 ID:7y1WkhAy0


287 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 14:49:12 ID:rIC7QQEd0


288 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 14:55:03 ID:+xgDqNDJ0


289 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 15:47:28 ID:Qvu3UiLg0


290 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 17:45:56 ID:jh0eUpOk0


291 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 18:28:47 ID:Lwe7bdEUO


292 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/21(火) 22:19:42 ID:APcbUIb80
>278-291
どういう意味だ・・・

293 :Fumble(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/22(水) 02:02:18 ID:NJFK/piP0
 暗闇に隠された地面のへこみに右の足が取られる。
「ぐあっ……!」
よろめくと決して軽くない体重が全て右足へ移った。
右ひざはまた悲鳴を上げた。喉から漏れた呻きはそれを代弁しただけだ。
体が崩れ落ちるのを残った左足でなんとか支え、引きずるように前へ進む。
里崎智也は目を見開き、脂汗を顔中に浮かべてよたよたと歩く。痛みに歯を食いしばる。
とにかく進む、できるだけ背中の向く方と逆に逃げることだけを考える。

 目の前の茂みが開け、道が現れた。
しばらく迷って、これ以上へこみだらけの道を歩く嫌さが勝った。
狭い道をびっこ引き気味に歩く。途中、何度も振り返った。
代田から逃げること。手負いの自分にはどれほどの困難だろう。
初芝が時間を稼いでくれている。結局は助けられてばっかりで散り散りだ。
それならせめてと、子供のような彼を導いてやろうと思ったのに。
仲間であったはずの成瀬と、肩を並べることさえ出来なかった。
体だけではなく心までも不自由にしか動かない。怪我をしているのだと思った。
いまは自分一人だけで怪我が癒えるのを待つしかないかも知れない。
痛みで鈍くなる一方の思考が、そんな屁理屈をこねた。
里崎はそれをそうだと自分に言い聞かせて、また成瀬のことを思いやる。
「成瀬、大丈夫か」
心の底から身を案じられる、それは紛れもない本心のように思える。
みんなで生き残るのだ。追い込まれた人も、みんなひっくるめて。
誰にも誰も殺させない。それが死んだ寺本への誓いだ。
そして、その寺本を手にかけたのは紛れもなく成瀬らしい。
どうにもならない自分の心が、かき乱されて歩みを止めてしまいそうだった。
髪をかきむしる。いつまでたっても自分の心がうまく掴みきれず、お手玉を続ける。
無性に叫びたかった。もし、代田の追ってくる恐れさえないのなら、だ。

 どれぐらい歩き続けただろう。周囲の景色が森から、木のまばらな雑草地になった。
人里が近いのではとにわかに期待する。
右ひざは以前よりも痛みが増し、鉛でも流し込んだように感覚は鈍くなっていた。
聞いたことがある。あまりに長く激痛が続くと、人間は脳内麻薬を出して痛みを抑えるのだ。

294 :Fumble(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/22(水) 02:02:41 ID:NJFK/piP0
早くそれが起こらないかと、心待ちにしながら耐えている。
そういえば痛みは当初より気にならない。
だが呼吸の一つや体全体を覆う苦しみは同じだった。
「はん、単に痛みに慣れただけか」
独り言がむなしく響く。辺りは人どころか動物の気配もなく静かだった。
「?」
ふと、遠くの方からどこかで聞いたような音がした。
最初、それは小さな砂が流れるように聞こえた。か細い音だ。
「波……?」
時折耳に寄りそうようにその音が響いてくる。
不思議と痛みと苦しみが忘れさられた。
そういえば寺本四郎に初めてあったときも、遠くから波の音が聞こえていたなと思い出す。
里崎の足は、自然と波の音のする方に向かった。
 しばらく歩くと、木々の合い間に夜の海が見えら。
里崎のいるところは高台で、合い間からでも見晴らしは良い。
それにしばらく見とれていると、もう少し傾斜を下った先に建物が見えた。
周りに家もなくポツンと立つその一階建ては、プレハブ造りのようだ。
あそこに隠れて一休みしよう。
里崎は再び歩き出した。

 プレハブの近くまで来ると、それはどうやら何かの倉庫のようだった。
最初に目測したよりも敷地は大きい。家一軒ぐらいならスッポリ収まりそうである。
灰色のシンプルな外壁は、ところどころ塗装がはがれそれなりの年月を感じさせる。
正面の大きなシャッターの前には大型車らしきわだちが残っている。
シャッターこそ完全に閉まっていたが、脇の通用口に鍵はかかっていなかった。
中に入ってドアを閉めると、里崎は電気を点けずにその場に大の字で横になる。
大きくため息を吐くと、しばらくぶりに緊張を解く。
「ふああ、はああ」
この後どうするか、横になりながら里崎は思案し始めた。

「……で、……すかね?」
「……ないよ」

295 :Fumble(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/02/22(水) 02:03:05 ID:NJFK/piP0
飛び起きる。紛れもない人の声だ。
「外からだ」
休憩も束の間に立ち上がると、通用口の隙間から外を見る。
揺れる人影が2つ、徐々に大きくなる。こちらへ向かっているようだ。
扉を閉めると鍵のつまみをひねる。何も音がしない。
「開いていたはずだ! 鍵が壊れてるんだ」
そっとドアを閉める。今さら出て行くわけにも行かない。
やり過ごすしかないと、里崎はよたよたと倉庫の奥へと歩き始めた。
話し声はなおも近づいてくる。ドアと反対の方に来てにうずくまる。
倉庫に入って来ないように里崎は祈った。が、祈りも空しく扉は開いた。
「暗いな」
「電気のスイッチはあるんですかね」
どこかで聞いたような二人の男の声だった。
懐中電灯の光らしきものが壁を縦横無尽に走る。
倉庫内に大きな物体があるらしく、奥にいる里崎にそれは届かなかったが。
「ん?これは……」
その物体の概観を懐中電灯でつかんだらしく、二人はヒソヒソと話し始めた。
「そうだな」
「いけますよ! これでみんなで脱出できます!」
「焦るな、まだ色々と確かめる必要があるだろう」
里崎の体から力が抜ける。"みんなで脱出できる"と言っている。
その言葉は、少なくとも人を殺めてでも生き残りたい者の言葉ではないはずだ。
これなら見つかっても、いや、早めにこちらから呼びかけた方がいいだろう。
懐中電灯の光が地面を照らしながら、大きな物体の陰から里崎の方へ近づいてくる。
あらぬ疑いをかけられる前に呼びかけよう。
そう思い、里崎が立ち上がった瞬間、背中が何かの出っ張りに触れた。
パシャッという音と共に、倉庫内に白色灯の明るい光が広がる。
里崎の背中と壁に挟まれたスイッチはオンになっていた。
そこにいた三人はお互いに、正対する人影を見て泡を食った。
「おおお、お、俺はダイジョウブ!俺はダイジョウブ!」
思い切り手を上げて叫ぶ里崎を、今江敏晃と於保浩己がギョッと見つめている。
その三人の横には、ゆうに両手ほどの人数は乗れそうなクルーザーの船体が淡く照らされていた。

296 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/22(水) 02:24:04 ID:M1kPLsxq0
職人さん乙です!
サト頑張れ!

297 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/22(水) 08:08:12 ID:4wJ7X1RQO
職人様乙です!
サトも騙されちゃうのかな…この先が怖えぇぇ

298 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 08:50:47 ID:gxz1HXPuO


299 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 09:35:00 ID:8ITByaom0


300 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 12:28:59 ID:N6cyMkgMO


301 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 14:29:05 ID:gopvaV0a0


302 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 15:05:59 ID:LxxRrSaSO


303 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 15:48:12 ID:zuS2nU5s0


304 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 16:56:47 ID:44wbX1Vg0


305 :尋ね人(1/2) ◆vWptZvc5L. :2006/02/23(木) 20:17:12 ID:hKX1/JG+0
A-6へ行くには一旦海辺を離れて、雑木林へ戻らなければならない。
既に禁止エリアになっているA-5を避けるためである。
「境界がはっきりしないから、余裕を持って動いた方がいいな」
地図を見ながら小宮山が言う。薮田もそれに同意した。

「薮、田…?」
いきなり誰かに呼び止められて、薮田は振り向く。
「山下さん!?」
そこにいたのは山下徳人だった。
山下には途中までスタジアムへの道を案内してもらった。
家族の元へ帰りたいと言った山下。薮田も少なからずその身を案じていた人物だった。
「無事やったんですね」
薮田が表情を緩める。
山下が駆け寄ってくると、小宮山は警戒するような眼差しを見せた。
「コミさん、大丈夫です。この人は…」
薮田が説明しようとするや否や、山下は急に深々と頭を下げた。
「すまなかった。6時の放送を聞いた。あれ、お前が何かやったんだよな?
 助けに行くべきか迷った。でも結局そんな勇気が無くて……本当にすまん。
 弱い人間だよ、俺は。そうやってグズグズしてるうちに、お前は死んだんだとばかり…」
「もういいんです。やめてください」
山下に優しく話しかけ、頭を上げさせる。
「コミさん、わかるでしょう。運営側の人たちも皆が皆、
 好きでこんなことやってる訳やないんです」
「……あぁ、そうだな」
山下の真摯な態度に小宮山も警戒を解いた。
同時に薮田という男の器の大きさに感心させられる。
いつのまにこんなに頼もしい男に成長したのだろう。
「山下さん、もしかして、あそこに泊めた船について何か知ってますか」
わずかな望みを胸に薮田が尋ねる。
「いや、何も…。どうかしたのか?」
期待したような答えは返ってこなかった。薮田が肩を落とす。

306 :尋ね人(2/2) ◆vWptZvc5L. :2006/02/23(木) 20:18:03 ID:hKX1/JG+0
山下は何かを探すように辺りを見回した。言いづらそうに切り出す。
「愛甲さんは…?」
薮田が黙り込む。うつむいて、力なく首を振った。
またその悔しさを思い出したのか、きゅっと唇を噛む。
聞かずとも薄々感づいていた答え。辛いことを思い出させたかと、山下は悔やむ。
「そうだ、これを見てくれないか」
薮田の気を紛らわせようと、山下は薮田に探知機の画面を見せた。
小宮山も脇から覗き込む。そこには14という数字のみが映っていた。
「これは、俺がお前を探すために持っていた探知機だ。
 選手が飲み込んだ発信機の位置が、背番号で表示されるようになっている。
 死んだ人間の番号は表示されない。今映っているのが、この場所を拡大したものだ」
「ってことは、この14がコミさんの位置……」
そこで薮田は気づいた。
「俺は…? 20番は?」
「そうなんだ。だから、俺はお前が死んだと思ってたんだ。
 でも、お前は生きている。だとすれば、考えられる原因は一つ。
 発信機の異常だ。おまえ、何か発信機が壊れるようなことでもしたか?」
「壊れるようなこと…? あっ…!」
自分が吐き出したという金属塊を、愛甲が持っていたのを思い出した。
あれが発信機の正体だったのだろうか。愛甲はそれを落としたと言っていた。
壊れたとすれば、恐らくそれを落としたことと関係あるのだろう。
「心当たり、あります」
「なら、そのせいだな。よかったよ、お前が無事で。
 俺、お前にまだ恩返ししてな……」
――『ぎゃああああああぁぁぁぁーーーーっ』
突然、やけに高い悲鳴が響いた。話が中断される。
「薮田っ!」
小宮山が目配せをする。薮田もうなずいた。二人はすぐに悲鳴がした方へと駆け出す。
山下ははっと思いついて、探知機にその方向を表示させる。
そこには6という赤い数字が映っていた。

307 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 20:34:47 ID:N6cyMkgMO
職人様乙です!!!
ハラハラドキドキな展開ですね…続きが23しく気になる!

308 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 21:21:00 ID:CUOQEBWA0
職人さん方、乙です。
サトに、6番のあの方…どうする?どうなる?!
続き楽しみにしてます。

309 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/23(木) 23:05:48 ID:6UafVHIG0
や、薮田ファイト!!続きがフクーラしく気になるよう!

310 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 02:45:04 ID:MBekTR1IO
初様…どうなるんだぉぉ

311 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 10:50:54 ID:Lo77qeux0
初芝初芝初芝!!!なんとかいきててくれよ!!!11111

312 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 20:39:40 ID:R0MVz/zG0


313 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 20:52:10 ID:kwShEX0BO


314 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 22:29:32 ID:fWLWTiBIO


315 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 22:52:37 ID:T30DdzDW0


316 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/24(金) 23:40:01 ID:geovzVgm0


317 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 00:23:47 ID:NhD3+06E0


318 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 00:26:00 ID:QW40hWdT0


319 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 00:42:08 ID:APzw1PlTO


320 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 01:41:14 ID:y2+Dy6gz0


321 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 02:59:53 ID:qEGJJMrlO


322 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 11:29:01 ID:nkNJyi64O


323 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 14:53:23 ID:BvDzXgXF0


324 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 15:09:43 ID:m3edLkKsO


325 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 15:53:34 ID:HtEkj3Wl0


326 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 17:09:08 ID:NhD3+06E0


327 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 17:30:58 ID:PjxAtcPfO


328 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 20:31:37 ID:5yOXTFaw0


329 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/25(土) 23:01:29 ID:ADKJLccb0


330 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 02:23:35 ID:p9SOgepAO


331 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 06:47:14 ID:fkKHyiHv0


332 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 09:30:56 ID:FN+gt9kO0


333 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 10:23:33 ID:6Ikfa+J70


334 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 12:04:31 ID:XwhR4cY7O


335 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 13:03:51 ID:EZT0IJEJO


336 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 15:17:47 ID:ZHpUQFwm0


337 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 17:42:18 ID:5rS9Dlw40


338 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 20:49:27 ID:EnN+Kw2cO


339 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 21:04:49 ID:nvhrO9cF0


340 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/26(日) 22:01:40 ID:tYYucaro0


341 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 00:09:13 ID:+WFBLTwk0
>>312-340
GJ

342 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 06:47:26 ID:7qD4oIUQ0
保守のときも楽しみが絶えないな



343 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 07:48:03 ID:KYknEJvkO


344 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 11:49:35 ID:cliXsp6i0


345 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 12:37:07 ID:Ehj+OeDf0


346 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 13:31:58 ID:JQo2K0n20


347 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 15:05:12 ID:kl2bz4+e0


348 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 17:34:31 ID:bUYw1TXL0


349 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 18:11:07 ID:TEacL71R0


350 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 18:22:16 ID:Ehj+OeDf0


351 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 19:32:18 ID:nmyJck5a0


352 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 19:54:35 ID:pbrmnVP40


353 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/27(月) 22:33:35 ID:FRfK6Da20


354 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 00:21:16 ID:j73jdpJe0


355 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 00:52:57 ID:Wsw0Lho40
!

356 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 02:51:00 ID:/DqXlFKV0


357 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 04:37:33 ID:t2Qb35KF0


358 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 07:45:08 ID:9Xr/fapNO


359 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 09:09:23 ID:d8OjhSjqO


360 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 13:31:32 ID:ZjXshJ9RO


361 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 15:09:31 ID:8FnAFgCO0


362 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 17:28:19 ID:lX4WCSVI0


363 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 17:32:00 ID:MtVSoE4Q0


364 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 22:56:25 ID:d8OjhSjqO


365 :代打名無し@実況は実況板で:2006/02/28(火) 23:02:34 ID:tQdQDqQ00


366 :Realist(1/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:11:04 ID:noJ1y/RX0
 静止したままの里崎智也。その向かいの二人は事態を飲み込むのに数秒を要した。
まず今江敏晃が動いた。サッと腰を落とし身構える。
徒手空拳で両手を天に、怯えを含んだ里崎の表情は完全に無抵抗のそれである。
しかし油断はすまいと、その一挙手一投足に注意を払う。
その様子に里崎は唾をゴクリと飲み込むだけだった。
(なんとか信じてもらうには…)
今以上に攻撃の意思が皆無なことを示すには、と思考を巡らせる。
"みんなで脱出できる"という言葉の通り、里崎の存在を認知してもすぐに殺そうという風ではない。
しかし肝心の自分が彼らに信じてもらえるか、そして彼らを本当に信じられるかは分からない。
まずは信じてもらわなくてはいけない。それを確かめる方法を、里崎はそのままの体勢で模索する。
「もういいだろ。一緒に来るか?」
横から飛んだその声に今江の体がビクッと反応する。
同時に、里崎はその言葉に慌てたように頷いた。
「さっきの言葉、信じてもらわんと始まらんよなあ、サトよ。
 どうだ? 今江よ」
於保浩己が一歩前に出ると、今江と里崎の間で両手を広げて見せた。
今江の体から力が抜け、警戒を解く。それを見て里崎が安堵のため息をついた。
両手を下ろすと、里崎は於保に向き直った。
「ありがとうございます、於保さん」
「なに」
於保は片目をパチリと瞬きし、愛想よく笑って見せた。

「代田さんが?」
「ああ、襲われて、こっちへ逃げてきた」
驚く今江に、里崎は真剣な目で答える。
倉庫の中にあった小さな机の上に地図を広げ、二人は正対するように座っていた。
「しかし代田さんは参加してなかっ…」
「いや」
そこに、すぐそばで小窓から外を見ていた於保の声が割って入った。
「スタジアムで見たよ。あれは確かに代田だった。恐ろしい殺人兵器になってやがった」
「そうです! 話が全然通じなくて、ただ殺そうと向かってくる。
 ただ逃げるしかなくて、散り散りになって」

367 :Realist(2/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:11:33 ID:noJ1y/RX0
「誰かと一緒にいたのか?」
「あ、はい。初芝さんとそれから……成瀬と一緒にいたんですが、離れ離れになりました」
里崎の顔がにわかに曇る。
今江にはそれが仲間の身を案じる様子にしか見えなかったが、於保は僅かな変化に気づいた。
(一緒に行動していたのは知ってたが、成瀬の名前を言うときおかしな顔をしたな。
 なぜだ? ……あ、そうか)
今江には気づかなくて当然かも知れない。里崎のそれは後悔を噛み締める時の顔だ。
一端の理想を持った人間が、それと食い違う現実の自分に相対してしまい自分自身を責める顔だ。
(さっき今江がしてたような顔か)
「俺達も色々あってな、今は一緒に行動してる」
「色々? あ……話したくなければいいですが」
於保の言葉に里崎が返す、それと同時に今江の表情が少しだけ険しく悲しげになった。
「実は……」
今江は自分にあったことを順繰りに話し始めた。
(ん?)
そのときである。於保の見ている窓の向こう、茂みの間に何かが動いた。
照明は点いたままである。光は数少ない小窓から外に漏れている。
誰かを呼び寄せてしまったのか、確かにチラチラと人影が動いている。
こちらの様子を遠巻きに窺っているようだった。

「すまん、トイレ行ってくるわ」
今江が話始めてまだ間もなかったが、於保はその場を立つ。
そんな於保に一瞬気を留めるが、すぐに今江は中断した話を再開した。
しばらく歩き、静かに通用口のドアを開け外に出る。
うす暗闇の中、於保はバッグを探る。取り出したのはトランシーバーである。
「もしもしこちら51だ。聞きたいことがあるんだが……今、俺のいる近くで……
 ……そうだ、今江と里崎以外でこの辺を……、……ほう」
於保がニヤリと笑うと、人影のいた茂みへ歩き出した。

 彷徨ってたどり着いたのは、大きな倉庫らしき建物の前。
いくつかの小窓に柔らかい光がのぞいている。その電灯の光に引かれてやってきた。
誰かがいる可能性がある。敵になるか味方になるか分からないとはいえ。

368 :Realist(3/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:11:57 ID:noJ1y/RX0
思い切って飛び出してみようか、しかしその度に里崎の声が心に刺さる。
「そうだ、ぼくと、いっしょにいたいひとなんて」
例え運営側への反抗を決意し、仲間を集めている人間だとしてもだ。
そんな人間たちが、いやそれなら尚更、罪を犯した自分を認めてくれるだろうか。
信じて、くれるだろうか。
そう思うたびに、成瀬善久の足は止まり林の中へと引き返そうかとも思う。
しかし心細さからまた足は倉庫の光まで戻ってくる。
さっきからずっとその繰り返しだ。
行ったり来たりを繰り返し、結局はその場の地面を何度もならしただけなのだ。
「ぼくわ……」
「どうした、そんなところで」
ハッと振り向く。横からしたのは人の声だった。
足音など微塵も感じなかったはずだ。
声のした方を見れば誰かが立っている。距離はおよそ3mか。
近い。成瀬は動転するあまり足を滑らせ、尻餅をついた。
「あわっ!」
「驚くなよ、成瀬。俺だ、於保だ」
「……おほ、さん?」
知った顔だ。彼にとっては一軍の選手よりなじみがある。
少し安心して成瀬はそそくさと立ち上がった。
「こんなところで何してる?」
「えっと、その……」
 たどたどしい説明だったが、成瀬は代田に襲われて逃げてからの一部始終を話した。
於保はそれに相づちを打ちながら、時折笑いかけるように質問をする。
それが成瀬に少しずつ安心感を与えていた。
「それで里崎と揉めて、それで離れ離れになったのか。なるほど」
「なるほど?」
「ああ、いや。つまりお前は里崎と仲直りしたいんだな?」
「そうです。それで、ふねがあればにげられるっておしえて、みんなでにげるんです!」
成瀬は精一杯の元気を出して声を張り上げた。
まるで自分を鼓舞するかのように、大げさに両腕を地面に向かって伸ばしながら。
「ふうん。分かった」

369 :Realist(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:12:21 ID:noJ1y/RX0
於保は何やら考え込むと、おもむろにバッグの中に手を突っ込んだ。
何を出すのだろうと成瀬はその様子を見つめる。
手が袋からゆっくりと出てくる。
「はっ!!」
「まだ、早いんだよなあ」
うす暗闇に僅かに輪郭が見える、その形は紛れもなく拳銃である。
手に持たれたそれの、銃口がゆっくりと成瀬に合わされる。
「や、やだ、やだ。なんで」
「会わせたくないんだよ。 あいつが逃げられる事実を知るのはまだ早い。
 お前に会うと余計な混乱を起こしそうな奴もいる。だから」
「な、なにがですか」
銃口が火を噴いた。乾いた音が耳を突き抜ける。
瞬間的に身をかがめた、数秒、しかし成瀬の体に痛みはなかった。
「え?」
ふと顔を上げると、銃口は彼の体よりやや上を向いている。
弾丸は頭のはるか上を通り過ぎたようだった。
「ほれ」
於保が銃をポイと投げた。
それはゆっくりと放物線を描き、成瀬の手の中へ。
思わず、慌ててそれを掴み取る。火薬の弾けた銃身が熱くてあたふたとグリップを握る。
両手で銃を握り、その銃口は於保の方を向いた。
「それに弾は入ってない。わかるか?」
「へ?」
倉庫のほうから物音がした。勢いよくドアの開いた音だ。
それを聞くと於保は思い切り息を吸い込む。
「うわあああああああ! 助けてくれええ!」
いきなり金切り声を上げると、於保は後ろを振り向く。
「於保さん!」
倉庫のほうから二人の人影が走ってくる。
わけのわからぬ成瀬を尻目に、於保は振り返るとまたバッグに手を突っ込む。
拳銃がもう一つ。成瀬の顔がひきつり、於保はニヤリと笑った。
「これには弾が入ってる。わかるか?」

370 :Realist(5/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:12:42 ID:noJ1y/RX0
逃げるしかない。成瀬は於保に銃口を向けた格好のまま後ずさる。
弾が入っていないと聞いても、無意識に威嚇としてその体勢になっていた。
於保は腰の辺りから銃を向けている。
いつまた、今度は自分めがけて弾丸が放たれるか分からない。
成瀬が身を翻して逃げようとした瞬間、向こうから声がした。
「成瀬!」
「……っ! さとざきさん!?」
里崎から見える風景はどんなものだろう。
銃声とその後に於保の叫び声、現場に駆けつけたときそこにいたのは別れた仲間だ。
成瀬が銃を構え、それを於保に向けている。
「お前、何を!?」
「あ、あ」
走り寄る里崎、彼に背中を向けて於保は銃を構えている。
里崎からは於保の腰辺りにあるその銃は体に隠れて見えない。
成瀬には里崎の思ったろうことが推し量られて、同時に於保の目がカッと見開かれる。
悪寒が走る。ここに留まれば今度は確実に撃たれるだろう。
それを感じた成瀬に、これ以上その場に留まることなど出来なかった。
飛び込むようにして茂みに消えた成瀬。それを見て於保は即座に銃をバッグにしまう。
「成瀬! おい、成瀬!」
里崎が於保を追い抜いて茂みの前に立ち尽くす。既に成瀬の姿はどこにもない。
ただ急いで走っていくような、枝を折る音が遠くに消えていった。
「於保さん、大丈夫ですか?」
今江が尋ねると、於保は胸に手を当てながら頷く。
「外れてたよ。助かった」
「てことは今の銃声は、やっぱり成瀬が?」
「そんな! あいつが人を殺そうとするなんて!」
張り上げた里崎の声はかすれていた。大きな体が縮まっていくのがわかる。
「そんな馬鹿な、成瀬が於保さんを殺そうとするなんて、ありえない」
里崎が呟く。肩が震えている。
今江には何も声をかけることができなかった。
「確かなものなんて、このゲームでは何もないのかも知れないな」
於保が悟ったように、遠くを見ながら言う。

371 :Realist(6/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/01(水) 03:13:18 ID:noJ1y/RX0
「サト、生き残りリストの話は聞いたか?」
「……ええ、丁度それを今江に見せてもらうところでした」
「リストに載ってたって、運営側の奴らにちょっとした手違いで殺されちまう。
 直行も、福浦もだ。こんな狂ったゲームの中で、信じられるものなんかないのかも知れない」
今江がハッとしたように顔を上げ、横にいる於保の方を向いた。
於保は里崎の方を見ていたが、里崎は背中を向けたままだった。
「だったら……、俺たちがここにこうしているのだって無意味じゃないですか!
 俺たちだって殺し合うかも知れないって、そう言いたいんですか!」
「違う。だからこそ、現実を直視しなくちゃいけないんだ。
 思い込みに囚われていては辛い思いしかしないぞ。今のお前のように」
今江は於保の表情をただ見つめている。
里崎はまだ背中を向けたまま、しかし肩の震えはゆっくり収まっていった。
「しかし……成瀬は人を殺すような奴じゃ、人を殺す……あ……
 ……そんな」
「さあ、戻ろう。俺たちにはあの船を使ってやらないといけないことがある」
三人の周りを囲む茂みが、一瞬風に吹かれ静かに音を立てた。

「ちがう、ちがう……」
枝が体中に突き刺さって痛い。
しかしあのときの里崎の顔を思い出すたび、その痛みが吹き飛ぶほど心が苦しくなる。
於保は確かに自分を殺そうとしていた。思い出しても恐怖が背中を突き抜ける。
しかしそれよりも里崎が、あの自分の姿を見て何を思ったのか。
「ちがう、ぼくわなにも」
また心が締め付けられた。それを思うと、どこかへ逃げずにはいられなかった。
もし会って、自分が人殺しに戻ったのだと思われていたら。
それを思うと里崎と顔を会わせることが何より怖くて苦しくて、耐えられない。
もう取り返しがつかないのではないかと頭に浮かぶ度、息の仕方を忘れるほど苦しい。
どこへ行くとも知らず、成瀬は林の中を走っていった。
視界がぼやける。また泣いているらしかった。

372 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 03:47:48 ID:aPz0SnR5O
職人様乙です。
な、成瀬…、
。・゚・(ノД`)・゚・。

373 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 03:48:45 ID:EJ7A1Hdm0
職人様乙です!
成瀬……サト……。・゚・(ノД`)・゚・。コレイジョウスレチガワナイデ

374 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 07:47:47 ID:iLqFZi4GO
職人様乙です!
於保…もうヤメテ…orz

375 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 15:42:19 ID:S0+rIJGvO
於保のばかぁ〜・゚・(ノД`)・゚・

376 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 16:07:23 ID:Ltv4vkoL0
於保こえええええ…成瀬っ、どうにか、どうにか救われてくれ!!

377 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 16:19:56 ID:0I1HcuUx0
成りすまし朝鮮人がよく使う偽名

青木・青山・秋本・秋山・新井・岩田・岩本・飯田・飯島・伊東・小川・
岡本・金田・金村・金本・金山・金岡・木村・木本・木山・木下・ 工藤・
熊谷・小林・近藤・高山・徳山・徳田・富永・豊川・豊田・豊原・中山・
馬場・林・東・平田・広瀬・福田・福本・福永・藤原・藤井・星山・前田・
松山・松田・松浦・南・森本・安田・安原・山田・山本・吉田・和田・渡辺・


378 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/01(水) 17:07:08 ID:cRAdtN8a0
職人さん乙です。
撃たれなくて良かったけどなんて辛い…。
成瀬負けるなーー・゚・(つД`)・゚・

379 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 01:14:29 ID:Xr4/NO9C0


380 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 01:30:46 ID:2li9SqAc0
職人さん乙です。
みんな頑張れ。

381 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 01:48:02 ID:yQUVZnX8O


382 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 02:05:01 ID:nqbvWYyA0


383 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 03:17:48 ID:foaKBMvI0


384 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 04:23:16 ID:19xEy7dLO


385 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 05:15:36 ID:iu0K551B0


386 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 11:17:51 ID:VYojUfQv0


387 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 17:40:38 ID:o1ch3OU30


388 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 23:32:54 ID:LqVyjmF00


389 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/02(木) 23:34:08 ID:yQUVZnX8O


390 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 00:19:39 ID:CFgIlfcTO


391 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 00:45:55 ID:bAitK4Yd0


392 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 01:25:13 ID:l0JJ4Gx20


393 :『はなさないで』(1/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:38:03 ID:ifTjZinq0
 内は必死に駆けていた。
 先程まで流していた涙は、やっと止まってくれたようだった。
 小宮山と薮田に会うことは果たして出来るだろうか、と思いながら、内は当てもなく
ふたりが進んだ方向―北へと向かっていた。
 ポケットに入れたコルトガバメントが走るたびに小さくカチリカチリと音を立てる。
(これを、小宮山さんに返すんだ)
 自分を抱き締めてくれた小宮山の温かい腕を思い出した。
 きっと自分にこれを渡したことで、彼は身の危険に晒されているかもしれないのだと内は思っていた。
(そんなの、嫌だ)
 それだけを思いながら、内は駆けていた。
 
(こっちの方向で合っているはずなんだけど…)
 林の中で、一度足を止める。
 放心状態で聞いていた小宮山と薮田の会話を思い出そうとして、内は目を瞑って記憶の糸を手繰る。

『船』

 詳しい会話の内容は思い出せないものの、確か船のことを話していたような気がした。

(ってことは、地図だとどの辺りに…)
 地図を出そうとした内の耳に、ガサガサという音が入ってきた。

(! 誰だ?!)
 内は慌てて辺りを見回す。

 そこには、内の同期―成瀬善久がいた。

394 :『はなさないで』(2/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:39:13 ID:ifTjZinq0
「成瀬…」
 内はやや驚いたような表情で同期の名を呼んだ。
「うち?」
 すっかり怯えた表情で自分を見る成瀬は、いつもの彼ではなかった。
 泣いているのだろうか、ずるずると鼻をすすっている。
「良かった。無事だったのか」
 成瀬の様子に戸惑いつつも、同期の彼と出会えたことで内は素直な言葉を洩らす。
「……」
 彼は無言のままであった。
 内はそれでも言葉を続けた。
「成瀬…。僕はお前に何があったかは聞かないよ。ただ…もしお前が『悪い事をした』って思っている
ことがあったら、後悔してるかどうかだけは聞かせて欲しい。…僕も、そうだったから。悪い僕自身を
すごく後悔してるから」
「うちも、わるいことを、したの?」
「…うん、詳しくはいつか話すけど…。…すごくばかなことをしていたと思ってるよ」
 於保の掌の中に躍らされていた自分を思い出し、きゅっと唇を噛む。
 そうしながらも、内は成瀬の『内も』という言葉がひっかかっていた。
 ―やはり、彼も何か後悔するような過去を持っているのだ。
 しかも、ここまで追い詰められた表情をするまでの。
 何をしたのだろうか。
 誰かを策略に嵌めたのだろうか。
 誰かを手にかけたのだろうか。
 これはもしかしたら演技で、隙を見せたら成瀬は襲ってくるのではないか。
 そんなことまで考えてしまった後、内はふるふると首を振った。

395 :『はなさないで』(3/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:40:44 ID:ifTjZinq0
「でも、大事なのは今…それとそれより先の未来のことだ。僕は後悔しないために、ちゃんと前に
進もうと思うんだ。…お前は、それだけ泣いてるんだから、後悔してるんだろう?」
 ささやかな希望を込めて、そう告げる。
 彼の涙が恐怖からくるものだけだとは思いたくなかった。
 先程泣いた自分のように、悲しみや後悔を含んだものであると思いたかった。

「ぼくわ…ひどいことをしたんだ…。うう…。だから…」
 泣きそうになる成瀬に、内が問い掛ける。
「…今も、酷いことをしたいと思ってるのか?」
「そんなこと! しない!」
 成瀬が大きな声をあげた。
 その表情に演技のようなものは微塵もないと思えたので、内はホッと胸を撫で下ろした。
「じゃあ、大丈夫だ。僕ももうそんなことはしない」
「うちは、これからどうするの?」
 彼の問いかけに、内はハッと何かに気づいた表情を見せた。
「そうだ。―小宮山さんか薮田さん、見なかったか? 俺はふたりに会いたいんだけど。…あと、
もうひとり会わなきゃいけない人がいるんだけど、とにかくそのふたりに先に会いたくて」
 そう言いながら、内は『会わなきゃいけない人』のことを思い浮かべる。
 彼に会って、何をするのか、何をしたいのか解らなかった。
 それでも、彼と会わなければいけないと内は思っていた。
 自分がどうなってしまうのか解らない。
 それでも。
 それはきっと後悔しないために。
 前に進むために。
 
(もし…理性を無くしてしまったら…?)
 一瞬だけ、そんな考えが頭をよぎる。
 彼を目の前にして、平常心でいられるだろうか?
(大丈夫…、大丈夫…)
 言い聞かせるように心の中で呟いてみる。
 それでも、心の不安定な状態はちっとも良くなってくれなかった。

396 :『はなさないで』(4/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:42:02 ID:ifTjZinq0
 内は成瀬の返事を待ちながらそんなことを考えていた。
「…成瀬?」
 あまりに彼の返事が遅かったので、内は不思議に思って彼の方を見る。
「みて、ないよ」
 小さな声で言う彼が震えているのが解った。
「…そっか」
 これ以上聞いても何も得られないと感じた内は、そう言って一度軽く頷いた。

 成瀬は嘘を吐いた。
 内は自分を受け入れてくれているようだが、もしここで小宮山と薮田を見たと言ってしまったら
きっと内はそのふたりと合流するだろう。そう思ったからだ。
 成瀬は今の自分が小宮山と薮田に受け入れられるという自信がなかった。
 もしふたりが自分を受け入れてくれなかったら、内はきっと自分を見捨ててふたりと行動を
共にすると思ったのだ。
 
 ―彼は、ともかくひとりになりたくなかった。

 里崎に拒絶されたこと。
 於保の策略に嵌まってしまったこと。
 
 先程の恐怖がリアルに甦る。

 こわい。
 コワイ。
 怖い。

 ぶるっと震える成瀬の肩に、内がぽんと手を置いた。
 突然のことに成瀬は驚いたが、その体温にひどく安心して泣きそうになってしまった。

397 :『はなさないで』(5/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:43:37 ID:ifTjZinq0
「もし良ければ、一緒に来ないか? 皆でここからどうにかして帰ろう。まあ、あのさ、
俺とじゃ不安かもしれないけど…」
 
 その言葉に、成瀬は堪えきれず涙が溢れてきた。

「おれと、いっしょで…いいの?」
「何言ってんだよ。俺達、同期じゃないか」
 我ながらいい言葉が思い浮かばないな、と思っていても、内にはこう言うことが限界であった。
「ありがとう…」
「お礼なんて、そんな。―ここで喋っていてもしょうがないか…。もう行こう」
 その言葉に、成瀬がこくりと頷いた。
「とりあえず、海の方に行こうと思うんだ」
 
(うみ…)
 
 成瀬は船のことを、脱出可能な方法があることを思い出し、ハッとした。

 しかし、先程の於保とのやりとりを思い出し、唇が震え出して何も言えなかった。
 まるで見えない圧力に屈してしまっているようだった。

「行こう」
 その成瀬の様子に気づかずに、内は歩き始めた。21番の背中が急に遠ざかるような気がして、
成瀬は必死に手を伸ばした。
「うち…」
 成瀬が小さく呟く。
「何だ?」
 なるべく彼を安心させるように、内は子どもに話しかけるような柔らかい口調を心がけた。
 まだ少し泣いていた成瀬は、鼻をすすりながら内の右手に自らの左手を握らせた。
 内は一瞬「手を繋ぐなんて子どもじゃないんだから」と思ってしまったが、
成瀬の尋常ではない状態が解ってしまって何も言えなかった。
 もしかしたら、自分が今この手を離したら、彼はどうにかなってしまうのではないかと思ったからだ。

398 :『はなさないで』(6/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:44:41 ID:ifTjZinq0
「はなさ、ないで」
 成瀬はぎゅっと内の手を握った。まるで溺れるものが藁をも掴むように。
「はなさ、ないで…」
 俯きながらの、か細い声。
(これが、あの成瀬?)
 先程から感じていた違和感を、内は今になって急に意識し始めてしまった。
 いつも接していたときとは別人のような彼の姿に、内は驚いていた。
(…僕もきっと、こういう状態だったんだ…)
 内は今の成瀬のことを、先程までの自分の姿と重ね合わせていた。
 そして握られた右手に、ぎゅっと力をこめる。
 成瀬がハッとして内の方を向く。
「―行こう。僕なんかの手で良ければ、いくらでも貸すから」
「うち…」
 また、ぽろりと成瀬の瞳から涙が零れ落ちる。
「目指すは海だ」
 そう言いながら、内は成瀬の手を引き走り出した。

 ふたりは海の方へ向かった。
 成瀬が若干たどたどしい足取りであったので、内はあまり速くは走れなかった。
 彼の手を引きながら、心の中で思う。

399 :『はなさないで』(7/7) ◆1Y1lUzrjV2 :2006/03/03(金) 01:46:14 ID:ifTjZinq0

 ―成瀬。
 お前もきっとこれまでにいろいろあったんだと思う。
 でも、今それは聞かない。
 それよりも、今は前に進まなきゃいけないから。
 そうしなきゃいけないから。
 今のお前は、さっきまでの僕だよ。
 僕はさっき、小宮山さんや薮田さんが手を差し伸べてくれたからこうしていられるんだ。
 ジョニーさんにも夢の中で言ったけど、僕は皆の手によって生かされているから。
 だから、成瀬。
 僕なんかの手で良ければいつでも貸すよ。
 おこがましい言い方かもしれないけれど、お前を生かす手に僕がなるよ。


 その代わり、僕が道を踏み外しそうになってしまったら、


 僕の右手をどうかお前の左手で止めてくれ。


400 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 07:50:38 ID:CFgIlfcTO
職人様乙です!
内も成瀬もガンガレ。゚・(/Д`)・゚。

401 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 15:20:37 ID:sFNMrmHt0
うおおおお成瀬ええええ!!頑張るんだ!
そして内くん、頑張ってくれ!゚・(/Д`)・゚。

402 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 16:42:35 ID:I8PWTOiJ0
職人さん乙です!
もう…お互いにお互いをよろしく頼むよ、と言う感じで…。
若い二人組、ガンガレ!苦難を乗り切って…。

403 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 17:22:37 ID:+8bMnb3o0
職人さん乙です!
成瀬どうなるかと心配だったけど内に会えてほんとに良かったよぉぉ(つД`)・゚・。
2人ともガンガレ!超ガンガレ!!

404 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 23:00:03 ID:F/GdSYgJ0
ちょっと気になったことが。
(5/7)>「おれと、いっしょで…いいの?」

成瀬の一人称は「ぼく」では?
他の箇所ではそうなってますし。

405 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/03(金) 23:30:11 ID:2d5FwxzH0
職人さん乙!

406 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 00:14:16 ID:Y7UCsdfG0
あと直前の内のセリフも一人称が「俺」になってます。
内君の場合、5/7でだけから「僕」だったのが「俺」になってしまっているようです。
単純ミスかと思われますが。

いつも乙です。これからも作品期待してます。

407 :番外 園川一美と愉快なコーチ達29(1/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/04(土) 09:08:33 ID:YLRFN4VK0
高沢たちを乗せた車は、ものすごい勢いで球場を飛び出していった。
兼伊知は勢い良くアクセルを踏み、軽快にハンドルをさばいていた。
すでに外は暗闇ということもあってか、浦和球場はあっという間に視界から消え去った。
「あ、そうだ。」
しばらくして、思い出したかのように兼伊知は高沢に話しかけた。
「そういえば福澤は見つけたんですか?」
「いや・・・。」
高沢は小さくかぶりを振った。
福沢の代わりに荘と吉鶴を見つけたのだが、ついでにいろいろなことを思い出してしまい、
高沢はなんとなく言う気になれなかった。

「それにしても、何で福澤がいるんです?あいつ退団したはずでしょう?」
「・・・俺に聞くなよ。」
福澤はつい先日、マリーンズを退団している。
私物とかはすでに持ち帰っているはずだし、すでに新しい職場も決まっているため、
わざわざ浦和まで来る理由が見当たらなかった。

赤信号に差し掛かり、兼伊知はブレーキをかけた。
前方車両とやや狭い間隔で車が停止すると、兼伊知は高沢のほうへ向き直った。
「なんていうか・・・、気になりません?」
「うーん・・・。そういわれるとなあ。」
二人はなんとなく理由を考えてみた。

『本来なら』秋季キャンプが行われているはずのこの時期に、
わざわざ浦和まで来た理由はなんだろうか?
第一、新しい職場でも仕事をしなければならないだろう。
・・・ん?
新しい・・・職場・・・?

「なあ、兼伊知。」
「なんですか?」
「福澤って、今何しているんだ?」

408 :番外 園川一美と愉快なコーチ達29(2/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/04(土) 09:09:26 ID:YLRFN4VK0
突然の質問に、面食らった表情で兼伊知は答えた。
「何って・・・。何しているか分からないから探しているんじゃないですか。」
「・・・そうじゃなくって。」
高沢は手を振り、兼伊知の言葉を遮った。
「仕事だよ、あいつどこで働くんだっけ?」
「・・・ああ。」
兼伊知はぽんと相槌を打ち、そしてきょとんとした表情で返した。
「何寝ぼけた事言ってるんですか?あいつはよ・・・。」
兼伊知は不意に言葉を切った。
高沢も言わんとした事に気づいたのか、口をつぐんだ。
しばらくの沈黙の後、二人はお互いの顔をまじまじと見つめ、恐る恐る口を開いた。
「あああああっ!」
「あああああっ!」
二人はお互いを指差し、ゆっくりとあけた口からありったけの大声で叫んだ。

「なっ、なにっ!?」
突然の大声に、後ろに押し込められていた大谷が突然起き上がった。
「やかましいっ!」
「はぐっ!」
兼伊知は振り向きざまに脇にあった地図を投げつけた。
地図は見事に大谷の顔面に命中したため、大谷は伸びてしまった。

二人はある一つの仮説にたどり着いていた。
しかしその仮説は二人にとって好ましくない、というよりむしろ最悪のものであった。
「ま、まさかな・・・。」
「いや・・・、まさかね。」
「あはははは・・・。」
「ははは・・・。」
二人はその仮設を否定しようと、大声を上げて笑った。
しかし、その笑い声にはぎこちなさがありありと感じられた。

409 :番外 園川一美と愉快なコーチ達29(3/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/04(土) 09:10:22 ID:YLRFN4VK0
突然後ろからクラクションの音が聞こえた。
二人がはっと気づくと、どうやら信号がすでに青に変わっていたようだ。
兼伊知はあわててアクセルを踏み込んだ。
「おっ・・・と。」
急アクセルだったため、高沢はのけぞってしまった。
大谷にいたっては、ひっくり返っていた。

「なあ、兼伊知・・・。」
「な・・・なんです?」
脇目も振らずに、ガチガチにハンドルを握っている兼伊知に、思わず声をかけた。
しかし、続く言葉が思い浮かばず、結局先ほどの話を蒸し返した。
「もし・・・、あいつが関わっていたら、どうする・・・。」
兼伊知はまったく横を見ずに、前だけを向いたまま答えた。
「・・・高沢さん、冗談でも言ってはいけないことがあるんですよ。」
「あ・・・ああ。」
それからは、お互いに黙りこくっていた。

しばらく沈黙が続く中で、兼伊知はぼそっとつぶやいた。
「に・・・逃げ出してえ。」
耳ざとくその言葉を聞き取ると、高沢はため息をついて答えた。
「もう無理だ、諦めろ。」
高沢たちを乗せた車はのろのろと進みだした。

410 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 09:42:14 ID:mY82oHk50
新作乙です。
うわ、あの方も登場ですか? すげぇ楽しみ。

411 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 12:37:46 ID:ZlrluGL00
ぎゃあああああああ!!
バトロワ読んでて初めて声出して叫んだ。
そして腹抱えてワロタw
職人さん乙です!

412 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/04(土) 23:23:55 ID:Yx2hTz/N0
挫けずに



413 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 00:05:19 ID:e3K0YHt+O


414 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 01:32:30 ID:B84bOq0V0


415 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 02:56:56 ID:teGzzN+g0


416 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 04:57:16 ID:TyOixvBBO


417 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 10:20:23 ID:JOg0EVMq0


418 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 21:36:03 ID:1REvW2rJO


419 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/05(日) 23:07:23 ID:iYUUfC+m0


420 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 00:29:47 ID:hjfy1Yz6O


421 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 01:28:43 ID:/h7ol+li0


422 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 03:07:34 ID:HCxV3+CvO


423 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 04:56:34 ID:pkA6M4Xb0


424 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 08:12:31 ID:uSR9kzOx0


425 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 11:33:48 ID:pQsHfT1gO
大輔に間違いナバウワ?

426 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 15:52:56 ID:7mRb3Ncg0
多分イナバウワーじゃないかと
荒川選手の優勝にあやかって

427 :夜を往け(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/03/06(月) 19:48:47 ID:T4pXb+oN0
悲鳴が聞こえた方へ駆けていくと、取っ組み合う男二人の姿があった。
一人がもう一人を押さえつけ、ナイフを振り下ろそうとする。月光に刃が白く光った。
「何してんねんっ!」
薮田が一喝する。小宮山はすかさず担いでいた荷物を投げつけた。
精密機械と呼ばれるそのコントロールで、ナイフを持った男に当てる。男が体勢を崩す。
押さえつけられていた男はそれに乗じて、自分の上にいる男を押しのける。
大きめの体を二転三転させてその下から逃れると、背番号6を上に向けて地に這いつくばる。
息が荒い。過呼吸の一歩手前か。
「大丈夫ですか!?」
薮田が駆け寄る。しかし答えようとした言葉は、込みあげる咳にかき消された。
声を出そうとしても咳しか出ない。呼吸ができずに苦しい。
「初さん、しっかり!」
薮田が心配そうに、初芝の背中をさする。
大丈夫大丈夫、と初芝が手振りで訴えるも、咳は止まってくれない。
起き上がった代田はナイフを握り締め、再び初芝に襲い掛かかる。
背後から小宮山が慌てて止めようとするが、もう遅い。
その気配に気づいて、薮田が顔を上げる。全身が凍りつく。
もう駄目だと思ったそのとき。
遅れて飛び込んできた何かが薮田の視界を遮った。
一瞬の沈黙。その何かが崩れ落ちる。代田の手から血が滴り落ちるナイフが顕わになった。
「山下さんっ!?」
そこには左胸を赤く染めて、倒れこむ山下徳人の姿があった。
「山下さん、なんで、こんな……」
「いい……お前に、もらった…命だ……おまえに…やる」
どうして。こんな刃物を持った人間の前に飛び込むなんてこと、できる人ではなかったはずだ。
まただ。また自分のせいで傷つけた。愛甲のときと同じ。また代田が。
(そうや、代田は!?)
はっと顔を上げる。見れば今度は標的を小宮山に替え、代田がナイフを振り回していた。
「あああああああああっ!」
薮田が叫ぶ。腰から銃を取り出し、代田に向かって撃つ。
しかし足元を狙った銃弾は狙いをそれ、地面にめり込む。
代田が振り向いて薮田を見る。その手に持つ銃を確認すると、小宮山を突き飛ばして逃げ出した。

428 :夜を往け(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/03/06(月) 19:50:02 ID:T4pXb+oN0
「待てや!」
薮田が立ち上がって代田を追う。
「薮田!」
小宮山は薮田を追おうとしたが、背後から呻く声に呼び止められる。
振り向けば、もう虫の息だった山下が何かを言おうとしていた。
「……何ですか、山下さん」
「薮、田…に……これ、を……」
山下が手を差し出す。そこには探知機が握り締められていた
小宮山がそれを受け取ると、山下の手が地に落ちた。
「山下さん!?」
重力に逆らう生命をなくした体が横たわる。土が血に濡れていた。
そこへいくぶん軽くなった咳が聞こえてきて、小宮山は顔を上げる。
泥だらけのユニフォームを着た初芝が地面に伸びていた。
「大丈夫か、ハツ?」
「し、死ぬかと思った……」
やっとの思いで初芝が呟くと、寝転んだまま左足の屈伸運動を始める。
その足元は靴下のみで、何故か靴を履いていない。
「あー、足つりそう……代田ってあそこまで足速かったっけなぁ」
聞きなれない名前に、小宮山が怪訝な顔をする。
今年から復帰した小宮山は去年のことを知らないのだろう。
「あぁ、さっき僕を刺そうとしてた奴ですよ。
 代田っていう足の速い外野手で、去年までウチにいた……」
「なんでそんなヤツが?」
「こっちが聞きたいですよ」
初芝がよっと体を起こす。小宮山のそばに横たわる亡骸に気づいて驚愕した。
「え、山下さん……!? なんで?」
「こっちが聞きたいよ! 薮田と何かあったらしいが」


429 :夜を往け(3/3) ◆vWptZvc5L. :2006/03/06(月) 19:50:56 ID:T4pXb+oN0
「薮田は?」
「今、その代田を追って向こうへ……」
小宮山が指すのは、何も見えない夜の彼方。
薮田を追うことを諦めると、初芝は目を閉じ、そっと山下の亡骸に手を合わせた。
小宮山もそれに倣う。しばらくすると、初芝が口を開いた。
「……たぶん、すぐ戻ってきますよ。きっと、追いつけない」――


――「なんでや、代田!?」
息せき切って薮田は走る。
何で自分は代田を追っているんだろう。追いかけてどうなる。
愛甲の仇だから? 許せないから? 野放しにできないから?
追いついたところで、自分はあいつを殺すつもりなんだろうか。
いや、そんなことゴチャゴチャ考えるより、今は動いた方が早い。
何かに突き動かされるまま、薮田は地面を蹴る。
追いつけないスピードで走り去る代田の背中。おかしい。
愛甲も初芝も小宮山も平気で襲い掛かるくせに、なぜ自分を狙わない。
こちらから向かっていけば、反撃もせずに逃げ出す。何が目的だ。
握り締めた銃をぶっ放す。相手が速すぎて狙いが定まらない。
差は広がっていくばかり。威嚇にすらなっていない。
無駄だとわかっていても、走らずにいられない。
行方も知れず、この夜を往く。

430 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 22:13:52 ID:yJapr1kw0
新作乙です!!
山下さん…。・゚・(ノД`)・゚・。
薮田…そして長老…頑張って!!

431 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/06(月) 22:46:00 ID:MqUdH8MD0
乙です!
初芝、間に合って良かった〜。
薮田、カコイイけど、切ないな…。
続き楽しみにしてます!

432 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 02:39:07 ID:zHe/FWctO
職人様乙です!
初様が無事でヨカタと思ったら、山下さんが…。゚・(ノД`)・゚。

433 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 02:59:24 ID:pIe0uVVgO


434 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 03:50:07 ID:Aoc9c1iF0


435 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 04:06:34 ID:abfMX7UZ0


436 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 04:10:23 ID:tzLkSRFq0


437 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 08:48:00 ID:zHe/FWctO


438 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 13:51:59 ID:9u/v3PBi0


439 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/07(火) 17:12:23 ID:QLmLxpnN0


440 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/08(水) 11:59:54 ID:h8p5fG4bO


441 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/08(水) 12:02:10 ID:MfIRTyi90


442 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/08(水) 13:44:06 ID:pb5TlTsr0


443 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/08(水) 17:37:33 ID:ChqEMftiO


444 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/08(水) 23:50:12 ID:OLBRHQWD0
いい加減この無駄なレス消費やめないか?

445 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/09(木) 01:37:27 ID:DCuXR7JdO
>>408
福澤さんが今どこにいるのか選手名鑑で確認して凍り付いた

ところで藪田カッコヨス
職人様がんがって下さい!

446 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/09(木) 01:55:55 ID:n5ATKPUb0
リアル福澤さんにお子さん誕生。
ちょっと小さいのが気になるが、元気に育つといいな。

447 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 01:02:42 ID:2Ai3rjFpO
保守

448 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 02:20:23 ID:LYI6knhz0
でも普通捕手もつまらないお…
一文字連携プレー保守がイヤなら、別の保守の楽しみ方を提案して欲しい。

449 :Rotation(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/10(金) 03:06:40 ID:6aT5FK+G0
 古い型の電気スタンド。それに差し込まれた白熱電球の明かりが一つ。
何十Wかたいして明るくもないその光が、暗闇の中をボンヤリと照らす。
すぐ下に地図と何枚かの紙を置き、木の机を囲むように三人が佇む。
人の気配を悟られまいと倉庫の中の電気は消している。頼りはその明かりだけだ。
地図の上にかぶさっている書類の束がある。倉庫の中を探って見つけたものだ。
『修理計画書』と書かれたその紙には船の細かい修理箇所や方法が書いてあった。
専門的な事柄は誰にも分からない。ただ大まかな意味ならば理解できる。
その倉庫が船のメンテナンス場で、この船が修理中だったのは間違いない。
書類に添付してあった写真から、その修理対象が目の前の船を指していることも分かった。
「修理箇所の全てに赤字で完了と書いてあって、最後には責任者らしき人のサインもある。
 納期予定は10月28日、つまり昨日だったわけだ」
「この船はもう修理が終わってるとみて良さそうですね」
於保浩己に対して里崎智也が相づちをうった。
手に持っていた書類を机の上に置くと、於保はアゴに手を当てる。
「だな。しかし、だとするとこの島の住人はかなり急に退去させられたみたいだな」
「え?」
「もうすぐ住処を追いやられると分かってて、予定なんか立てないだろう。
 それだけ強引に今回のセッティングをやってのけたのさ、黒幕が」
「黒幕……」
「ロッテだけではないだろうな。もっと巨大で、一般人なんかけし粒程度にしか思わない存在だ。
 ……なあ、もし、抜け出してこの事件を必死に世間に訴えたとするぞ?
 俺たちは無事で済むのかな? というより、訴えること自体できるのかな?」
「止めましょうよ、今からそんなこと考えるのは」
「おお、すまん」
里崎のたしなめを本当に受け入れたのか、冗談ぽい調子で於保が返した。
再び地図に見入り、なにか考えているようだ。
里崎は頭をかくと、その横でずっと無表情でいる今江敏晃に気づいた。
「今江」
「エ? あ、ああ、なんすか?」
「どうした、調子でも悪いのか? さっきからずっと黙って」
「え、いやあ、船の操作のことを考えてて」
そう言って両手を体の前で上下左右に動かして見せる。

450 :Rotation(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/10(金) 03:07:04 ID:6aT5FK+G0
とても操縦には見えない。何をしているところのジェスチャーなのか。里崎は頭を再びかいた。
「そろそろ行くか」
その声に今江の肩が僅かに上がる。振り向いた先は於保だった。
同時に里崎も振り向くと、既に於保は地図をバッグにしまい始めていた。
「ま、操縦の仕方はマニュアルを見つけたから、これでなんとかするしかない。
 納期の直前だったから船体もトレーラーに載せてある。
 車も倉庫の外にあった。船を海まで運ぼうと思えばいつでも運べる。
 相当に目立つがな」
里崎はすぐ横の船体を見上げた。全長は5mほどはあるだろうか。
高さは彼の身長をゆうに超えて、操舵室の窓はずいぶん高い所にあった。
定員はわからないが、10人ぐらいなら乗せられるだろう。
いや、乗せるのだ。
今生き残っている人間全て、無理矢理にでも詰め込んでいく。
 ぶるっと背中が震える。
まだ生き残っているだろう全員の顔を思い浮かべて、最後に浮かんだのが成瀬だったからだ。
銃を於保に向けて立っている。ついさっきまで、一緒に行動したがっていた奴が。
理解ができないと言うのが正しい。だから思い出すたびに混乱している。
ただ、あの映像だけは紛れもない現実だった。
混乱を振り払うように頭をぶんぶんと振る。今は考えたくはないと思う。
「於保さん、目的地は?」
「A−4の海岸線。海が禁止エリアかどうかの確認だ。なあ今江?」
「……」
「今江?」
「あ、はい。そうです、そしたらあとは脱出するだけです」
一瞬間を置いて、最初だけ妙に声に覇気がない。
またボンヤリとしていたのか、しかしすぐに今江は調子を取り戻す。
その様子を見てやはり気のせいかとも思う。仕方ないのかも知れない。
成瀬の一件で、里崎も考え事が多くなっていたからだ。
於保もそれを気に留める顔をするが、今江の顔をジロリと一瞥だけして前を向いた。
倉庫から出て向かうのは、林の先に見下ろして見える海である。

451 :Rotation(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/10(金) 03:07:31 ID:6aT5FK+G0
 注意深く林の中を行く。
足を怪我している里崎の歩調に合わせて、その後を於保、今江がゆっくりついていく。
なだらかな斜面になっている地面、今の里崎にはそれでも充分辛い。
周りの木に手をつきながら、里崎は一歩一歩海の方へ降りていく。
「於保さん」
「なんだ」
里崎が少し前を進んだ時、最後尾の今江が於保に話しかけた。
いくぶん歩調を緩め、今江に近づく。
「ずっと、気になっていることがあるんですが」
いくらか声が低くなったのに少し驚いて、於保は返事に戸惑った。
その時である。

バババババ

三人がほぼ同時に上空を見上げた。木々の切れ間、山の頂上の方に光が見えた。
月より明るいその光は小気味良いスピードでこちらに近づいてくる。
「隠れて!」と誰かが叫ぶまでもなく三人はすぐそばの茂みに突っ込む。
茂みといってもいくらか枝の密度が濃いだけのそこは、幾らか身を隠すのにマシという程度。
頭を傾けるとライトを煌々と輝かせながら、轟音と共にヘリコプターが上空に現れる。
上空からの光が木々の合い間を伝って地面を照らす。
今江のすぐ横をそれが通過し、思わず息を飲む。
(ん、待てよ?)
考えてみると運営側は発信機でこちらの位置を把握できるはずだ。
隠れていてもここに三人がいることはバレている? 不意に脱力感が襲う。虚無感かも知れない。
それでも運営側の人間を目の前に悔しがる姿を見せるのもしゃくに障る。今江はそのまま息を潜めた。
まるで観察するようにヘリは上空をぐるぐると旋回する。
あの探知機では細かい位置までは見ることが出来ないはずだ。姿が見えず混乱しているのだろうか。
しばらくするとヘリコプターは旋回を止め、海の方向へと飛んでいった。

「行ったようだな」
於保がすぐ近くの茂みから顔を出す。同時に里崎が向こうの方で立ち上がった。

452 :Rotation(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/10(金) 03:08:32 ID:6aT5FK+G0
「あいつら、俺たちの位置が分かるはずだよな?
 何しにきたんだろう?」
里崎の口にした疑問に、答えられる者はいなかった。
結局海へ向かうしかないと、三人は再び歩き始めた。
だが歩き始めてすぐに、里崎が異変に気づく。
「あ!」
「どうした?」
「ウエストポーチ落としました……。ダーツとか、地図とか入ってたのに……」
「さっき茂みに飛び込んだ時ですかね?」
「そうだろうな」
肩を落とし気味の里崎。一行は先ほどの場所まで戻る。
夜の林の中である。茂みに個性も目印もあるはずはなく。手当たり次第に手を突っ込むしかない。
手分けして辺りを探すうちに、三人の距離が次第に離れていった。

 お手々つないで野道を行けば。ふと小学生のときに歌わされたフレーズが頭に響く。
向かう先は海。漠然としているが、北の海岸線へ。
内竜也の後ろに寄り添うように、手を掴んで成瀬がついていく。
歩きにくかったが、そうしている間は成瀬善久は落ち着いた様子で。
林の中を抜けていく道、その上を二人の少年が二人分の音で靴を鳴らす。
と、不意に轟音が耳に飛び込んでくる。
ヘリコプターの音だ。海に向かって右の方、そう遠くないところを光が飛ぶのが見えた。
肩が縮こまる。そのプロペラ音とフラッシュバックするように、黒木知宏の姿が浮かぶ。
そしてそれを遂げた男の顔も。
「……」
「うち?」
内の足がふらりと、ヘリの飛んでいく方向に向かっていた。
運営側のヘリに乗ったあの男、そのヘリが正にそこを飛んでいる。
まるで二人を待つように、ぐるぐる旋回して空に留まっている。
林の中を分け入り、最短距離で。
「ねえ、あれはうんえいのわるいひとたちの」
制止など聞かないかのように、内の足は確実にヘリの方へ向かう。
その手を掴みながら、離されまいと成瀬は後を追う他なかった。

453 :Rotation(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/10(金) 03:09:01 ID:6aT5FK+G0
分け入って歩き続ける。ヘリはしばらくして更に海の方へ飛んでいった。
気のせいで視界が悪く正確にどこへ飛んで行ったかはわからない。
分かるのは音が消えるほど遠くに行ってしまった事である。
「うち、どうしたの?」
「……え?」
ふと我に帰る。何を考えていたのだろう。
終始浮かんでいた顔は、黒木を殺めたあの男の顔だ。
そいつのいる方向に向かって何をするつもりだったのか。まるで覚えていない。
遠ざかってくれて幸いだったのではないか。内は安堵のため息をついた。
「ごめん、早く海に向かわなくちゃ」
そう言って再び成瀬の手を引くと、すぐそこに見える林の切れ目へ向かう。
どうやら林道がそこにあるようで、そこだけ月明かりで幾らか明るい。

「見つからねぇ」
そう愚痴ると、痛い足を引きずるように茂みと茂みの間をかき入る。
ウエストポーチは影も形も見えず。
「だいたい腰に巻いてたものがどうして落ちるんだ」
ふと下を見る。少し前に突き出た腰の周り。実は足元が少し見えにくい。
「筋肉だ、筋肉」
そう呟いているうちに、パッと目の前が開けた。
林の切れ目、目の前には舗装されていない道が横切っている。
「うわ、全然違うところ探してたんだ」
そう言って頭をかく。ため息と共に前を向く。
ガサッと音を立てて人影がひょっこり飛び出した。
互いに不注意だったのか、いきなりのことで動きが止まる。
「さ、里崎さん?」
目を丸くする内だったが、里崎の視線はそこにはない。
「はっ……!」
「成瀬……」
目を合わせる二人。二の句も継げないまま、時が止まったように硬直する。
その様子にただならぬ雰囲気を感じて、内も戸惑うばかりであった。
そして里崎の背後から現れた於保に内が気づいた瞬間、再び時間が動き出した。

454 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 03:14:20 ID:AL60VzcT0
職人様乙です!うわぁぁぁぁ会っちゃったぁぁぁ

455 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 04:23:04 ID:p0UGRuTLO
職人様乙です!
何かいよいよ『キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!』って感じですね!

456 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 12:05:19 ID:ULRv33l60
職人さん乙


457 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 12:47:11 ID:kIgwfQJW0
職人様乙です!!
わああああ、どきどきの展開キタコレ!



458 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 13:24:12 ID:LDmjU/WWO
うわぁ!何か凄い面子の再会ktkr
職人様乙です

459 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 16:38:55 ID:LYI6knhz0
うおおおお、里崎ぃぃぃぃ!!成瀬ええええーーー!
職人様乙です!
どうにか分かり合って欲しい。・゚(ノД`)・゚。

460 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 16:43:13 ID:XAKzvlV50
職人さん乙です。
ラストは勿論、今江が話し掛けるトコもすごくハラハラドキドキしました…。

461 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 17:06:33 ID:SJb7nn2m0
うわぁぁぁ!!職人さん乙です!
もの凄い再会来ちゃったよ!成瀬も里崎も内もガンガレ!!

462 :行く先を照らすのは(1/5) ◆vWptZvc5L. :2006/03/10(金) 22:00:22 ID:Kg6ECAgs0
「そうだ、薮田に聞くことがあったんだ」
初芝が歯噛みするような表情を見せる。
「何だ?」
「いや、サブローに聞いたんですよ。海は禁止エリアなのかって。
 そしたら薮田の名前が出てきたんで、あいつなら何か知ってるのかと……」
小宮山がはっと初芝の顔を見る。感激のあまり、両手で初芝の手をがっちりと握った。
「おまえはエライっ! よくそれに気がついた! 俺が代わりに答えてやる。
 海は禁止エリアじゃない。薮田が一度沖に出てるらしいんだ」
「え、じゃあ……」
「そうだ。沖へ出れば、ここから逃げられる!」
初芝の顔がほころぶ。やっと迷路の出口が見えた。
思わず歓喜の声を上げて、小宮山とハイタッチを交わす。
「でも、何故そんなことをサブローに?」
「あ、それは話せば長くなるんですがね……」
初芝は順を追って話し始める。
港に船が見当たらないこと、サブローが見せた不審、リストの存在、運営側の指示。
代田の様子がサブローと似ていたことも。
「リスト、か。やりきれないよな。どの命も全て、尊いものであるはずなのに」
「もしかしたら、代田もサブローのように運営側について動いてるのかもしれませんし。
 そのサブローも、たぶん今頃は……。もう生きてるのが不思議なくらいの重傷でしたから」
「そうか……」
小宮山が言葉少なに相槌を打つと、二人は黙り込んでしまった。
湿気を孕んだ夜の空気が重い。その空気が爪から髪の先まで悲しみを伝える。
今こうしている間にも、誰かが傷つき死んでゆくのか。
「……できるだけ早く、ここから抜け出さないとな。
 もう手段も方針もわかってるんだ。浜に薮田が乗っていたボートがあるらしい。
 今、その行方を探してるとこだったんだ。あとは実行に移せば」
「でも」
初芝が切り出す。
「沖へ逃げて、それで終わりじゃないでしょう。追っ手が来るかもしれない。
 このことを警察なりマスコミなりに訴えて、助けを借りないと。
 それに、どの方角へ逃げればいいのか、第一ここは何処なのかすら……」

463 :行く先を照らすのは(2/5) ◆vWptZvc5L. :2006/03/10(金) 22:00:53 ID:Kg6ECAgs0
「そうだな……」
小宮山がため息混じりに呟く。ふと上を見上げた。
こんな殺戮の地にも、無情なまでに綺麗な星が輝いている。
都会とは違う、満天に散りばめられた星屑。
ダイアモンドにも劣らぬその美しさも、今は何の慰めにもならない。
(あ!)
小宮山があることを閃く。何故今まで気づかなかったのか。
「……なぁ、ハツ。北極星って知ってるか」
「バカにしないでくださいよ。それくらい知ってます。
 北の方に見える、目印になるっていう星でしょう?」
「そう、でもそれだけじゃない。時間がたっても北極星が動かないのは、
 地軸の延長線上にあるからなんだ。北極点で北極星を見れば天頂に見えるし、
 赤道上で見れば地平線に見える。即ち」
小宮山が人差し指で夜空を指す。
「あの星の高度を調べれば、この場所の緯度がわかる!」
その指し示した方向に輝く一つの星。迷い人の行く先を照らす北極星。
周辺には他に明るい星がなく、はっきり区別がつく。
「でも分度器とかありませんけど、どうやって?」
「あ……」
小宮山が一瞬、答えにつまる。
「そんなの、目分量で測るんだよ!
 えー、これが地平線で天頂が90度だろ、2等分して45度、3等分して30度……」
小宮山は腕を動かしながら、ブツブツと高度の計測を始める。
頭脳派と言われるイメージのせいなのか、小宮山が話をしているのをみると、
単純な数字の羅列でさえ、小難しい講義を受けているような気にさせられる。
緯度がわかったところで意味があるのか、異議を唱える隙もない。
「……30度はない、と思う。ハツ、どう思う?」
そう問われて、小宮山が指差す方を見上げる。
「んー、普段星なんか注意して見ませんからね。
 でもなんとなく、千葉で見るより低いような……なんとなく、ですけど」
小宮山が満足げにうんうん、と頷く。

464 :行く先を照らすのは(3/5) ◆vWptZvc5L. :2006/03/10(金) 22:01:22 ID:Kg6ECAgs0
「だろ? 千葉で大体35度くらいだからな。じゃあ、仮にここが北緯20度から30度の間だとしよう。
 その範囲で島がある場所といえば、小笠原か沖縄だ。少なくとも南の島なのは間違いない。
 もちろん太平洋のど真ん中という説も否定できんが、島の様子を見る限りじゃ日本国内だろう」
「小笠原? ってことはひょっとして……」
「何だ!?」
初芝は独り言を言ったつもりだったのだが、大げさに聞き返されて戸惑った。
「あ、いや、イルカがいるのかなあと」
「……は?」
突拍子もない答えに、小宮山が唖然としている。
「ほら、言うじゃないですか。『小笠原村にはイルカがいる』って」
「……」
「あれは本当なのかなと思いまして」
「確かに、ここじゃ毎日サバイバルだが……いや、そうじゃなくて!」
逸れかかった話を本題に戻す。
「小笠原や沖縄なら話は単純だ。北極星へ向かって進めば、陸へ突き当たるんだから。
 ただし、遠すぎる。薮田の乗っていた船も多くは乗れないっていうし、
 そんな長い航海に耐えられるとも思わない。燃料だって足りなくなる」
小宮山の顔が険しさを増す。
「最善策は、通りがかりの船にでも遭遇するか、他の有人の島にたどり着くことだ。
 そのためにはまず、この周辺の地理を知らないと。この島の位置がわかれば、
 最短航路も求められる。先に数人だけでも脱出して、助けを呼べれば……」
初芝が腕組みをして考えをめぐらす。
「どっか役所にでも、資料置いてないですかね」
「街中に行けば手に入るかもしれないな。
 もとは定期便もあったんだろうから、その航路図でもあれば……」
そこで小宮山は口を止める。
闇の中から、疲れきった様子で歩いてくる人影を見たからだ。
それはうつむいたまま、とぼとぼと足を進める薮田安彦。

465 :行く先を照らすのは(4/5) ◆vWptZvc5L. :2006/03/10(金) 22:01:49 ID:Kg6ECAgs0
聞かなくてもわかる。
結局、代田に逃げられたのだろう。あの速さでは無理もない。
小宮山と初芝の前まで来ると、地面にひざをついてうなだれる。
拳で地面を殴りつける。肩が悔しさに震えていた。
その震えを沈めるように、小宮山が薮田の肩に手を置く。
小宮山にはその悔しさが痛いほどわかった。
小宮山自身、杉山俊介の死に自分を責めるしかできなかったことを思い出す。
その思いは、堀幸一を助けられなかった初芝にとっても同じこと。
「薮田、これ、山下さんがお前に渡してくれって……」
そう言って小宮山は山下から託された探知機を差し出す。
薮田がそれを受け取った。ついさっき、山下に見せてもらったばかりなのに。
山下の亡骸へと薮田は視線を移す。目の前がにじんだ。
もう家族のもとへ帰してあげられない。
「……すいません」
薮田がかすれかかった声で山下に呼びかける。
泣いてる暇なんかないのに、顔が上げられない。
「わかるよな? 今、お前が何をすべきなのか」
小宮山が語りかける。薮田は黙って頷き、顔をあげる。
涙に潤んでいても、その目には強い光が宿っていた。
「今な、初芝とこの島の位置について話してたんだ」
「ああ、それなら……ここは伊豆諸島です」
「伊豆ぅ!?」
見当外れの地名に思わず初芝と小宮山は揃って大声を出す。
なぜそんなに二人が驚いているのかわからず、薮田はきょとんとしてしまった。
「え……? 俺、言うてませんでしたっけ? 引き上げられた漁船の中でね、
 海図を見せてもろたんです。それによると、この島は伊豆諸島に属する島で……」
「ちょっとコミさん、全然違うじゃないですか!」
初芝が小宮山を小突く。
「あれ、おかしいなぁ……ほら、何せ目分量だから」
苦笑いをしながら小宮山が首をかしげる。その視界に入る北極星。
しばし見入る。どう見ても低い。あれが本当に伊豆で見える星だろうか。
伊豆と千葉の緯度差が、あんなにはっきり現れるだろうか。

466 :行く先を照らすのは(5/5) ◆vWptZvc5L. :2006/03/10(金) 22:02:32 ID:Kg6ECAgs0
「待て、薮田。それは本当に正しいのか? 間違ったことを教えられた可能性はないか?」
「……」
そう冷静に指摘されれば自信がない。あんな切羽詰った状況で教えられた。
というより、強引に聞き出したような情報が本当に正しかったのだろうか。
「とにかく一度、ちゃんとこの島の場所を調べた方がいい。
 つい最近まで人が住んでた形跡もあるんだ。難しいことじゃないだろう」
小宮山の提案に皆が頷く。
「まずは、船の在り処ですね」
探知機を握り締め、薮田は立ち上がる。静かな決意を胸に秘めて。

467 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 22:13:18 ID:1ygqad3E0
職人さん乙です!続きがものすごく気になります

468 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/10(金) 22:37:31 ID:WW9p98A70
職人さん乙です!

>>464
『小笠原村にはイルカがいる』
ワロタww 思わず歌ってしまったwww

469 :Romanticist(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:22:30 ID:RrQNYEe30
 於保浩己がその光景を目の当たりにし、内竜也の姿を確認したときの顔を彼は忘れない。
こんなに顔が崩れるほど笑う男だったろうか。背筋に寒気が走るほど不気味に歪んで。
その顔に気がついた瞬間に成瀬善久も表情が一変する。
里崎智也に対する怯えとは明らかに異なる、完全な恐怖への怯え。
 すぐさまバッグに手を突っ込むと於保は銃を取り出し、内と成瀬の方へと向けた。
反射的に、内が取り出したのはコルトガメント。小宮山からの借り物。弾丸は一発だけの。
「う、内」
里崎の顔がひきつる。
内の銃口は里崎ではなく於保に向いていた。方向は変わらなかったが。
「里崎! 危ない!」
同じひきつるでも笑い顔を浮かべて、於保が猛然と里崎の体を引っ張る。
そしてためらわず引き金を引いた。乾いた音がまずは二発。
内と成瀬も身を翻し元の林に突っ込んだ。林道を挟み、互いに身を隠す。
 一瞬で血圧が上がる。心臓があっという間に拍動を速めた。
視界が回る。貧血ではない、頭が急加速について行っていないだけだ。
横向きに世界を見ながら、里崎は銃を放つ於保を見つめていた。
「お、於保さん」
「内が銃を取り出したろう。あいつは俺を狙ってるんだ」
「成瀬が」
「二対二だぞ。今江はどこにいる!?」
内は於保を殺そうと銃を構えたのか。そして成瀬は一緒にいた。
二対二? 成瀬と内がこちらに攻撃した?
「於保さん、ちょっと待って! 撃ち合いは」
「悠長なこと言ってる場合かよ! 殺されたいのかお前は!
 向こうが攻撃してくるなら、こっちから殺るしかないだろうが!!」
そう言ってまた引き金を引く。
向こうの方から小さな悲鳴が上がった。
「畜生、当たらねぇな」
於保の瞳はいたって冷静で、逆に自分の心臓はとめどなく脈を打ち続ける。
胃の奥から胃酸が逆流してくる。喉が焼けるように熱かった。

470 :Romanticist(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:22:55 ID:RrQNYEe30
 内の表情はよく読み取れなかったが、どうやら正気に戻ったのは間違いない。
いつ仲間になったのか成瀬まで連れて、こちらの行動への対応も迅速だった。
銃を取り出した相手へ銃を構える。なんとも真っ当な行動だ。
(さあ、撃ってこいよ)
笑みを隠すのが大変で、しかし於保は撃ち続けることはやめない。
精一杯の抵抗がいい。それでこそ面白くなる。
もはや成瀬はどうでもいいが、里崎が妙に悩んでいるからこのままでいいだろう。
今怖いとすれば、余計なことを喋られて里崎が自分の正体に疑念を抱くことである。
だからこちらを向く暇は与えてやらない。動く影には弾丸を撃ち込む。
それで死んでしまえばそれまでの人間だったと言う事だ。
だからこそだ。
(俺を失望させるなよ)
バレンタインが言っていた通りになれば、まだまだ面白くなるのだから。

 頭の上を衝撃波が貫く。風ではない、空気が弾けてぶつかってくる。
動くたびに近くを弾丸がかすめる。チラリと木の影から、於保がこちらを狙う姿が見えた。
「ひいっ!」
成瀬が体を丸くしていた。
「おい成瀬」
「え?」
「里崎さんとは会ったことがあるのか?」
さきほどの二人の間の空気。初顔合わせではないはずだ。
「……うん。いっしょにいた、でも、でも」
「離れた? なんで?」
「ぼくがわるいの。ぼくのせいで、さとざきさん、おこって」
そう言って地面すれすれのところで下を向く。声に嗚咽が混じった。
「里崎さんはお前を殺そうと狙ってるのか?」
「ちがう! さとざきさんはそんなことしない!」
勢いよく頭が跳ね起きると、今度は顔を赤くして内に詰め寄る。
木の幹が高音と共に弾けた。瞬間的に身をすくめる。
「じゃあ、なぜ」
またチラリと向こうを見れば、於保の構えた銃がこちらに照準を定める。

471 :Romanticist(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:23:22 ID:RrQNYEe30
 殺意とかそういう段階の話ではない。
顔を出せば話をするまでもなく殺されるだろう。離れていてもドス黒い空気がこちらまで伝う。
「なぜ、あいつと一緒にいるんだよ?」
手に握られたのはコルトガバメント。銃弾は、たった一つ。
賭けをするにはあまりに分が悪い。

 於保が引き金を引く度、その銃弾が成瀬に当たりやしないかと考えている。
於保の口から僅かに漏れる悔しそうな声を聞き、実は安心している。
しかし内が於保を狙うなら、成瀬はそれに加担していることになる。
里崎は身を隠しながらただ肩を震わしていた。
サブローの前で垣間見せた殺人者の顔、死への恐怖に怯えた顔、仲間を失い泣きそうな顔。
どれが本当の成瀬なのか、結局彼を仲間としていいのか。
目の前の於保は銃を撃つ、明確に殺意を謳って。
正当防衛と言う。それは理性が分かっていても、納得しがたい。
だが銃を取り出した内に対し、何もしないでいられる人間がいるだろうか。
甘ちゃんなのだろうか。
こんな場所で、結局何をしたら良いのか分からなくて震えている。
何も出来ずに、何もしないでいるだけだ。自分は何のためにここにいるのだろう。
武器も持たず、あまりにも無力で。
いや、武器を持っていればそれを使うのだろうか。
目の前で誰かが死ぬのは嫌だ。殺すなんて以ての外だ。でも殺されるのも嫌だ。
それを許さない目の前の現実は分かっている。だけど心はそれを捨て切れないのだ。
そんなのただのロマンティシストだろ。ふざけるなよ、俺。
また銃声が響く。
「くそっ」
舌打ちする於保の声がどうしようもなく嫌に聞こえた。
ガサッ。目の前で人影が動く。
「里崎さん、於保さん、これは一体」
銃声を聞いて駆けつけたのだろう。右手にウエストポーチを持って今江が立っていた。
「おお今江! 加勢しろ!」
体を伏せながら二人に近づくと、今江は於保の撃つ先を見る。

472 :Romanticist(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:24:00 ID:RrQNYEe30
「成瀬と、それに内だ。銃を持ってる。
 今江も銃持ってたな? 応戦するんだ」
「撃たれたんですか?」
「会ったらいきなり銃を構えてきた。今は俺が撃ってるんで不用意に顔を出さない。
 だがこうなったら、もう、殺られる前に殺るしかないぜ」
今江は自体が飲み込めないと言った表情のまま、とりあえずとバッグから銃を取り出した。

「とにかく、ここにいたら危険だ。どうにか逃げないと」
内が林の奥の方に、匍匐全身で進んでいく。
そこで体が引っ張られる。手を掴んでいる成瀬の握力がより強くなった。
「さとざきさん」
「今は無理だ、行こう」
「おほさん、こわいひと。いっしょにいちゃ、だめ」
「お前於保さんにも会ったのか?」
成瀬が怯えながらコクリと頷く。
「さとざきさん、いっしょにいちゃだめ」
そう言って、内の手を引っ張る。
「殺されるぞ! あいつはヤバい、分かるだろ」
「でも、だめ」
「だだこねてる場合かよ!」
瞬間的にイラつきが頂点に達した。腕を勢いよく振り回す。
成瀬の手がそれに負けて離れた。
「はなさないで!」
成瀬が立ち上がった。内の息が止まる。成瀬の視線が、すぐに横を向く。
隠すものは何もない。真っすぐ先に、於保と今江の姿がある。
今江は一瞬躊躇した。顔を出した成瀬は両手に何も持っていないのだから。
「出たな」
すぐ隣でした声は弾んでいた。今江がそちらを向いた瞬間、火花が見えた。
既に照準を合わせ、於保は引き金を迷わず引いていた。
火薬の弾ける音がこだます。耳を突き抜けた。
同時に、肉の飛び散る鈍い音がした。
成瀬は身をすくめるだけで、体を低くする時間すらなかった。

473 :Romanticist(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:24:51 ID:RrQNYEe30
それなのに、そろそろと緊張を解くと成瀬の体には何の痛みもない。
ゆっくりと、顔を覆った両腕を降ろす。その隙間から見えたのは。

「てめぇ……!」
里崎の左腕から血が滴り落ちる。
顔が歪む。もうこのまま固まってしまうのではないかとすら思える。
全ての筋肉が緊張する。涙と鼻水を噴出しながら、里崎は於保の前に立っていた。
左腕の手首から下の辺り、噴出すほどではないが、完全にえぐられた部分から血がどくどくと流れる。
血のサビ臭い匂いと、焦げ臭い匂いが立ち込める。
「ふざけんなよ」
誰に言ったのか、里崎は於保も今江も成瀬も見ていなかった。
何が起こったのかと内も頭を出すが、気に留める様子もない。
「いい加減にしろ。いい加減にしろよ!
 殺すとか殺されるとかうんざりだ、俺の前でやるなよ!
 俺は……誰かが死ぬのも、誰かが誰かを殺すのも見たくねえんだよっっ!!」
於保が引き金を引く瞬間、目の前に現れたのは寺本四郎の姿だった。
誰にも誰も殺させない。その誓いを、遂げてみせろと言う。
その命が奪われても、そう言ってくれた気持ちを自分は知っている。
自分に寄せた期待を確かに感じたから。
気づいた時には左手を於保の前に伸ばしていたのだ。
これ以上彼を、そして自分自身を裏切らないために。
「簡単なことだろ!
 チームメイトだろ!
 殺し合う方がおかしいんだよ! 気づけよこんにゃろう!
 俺の前でこれ以上やる気の奴は、ブン殴るぞ!!」
どこを見るでもなく、里崎は道の真ん中に立っていた。
肩で息をする。喉からゼェゼェと呼吸音が吹きぬけた。
一仕切り声を張り上げ、左腕は激痛に耐えているのだ。
 うまくやる方法なんて思いつかなかった。
ただ体が先に動いた。体にまとわりついていたものが全てぶち切れて。
あとは勢いのまま、ただ思いの丈を叫んでいるだけなのだ。
大きく息を吐いて、薄目を開ける。

474 :Romanticist(6/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 00:25:19 ID:RrQNYEe30
(四郎……)
もう、止められない。
狂った奴がいるなら、俺も狂ってやる。
殴ってでも馬鹿みたいなことは止めさせてやるんだ。

「邪魔すんな、殺されるぞ!」
イラついた表情と共に、於保が再び銃を構えた。狙いは再び成瀬だ。
それを見て里崎が猛然と於保に突っ込む。
「もうやめろ! 撃つな!」
銃を持った腕ごと抱え込むようにすると、そのまま体重を預ける。
たまらず於保は体を倒す。里崎と共に地面に転がった。
「何しやがる!」
「俺の前で殺させない! どんな理由でもだ!」
里崎の右腕が於保の右腕を掴んだ。
「ふざけんな、あいつらは俺らを殺そうとしてるんだ!」
里崎の右ひざに蹴りが入る。声すら出ない苦痛。
悶絶して里崎は突っ伏した。
「甘ったれに付き合ってる暇はねぇんだ!
 死んでから後悔はできねぇんだよ!」
その前には、里崎の身を案じたのだろう、成瀬が茂みを飛び越えてきていた。
全く無防備な体を晒して。
「やめ……」
里崎が小さくうめく。於保の銃口が成瀬を向いた。
同時にこめかみに冷たい感触を於保は感じる。
「於保さん、そのまま動かんで」
今江の銃口は、真っすぐに於保の頭に向いていた。

475 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 00:34:37 ID:1R6TkreE0
う、わあああ。すごいっす!職人さん乙です!
なんて緊迫した展開なんだ…!成瀬…里崎…今江…内!
もう最高です。

476 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 00:57:07 ID:UL/Mef1vO
おもしれぇぇぇぇ!職人さま乙です!
サトもイマーエも頑張れ

477 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 01:23:06 ID:nYX8fGjwO
職人様乙です!
うわあぁぁぁあぁぁっ…もうどうなっちゃうんだか、とにかくオモシロイです!

478 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 04:29:50 ID:hc9LcGngO
うぅわああああっ!!!!!すげえ!!
やばいやばい、なんか興奮して手に汗かいたw
職人様スゲェよ…マジ続きが早く読みタス(*´д`)

479 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 07:36:16 ID:3hUzDNXHO


480 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 09:54:01 ID:BkHVkcQz0
うわああ!!すげーえ!!一杯投稿されてる!!

とうとうばれちゃったか。
於保いい役だなぁ。すげー上手く使いこなされててマジで感心しちゃうな。
そろそろ佳境ですな。職人さん達期待してます。

481 :番外 園川一美と愉快なコーチ達30(1/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/11(土) 09:58:13 ID:wXV95qlq0
―事を起こすとなったら、多少手荒いことになってしまうけど、向こうもその気なら仕方ないだろう。
ああ、あいつもやってくれるそうだよ。後は君次第なんだ。

・・・いやね、強制じゃないんだよ。
やりたくなければ別にやらなくてもいいけど―

「うわあっ、福澤さん!!前、前、前っ!!」
「え・・・?うわあああっ!!」
三人の悲鳴とともに、暗闇を切り裂くような激しいスリップ音が夜の路上に響いた。
あと一瞬ブレーキを踏むのが遅かったら、おそらくここは凄惨な自動車事故の跡として、
ニュースで取り上げられたかもしれない。
何しろ、吉鶴たちが乗車している車が止まった場所は、前方に停車していた車とほんの目と鼻の先なのである。
いや、あるいは本当に接触したのかもしれない。
吉鶴は緊張のあまり声を出すのはおろか、しばらくの間、息をすることさえ出来なかった。
荘も、涙目になって福澤に訴えた。
「福澤くん、もしかして僕を殺す気っ!?」
「い・・・いえ、すみません。」
福澤は額に手を当てて謝った。
「ちょっと考え事をしていたもので。」

482 :番外 園川一美と愉快なコーチ達30(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/11(土) 09:59:05 ID:wXV95qlq0
吉鶴はようやく我に返ると、大きく深呼吸をしてから、再びアクセルを踏み込んだ福澤に話しかけた。
「あの・・・、運転代わりましょうか?」
しかし、福澤は吉鶴の提案に対して、首を振って答えた。
「いや・・・もう大丈夫だ。心配しなくて良い。それにもうすぐだからな。」
「もうすぐ・・・?」
福澤に言われて、吉鶴は目的地を知らされていないことに気づいた。
浦和から東京方面へ南下したことはなんとなく分かったのだが、
暗い夜道のため、どこへ進んでいるのかいまいち把握できていなかった。
「あの・・・、もうすぐってどこに?」
「ああっ!!」
吉鶴の問いを聞いて、助手席で最中を食べていた荘が、突然声を上げた。
「な、なんですか・・・?」
「福澤くん、このまま行こうとしたって無理だよ。」
「・・・はあ?」
いぶかしむ福澤に対して、荘は真顔で答えた。
「だって千葉と沖縄の間には大きな海が横たわっているから、車では行けないよ。」
「・・・。」
「・・・。」
再び激しいブレーキ音が夜道に響いた。

「きゅ、急ブレーキはだめだよ・・・。」
「そう思うなら、変な事言わないでください。ほら、着きましたよ。」
呆れながら、福澤は停止位置を確認してからゆっくりとブレーキをかけた。
着いた場所は吉鶴の良く見知った場所だった。強いて違いをあげるとすれば、明かりが全く点いていないため、暗闇の中に浮き上がっているように見えることだろうか。

「ここは・・・マリンスタジアム?」

483 : ◆GDAA.BMJxc :2006/03/11(土) 10:01:43 ID:wXV95qlq0
一番下から3行目改行忘れました。見にくくてすみません。

484 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 10:37:00 ID:OLP2CA9I0
福澤さんのバックにいる人((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
そしてさりげなく、まだ最中食ってる荘さんにワロタw
最近、新作が続々投下されてて嬉しいっす。職人の皆さん、応援してます!

485 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 11:04:51 ID:0SeqdME60
>>465にテラワロタwwwwww
・・・いや、じゃあどこなんだろう・・・。

職人さんたちお疲れ様です!

486 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 11:58:27 ID:nIBSWKphO
職人様達乙です!
ハラハラドキドキで続きが気になる!

487 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 15:20:39 ID:rSfA5P6z0
おおぉぉ、いっぱい来てる!職人さん達乙です。
やっぱり初芝がいるとマターリだなぁw
里崎も今江も緊迫の展開だけどガンガレ!!
愉快なコーチ達はあの方も関わってきちゃってるんですね(((( ゚Д゚)))ガクガクブルブル

488 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 17:48:38 ID:hc9LcGngO


489 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 22:24:30 ID:pReOK4At0


490 :Fool(1/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:42:26 ID:RrQNYEe30
 於保浩己の肩が硬直する。今江敏晃の左手は於保の銃を掴むと、ゆっくり下に向けさせた。
そのまま銃身を引っ張る。また於保のこめかみをこづくと、観念したように銃を手放す。
勢いよく放り投げる。からからと地面に弾み、土煙を上げて木の幹にぶつかった。
もはや誰の手にも届かない。
「どういうつもりだ、今江よ」
つとめて冷静な顔を維持し、於保は大きく息を吐いた。
逃げるのは難しくない。銃口の先がこめかみでは、頭を動かせば簡単に照準を外せる。
もっともそれをした時点で四対一の戦闘になる可能性があるのだが。ヘタには動けない。
「気づいてないんですか」
「ナニ?」
「成瀬を撃つ前に、於保さん……笑いましたね。
 於保さん言いました、黒木さんが死んだのは自分のせいやって。
 そんな人が誰かを狙い撃つ時になんで笑うたりするんですか?」
「そう見えただけだろう。そんなことで」
「里崎さんの言葉に耳を傾けない。そんで武器を持ってない成瀬を狙って。
 いやそんなことやない……なんや直感で、今のあなたには寒気しか感じない」
「おいおい、そんなことで俺を疑うのか?
 やめてくれよ、仲間だろう、なあ」
明るい調子の声で、その場の張り詰めた空気を解こうとする。
表情もなるべく穏やかにして。
だがそこにいる里崎まで、自分を見る目が変わっていることに気づく。
空気が変わっている。
(調子に、乗りすぎたか)
形勢が不利に傾いている。もっとも、それがどこか他人事のように思えて仕方がないのだが。
こめかみに向けられた銃すらも、なんだか現実感がないのだが。
「於保さん、実はずっと気になっていたことがあるんです」
今江の声が低くなった。
於保からその表情はうかがい知れないが、きっと険しい顔をしているに違いない。
張り詰めた、迂闊に触れれば弾けそうな空気が漂う。
プレッシャーを感じる。その空気の向けられている相手は他ならぬ自分なのだ。

491 :Fool(2/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:42:56 ID:RrQNYEe30
「確かめるのが怖い気持ちもあります。もし……
 ううん、だとしても結局俺のせいなのは変わらないけど」
於保の思考が回転する。
まだ正体を知られるのは早い。もう少し先で明かしてやる予定だったのだ。
なぜ、いつからだ。今江は完璧に信用させたはずだ。
なんとか取り繕わなければいけない。ヘタを言えばこのつまらない命がこんな形で終わる。
「於保さん、嘘ついてませんか?」
「いや」
嘘はついていない。少なくとも今江に会った時、何か疑われるようなことは言っていない。
唯一ついたとすれば、生き残りリストの存在を初めて聞いたように言っただけ。
(待てよ……)
思い当たる。俺が知るはずのないことがある。
今江はそのことについてあまり詳しく自分に説明しなかったはずだ。
「福浦さんは、なんで死なないけなかったんですかね?」
(やはりそれか)
里崎に現実を見ろと諭したときだ。確か自分は何と言った?

『リストに載ってたって、運営側の奴らにちょっとした手違いで殺されちまう。
 直行も、福浦もだ。』

福浦は手違いで殺された。小林雅が殺したとバレンタインにも聞いた。
今江は小林雅が福浦を殺したことは言っていたが、手違いについては語っていない。
福浦が追加メンバーの載った新しいリストに入ったのに、スパイの小林雅が殺してしまったこと。
それに関する話を今江は詳しくしようとしなかったのだ。
だから、福浦がリスト入りしていることを今江は自分に言っていなかった。
「わからんよ、そんなこと。俺には」
一丁前にカマをかけてきている。だが己から言うつもりはない。
確かにミスは犯したが、まだ何を問い詰めているのかは分からない。
「……"福浦さんがリストに載ってたのに殺された" 成瀬が逃げた後に言いましたよね?」
「言ったっけか? 聞き間違いじゃ」
「聞きましたよ、だって俺に言ったんだから」
ちっ。於保は心の中でだけ舌打ちをした。

492 :Fool(3/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:43:21 ID:RrQNYEe30
里崎がひざを押さえながら体を起こす。完全に警戒を含んだ目線で。
そこに来て里崎も、今江が問うている事に気づいたようだ。
「そうだっけか? なら言ったんだろうな」
肯定するしかない。
背中に汗が噴出すのを感じた。空気が張り詰めていた。

 於保の表情が読めない。銃を向けられているのに怖がる様子がない。
しかし動けないはずだ。於保がもし考える通りならば、ここで抵抗することは不利にしかならない。
なんとか切り抜けようと、まだ仲間であろうとするはずだ。
 あの言葉を聞いて以来、今江はずっと疑問に思っていた。確信がなかっただけだ。
だが先ほどの銃撃戦での態度を見て腹が決まった。
いや、銃撃戦などではない。考えれば成瀬も内も一度たりとも銃撃をしていなかった。
於保は笑ったのだ。それだけが確信だった。
成瀬を撃つ時に見せた笑い顔、それに似たものを今江は知っていた。
清水直行の命を奪い、渡辺正人を瀕死に追い込んだあの顔だ。
 福浦のリスト入りまでは認めさせた。だが、まだ於保が嘘をついていたことにはならない。
もし今江の思う通りならば、於保は答えを用意してくるはずだ。
だから次の質問をすれば、於保は必ず答えてくる。
「俺は福浦さんがリストに入ってるなんて言うた覚えはありませんが?」

 その通りだ。
於保が心の中でだけ呟いた。思った通りの切り返しだ。
それなのに福浦のリスト入りを知っていた自分。だから疑われているのだ。
沈黙している暇はない。沈黙、いや絶句は即ち嘘を認めたことに他ならない。
(思い出せ。そもそも俺のミスは、今江が福浦のリスト入りを言ったと思い込んでいたこと。
 今江が言っていないのに、つい俺が知っていることを話してしまったんだ。
 なら…考えろ、俺がどうにかして知っていればいいんだ。福浦がリストに書いてあることを。
 ………そういえば)
於保の表情が少し緩む。
今江は相変らず神妙な面持ちだった。里崎もだ。
成瀬と内が不可思議なものを見るような顔でいる。なぜ今江が於保を問い詰めているのか。
(なんのことはない。里崎が言っていたんだ)

493 :Fool(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:43:46 ID:RrQNYEe30
「ああ、すまん。実は倉庫を探ってる時に、こっそりお前のバッグの中を見たんだよ」
「え?」
「本当に悪い! 信用しきれなかったんだ。だから探った。
 そのときにリストも見た。福浦さんの名前が書いてあったからさ。
 リストに載ってても雅さんに殺されちまうなんてな。なんの手違いか知らないけど」
今江はそのまま黙っていた。
(あのとき、里崎は今江にリストを見せてもらうところだったと言ってた。
 お前はリストを持っているはずだ。川井から奪ったと言っていた。
 俺はそれをこっそり盗み見た、だから福浦のリスト入りを知っている。それだけのことだ)
「すまん。こっそり見たことは隠しておくつもりだったが仕方ない。本当に悪かった」
正直ヒヤリとさせられた。全く勘のいいやつだ。
だが問い詰めるには少し証拠が穴だらけだったようだ。
これで言い訳は充分立っている。自分を疑う確信は崩れたはずだ。
後はここを一旦乗り切って、うるさい成瀬と内を強引にでも始末すればいい。
「これを見たんですか」
今江の左手がバッグに伸びる。中からくしゃくしゃになった一枚の紙を取り出した。
「ああ、そう、それだ」
今江はじっリストを見つめると、しばらく何も喋らなかった。
硬直しているというのか、あるいは混乱しているのか。気の毒なことだ。
「なあ今江」
「なんですか」
「もう、この銃を下げてくれるだろう?」
こめかみに当てられた銃がそのままだ。ここまで大人しくしていてやったのだ。
それもこれも不用意に里崎とお前を敵にしないためだ。
疑いを晴らして、あとは成瀬と内をどう始末するかが重要になる。
於保の思考は既に次の段階に移っていた。
 ガチリ。檄鉄が下ろされる音が、耳のすぐそばで響いた。
「今江…!?」
まだ銃は弾丸の出る状態ではなかったのか。こめかみに当てられていただけ。
いや、それよりもついに発射の準備がされた。なぜ?嘘をついていないのは分かったはずだ。

 思った通りだった。於保は完全に嘘をついている。それがハッキリ分かった。

494 :Fool(5/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:44:24 ID:RrQNYEe30
今江の心中は於保に対して冷静で、一方で穏やかでない。
於保の嘘。彼はそれを取り繕うことに終始していた。
もし悪意がないならば、何かの事情で隠していたのなら白状するはずだ。
疑いを無闇に恐れて嘘をつく人もいる。だけど隠し切れなければ真実を話すしかない。
最後には自分の潔白を信じてもらえる可能性を信じて打ち明ける。
嘘をつき通そうとするのは、絶対に話せない後ろめたい真実を隠す人間だけだ。
於保は、嘘を隠し続けた。
その結論が於保の言動や嘘全てと合致したとき、同時に今江は気づいた。
 福浦が死んだとき、何が起こっていたのかわからない。そして事実も変わらない。
ただもしかして、それは防げたのかも知れないのだ。そう思うとやるせない。
苛立ちだけが強くなるだけで、結局は何も変わらないのだけど。
「福浦さんはリストに入ってたんですか。だとしたら、死ぬ必要なかったはずなんですね。
 そのこと、初めて知りました」
「な……っ!?」
今江がおもむろに左手を、於保の目の前に差し出す。
目の前に掲げられたリスト。まるで読めとでも言うかのように。
「小林雅、渡辺俊、小野、薮田、藤田……」
そこに書いてあるリストのメンバー。於保は小声で呟きながら読み上げる。
一人一人の名前を、思い出すように読み上げる。

「小林宏、清水直、西岡……え? ……今江、浅間だと!?」

福浦と内の名前などない。
そこにあるのは、新たなメンバーが追加される前の、旧リスト。
於保は目を閉じて天を仰ぐ。
そして、観念したかのようにため息を一つつく。
(今江、お前が川井から奪ったリストは……)
川井には福浦と内の名前の入った新リストが渡されていた。
小林雅には渡されていなかった。それが手違いの元だ。
今江が川井からリストを奪ったと聞いた時、その時から勝手な前提が出来上がっていた。
新しいリストを今江は持っている、と。

495 :Fool(6/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/11(土) 22:46:50 ID:RrQNYEe30
「ありえないんですよ。福浦さんがリストに入ってることを俺が言うなんて。
 それを於保さんは、ずっと福浦さんが入ってると言うてた。
 変更でもされたんですかね? 俺と於保さんの知ってるリストの内容が違う。
 いずれにせよ……内容を知っていて、何も知らないて言わなならん人種は一つです」
「内通者、か」
その於保自身の発言に里崎は目を丸くした。
同時に事態を把握した。全て飲み下すように唾をゴクリと飲み込む。
於保の顔はどこか穏やかなままであった。
「やらかしちまったか」
油断したか。途中まであまりに上手く行き過ぎて。
調子に乗って冷静さを欠いた。そしてミスをした。この自分が。この於保浩己が、だ。
「そうか、この俺が」
しばらく、その場にいた人間は動かなかった。
少し離れたところで、内と成瀬がこちらを窺っているのが見える。
彼らが自分のしてきたことを訴えれば、もはや信用されるのはあちらだろう。
「くくく」
思わず漏れた声に、里崎と今江は面食らった。
於保は笑っていた。
悪びれる様子もなく、むしろどことなく嬉しそうに。
これがこめかみに銃を当てられて、今まさに正体が露見した裏切り者の態度だろうか。
その笑いは捨て鉢でも狂ったわけでもなさそうだった。目は正気だ。
それなのに笑い声だけは楽しそうなのだ。

 さてどうするか。このまま死ぬか。そんなことを於保は考えていた。
沸き立っていたのだ。冷静さも吹っ飛んで。この俺が。
今初めて思っている。もう少し生きてこのゲームに参加していたいと。
ミスを犯して形勢を最悪にしてしまった愚か者だ。
だが、もう少しだけ。もう少しこの島にいたい。
こんな愚か者だが、だからこそ、愚か過ぎる故のささやかな楽しみが出来たのだから。

496 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 23:00:42 ID:nYX8fGjwO
職人様乙です!
うおぉぉおぉっ…とうとうキタコレ((((;゚Д゚))))
どうするのどうなるの…

497 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/11(土) 23:30:31 ID:UQeWxY3F0
職人様乙です!
うぉぉ、今江なかなかやるなぁ。
於保がやる気を見せ始めたのがまたコワス(((( ;゚Д゚)))

498 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 00:02:24 ID:x34wblPGO
またまた新作キタコレ
於保ピンチだな。最近展開が面白すぎる!

ついでにミス見つけましたから報告。
>>493で、於保が「福浦さん」って呼んじゃってますよー

499 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 00:26:54 ID:uaGWFhy4O
職人さま乙です!
盛り上がってきましたね
それと>>493で「今江はじっリストを」ってなってるとこ「じっと」ですよね?


500 : ◆QkRJTXcpFI :2006/03/12(日) 01:06:54 ID:X502GZS/0
>>498-499
あー、その通りですね。
指摘ありがとうございました。修正依頼出しておきましたので。

501 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 07:23:10 ID:NjrWcuHAO
続きキテター!!職人様乙です!
今江…逞しくなったなぁ
於保は何を考えているんだろう(((;゚Д゚)))

502 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 09:31:12 ID:0MWjcgbzO
職人様乙です!
修羅場だぁぁぁ((((゚Д゚;)))))

503 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 21:11:00 ID:ZZzzKxcG0
やっぱ於保怖ええええEEEEEEE
でも今江がかっこいいお!頑張れ今江!直行の言葉を忘れるな!!
職人様乙です!

504 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/12(日) 21:54:58 ID:oVRD3zJC0
バトロワ開始から、ここまで明確に自分の意思だけで
行動を起こした今江は初めてじゃなかろうか…成長したなぁ

505 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/13(月) 11:21:36 ID:4BrPfDXp0
ほしゅあげ

506 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/13(月) 20:37:15 ID:VaFwGVFZ0
わいせつ:女性暴行・被告に懲役15年を求刑 /神奈川

 女子高校生らを車で連れ去り性的暴行を加えたとして、わいせつ略取誘拐、
未成年者略取誘拐、性的暴行傷害などの罪に問われた住所不定、無職、高直幸被告
(37)=朝鮮籍=の初公判が10日、横浜地裁(栗田健一裁判長)であった。
高被告は起訴事実を認め結審。検察側は「執ようで凶悪きわまりない犯行」として
懲役15年を求刑した。

 起訴状などによると、高被告は昨年8月11日未明、津久井町の路上で高校1年の
女子生徒と無職少年の2人に「ドライブするだけ」などと伝えて車に乗せて山梨県内まで
連行、女子生徒を車内などで脅し、性的暴行を加えた。昨年4月にも、相模原市内で
10代の少女を車に引きずり込み、同市内のホテルに連れ込んで暴行した。【伊藤直孝】

毎日新聞 2006年1月11日
ttp://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/news/20060111ddlk14040256000c.html

507 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 13:18:54 ID:KLHzmxltO




508 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 17:27:43 ID:MhWzfkLl0





509 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 19:46:43 ID:/wQ+X7Y30


つる

510 :ナイトキャップスペシャル(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/14(火) 23:11:35 ID:fKVDhWHg0
違和感は確かにあった。
戸部の声がしゃがれてるところとか、言葉遣いが昨日と違っているところとか。
それでも平下は寝起きのせいだろうくらいにしか考えていなかった。
「また会いましたね、戸田さん」
話しかけると、戸部が急に平下の胸ぐらを掴んだ。
突然のことに平下は目を見張る。
「てめぇよぉ、何度言ったらわかんだよぉ。俺は戸部だっつってんだろ!
 エースに向かってなんだ、その口の利き方はよぉ」
「……は?」
思わず目が点になった。
指摘するところが多すぎて、どこから突っ込んでいいのかわからない。
まず鼻につく酒臭さ。舌が回りきらない喋り方、どろんとした目つきの悪さ。
確か昼間はもっと気の弱そうな、おどおどした目をしていたはず。
それにエース? 誰がエースなんだ? 何言ってんだ、この人。
おかしい。絶対におかしい。どう考えても素面じゃない。
「まさか、戸田さ……」
「てめぇ、俺にケンカ売ってんのか!? あぁん?」
戸部がもう一度、平下の胸元を引き寄せて怒鳴る。
酒臭い息がかかり、平下はすぐに顔を背けた。
「戸…部、さん」
「よし」
戸部が平下から手を離す。威圧的な態度にどうも調子が狂う。
「もしかして、酔ってますか」
「ったりめーだろぉ、これが飲まずにやってられっかっつーの!」
そう言いながら、戸部は手元にあった一升瓶を手繰り寄せる。
平下はその様子を呆然と見る。開いた口がふさがらないとはまさにこのことだった。
垣内が信じられないといったのは、ただ「寝ていること」が信じられないというのではなくて、
「酔って寝ていること」が信じられないという意味だったのか。
(そりゃ、信じられないよな……)
一度は戸部を手にかけようとした平下ですら、頭を抱えたくなる。
この人は自分が置かれた状況をちゃんと理解しているのだろうか。
「何だよぉ、てめぇみてぇなヤツがいるからだろぉ。文句あんのか!」

511 :ナイトキャップスペシャル(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/14(火) 23:13:01 ID:fKVDhWHg0
瓶のふたを取って投げつける。ふたは平下の胴に当たってコロコロと転がっていく。
もう脱力のあまり、やり返す気すら起きない。
戸部は呆気にとられる平下をよそに、残り少なくなった泡盛を飲み干す。
散々な夜に飲む寝酒は悪酔いを誘う特別製。束の間、辛さを忘れさせてくれる。
戸部が空き瓶を口から離すと、今度はそれを手にしたまま、視線を動かす。
何を気にしているのか、平下の全身を舐めるように見渡すと、戸部が切り出した。
「良平は?」
「知りません。勝手にはぐれて勝手に死にましたよ」
「てめぇが殺ったのか」
「さぁ、どうですかね」
もういい加減嫌気がさしてきたので、適当にあしらう。
「ユウゴーに会ったか」
「……どうですかね」
平下は顔色一つ変えず平然と答える。
全く食えない態度の平下に、戸部が苛立ちを見せ始める。
だたでさえガラの悪い言葉使いが、さらに荒さを増す。
「おいやんは?」
「は?」
「だから、おいやんは!?」
戸部がしつこく尋ねる。
何について問われているのかわからない。酔っ払いの戯言かとさえ一瞬思う。
シーズン途中からロッテに来た平下にとって、それはもっともなことだった。
「何ですか、それ」
「バカか、おいやんっつったら垣内に決まってんだろうがっ!」
「はぁ」
そういえば垣内がそう呼ばれるのを聞いたことがある気がする。
でもそう呼ぶのは、例えば年季の入ったファンだったり、年上の解説者だったりで、
間違っても戸部のような一介の中堅ピッチャーが、気安く「おいやん」だの「垣内」だの
呼び捨てにすることは普通ないだろう。そもそも垣内はかなりのベテランではなかったか。
「そこにいるじゃないですか」
口をきゅっと結んで、相手のペースに飲まれそうになるのを食い止める。
戸部は平下が顎でしゃくる方を見る。

512 :ナイトキャップスペシャル(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/14(火) 23:13:27 ID:fKVDhWHg0
確かにそこに垣内はいた。正確に言えば、垣内の体だけが。
「……もういないって言ったほうが正しいですか」
冷たい笑みを浮かべるでもなく、狂気の片鱗を見せるでもなく、
平下はただ淡々と事実を告げる。いつもの顔で。いつもの声で。
「てめぇ……」
戸部が平下を睨む。瓶を持つ手に力が入った。
「戸部さんもね、そんなに寝たけりゃ永遠に寝ててもらって構わ……」
そう言って戸部に銃を向けようとしたそのとき。
何かが空を切った。それと同時に銃が叩き落される。
平下がそれを拾い上げようとするより早く、何者かの足が視界に入る。
その足に、銃が数m後方へ蹴り飛ばされた。
「なっ……!?」
平下がその上を見上げた。そこには仁王立ちする戸部。
手には今しがた振り回していた一升瓶を持って。
「ふふん、……飲めば飲むほど強くなる」
戸部が不適な笑みを浮かべて平下を見下していた。
その光景に平下の動きが固まった。

そんなバカな。
これが昨日今日と、自分から逃げ回っていた男の姿か。
あのときと表情も、顔つきも、仕草さえ全くの別人に見える。
今の平下の目の前には、かつて死球を与えた外国人選手に追い回され、
外野まで逃げた小心者の姿はどこにもない。
戸部が手にしていた空き瓶を振り上げる。
それはさながら剣道の”面”の動き。平下の頭めがけて勢いよく振り下ろす。
思わず首をすくめる。瓶は平下の鼻先で止まった。背中を冷たい汗が伝う。
「失せろ。てめーのツラ見てっと胸糞わりーんだよ」
押し殺した声。戸部を見上げる。その背後からさす月明かり。
目前に立つ戸部に得も言われぬ迫力を感じるのは、逆光のせいだけではない。
平下は唾を飲み込んだ。押されているのか、あの戸部に。
「とっとと失せろ! 次はてめぇのドタマかち割っぞ、コラ」
「……わかりましたよ」

513 :ナイトキャップスペシャル(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/14(火) 23:13:53 ID:fKVDhWHg0
平下はそう答えると、戸部に背を向け、渋々その場を立ち去る。
その様子を見届けると、戸部は持っていた空き瓶を地面に置いた。
「ったく、人の眠りの邪魔しやがって」
ろくに回らぬ舌でブツブツと不平を言いながら、地面に寝そべる。
ある地点で平下は足を止めた。蹴り飛ばされた銃を拾い上げて振り返る。
視線の先には無防備に寝ている戸部の姿。
何でこんな酔っ払いに振り回されなきゃいけないのか。
ろくな武器も持たず、ただ逃げるしか能がないこんな奴に。
そう考えると、なんだか無性に腹が立ってくる。
戸部は自分のターゲットではない。
優先すべきはライバルとなる外野手であり、リストに保護された連中だ。
こんな酔っ払い、自分が手を下すまでもない。それでも今なら――簡単に殺せる。
平下が戸部に向かって銃を向ける。
その瞬間、寝ていたはずの戸部が急に起き上がった。
引き金を引こうとすると同時に、戸部は予め握っていた石を投げつける。
球速と制球力を伴ったサイドスロー、素早い投球動作。投げられた石が軌道を描く。
石が平下の構えた銃に当たり、そこから放たれた銃弾が狙いをそれる。
銃声と共に、戸部から2,3メートル離れた先の茂みが揺れた。
石が地面に落ち、数回跳ねて転がっていく。
「!?」
それまで無表情だった平下が、動揺を見せた。
「……甘いなぁ、平下君。甘い。おまえは、甘いっ! 被弾したときのナオの球くらい甘ぇよ」
戸部がニタニタと笑いを浮かべている。丸腰同然のくせに、全く銃を恐れぬ表情。
右手では新たに拾った石をお手玉にして、弄んでいる。
再び銃を向けても同じ目を見るだけだと言わんばかりに。  
(何なんだ、こいつは……始めから全部お見通しか?
 酔ったふりをして、俺はからかわれてたのか?)
戸部をじっと無言で睨みつけた後、平下は舌打ちを一つ残して、踵を返す。
「ケッ、おととい来やがれ!」
去りゆく平下に向かって悪態をつくと、戸部は再び地面に寝転ぶ。
戸部のしゃがれ声を背中に聞きながら、平下は思った。
あの人は登板前に酒を飲めば、凄いピッチャーになるかもしれない、と。

514 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/14(火) 23:24:39 ID:y6OYxSf60
新作キテターーーー!!職人さまいつも乙です!!
戸田カッコヨス!!そして「あま〜い」ネタがさりげなく入ってるw

515 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 00:57:49 ID:I7h/t3tKO
おぉ新作ー!
職人様乙です!
戸田素敵すぎるよ戸田w

516 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 01:28:18 ID:hRkKfepJ0
職人さん乙です!
戸辺、飲めば飲むほどって酔拳かよww
今の状態なら何がきても怖くないなw

517 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 01:43:00 ID:j/F8kOgw0
職人様乙です!
戸島かっこいいよ戸田!!
戸崎の勇姿をもっと見たくなりました。

518 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 06:45:42 ID:L9xCiXmlO
職人様乙です!
戸多カッコイイなぁw

519 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 08:42:18 ID:+UfB/yt70
職人様乙です!
戸田ワロスw

520 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 15:11:33 ID:tvJLclRG0
職人様乙です!
さすが戸下!!

521 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/15(水) 23:13:57 ID:m/WFNBCn0
ちょwwwwwwwwwwww今日まさに戸谷見てきたっつうのwwwww

あ、あれ?酔ってたの?

522 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 07:02:01 ID:9b9gqf31O
ヽ´_J`)<戸部ですよ

523 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 15:02:14 ID:C1sr4jmr0


524 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 15:45:22 ID:b9xamHYfO
40万部のベストセラー『嫌韓流』の第2弾

『嫌韓流2』発売中

意外とおもしれーぞ

525 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 16:41:21 ID:qUmX3npuO
 

526 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 17:42:18 ID:oTKf1WpnO
>>525
愛甲さん…

527 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 20:37:35 ID:/KzngrqPO
最近、西岡パートがどうなったか気になってます。

528 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/16(木) 23:13:22 ID:9b9gqf31O



529 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 15:14:59 ID:X4VlKoujO


530 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 18:58:35 ID:i4VkdBY10
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m29010711

531 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/17(金) 22:34:28 ID:c0AkeC5Q0
>>527
あの職人さんは遅筆というかマイペースそうだから催促しても無駄と思われ
でも他の選手の話は時間がずいぶん進んでそう

532 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 01:00:00 ID:aR5DW5fMO
あ、いつも決まった人が書いてるんだっけ?
保管庫中心で、本スレはたまにしか読みにこないから気付かなかったよ。
その職人さんが休筆中なら、他の職人さんが書いちゃえばいいのに。
他の話と比べて大分話が止まってるよね?

533 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 01:18:46 ID:6/OXMKyU0
西岡たち自分も気になってるけどマターリ待てばよくないか?

534 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 01:40:02 ID:YrRveM7N0
>>532
決まってはいないと思うけど
独特の文体で内容も作りこんであるし、わざわざ他の職人さんは続きを書く気がしないのではないかなと推測
面白いんだけど進行は他の選手に比べて遅く感じてしまうよねどうしても。催促ではないので悪しからず

535 : ◆vWptZvc5L. :2006/03/18(土) 01:54:57 ID:r7gPsUCJ0
西岡の話はこの先どういう展開になるのかが明かされてて、
事実上の予約が入ってるような状態なので、勝手に手出ししにくいんです。
◆prGJdss8WMさん、打ち合わせ板まで連絡ください。お願いします。

536 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 04:19:10 ID:Vij8Je1uO


537 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 06:29:03 ID:4ZiWSpQt0
>>533
同じく。
忙しい時期だし。
まさかと思うけどWBC見に行ってたりするかもしれないし。

538 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 13:18:04 ID:YrRveM7N0
>537
それは的外れじゃないかな
もうずっと月に一度あるかないかぐらいの投下ペースだぞ
忙しい時期なんじゃなくてずっと多忙ってことだろう
しかも>535からすると予約してて進行は遅れてて連絡がないって状態?

539 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 14:36:43 ID:aR5DW5fMO
いつから投下が止まったのか気になって◆prGJdss8WMで検索してたら
http://money4.2ch.net/test/read.cgi/mj/1141745115/ やら、創作文芸板で◆prGJdss8WMを見つけたよ。
毎日2ちゃんには来てるみたいだし、忙しいんじゃなくて、ただ単に飽きたんじゃない?
ついでに◆QkRJTXcpFIさんも上のスレに常駐してるの発見してワロスw
ここで呼び掛けるより麻雀スレで◆prGJdss8WMに呼び掛けたほうがいいかもよ。

540 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 15:27:54 ID:W7ugqJ61O
明日の巨人戦、前売ゲットしてるんですが
WBCが気になってしかたありません。
どーすればいーでしょう?

541 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/18(土) 15:29:15 ID:9w8tFnu60
>>539
◆prGJdss8WM とか ◆QkRJTXcpFI って
トリップキーが普通に何かの単語じゃないのかな


542 : ◆vWptZvc5L. :2006/03/18(土) 19:06:42 ID:Q5DE9vUe0
>>538
その通りです。予約というと語弊があるかもしれません。
◆prGJdss8WMさん自身が「今後はこうするつもり」というのを明確にされているので、
それを無視して他の書き手が続きを書くのは、気が引けるわけです。
それで>>10のように結構前から呼びかけているのですが、応答がないのが現状です。

543 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 10:03:30 ID:riiYKqVSO
ホシュ

544 : ◆QkRJTXcpFI :2006/03/19(日) 21:24:58 ID:H0dRWAsg0
>>539,>>541
このトリップキーは非常にテキトーかつ単純なのでかぶる人はいると思います。
麻雀スレのも別の人です。

◆prGJdss8WMさんに関しては◆vWptZvc5L. さんの述べられたような現状です。
詳しくはわかりません>>10での呼びかけ後も打ち合わせ板でも本スレでも応答がありません。
既に2ヶ月ほど経っていますし、今後もレスが無いようでしたら続きは今いる職人の誰かが完成次第投下していくと思います。
◆prGJdss8WMさんの作品が好きな方には申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

545 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/19(日) 23:58:05 ID:bCDKbLM00




546 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 20:59:16 ID:tjqdoXwv0


547 :番外 愉快なカモメたち17(1/2) ◆vWptZvc5L. :2006/03/20(月) 21:51:18 ID:GGtGRsOc0
――「あ、もしもし、レオ? 僕、マーだけど。ちょっと聞いて欲しいことが……って、は? 逮捕!?」
突然の大声に、リーンちゃんとズーちゃんは電話しているマーくんをぎょっとして見る。
マーくんは慌てて通話口を手で覆い、声を落とした。
「ちょっとそれ、どういうこと? ……は? キョギキサイ?? 何それ? てか、逮捕って誰が?」 
そう尋ねようとするや否や、電話の向こうから罵声が飛んでくる。
その声は他の2羽にも漏れ聞こえるほど大きく、マーくんは電話を顔から離した。
何か逆鱗に触れるようなことを言ってしまったらしい。
レオの声は苛立ちを見せながらも、半分泣きそうな声になっていた。
「……はいはい、わかりましたよ。忙しいところ悪うございました! じゃあねっ!」
そう言うと、手荒く電話を切る。マーくんもなぜかぷりぷりと怒っていた。
「もー、哺乳類は薄情だ!」
ズーちゃんがいぶかしげに尋ねた。
「レオ、何だって?」
「それどころじゃないって、逆ギレされちゃったよ。
 あんな友達がいのない奴だとは思わなかった! 株がどうとか言ってたけどさ」
「!」
マーくんの一言でリーンちゃんがはっと気づく。
「マーくん、そりゃそうよ。だって今、あそこの親会社……」
「あ……」
マーくんも、レオがそれどころではない理由に気づいたらしい。
「……」
「……」
「……次、いこうか」
その話題には深く触れずに、マーくんはさっさと次の番号を押した。

――「もしもし、つば九郎? 僕、マーだけど……え? ニッポン放送株?
 乗っ取り?? ……えー、でもまだ噂の段階なんでしょ?」
マーくんが相手の話に耳を傾けながら、時折相槌を打つ。
こちら側が相談しようとしたはずなのに、いつの間にかマーくんの方が
相談を持ちかけられる側になっているようだった。

548 :番外 愉快なカモメたち17(2/2) ◆vWptZvc5L. :2006/03/20(月) 21:51:40 ID:GGtGRsOc0
「あぁ……いいよ、こっちのことは。そっちだって大変だろうし。
 いいって、気にしないで……うん、じゃあね。バイバイ」
言葉少なに電話を切ると、マーくんは頭を抱えた。
「今、株とか流行ってんのかなぁ……」
マーくんがため息混じりに呟く。何を相談されたのかは知らないが、
大した収穫が得られていないのは一目瞭然だった。
「どこも大変なのね」
リーンちゃんが同情を示す。
「あー、次誰にかけよう? ちょっと遠いけど、もう一件鳥仲間でいってみるか」
「兄ちゃん、あそこはやめといたほうが……」
ズーちゃんが止めようとするも時すでに遅く、発信ボタンが押されたあとだった。

――「あっ、もしもしハリー? 僕、マーだけど。えっ、何なの突然? ……またぁ?
 だってそれ、ハリーのところ毎年言ってるじゃない。どうせ今年も大丈夫なんでしょ……?」
(あーあ、予想通りだよ……)
電話の向こうでは、ズーちゃんが思ったとおりの会話が繰り広げられていた。
親会社の危機という点では、レオもハリーも似たようなものである。
「……今年は本格的にヤバイの? え、どこ? へぇーそうなんだ、ロッテが……って、ロッテぇ!?」
マーくんが急に大声を出す。勢い余って思わず椅子から立ち上がってしまった。
聞き慣れた単語にズーちゃんとリーンちゃんも驚きを見せる。
「ちょっと、何それ!? ううん、全然聞いてない。……福岡ロッテホークスぅ!?
 どういうこと? マリーンズはどうなんの!? ……へ? 10人…? 何、その数字。
 そんなのどうやって決めんのさ!」
矢継ぎ早にマーくんがまくし立てる。あまりの早口に電話の向こうのハリーも困惑していた。
「あっ……そ、そうだよね。ゴメン、ちょっと混乱してて……またあとでかけ直す。
 ハリーも何か分かったら電話ちょうだい。いつでもいいからっ! うん、それじゃまた」
マーくんが神妙な面持ちで電話を切った。
「……何だって?」
ズーちゃんが恐る恐る尋ねる。
マーくんはリーンちゃんとズーちゃんの顔を見渡すと、意を決して切り出した。
「ロッテがホークスを……買収、するんだって」

549 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/20(月) 22:55:16 ID:M/U5qhdp0
職人様乙です!
マーくん達もwktkな展開になってきましたね。ガンガレ愉快なカモメたち!
しかしマスコット界も大変だな…w

550 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 17:02:44 ID:TKjSEI/G0
タスク

551 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/21(火) 18:39:23 ID:N3rH7yJb0
西岡はどうなった

552 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 00:04:05 ID:ZMBpIjQoO
世界一保守

553 :Runaway(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/22(水) 01:25:50 ID:am/FkA5Q0
 首筋に刃を当てるように、静寂がその場の人間を囲む。
ゴクリと息を飲んだ今江敏晃の右手は大きな銃を構え、その銃口の先にいるのは於保浩己だ。
自暴自棄にも見えないその半笑いの顔に、得体の知れない不気味さが右腕を伝ってまとわりついた。
問題はその引き金を引くかどうかである。
「成瀬」
「は、はい!」
「さっきお前が於保さんを撃とうとしていたとき、いや、そう見えたあの時に本当は何があった?」
二三歩ほどの距離の先、林道の真ん中に突っ立って事の成り行きを見つめていた成瀬善久。
少しの安堵と、また怯えを含んだ顔で於保の顔をちらちら見ていた。
「あ、あの、ぼくがあそこにいたら、たら、おほさんがきて」
「俺が銃弾の入ってない銃を成瀬に渡して、あとは空砲を一発撃てば……
 うまいこと成瀬が俺を撃とうとしているように見えたろ?」
成瀬の言葉に割って入ったのは他ならぬ於保自身だ。
ギョッと目を開いて、里崎智也はただただ黙るのみである。
その光景を思い出し、記憶の中の認識と今伝えられた事実が噛み合わず混乱する。
「あんた、よくもぬけぬけと……俺に現実を見ろなんて」
「くく。別に間違ってはいないだろう? サト、お前は理想が高過ぎる。
 ま、そのせいで最後は邪魔されちまったがな」
「なんで」
言いかけたのは今江だ。
「なんで、分からん。あんたは何が目的なんですか?
 俺たちをあそこまでしれっと騙して、それがバレたらあっさりと自分から話してる。
 運営側の内通者がなんでそんなにサバサバと」
「正確に言えば内通者というのは違うな。俺は奴らの敵でも味方でもないんでね。
 自分の思ったように、それだけさ」
「思ったようにって、一体」
「さっさと殺せば?」
ニヤけた口元そのままに於保は遠くを見つめながらそう発した。
今江が息を飲む。表情と言葉があまりに食い違っている。
「このまま殺さないつもりなら、俺は逃げることにするぜ?」
「そうはさせません。あんたは成瀬を殺そうとした、危険や」
「なら撃てばいい」

554 :Runaway(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/22(水) 01:26:12 ID:am/FkA5Q0
あまりにも、まるで他人事のように言う。動揺の表情はおろか汗一つかいていない。
「分からんのは於保さんの目的です。もしかすると何か理由でもあって」
「はっ。そんな大層なモノはないね。ただこれだけは言っておく。
 俺はお前らの味方なんかじゃあない」
「なら……」
銃口はこめかみに当てられたままだ。カタカタという震えが増した。
今引き金を引けば、二人目になる。一人目は渡辺正人、だけどあれは請われてのものだ。
今度は違う。自分の意志で引き金を引くのだ。
「撃てないのか?」
「撃てます」
「俺さ、お前に会った時から思ってたよ。お前に人を殺す覚悟はできてないだろう?」
「みんなで生き残る。でも戦いを望む人間とは戦うって決めたんです。
 俺はもう、そうせなならんのです」
それは義務なのだと思った。
清水直行と渡辺正人に託されて生き残った自分の。
覚悟。戦うという覚悟、誰かを殺すための覚悟だ。それを自分が持てなければ彼らは無駄死だ。
「なら、さっさと撃てよ」
「やめろ!」
我慢ならずに里崎が駆け寄る。
左腕を抑えながら、於保と今江の間にその体を置いた。今江の銃に軽く手を触れる。
「これ以上誰も殺させない。例えこの人が危険なのはわかっていてもだ」
「里崎さん、しかし!」
「俺だって決めたんだ!」
里崎が成瀬のほうをちらりと見る。それは一瞬のことで誰も気づかなかったが。
「誰かが誰かを殺したとか恨んでたら、終わらないんだよ。
 残された奴も、殺した奴も、チームメイト同士で傷つけ合うんだ。
 誰かが止めないと終わらないんだよ。だから……だから俺が止める!」
成瀬は下を向いていた。その言葉に何を思うのか、肩を震わせながら。

『恨むな』
ドクン。今江の心臓が大きく脈打つ。もう一つの、福浦和也から託された覚悟。
思い出した。それもきっと義務なのだ。最後の言葉なのに、それは自分に向けられていたのだから。

555 :Runaway(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/22(水) 01:26:38 ID:am/FkA5Q0
今江の指先から力が抜ける。
引き金にかかった指先はほんの少しで、銃を支持することさえままならない。
脈打つ音が聞こえる。どんどん大きくなる。
またそうやって自分は、何もできなくなるのではないか。それを思うと怖くて仕方ない。

バババババ…

静寂を破ったのはヘリの音だった。かすかに遠くにその低い連続音が響く。
近づいてきている。一秒毎に音は大きくなる。
音に気を取られた瞬間、同時に銃口の先の男が笑ったのに今江と里崎は気づかなかった。
「仲間割れなんて」
於保が呟いた。そのとき既に、今江の銃口の先に頭はない。
「してる場合かよっ!」
今江の右腕に強い衝撃。伸びていた肘が関節の方向に折れ戻る。
左手が裏拳で今江の右腕を捉えていた。次の瞬間、右の手の平が今江の顎をとらえる。
一瞬のうちに後ろに倒された今江、里崎は於保を捕まえようとおおいかぶさる。
そのまま於保が勢いよく両足を伸ばす。上昇した於保の頭が里崎の顔をかすめる。
里崎の左手、肉のそげた部分を掴む。ただそれだけで里崎は悶絶した。
一気に於保が跳ぶ。行く先は投げ飛ばされた己の銃。
その途中にいる成瀬はただあたふたするばかりで、右手一つで簡単に突き飛ばされる。
林道に出る。そして木の下に落ちていた銃を拾い上げると、於保は全速力で駆けていった。
今江が揺れる視界に悶えながら起き上がったとき、既に於保は成瀬より遠くにいた。
待て、そう叫ぶ前に今江は気づく。
於保の後を追う影がある。
そういえばずっと林道をはさんだ林の中で身を潜めていた。
その影は於保のすぐ後ろをピタリと追いかける。

556 :Runaway(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/22(水) 01:26:59 ID:am/FkA5Q0
「きたか」
追ってくる足音が一人だけ、自分には分かる。
こちらの出方をずっと窺っていた。つとめて冷静に。
あの場ですぐに追って来れるのは一人しかいない。
ヘリのサーチライトが遠くの空に光る。ここで追いつかれまいとひたすら足を駆る。

 両側の林が消えた。
広くない林道から、いきなり大平原に出たような錯覚を覚える。
そこにあったのは何かの建物の跡地らしき、林の中の袋小路の広場だった。
「ちっ」
行き止まりだ。途中の分岐の選択を間違えたらしい。
広場の中央まで走る。地面に無造作に残されていた棚や瓦礫を飛び越えると、前は茂み。
於保は振り返ると同時に銃を構えた。追って来た影はそれを見て足を止めた。
「さてと」
於保の視線の先には、予想通り彼が立っている。
一丁前に、右手の銃を構えてこちらに対峙している。
どこか甘ったれていた顔つきが、いつの間にか一端の迫力を帯びてきているではないか。
「どっちが先に撃つ?」
「なぜ……笑っていられるんですか」
憤りか混乱か。
表情の定まらない内竜也の視線が、於保の顔ただそれ一点を見据えていた。

557 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 01:35:16 ID:w4zAxijU0
職人様乙です!
う、内くんっ!!!???うわぁぁぁ

558 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 02:00:46 ID:vgdYhOsrO
西岡以上に金澤が気になる

559 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 02:53:48 ID:i6El5rDz0
職人様乙です!
1対1勝負きましたか…ワクワクドキドキ。
自分も金澤が気になる。あと浅間と晋吾。単独行動者は誰かと出会ったりしないと話が進みにくいからなー、気長に待ってます。

560 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 03:02:47 ID:zlNwTfKo0
職人様GJです!
今江…!!福浦の最期の姿が頭を過ぎって、泣けました。
内君…頑張れ!!!
あと俺もかなり金澤気になります。本気で怖いし。

561 :三者三様 1  ◆prGJdss8WM :2006/03/22(水) 04:15:22 ID:jcXpQUDY0
十六夜の月が満月より暗いのも、無意識に計算していたのかもしれない。
飛び上がるというより前へ突っ込む。体の塊が一秒かけず茂みに突っ込む。
「!?!?」
声を拾うより先に足が噛み付く。相手の体がある。
途端に弾かれたようにばしゅっと左肩の上が裂けた。鋭い動物の爪が、熱い野獣の爪が一気に切り裂いたように。
その感触で頭の一部が冷静さを取り戻した。
怒りの理由。その決着。全ての符号が厭味な位かちりと一致した。
この人を、殺そう。そのために俺がなすべきこと。
そこでもう一度足を蹴り上げた。

「…つっ」
背を思い切り蹴られて、反動で突っ込んだぬかるみから西岡はかはっと泥を吐きながら顔を上げる。
そして体を翻す。そのせいでユニフォームの前面はおろか、後面も泥にまみれひんやりとするが、そんなことに構ってはいられない。
借り物なのだ。ちらりとあの先輩が、お前どーしたらこんなになんだよ!と憤慨する様子も想像したが、元はといえばそっちが悪い。
どっちにせよ、自分の背番号を足蹴にするなんて思わなかった。
がうんと銃声がする前に身を返して、ごろっと転がるようにして茂みの斜め横に身を伏せる。
その方が銃口の狙う範囲から外れるはずだと思ったからだ。
「…!?」
がざがざっと、ばきぼきっと、噛みあう、取っ組み合うような音が何度かしたのに、銃声はそれただ一度。
何でだ。お互い銃撃戦になるはずだろう?咄嗟にモニタを引っ張り出す。

どんと塊が飛んできて、そのユニの番号を確かめるのに存外時間がかかったのは、やっぱりあの月の暗さのせいだ。
7番だと思ったから、それでも引き金の指が緩んだのは認める。それも加えて隙に繋がったかもしれない。
スパイクの泥つきのやつが、思いきり頬に食い込む。
ぐっと、声とも呻きともつかないものが込み上げた。珍しく逆上しそうになった。
それから恐怖に似たものがまた頭を鷲掴んだ。
西岡であろうと大塚であろうと、あちらはこちらを殺すことにためらいが無いのだと思い出した。
足を跳ね上げ身を庇う寸前、一撃うった。相手の身がざざっと茂みのどこかに倒れこみ、もう一度鼻先を蹴り上げ這うようにして逃げる。
「っ…」
雅英は血まじりの歯を吐いた。ペッと。
多分右の頬はずたずただろう。そのまま闇森の戦いが始まる。

562 :三者三様 2  ◆prGJdss8WM :2006/03/22(水) 04:16:00 ID:jcXpQUDY0
7番だった。それは間違いない。
動体視力には自信がある。けれど西岡が自分から突っ込んでくることを考えると、一瞬不可思議な気分になる。
俺が火をつけたのはどっちだ、大塚のほうだ。
考えが浅いのは、深みが無いのはどっちだ。大塚だろう。
撃ってこないのはどうしてかは知らない。弾切れなら好都合だがそうそう信じるわけにもいくまい。
右の頬から垂れる血を拭えば、べっとりと泥もこびりついていた。誇りも傷ついた。
殺したくなった。

大塚が丘を駆け下っているのがわかる。画面上で追える。
倒れこんで息を呑んで、西岡は雅英との距離を目算する。数十メートル離れてはいまい。
どうどうと流れる川の音が、上手く自分の気配を消してくれたのか。二つの点は等距離を保ちながら、自分からはなれていく。
川の暗さ、月の暗さ、森の暗さ。そして冷たさ。
どうする。どうする。数十秒、頭がフル回転する。
大塚の意図が読めない。雅英に突っ込むには供えがなさ過ぎる。
出来るなら、ああ出来るなら。
挟みうつしか!

追ってきて貰わなければ困る。ここに至って自分の最後の弱点はそれだ。
逃げられたら追えないし見失う。だからわざと怒りを引き出すようにしたのだ。
もう切り替えが効かなくなっているに違いない、いくらあの守護神でも。俺をきっと舐めてるから。
俺くらいの奴に、俺程度の奴に、ここまでされるとは思ってないだろうから。
だから追って来いよ、と大塚は思う。ずざざざと、濡れた葉の上草の上を滑るように丘の窪みに滑り落ちる。
あんたを殺そう。俺はここで待つ。
追って来い。

緩やかに風にもまれた雲が、さらに月をぼんやりとさせた。
都会では想像もつかない星空が、それでも一気に広がる。
冬の大三角のひとつの白い星だの、三つの帯星だのが見える。
まるで今の自分たちの鏡写しだと、西岡は思った。

563 :三者三様 3  ◆prGJdss8WM :2006/03/22(水) 04:16:28 ID:jcXpQUDY0
大塚は、絶対何か企んでいる。いくらあいつでも闇雲に突進してくるとは思えない。
猪突猛進のようには。己を知っているタイプだ。
だから力の及ばない方には、逃げるタイプでもあった。そんなこと今は懐かしく思っている場合じゃない。
むしろ風を読むのに長けていると言うべきか?
それも今は考えている場合じゃない。
雅英は深呼吸する。低い姿勢のまま闇を吸い込むようにした。
そうすればますます目だけが冴えてきそうな気がしたからで。
ポケットからはみ出るようなあのモニターを引っ張り出した。
7番の背番号をつけたほうが、大塚。じゃあ23番は西岡か。
位置を確認する。やっぱり企んでやがったな。
闇をつかむような手つきで雅英は進む。声も音も心も死んでいく。
月のくらい夜のせいだ。

その月が、ほんのり照らした。
さああと何かが振ってくるように、柔らかな細々とした光が森の上を撫でていく。
そして艶やかな濡れた葉を一枚一枚くっきりと彩り、様々な方向に踏み荒らされた下草の惨状にも届いた。
凛としていた。空気とか気配とか何もかもが。
あの川の音が後ろから聞こえていたが、それ以外何も聞こえなかった。
雅英は大きな眼を細めるようにしていた。
仄かに白い月明かりのためだけでなく、草葉が掻き分けられぽっかり空いた森の隙間に、その先に白いものが蠢いているように見える。
モニタをそっと持ち上げて、姿勢はそのままで確認して、ゆっくり銃を構えて左目だけを完全に閉じた。
茂みの先に見えるユニフォームの一部を狙った。あれは7番になるんだろう。
愚かな企み。ちょっと同情すらした。

裏をかこうとして一定距離を保とうとしていたから、その銃声に反応するのも遅れた。
森の奥底にひびく轟く音が何発も、びりびり空気を震わせて鳥の眠りも覚ましたようだ。
ぎゃ、ぎゃと不吉に鳴く声に西岡は背筋が寒くなった。びくんと体が、木陰から跳ね上がった。
マシンガンの音じゃない。あんな連発の仕方なんてしない。

564 :三者三様 4  ◆prGJdss8WM :2006/03/22(水) 04:17:03 ID:jcXpQUDY0
もう暗くない。
月がまだまだ明るくて、もしかしたら不利かもと、思わなくもなかった。
でも見上げる暇も無かった。モニタを確認もしなかった。

森がぽかんと開いた場所。

気配も消さず駆け下りてきた西岡を、五月蝿そうにその人は振り返って見た。
西岡のスピードで、ざああと森全部が震えているようだった。その竜巻にも狩られず、その人は立っていた。
「…お前にしては遅かったな」
言いながら手にしたライフル(なのか)で、ちょいと先の茂み、その陰を差す。
「まだ生きてるかもしれないけど」
そう言って仁王立つ、その体からは殺気は感じられない。
呆然とする西岡が立ち尽くす。ゆっくり雅英が振り返る。
むしろ不機嫌そうにちょっと眠そうに、傷ついた頬を拭いながらかちり、こちらに銃口を向けるだけだ。
あまりにも無造作な仕草だった。

「…お前、どこまで知ってる」
その声は、むしろその銃口から聞こえる。
「どこまで知ってる、西岡」

565 : ◆prGJdss8WM :2006/03/22(水) 04:19:36 ID:jcXpQUDY0
おはようございます
ちょっと一身上の理由で離れておりました、申し訳ありません。
多大なご迷惑お掛けしてすみません。職人様方にもご連絡をさせて頂きます。


566 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 07:04:42 ID:ZMBpIjQoO
職人様方2323しく乙です!!!
あ、あきら…無事でイテ。゚.(ノД`).゚。

567 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/22(水) 09:36:49 ID:aeHoaZVK0
職人様方乙です!
雅コワイヨ雅…ガクガクブルブル

568 :終わらないかと思った 1  ◆prGJdss8WM :2006/03/23(木) 00:09:22 ID:sh/IYTJf0
その銃口を見ていたら、すうっとバランス感覚が揺らいだ。身がゆれそうになった。
膝も腰も震えていないのに、体から魂が飛びそうになった。

何かが変だと思っていた。そう簡単に死ぬとは思っていなかった、だ。
現実感がない。雅英より先の茂みに見え隠れするその、ボロボロのユニフォームを見てもぴんとこない。
孔だらけで、7という文字もめちゃくちゃだ。
そこに何度も、連弾銃の弾が貫いたしるしだ。
ざざっと吹く風に意識が傾き、同時に景色も傾いたように見える。
「西岡」
問われても声を出す気にもなれなかった。

何故か緊迫したそのシーンは、のっぺりとして見えて、時が止まったように思う。
ざーっと激しい一陣の風が吹いた。
そこにあるのはただ三つだけ。ごくごくシンプルだ。
雅英がまた汚れた頬を拭う。その黒さは暗さは瞳と同じで、差し込むわずかな光さえも届いていなかった。
どうしてかなんて考えても、もう元には戻れない。どうして闇雲に突っ込んだのかとか、どうして自分も追ってきてしまったのかとか。
そう簡単に終わるなんて思ってなかった。
でもこんなものか。こんなものらしい。圧倒的なものの前にたった一人っていうのは。
二人でもきつい話だったらしい。

「西岡聞いてるか。永久には待たない。言わないのか」
それとも言えないのか?雅英の声が聞こえる。
銃口も訝しげに揺れる。

あるのはただ三つ。
狙われる自分と、狙うライフルと、立ち尽くす雅英。あともうひとつ、それから。

569 :終わらないかと思った 2  ◆prGJdss8WM :2006/03/23(木) 00:10:11 ID:sh/IYTJf0
それから?

「…ッ!!」
「西岡!!」
それから、その背後に。
「伏せろォォォ!!」

一気に意識が澄み切った。西岡はとっさに横っ飛びに跳ぶ。
その跳びぬけた動体視力は、身を躍らせながらもそれからの出来事をひとつも見逃さなかった。
肩から、変な姿勢で近くの藪に突っ込みながら見た。

雅英が眉を跳ね上がらせながら振り返る。もちろんライフルはとても鋭敏に。
そして眼を見開く。

ぼろぼろのユニフォームを脱ぎ捨てて、ちょうど反転して大塚が構えている。
木の枝の上から、逆さに反転してぶら下がって。

雅英の体が完全に裏返る前に、そのマシンガンが火を噴いた。本当に吹いた。
それを西岡は確かに見たと思った。

かろやかとさえ思える、細かな銃声が何度も響いた。数え切れないくらい響き続けた。
支えきれないくらい啼き続けた。
火も噴いていた、きっと。
その音、その色、鮮やかで奇妙に鮮烈で、記憶に残っている。響き続ける。
終わらないかと思った。何時終わったのか覚えていない。
本当に、終わったことなんか覚えていないんだ。

570 :終わらないかと思った 2  ◆prGJdss8WM :2006/03/23(木) 00:12:00 ID:sh/IYTJf0
気がつけば大塚は頬を拭っていた。
左目の下からこめかみにかけて、赤いやけただれたような傷跡がある。
やっと身を起こして、それでも半分薮に突っ込んだままの、斜め後ろの西岡からはそれがよく見えた。
大塚サン、硬い声で呼びかければ彼は首だけ振り返った。
背番号の無い、黒いアンダーだけの背を向けて、大塚はこちらを振り返っていた。
「大塚サン」
何と言っていいのかわからず、西岡はまた呼ぶだけにした。
だらりと垂れた西岡の腕を見て、撃たれたかと彼は少し言った。そういう大塚の左手もだらりとしている。
掴むマシンガンの上に血が流れぽたぽた、雫になっている。黒い雫だった。
「悪い、お前の孔だらけだ」
言いながらちらりと視線で、借り物のユニフォームのほうを見る。
「…俺のも泥だらけじゃねーか。イーブンにしとけよ」

飛び降りたときに引っ掛けたようで、そのアンダーシャツもあちこちひきつっては破れている。
大塚は痛そうなその肩をすくめた。何度か見た仕草のその中に、何か違和感のようなものを感じた。
左頬もまた痛いらしかった。

「…こんなのに、頼ってたら」
言って大塚はふと、何かを蹴飛ばした。足元に転がっていた、黒い塊のような、例のやつだ。
「頼ってたら、わかんなくなるってこった」
「…大塚サン?」
「全部、画面の上に見えるから。全部べったり。地点しかわかんないから」
立ち上る火薬の匂いが、ふっと突然鼻をついた。現実だ。
「だから上なんか見ない」
上なんか、そんなの、呟きながらごしごし手の甲で、大塚は左の頬を拭う。本当は頬でなく、眼をこすったのかもしれなかった。
目も眩んでたからな。俺とお前と、一瞬でも迷っただろうしな。
ますますどこも泥だらけになるのに構わず、大塚は何度も何度もそうした。

571 :終わらないかと思った 4  ◆prGJdss8WM :2006/03/23(木) 00:12:42 ID:sh/IYTJf0
「西岡」
ただ見るだけの西岡を呼ぶが、大塚は自分は動こうとはしない。
その先に多分、凄惨なものが見えるのだろう。それを庇うためにか、秘密にするためにか、大塚は立ち尽くしていた。
「卑怯くさくて、ムカつくやりかた」
「大塚サン?」
「そういうの、俺は上手いから。教えてやるよ。お前に」

泣きながらカッコつけても決まるわけ無い。
そんなに後悔するくらいなら、最初から弱音吐いて逃げ出せばいいのに。
最後まで俺に全部見せないなんて、余計かっこ悪いと思ったけれど、それはやっぱり言えなかった。
だからそれから聞こえたのは、ただ大塚の独り言にすぎなかったのだ。でも、泣き言と言ったら怒るだろうか。
覚悟なんて。覚悟決めてるなんて、なのに俺は何て甘い。ちくしょう。

その後、最期に呟いた言葉に対しては、もっと聞かなかったふりをしてやった。
和也、悪い。多分お前は、そんなことすんなって怒るだろうけどな。
仇、みたいなのはとったぞ。

572 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 00:19:02 ID:NqO456160
職人様乙です!!!!
明無事だったんだね・・・マサ・・・(´Д⊂

573 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 01:08:57 ID:cvNCNZgc0
職人様乙です!
いやー何だかスゴイ…(;゚Д゚)


574 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 01:32:20 ID:7uDZo1ML0
雅英…将海にかけたあの言葉、忘れてないぜ。
職人様乙です。
ムカついて仕方なかった雅英ですが、めちゃくちゃ泣けました。

575 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 02:08:53 ID:Ij0/uSkC0
職人様乙です。
想像した展開とかなり違ってました
明頭いいなあ

576 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 02:27:04 ID:1T47F6rr0
明かっこよすぎだ…
参っちゃうなぁ、こんな大人の真似、西岡には無理だなw

職人さん、事情があったようですが、続き楽しみにしてるので他に追いつくように頑張れ!!

577 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/23(木) 08:29:00 ID:/000p88h0
ttp://www.geocities.jp/pandiani2006/bs042.jpg

韓国の強姦事件発生率は日本のおよそ8.5倍
韓国の暴力事件発生率は日本のおよそ22.4倍
韓国男子高校生の4割は痴漢経験あり
韓国男子高校生の3.7%は強姦経験あり

578 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 07:03:23 ID:5ITJVGXbO




579 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/24(金) 21:32:42 ID:aQ0t8/hVO


580 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 10:50:45 ID:HCtd9f2e0


581 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 12:54:18 ID:ZS18Ud/M0


582 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 13:40:53 ID:CVoAUKVTO


583 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 16:36:18 ID:TGdmMcUe0


584 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 16:50:36 ID:AjitzEQE0
ほす

585 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/25(土) 17:18:45 ID:HCtd9f2e0
星野仙ほすって…www空気嫁よ………ww

586 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 10:15:27 ID:xKtXGdiKO


587 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 14:25:40 ID:rGEw4OKmO


588 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 16:56:50 ID:/QauEAoWO


589 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 18:05:24 ID:Ul5WIx5mO


590 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 19:13:58 ID:pzj563OP0


591 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 19:48:39 ID:up3yelg00
658 名前: 代打名無し@実況は実況板で [sage] 投稿日: 2006/03/23(木) 22:45:05 ID:n2dCjJSF0
ある職人は好きだからどんなに遅くても許せるが、他の職人が書くと内容がこざっぱりしてて物足りない。
ぶっちゃけ続きを他の職人には書かないで欲しいと思っているが、当のある職人の投下スピードが他についていけていないし
クライマックスに水を差すようなことは一読み手の立場としても言うべきではないのは分かっている。
だけど続きを書き出した他の職人ってそもそも限られてるから、いわゆる他の職人は自分じゃないかなと思うよね?
このレスでその職人が物足りない内容を反省するか、続きを書きたがらなくなることを暗に望む。

要約するとこんな感じか。
叩いてる奴も叩き返してる奴もまわりくどいこと言っては暗に叩いてる卑怯者ばっかりにしか見えない >λ


685 名前: 代打名無し@実況は実況板で [sage] 投稿日: 2006/03/26(日) 18:55:58 ID:scOVy9EA0
ここでがあるのに本スレで陰口叩く必要ってないんだよね
同一人物認定されると無実の余罪を追加された気がして嫌なんだけど
信じてくれるとも思えないし>λ


ということは本スレでぶちかましてるのと同じだということなので貼ってみた。
あとはシラネ

592 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/26(日) 19:55:27 ID:Y8TGRwB10
>>591
空気嫁

593 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 00:17:53 ID:kMxdOT+pO


594 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 02:16:50 ID:bgi3y1p4O


595 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 08:30:39 ID:C9MtgD92O


596 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 20:25:25 ID:UcJ4KGMJ0


597 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/27(月) 21:38:49 ID:tMC/XBSbO


598 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 00:47:54 ID:bfgWIBGUO


599 :死に至る病(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/28(火) 02:43:25 ID:c6csAKZQ0
雑草が伸び放題になった草原の中に、錆びれたワゴン車が放置されている。
へこんだ側面、剥げ落ちた塗装、ひびの入った窓ガラス。
持ち主に見放されてから、どれくらいの時が経ったのだろう。
浅間敬太はその廃車の傍らに、ひざを抱えてうずくまっている。
遠くからはまばらな銃声が聞こえる。殺戮はまだ終わりそうにないらしい。
その銃声も今は他人事のように聞き流して、じっと自分の左手を見る。
手のしわにと爪先には消し去ることのできない、人殺しの刻印。
自分が堀幸一を殺めた事実を思えば、その重さに潰されそうになる。
それだけのことを自分はしたのだ。一人で背負い込むしかない。
心なしか銃声は近づいてきている。
いっそその銃撃戦の巻き添えになって死ねたら、と投げやりな事さえ思い浮かぶ。
そこへ足音か、草が踏みつけられる音か、銃声とは違う音を聞いた気がして、浅間は顔をあげた。
「え?」
視界に息せき切らした何かが飛び込んでくる。意図せずとも全身が固まった。
向こうもこちらを見る。浅間に気づくと、何を思い立ったか方向を変え、こっちに向かってきた。
慌てて逃げようとするも、行動を起こすのが遅かった。すぐに背後から捕まえられる。
その勢いのまま押し倒され、車の陰に引きずり込まれた。
叫び声をあげる間もなく、口が塞がれる。浅間がもがいた。
「騒ぐな、殺さない」
耳元に聞こえる囁き。その声に浅間は聞き覚えがある。
目線をあげれば、思ったとおりの小野晋吾。まだ近くにいたのか。
こんなヤツの言うことなんか信用できるはずがない。
浅間はさらにもがき、体の戒めを解こうとする。
「いいから黙れ」
首筋に軽く押し当てられるチェーンソーの刃。
浅間が抗うのをやめる。辺りは急に静まり返った。
そういえばさっきの銃声もいつの間にか消えている。
晋吾の速まる鼓動と荒い呼吸だけが異様に大きく聞こえた。何をそんなに急いでいたのか。
そして、近づいてくる足音がもうひとつ。浅間を戒める腕が、一層きつくなった。
足音が止まったと思った瞬間、耳をつんざくような銃声が響く。
廃車から外れたバンパーが、火花を散らして目の前を飛んでいく。
その光景に、浅間は本当に自分が銃撃戦に巻き込まれてしまったことを悟った。

600 :死に至る病(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/28(火) 02:43:53 ID:c6csAKZQ0
「金澤」
晋吾が後方へ呼びかける。浅間がはっと晋吾を見上げた。
返ってくるのは意味深な笑い。その目が何かを企んでいる。
そこに金澤がいるというのだろうか。相手の意図が読めない。
いや、そもそも自分を殺す目的なら、チャンスは他にいくらでもあったはず。
この人の狙いは何だろう。自分を人質にでもするつもりか。
「教えろ。お前あのとき、わざと将を狙ったよな」
「それが何か?」
聞こえてくるのは確かに金澤の声。
「何で将だった」
「……あの人ね、偉そうに説教たれるんですよ。綺麗事ばっかり並べ立てて。
 ああいう理想主義者は死んで当然でしょう? 人間、綺麗事だけじゃ生きていけないんですから」
金澤の言葉をしっかり頭に留めながら、晋吾は浅間を観察する。
浅間は身じろぎもせず、ただ金澤の声を全身で聞いていた。
「それだけか」
「ええ、そうですよ」
晋吾が舌打ちをする。くだらない理由だ。予想していたものの、実際に聞かされれば腹が立つ。
今すぐにでも金澤に飛び掛りたい衝動をぐっと腹に押さえ込む。
ここで感情的に飛び出していくのは賢くない。
この状況では圧倒的に不利だ。もっと距離を詰めなければ。
「将だけか。他は?」
「そんなこと聞いてどうすんですか」
「その銃の扱い、将だけじゃねえだろ!」
見ればわかる。まず撃つことにためらいがない。そしてある程度は狙い撃てる技術がある。
それだけ手馴れた扱いを見せるからには、相当使い込んでいるはずだ。
「そうですね。橋本さんのほかは……早坂、杉原、雅彦さん、山崎さんもそうですし、
 それから、小野さん。あなたももうすぐそこにに加わりますね」
早坂の名前に浅間の顔色が変わったのを晋吾は見逃さない。
その理由はすぐ思い当たった。これは使えるか。

601 :死に至る病(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/28(火) 02:44:20 ID:c6csAKZQ0
「早坂は……お前の同期じゃなかったか?」
「知ったこっちゃないね。死ぬか殺すかの二択で、同期だとか友情だとか構ってられます?」
その同期が傍に隠れているとも知らず、金澤はいけしゃあしゃあと答える。
(よく聞いとけ、これが金澤の本性だ)
晋吾が内心呼びかけるまでもなく、その答えの意味は浅間が一番よくわかっている。
気がつけば、浅間の口を塞ぐ手が濡れていた。泣いているのか。
晋吾の手と浅間の頬の間にできた溝には水がたまり、やがて表面張力が崩れてあふれ出す。
浅間の口から嗚咽が漏れる。その音を悟られまいと、晋吾は口を塞ぐ手に力を入れた。
まだ早い、こいつの存在を知られるには。
「どうやって殺した。その銃か」
獲物を追い詰めるべく、金澤はゆっくりと歩みを進める。
向こうが飛び道具を持っていないのは察しがついている。
逃げもせずずっと隠れている以上、こちらから向かって行くしかない。
姿が見えたら、そこで確実に撃ち殺す。
「今、再現してみせますよ。誰と同じ死に方がいいですか」
一歩一歩、近寄ってくる足音。雑草が踏み折られていく。
浅間の涙は止まることを知らない。勢いが増すばかり。
信頼する友に殺された早坂を思って、全くの別人になってしまった金澤を思って、
信じるものを失った自分を思って、浅間は泣く。
今、浅間の目の前を覆うのは絶望。それは死に至る病。
誰も信じられない、自分のことですら。目に映るもの全てが敵と思える。
早坂の仇を討って西岡や金澤と共に帰る、そんな夢物語のなれの果てが転ぶのばかりが見えた。

602 :死に至る病(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/03/28(火) 02:44:51 ID:c6csAKZQ0
「あああああああああああっ!」
唐突に浅間が叫ぶ。金澤に注意を削がれていた晋吾の腕が、力づくでほどかれる。
「!?」
浅間が車の陰から飛び出しかける。晋吾は腕を伸ばして、浅間を引き戻そうとする。
その腕を払いのけようとして、浅間は闇雲にナイフを握った左手を振り回す。
その瞬間、晋吾の右肩に焼けるような熱さが走った。そのまま地面に倒れこみ、背を丸めて悶絶する。
驚いたのは金澤も同じだった。一人しかいないと思っていたのが、もう一人現れたのだから。
「……信じてた」
浅間が肩を震わせ、振り返る。
「信じてたのに……信じてたのにぃっ!!」
力任せにメチャクチャに叫ぶ。金澤を睨みつける顔は涙と怒りで赤い。
その様子を晋吾は地べたにのたうち回りながら見ている。
切り裂かれた右肩からは、だらだらと流れ続ける血。忘れていためまいが再び襲ってくる。

金澤が近づいてきたら、浅間を盾にしてやるつもりだった。
浅間がヤツの本性を知れば、ただの盾以上に働いてくれる。そう思った。
こちらが切られたのは計算外か。それでもあとは思惑どおり。
そうやって裏切り者を責め続ければいい。俺がやるより断然効果がある。
そうして金澤を追い詰めたなら、最後は――俺が殺る。

603 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 04:08:49 ID:Q1diU1a6O
新作乙
そーいや浅間も晋吾も忘れてた!どーなるのかワクテカ

604 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 06:02:38 ID:cLF0ZVnP0
ぅおおっ!!気になっていた単独行動者たちが一斉にキテター!!
職人様乙です!
あぁもう続きが気になって仕方が無い…。

605 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 09:35:16 ID:bfgWIBGUO
食ぬン様乙です!
浅間…カワイソス(´;ω;`)

606 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 12:58:06 ID:Nh5axk7o0
忘れてた。すっかり忘れてたw
浅間辛いな…
晋吾、そんなんで死ぬなよ。

607 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 12:58:38 ID:ytTYv90bO


608 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 16:08:58 ID:ZyYHR9ke0


609 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 17:05:53 ID:bfgWIBGUO


610 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 18:39:31 ID:HxsXbRTf0


611 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 22:08:16 ID:AbKwWJym0
にしこり<保守します

612 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 22:19:39 ID:sT29hG4N0


613 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/28(火) 23:28:33 ID:nHbzG+Ys0
すごい展開キテター!
職人様乙です!!

614 :番外 園川一美と愉快なコーチ達31(1/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/28(火) 23:32:49 ID:w0CMuiaD0
「それにしても福澤くんはどうしたんだろうね?」
「・・・は?」
夜中の千葉マリンスタジアムの通路に、吉鶴と荘の声が響いた。
福澤の姿はここには無い。
なぜなら、福澤は駐車場に車を止めてくると言い、二人を先に降ろしたのだ。
「こんなに僕達を急かしてさ。明日の朝に出発しても良いんじゃないのかな?」
確かに今から急いでも今日中に沖縄に着くかは不明である。
しかも、キャンプが行われている場所は沖縄本島より離れた場所なのだ。
「そりゃまあ、そうですけど・・・。急がなければならないことがあるんじゃないですか?」
「急がなければならないことって何さ?」
「僕が知るわけ無いでしょう。」
その後二人は言葉少なく歩いていた。

(それにしても静かだな・・・。)
通路を歩きながら、吉鶴はそんなことを考えていた。
普段なら試合の完成などが否応にも聞こえてくるはずなのだが、
今は二人の足音以外何も聞こえてこない。
「誰もいないと、こんなに静かなのか。」
そう吉鶴がつぶやいた瞬間、カサカサっという音が背後から聞こえた。
「え?何かいる?」
吉鶴はあわてて振り返った。
「・・・どしたの?」
振り返った先には、ポケットから最中を取り出した荘がいた。
「いえ・・・、なんでもないです。」
ため息をつき、吉鶴は再び歩を進めた。
ところが、吉鶴が一歩と進まぬ間に、今度はがたがたという音が聞こえてきた。
「荘さんっ!?」
「な、なんだよう?」
再び振り返った吉鶴が見たものは、
今まさに最中を口に入れようとしている荘の姿だった。

615 :番外 園川一美と愉快なコーチ達31(2/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/28(火) 23:34:10 ID:w0CMuiaD0
待ったをかけられたせいか、ややふてくされながら、荘は言葉を返した。
「吉鶴くん、食べたいなら最初からそういってくれればいいのに。」
「・・・違います。」
ポケットから別の最中を取り出そうとする荘を制して、吉鶴は考えた。
(今の音は荘さんが出したものじゃないのか。そうだとするといったいどこから・・・。)
吉鶴は耳を澄ませた。
しかし、物音は聞こえなかった。
(気のせい?・・・にしてはハッキリしていたよなあ。)
しかし、考えていても結論は出なかった。
吉鶴は最中の包みを弄んでいる荘を見やり、先に進んだ。

シーズン中ならまだ試合が行われているはずの時間帯だが、
この季節では、さすがに明かりは点いていない。
それでも勝手を知っている場所だけあって、二人はさほど迷うことなく通路を進み、
程なくして二人はグラウンドにたどり着いた。
普段はここで試合が行われるため、いくらか照明がついているのだが、
今日は星の光とオフィス街からわずかに漏れてくる照明だけがグラウンドを照らしていた。
「そもそもグラウンドまで来てもやること無いじゃないですか。」
吉鶴は呆れ顔で荘の方を向いた。
しかし荘は吉鶴の言葉に答えず、かわりにマウンドを指差した。
「吉鶴くん、あれ・・・。」
「え・・・?」
吉鶴は荘の示した方向を見やった。

616 :番外 園川一美と愉快なコーチ達31(3/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/03/28(火) 23:35:10 ID:w0CMuiaD0
グラウンドには明かりが点いていないため、吉鶴は必死に目をこらした。
最初はただの暗闇としか思えなかったが、
ようやく慣れてきたのか、マウンド付近に薄ぼんやりと影らしきものがあることが判別できた。
吉鶴はその影が何であるか見極めようと、一歩踏み出してみた。
最初は小さな塊がグラウンドにあるようにしか見えなかったのだが、
目が慣れるにつれ、それは少しではあるがはっきりと見えるようになった。
その影はどうやら跪いている姿のようだ。

―マウンドに跪く、影。

「吉鶴くん、あれって、ひょっとして・・・!!」
「は・・・はいっ!」
二人は思い当たる節があるのか、あわててマウンドへ駆け寄った。
ところが、ファールラインをまたごうとした瞬間、球場中のライトが一斉に点灯した。
「うわあっ・・・。」
突然のことで、二人は目がくらんでしまい、その場に立ち竦んでしまった。

ファールライン上で右往左往している二人の姿に気づいたのか、
マウンドにいた影は、ゆっくりと立ち上がり、マウンドを降りて二人のほうへ向かってきた。
突然のまぶしさで吉鶴にはいまいち距離感がつかめなかったが、
どうやら影は二人ごく近くまできて足を止めたようだった。
そして、唐突にぽんっと二人の肩に手を置いた。
二人に緊張が走る中、影はゆっくりと口を開いた。
しかしその声は良く聞き慣れた、というより聞き飽きた声であった。
「おいおい、二人ともどうしたんだ。わざわざこんな埋立地に。」

617 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 00:13:41 ID:mGE8fTKt0
気になる展開!!職人様乙です!
荘さんテラカワイス。マリーンズが誇る萌えキャラwwwww

618 :君はなんて言う?(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/29(水) 01:14:19 ID:Hh4MROM00
「西岡聞いてるか。永久には待たない。言わないのか」
半歩分、あとずさる。さすがの勢いも制してしまえばこの程度だ。
不用意な一瞬さえ作らなければ、もはや動くことすらままならない。
生意気にもこの小林雅英を一度は退けた彼が、西岡剛が今や蛇に睨まれた蛙だ。
蛇は自分。獲物を前に舌を湿らす。
圧倒的優位なのだ。これは全て自分自身が勝ち得た。
それなのになぜだ?
達成感も爽快感もない。また暗くてべっとりとしたものが心に沈む。
もう何度目だろう。長崎伸一、清水将海、原井和也、そして福浦和也。
殺す度に、裏切る度にそれを押さえつけてきた。
誰のために? お前がそれを為さなければ、死ぬのはお前だけじゃない。
そんな覚悟を決めてしまえばあとは迷っているヒマなんてなかった。
ボロボロの鎧だった。でもそれを何重にも何重にも体にくくりつけてきたのだ。
 今度は大塚明。また気分はひどく雑に入り乱れて。
だが乱れるつもりはない。目の前の輩を敵と見なせば、少なくとも迷いはしなかった。
だから西岡の些細な変化にも気づいた。
その表情が一瞬で、自分より上にある何かに気づいて硬直した。

「伏せろォォォ!!」
その声が真後ろから鼓膜を貫いた時、混乱の中ですべきことは分かっていた。
殺したつもりだった。大塚明の背中に弾丸を山ほど撃ち込んだのだ。
待てよ。振り返る途中でよぎる。
死体を確かめずになぜ殺したつもりだったのか。
暗い中に浮かんだユニフォームだったから、囮だなんて思わなかった?
確かめる前に西岡が来たから?
おそらく厄介過ぎたせいだ。
これで終わりだと、もう奴とやり合うのはごめんだと、辟易していた。
大塚明は殺したのだと思いたかったのか。

 体が完全に後ろを向く前に、断続的に逆方向の加速度があった。
小林雅はバランスを崩しそうになりながら、それでも振り返り切ろうとする。

619 :君はなんて言う?(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/29(水) 01:14:49 ID:Hh4MROM00
胴や腕の辺りで服が弾けていた。黒い穴が空いていた、血はまだ出ない。
銃声を小林雅は一つも聞かなかった。聞こえなかった。
首だけが先に後ろを振り向き、その状況を視認する。
誰もいないことに驚き、すぐに前方やや上方に動くものを見た。
ライフルがその銃口を大塚に向けるまでにまた数回の加速度。
小回りの利かない長尺の銃身を恨む。
弾丸が乱れ飛ぶ。その一つ一つが銃口から火花と一緒に送り出されるのが見えた。
そしてそれらの幾つかが自分の体に降り注ぐのが小林雅には見えた。
本当にゆっくり見えて。だから長い時間、その瞬間を感じていた。
実際にはほんの一、二秒。
わずか数発のライフルでの抵抗のあと、小林雅は地面に崩れ落ちていた。
 致命傷となったのは肺を突き破った弾丸。
吸い込むはずの空気は口の中を漂うだけで、穴の空いた風船の中には流れない。
二度と膨らまない。酸素は激しい動悸と体の動きにすぐに食い尽くされていく。
そして小林雅の体は正直に、本人の意志など存ぜぬように力を使い果たした。
 真っ白になった意識がすぐに戻ったのは、更に続けて走る衝撃のせい。
大塚明は止めない。まだ、倒れた自分に弾丸を撃ち込み続ける。
それを見ていられるのはまだ頭や目に当たっていないから。
もっとよく狙えよと、小林雅は天を仰ぐ。
脱力し切った体だからか、たくさんの弾痕が全く痛みを発しない。
むしろ気持ち良いとすら覚える。
死ぬのかな。
ふと、消え入りそうな視界を目の前に小林雅は思う。

 弾丸の嵐が止んだ。満足するほどの弾丸を浴びせたか。
まだ少し右腕だけは動くのに気づく。
重力に任せて首を右のほうに傾けると、その手はズボンのポケット近くだ。
ポケットが膨らんでいる。それを少し眺めて、小林雅の右手が動く。
それは意思ではなく、ただの無意識。
もはや「こうしよう」という力すら小林雅の精神には残っていなかった。
ただ息絶えるのを目前にして、自然と心が求めたのかも知れない。

620 :君はなんて言う?(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/29(水) 01:15:14 ID:Hh4MROM00
焦点すら合っていない目と、びくびくと震えるだけのような手。
その右手がポケットをまさぐり引きずり出したのは、携帯電話。
もう何度も戦いの合い間に見ていた。手は自然とその動きを覚えている。
一つ一つ撫でるようにボタンに触れてその途中で彼の手は止まる。
震えも止まった。そして二度と動き出すことは無かった。

 許されようなんて最初から思っちゃいない。尊い意志なんて欠片もないんだ。
だから、こんな俺には死に様がお似合いなのかも知れない。友達は怒ってたけど。
ただ君のために俺は迷わないんだ。そう決めたんだ。
そんな俺を、君は絶対に許さない。
みんなを悲しませることが誰よりも大嫌いな君だから。
誰よりも俺のことを誇りに思ってくれる君だから。
自慢の、娘だから。
だから本気だろうがハッタリだろうが死なせたくなかった。
何が何でも死なせたくなくて。糞みたいな奴らの言われた通りにして。
でも結局最後は死んじゃうみたいだ。
なあ。こんな俺に、君はなんて言う?

 うつむく大塚がずっと佇んでいて、西岡が何歩かつかず離れずのところを彷徨う。
独り言が終わるのを待って話しかけるつもりが、きっかけがつかめず大塚を窺う。
涙は止まっていたが、まるで大事な人を失ったように口を結んで、動かぬ小林雅を見ている。
大事な人、のように見えた。モノかも知れない。
それは小林雅なのか。違う誰かなのか。たぶん。
「ユニ、どうしますか」
西岡が今聞けるのはそれぐらいだった。
 そのときだ。どこかからスピーカーにスイッチの入る音。
渡りに舟? そういえば先ほど中断した放送が、禁止エリアも告げずにそのままだった。
内部で何があったのか推し量ることは難しい。
ただこの場の空気を打ち破る、そんなきっかけになりそうな期待が沸いた。
――HAHAHAHAHAHA!!
 期待なんて容易くするものではない。それが告げたのは単なる禁止エリアの連絡ではない。

621 :君はなんて言う?(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/29(水) 01:15:33 ID:Hh4MROM00
スタジアムに近づくことすら出来なくなる。そして監督が変わった。
山本功児なら、スタジアムに侵入可能なら、今まであった考えはどこかへ消し飛ぶ。
「ボビーまで出てきましたわ」
スタジアムの方を見る。ついさっき上がっていた花火は既にない。
照明の光が空をぼんやりと明るくしているだけだ。
「もうスタジアムに近づけんし、山本さんならまだしも……」
「西岡」
「は?なんですか?」
「お前、山本さんのこと舐めてたな」
「え、ああ。そんなこと言うても、ボビーに比べたら、ねえ」
「お前の才能を見出して期待してくれる監督さんだな」
感に障る言い方。思わず大声を上げそうになるがそこは飲み込む。
いつまでも一枚上手にいさせるわけにもいかない。
「大塚さんも似たようなもんやないですか。相当に買ってますよ、あの監督」
「知ってる」
マシンガンを握る手からくしゃりと言う音がした。砂がこびりついているからだ。
大塚は西岡の方を振り向くと、ちらっとスタジアムの方を見て、西岡の顔を睨む。
数秒何も言わない。
「ゲロ吐きそうなほどムカつくな」
一瞬自分が言われたのかと西岡はびくりと肩を上げる。しかし大塚は表情を変えない。
「潰すわ。こんな地獄を見ながら笑ってるような野郎まとめて」
そう言って小林雅の亡骸に近づく。しゃがみ込んで探り出したのは小林雅のバッグだ。
銃に爆弾、次々と飛び出す武器。更には食料に包帯などの簡単な治療道具。
「四次元ポケットや」
大塚の後ろから割り込むように西岡が袋の中を探る。独り占めは良くないとでも言いたげに。
「そんなオモロそうなこと、一人でやらせませんので」
「ふん。……ん?」
ため息と共に何かに気づいた様子の大塚は、右手をゆっくりと小林雅の右側に伸ばす。
手に取ったのは携帯電話。こときれた右手がその上に乗っていた。
「ケータイ? 持ってませんでしたよ?」
「まだ息があったのかも知れん。どっか連絡でも……ああ」

622 :君はなんて言う?(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/03/29(水) 01:16:00 ID:Hh4MROM00
大塚の表情が悲しげなものに変わったのを西岡は見逃さない。
まるで見なければ良かったとでも言いたげな顔。
「どうしたんです?」
「ただのメールだよ」
「何の?」
「うっせ」
そう言って西岡にバックハンドで投げつける。
胸に軽く当たってから両手で掴んだ。
そのメールの文面を見て、西岡も言葉を詰まらす。
 娘からよくメールが来る。そんなことをこの人はニコニコ話してたっけ。
この親バカと思っていたが、相づちが義務になるのが後輩のツライところだった。
そのメールも娘さんからの、ずいぶん前にもらったはずのメールだった。
ウチの娘は俺がちょっと打たれるとこんなだとか、しまりのない顔で言っていた。
わざわざ保存して死ぬ前に見てたんか。そんなこと知ったら、もう何も言えない。
 結局この男も加害者のくせに被害者だったのではと、思ったけれど大塚の手前黙っていた。
そうだ。誰かを、自分のために誰かの大切な人を殺した者に同情なんか禁物だ。
そう思わないと、もう誰とも戦えない、きっと。
必要なことはすぐに割り切れる。憎たらしいほど自分は身勝手だ。
 西岡はケータイを閉じると小林雅の手にそれを戻した。右手にしっかりと握らせて。
「行くぞ」
武器をバッグに詰め込んだ大塚が立ち上がると同時に、西岡もその場を離れる。
ふと振り返り、弾痕で埋め尽くされたその体を眺める。
笑えんわ。ため息と一緒に呟いた。
ケータイの画面にあった文面、それはは短く一言。

『うたれるな、ばかちん』

それを小林雅が息を引き取る前に見られたのか、知る者はいない。

【30小林雅英× 残り15名】


623 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 01:41:34 ID:3l3GznGoO
わわわ;職人様乙です!!!
やっぱ娘かコバマサ…っ

624 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 03:44:27 ID:WWPjKQn40
職人様乙です!
『うたれるな、ばかちん』…
。・゚・(つД`)・゚・。

625 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 07:02:30 ID:zwwSE+s2O
職人様乙です!
マサ…。゚・(ノД`)・゚。

626 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 09:40:27 ID:1gshb/YLO
職人様乙です!
マサ…ばかちん。・゚・(ノД`)・゚・。

627 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/29(水) 15:54:45 ID:7Vt+YA2d0
雅英がムカついて仕方なかったのに、早く死ねとさえ思ったのに
今は涙が止まらないですよ…。゚(ノД`)゚・。
職人様、本当に乙です。


628 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 00:32:27 ID:bLQa5LDuO


629 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 11:04:54 ID:+cvWJ8gsO


630 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 11:05:16 ID:JKfAxnImO


631 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 17:22:13 ID:oaKeELyE0


632 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 21:00:22 ID:YqSlbRcW0


633 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 21:55:07 ID:w51Bq+vx0


634 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 22:18:31 ID:G3ixY3Lb0


635 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/30(木) 23:20:50 ID:OX9sm69D0


636 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 00:16:08 ID:x8ddpa1R0
竹清〜〜〜〜〜

637 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 10:28:29 ID:1I9EPx75O


638 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/31(金) 23:14:44 ID:fRN1hb6W0
捕手

639 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 01:14:03 ID:Fm4vlL23O


640 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 07:07:20 ID:OzzcT7b7O


641 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 10:51:18 ID:f4l1McXm0


642 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 12:22:19 ID:NZoAnJec0


643 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 12:40:05 ID:fSv26/xy0
疑問に思ったのですが、スタジアムから花火って二回あがってるっけ?
大塚VS雅英の話、最初のほうで「花火が〜」って描写ありますよね。
でも雅英が死んだときにも花火が上がってて、しかも放送もあって、
ボビー登場??
私は最初の花火がボビーのやってきたあの時だと思ってたんですが、
どっちが正しいのかな・・・

644 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 18:10:25 ID:ULpaU296O
保管庫よがんばれ。まっているぞ

645 :代打名無し@実況は実況板で:2006/03/32(土) 20:07:01 ID:2broDfRt0
>>643
雅英が死んだ時に花火が上がってる描写なんてないような?
どこ?

646 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/02(日) 04:20:25 ID:KriyLsCPO
ボビーが出て来て、「さっきまであがっていた花火…」って描写が続いてる。
確かに、対戦の最初の方で花火あがってたから、少しタイムラグありすぎ?かもしれん。
最初の方にさらに、ボビーが登場したっぽい記述もあるし…
ダブってるっていうか、被ってるよな…

647 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/02(日) 09:19:03 ID:UHi+xiyr0
>>646
ボビーが出て来たシーンとはどこのこと?放送?どれのことを指してるのかちょっとわかりにくい。
薮田編によると、エカ放送中断(6時頃)〜ボビー登場の花火〜ボビー放送(6時40分頃)という流れなので
花火の時刻=雅との戦闘開始時刻⇒雅死亡⇒ボビー放送だから、この間は20〜30分ぐらいでは。
「ついさっき上がっていた花火(>>621)」という描写にタイムラグありすぎと言うほど変かな?
335章〜>>618までは一続きの戦闘シーンだから短時間のはずだよ。

>ボビーが出て来て、「さっきまで上がっていた花火…」
>最初の方にさらにボビーが登場したっぽい記述
最初の方とは335章でOK?
335章「花火にしろ、その後に見えたヘリのようなものにしろ、明らかに異質だ。」の記述はボビーがスタジアムに来た時、
>>621はそのあとしばらく経ったあとの放送だから時間的にはどこもダブっていないと思うけど?

648 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/02(日) 10:20:28 ID:KriyLsCPO
あ、なるほど。
ボビーが出て来たときと、放送は殆ど同時だと
思ってた。
ヘリが来てしばらくしたあとで放送があったんだな、ありがとう。

649 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/02(日) 22:12:51 ID:n88v+SDRO




650 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/03(月) 18:52:16 ID:bXzXJabxO
  保
     守

651 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 08:54:48 ID:PCKXTzCUO


652 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 18:08:34 ID:AulLJCzuO


653 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 18:56:46 ID:koB/0Mvf0


654 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 19:30:14 ID:6cyHh2ge0


655 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 20:30:22 ID:+Mzg35lV0


656 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 20:31:26 ID:5At7LSMh0


657 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 20:48:25 ID:TJT3yDBa0


658 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 21:08:06 ID:PBeAf2MJ0


659 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 21:23:13 ID:xr8or+Xk0
援護が無い

660 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 22:06:03 ID:+JAVm+gAO
しかも無四球だったしな

661 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/04(火) 22:31:52 ID:NMy7lAan0
危ないからage

662 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 00:05:53 ID:VqLaGYyu0
ここまできてこんなもの見る羽目になるとは('A`)
直行かわいそうだよ…

663 :番外 李承■と愉快な同士たち26(1/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:46:57 ID:VhrDzkcG0
 力なくうなだれるネイサン・ミンチー。しかし顔には生気が戻っていた。
もう、うつろな目ではない。沈痛な面持ちでマット・フランコを見つめる。
「情けないよ。私はどうかしていたんだ」
「オー、ヤリチン」
「うん、それは分かっているけど」
バシャッ。リングの中央を照らしていた明かりが消え、ホール全体が明るくなった。
「洗脳が解けたようですな」
スピーカーを通してノイズ混じりに瀬戸山隆三の声が響いた。
「ああそうだ! これ以上お前達の言いなりにはならん」
「くく、勝手になさい。だが…君たちの命はこちらの手中にあるのですよ?」
周りを見れば銃を構えた兵士達がリングの四方を取り囲んでいる。二人同時に唾を飲んだ。
「…まあいい。殺すのはいつでもできます。大人しく檻に戻るなら当座は助けましょう」
言いなりになる他ない。二人はすごすごとリングを降り、フランコのいた檻に入る。
格子が再び上がり、檻の上部の穴にはめ込まれた。

「全く! 洗脳が解けるとはどういうことなんだ!!」
スピーカーのスイッチを一旦切ると、瀬戸山は顔を真っ赤にしながら近くの書類をぶちまけた。
あまりの勢いに紙ふぶきのように部屋中に書類が飛んでいく。
「うわっ、なんですかこれは」
丁度モニター室に入ってきた一人の男が、部屋中を舞う紙に面食らっていた。
それに気づきもせず瀬戸山は声を張り上げる。
「バレンタインめ、私の洗脳は完璧と言っていたなっ!? なんだアッサリと!」
「代表」
「なんだぁッ!? ……なんだ君か、なんだね」
部屋に入ってきた彼は中背だが肩幅も広く筋肉がついてガッシリとした体だ。
背広に身を包んではいるが、元々はスポーツ選手であることがうかがえる。
「お夜食と、バレンタイン監督から今連絡がありまして」
両手で支えられたお盆の上には丼が乗っている。蓋の隙間から湯気が見えていた。
「バレンタインだと? なんだ!?」
「洗脳した選手の情報や扱い方を書いたメモを置いてきたから読んでくれと。言い忘れていたそうで」
「そんなメモがある!? 忘れていたとは何事だっ! ……で、そのメモは?」

664 :番外 李承■と愉快な同士たち26(2/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:47:29 ID:VhrDzkcG0
「今、代表がぶちまけた書類の内の……あ、これかな」
彼は足元に丁度降りてきた紙を見ていた。それを拾うと瀬戸山に差し出す。
「なになに? 洗脳兵士取扱説明書 by ボビー・バレンタイン」

――瀬戸山くんへ。
私は何人かの選手に洗脳を試みたが、これは必ずしも上手くいくものではない。
洗脳には色々な方法があるが、私が用いているのは強い催眠と言うべきかも知れない。
攻撃衝動・憎悪など他者に害を加える"悪い心"とでも言うべきものを人間はみな持っている。
そういった"悪い心"は人間の精神に大変強い影響力を持つ。だがこれは人間により千差万別だ。
私はその人間が持っている固有の悪い心に暗示をかけて増幅している。
際限なく、心の奥深く、その攻撃や憎悪の対象が何なのか分からなくなるほど前後不覚になるまで。
後は攻撃の対象を与えてやれば、彼は勝手にその衝動を相手に向けるというわけだ。
というわけで大元になる"悪い心"が大きく、あるいは深い人間ほど洗脳しやすいのだ。
ロッテ球団への深い恨みのため一番洗脳がうまくいった代田くんは私が連れて行く。
あとの外国人達は好きに使って構わない。
だが本来の悪い心から外れた行動をさせると洗脳が解けるかもしれないので、そこのところ注意ね――

 その紙を読む間に瀬戸山の顔がますます赤くなっていく。肩がわなわなと震えだした。
傍にいる背広の男は更にもう一枚の紙を拾うと手に取り、そのまま読み上げた。
「ミンチーの洗脳記録。趣味の狩猟を材料に、攻撃対象をその獲物と思い込むように味付けしてみた。
 猟銃を手放すと次第に洗脳が解けていく可能性があり注意。肉弾戦は厳禁。とあります」
「遅いわーーっ!!」
瀬戸山が紙を左右真っ二つに引き裂いた。あまりの大声に背広の彼は耳を塞ぐ。
「あのアメ公め、面白がってわざと今さら言ってきてるんと違うだろうなぁ!!」
「ボビーに限って、それもありそうですね」
ギロッと背広の男の方を見る。
「やかましいわ! さっさと残り二人の洗脳記録とやらも探せ!」
「しかし、代表が」
20坪ほどの広さのモニター室、そのいたるところに書類が散乱していた。
瀬戸山はまた何やら叫んで頭をかきむしった。
【同士6名  ※■は火へんに華】

665 :番外 李承■と愉快な同士たち27(1/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:47:55 ID:VhrDzkcG0
〔丶`J´〕ノ◎<オッス、オジンオムッチム(イカの和え物)!李承■デス

 通気孔の中を私と覆面の男が匍匐前進していきまス。
意外に広くて通行するのは容易デス。
前を行く覆面の彼にそのことを言うと、これは抜け道でもあるそうでス。
誰の?兵士達ではないでショウ。私達が通っていることに気づいていませんカラ。
そうなれば、考えられるのはもっと上の立場の人間デス。黒幕という人達でス。
だからこの通気孔であり抜け道である通路は、黒幕の部屋に通じていマス!
ただ私には疑問がありましタ。
なぜ覆面の彼はこれが抜け道であると分かっているのデショウ?
内部の人間でも立場が低い人間は知らないような機密だというのにデス。
私は一抹の不信感を覚えまシタ。
彼にそれを教えたのはもしかすると…そして私は騙されているのデハ?
その疑問を口にできないまま、私と彼は通気孔の中を進んでいきまシタ。

 上下左右に通気孔の中を移動してもう数十分か数時間か、長い時間が経ちまシタ。
まだ目的の場所、黒幕の居るところにはつかないそうデス。
私は更に迷いが強くなりましタ。
私を陥れるためなら、これだけの時間を描ける必要はないのですカラ。
意を決して聞きマス。
「貴方はなぜそんなに内部の事情に詳しいのですか?」
覆面の彼は一瞬こちらを向くと、また前を向きました。
「そうじゃな。話していなかったな。
 そもそも何故ワシが今回の一件を知ったか、そして内部の情報を知れたか」
「はい」
「味方がいるんじゃ。やつらの内部で今回の一件を止めようとしておる。
 全ての情報は彼に教えてもらったものじゃ」
「その人は信用できるのですか?」
「ワシは信じとるよ。わざわざアメリカにいるワシに連絡を取ってきたんじゃからな」
「アメリカ? 貴方はそこから…」
シッ。覆面の彼が人差し指を口の前に持ってきましタ。

666 :番外 李承■と愉快な同士たち27(2/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:48:19 ID:VhrDzkcG0
すぐそばで人の声が聞こえまス。私達はより静かに歩きまス。
しばらくいくと、通路の途中で真下に通気穴が開いていましタ。
覆面の彼が通り過ぎたところで体を返し、二人でその穴から中の部屋の様子を覗きまス。
仕切りの網越しに二人の男性が話していまス。
(……瀬戸山さんだ!)
ひそひそと覆面の彼に話しかけると、彼もコクリと頷きましタ。
その前にはいくつものモニターがありマス。
モニターに映っているのは、檻に入れられた谷保さん、ベニー、フランコ、そしてミンチー。
ミンチーも捕まっているのでしょうカ。いずれにせよ、その状況に心が痛くなりマス。
「まだ見つからんのか、洗脳記録は!」
「あ、ここに一枚ありました」
もう一人の背広の男性――どこかで見た気がしまス――が紙を瀬戸山さんに渡しマス。
「ふむ……おお、これは良さそうだな。よし、次の対戦カードは決まったぞ」
対戦とはなんのことでしょうカ? そして洗脳とはなんのことでしょうカ?
わからないことだらけデス。
「もしもし、瀬戸山だ。……うむ、そうだ、次は彼とベニーで準備しろ」
どこかへの電話をかけ終えると、瀬戸山さんは一息ついたようでしタ。
「どれ、夜食でも」
そう言って私達の覗いている穴の真下にやってきまス。私たちは頭を引っ込めましタ。
夜食とは丼のようでス。瀬戸山さんがそれを開いた瞬間、私は目を疑いました。
(おい、スンヨ。どうした固まって)
覆面の彼が放心する私に小声で話しかけますが、私の目はそれに釘付けでス。
丼の中にあったのは、とても美味しそうな、そう、カツ丼なのデスカラ。
私が日本に来て一番、そして人生で一番好きになった日本食ではないですカ。
メジャー挑戦への夢も、カツ丼が日本だけのものだと思うと葛藤が生じマス。
そのカツ丼が私の目の前。しかも今日はずっと食事の機会がなかったのデス。
私の頭より先に体が反応していマス。
(こりゃ、スンヨ何を!)
うっかり通気穴の仕切り網を外そうと手をかけた私の腕を覆面の彼が掴みまス。
しかし私はそれを振り払おうとして、覆面の彼の腕力に対抗しまス。
両者の腕が震えまス。力比べデス。そのまま時間が流れていきまス。

667 :番外 李承■と愉快な同士たち27(3/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:48:47 ID:VhrDzkcG0
「缶のお茶かなにかないか? 実は湯のみを壊してしまってな」
「食堂に行けばよろしいのでは? 行ってきましょうか」
「いやそれには及ばん。それより早く書類を全部拾っておいてくれ」
カツ丼を前に瀬戸山さんが部屋を去っていきましタ。
一人取り残されたカツ丼は誰のものでもないように見えまシタ。
「スンヨ、うぎゃ!」
ついに覆面の彼を突き飛ばすと、仕切りの網を外して私は部屋に降り立ちましタ。
着地すると同時にお箸を持ち、丼を右手に持つと、カツを一切れ口に放り込みます。
「え?」
その時私は我に返りましタ。瀬戸山さんの横にいた男性が私を見つめていたのデス。
私はカツを口にくわえながら――つゆが衣にしみていて美味いデス――背筋が寒くなりましタ。
「あ、あ、あ」
硬直する私。
相手の男性も同じように固まっていましタ。
「スンヨ、何をやっとるんじゃ!!」
覆面の彼が叫びます。もう私は妙に冷静で、それどころではないだろうと思いましタ。
私達の存在がバレたのでス。原因は私ですが、もうそれを責めている場合ではありまセン。
目の前の男性をどうするべきでしょうカ。ならば先手必勝、これ日本の言葉デス。
「勘弁してくださいよ、危ないな。一体何をやってるんですか」
目の前の背広の男性は、覆面の男に向かってとても自然な様子で文句を言っています。
「すまん。スンヨが急に取り乱してしまって」
覆面の男も、その男性に普通の会話のように謝っていまス。
私は大変混乱していましタ。今、その男性に飛びかかろうとしていたのですカラ。
「スンヨ、彼がワシを呼んだ男じゃ。そして色々な情報を教えてくれておる」
「深く入り込んでしまうと情報は得られるんですが、ヘタに動けなくて。
 だから申し訳ないけど、他の人達に力を借りることにしたんです。
 李承■、君にも情報を伝えることができたようで嬉しいよ」
「では、貴方があの情報の発信元ですか!」
「君は何度か見かけたことが。俺は松本尚樹、本来の仕事はスカウトです」

【同士7名  ※■は火へんに華】

668 :番外 李承■と愉快な同士たち28(1/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:49:38 ID:VhrDzkcG0
 瀬戸山隆三が帰ってきたとき、丁度彼へ電話がかかってきた。
「準備ができたか、よし始めよう」
スピーカーのスイッチを再びオンにする。

「お待たせしました。では第二試合に移ります。
 まず、今回戦ってもらうのは……ベニー・アグバヤニ!」
「おおお!」
自らを鼓舞するようにベニーが吼えた。
鉄格子が外れると一目散にリングへ向かい、その巨体を跳躍させた。
リングに降り立つと、高らかに宣言する。
「俺、卑怯な企み、ぶっ潰す。仲間、誰来ても、助ける!」
フランコの方を向く。
「オー、ヤリチン!」
「わかってる! 時間、かせぐ!」
両手を握って親指だけ立てると、それを胸の前に持ってきてポンポンと胸を叩いた。
任せろの合図だ。
「では対戦相手の登場です」
そのセリフを言い終わる前に、向こうのドアをぶち破って一陣の風が走ってくる。
それはどんどん加速をつけて、リング手前で高く飛び上がった。
ベニーがハッとして身構える。
「危ない!」
谷保が叫んだその瞬間、ジャンプの勢いそのままにそいつの膝がベニーの体に突き刺さる。
まるで巨大なカナヅチで大木を叩くような、鈍く大きい衝撃音。
「ほう、受けたか」
ベニーはそれを両手で受け止めていた。
足が半歩ほども衝撃で後ずさっている。
「心、取り戻せ」
「あん? 俺は今が最高だぜ、何のためらいもなく殺してやりたい気分なんでな!
 ベニー、あの糞パナマ野郎との勝負を邪魔したテメェには腹立ってたんだよ!」
「サーフ、お前、何を!」
続いてすぐにフックがベニーの顔を捉えた。クリーンヒットを知らせる高音が響いた。

669 :番外 李承■と愉快な同士たち28(1/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/05(水) 02:50:56 ID:VhrDzkcG0
「ダン・セラフィニ対ベニー・アグバヤニ、試合開始!」
ステップを踏み少し距離をとると、セラフィニは再びベニーとの距離を詰める。

「くく、今度はミンチーのようなことはない」
手元の紙を見つめながら瀬戸山が笑う。
――セラフィニの洗脳記録。もともと強い闘争心に攻撃衝動があるが我が強過ぎる
ズレータに対する殺意が強すぎて、対象を他の人間に移すのが困難なので扱いづらい。
唯一、乱闘の再に止めに入ったベニーに対しては逆恨みをしているようだ――
「まさにピッタリではないか!
 まさに適材適所。この有能な私の足を引っ張ることなどできん」
「そうですね」
傍らで松本が相づちを打つ。
モニターを見る、ベニーは戸惑っているようで防戦一方だ。
目を細める。このしかめ面を気づかれてはいけない。
彼らだけではない。今、かつての仲間達や自分が才能を見出した彼らが窮地にある。
自分にできること、この立場を利用して最大限の情報を提供する。
彼らに策は託した。あとは首尾よくいけば、この計画を止められるはずだ。
(頼むぞ、李承■、そして……)
「おい松本! 貴様ぁっ!」
瀬戸山の怒鳴り声が響く。松本は身をすくめた。
その剣幕は通常のものではない、何か怪しい行動をしていただろうか。
血管を額に浮かした瀬戸山が詰め寄る。
手にカツ丼の丼を持って。
「貴様……、私がいないうちにツマミ食いしやがったなああ!!」
カツ丼のカツが一切れ無くなっていたままだった。
瀬戸山は言い訳不要とばかりに説教を開始した。
その怒声の中松本は思う。
(頼むぞ……ほんとに…)

【同士7名  ※■は火へんに華】

670 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 03:12:19 ID:ltis1yU30
うわ、スンヨプ編もなんか凄いことに……
カツ丼大好きスンちゃんにワラタw 
最近へこんでたけど、ちょっと元気でたよ。職人さんありがとう。

671 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 04:02:12 ID:hKooQYkd0
やばい状況にありながらもカツにしみたツユの喜びを隠し切れないスンちゃんワラタ
そんなことより紅たんが!!頑張れ紅たん!
サーフフクーラしく怖いよ…ガクブル…
職人様乙です。すごく気になる展開…

672 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 15:45:06 ID:Ky61rskq0
すげ…一気に投稿きましたな。
スンつまみ食いすんなよww
自分も元気でました。

673 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 16:30:55 ID:Hu3o1iKG0
松本スカウトキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

674 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/05(水) 16:44:50 ID:eilnDSrWO
いっぱいキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
職人さま乙です!
カツ丼ワロスwwww

675 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 17:14:38 ID:bnXfHjxDO


676 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 17:41:50 ID:thAZ+yLG0


677 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 17:42:43 ID:SieVZmQ60


678 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 17:44:07 ID:T2j+V5itO


679 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 18:37:25 ID:wVEfRhth0


680 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 20:08:02 ID:RkjoE1TuO


681 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 21:43:04 ID:RxXxk9Hw0


682 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 21:58:57 ID:C5XLUy4V0


683 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 23:07:46 ID:8CbRtKDE0


684 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/06(木) 23:08:40 ID:8CbRtKDE0


685 :cry over spilt milk(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/04/07(金) 00:23:40 ID:12iSw1HW0
「どうして……?」
「……」
自分に一歩一歩近づいてくる浅間敬太に、金澤岳は言葉を失う。
どこから聞いていたのだろう。自分は何を喋ったのだったろう。
「おまえはそんなことしないって……絶対、絶対人を傷つけるようなことなんかしないって、
 俺に笑いかけてくれた金澤が真実だって、そう思って……他人に何言われても、
 金澤は、お前だけは違うって、もしそうだったとして……何か理由があるんだって、
 そう思ってたのに、なんで……なんでぇっ!?」
次々と口をつく言葉にまとまりはなく、浅間はただ感情に任せるまま叫ぶ。
顔は怒りと涙でぐちゃぐちゃになって、自分でも何を言ってるのかよくわからない。
ずっと信じ続けていた自分、そして突きつけられた真実。
思えば何の根拠があって、たやすく信じるなどと口にできたのだろう。
始めから自分は何も信じてなどいなかった。自分自身のことさえも。
それで全て説明がつく。この手がその証だ。血に汚れたこの人殺しの手が。
金澤に寄せていたはずの信頼、その正体は所詮自分勝手な思い込みと
そうであって欲しいという押し付けがましい願望に過ぎなかったのだ。
そんな自分の姿が滑稽で、他人事のように可笑しい。
この光景、他人の目にはどう映るだろう。無言の嘲笑が浅間の周りを囲う。
「仕方ねぇだろ。死にたくなかったら殺すしかねぇんだよ」
悪びれる様子もなく、金澤は吐き捨てる。開き直りか。
夢でもいいから、嘘でもいいから、せめて一言「違う」といって欲しかった。
違う、人殺しなんかじゃない、と否定して欲しかったのに。
そんなかすかな望みさえ、浅間の目の前からは断たれてしまう。
自分が堀幸一ひとりを悔やんで、こんなに苦しんでいるのに、
それを金澤は複数の名を上げ、彼らを殺したと自慢げに言う。
言い訳すらしてもらえない。本人がそうだと認めてしまったなら、もう救いがなかった。

686 :cry over spilt milk(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/04/07(金) 00:24:19 ID:12iSw1HW0
傍で何やら揉めているが、小野晋吾にそれに聞き入る暇は無い。
手を伸ばし、落としたチェーンソーを取り寄せて小脇に抱える。
左手一本で這いつくばり、廃車のそばまでにじり寄った。
右肩は血に濡れ、じんじんと広がる鈍痛で思うように動かせない。
左腕を伸ばしてサイドミラーを掴み、力を入れて体を起こす。
上体を浮かせようとしたとき、不意に頭の中を空白が襲った。ぶり返すめまい。
晋吾の体にかかる重力が増す。手は汗ですべり、耐え切れずに地面に崩れ落ちた。
気がつけば全身に脂汗。息も荒い。顔に浮かぶ汗を手で拭う。
これくらいで死ねるか。俺が死ぬときは、あいつも道連れにしてやるのだから。
――『死にたくないのはお前一人じゃないだろ!』
――『知るか! 甘っちょろいことばっか言って殺される方が悪ぃんだよ』
廃車の向こうから言い争う声が聞こえる。浅間の声は悲鳴かと紛うほど鋭く、耳に障る。
あいつは橋本将ともこういうやり取りを交わしたのではないか、晋吾はふと思う。
結局のところ金澤と橋本の間に何があったのか、詳しくはわからない。
橋本が今の浅間のように感情的だったかどうかも知らない。
でもこの状況、橋本ならきっと怒る。浅間と形は違っても。
金澤はどう受け留めるだろう。橋本と同じく、浅間のことも恨みに思うのだろうか。

「みんなチームメイトだろ……? 仲間じゃなかったのかよ! それを何で!?」
「じゃあ、どうしろっていうんだよ!? 俺が死ねばよかったって言うのかよ!
 殺さないだの、信じるだの、綺麗事掲げたって、人間死んだら終わりなんだよ!
 死んだ人間に正義もクソもあるか。現実を見ろ! もう何人死んでると思ってんだ」
「でも圭介は……圭介はっ……!」
喉の奥から嗚咽が膨らんで、言葉が出なくなる。
自分が知る金澤はどこへ行ってしまったのだろう。
「今さらそんなこと言ったって遅ぇよ! 覆水は盆に返んねえんだよ」
どれだけ悲痛な声で訴えても、嘆いても、金澤の元には届かない。
空回りするばかりで、噛みあわない歯車。そう、それは確かに過ぎたこと。
でも仲間の死が「過ぎたこと」の一言で片付けられるだろうか。

687 :cry over spilt milk(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/04/07(金) 00:24:51 ID:12iSw1HW0
金澤の言うとおり、今さら泣いても喚いても死んだ人は帰ってこない。
それでも、嘆かずにいられない自分は間違っているのだろうか。
難しいこと望んじゃいない、ありえないこと望んじゃいない。
誰も死なずに、皆が無事で元の日常に戻る。それだけのこと。
そんな当たり前のことをが甘い綺麗事だと言われるのか
金澤は何故、「殺す」なんていう選択肢を受け入れられるのだろう。
「全部嘘だったんだ……俺の無事を祈ってるって言ったのも、
 今まで金澤と過ごした時間も、俺に見せた笑顔も全部……何もかもっ!」

半狂乱で浅間が責め立てる。金澤の苛立ちが増す。
自分の何が間違っているというのか。正しいからこそ、ここまで生きて来れたのだ。
その証拠に綺麗事を並べ立てるだけの連中は、とうにこの世にいない。
浅間に泣かれるいわれがどこにあるというのか。
「ねぇ、なんで……なんで!?」
浅間が金澤の両肩を激しく揺する。その左手にはナイフが握られたまま。
振り払うのも疎ましい。この苛立ち、どこかで覚えがある。
そうだ、あの人に似ている。橋本に感じた苛立ちと。
そう思えば、浅間の姿がどこか橋本に重なって見えてくる。
あの人は死んでもまだ俺に説教をする気か。
「金澤……」
「うるせえっ!」
金澤が腕を持ち上げた瞬間、頭が痛くなるような威力のある音がした
それと同時に、浅間が後ろ向きに倒れる。その様子はやけにゆっくりと見えて。
辺りの雑草が浅間の体を受け止めるように揺れる。
浅間の左胸に空いた穴。その焦げ穴の周りには広がる広がる。
恐ろしく見開いた浅間の目はもう何も見ていない。
金澤の握るワルサーPPKから硝煙がのぼる。火薬の匂いが鼻につく。
引き金を引いた本人が、最も目の前の出来事を信じられず立ち尽くしていた。
「敬太……?」
金澤が呟く。返事などあるはずも無かった。

688 :cry over spilt milk(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/04/07(金) 00:25:42 ID:12iSw1HW0
(今、俺は自分の意思で引き金を引いた。発作的になんかじゃない。
 敬太に「死ね」と思った。殺意を持って、俺は敬太を……殺した?)
殺して殺して生き残って、その先には何が待っていただろう。
また元通りに野球をすること? 一軍に上がって活躍すること?
そしてその先にあるのは、一軍でこいつの球を受けることじゃなかったのか?
自分は確かに言った。敬太の無事を祈ってる、と。
それは嘘偽りのない気持ちだった。なのにどうして。
死んだら終わり。時間は撒き戻せない
それは自分で何度も言ってきたこと。子供でもわかる単純な理屈。
そんな残酷で明快な理屈が、今の金澤の目の前に示されていた。

車に寄りかかり、やっとの思いで立ち上がった晋吾もその光景を見つめる。
体を支えようと必死でしがみついた車体には、べったりと塗りたくられた血の跡。
「……同期なんか知ったこっちゃないよなあ?」
晋吾が呟くように呼びかける。返事はない。
金澤は倒れる浅間を見下ろし、放心状態でたたずんでいる。
今まで散々鬼畜じみたことをやってきたくせに、今さら人間のふりか。笑わせる。
やっと仇を返すときが来た。そう思うと口元は自然に緩む。
金澤へ向かって、足を踏み出す。おぼつかない足取り。手にはチェーンソーを携えて。
ふらつく足、ふらつく夜、含み笑いの夜。右肩の出血は止まらない。
とめどなく流れ出る血は晋吾から体力を、思考を、理性を、少しづつ奪っていく。
金澤への憎悪ただひとつを残して。強く根付いた怨念が今の晋吾を動かす源だった。
あと少し、もう少し。そこまで歩み寄って、あいつを殺すだけの力があればいい。
夢も希望も命さえもいらない。欲しいのはこの怨念を晴らす術、それだけ。
誰も望まなくてもいい。自己満足で構わない。俺はあいつが憎い、殺してやりたい。
見てろ、将。俺が今この手で、あいつの息の根を止めてやる。

【13浅間敬太× 残り14名】

689 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 00:31:35 ID:M4vQ1tYm0
うわぁ・・・。浅間・・・。

職人様乙です。

690 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 00:42:14 ID:edDq1WZ50
職人さん乙です。
あ、浅間…金澤…(つД`)
小野も執念だけで動いてるし、なんか悲しすぎる展開だ…。

691 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:08:32 ID:TuG7Ke5nO
職人様乙です…!
この同期ネタは凄く気になってたんで……浅間ぁ……(ノд`)゚・。…っ!!

692 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:10:41 ID:JnmNfYOT0
敬太…最期まで悩むしかなかったなんて…悲しすぎる…
初様が知ったら…
職人様乙です…

693 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:25:54 ID:R5l29+Z+O
あ、浅間ぁー!
最後の最後まで可哀相な奴だ…。
でもこれで金澤も目を覚ましてくれるだろうか…もう遅いかもしれないけど…。
って晋吾もヤバい!?

694 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:27:25 ID:F+XSh+RQ0
職人様乙です。
あ、あ、浅間ぁぁ━━━…。・゚・(つД`)・゚・。
金澤もどうなっちゃうんだろう…この二人は悲しいというか切ないというか、あぁ…

695 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:31:44 ID:Cls17G2u0
晋吾、
せつなすぎだよ・・・・

696 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 01:58:10 ID:6hhi9HdWO
浅間…(つД`)なんてかわいそうな最期…


697 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 07:10:19 ID:arFK154FO
職人様乙です!
あ、浅間ああぁぁ。゚・(ノД`)・゚。

698 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 08:03:03 ID:05SbtvgFO
職人様乙です!
浅間…すごい喪失感(´・ω・`)

699 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 11:59:23 ID:ELX7w2rhO
浅間…
金澤もどうなっちゃうんだ…
同期と言えば西岡もだよね。度々同期のこと考えてる描写もあったし、悲しい展開だな…

700 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/07(金) 20:48:22 ID:JdC/oG2X0
職人様乙です!
あああ晋吾…いろんな意味でもうヤバすぎるよ…

701 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 03:56:40 ID:FqLCAVKMO


702 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 07:06:20 ID:Rk5X+a9vO


703 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 08:34:29 ID:GWsvrA82O


704 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 09:58:18 ID:7e1Js5gS0


705 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 12:09:27 ID:HAsvnkz8O


706 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 15:06:26 ID:P5vLjTTr0


707 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 16:04:42 ID:XunC4hXX0


708 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 20:23:25 ID:9bY8i1WR0


709 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 20:40:14 ID:0I8itF8I0


710 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/08(土) 23:47:41 ID:g8cnZQ3sO
誰w

711 :Timekiller(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/09(日) 03:15:40 ID:3G13F3t30
 斜め上に満月がある。ちらりとそれに顔を向けて於保浩己が穏やかに笑う。
目線が離れたのは一瞬だけだ。顔は横に向けても、横目にじっと内竜也を窺っている。
彼の右手には銃がある。その銃口の向かう先も内だ。
内の右手にも銃がある。その先には於保がいる。弾丸はたった一つ。
「撃てよ」
小さな歩幅で三歩、内の周りを回るように歩いたあと於保は言った。
内の視線は依然としてその顔めがけて強く圧力をかけ続ける。だが二三度瞬きをした。
満月をほとんど背にして於保の顔に影が濃くなった。
うっすらと読み取れる表情はやはり余裕そのものだ。
それを分かろうとすれば迷いが生じる。だから内は何も考えないことにしたかった。
遠くでヘリの音がする。もしかすると於保を探しているのだろうか。内は唾を飲む。
「あなたは、ずっと運営側のスパイだった」
「ああ」
「僕のことを監視してた」
「見てるだけ、でな」
内の口の端が歪む。銃を持つ右手にわずかに血管が浮いた。
薄暗い於保の顔が一瞬諸積の断末魔の面に変わり、そしてあの時の嘲るような顔が見えた。
「僕をスタジアムに連れて行った」
「ふむ」
「……黒木さんを、殺した」
「そうだな」
右手に力が入る。引き金にかかった人差し指が思わずつりそうになる。
「また、今度は里崎さんや今江さんを騙して」
「はいはい」
「これ以上、あなたの自由にさせるわけにはいかない」
内の左足が一歩前に出る。落ちていたガラスを踏みつけ甲高い音が砕ける。
於保との距離は数歩分。確実に当てられるはずだ。
撃てば全て断ち切ることができるだろうか。
みんなのために、目の前の危険な男を倒す。それはエースへの一歩目なのかも知れない。
「撃てば、いいだろう」
業を煮やしたように口を開いたのは於保の方だった。

712 :Timekiller(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/09(日) 03:16:02 ID:3G13F3t30
「俺を憎んでるんだろう?
 俺を自由にさせておくわけにはいかないんだろう?
 ちょっとは覚悟を決めてきたのかと思えば、つまらねえ時間を過ごさせるなよ」
ため息混じりに於保はまた内の周りを歩く。
その前に棄てっ放しの机が横倒しになっていて、それに左手を置き体重を預ける。
「死にたいんですか?」
「別に俺は自殺志願者とは違うよ。たださ、いつ死んでも大したこっちゃない、そんだけ」
「だったら、なぜ僕に撃てなんて」
「暇つぶしさ。お前が夢を叶えるまでを見てるっていう」
「え?」
「くくく」
於保は笑う。目を細めて、なぜかその笑いは自嘲気味で。
「お前らみたいな人間にはわからんさ」

 ――昔から、夢という言葉ほど白々しいものはないと思っていた。
百年生きようと結局は死ぬ。何をして生きようと最後は塵になる。
そんな中で夢に生きようだなんだと、無意味に思えて仕方が無かった。
いつも退屈して生きていた。
野球は特別に好きだったわけではない。
なんとなく始めたら自分には才能があったらしくて、プロから声がかかった。
別に目標も何もなかった。ただ、少しは暇つぶしになるかと思ったから。
最高の真剣勝負の世界にいればこの退屈も消えるかもしれない。そう思って入った。
すぐに分かった。
自分の才能はそこに行くべき格ではなかった。自分の限界ってものが、すぐに分かった。
一流のプロ野球選手。あいつらは住んでいる世界が違う。
万年二軍。そこが自分のせいぜい住める所になった。
退屈は、前にも増して酷くなった。
 一流と呼ばれるやつがいる。一流の素質を持ったやつがいる。
そいつらは遅かれ速かれ、あっち側の、行くべき世界に上がっていく。
練習の成果とか誰さんのおかげとか。自分の才能を棚に上げて、他人の見本になりたがる。
それはいい。ただ、気に入らないのはやつらが夢と言っては目を輝かせていることだ。

713 :Timekiller(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/09(日) 03:16:26 ID:3G13F3t30
 千葉マリーンズバトルロワイアル。それを聞いたとき何かが変わった。
命の奪い合い。これ以上の最高の真剣勝負はないだろう。
トランシーバーから指示を受けた。何が起こるかわからない。心が沸き立った。
内竜也に出会った。あっち側のやつだ。
一番になる夢のために他の投手を殺すと言ってる。
こいつに起こることをすぐ傍で見る。面白くなりそうだと思った。
最初は見ているだけでもいいと思った。それで充分だった。
自分が何かしようとしても、うまくやれるとは思えなかった。それは自分の限界だ。
でも我慢できなくなった。内に抜け道を教えたりして。
そして内が黒木にほだされた。最悪。そんなものが見たかったわけと違う。
だから、つい。ついやってしまった。
今江を騙しきれなかった時もそうだ。このゲームで自分は我慢が利かなくなっている。
理性を超えてくる衝動。そいつがちらちらと顔を覗かせている。この俺が。
今までのつまらん人生の中では、最高の暇つぶしだ――

「さあ撃てよ。でないともう撃っちまうぜ」
机から手を離し、半身の姿勢同士で対峙する。内竜也は何も答えない。
於保はそのまま内に近づく。二人の距離が一歩分ずつ狭まる。
(さあ、撃ってこいよ。人を殺してでもかなえたい夢がある。
 俺はそんなお前の面が見たくてずっと後ろにいたんだぜ)
動く体に合わせ銃が揺れる。丁度いい位置関係になったのか、銃身が月の光を反射する。
もうあと五歩の距離もない。内の右腕に力が入るのが分かった。

 於保が近づいてくる。射程距離なのはお互い様。
仕切りに撃てと煽る於保に、なぜか引き金を引くことができない。
そうする理由がわからないからだ。恐れていた迷いが、指の動きを鈍らせる。
理解しているのは、於保がこの状況を楽しんでいるということだ。
もうずっと気づいていた。自分をからかうように笑い、銃撃戦のさ中でもおどけていた。
よく笑う。おぞましいながらも、心から楽しそうに。
(黒木さん……)
彼の顔が浮かぶ。同時に言葉も。

714 :Timekiller(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/09(日) 03:16:54 ID:3G13F3t30
はあっ!と自分に喝を入れる。迷いを振り払うように。
声を出し切ると、途切れた後に呟いた。
「僕は……撃たない」
「なにい?」
「あなたのことは許せない。でも……
 あのときのどうかしてた僕を、黒木さんまで導いてくれたのは。
 黒木さんのこと思い出して、エースって何か聞いたのは……於保さんのおかげです」
内が震えながら銃を下ろす。於保の顔から笑いが消えた。
少し黙って、内は静かに言葉をつむぐ。
「於保さんは争いたいんじゃない気がするんです。僕は感謝もしなくちゃいけない。
 だから話を聞かせてくれませんか。今は撃つ気にはなれません。
 それが僕の答えです」

全身が総毛立つ。於保が目を見開く。思わず引き金を引きかけた。
「かいかぶるなよ。俺はお前のためになんか」
そこで声が止まる。
単に黒木について反応する内が面白かっただけだ。
そうだ。黒木のことが内の夢にとって大切なことのように思えて。
(あれ? 何を考えてるんだ俺は?)
心からではない。行動を共にするからには、なだめすかしも必要だっただけだ。
つまらない人生を生きる、つまらない自分。死すら大きな問題ではない。
その暇つぶしに、内をからかっていただけだ。
それぐらいがこの程度の自分にはお似合いの趣向なのだから。
「みんなのことを考えろ。他人に感謝しろ。そして、自分を諦めるな。
 黒木さんの言葉です」
「うるせえっ!!」
自分を諦めるな。その言葉を聞いた瞬間、於保が声を張り上げる。
もうどうでもいいと思った。結局は人を殺す選択をせず、そんな方向に落ち着くのか。
面白くなかった。目の前の全てが。だから引き金を、引いてやる。
 何かが弾ける音がした。引き金を引く前の瞬間だ。遠くの方で。
そんな些細なことで引き金を引く指は止まらない。完全に人差し指は折れ曲がる。

715 :Timekiller(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/09(日) 03:18:17 ID:3G13F3t30
暗闇の中を閃光が走った。
奇妙なことにその光は真横に一筋伸びただけ。拳銃の火花ではない。
火花が出ない。鼓膜に伝わる衝撃もない。弾丸が発射されていないのだ。
引き金を確かに引いたはずなのに。
右手の人差し指が。この手の中の拳銃の。
この手。
あれ、右手がない。
声すら出る間もなく、地面へと右手が落ちていく。それをスローで見ている。
銃を持った右手が地面に落ちた。地面に散乱する小さな板切れが飛び散った。
「HAHAHAMANAHA!」
その大きなスピーカー音が響くと同時に、於保は叫んだ。
右手に痛みは感じない。噴水のように赤が飛び散る。その光景に叫ばずにはいられない。
その叫びは上空に現れたヘリの音にかき消された。
代田建紀が於保の横に立ち、ナイフを顔の前にかざしていた。
いつからそこに立っていたのだろう? 
「内竜也を殺すことは許しません。於保、君はここまでです」
「バレンタイン、てめえ!」
「さあ、代田。早く止めを!」
於保が代田の方を見た瞬間、代田の姿はブレて見えなくなる。
そしてまたあのときの閃光と、そして風圧が過ぎ去る。
気配に振り返る。代田は既に後ろ。遅れてわき腹から血が噴出した。
バッグに手を入れる、まだ武器があるはずだ。代田が消えた。視界がブレる。
左腕が動かなくなる。代田がまた視界に現れた。首元が一瞬熱くなった。
代田は何度もそこを往復する。そのたびに於保の体のどこかから血が噴き出る。
ついによろける。倒れる途中で、於保は一瞬内を見やった。
(ほら、思った通り…………つまん……ね……ぇ)
於保の血を浴びながら微動だにできず、内竜也は見つめることしかできない。
代田の動きが止まる。ヘリのスピーカーからはバレンタインの笑い声が響く。
空には輝く月。その光がだんだん暗くなるのを、於保は天地逆さに見ていた。

【51於保浩己× 残り13名】

716 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 07:48:57 ID:DRRR07J4O
新作キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
って、於保が死んじゃったよ・・・。
ボビーに助けられるのかと思ったら、代田に殺られるとは意外だ。
於保、悪い奴だったけど嫌いじゃなかったぜ 。・゚・(つД`)・゚・。
職人さん乙でした


717 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 09:04:50 ID:/rO+tm69O
うお、マリン行く前に覗いてみたら!
職人様乙です!!
内はど〜なるんだろ…

718 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 10:52:26 ID:ONb2sz9GO
ボビーと代田こえぇぇぇ(((゚Д゚;))))
於保…。゚・(ノД`)・゚。

719 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 12:45:18 ID:K8Fe1Hun0
うぉぉ、職人様乙です!
於保…憎たらしい役だったけどなぜか憎みきれなかったよ…
。・゚・(ノД`)・゚・。
そして内がんがって生きろよ内

720 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 17:19:25 ID:R60xsNEu0
職人様乙です。
於保…最期まで悲しい奴だったな…
内、諦めるな。今頑張れ!

721 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/09(日) 20:35:39 ID:lVEr+a0ZO
職人様乙です!

於保…おつかれ

722 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 18:48:00 ID:jmZ3BNMeO


723 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 20:09:23 ID:vBcJjWpz0


724 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 20:34:25 ID:PBZsN/0e0


725 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 22:29:21 ID:Dz9cmyS80


726 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 23:29:30 ID:3jxTdDCa0


727 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 23:50:07 ID:qTgCFrPb0


728 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/10(月) 23:59:35 ID:dPH7G/dsO


729 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 00:20:45 ID:QeKWGF0i0


730 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 00:41:38 ID:DKTX+AhQO


731 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 00:46:06 ID:I55c0l8e0


732 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 01:21:03 ID:NxNUMge10


733 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 01:47:29 ID:LHtlX2IAO
(・∀・)∩

734 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 10:18:36 ID:ASrooQ7sO
(゚д゚)∩

735 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 10:19:43 ID:rmFIRC6kO
こっち見んな!

736 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 11:46:09 ID:DKTX+AhQO
(゚∀゚)∩

737 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 11:52:14 ID:eV/3S4mE0


738 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 17:01:50 ID:2uNFdRG20


739 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 17:03:56 ID:C2TR9bhPO


740 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 18:21:26 ID:XK3NRCeK0


741 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 18:31:14 ID:94FDnZyI0


742 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 18:32:33 ID:3Rlsx891O


743 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 18:33:27 ID:3Rlsx891O


744 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/11(火) 19:21:07 ID:DKTX+AhQO



745 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 00:52:18 ID:NqakRt8EO


746 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 00:55:21 ID:CO/+cB8AO


747 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 02:53:38 ID:yGdNnNBE0
うぉー、保管庫さんに新機能が。毎度乙です!

748 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 08:54:50 ID:vZXUe23iO


749 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 11:03:26 ID:lHQpS4NsO


750 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 13:21:21 ID:NqakRt8EO


751 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 15:13:17 ID:fcx+tL2+0


752 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 15:15:05 ID:kOmzxzkMO


753 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 17:31:40 ID:ZVBF031P0


754 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 20:58:57 ID:nFt10fzb0


755 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 22:38:13 ID:NDbvFiCZ0


756 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/12(水) 23:30:55 ID:pQUIai64O
マモノ

757 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 15:21:21 ID:uKLF+2fHO


758 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 18:40:59 ID:pLKkyhw1O


759 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 21:01:16 ID:UDsVV0D60


760 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 21:31:16 ID:kuKC3tKQ0


761 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 21:34:10 ID:FNZtAn2lO


762 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/13(木) 22:32:36 ID:b5Olm3yy0


763 :番外 園川一美と愉快なコーチ達32 ◆GDAA.BMJxc :2006/04/13(木) 22:59:13 ID:JJp8vde60
「どうしたって・・・、園川さんこそ何紛らわしいことしているんですか。」
吉鶴は園川―マウンドにいた男に対して答えた。
「はあ、何のことだ?」
「いえ、何でもないです・・・。」
いくら疑問に思っても、
「あの」しぐさは園川が故意にやったものか吉鶴には判別がつかなかったので、
それ以上訊ねるのを諦め、ほかの話題に移した。

「それで、何で園川さんがここにいるんですか?」
「何言ってるんだ、君達が呼んだんだろう。」
「そう・・・でしたっけ?」
吉鶴は首をかしげた。
園川を呼び寄せたのは事実だが、千葉マリンとまで指定した覚えは無かった。
そもそも館山から幕張まで、こんなに早く来ることが出来るのだろうか?
いろいろな疑問が吉鶴の頭に浮かんできた。
「あの・・・。」
しかし、吉鶴が口を開くのとほぼ時を同じくして、大声が響いた。

「おい、誰かいるぞ!!」

「えっ・・・、えっ!?誰かって・・・?」
「別に誰がいたっていいだろう。ここは・・・。」
「もう夕食の時間だから、早く行こうよ。」
吉鶴は慌てふためいたが、一方で園川と荘は落ち着いていた。

そんな三人とはお構いなしに、だんだん足音が近づいてきた。
あまりに突然のこととため吉鶴たちは身を隠すことも出来ず、足音のする方をじっと見るしかなかった。
程なくして、どたばたとやかましい音とともに、一人の男が飛び出してきた。

764 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 01:11:37 ID:xrPE+fC4O
職人様、乙です。でも、中途半端じゃねぇの?

765 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 01:15:12 ID:0ld2LmBi0
何様ですかその物言いは

766 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 01:28:32 ID:fDcGzPWS0
>764-765
なんかうけたw

767 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 13:28:51 ID:25o6hZfDO


768 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 16:35:41 ID:zPGZW1LwO


769 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 16:43:11 ID:+rwu295cO


770 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 16:58:40 ID:k5YMIrv10


771 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 17:25:33 ID:EaS1ms+40


772 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/14(金) 20:18:41 ID:gIMQ3DGD0


773 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 00:03:43 ID:rX3Lt+JgO


774 :修正(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/15(土) 00:38:59 ID:YfcU91gB0
 ヘリが地上に近づくと、巻き上げられた風に短髪が揺れた。
赤い飛沫がきらきらと、まるで天と地が逆さになったように舞う。そしてどこかへ消えた。
首からの出血も最早弱々しく、頭から地面に落ちる体勢で於保浩己の亡骸がそこにある。
内竜也の目の前で、代田建紀はその両腕をゆっくり下ろす。
垂れ下がった右腕が携えるナイフのその先から血が滴り落ちて、風に流される。
「HAHAHAMANAHA!
 タツヤ、アブナイトコロデシタネー」
代田に命令した流暢な日本語ではなく、今度は甲高い声の片言の日本語が響く。
一度聞いたら耳を離れない声。ボビー・バレンタインがヘリの窓から内に手を振っていた。

 呆然と立ち尽くす内はヘリと於保とを二度三度往復して見ると、ついに上空へ声を上げる。
「なにが…」
腹に力の入らない声。これではヘリの轟音にかき消されるだけだ。
わざとらしくバレンタインが左耳に左手を当てた。道化のようにニコリと笑う。
「何がしたいんだ!? あんたは!」
張り上げた声は風を裂いて上空に届く。
バレンタインがおもむろに頷くと、今度は薄めになりながら悟ったような静かな笑みを作る。
「タツヤ。キミガイキノコル、ワタシノタノシイコト、ソノニンゲンデス」
「僕が生き残るようにって……前にも言ってたな!
 それなのにこんな殺し合いに参加させるのか? 何のために!!」
「温室で育てた花は美しいが生命力には乏しい。
 厳しい自然の中で生き残りかつ美しい、いや、生き残る花こそ美しく咲けるのだ」
「誰!?」
「通訳の中曽根です」
スピーカーから突然聞こえた日本語は坦々と早口で、そのせいか冷たく聞こえた。
言葉はまるで自分を励ますようなのに、欠片も熱くなりやしなかった。

 視界は周囲の見える限りを彷徨って、そこにいるのは内竜也だけだ。
リストに名前が載っている人間。狙ってはいけない人間だ。
だから今は、次の命令もないのでこの場所で佇んでいる。代田は静止したままだった。
体が動かぬ間は、自然と思考が盛んになる。浮かぶものはひどく断片的だったが。

775 :修正(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/15(土) 00:39:20 ID:YfcU91gB0
 千葉ロッテマリーンズ。自分から野球を奪ったもの。憎い。脚の怪我。野球ができない。悲しい。
ロッテ選手。野球をできる存在。ロッテにいて。自分を蹴落としたもの。ロッテ選手。とても、憎い。
憎い。死ね。殺してやりたい。憎い。殺してやる、殺してやる、俺が。
 もうずっと、気づいた時にはその衝動が心を満たしている。
それしか考えられない。ロッテ選手は全員殺してやりたい。
目の前に一人いる。ロッテのユニフォームを着ている人間だ。殺さなくては。
右手にナイフ。距離はない。一歩、跳べば届く。
そう思った瞬間には飛んでいる。
ばちん。
代田の目が跳ねる。視界の中に火花が飛んだ。思考はそこで途切れた。

「っ……!」
首筋に刃先が当てられたその瞬間を内竜也は全く知ることができなかった。
気づいた時には至近距離で代田が動きを止めている。物音にすら後から気づいた。
バランスを崩し後ずさる。代田の視線は自分でもないどこかへ固まっている。
視線どころかその体が、石像のように固まっているのだ。
(リストの人間……殺さない)
チップが弾いた内竜也という言葉が頭の中をこだましている。
まるで堅い殻の中のよう、手足は全く動かない。
代田はナイフをかざしたまま、そのこだまが消えるのを待った。

「OH!」
初めてかもしれない。動揺を含んだバレンタインの声がする。
今まさに降り立とうとしていたヘリからバレンタインが飛び出し、地面に着地した。
代田まで駆け寄ると両肩を掴む。
「言われたとおりに動きなさい。思い通りに動かない駒は私には不要だ」
すぐ後ろに影のように中曽根が寄り添っていた。
代田はバレンタインの目を見据え、中曽根から声を聞き、何かを呟いていた。
「……ロッテ選手、憎む、殺してやる、殺す、ロッテ……殺す」
放心状態の代田を見て、バレンタインは頭を振ると中曽根に話しかけた。
それが英語だったため、内にはそのやり取りが何を喋っているのか分からなかった。

776 :修正(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/15(土) 00:40:30 ID:YfcU91gB0
「少し催眠が強過ぎたようだ。ロッテ選手というだけで見境がなくなり始めているのかな。
 リストの人間へも殺意が止まらなかったようだ」
「しかし脳に埋め込まれたチップがあるのでは?」
「効いているさ、だから寸前で止まったんだ。だがあのチップは万能ではない。
 サブローのように瀕死で意識朦朧とした状態なら命令を聞かせるのは容易だ。
 だが意識が明瞭な状態で、本人の意思に反する命令を無理矢理実行させるのは困難なのさ」
「ですが、彼は今まで殺人命令を忠実に遂行していますよ?」
「だからこそ、催眠を用いて彼の元々持っている憎しみを殺意に引き上げたのさ。
 チップはそれを制御するための補助的な役割りをしているに過ぎない。
 催眠が解けそうになったり、あるいは行き過ぎたときに修正するための」
バレンタインは代田の顔の前に手をかざす。
顔を手で覆うと、規則正しく額を指で叩く。
「催眠自体が強過ぎて、タツヤを危険に晒しては意味がない。
 修正する必要がありそうだ。俊、代田への通訳を頼む」
バレンタインが代田の顔から手を放すと、代田の全身から緊張が抜けた。
焦点の定まらない目が、必死で目の前のバレンタインの指に焦点を合わせようとする。

「代田、いいか、彼を見なさい」
そう言いつつ伸ばした手の先は内竜也だ。代田の目がそちらへ流れる。
「よく見なさい。彼は君が解雇されたときにロッテ球団にいたかね?」
代田の目がぼんやりと内を見つめる。しばらく見つめた後、首をゆっくり横に振る。
「そうだ。彼は君が解雇された後に入団したからね。
 君はロッテ選手を憎く思っているが、彼にはロッテ選手のイメージはないだろう?」
今度はコクリと代田が頷く。
「そんな彼を殺したいと思うかね?」
しばらく動きが止まる代田。首がまた横に振れた。
「よし」
バレンタインがニヤリと笑うと、手を顔の前にかざし額を叩く。
最後にグンと頭を掴んで振ると手を離した。代田はよろめきながら、その場に立つ。
内をじっと見る。しかしすぐに周囲を見回し始める。内のことなど気にしていない様子だった。
「O.K.HAMANA...Let's go!」

777 :修正(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/15(土) 00:40:52 ID:YfcU91gB0
バレンタインの言葉を聞くと同時に代田は駆け出した。
あっという間に道の向こうへ消えていく。
それを見るとバレンタインもヘリの方へと向かう。
「あれではルーキー以外は、今までと同じように危険なのでは?」
後を追いかけながら、中曽根はふと心に浮かんだ疑問を口にした。
バレンタインは中曽根を見ると片眉をあげた。
「ふむ、それはね……」
「待ってくれ」
その声にバレンタインは振り向く。
内竜也が複雑な顔でそこに立っている。
「なぜ、僕をそこまで……気にかけるんです?」
「それはね」
ヘリに乗り込むバレンタインが笑う。おどけるでもなく、芝居がかったわけでもなく。
ほんの少し微笑んだ。
「君は私が再びこの球団の指揮を取ることになって、初めてのドラフト1位だからさ」
「え…」
思わず言葉が出ない。
バレンタインはヘリに乗り込む。プロペラが唸りをあげると、風と共に上昇し始める。
それを追う事も忘れて、内はそこに立っていた。
今まであったこと。心の中のわだかまりは大きくて消える気などしない。
バレンタイン、それに於保も憎しむべき嫌悪すべき存在なのに。
彼らはなぜか自分に柔らかい。だから、手荒に止めることができなかった。
強引に止めなければいけなかったのかも知れない。他の人間が害される前に。
ただもしかすると、自分自身でも根っこのところでは捨て切れないことがある。
エースになるために、右手のたった一発の弾丸を放つのは、違うのではないかと。
何が誰を幸せにして誰を不幸にするのか。考えても結論は出なかった。

 内竜也が後を追ってきた今江、里崎、成瀬と合流するのは、このあと間もなくのことである。

778 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 01:09:34 ID:bfeAsuq30
職人様乙です!
迷うな…迷うな内…あの言葉を思い出せ!!

779 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 01:18:06 ID:xMnar/hK0
職人様乙です!
内・・・ガンガレ!!!

780 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 01:49:22 ID:6JIU7MvZ0
職人様乙です!
内…何というか、大変だな…ガンガッテ!
あと、中曽根の疑問に対する「ふむ、それはね……」の続きが気になるなー。代田怖いよ代田((((;゚Д゚)))

781 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 21:07:54 ID:xMnar/hK0


782 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/15(土) 21:24:57 ID:K81QQPCi0
内!がんばれ

783 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 02:57:00 ID:Unen5I53O
内くんはひたむきで応援したくなるね。
頑張れー。

784 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 14:47:42 ID:oTUk5ePn0
シャブがないと勝てないチームのスレはここですか?

785 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 15:25:29 ID:L1bjyE420
初めてココ来たんですけど・・・渡辺俊は生きてますか?

786 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 15:40:22 ID:MyQ+bCjyO
>>785
スンスケも地味様もロリももう居ませんよ…

787 :785:2006/04/16(日) 15:47:37 ID:L1bjyE420
>>786
ありがとう・・・
渡辺俊が生きてる頃って、どの辺のスレですか?
過去ログは読めないから、知っても意味ないけど。。。

788 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 15:54:56 ID:Jwt68ga50
>>787
保管庫さんで読めますよ
つttp://www.age.cx/~marines/cmbr/
どうしてもスンスケのとこだけ読みたいのであれば何章で殺されたか
というのも調べられるのでそれからご覧になってはどうでしょう?
どの職人さんも素晴らしいので最初から展開にwktkしつつ
全部読むのがオススメですが・・・・

789 :785:2006/04/16(日) 16:07:34 ID:L1bjyE420
>>788
ありがとう・・・!
折角なので、初めから読ませて頂きます。


790 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/16(日) 17:16:40 ID:p+KHGqMcO
スンスケがやられた頃…懐かしいなぁ
かなりグッとくるものがあったが、あれはまだ序の口だったなぁ…

素晴らしい文章を本当に有難う、職人様方

791 :785:2006/04/16(日) 21:28:59 ID:Uy6V/sdW0
第28章まで読みました・・・
既にいっぱいいっぱいです。。。これでスンスケの所なんか読んだら(つд⊂)

「オー・・・ヤリチン・・・・・」←これだけには癒されます

792 :785:2006/04/16(日) 21:49:44 ID:Uy6V/sdW0
「第39章 援護」・・・笑

793 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 07:04:27 ID:Sh0CsRL4O
>>792いつまでたっても地味様は地味様だなwww

794 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 19:28:00 ID:Wfjr2qWL0
hosyu

795 :785:2006/04/17(月) 23:27:05 ID:w6RGc0BZ0
読み始めて二日目、話は俊介ウワアァァン(つд⊂)の所まできました・・・俊介ー!!!!
誰とも馴れ合わず、一人で行動し、塞ぎ込んだが故に
己の心の弱さに負けてしまった俊介・・・「良くも悪くもマイペース」な俊介・・・

地味様の「援護」には笑ってしまったが、その後に号泣。やっぱエースだよ地味でも
藤田も里崎も切ないし、初様やスンちゃんには癒されるし。
職人様方の愛を感じます。

796 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/17(月) 23:38:18 ID:vxMl7IvNO
ついにそこまで読まれましたか。乙です。

しかし確かに、どの職人さんもすごく選手への愛を感じるバトロワだと思います。
それぞれに見せ場あったりなかったりするけど、
改めて職人様方も乙です!

797 :785:2006/04/17(月) 23:54:58 ID:w6RGc0BZ0
>>796
スペ目当てで星のバトロワも読んでみましたが、つい鴎バトロワのまとめサイトさんの
デザインの良さ(読みやすさ)と比べてしまいました。
こちらは読みやすいですし、人物の心理描写が細かくて、気付くと世界に入っています。

これからも更新を楽しみにしつつ、過去の話を読ませて頂きます!



798 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 00:22:37 ID:iJvEc19x0
★★★★★千葉補選・民主党「ババア顔(元)キャバ嬢太田かずみ26歳」(=女タイゾー)★★★★★
★★★★アイフル並みの悪徳通販会社勤務の過去も浮上し、民主党、またもや自爆★★★★
「民主党は国会対策も未熟だったが、候補者選びは更に未熟。まるで太田タイゾーだ。」
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060414-OHT1T00010.htm
民主党 太田和美 1979年生まれ 
千葉県立沼南高柳高校卒業 (偏差値38)
●高校時代バイクで通学 
●元キャバクラ嬢(高校卒業後。・・・・おーーーーい。)
●警察に補導される 
●前科あり (タイゾー以下だな・・・・) 
(株)グランプリシステム (悪徳強引教材販売会社(ニートよりもたちが悪いゾコラ・・・)
(株)太田商事       
(有)共進住宅代表取締役
         これは犯罪者の履歴と一緒だね。
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1145254182/
極めつけの「ババア顔」。これで元キャバ嬢って・・・・。
「こいつがタイゾー以上に国政・国益を語れるのかってーーーーの!!どこで国益考えてきたんだコイツは!!」
「中韓,北朝鮮問題より、親父の産廃業への利益誘導が目的じゃねーーの?」
 (↓ババア顔↓)
http://web.archive.org/web/20050208155101/www.kazumi.ms/


799 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 01:00:00 ID:dI06qEN40
自分も最初は俊介が気になって読み始めたんだけど、
今ではバトロワでもリアルでも大塚ファン。

シリアスな場面はもちろん、ネタも面白いってのが
鴎バトのすごいところだと思う。「愉快なカモメたち」大好きだww

800 :保管庫 ◆CLM31pWOr6 :2006/04/18(火) 02:04:16 ID:gToc0dpS0
>>797
ありがとうございます
更新頻度がまちまちで申し訳ないですが
できるだけ早めに更新できるように頑張ります

801 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 09:32:30 ID:NuLwyXkPO
保管庫様来た!
いつも乙です!

802 :797:2006/04/18(火) 12:32:08 ID:UVYRn3MC0
保管庫様!!はじめまして!・・・って、もしかして
スンスケスレで写真投下してくださった方ですか??いつもありがとうございます!

「第189章 尊き意志よ」を読んで、朝から大泣きです・・・
原井サン・・・(T-T)
たまに顔が判らない選手がいるので、公式ファンブック開くんですが・・・
その度に切なくなります

803 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 15:09:56 ID:NuLwyXkPO
まだ2軍選手がわからなかった頃は、バトロワ読みながら選手名鑑見て覚えた
めっちゃ覚えられるんだよね〜

804 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 16:40:41 ID:3xR+VS1SO
いい役どころだった於保なんかも、リアルの顔知らない人たくさん居そうだよね。
最近のスレの流れで、自分も最初から読み返してみたけど
すでに懐かしい選手が沢山いたな。前田とか存在自体忘れてたよ

805 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 17:19:46 ID:EJARqWFx0
俺は常に読み返して懐かしがり、いつもこさっちの所で泣く。
於保の顔思い出してやってくれよ。つい最近までいたしなw
将海は泣けた…今でも泣ける。

806 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 20:13:12 ID:rFmkw6RmO
「取引」の西岡がたまらなく好きだ
そんな自分はMwwww

807 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 21:59:14 ID:UVYRn3MC0
ロリコンの最期があっけなかった・・・
でもそんなモンですよね。カッコイイだけじゃない

808 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 23:41:36 ID:rusnz/r3O
あっけないといえば地味様なんか…いいけどさ回想とかでたまに出てくるから。

今ふと思い出したけどユウゴーの話とか良かったな…

809 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 23:44:49 ID:OGETE9250
青野と川井の話が好きだなあ。
凄い切なかった。

810 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/18(火) 23:54:26 ID:FtRfsA9vO
福浦と大塚の話が好きだ。
二人とも後輩相手だとちゃんと先輩面するのに、二人で話してるシーンは
同期で友達なんだなあとしみじみできるから。

福浦の最期の話のあと、だから真っ先に大塚どうするんだろうって思ったな…

811 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 01:20:59 ID:6KktHbng0
青野と良平の話(『信じ難いもの』『友情』)は何度読んでも泣いてしまう…
今は青野が一軍で試合に出てるから、余計にぐっとくるものがあるなぁ。

812 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 01:27:33 ID:kKgesSPHO
>>810
自分もその話凄く好き。大塚カコヨスギw

813 :To be or not to be(1/5) ◆vWptZvc5L. :2006/04/19(水) 01:41:23 ID:CXy7O5XJ0
途方に暮れること数時間。
座り込んだ西岡が、目の前に広げられた地図をじっと見ている。
スタジアムにはもう近づけない。突破口が消えた。
「……悠長なこと言うてる場合やなかったですよね」
「あ?」
「夜まで待つ、とか」
ああ、と生返事が返ってくる。
何とかしたいと思った。何ともできないうちに状況が変わった。
思えば禁止エリアも腹の中の爆弾もスタジアムも、全ては敵の手の中にあって。
泳がされてたンかなぁ、大塚がぽつり漏らす。
「これ、全部埋まったらどうなるんすかね」
「普通に全員死ぬよな」
「……」
「それとも、10人になるのが早いか」
18時の時点で何人残っていただろう。
この地図が禁止エリアで埋まる速さとの競争になる。
どちらが勝っても、待っているのは救いのないゴール。
移動可能な場所はまだ半分以上あるが、飛び地部分のせいで実際はもっと狭い。
「何とかなりませんかね、死ぬとか殺すとかじゃなしに」
大塚が頭をかきむしる。その音だけがやけに響いた。
スタジアムが駄目なら、他に何がある。
時折頭上を飛んでいくあのヘリか。小林雅英のような内通者をまた探すのか。
夜も更ければ湿っぽさが増す。そこへ互いの口数が減れば、なおさらだった。
手持ち無沙汰になって、探知機を取り出す。
「あ…」
西岡が視線を落とす先には二ツ星。そして離れたところに別の星が三つ。
モニタ横にあるボタンを押せば、背番号が現れた。
かすかに顔が綻ぶ。文字通り、希望の光を見た気がした。


814 :To be or not to be(2/5) ◆vWptZvc5L. :2006/04/19(水) 01:42:15 ID:CXy7O5XJ0
「おっ」
大塚が横から覗き込む。
「いるじゃん、俺の同期とお前の同期がよ」
そう言いながら西岡の頭の上にぽん、と手を置いたそのとき。
たーん、という音。モニタ上の数字が一つ消える。
西岡が蒼ざめた。数字が消える、その意味は。
「ちょっ、大塚サン!?」
気づけば、凍りつく西岡を尻目に大塚は既に駆け出している。
広げた地図を慌ててグシャグシャに畳み、後を追う。
まさか、そんな。何かの間違いであってくれと祈る。

チャンスは今しかない。敵が茫然自失に陥っている今しか。
一歩一歩、小野晋吾は距離を詰めていく。足が重い。まっすぐ歩けない。
手に持つチェーンソーの重さすら支えられず、動きの鈍った体がもどかしい。
そこへタッタッ、と地面を蹴る音。何かが近づいてくる。
その方向を振り返ろうとした瞬間、足元が崩れる。危ういバランスが崩れた。
「晋吾!?」
倒れ掛かった晋吾を抱きとめる。飛び込んできたのは大塚。
「どけ、明」
その言葉の意味が一瞬理解できず、戸惑う。
「邪魔すんな、どけえぇぇっ!」
大塚の静止を振り払おうとして晋吾が凄む。
その視線は大塚を通り越し、銃を握った金澤岳に突き刺さる。
足元に横たわるのは変わり果てた浅間敬太。
さっきの銃声を思えば、晋吾の激高の理由はたやすく察することができた。
「かなざ、わ…?」
遅れてきた西岡が恐る恐る呼びかける。その声で金澤はようやく我に返った。
西岡がそばにいるのに気づくと、銃を握った右手をゆっくりと持ち上げる
銃口の向く先は自分のこめかみ。ぴったりと押し付けて。
「……ッ!?」
西岡が息を呑む。足が止まった。それ以上動けない。
ここで金澤を刺激したら、刺激したなら。

815 :To be or not to be(3/5) ◆vWptZvc5L. :2006/04/19(水) 01:42:45 ID:CXy7O5XJ0
「下手な芝居すんなよ」
割り込んでくる声。振り返る。
大塚に行く手を阻まれた晋吾が立っていた。
「そうやって油断させて、今度は西岡か。それは誰を殺ったときの手だ」
西岡がキッと睨む。何言うてんねン、この人は。
そんな西岡の鋭い視線も晋吾はせせら笑い、軽く受け流す。
可笑しくてならない。浅間も、西岡も。
こんなクズみたいな奴を、何の疑いもなく信じたり、かばったりできることが。
「西岡ぁ、そいつお前のことも平気で殺すぞ。浅間や早坂みたいに、な」
がつん、と頭を殴られたような衝撃を感じた。改めて突きつけられる認めたくない事実。
目の前の現実を見れば、浅間を殺めた犯人が誰なのかは明白だった。
それに早坂? 何故そこで早坂の名前が出てくる。まさか――
「金澤…?」
何か弁解をと呼びかけるが、何も返ってはこない。
金澤はただ顔面蒼白になって、ガタガタと震えるばかり。
歯がカチカチと鳴る。目線は虚空をさまよい、どこを見ているのかわからない。
「ほら教えてやれよ、西岡にもさぁ。何で殺したのか、どうやって殺したのか。
 さっき俺に将のこと話したみたいに。西岡にも自慢してやれよ!?」
声も枯れんばかりに晋吾は叫ぶ。
潤む金澤の目から雫がふたつこぼれ落ちた。頬を伝う筋は月光にきらきらと輝き、
それが苦悶と悲痛の塊であることなど、微塵も思わせない。
「何、泣いてんだよ。てめぇの涙なんかつくり物なんだろ?」
「晋吾、やめろ……」
聞くに堪えず、大塚が口を挟む。
わかる、晋吾の怒りの理由は。
でも、そんなの泣いてる奴に向かって言う言葉じゃない。
横目で盗み見ても、金澤の涙はとても演技や策略には思えなくて。
何かおかしい。強烈な違和感を覚える。こんなこと言う奴じゃなかったはずだ。
もう長い付き合いだ。10年越しの腐れ縁。互いの性格はよく知ってる。

816 :To be or not to be(4/5) ◆vWptZvc5L. :2006/04/19(水) 01:43:06 ID:CXy7O5XJ0
自分から前に出るタイプじゃない。口数も多くない。
慣れない中継ぎでも、やれと言われれば黙々とこなしたりする。
そんな大人しい、どこか人のよささえ感じさせる奴が何故。
出血のせいか体はふらつき、自分の足だけでは支えられないほど弱っている。
大塚も晋吾の動きを止めているというより、支えているといった方が正しいかもしれない。
なのにどこにそんな力が残っているのかと思うほど、身を乗り出し、口汚く罵り続けている。
「本当は嬉しくて仕方ないくせに。一人減ったもんなあ。
 さぁ次は誰を減らす? 俺か、明か……西岡か?」
言い返せない。声が出ない。指も動かない、石みたいに固まって。
それでいて銃をおろすこともできずに、金澤はただガチガチに震える。
汗と涙と鼻水で顔はグチャグチャに崩れ、何度も鼻をすする。
右手が重い。拳銃ってこんなに重いものだったろうか。
銃にかかる重力は、下ろせ下ろせと手に訴えかける。
なのにその勇気はなく、かといって引き金を引く勇気もない。
生も死も選べず、心は揺れる。西岡にすがるような視線を送った。
「アカンて、もうやめ」
西岡が弱々しく笑いかけ、手を差し出す。そんな物、こっちによこせ、と。
手は下ろせない、指も引けない。それならこの手を友に委ねれば。
差し出された手は、優しくありのままの自分を受け入れようとしてくれている。
押し付けた銃口がわずかに浮きかけた。
「どうした、さっさと引けよ」
揶揄するような声。金澤の動きが止まる。
自分を許す手の向こうには、自分を咎める唇。
「その指、引けるもんなら引いてみろよ……できねぇんだろ?
 誰彼構わず殺しておいて、今さら弱いものぶってんじゃねぇよ!?」
金澤がこめかみから瞬時に銃口をはずす。
西岡の手なんか、もう目に入らなかった。

817 :To be or not to be(5/5) ◆vWptZvc5L. :2006/04/19(水) 01:43:28 ID:CXy7O5XJ0
「あああああああああ」
金澤の銃口が真っ直ぐ狙いをつけてくるのを、大塚はすぐさま察知する。
即座に晋吾を押し倒し、覆いかぶさるようにして地面に倒れこむ。
傷口をたたきつけられ、晋吾が苦痛の声を上げる。
その声も、すぐ上を通過する銃弾にかき消された。
「金澤ッ!」
西岡が金澤の手を体ごと使って押さえつけた。ようやく銃声が鳴り止む。
自分でも意図せず撃ってしまったのか、金澤は呆然と宙を見つめるのみ。
その表情は虚ろで、西岡の知る面影はどこにもなかった。
「……見ろよ、それがお前の正体だろ。他人になら平気で引き金をひける。
 後悔なんてうわべだけ、何度でも同じ過ちを繰り返す。てめぇは人間の面をかぶった鬼畜だ」
地べたから晋吾が眼光鋭く金澤を睨みつける。
罪を穿つ言葉は絶えることがない。呪いかけてるようにすら聞こえた。
「はは…っ」
うつむく金澤の口から、乾いた笑いが漏れる。
汗に濡れた髪が顔にべっとりと貼り付いていた。
「……関係ねぇよ」
金澤が呟く。押さえ込む手を乱暴に振り払った。
「関係ねぇ……圭介も敬太も西岡もっ! 今さら後戻りできるかよ。
 こんなの気の迷いだ。 自分が死ぬかどうかって時にそんなもん構ってられるか。
 仲間だろうが友達だろうが、みんな死ねばいい。俺は殺して殺して生き残んだよっ!!」
金澤が銃を持ち上げる。もう引き返せない。
残された道を突っ走るのみ。たとえ自暴自棄と言われようとも。
再び銃声がこだました。

818 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 02:15:38 ID:6KktHbng0
気になってた続きキテタ!職人様乙です!
ここで同期の合流があるとは思わなかったなぁ…
それにしても金澤…何だか切ない…
んで晋吾怖い…

819 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 02:17:17 ID:QaLIY2DoO
乙です!


金澤ぁ…(´;ω;`)

820 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 03:03:19 ID:8RwqHdjv0
職人様乙です!
金澤…晋吾…(´;ω;`)ブワッ

ところで
保管庫様が大変な事になっている件

821 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 03:21:48 ID:kKgesSPHO
職人様乙です!
うわ、うわ、どうなんのコレ
どうなっても悲しい結末しか残ってない気がして…(ノД`)

822 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 03:31:03 ID:LEAsA+ob0
金澤…晋吾の気持ちも分かる、金澤の苦悩も分かる。
切ないよ…誰か助けてやってくれ……(´;ω;`)
職人様乙です。

823 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 07:05:00 ID:UJIA/2sCO
職人様乙です!
一体どうなっちゃうんだ…金澤ぁぁぁ。゚・(ノД`)・゚。

824 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 07:30:57 ID:hERWHA18O
職人様乙です!!

金澤あぁぁ。・゜・(ノД`)・゜・。どうなるのどうなるの!!!

825 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 09:54:30 ID:EfmjHg4T0
>>820
保管庫様がどうしたのですか????
保管庫のおまけリンク&スンスケスレ保管庫に
昨日からアクセス出来ないのと関係あるのかな・・・

826 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 15:13:06 ID:YYasvHmhO
職人さま乙です!
金澤…どうなるんだ…
あと西岡の「〜じゃなしに」って口癖が出てきたのにワロタw

827 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/19(水) 22:27:28 ID:O9S0VnIn0
保管庫様、どうされたのですか?

828 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 00:09:05 ID:9G8UOY5o0
戸田が気になるぞ保守

829 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 14:17:24 ID:zzYVdUtzO


830 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 15:20:29 ID:TvmRWAWIO


831 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 18:42:18 ID:QbeIqw6FO


832 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 18:51:50 ID:Nb2lL/vl0


833 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 21:06:57 ID:NP/TnVNQ0


834 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 21:35:44 ID:VF9ExfpG0


835 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/20(木) 23:20:33 ID:npADc0WzO


836 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 00:45:19 ID:O4xjddbi0


837 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 06:45:35 ID:UcQLGx2KO


838 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 07:01:01 ID:dXtULUzXO


839 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 10:05:59 ID:SjxcC5+sO


840 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 14:57:12 ID:2vT/aiqa0


841 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 15:17:43 ID:O4xjddbi0


842 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/21(金) 16:48:52 ID:W+eUw9b3O
ウフッ

843 :番外 李承■と愉快な同士たち29(1/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/22(土) 00:58:00 ID:wZ1hDuFG0
〔丶`J´〕ノ◎<オッス、ヘパリネンチェ!李承■デス。

 松本サンに言われた通り、通気孔を匍匐全身しながらある場所へ向かっていマス。
数十分して、その場所へ着きましタ。
その部屋にの天井近くにあるいくつかの排気口、その窓から私達は中の様子を見ましタ。
たくさん並んだパソコン、その前には大きなモニターが積み重なっていまス。
また大きなモニターの前にも操作をするための無数のボタンやつまみがついていマス。
室内には縦横無尽にコードが走り、照明は薄明るく灯っていましタ。
そこを十人以上の人間たちが行き交い、互いに連絡を取ったりしていマス。
どうやらここが、千葉マリーンズバトルロワイアルの心臓部である管制室のようでシタ。

「選手達の位置の把握、禁止エリアの設定、そして……エリア侵入者への制裁。
 それらは全て管制室を中心に行っている」
そう松本サンが言っていた通りのようでしタ。
近くに見える小さいモニターには島の地図らしきものと、そこに何かの赤い点がいくつも点滅していまス。
(見ろ、スンヨ)
前にいる覆面の男が私にひそひそと話しかけまス。彼は一番大きなモニターを小さく指差していまス。
私はそれを見て、更に松本サンの言葉を思い出しましタ。
「そして管制室にはもっと重要な役割がある。それを知った時俺は反吐が出そうだった。
 球団合併なんか表向きの理由に過ぎない。これは、ゲームなんだ。そう、本当の目的は……」
私は拳を震わせていまシタ。
その大きなモニターに映される映像と、その場にいる武装した人間たちのしている仕事の様子を見テ。
全て松本サンの言ったとおりでしタ。
思わず室内に飛び込みそう排気口の格子に手をかけたところで、覆面の彼が止めましタ。
(この状況では無理じゃ。何か考えよう)
彼が私の目の前にCDケースを取り出しまス。松本サンから預かったものです。
それは、仲間たちを救うための逆転の策でしタ。
 中に入ってるディスクには松本サンが秘かに作ったプログラムが入っていまス。
それをメインコンピュータに読み込ませることで、管制室の機能を失わせることができるのデス!
選手達の位置の表示は消え、禁止エリアは解除されるはずデス。素晴らしいものデス。

844 :番外 李承■と愉快な同士たち29(2/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/22(土) 00:58:58 ID:wZ1hDuFG0
ただし問題はその処理に数十分もかかるだろうということデス。
管制室の大勢の敵の前で実行することは目立ち過ぎてできまセン。間違いなく止められまス。
松本サンはそれでも、今までチャンスを待っていまシタ。しかしそのチャンスは来ませんでしタ。
もう待っていられない、なんとかしてくれ。そう最後に言って松本サンはこれを私達に託したのデス。

 私と覆面の彼は一旦管制室を離れることにしましタ。
これ以上いても管制室内の敵に邪魔されない方法が思いつかなかったからでス。
なんとかしなければ、いけマセン。
 管制室を離れてしばらく、私達は人通りの少ない廊下の天井を走る通気孔の中にいましタ。
手詰まりでしタ。あの人数を制止させる方法が思いつきまセン。
武器を使えばどうカ。しかし相手も武装していますし、何より我々が武器を持っていまセン。
誰か一人を人質にとって脅しタラ。相手は人の命を軽く見ている者達デス。
私も、覆面の彼も、静かに唸り声を上げるだけでシタ。
 私の後ろの方、通気孔のずっと奥から物音がしたのはそのときデシタ。
覆面の彼と目が合いまス。後ろを見ましたが、真っ暗で何も見えまセン。
耳を澄ましまス。
ズッ……ズッ……
何かを引きずる音。いえ、これは我々がここを移動する時と同じ音デス。
この通気孔の中を誰かが移動して、こちらへ向かってきていル!?
私と覆面の彼は急いで逆方向へ動き出しましタ。しばらく移動すると音は聞こえなくなりましタ。
胸を撫で下ろしましたが、同時に私は気づきまシタ。
(ここはどの辺り? 私達はどう移動してきたんだ?)
(わからん。松本に教えられたルートからは既に外れてるんじゃ。その上、闇雲に逃げたからな)
どこにどう移動したのか分からなくなってしまったのデス。
背中にひんやりとした感触がしまス。こんなことをしている場合ではないノニ。
ふと、覆面の彼の向こうに微かに光があるのが見えましタ。排気口でしょうカ。
良かった。これでどの辺りか把握できマス。私達はそこに向かいましタ。

 通気孔はそこで行き止まりになりましタ。排気口だけがそこから横に口を開けていまス。
その先には小さな部屋がありましタ。
イスとパソコンが中央に置かれ、本棚や冷蔵庫らしきものもある四畳半ぐらいの広さの部屋デス。

845 :番外 李承■と愉快な同士たち29(3/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/04/22(土) 00:59:49 ID:wZ1hDuFG0
誰もいませン。よく見ると、パソコンには動画が映し出されていましタ。
「ベニー!」
気づいた時には私は降り立っていまシタ。パソコンの中で、ベニーとセラフィニが闘っていマス。
なんということでしょうカ。彼らはこんなことをさせられているのでス。
「スンヨ、まずい!」
覆面の彼も降りてきましタ。慌てていまス。すぐにその訳は分かりましタ。
ズッ…ズッ…
あの音が近づいてきていまス。通気孔の中を移動する音が、徐々に大きくなって聞こえてきまシタ。
まさか、私達を追っているのでしょうカ?
いずれにせよ、通気孔は行き止まりでしたので逃げるしかありまセン。
そうしてその部屋から逃げようとした時、私と覆面の彼は同時に声を上げましタ。
「ドアが……ない!」
その部屋には四方どこにもドアがついていなかったのデス。部屋を出ることができまセン。
唯一の出入り口は、通気孔だけのようデス。
なんだこの部屋ハ? 考える猶予もなく、その音は近づいてきまス。
私と覆面の彼は物陰に身を隠しましタ。
音は排気口の所まで達しましタ。様子を窺うと、黒い影が部屋の中を覗きましタ。
私は頭を引っ込めまス。目が合っていやしないかと不安を覚えましタ。
数秒間静かになりまス。私の心臓は大きく鼓動していましタ。
やって来た黒い影に聞こえないかと不安になるぐらいニ。

部屋の中に、誰かが降り立つ気配がしまシタ。

【同士7名  ※■は火へんに華】

846 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/22(土) 07:01:51 ID:H3Yw11JUO
職人様乙です!
ドキドキな展開で続きが気になるー(´Д`)

847 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/22(土) 12:44:26 ID:xo9CfGK/O
何てこった・・・スンヨプは島とは関わらないまま物語は終演すると思ってたが・・・





そう来たか!

848 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/22(土) 14:09:26 ID:QvFd29mDO
ただ、問題はスンヨプが残り10人になるまでに食い止められるか。。
晋吾もなにげ瀬戸際でテンパってる金澤を考えると…



頑張れスンヨ!

849 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 00:45:23 ID:WwwOufl30
なんか、ここの話だけ、また違った感じでいいねぇ。
追い詰められてるけど、助っ人達と力をあわせて早くとめてやってくれ!

850 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 10:31:05 ID:JDY4cxr4O
日韓関係の緊張が増していますが、どのようにお考えですか?


この時期にロッテを応援するのは非国民じゃないか?

サムスンやヒュンダイ、ロッテ製品を始めとする韓国企業の
製品は不買運動をするのが日本国民のあるべき姿。

851 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 15:04:14 ID:2CSz6gU/0
>>850
パソコン買ってから言ってください

852 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 16:31:38 ID:L/pSrpNVO


853 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 17:26:56 ID:P7ZKh0oyO


854 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 18:06:59 ID:GjUSwYp+O


855 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 18:20:24 ID:xmaAq64x0


856 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 18:35:41 ID:sHCboRjZO





857 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/23(日) 22:03:17 ID:77qCVX2q0
>>851
今月読んだレスの中で一番笑った

858 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 07:09:26 ID:tpoxg7NuO


859 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 08:59:27 ID:Pi5FIwxaO


860 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 09:18:02 ID:AuTwJv+z0


861 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 10:01:49 ID:SI/P484UO


862 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 11:12:05 ID:6/+TxP5JO


863 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 12:59:28 ID:YGy3T4GoO


864 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/24(月) 15:25:52 ID:MbLiQYMFO



865 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 07:05:46 ID:6YcsaGuaO


866 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 14:06:04 ID:/MT/8v04O


867 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 14:21:00 ID:HcFbDB/M0


868 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 16:04:18 ID:ip+eQj01O


869 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 21:36:17 ID:N4jzjKvg0


870 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/25(火) 21:49:20 ID:AZt17nJV0


871 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 00:09:18 ID:Lc55REE60


872 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 00:24:51 ID:Um1POLwo0


873 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 08:08:39 ID:LjL7dj1oO


874 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 08:53:24 ID:JaOUn+3aO


875 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 13:41:20 ID:uqK0E+h60


876 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 17:02:16 ID:mj/d4Y+K0


877 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 20:23:58 ID:rnq3PFU30


878 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 20:36:33 ID:9dpBtPt40


879 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 21:20:07 ID:wNWnmReZO


880 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 22:25:28 ID:wNWnmReZO



881 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/26(水) 23:10:56 ID:+Jx67hjM0
ビッ

882 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 00:02:39 ID:+3WAInAA0


883 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 13:26:33 ID:SlWKl1Sm0


884 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 14:59:57 ID:P3GCXFKzO


885 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 19:11:14 ID:B0pc85LD0


886 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 21:01:37 ID:UzZQim1c0


887 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 21:41:01 ID:CQFctaYoO
ピクシー!オ・レ!

888 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 22:05:46 ID:0nQyznUXO
柏オレオレ!

889 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 22:29:59 ID:D5mFx1+AO


890 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/27(木) 23:15:58 ID:h+R8nxHhO


891 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 03:01:30 ID:qdD/rD43O


892 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 03:09:57 ID:ooTDRd5BO


893 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 07:03:11 ID:lHcBMExB0


894 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 08:14:39 ID:AHAZGYE2O


895 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 11:20:46 ID:8qdg8ljgO


896 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 13:06:27 ID:b4gPJdWh0



897 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/28(金) 17:24:53 ID:LPsyhfBP0
いっぱい稼げるお
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898 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 01:27:48 ID:dL3dFKGvO


899 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 09:48:21 ID:YrBMisyEO


900 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 10:44:20 ID:e+lkYsXTO


901 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 12:43:12 ID:pKfBQbbRO


902 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 13:10:48 ID:BawGY+9k0
糸屯

903 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/29(土) 20:43:42 ID:MZ/NEvhhO


904 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 00:44:19 ID:rNbr8qt1O
走召

905 :旧知(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/30(日) 01:11:16 ID:kUjsgBRW0
 いつまでも走り続けられる人間はいない。筋肉は必ず休息を必要とする。
まして限界以上の瞬発力を発揮させられ続けた代田建紀の両脚ならば尚更である。
獣道を抜け出ると、そこは舗装された広めの道路。
山間のその道は頂上の方から麓の方まで曲がりくねりながら緩くない角度で下っていた。
その道を下り続けると小さな民宿とも旅館ともいえない建物があり、小さなバス停が道の両側に立っていた。
建物のない方の道路には2人掛けのベンチとバス停の標識、あとはその上に街灯が立つのみ。
ベンチのすぐ後ろは暗い森がそびえていて、街灯の光は道に面した木をわずかに照らして飲み込まれる。
代田はそこに腰掛けた。
何よりも強い本能。体は休息を求めた。
動かない間、彼の頭の中を様々な思いがよぎる。
それはひどく断片的で、楽しいことも悲しいことも変わりばんこに現れた。
だが最後には憎しみが襲う。ロッテへの、自分から野球を奪ったものへの恨み。
うめきが喉を突いて出た。右手がナイフを更に強く握り、左手が胸を抑える。
(違う、お前はなんのために)
また誰かの声が聞こえる。それもすぐに憎しみに飲み込まれたが。
次々と選手の顔が浮かぶ。球団にいて、一度は目にした顔と姿。
彼らは自分が苦しんでいたその間も野球を続けられていた。そう思うだけで憎かった。
不意に内の顔が浮かんだ。写真では見ていたが、実際に会ったのは初めてだった。
自分が解雇されてから入団した選手。
なぜだろう、同じロッテ選手なのに不思議と湧き上がる憎しみは薄かった。
ロッテ選手というイメージが彼に固まらない。彼にとってはそれが不思議でならなかった。
顔の前を覆う手が見えた。語りかける声も聞こえた気がした。額に響く心地よい振動。これはなんだ?
彼の疑問はそのまま解けることはなく、しばしベンチの上で宙を見つめていた。

906 :旧知(/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/30(日) 01:11:36 ID:kUjsgBRW0
 どこかで銃声が聞こえてからどれぐらい立ったろう。また誰かが死んだのか。
外野手、或いはリストの人間、それだったら手間も省けるか。
同時に何か残念な気分がよぎる。
「ま、俺の手で殺してやるのも気分的には悪くねぇんだがな」
茂みを掻き分け、平下晃司はうっすらと笑った。
戸田……戸部の元を離れどれくらい歩いたか、向かう先は今のところ銃声の聞こえた方角。
記憶が確かならば、残る外野手は3人。サブロー・於保・大塚だ。
彼らを排して、そうしたら居場所ができるだろうか。外野手はホークスにもいる。
確率の問題だと平下は信じる。今排除できる競争相手を残して新チームに行きたくはない。
彼には当たり前の夢がある。プロ野球選手としての真っ当な夢だ。
一軍の球場の広々とした外野の真ん中で、彼だけの場所を走り回る。
打ち、走り、そしてチームメイトに囲まれて、ファンの大きな声援を受ける。
明日のスタメンを気にする必要もない、そんな選手としての居場所。
その場所が欲しくて平下はずっと走ってきた。そしてこれからもそうなのだろう。
曽我部もユーゴーも垣内も、田中良平も、たぶんそれは変わらない。
 ただ奴らに足りなかったのは覚悟だ。平下は考える。
殺して奪い取るという発想ができていなかった。
正々堂々といえば聞こえはいいが、結局はぬるま湯の中で仲良くやる方が好きなのだろう。
このチーム、奴らには愛着があったのかもしれないが。だから仲間が大事なのかも知れないが。
そんなのは俺には分かりようもない話だぜ、だって俺はまだ一年目だからな。平下は呟く。
もしかしてこれからロッテでプレーし続ければそんな思いも抱けたのかも知れない。
だが幸いに――幸いというべきか――そんな愛着を平下は感じない。
 そうだ。だから俺は殺せる。平下は自分に言い聞かせる。
リストの人間はみなチームに思い入れのありそうな奴らばかり。
裏切らなそうな奴らばかりで、きっと相容れることもないだろう。
だから俺は俺の居場所を、俺にとってのチームの中に見出すために、殺してやる。
体に熱が帯びるのが分かる。銃を握る右手の指を、入念にほぐした。

907 :旧知(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/30(日) 01:11:54 ID:kUjsgBRW0
 平下の進む先に、森の途切れる光が見えた。
どこか開けたところへ出るのだろうか。少し身をかがめる。
見通しの良いところに出ていきなり狙われてはたまらない。足音を控える。
徐々に近づくにつれ、あるところだけ不自然に明るいのが見える。
白くうすぼんやりとして、それが月ではなく人工の光らしいと分かった。
同時に平下は気づく。人影だ。
よく見ればベンチらしきものに座り、その背中の上半分と後頭部が晒されている。
完全な無防備。平下は呆れると共に更に近づく。
撃つのは簡単だ。だが一応の手順を踏もうと思う。
それは自分にとっての決まりごとであり信念。外野手とリストの人間を殺すのだ。
 背番号がちらりと見えるが、はっきりとは分からない。シルエットを見ても誰か思い当たらない。
仕方なく更に近づく。少し首を伸ばすと、背番号が見えた。
(65……? え……と、そんなやついたか?)
記憶にない。背番号を全員分覚えているわけではないが、そもそも去年見た記憶がないのだ。
その細身のシルエットもあまり記憶にない。少なくとも彼がロッテに入ってから。
(リスト入りの奴ではないはずだ……。だが、外野手…残った3人はこれだったか?)
戸惑いが集中力と緊張感を乱した。つい踏み出した足の先の、草に隠れた窪みに気づかない。
その段差に足を取られバランスを崩す。
「うおっ!」
反射的に声が出る。しまった。すぐに銃を構えようとしても、右手は地面につく他なかった。
前にいたその影が瞬間的に振り向く。両者の目が合った。
「……え?」
目の前の影は平下を見たまま固まっていた。ロッテに入っていることは記憶している。
だが平下と彼との間にある木の茂みは、そのユニフォーム姿を隠す。
その顔だけが街灯の光にくっきりと照らされた。
その時点で、ロッテ選手としての認識を彼の記憶が上回る。
ロッテで一緒にプレーなどしてない。浮かぶのはそれ以前にあるチームメイトとしての記憶だ。

908 :旧知(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/04/30(日) 01:12:44 ID:kUjsgBRW0
 光を背にした薄暗い顔がある。そのせいかそれが誰か平下にはにわかに分からなかった。
一瞬それを理解して、しかしそれがありえない人だと気づく。
確かにロッテにいたと人づてに聞いたことはある。だがそれは自分が入る前の話。
「代田さん? あんた、なぜここに?」
「平下……か?」
 代田のナイフを持った右腕が動いた。それに気づいて左腕でそれを抑える。
せめぎ合っている。ロッテの選手、リスト外の人間を殺す意思は消えていない。
気を抜けば憎しみがこみ上げてくる。この無関係の平下にまで及ぶ無差別な。
今はまだ、平下の顔だけがそこにあって、あまりロッテ選手というイメージがないから制していられる。
歯を食いしばる。待て、待てと言い聞かせる。
二人はベンチを挟んで対峙するように身構えていた。

 外野手だ。それはある意味運がいいのか。しかし、そもそもロッテの選手なのか。
ロッテのユニフォームを着ている。だが彼は参加者ではないはずなのだ。
事情が飲み込めない。だが、あえぐような表情でナイフを右腕に持っている彼。
震えながらその腕を押さえる彼に、おいそれと近づく気はしないということだ。
できることなら、殺す必要がないなら殺したいとは思わないが。

「平下……」
「はい?」
「逃げろ……俺から逃げろ……早く!」
「……それは一体、どういうことですか」
藤井寺の俊足1・2番コンビ、代田建紀と平下晃司。
彼らがチームメイトだったチームは、既にない。

909 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 01:45:02 ID:WoDDc/4q0
キタ━━━━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━━━━!!!!
いや待て代田なんかカッコイイぞ!

910 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 03:25:16 ID:rNbr8qt1O
職人様乙です!!
代田…正気に戻っておくれ

911 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 09:14:31 ID:wkQ48dD5O
職人様乙です!
踏みとどまってくれ代田…

912 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 20:00:14 ID:c7L7BKbR0
うおお、職人様乙です!
代田、自分を取り戻すんだ!

913 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 21:48:23 ID:oDYFblks0
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1144737914/
      __,,,...............,,__、
     .,,::'゙;'''""''゙''''゙゙""''ニ=;;;;..`.
     lッ'゙  金        ゙;;;;;;::.,,
    /´_,,,..      ..,,,_    ゙{;;;;;;;i
    f''"゙  、  . '   ゙゙゙"`   'i;;;f ヽ
    l ;-。= .}     =。-、 U |:;l .;:!
    }  ̄ ;       ̄     1{ bl    読売様万歳!!
    !、  .,.,,,,、      ノ  、ソ
    'i   ' `゛  `        i;;; 
    ヽ _,.=ニニニ=__,、     l;;'       _,,,.-―v、
     i   `¬―'´U       ___ム  ヾ、,: `ヽ
      )`ー---― '           `ヽ、_  ,,.ソ
      ,ゝー――''''"       :        ~ヽ
       ! !       ,.'   /  !         ヽ.
       !  ::.     ;!       ;          ヽ.
      ,| :  :::...  ,;"                   i
     i                :              i
     ヾ              ,:'.  ,; ノ         ヽ
      |  ー 、          ,r',.:'"  '/~~`ヽ、    :|
      |   ;:|`ヽ、__ヾ   , /;;;;;;;:::"/!     ヽ   |
      i   ;:|     ヽ    ,| ヾ、   `)     \  !、
       !   ;|      |    |   ヽ  :/       ヾ  :i!
       |  ;:|       !  ,:,i    / .:|        |  :|
       |  :|       |  ,/,i  ,.-'",;、 ,/         !  ;|
     _ノ  :|         /   ,!  `ーー'"         ノ  i;
    /rrrn ノ      /   /               LLL,,,ノ
             (,rrn_,,,ノ

914 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 22:52:34 ID:1Y8k8jPRO


915 :代打名無し@実況は実況板で:2006/04/30(日) 22:59:28 ID:BjLFjSKT0


916 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 00:46:04 ID:pk/5bS5y0


917 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 00:48:46 ID:2Nm+5PoB0


918 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 00:59:23 ID:95lMZoTI0
うは・・・
昔、藤井寺の近所に住んでてさ、よく観に行ってたんだよ
よく見てたんだよ、その二人…ヤベ、涙が…

919 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 01:12:28 ID:kQ8lRF1qO
泣かないで〜…フキフキ(´・ω・)つ□;ω;`)

920 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 03:26:47 ID:bWLopfkGO
この代田が休んでいたバス停て将海が安らかに眠っているんではなかったか?

921 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 06:52:19 ID:vt1JH7zmO
>>920

バス停って事は、この島はバスが走ってたわけだから、いくつかのバス停があるんじゃないかな?
別のバス停って事にしといて問題無しって事に・・・

922 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 16:21:45 ID:XaXwYfBy0
将海が安らかに眠っているバス停か…
今でも将海は罪を悔いて、それを償う為に必死なのかな……
それとも堀様が一緒にいてくれてるのかな……(´;ω;`)

923 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 20:32:09 ID:hoCGzjPj0
将海と堀さんの話はかなり好きだったなぁ・・・

924 : ◆QkRJTXcpFI :2006/05/01(月) 22:28:27 ID:RgmB6D750
>>920
>>921で言われたとおりですが少し解説しますと、将海のいるバス停は屋根つきで(雨宿りのシーンがありますね)、
代田が休んだバス停は屋根なしということで書いております。

925 :灯影(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/01(月) 22:28:59 ID:RgmB6D750
 たった一つの街灯から、代田建紀の影がベンチの上に伸びる。
薄汚れた木材とはがれかけた塗料、先ほどまで座っていたところだけ砂埃が拭われていた。
目線は平下晃司から動かない。動かせない。右手のナイフに自分の影がかかっていた。
代田の右手は彼の意思と無関係にそれを平下の前にかざそうとして、それを左手が抑えている。
いや、その右手もまた自分の意思に違いないのだ。代田は歯軋りをした。
「逃げろ……って?」
目の前で震える代田に、平下は問いかけた。
「奴らに、ボビーに何をされたか分からない。
 だが今の俺はロッテ選手を殺し回りたい。その気持ちが抑えられない。
 だから逃げろ! 今はまだ、なんとか耐えてられるから……」
「ボビー? ロッテ選手を……殺す? あんた、運営側の犬になっちまったんすか?」
平下の体は深い茂みにほぼ全身が隠れて、肩から上の部分だけが覗いている。
ぼけた街灯の光はそれを僅かに照らしていて、頭の影が後ろの木の幹に映っていた。
蚊とんぼか何か、羽根をはためかせて虫が二人の間を飛んでいく。
「そうだ」
代田が体を震わせながら答えた。
「ロッテの選手が憎くてたまらない。殺意が抑えきれない。
 嫌がったら頭の中が弾けて真っ白になる。リストの人間を殺そうとしてもそうなる。
 その繰り返しだ。このままだと、俺はお前を殺す」
「ふうん」
「平下!?」
悪びれる様子もなく平下はその場から動かない。
その面持ちは緊張こそしているが、退くそぶりなど微塵も無い。
うっすらと笑みさえ見える。カチャリ。茂みの中から機械音がした。
「まるで当然あんたが勝つみたいな。気に入らねっすわ。
 参加者でないなら殺すつもりはなかったけど、運営側の人間ならまた別です」
平下の右肩が上がりかける。茂みの奥、何かが動く。
「やめろ、攻撃するな!」
「藤井寺では世話になりましたね。
 もっとも……俺の方がこの世界は先輩でしたけどね!」
茂みを右腕が突き破る。飛び散った葉が光に照らされた。

926 :灯影(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/01(月) 22:29:32 ID:RgmB6D750
舞う光と影に紛れて、黒い穴が代田を向く。平下は間髪を入れず、引き金を引いた。
その直前に代田の脳内で火花が弾ける。
(違う、あいつは)
跳ぶ。それは弾丸が射出されるのとほぼ同時に。ベンチに足をかけて代田は高く飛び上がった。
ベンチの上をかすめた弾丸はそのまま闇夜に消える。
平下の視界がふっと暗くなる。光が隠されたからだ。
街灯を背にして代田が落ちてくる。その間はほんの一瞬、平下の反射神経など及びもつかない。
右手のナイフが振り下ろされる。その先にあるのは茂みから突き出た銃と平下の腕だ。
「うあああああ!」

 代田の叫び声を聞いて、やっと平下は状況を認識する。
今撃ったはずの代田の姿など跡形も無い。命中したか、それだけが気がかりなのに。
よもや姿が無くなるとは思わず、目をぱちくりさせて、そして叫び声が耳を貫く。
左を見れば、すぐそこに代田の顔があった。
「え!?」
「早く、早く逃げろ」
左腕がすんでで右腕を掴んでいた。平下の右腕、ユニフォームがわずかに裂けている。
一瞬で距離を詰めている代田。それに反撃することもできず、平下は目を丸くする。
「なっ、なんで、そこにっ」
「こんなのは人間の動きじゃない。俺はもう化物になる。誰の見境もつかない、本当の化物に。
 まだお前だから耐えていられるんだ。だから逃げろ、逃げるんだ!」
代田に睨まれ平下が初めて怯えを見せた。逃げるように茂みを突き破ると前につんのめった。
体を立て直しながらベンチの背に手をかけ、一気に飛び越える。
ベンチの上に中腰で立ったまま、平下は後ろを振り向く。
影が代田の足元まで伸びていた。
「代田さん、なんだってんだ?」
「クビになってケガして、俺は何もできなかったのにのうのうと野球をやってる奴らがいて。
 それが憎くてたまらないんだ。この一年そればっかりだった……、けど……」
ばちん。
「うあぁっ!」
平下の背の街灯の光が視界一面に広がる。一瞬、そこに広がったのは野球場だった。

927 :灯影(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/01(月) 22:30:24 ID:RgmB6D750
藤井寺球場。彼がプロ野球選手としての人生をスタートさせた球場だ。
そして、その球場で試合が行われることはもう二度とない。
もとより老朽化したその施設ゆえ、そしてそれを本拠地とする球団の消滅ゆえに。
 代田のナイフを握った手が徐々に持ち上がる。
自らの顔の前にかざすと、ギラリと反射する光が平下の目に届いた。
平下の足は、なぜか動かなかった。拳銃を持った右腕も。
「あんたも、か」
「……」
代田は答えない。沈黙したまま、その目はいつの間にかうつろな様子に変わっている。
「何度もトレードされて、クビんなって。なかなか悲惨すね。
 なら無理はないですよ。誰かを恨んで当然ですわ」
代田の体が揺れ始める。規則正しく、左右に揺れる。
平下が身構える。ベンチが盾になるから、向かってくる動きは限られるはずだ。
「誰かを殺してでも、居場所は欲しいすよね。俺らみたいな半端モンは。
 まして……」
街灯の光がちかちかと瞬くように消えては光る。周りの風景がストロボで照らすようにくっきりと映った。
「まして俺らには、帰るチームはないんやから」
代田が消えた。
同時に平下は後方へ飛ぶ。また街灯の光がストロボのように瞬いた。
突進してくる代田の姿が、まるでコマ送りのように一瞬ごとに大きくなる。
速過ぎる。逃げ切れるか。ベンチから飛び降りると同時に平下は地面を転げる。
すぐさま起き上がる。代田は追ってきていなかった。
 ベンチの背にナイフが突き刺さる。その柄を右手が離さない。
代田は更に左手でナイフを押し込む。また右手との力が拮抗する。
横を見やると、まさに立ち上がった平下と目が合った。
「平下、俺は仲間を殺して得られる居場所なんて信じない。信じたくない。
 けど……憎いんだ……殺して、やりたい、って……ぐああ!」
悶え喘ぎ、叫びながら代田は頭を振り乱す。左手で顔を覆う。
手の隙間から覗いた目が合った。平下は意を決したように、背を向け一目散に駆け出した。
数十秒、平下の足音はどこかへ消えた。地面にうずくまっていた代田はゆっくりと起き上がる。
ナイフをベンチから引き抜く。殺す、と一言だけ呟くと平下の行った方へと走り始めた。

928 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/01(月) 23:06:29 ID:kW0XK60s0
職人様乙です!
代田…戻ってくれ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

929 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 00:52:00 ID:3mg+k9T7O
職人様乙です!
うわぁ逃げて〜そして解放したげて〜!!

930 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 00:53:04 ID:uun6JlNf0
あげ

931 :夢叶わず(1/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:46:54 ID:waFn9icf0
大気をつんざくような爆音が鼓膜を揺らす。
聴覚の次には嗅覚が訴えかける。もう嫌というほど嗅ぎなれた火薬の臭い。
最後は視覚。コマ送りしたフィルムでも見ているように、ゆっくりと崩れていく。
のばしかけた腕が、動かそうとした指が、目的を果たせぬままに。
大塚も晋吾も瞬き一つせず、その様子に釘付けになっていた。
声すら出ない。そんなこと、誰も予想していなかったから。
崩れゆく影の後ろに見えたのはポケットピストル。
そして後頭部を打ち抜かれた影は、地面にうつぶせに倒れこむ。
力尽きたその指先から、今まさに撃とうとしていたワルサーPPKがこぼれ落ちていった。
その後に残されたのは沈黙。まるで時間が止まったようだった。
「西岡、おまえ…?」
静寂を破ったのは大塚。緊張で喉が渇き、声が震える。
その一言ですら、口に出すのに勇気が要った。
地面から起き上がり、改めて自分が見たものを確認した。
信じられない。そんな理由がどこにある。
西岡が金澤を撃つ理由が、どこに。
「だって、これしか止める方法ないっしょ……?」
ピストルを持つ手をだらりと下ろす。声が震えているのは西岡も同じ。
俯いているせいで彼の表情は見えない。
その分西岡の鼻をすする音が耳について、余計に胸を締め付けた。
「こんなん、見てられへん……」
かすれた声は最後まで聞き取れない。

晋吾だけがひとり、まだ呪縛の中に取り残されている。
地に寝転んだまま、ちょうど同じ目線の高さに崩れてきた金澤を見つめる。
ずっと憎くて仕方なかった敵の最期。自業自得だ。それなのに溜飲は下がらない。
こんな結末、受け入れられない。あまりにもあっけなさ過ぎて。
俺が殺すはずだった。なのにこいつは寸前のところで逃げたんだ。
自分の前から、永遠に手の届かない世界へと。
行き場をなくしたこの刃、一体どこへ向ければいいのだろう――

932 :夢叶わず(2/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:47:18 ID:waFn9icf0
変わりゆく友を見るのが辛かったと言えば、ただの言い訳になる。
自分自身を見失い、自棄を起こす金澤を目にしたら、とっさにとる行動はそれしかなかった。
「せめて、俺が楽にしてやるしか……」
西岡が金澤の脇に座り込み、うなだれた。
死んで何かが解決するとは思わない。他にもきっと方法はあった。
これで正しかったなんて言えない。それでも後悔はしない。
「なぁ、西岡?」
「……もう、聞かんとってください」
拳をぎゅっと握り締め、唇を震わせた。顔はずっと下を向いたまま。
弱冠二十歳の若者がそこまでの決断を迫られた経緯を思えば、見ている側の方が苦しくなる。

晋吾の呪縛を解いたのは西岡の一言。
……楽にしてやる? ふざけんな。こんな奴、この世の地獄を全て味わって、
苦しみにのた打ち回りながら、無様に死んでいけばよかったのに。
死刑すら生ぬるい。俺だったらこんな簡単には殺さない。
俺ならもっと苦しむ方法で、痛めつけてやったのに。それを、こいつは――

「俺が、殺すはずだった……」
晋吾がそっと起き上がる。左腕だけを支えにして。
動きがふらつくのは相変わらず。体はずっと警鐘を鳴らしている。
なのに今あるのは、それを無視するほど激しい憎悪。
黒い感情の渦に飲み込まれる。他のものが見えなくなる。
「俺が、そいつを……殺すはずだったのに……」
それまで金澤の死体を見ていた晋吾の視線が、西岡に向き直った。
「それを西岡、てめぇッ!」
突然の怒号に大塚がギョッと振り返った。
晋吾がチェーンソーに手を伸ばす。狙いは明らかに西岡。
その胴回りに飛びつき、慌てて押さえつけた。
「ちょ、待て待て待て! お前、さっきから言ってることおかしいぞ!?」
「うっせえ、離せ! どけっ!」
「お前には西岡の気持ちがわからないのか!?」――

933 :夢叶わず(3/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:47:38 ID:waFn9icf0
自分の名を聞いて、西岡は顔を上げる。見れば大塚と晋吾が取っ組みあっていた。
自分がその原因であることは察したが、それでも遠い他人事のように呆然と見ていた。
――『俺らもそんな風になれますかね』
不意にそんな言葉が浮かぶ。自分が大塚に言った一言。
確か「大塚サンら同期は……」って、そんな話をした記憶がある。
そんな他愛のない会話さえも、今は胸に突き刺さって痛い。
すっかり忘れていたのに、どうして今になって思い出したのだろう。
過ぎ行く時間は忘れ薬。些細なことほど効き目が悪い。
自分の同期は皆死んだ。そのうち一人は自分が手にかけた。
大塚の同期は一人死んだ。もう一人は今まさに目の前でいがみ合い。
違う、いがみ合いじゃない。片方が一方的にいがみかかってるだけか。
人と人との繋がりって、なんて脆いものだろう。
長い時間をかけて培ってきたものが、一瞬で壊れてしまう。
そして間違いなく、自分はこの手でそれを壊した。
再び俯けば、そこには金澤がいる。そっと手をのばし、薄く開いた金澤の目を閉じさせる。
ふと思いついて横を見れば、少し離れたところに浅間。すぐ傍ににじり寄る。
恐ろしく見開いていた目を手で覆い、こちらも閉じさせてやった。
最期にその目で見たであろう裏切りを、浅間はどう思ったのだろう。
それを思うとやりきれない。胸が潰されそうだった。
もう一度、顔をあげる。向こうに見える金澤までは5,6歩もあるかないかの距離。
迷わなかった。すぐに浅間の亡骸を抱きかかえ、そっと金澤の傍に横たえてやる。
「敬太ぁ……金澤ぁ……」
嗚咽交じりの西岡の声も、喧騒に消えていく。
此岸ではすれ違った二人。せめて彼岸で分かり合ってくれることを願いたい――

934 :夢叶わず(4/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:47:57 ID:waFn9icf0
「――知るか、人の獲物を横取りしやがって! 殺してやる。
 西岡も、お前も、邪魔する奴はみんな…ッ、みんな殺して……」
「そんなの逆恨みもいいところだろ!」
大塚の声なんか届いていない。晋吾は感情的に叫び続け、逆上を見せる。
もう何かに取り憑かれているとしか思えない。見るに耐えず、無意識のうちに手が出ていた。
平手で晋吾の頬を思いっきり叩きつけて、一喝する。
「目覚ませ、晋吾! お前そんな奴じゃねぇだろ」
「俺は…ッ」
頬を赤く腫らし、晋吾が大塚をにらみ返す。
「……そんな奴なんだ。知らなかったか」
荒んだ目つきも、大塚には何故か泣いているようにさえ見えた。
その変わり様を嘆くとか咎めるとか言う以前に、とにかく晋吾が心配で。
思えばこいつは涙もろい奴だった。
ことあるごとに、泣きそうな目をしてお立ち台に上がっていたのも、
帰り際にグラウンドに向かって深々と礼をしていたのも知っている。
「違うだろ…? 無理すんなよ。お前はもっと、大人しくても芯の強い……」
「過去のピッチャーは大人しくしてろって、そう言いたいのか」
斜に構えた物言い。大塚がはっとする。
一瞬、晋吾の奥底に潜む闇が見えた気がした。
「晋吾…?」
「終わった奴が無駄な悪あがきしてんじゃねぇよって……明、おまえもそう言うのかよっ!?」
顔を朱に染めて、力の限りに叫ぶ。
どこかで爆発させずにいられなかったこの悔しさ。

935 :夢叶わず(5/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:48:34 ID:waFn9icf0
――もともとプロでやっていく自信なんかなかった。誘いも断るつもりだった。
速い球が投げられるわけでもない。優れたコントロールがあるわけでもない。
それでもスカウトの熱意に負けて、結局マリーンズに入団した。
長かった下積み、鳴かず飛ばずの二軍暮らし。いつクビになるかと怯えていた。
あるとき、人生で初めて満塁ホームランを打たれた。もう終わりだと思った。
残り少ない野球人生を悔いなく送ろう、そう思ったら急に楽になった。
のびのび投げられるようになった。シュートが使えるようになった。
そしたら一軍に上がれた。初勝利も手にした。長かった。6年もかかった。
7年目。バッテリーを組むのはいつも橋本。将とはなぜか相性がよかった。
連勝記録も作った。かつての偉人に倣って「サンデー晋吾」なんて呼ばれるようになった。
それでもチームは低迷。個人成績だけを追い求める日々が続いた。
その年のオフには背番号が変わった。63番からその偉人が背負った番号、29番へ。
そして、29は重い数字だった。63よりも、ずっと。
度重なる故障と不振。痛めた箇所を庇ううちにフォームを崩した。
体が言うことを聞かない。栄光の背番号に見合う結果が出せない。
いつしか過去のピッチャーだと囁かれるようになった。
毎日が悔しい思いの連続。不甲斐ない自分が腹立たしかった。
それでもじっと耐えた。「もう1回、先発の柱になりたい」、それだけを胸に抱いて。
そして今年。プレーオフなんていう制度ができた。
ずっと万年Bクラスだ、弱小球団だ、と言われ続けてきたこのチームにも、チャンスがある。
自分のためじゃなく、チームのために投げられる。
与えられた役割は経験のない中継ぎ。そのうち無理がたたって二軍落ち。
それでも後半戦には、再び一軍のマウンドに戻ってきた。今度は先発として。
やっとスタートラインに立てた。ここからが自分が歩むべき復活の道。
結局チームはプレーオフには出られなかった。わずか0.5ゲームの差で。
それでも手ごたえは掴んだ。プレーオフも夢じゃない、来年こそ。
そう思っていたら、この有様。マリーンズは消滅するという。
30年以上遠ざかった悲願も、もう一度先発の柱になるんだという思いも、果たせぬまま。
この手に掴みかけていたもの、掴もうとしていたもの、全てが消えた。

936 :夢叶わず(6/6) ◆vWptZvc5L. :2006/05/02(火) 02:48:54 ID:waFn9icf0
殺し合いを強要されたとか、友を目の前で殺されたとか、ただのきっかけに過ぎない。
人には見せない負の感情が、それを増長させるだけの土壌が、元々自分にはあったのだ。
孤独、疑い、憎しみ、悲しみ、憤り、虚しさ、悔しさ、妬み……
降り積もる負の感情。それが限界を超えたなら、外に吐き出すしかない。
そういう汚れた感情の固まりこそ、自分の本性だったんだ――

「誰もそんなこと言ってな……」
「ちょっと確変しただけだとか、トレードに出せとか、背番号返せとか、
 そういうこと言われてもじっと耐えてるような奴だからって、おとなしい奴だからって、
 みんな好き放題言いやがって! 冗談じゃねぇ、俺だって……俺だってぇっ!!」
今の晋吾の目に映るものは、大塚ではなく、虐げられてきた日々。
押し殺してきた感情を吐露する姿には、冷静さの欠片もない。
完全に自分を見失っている。大塚の言葉にも耳を貸そうとしない。
(どうすればいい……どうすればこいつを止められる?)
金澤の亡骸に寄り添っていた西岡の姿が、大塚の脳裏をよぎった。
辛い選択を迫られた西岡。その姿が近い未来の自分に重なるような気がして。
俺もそうするときが来るのだろうか。西岡のように。
俺もこいつを――晋吾を、殺さなければならないのだろうか。

【62金澤岳× 残り12名】

937 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 03:00:21 ID:shtY/KJN0
うわ、久しぶりにリアルタイム投下に出会った!
職人様乙です!
金澤…西岡に殺されちゃったか…西岡も苦渋の選択だろうけど…浅間と金澤を並べて、あっちで仲良く野球してくれてたらいいなぁ
それにしても、何かこの同期たち切ない。・゚・(つД`)・゚・。
明と晋吾はどうなっちゃうんだろか…

938 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 05:34:45 ID:3lMh3/uWO
職人様乙です。
晋吾が正気を取り戻してくれるのを祈るばかり…

939 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 07:24:57 ID:aKIEero7O
職人様乙です!
うわあ…みんな辛いよ…晋吾正気を取り戻して。゚・(ノД`)・゚。

940 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 09:05:02 ID:3mg+k9T7O
職人様乙です!
金澤ぁ〜!西岡ぁぁ〜!。・゚(ノД`)゚・。
大塚がんがれ!!

941 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 12:55:41 ID:PVxu8M9H0
職人様乙です。
大塚は今まで本当に辛い選択ばかりしてきたからな…
でも晋吾はもう……(´;ω;`)

942 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 13:26:15 ID:U3R6+pPY0
職人様新作ごっつあんです!
西岡も晋吾もカワイソス
そして残りがもう12人になってしまった…。このまま10人まで行っちゃうのかなぁ?

943 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 17:10:39 ID:wm1S5dyrO
職人様乙です!!!
読んでて電車の中で泣くとこだったよ…
西岡ぁ…。・゚・(ノД`)・゚・。

944 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 18:56:51 ID:i1KaT/joO
小野、平下で終了か?




945 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 19:20:59 ID:Da2csfEF0
うーん、予想はしていたけど、辛い選択だなあ。
しかし早くしないと10人になっちゃうよ。

946 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 20:53:49 ID:3x8dqDsyO
今、この流れでゲームを止められるのって・・・




アイツしかいない!

947 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/02(火) 21:42:42 ID:PE2ezPtQO





948 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/03(水) 14:17:35 ID:U0bhT8Jp0
あいこうさん?

949 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 02:01:53 ID:HBbXRBrRO


950 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 03:20:19 ID:Fs67fd9GO


951 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 03:27:25 ID:SdT5D+KK0


952 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 11:46:07 ID:sxj7YKVu0


953 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 12:50:47 ID:9+gVFCgcO


954 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 17:24:55 ID:HysmiHa4O


955 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/04(木) 23:18:25 ID:Ub9IGSYv0


956 :番外 李承■と愉快な同士たち30(1/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/05(金) 01:40:35 ID:Uol1uUXA0
〔丶`J´〕ノ◎<オッス、チュッスンチョリム!李承■デス。
 私は冷蔵庫の陰に、覆面の彼は大きな棚の陰に隠れていまス。
ドアのないこの部屋に入ってきた人物がコツコツと靴の音を立てて歩いていマス。
距離が近過ぎて物陰から顔を出すことはできず、それが誰なのか分かりまセン。
ただ一つ、分かることがあるとすれば、部屋に入ってきたのは一人ということでス。
覆面の彼と私が同時に目を合わせましタ。
相手が一人ならば、戦闘になっても打ち倒すことができるかもしれまセン。
「ふうぅ……」
椅子を引く音と共に、深いため息が部屋の中に響きましタ。
その低い声から、その人物が男性であることが分かりマス。
「余興か。瀬戸山もたまには役に立つ。しかし……あの人の相手は疲れる。
 この秘密の部屋にいるときだけだな。私が安らげるのは」
瀬戸山と言う名前に私は反応しまス。そこにいる男性は知り合いなのでショウ。
私は勉強した日本語を思い出しましタ。
この呼び方は呼び捨てといい、立場がその相手より同等か上の時に用いまス。
つまりそこにいる人物は、おそらく瀬戸山さんより上の立場の人物ということになりまス。
ちなみに私は"スンちゃん"と呼ばれまス。
"チャン"とは"隊長"などの意味ですから、みんなは私のことをリーダーとして認めているのデス。
「千葉マリーンズバトルロワイアルか。
 ロッテ選手同士の殺し合い、合併のための数減らし、そして……莫大な利益を生み出すもの。
 一年以上、この準備にずっと追われてきた。それもあと二日足らずで終わるのか」
また一つため息が聞こえましタ。その人物はなおも独り言を続けまス。
「適当な無人島候補地の選定。住民の移動と口止め。管理システムの構築。
 それらを実行し、秘密を守り、時には殺すことを厭わず戦闘ができる人材の育成。
 マスコミ上層部への根回し。そのために渡辺の爺さん始め頭を下げて。
 それらにかかる費用、もちろん全て秘密裏に捻出。全工程を私の指揮で極秘に行ってきた」
少し、声の調子が上がりましタ。心なしか早口になっていマス。
「全てだ。全て私が苦労してやってきたんだ!」
バン!と机を叩く音がし、振動が部屋の中に響きましタ。
「それをなんだ! あのジジイは高みの見物ならまだしも、後から好き放題にしやがる!

957 :番外 李承■と愉快な同士たち30(2/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/05(金) 01:42:46 ID:Uol1uUXA0
 やれ勝手に運営に口出しするわ、やれカメラが無くて暇だとごねるわ……。
 挙句の果てには、きっと……今回得られる利益も奴が独占しようとするに違いない」
私は驚きましタ。どうやらそこにいる彼こそがこのゲームの首謀者だったようデス。
誰か知らないその人ですが、しかし、そういえばどこかで聞いたような声デス。
「しかし……それも今日までだ。いつまでも私があなたの言いなりになると思わないでほしい」
 再び歩く音が聞こえマス。どんどん覆面の彼の隠れている大きな棚に向かってきまス。
緊張が走りましタ。彼が棚の前に止まったのが私からちらりと見えましタ。
覆面の彼はそのすぐ横の、ほんの少しの死角に隠れているのでス。必死で体を縮めていまス。
同時に、歩いてきたその首謀者の後ろ姿が見え、私はその人が誰か分かりましタ。
その男性は重光昭夫オーナー代行。彼とはキャンプなどで何度か面識がありまス。
 彼は一つの引き出しを開けると、中に入っていた箱を更に開け、小さな銀の球を取り出しましタ。
ピーナッツほどのその球を手に持つと、彼は顔の前に掲げマス。
「これ……。今回のゲームの実行に当たって最も重要なポイントとなるこの機械。
 発信機と、そして信号を受けて爆発する機能。
 更に選手達の腹に仕込まれ、一度飲み込めば消化器内に喰らいついて二度と取り出せない」
 そのときでしタ。隠れていた覆面の彼のポケットから、松本さんにもらったCDが落ちましタ。
このゲームを止めるプログラムの入った大事なCD、それが落ちた拍子に弾みマシタ。
なんということでしょウ。丁度よくそのCDは、覆面の彼の隠れる棚と壁の隙間に入ってしまいまシタ。
慌てて覆面の彼が手を隙間に差し込みまス。元から大きな隙間だったようで、彼の腕が入っていきまス。
身を縮めながら、腕を最大限伸ばしているようでス。よほど奥に入ってしまったのでしょうカ。
それを見つめる私の鼓動はどんどん早くなっていきマス。
「この発信機。そしてこれ専用の爆発操作コントローラーがここにある。
 もうあなたの言いなりにはならない。今度はあなたが言いなりです。
 発信機を飲んでもらいますよ、父さん……」

958 :番外 李承■と愉快な同士たち30(3/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/05(金) 01:43:53 ID:Uol1uUXA0
父サン? 彼は、父親の武雄氏への反抗を企んでいるのでしょうカ?
「くく…ははははは!」
重光昭夫が発信機を持ちながら高らかに笑いまス。同時に覆面の彼がえいっと腕を伸ばしまス。
肩まで隙間に入ってしまいそうなほど腕を突っ込んで、すると、さすがに棚が傾きましタ。
それに気づかずに尚も覆面の彼は腕を突っ込むと、棚は更に傾き、ゆっくりとバランスを失いましタ。
「ん?」
重光昭夫がそのことに気づいた時には、彼の背丈より大きな棚が彼に向かって倒れる途中でしタ。
「うわああああ…げぶっ!」
悲鳴が潰されながら、大音量と巻き上がる埃。残ったのは、棚に潰された下でモゴモゴとうなる男性でしタ。
覆面の彼が右手にCDを掴みながら、しゃがんだままの体勢で呆気に取られていましタ。
私と目が合いまス。
「ど、どうじゃ。コイツの動きを止めたぞい」
「へえ」
「ぶわっ!」
棚の下から重光昭夫が這い出てきましタ。彼は私達2人を見つめ、唖然としていまス。
「き、貴様ら……なぜここにいる!?」
返事をするより早く、私と覆面の彼が飛びかかりまス。二人掛かりで呆気なく彼を打ち倒す…はずでしタ。
重光昭夫が目の前から消えましタ。屈みこむと、高速で右足が私達の足を薙ぎ払いまス。
一瞬上下が逆転して、何が起きたのか分からないまま、気づくと私と覆面の彼は地面に倒れていましタ。
「ふん……仕事柄、護身術は必修科目でね」
強い、思っていたのと違いマス。これでは大変困りまス。

959 :番外 李承■と愉快な同士たち30(4/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/05(金) 01:44:21 ID:Uol1uUXA0
「すぐに部下を呼ぶから大人しくするんだな。貴様ら無駄な抵抗は止めろよ。
 その気になれば気を失わせるぐらい簡単に……ん? ……つっ……あいた、いたたた」
重光昭夫がお腹を抑えて、とても痛そうにしていまス。そのとき、私はあることに気づきましタ。
すぐに周りを見渡しまス。棚が倒れた拍子に、アレはどこへ転がったのでしょウ。
 重光昭夫はなおも苦しそうな顔をしていまス。
(なんだ、この痛みは……!? ……待てよ、さっき棚の下敷きになったとき……
 私は笑って口を開けていて、顔の前には……、……はっ!!)
重光昭夫が周囲を見回し、それを発見し駆け寄ろうとしまシタ。
しかし、それを発見したのは僅かに私の方が先だったのデス。滑り込んでそれを手にしまス。
発信機の爆破コントローラー、部屋の隅に転がっていましタ。
「重光さん。あなた、あの発信機をどこに隠しました? ポケット? 引き出し? それとも…」
ボタンに手をかけると、重光昭夫が血相を変えましタ。
「や、やめろおっ! 押すな、押すなあああ!!」
「お腹の中……で正解のようですね。ちょっと、管制室までお付き合いいただきますよ」
重光昭夫は口をつぐみましたが、しばらくしてがっくりと肩を落とし、首を縦に振りましタ。
「どうやらまだ早いようですね、あなたが誰かの言いなりから開放されるのは」

【同士7名  ※■は火へんに華】


960 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/05(金) 01:49:58 ID:qOz9RMNz0
Jr… ちょっとかわいそうだw

961 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/05(金) 08:28:21 ID:X+w3FAfEO
職人様乙です〜
がんばれ2人!

962 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 02:22:16 ID:uhs9fMyoO


963 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 07:00:26 ID:MEijXLs50
コレまでの流れで、
おにいちゃん そこはちがうよぉ・・・ まで読んだ。

964 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 17:54:18 ID:e2E6KheP0
「来島」と「李舜臣」
ttp://bbs.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=phistory&nid=64441


965 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 18:58:10 ID:xa1x2U2TO
    , ―――- 、
   /:::::フv(,:::::::::::::\
  ム;-――-、`、:::::::::|
 く /━-  -━、\:::::|
  ./(●)  (●) ̄||ll|  +
  (    /    , |lr )
  l  <_ _.ゝ   '',lll +
  |  _,ー、_   l|||l
   \  ―  / |'''     +
    ` ┬- '´ :::|
  ,-―― ̄ニニニ ̄―――、
キョウ ハ ウタレテ ゴメンネ

966 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 20:20:01 ID:bsj600MZO


967 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 20:41:47 ID:AIZf+ZFS0


968 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 20:43:59 ID:+BSgA6YLO


969 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 21:01:41 ID:nyl+7oQTO


970 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 21:47:48 ID:beE6hfO0O


971 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 22:03:17 ID:3p+BB4eDO


972 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 22:04:38 ID:bbpA48cJ0


973 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/06(土) 22:10:25 ID:iGNknLL7O
れというより天然?

974 : ◆vWptZvc5L. :2006/05/07(日) 00:57:33 ID:0OvsCuYn0
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up5145.png.html
相関図うpしました。今後の展開予想にどうぞ。

975 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 01:11:36 ID:gS0Js8Qu0
>972
乙です!
戸田超絶蚊帳の外w

976 :975:2006/05/07(日) 01:12:56 ID:gS0Js8Qu0
まちがい
× >972
○ >974

977 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 14:11:56 ID:sRAonjmUO
保守

978 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 15:46:25 ID:jQw59mAS0
保守もいいけど次スレの準備は?

979 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 16:02:47 ID:3UFoVxIo0
次は14章ですね

980 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/07(日) 23:47:43 ID:/sN428tsO
ワショーーイ

981 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 01:36:47 ID:pdyM4bcbO
この物語が始まって1年半が過ぎた?
何人かの選手の出だしだけとある選手を途中まで書いた。
今じゃ書き出しからは想像つかない展開になったよなぁ・・・

次スレでついに完結するのだろうか・・・

982 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 09:09:30 ID:oexI+u320
スレ立て挑戦したがダメだった。次は第14章でよろしく。

前スレ
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1137870629/
第12章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130845754/
第11章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1127569582/
第10章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1122561045/
第9章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1121436971/
第8章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1117500482/
第7章
http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1116257158/
第6章
http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1110970758/
第5章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1110788201/
第4章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105085112/
第3章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105003484/
第2章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099564992/
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097081116/

983 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 21:46:44 ID:2teDVddr0
誰か次スレ頼みます・・・

984 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:15:31 ID:eS95UZic0
次スレ立ててきます

985 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:33:56 ID:eS95UZic0
次スレ
千葉マリーンズバトルロワイアル第14.章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1147095026/


986 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 23:13:03 ID:tqxwXqsIO
>>985
乙&GJです!

987 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 00:18:11 ID:C6hssMTP0
なんでやねん

988 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 06:57:16 ID:BeN5Z7v5O
なにがやねん

989 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 10:50:47 ID:uXpfbHiiO
どないしてん

990 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 13:50:45 ID:Mln4LL9lO
全部西岡の声に変換されて聞こえてくるwwwwうはwwww末期wwwwww

991 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 16:59:32 ID:/TqNuHoY0
いつやるねん

992 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 17:04:52 ID:gS863/1B0
パンおいしいねん

993 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 17:12:42 ID:oOB/G9940
編物したいねん

994 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 17:58:43 ID:BeN5Z7v5O
ご飯もうまいっちゅーねん

995 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 21:42:18 ID:tVy6odUFO


996 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 22:29:49 ID:FuyB07PF0
梅干酸っぱいねん

997 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 22:51:28 ID:/TqNuHoY0
馬かよ〜・・・・

998 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:48:15 ID:fF2c7WjT0
はよ埋めろや

999 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:48:26 ID:eh1NWaYY0
埋めるしかないねん

1000 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:48:41 ID:fF2c7WjT0
 

1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


実況は実況板でお願いします。プロ野球板での実況は禁止!
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アンチ行為、他スポーツや球団・選手間との比較はアンチ板で。
[ アンチ球団板 ] http://ex13.2ch.net/kyozin/


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