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千葉マリーンズバトルロワイアル第14.章

1 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:30:26 ID:eS95UZic0
2004年10月から始まったマリバトもいよいよ大詰め。
職人さん乙です。

前スレ
千葉マリーンズバトルロワイアル第12章 (実質13)
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1137870629/

保管庫(携帯可)
http://www.age.cx/~marines/cmbr/


2 :過去ログ:2006/05/08(月) 22:31:03 ID:eS95UZic0
第11章(実質第12章)
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130845754/
第11章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1127569582/
第10章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1122561045/
第9章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1121436971/
第8章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1117500482/
第7章
http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1116257158/
第6章
http://ex10.2ch.net/test/read.cgi/base/1110970758/
第5章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1110788201/
第4章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105085112/
第3章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1105003484/
第2章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099564992/
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097081116/


3 :各球団バトロワ保管庫 1/2:2006/05/08(月) 22:31:35 ID:eS95UZic0
讀賣巨人軍バトルロワイアル
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
横浜ベイスターズバトルロワイアル
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
ttp://doubleplay.hp.infoseek.co.jp/ybbr05/ (2005年版保管庫)
広島東洋カープバトルロワイアル
ttp://brm64.s12.xrea.com/
ttp://www6.atwiki.jp/moriizou/ (2005年版保管庫)
中日ドラゴンズバトルロワイアル
ttp://dra-btr.hoops.jp/ (2001年版保管サイト)
ttp://dragons-br.hoops.ne.jp/ (2001年版・2002年版保管サイト)
ttp://mypage.naver.co.jp/drabr2/ (2002年版保管サイト)
ttp://cdbr2.at.infoseek.co.jp/ (中日ドラゴンズバトルロワイアル2 第三保管庫)
ttp://cdbr2004.hp.infoseek.co.jp/(中日ドラゴンズバトルロワイアル2004保管庫)
阪神タイガースバトルロワイアル
ttp://kobe.cool.ne.jp/htbr/
ttp://homepage2.nifty.com/sorasouyo/ (旧虎バト保管庫・若虎BR紅白戦進行中)
ヤクルトスワローズバトルロワイアル
ttp://f56.aaa.livedoor.jp/~swbr/


4 :各球団バトロワ保管庫 2/2:2006/05/08(月) 22:31:49 ID:eS95UZic0
プロ野球12球団オールスターバトルロワイヤル
ttp://www.geocities.jp/allstar12br/
福岡ダイエーホークスバトルロワイアル
ttp://www3.to/fdh-br/ (s氏作)
ソフトバンクホークスバトルロワイアル
ttp://sbh.kill.jp/
アテネ五輪日本代表バトルロワイアル
ttp://athensbr.fc2web.com/
東北楽天ゴールデンイーグルスバトルロワイアル
ttp://www.geocities.jp/trgebr/
ビリオネア・バトルロワイヤル
ttp://tokyo.cool.ne.jp/birioneabr/index.html
西武ライオンズ バトルロワイアル
ttp://web-box.jp/lions_br/
2ch野球板 バトルロワイアル 参加者名簿
ttp://www4.atwiki.jp/basebr/
マーダー名鑑
ttp://www.geocities.jp/murder_file_3bbr/


5 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:32:01 ID:eS95UZic0
バトロワSSリレーのガイドライン

第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)


6 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:32:10 ID:eS95UZic0
リアルタイム書き投下のデメリット

1.推敲ができない 
⇒表現・構成・演出を練れない(読み手への責任)
⇒誤字・誤用をする可能性がかなり上がる(読み手への責任)
⇒上記による矛盾した内容や低質な作品の発生(他書き手への責任)
2.複数レスの場合時間がかかる 
⇒その間に他の書き手が投下できない(他書き手への責任)
⇒投下に遭遇した場合待つ事によってだれたり盛り上がらない危険がある。(読み手への責任)
3.バックアップがない 
⇒鯖障害・ミスなどで書いた分が消えたとき全てご破算(読み手・他書き手への責任)
4.上記のデメリットに気づいていない
⇒思いついたままに書き込みするのは、考える力が弱いと取られる事も。
 文章を見直す(推敲)事は考える事につながる。過去の作品を読み込まず、自分が書ければ
 それでいいという人はリレー小説には向かないということを理解して欲しい。


7 :他球団バトロワ現行スレ:2006/05/08(月) 22:33:19 ID:eS95UZic0
横浜ベイスターズ バトルロワイアル7
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130921099/
アテネ五輪日本代表バトルロワイアル第4章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1133540671/
東北楽天イーグルスバトルロワイアル2006
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1144249953/
一億円プレーヤーバトルロワイヤル第三章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1133013773/
西武ライオンズバトルロワイアル
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1135077867/
広島東洋カープバトルロワイアル2005
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1130678239/

野球バトルロワイアル総合雑談所2
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1134993945/


8 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:34:36 ID:eS95UZic0
なんかスレタイにいらないものが付いてますが
許してください orz

9 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 22:59:35 ID:+PQbEVCb0
>>1さん乙です
このスレで完結かな・・・少し寂しいけどwktk

10 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 23:11:30 ID:n0t6R3WyO
1乙
自分は最近読み始め…もっと早くから知りたかった
全ての展開がwktk

11 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 23:49:39 ID:StdOcZdf0
>>8
このスレでピリオドが打たれる!の意とすればおk

12 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/08(月) 23:54:30 ID:34ncygN00
乙です。現行スレにこれも追加

阪神タイガースバトルロワイアル第七章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1134038295/

13 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 12:48:13 ID:fsKIWZDvO
保守

14 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/09(火) 23:49:13 ID:eh1NWaYY0
前スレも埋まった所で保守

15 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 00:20:29 ID:gKPgltj1O
>>1乙です。保守ほしゅ

16 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 16:10:29 ID:NmzGZrGu0


17 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 18:05:52 ID:7Ydy6ICF0


18 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 20:07:11 ID:IHwr+15G0


19 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/10(水) 21:20:33 ID:GI8KqA1p0


20 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 02:17:03 ID:fQZU2TaW0



21 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 06:30:05 ID:LP+iLyFGO
保守るしかないねん

22 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 12:59:54 ID:4JHsP8t30
hosyu

23 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 21:25:52 ID:acUc1CNj0
保守

24 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/11(木) 22:01:38 ID:Jw6Vn6AB0
サブロー氏ね!
パスクチ氏ね!
打率1割氏ね!
サブロー氏ね!
パスクチ氏ね!
打率1割氏ね!
サブロー氏ね!
パスクチ氏ね!
打率1割氏ね!
サブロー氏ね!
パスクチ氏ね!
打率1割氏ね!

25 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 07:47:43 ID:kDBZ/7T2O


26 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 10:04:43 ID:72tt5W3IO


27 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 14:47:46 ID:AOuZtbkI0


28 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 16:07:53 ID:6A3hFFqE0


29 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 18:36:01 ID:t0wd/OEtO
なんてあづましい

30 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/12(金) 22:25:49 ID:sxndWAHl0


31 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 01:17:13 ID:7qKJDsqW0
億バトスレおちた?

32 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 16:59:39 ID:rimmZTi40
ほす

33 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 18:22:06 ID:/Vnp2nqiO
保守

34 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 18:47:02 ID:eUKDtWbKO
あげ

35 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/13(土) 22:06:08 ID:Tu6tki/t0
ほす

36 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/14(日) 18:05:40 ID:IzlRa+B50
g保守

37 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/14(日) 23:44:51 ID:8G2VOHyx0
保守

38 :分岐(1/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:51:22 ID:OIAQfc6O0
「この辺のはずです」
「あ、あれじゃないか」
「おーーい!」
探知機を見ながら歩いてきた三人の男が、林道の先に人影を見つけた。
先頭を歩き探知機を両手に持つのは薮田安彦である。
その少し後ろを歩きながら、道の向こうを眺めて目を細める二人の男。
二人ともメガネを直しつつ目を細める。小宮山悟と初芝清だ。

「ん?」
「今の声は?」
「はつしばさんだ!」
道の向こう側から歩いてきた三人組、そこから聞こえてきた声の主に気づいたのは成瀬善久だ。
一目散に駆け出すと、三人の元へ息を切らしながら走り寄った。
「はつしばさん!」
「成瀬君、無事だったようだね」
「はい! ……は!」
両者の顔がはっきり見える距離に来て、成瀬がひっと息を吸い込んだ。
体を硬直させて、そこにいる薮田と小宮山の姿をただ見つめている。
「なんや? ワイの顔になんかついてるか?」
「い、いえ……なんでもないです」
成瀬はうつむき加減になり黙りこくる。それを初芝が不思議そうな目で見ていた。

 成瀬の後を追って、残りの人間もそこへ駆け寄ってくる。
既にその三人の話を成瀬や内から聞いていた今江敏晃も安心して近くまでやって来た。
「みなさん、ご無事だったんですね」
「お前もな」
薮田が彼の全身を一瞥すれば、ボロボロになり血しぶきのついたユニフォーム。
微笑んでいるはずのその目は、疲れているのだろうか、どこか不安を表すように目の下がむくんでいる。
何があったかが思いやられて薮田はやるせない気持ちになったが、しかし思い直して笑い返した。
自分は今江より上手く笑えているだろうか。安心感を抱かせられるほどに。
そんなこと思っていると、今江の後ろに懐かしい顔を見る。

39 :分岐(2/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:51:44 ID:OIAQfc6O0
「小宮山さん、薮田さん」
ゆっくりと負傷の里崎智也の体を支えながら歩いてきた内竜也が、二人と目を合わせた。
小宮山と内がほんの数秒、何も言わずに互いを見つめる。
内の眼差しを眺めて、小宮山の表情がいつの間にかほのかに和らいでいた。
ポーカーフェイスを信条とする男。そのほんの少しの変化に誰も気づくことはなかったが。
「これ」
そう言って内はおもむろに腰のベルトからそれを取り外す。
「お返しします」
コルトガバメント。小宮山が彼を残していく時に託した物だ。
それを小宮山は受け取ると、重さを確かめるようにしながら弾倉を外す。
「使わなかったのか」
小宮山が上目遣いに内の方を見やる。
たった一発の弾丸は装填されたままでそこに残されていたのだ。
「ええ、僕には、使えませんでした」
使えなかった。
その言葉の意味を問おうかと思ったが、同時に小宮山は内のユニフォームに気づく。
別れる前には無かったはずの新たな血糊、まるで血しぶきを浴びたように染まっている。
「無事で良かったよ」
小宮山はそれだけ言うと、その銃を自分の腰のベルトに挟んだ。

「その怪我は?」
初芝が里崎の左腕に巻かれた布に気づく。濃い色が内部から染みてきていた。
「話せば長いんですが…」
苦痛に歪んだ里崎の表情が、治療をしようと布を解く初芝の顔を曇らせた。
傷口が外気に当たり、小さくうめき声を上げる。
「うむ…結構ひどいね。なんとか応急処置してみるけど」
銃弾によって抉られた部分は小さな範囲ではない。布を取ると再び血が滴り始めた。
グラブ、嵌められるかな。里崎はふと思う。
幸いにも指先の感覚は痺れつつも残っている。そのおかげで激痛がじんじんと響きもしているが。
消毒液が吹き付けられると里崎は全身を振るわせた。体が硬直しながら地面を打つ。
歯を食いしばり声をこらえるが、うめき声が漏れ出るのは抑えきれなどしなかった。

40 :分岐(3/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:52:04 ID:OIAQfc6O0
額に滲む汗が大粒になる頃に処置は終わりを迎え、少しだけ痛みはマシになる。
「終わらせてやるんだ……」
「え?」
包帯を巻く初芝の疑問の声は耳に入らず、里崎は中空を睨み続ける。
眉をしかめ、歯を食いしばり、思わず初芝は寺院の門に立つ仁王像が浮かんだ。
「誰にも誰も殺させねぇ。絶対だ…、終わらせてやる、くそっ……」
今まで一度も見たことのない里崎の激しい怒りの顔がそこにあった。
初芝はしばらくその様子を見つめると、何も言わずに包帯を巻くのを続けた。

 里崎の処置が終わるのを待って、小宮山が咳払いを一つした。
「さて」
皆の注目が集まると、周りを見渡してから小宮山は落ち着いた様子で口を開く。
「どうやらここにいるメンバーは同じような目的を持つようだ」
その言葉に黙って耳を傾ける。ただし表情は誰もが神妙な様子である。
無言の相づちを受け取って更に小宮山は続ける。
「これからの方針を決めたい。まずは情報交換だ。
 まずは俺達から言おう。
 薮田が一度島の外の海へ行ったらしい。従って島外は禁止エリアではない。
 ということで俺達は生き残ったやつ全員での島外脱出を考えている」
「小宮山さん達も」
今江が思わず発した言葉を聞き、小宮山の眉が少し上がる。
「お前達も?」
「ええ、実は俺も浜辺にあったゴムボートで流されて、結果的に島の外に出られたので」
「お前かぁ犯人は!」
薮田と小宮山が同時に叫ぶ。
思わず身を乗り出して迫ってきた二人に、今江が驚いて顔をひきつらせた。
「ゴホン……まあ、いい」
小宮山がすぐに落ち着きを取り戻そうと咳払いをする。
彼はポーカーフェイスが信条である。
体勢を元の落ち着いたたたずまいに戻すと、再び皆も神妙な面持ちに戻った。

41 :分岐(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:52:28 ID:OIAQfc6O0
「というわけで、そのためには二つの問題がある。
 まずは一番の難関だが、残った全員で脱出できる大きさの船を探さなければいけない」
「あ、実はピッタリの船があっちに」
「あるのか!!」
今度は薮田と小宮山と初芝が同時に叫ぶ。
「ええ、修理に出されていた船みたいですが、運営側に見つからなかったみたいで」
「そうか!」
「やったやんか!」
初芝と薮田が立ち上がってハイタッチする。二人の目に、にわかに希望が宿る。
その様子を残りの4人が見つめる。小宮山はまた己が身を乗り出していた事に気づいた。
ポーカーフェイスが信条である。そそくさと体勢を戻しまた咳払いをした。
「そうか、それは好都合だな」
さも平然と言うと、小宮山がしばらく考える。
髭をさすって、どことなく言いにくそうに切り出した。
「もう一つ、この島がどこなのか正確な位置を知ることなんだが……
 お前らもしやそれも分かってたり……しないだろうな?」
「いえ、それはまだ……」
「あ、そうか! うーん、そうだよな、分からんよな。
 一応、北極星の位置からして南の方だと思うんだよ。たぶん沖縄とか小笠原とか」
「すごい! こみやまさん、そんなことがわかるんだ!」
「なーに」
はしゃぐ成瀬に、小宮山は少し目線だけを横にして口の片端を上げる。
表情には、心なしか先ほどより余裕が漂っていた。
「そしたらとりあえず、その船に案内してくれ」

しばらく歩くと、例の倉庫にたどり着いた。
脇の入り口から中に入ると、今江はその船体を懐中電灯で照らす。
「なるほど、これはすごい」
「これなら行けそうですね」
その大きさを確認すると、三人は満足げに頷き合った。
「よし、いいかい。これから僕らがやることは二つだ」

42 :分岐(5/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:52:50 ID:OIAQfc6O0
今度は初芝が、倉庫の窓を背に皆に向き合った。
「一つは、この島がどこにあるのかを調べること。
 もう一つはまだ残っている選手を、一緒に脱出するために連れて来ることだ」
「あの」
今江が手を上げた。
「なんだい?」
「ということは残っている人間を探すってことですか? この島の中を?
 誰がどこにいるのか分からないと、かなり難しいですよ」
「大丈夫」
そう言って初芝が薮田に目配せする。薮田がバッグから四角い機械を取り出した。
その機械にはモニターがついており、画面上に赤い点が光っている。
今江がハッとした顔でそれを見る。彼がそれを見たのは二度目だった。
「これは、運営側の人間が参加者の場所を把握するのに使ってる探知機や。
 お前らの居た所にすんなり来れたのも、これのおかげゆうわけや」
画面の中央に群がるように光る赤い点。薮田はそれを指差す。
「現在地は画面の中心や。今はワイらが集まってるから、対応する点が固まってる。
 ただ……なぜかワイの点だけないんやけど」
「なぜです?」
「分からん。この探知機を手に入れてから気づいたんやけど、そうなっとる。
 生きてる選手だけ表示されてるみたいなんやけど……」
「じゃあ、やぶたさん、ゆうれい!?」
成瀬がそう叫ぶと一同の肩がビクリと跳ねた。そして薮田から心なしか後ずさる。
「生きとるわ! ……おそらく、発信機か何か故障でもあったんと違うか」
荒げた息を胸を抑えながら整えると、薮田は再び落ち着いて話し出す。
「まあワイのことはええ。
 とにかく、これがあれば生き残った仲間がどこにいるか分かるというわけや」
そう言って、薮田は探知機のツマミを捻る。
表示の縮尺が変わり中央の点の集団が小さく、まるで一点のように固まる。
そこから離れたところ、同じ方向に幾つかの点が光っていた。
「この辺に、何人か固まっとるわ」
薮田が指差した瞬間、一つの赤い点が消える。場が色めきたった。

43 :分岐(6/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/14(日) 23:53:15 ID:OIAQfc6O0
「何番や? 今、何番やった!?」
薮田がモニターを確認するが、そこにあったはずの赤い点はもう二度と光らない。
傍にいた初芝が呟く。
「……13番、浅間だ……」
「あさまさん?」
「死んだってのかよ!」
里崎が叫ぶと同時に薮田はモニターを確かめる。
「近くにいるのは29と62。晋吾と……」
「金澤さんです!」
内が言葉を挟む。それを聞いて小宮山が内の方を見た。直感する。金澤だ。
現場の構成を把握したが、しかし全員に拡がった動揺は消えない。
「行きましょう! 何か起こってる」
「そうだ、行かなきゃ」
声が上がる。今江は既に出口に走りより、ドアに手をかけていた。
「行くのはいい。だが、半分だ」
「え?」
声の主、小宮山の方を全員が向いた。
「二手に分かれよう。我々には他にもやることがあるんだ」
「他になんてねえ!」
里崎が叫ぶ。小宮山はすぐににらみ返した。
「冷静になれ!
 この船が運営側のやつらに見つかったらどうする? 誰が守るんだ?
 最後の希望なんだ。万が一を考えて動かないといけない」
「……確かに。それに、大人数じゃ動きも悪くなる」
初芝が相づちを打つ。その場にいる人間全てが焦りの表情を浮かべながらもそこに留まる。
「分かってもらえたなら早くしよう。あ、それから里はここに残れ」
「なんで!?」
「走れねぇだろ、その足じゃ」
椅子に座りながら右ひざを抑えていた里崎が、不満そうにな顔で、しかし黙ってそっぽを向いた。
小宮山は近くにある机の上に置きっぱなしの紙とペンを見つけると、ささっとその上に線を引く。
最後に紙の端を念入りに折って、全員の前に掲げられたのは開始線6本分のあみだくじ。
「さあ、運命の分かれ道だ」

44 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 00:02:20 ID:E3Mj225C0
うわリアルタイムktkr
職人様乙です!
…あの場所に、誰が向かうんだろか。晋吾をどうにかできるのは誰かなぁ
んで成瀬カワイスw

45 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 00:45:05 ID:k4TxZnROO
職人様乙です!

小宮山…(*´д`*)

46 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 01:02:25 ID:fxhQc/H+0
本当に佳境ですな。
開始からずっと読んできたけど、もう足かけ二年。
職人さんたち、本当にお疲れ様です。
最後まで書ききってください!

47 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 01:05:47 ID:7KYM5hzH0
職人様乙です!!薮田さん幽霊マジカワイス。
成瀬にはずっとこのままでいて欲しい。切に思う。

48 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 01:44:18 ID:EoHxY9g8O
職人様乙です!!
あくまでも冷静を装う小宮山カワユス(*´Д`)

49 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 06:44:07 ID:5insD5nzO
職人様乙です!
笑い有り希望有り…しかしまだまだ嫌な展開もありそうな予感
目が離せない…

50 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 08:50:56 ID:hirDyia30
職人様乙です!

最近読み始めたのですが、展開から目が離せなくなりました…
そして、寝る前に読んだら、上記のシーンが夢の中にorz

51 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/15(月) 13:16:56 ID:iwjzZdCmO
職人様乙です。

成瀬テラモエス(*´Д`)wwww

52 :番外 愉快なカモメたち18(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/05/16(火) 00:26:46 ID:p5N+KxKz0
「マーくん、今なんて……?」
「だから、ロッテがホークスを買収するんだって……」
マーくんが携帯電話を握り締めながら、強張った声で話す。
そこへズーちゃんが割り込んでくる。
「ちょ、ちょっと待ってよ、兄ちゃん! おかしいよ、それ。
 だって、一つの会社が二つ以上の球団持っちゃいけないんでしょ?
 ロッテはもうマリーンズっていう立派な球団を持ってるんだから、そんなことできるわけが」
「マリーンズは、消滅するって……」
「はぁ!?」
「ロッテはマリーンズを消滅させて、新しくホークスを買収するんだって。
 それで仙台の新球団を白紙に戻して、1リーグにする計画を進めてるって……ハリーが言ってた」
「選手のみんなはどうなっちゃうの?」
リーンちゃんも尋ねる。
「今のマリーンズの中から、10人だけホークスに移籍させるって」
「そんなの買収じゃなくて吸収合併じゃない! その10人以外の選手はどうなるの?」
「……そこまではハリーも知らないって」
事の重大さに気づいて3羽とも黙り込んでしまった。
「どどどどどうしよう!?」
マーくんが立ち上がり、オロオロと慌て出す。
「マリーンズの球団事務所に聞いてダメなら、ホークスの球団事務所に聞いてみたらどうかなぁ?」
「ズー、おまえ頭いい!」
ズーちゃんの提案に手を叩くと、すかざず携帯電話を握りなおす。
「ダメよ……こんな時間じゃ球団事務所も開いてないわ」
リーンちゃんの言葉に、マーくんはがっくりと肩を落とした。
しばらく考え込んだ後、意を決して再び携帯電話のボタンを押す。
「マーくん、どこにかけるの?」
「……とりあえず、近場の友達には片っ端からかけてみるよ」
呼び出し音を聞きながらマーくんが答えた。

53 :番外 愉快なカモメたち18(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/05/16(火) 00:27:21 ID:p5N+KxKz0
――「あっ、もしもしホッシー? 僕、マーだけど。実はさ……へ? 変なペンギンがハマスタに来たぁ?
 あぁ、そいつこっちにも来たよ。……そうそう、オリオンズ探してるとかって言うヤツでしょ。
 いいよ、そんなのほっといて。それよりハリーから聞いたんだけどさ……うん。あぁ、やっぱそうだよね。
 うん、わかった……ありがとう。えっ、何…? いや、そんなのあり得ないって、大丈夫大丈夫!
 そっちの新監督によろしくね。それじゃ……」
幾分力を落とした声で、マーくんは電話を切る。結果は聞くまでもなかった。
「……やっぱ知らないって」
ズーちゃんもリーンちゃんも、マーくんに続いてため息混じりに肩を落とす。
「でもこんなの、絶対にマリーンズとホークスだけの問題じゃないと思うんだけどなぁ」
マーくんが苛立ちを見せるように頭をかきむしった。
「他には何か言ってなかったの?」
「えーっとね、なんか変なペンギンの話と……あ、あとさ、ホッシーが親会社のマスコットの
 首飛ばしちゃったみたいで、『マーくんも気をつけて』って言われ……」
「きゃぁぁぁあああああああ!」」
マーくんが言い終わらないうちに突然リーンちゃんが悲鳴をあげる。
「くくくく首なんか飛ばないよ! 中の人なんかいないよ!」
ズーちゃんもその後に続くように急に饒舌になった。
2羽の反応にマーくんは思わず首をかしげる。
さっきから、何故かリーンちゃんとズーちゃんが急に慌て出すことがあるのだが、
マーくんにはその理由がよくわからない。
ズーちゃんがやけに急かすので、さっさと次にいくことにした。

54 :番外 愉快なカモメたち18(3/3) ◆vWptZvc5L. :2006/05/16(火) 00:27:54 ID:p5N+KxKz0
――「もしもしジャビット? ちょっと相談したいことが……え? 山本さんが行方不明?
 いや、知らないよ。だってもうウチの人じゃないし。うん、一応気にはかけておくけど……。
 実はさ、さっきハリーから聞いたんだけど、ウチとホークスが……あぁ、やっぱ知らない?」
やっぱりダメかと、電話を切ろうとした瞬間、ある考えがマーくんの頭をよぎった。
「……ねぇ、まさかジャビットのところの元オーナーが絡んでたりしないよね?
 別に疑うわけじゃないけど……ほら、球界再編の話になると、必ずあの人の名前が出てくるからさ。
 いや、いいよ。……うん、ありがと。それじゃあね」
電話を切ると、マーくんは返事の代わりに首を横に振って見せた。
「やっぱりダメね……」
「どうしよう……? 夜も遅くなると、うかつに行動できないし」
「!」
マーくんとリーンちゃんの会話をよそに、ズーちゃんが急に立ち上がった。
何か物音が聞こえた気がしたのだ。
「……ズーちゃん?」
リーンちゃんの呼びかけも無視して、ズーちゃんはドアを開け、廊下へ駆け出す。
キョロキョロとあたりを見回しても目立つのは緑色の非常灯の光だけ。
床に何か不自然な紙切れを見つけて拾い上げた。
(なんだろ、これ? お菓子の包み紙??)
床に落ちていたのは、最中の包み紙だった。
「ズー、どうしたんだ?」
「誰かいたような気がしたんだけど……気のせいかなぁ?」
拾った紙を傍にあったゴミ箱に投げると、ズーちゃんは再びもとの部屋へ戻った。

55 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/16(火) 00:46:49 ID:d60w7ami0
職人様乙です!
最中ってもなかってやっぱり´Д`;

56 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/16(火) 01:18:57 ID:83e1W21o0
職人様乙です!最中…そ、そ(ry
マーくん達も頑張れ!

57 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/16(火) 02:20:50 ID:q8lre8RgO
新作乙です!
最中は最中ですよね…そこに繋がるのか!

58 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/16(火) 07:12:44 ID:v9qmHLYvO
職人様乙です!
最中でつながるのか…頑張れマーくん達

59 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/17(水) 00:29:06 ID:Kv1zW1MPO
マリーンズの運命はマーくん達にかかっている!

…かもしれない。
職人様乙です!

60 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/17(水) 02:30:18 ID:JabsuY9pO
>>60なら小坂がロッテに戻って来る。

61 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/17(水) 21:21:43 ID:kVHlCuZL0
ho

62 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/18(木) 01:18:57 ID:KiSd8lQT0
保守。
小坂は腰痛で大変なことになってるよ… orz

63 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/18(木) 22:59:29 ID:xjff966j0
保守の変わりに、丸めた最中の包み置いておきますね
   
   .ζγ~λ   
 ζ~ν~~ヽ ~ヽ
 (~ヽ〜√~~γジ
  ゛ヽj_,ζ~,_λノ


64 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/19(金) 09:36:04 ID:iHGq9ieQO
最中の包み紙w

65 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/19(金) 16:06:53 ID:JwMMELnU0
age

66 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/20(土) 00:05:17 ID:oqBs0ugzO


67 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/20(土) 10:43:58 ID:PbPAO4ZkO
成瀬初勝利おめー。
ここ見てからすごく気になる選手になったよw

そう言えば職人さんの中にTMNとか好きな方がいるみたいでちょっと嬉しい。
個人的にはhumansystemの歌詞がマリバトに重なる気ガス。

68 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/20(土) 16:08:16 ID:rlqksdtkO
捕手。
T.M.Revolutionもあるよな。ignitedとかあるし。

69 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/20(土) 16:22:53 ID:L8addPDv0
中島みゆきに関してはとっくにツッコミ済み?
タイトルだけじゃなくて歌詞がそのまんま本文に出て来て
我に返ってしまった・・・

70 :三巴(1/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:22:12 ID:vzYSpp8l0
 走る。樹木と茂みをかいくぐり、行く先は銃声の聞こえた方向だった。
不要な戦闘ならば撤退もする。それは自分にとっての必要な戦いに向かうためだ。
あと3人の外野手。そしてリスト入りの人間、全てに対するのが自分の戦いだ。
平下晃司は俊足を駆る。振り返るが、代田建紀は追ってきていないようだった。
銃声が断続的にこだました。
「近いな」
その場所に誰がいるかは知らないが、今はどうでもいいことだ。
そこに着いて殺すべき人間がいるかはその時にわかることだから。
重要なのは何度も響く銃声。それは誰かが命を賭して戦っていることに他ならない。
その間隙、意図せぬ相手からの攻撃を人は簡単に喰らうだろう。
俺はこっそり近づいて、鴫と蛤を狩ればいい。それが古くからの理だ。
 銃声が止んだ。同時に平下は歩調を緩める。
足音の響かぬように、しかし小刻みに速いテンポで茂みをかいくぐっていく。
足が止まる。遠くで人の声がした。かすれるような叫び声。
頭を少し下げ、視線をゆっくりと右から左に滑らす。
見えるのは木と木と闇。月の光の差し込まぬところは何も見えない。
どこまで行っても同じ風景のようで一瞬だけ目まいを覚える。
草の匂いが地面から沸き上がってきた。この林には風が流れていない。
荒くなった呼吸がその匂いにむせるようで、平下は口で大きく深呼吸を繰り返した。
耳を、澄ます。
「…………明……おまえ………かよっ!?」
右斜め前方だ。はっきりと聞こえた。
自身の顔がニヤついたのに平下は気づいただろうか。
アキラ。その名前で呼ばれる男を、平下は一人しか知らない。
「大塚か」
平下は一目散に駆け出した。

 「離せ……。明、離せよてめぇっ!!」
小野晋吾は左手で大塚明の顔を強く押し込む。
体にしがみつかれ、そこにあるチェーンソーまで手が届かない。
だからその邪魔者は本当に疎ましく、そして死んでしまえばいいとすら思う。

71 :三巴(2/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:23:59 ID:vzYSpp8l0
いつも余裕をかましていたその顔が懇願するようなものに変わっている。
こんな時だけ下手になって、思い通りにさせないその男が余計に憎くてたまらなくなった。
「…やめろっ、やめろっ」
大塚は腕を解かない。顔に肘が食い込むが、それでも服を掴む両手を離すつもりはなかった。
これ以上、目の前の男が狂ってゆく姿を見たくなかったから。
狂う? 違う、苦しんでいるだけだ。きっとまた、元のあいつに戻れるはずだ。
そう自問自答して、だからどんなにその…そのかけがえのない親友が拒んでも止めてみせる。
もうあの時のように、互いに分かり合えないまま渡辺俊介を手にかけたときのようにはしたくなかった。

 西岡剛が半ば放心状態から我に返りつつあったとき、取っ組み合う二人が同時に倒れこんだ。
行かなくては。状況ならとっくに把握している。
小野が自分を憎んでいて、そこにあるチェーンソーを手に収めようと足掻いている。
殺されたくない。そう思えば、体は動く。
それを思わず自分勝手と自分が罵る。それに驚いて、同時に納得もしている。
何人手にかけた。だがそれは他人を蹴落とそうとする自分の中での最低な奴らを手にかけただけ。
そう、自分は闘いを無理に望まない者とは共に歩くし、最初から何も変わっていない。
だから金澤だって――とても辛そうだったのもあったけれど――裁かざるをなかったのだ。
裁く? お前みたいな小物が偉そうに、それが自分勝手な思い上がりと違うんか。
その言葉をかき消す。迷ってるなんて自分の中ではカッコ悪いことの一番だ。迷う前に動け。
でも、だとしたら、目の前の小野晋吾はどうすればいい?
大塚が必死で彼を止めようとしているけど、自分には狂ってしまった彼が正気に戻るとは思えない。
考えるのは後にすることにする。今は、小野の目的のチェーンソーを遠ざけることが先決か。
そうすれば大塚がなんとかしてくれるかも、ってこんな時だけ他力本願かい。
やれやれと思いつつ立ち上がり、大塚と小野の方を見やる。
 西岡の背中が凍りつく。その先、錆びたワゴン車の向こう、茂みの中に見えるあれはなんだ。
できるだけ速く飛び出せ。牽制で戻るときも、とにかく体が動くまでのコンマ何秒が勝負だ。
茂みの向こうに見える、隙間からかすかに見えるのは突き出た腕と拳銃だ。

72 :三巴(3/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:24:50 ID:vzYSpp8l0
飛び上がり浮いた体を横にしながら足を突き出す。その先は大塚と小野。
勢いのまま足先から体をぶつける、二人の体が転がる。
幾つもの銃声と地面に撥ねる木切れ。その現象はほぼ同時で、狙いは全て外れたかに見えた。
左ふくらはぎにかすかに痺れ。だがそれは気にせずにすぐさま起き上がる。
「誰やあああ!」
銃を立て続けに発射する。見えていた腕と銃は既に消えていた。
左ふくらはぎの真ん中に痛みが走る。そしてその後に熱さが昇ってくる。
今頃何だ、そう思ってちらりと見ればそこだけユニフォームがめくれ肉が僅かにこそぎとられた。
やられた。だが、走ることはできる。西岡はそう考えると立ち上がって更に銃弾を放つ。
そこにはもう何の気配もせず、西岡は舌打ちをした。

 一つだけ予想と違ったことがある。思っていたより人が多い。
たどり着き物陰からそこを見れば、自分のしたのに負けず劣らず凄惨な現場だ。
取っ組み合い片方が相手を罵りあう二人。その向こうでは、二人分の抜け殻の前で放心する一人。
醜いもんだ。平下は顔だけで嘲り笑う。
そしてそんな状況だからこそ、近くで組み合う二人の隙だらけなことこの上ない。
大塚、小野、西岡。外野手とリストの人間しかいない。
迷う必要すらなく、平下は自分はツイていると心底思った。その幸運に昂ぶる。
素晴らしい、素晴らしいな。繰り返すうちに頭の中は自分の応援歌がリピートされた。
皆殺しだ。俯いたままの西岡は後にし、とりあえずは手前の二人をまとめて撃つ。
隙間から腕を出す。狙いを定め、後は引き金を引くだけのはずだった。

「西岡、なんだ!?」
「誰か狙ってきた! 気ぃつけて!」
中腰で周囲を見回す大塚だったが、誰の気配も感じない。
だが背を向ける西岡の左足を見れば、ズボンに広がる血の染みが今起こったことを雄弁に語る。
「怪我は?」
ゆっくりと立ち上がりながら、大塚は西岡と反対の方を向く。
「大したもんやないです」
「そうか、すまん」
その銃痕の主はいない。いや、見えない。

73 :三巴(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:25:22 ID:vzYSpp8l0
潜んでいるのは暗い茂みの中、今はただ動きを止めてこちらの隙を窺っているはずだ。
どう、切り抜ける。

 口を手で抑えながら呼吸の音を隠す。話し声が聞こえるぐらいの近距離だ。
誤算だったのは西岡が直前に気づいたこと。そして一瞬でのスライディング。
やっかいなことに狙いが全て外された。致命傷が一つもないのが最大の誤算だ。
平下は下唇を噛む。初撃を外せば、不意打ちはもはや対等になる。
いや、二対一とすればむしろ自分が不利。今は動くことは出来ない。
それでも、平下は焦っているわけではない。
まだもう一つ、必ず起こる。奴らには必ず隙が出来ることを確信しているからだ。
それを見越して、ここへ現れたのだ。平下をは息を潜める。

 しばしの沈黙を破ったのは、けたたましいエンジン音。
西岡と大塚が同時に銃弾の来た方と逆を向く。そして同時にしまったと心の中で叫んだ。
「死ねよ……お前ら……」
うつろな目だったけど、泣いているように見えた。それを手にして、彼の思いは加速する。
チェンソーの刃が回転し、振動が彼の体を揺らす。
それを左手と添えるだけの右手で支え、小野は倒れこむように体重を前に倒した。
「晋吾…頼む、止めてくれ」
大塚の声など聞こえないかのように、前につんのめりながら小野が駆け込んでくる。
地面に垂らすように刃が下を向くチェーンソーが、滑るように横手投げの格好で二人に迫る。
自分の脚を切りやしないか、避ける間に西岡はふとそんなことを考えた。
大塚と西岡がその軌道から体を退けると、チェーンソーは空中を薙いで小野を引っ張る。
遠心力のついたチェーンソーに振られ小野の体は横に投げられる。ふらつく小野の足が絡む。
「危ない!」
回転する刃に向かうように倒れる小野、大塚はそこに駆け寄り手を伸ばす。
小野の体をを掴んで引き寄せようとしただけだ。
なのに、その時の小野は近寄る大塚を怯えと憎しみの混ざった顔で睨みつけるのだ。
その顔が目に焼きついて、そして大塚は体が一瞬浮いた気がした。
「ほらな、隙ができた」
その声は誰にも聞こえない小さな声。平下の呟きは思わず出たものだ。

74 :三巴(5/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:26:00 ID:vzYSpp8l0
大塚の傷ついたわき腹に走った衝撃は、一瞬で全身の筋肉を硬直させる。
目がカッと開いて、大塚はバランスを崩しながら地面に頭から突っ込んだ。
西岡が反射的に逆方向を見る。今度は顔が見えて、一瞬で後ろを振り返り向こうに消える。
うっすら笑っていた、その顔は間違いない。
「平下!」
追う事も出来た。やつの消えた方を追いかければこちらの方が速い。
しかし振り返ると、持ち手を失い地面に踊るチェーンソー。
倒れこんだ小野が起き上がると、すぐさまそれを手に取ろうとする。
その途中で少し振り返ると大塚と西岡を舐めるように見た。その視線に一片の暖かみも感じない。
西岡は銃を構えようとしたが、視界に入った大塚の姿に腕が止まる。
「くそっ! 大塚さん、起きや!」
大塚の体を揺すると、うめき声を上げながら仰向けに寝返りを打った大塚の目が開く。
顔中が土に汚れて、擦り傷に砂がついていた。
大塚がいきなり目を見開き、跳ね上がるように体を起こした。
「ぐああぁああ」
わき腹を抑え体を縮める大塚だったが、すぐに顔を上げる。
泥だらけの顔が歪んで土がぱらぱらと落ちていった。
西岡はその大塚の肩を力づくで引っ張ると、促されて立ち上がる。
「逃げよう。ここにいたら殺られてまう」
大塚が小野の方を振り返る。それを無理矢理引き戻すように腕を更に引っ張る。
「今は無理。分かれや!」
「けどな!」
小野は地面で撥ね続けるチェーンソーをなかなか掴めない。
転んだ時、左手まで少し痛めたらしく、掴みかけては握りきれない。
「自分を殺す言うやつに、何を気ぃかけてん!」
西岡がもう一度腕を引っ張り、汗を額に滲ませながら叫んだ。
苦悶の表情で、大塚は走り出す。更に深く傷ついたわき腹の痛みが走りを鈍らせる。
しかし体のバランスを崩しながら、何とか西岡の後についていく。

 「くそっ」
小野がチェーンソーを持つのを諦めた時、既にそこには大塚と西岡の姿はない。

75 :三巴(5/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:28:10 ID:vzYSpp8l0
ただそれだけに意識が集中していて、去ったことに気づかなかった。
「なんだ……あいつら……逃がさねぇ」
ふらつく足取りで、おそらく行ったと思われる方向に走り出す。
走り出したつもりだが、しかしそれは歩くようなスピードであった。
自分の体を呪う。血なんぞやるんじゃなかった。口惜しさは悪態となって口を突いて出た。
と、目の前の茂みから人影が現れる。
「そんなんで追いつけますかね?」
「平下……あれはてめぇか」
距離を取りつつ、小野晋吾の最大速に合わせる様に後ろ向きに歩いていく。
小野は追いつこうとしたが、その度にからかうように距離を離される。
「てめぇ、殺すぞ」
「うるせぇな、くたばり損ないが。今、殺すか?」
「やってみろよ」
その言葉に平下は銃をゆっくり小野の前に掲げる。
小野が一瞬眉をしかめた。しかし恐怖などないかのように、眼は座ったままだった。
「あんたの利用価値が分かったから、もう少し生かしてやるよ。
 西岡と大塚は向こうだ。さ、急ぎなよ」
そう言い放つと平下は振り返り、あっという間に茂みをかき分けて林の中に消えていった。
西岡と大塚のいると言う方向とは少し違う方向だ。
小野は舌打ちをして、しばし考え込む。だがそれは数秒だった。
一番殺したい相手。それを自分から奪った、あいつしかいない。
小野は方向を変えない。追うのは、西岡だ。そしてそれを邪魔するなら、誰だってもう同じだ。
もう何人殺しても、誰を殺しても、それが例え親友でも、躊躇うような自分ではない。
殺してしまえる。小野はたどたどしい走りで、前に進んでいく。

 怪我人に容赦ないスピードだ。文句を言うにも痛過ぎて声が出ないが。
必死で西岡の後についてく道すがら、大塚は後ろをまた振り向いた。
小野は後を追ってきている様子はない。小刻みな呼吸に混じって一つため息をする。
そのため息が、どんな気持ちで出たのか自分でもよく分からない。
安堵のようでもあったし、何もできない悔しさを押し殺すようでもあったし。
ただ大塚にできるのは、小野の身を案じることばかりだった。

76 : ◆QkRJTXcpFI :2006/05/21(日) 02:28:53 ID:vzYSpp8l0
>>75は6/6 です

77 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/21(日) 02:47:11 ID:N0ahN9lx0
乙です。
西岡、大塚頼むから生き延びてくれ。

78 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/21(日) 02:50:01 ID:tsWFhuq7O
平下のゲームの骨を理解した上でのマーダーっぷりが良い。
野球の実力・立場・年齢からして一番微妙で苦しい選手だから話にのめり込める。

79 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/21(日) 10:45:53 ID:zNR8ClAL0
うわぁぁぁ、晋吾の狂いっぷりが凄すぎる。読んでて苦しいよ…
職人さん、乙です。

80 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/21(日) 14:08:56 ID:2O3TnYS8O
新作乙です。
もうラストが見えてるのに…スンちゃんとマーくん、急げー!

81 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/21(日) 21:11:33 ID:tsWFhuq7O
今ごろSさんと絡み出す彼等に何が出来るのだw?

82 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/22(月) 04:00:48 ID:yKjVN36aO
大塚も晋吾も、そして西岡も、どうかどうか無事で仲間の元に帰って…

83 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/22(月) 10:05:19 ID:JohZOU5l0
ベテラン2人がどうなるのか、激しく気になる今日この頃。

84 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/22(月) 23:36:57 ID:zDCj+8SvO
成瀬が気になる

85 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/23(火) 05:18:14 ID:aNy5qVu9O
初様は成瀬を庇って死にかねないな…逆もありそう。

86 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/23(火) 20:34:57 ID:REd7M0Op0
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
パスクチ氏ね!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!
さっさと2軍逝け!!!
打率1割で三振ばっかりのゴミめ!!!

87 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/24(水) 03:03:29 ID:H04/ukJJO
保守

88 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/24(水) 11:56:02 ID:4FlSWdvs0
里崎 橋本 田中

89 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/24(水) 21:28:41 ID:qjNcLlkv0
  |   /  / |_|/|/|/|/|勝った〜ぁ♪勝った〜ぁ♪また勝った〜ぁ♪
  |  /  /  |神|/ // /∧_∧    ∧_∧    ∧_∧
  |/  /.  _.| ̄|/|/|/ (・∀・ ∩ ∩・∀・ )   (・∀・ ∩
/|\/  / /  |/ /   ( つ  ノ  ヽ  と )   ( つ  ノ
/|    / /  /ヽ      ( ヽ ノ    (⌒)  (     ) (_)
  |   | ̄|  | |ヽ/|      し(_)     ̄(__)    (__) 
  |   |  |/| |__|/ よーわいシャブッテにまた勝った〜ぁ♪
  |   |/|  |/   ∧_∧    ∧_∧    ∧_∧
  |   |  |/    (・∀・ ∩ ∩・∀・ )   (・∀・ ∩
  |   |/       ( つ  ノ  ヽ  と )   ( つ  ノ
  |  /         ( ヽ ノ    (⌒)  (     ) (_)
  |/          し(_)     ̄(__)    (__)

90 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/24(水) 22:26:32 ID:9AxgVXY40
サブローとパスクチみたいなゴミが一軍にいると使える代打がいなくなる。
マジで消えてほしい。

91 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/24(水) 23:02:16 ID:9dvJCw0r0
さげ。

92 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/25(木) 03:49:09 ID:Hqz8rfOz0
f

93 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/25(木) 08:10:31 ID:UdCcgAn/O
sage。

94 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/25(木) 21:49:27 ID:KAL+S4LK0
里崎3ランあげ。
バトの里崎は、どうなるんだろう…

95 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 00:55:00 ID:P9s1aPka0
パスクチとサブローはまた無安打だったなw
パスクチ=打率「.185」←普通のチームなら即刻2軍落ちww
サブロー=打率「.165」←こんな成績でスタメン起用されるのは明らかに特別扱い

パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない
パスクチ・サブローみたいな打率1割のゴミがいつまでも一軍にいるから打線が活性化しない

96 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 07:20:31 ID:/oWjWGliO


97 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 13:11:19 ID:EY1DtpLN0


98 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 13:31:59 ID:wB8mzphi0


99 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 22:05:39 ID:wDMG0LE40


100 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/26(金) 22:45:05 ID:7d74g+NhO


101 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/27(土) 00:06:07 ID:nCHLZw1oO


102 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/27(土) 00:37:59 ID:p2IiODISO


103 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/28(日) 01:41:47 ID:gmghZg9zO


104 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/28(日) 01:47:39 ID:vxFG+diY0


105 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/28(日) 03:23:18 ID:DWeIlJLGO


106 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/28(日) 22:47:48 ID:GtxtcYLkO
(゚д゚)

107 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/29(月) 00:41:17 ID:h8tSumK20
里崎&橋本

108 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/29(月) 15:57:06 ID:eo/jgJVO0


109 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/29(月) 22:29:00 ID:PsExNIDk0


110 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/29(月) 23:15:39 ID:0ukO+rjt0


111 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/29(月) 23:21:26 ID:pJw0jBWw0


112 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 00:13:30 ID:Gs8pvcFVO


113 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 00:43:40 ID:SHZnO4HV0


114 :番外 李承■と愉快な同士たち31(1/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:47:26 ID:HdONuZ6k0
 ダン・セラフィニの長い手足が次々とベニー・アグバヤニを襲う。
矢継ぎ早に高速で、そしてあらゆる角度から襲うそれにベニーはただ身を固くするばかり。
むき出しの両腕が腫れ上がり、赤紫色へと変わり始めた。
攻撃が当たる度にベニーの口から苦しそうな声が漏れる。
「ほらハワイアン、動けねぇのかよっ!? 肉のつけ過ぎか、このピザ野郎!」
自分をあざけり笑うセラフィニの顔をちらりと見て、しかしベニーは更に体を固くする。
巨体を両腕で隠し、あるいはセラフィニの攻撃をダメージの少ない部分で受けながら。
ベニーはまだ、パンチ一つも反撃をしていなかった。
「オー、ヤリチン!」
「そうよ! ベニーさん、このままでは!」
叫ぶマット・フランコと谷保恵美の声が聞こえたのだろうか、ベニーの肩が反応する。
しかしすぐに、セラフィニの鎌のようなハイキックが彼の側頭部を刈ろうと飛んでくる。
「ふおっ!」
頭を横に振りながらなんとかそれを避け、ベニーは一・二歩後ずさる。
それをセラフィニは逃さない。更に突進し膝を突き出す、ベニーはそれを両腕で受ける。
次に右フックがガードの隙間をかいくぐる。こめかみに当たり頭が振られる。
ベニーの目線が一瞬はずれた、その刹那、セラフィニの左拳がベニーの頬を貫いた。
「ああっ!」
巨体はしばらく揺れて、そしてゆっくりと重力に膝が折られる。
ベニーの目は焦点が定まらず、前のめりに頭が落ちていく。
その瞬間、セラフィニは勝ちを確信する。だからベニーの右手が自分の右腕を掴んだのに気づかなかった。
それは薄れゆく意識の中でベニーが倒れまいとしたのか、単なる偶然か。
セラフィニの右腕の生地を右手が掴み、一瞬ベニーの体の倒れるスピードが和らいだ。
「ん? しつこい野郎だな!」
それをセラフィニは乱暴に引き剥がした。が、ベニーの右手はしっかりとユニフォームを掴んだままだ。
布の破れる音がした。今度は仰向けに倒れるベニーの右手に、握られるのは破れた生地。
ベニーはマットに倒れ込み、うずくまっているだけだ。完全に無防備な状態だった。
「ベニー!!」
勝ち誇ったセラフィニが右腕の生地の破れた箇所を見たとき、そこから彼を見るものがあった。

115 :番外 李承■と愉快な同士たち31(2/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:47:49 ID:HdONuZ6k0
それは彼の右腕に彫られたタトゥー。
ミッキーマウスとドクロの柄を見たとき、セラフィニは目まいを覚えたように頭を抱える。
「俺は……」
セラフィニの足がふらつく。うずくまるベニーに止めを刺すことなく、たどたどしく歩く。
右腕のタトゥーから目が離せない。何度も頭を振っている。

その様子を谷保とフランコがいぶかしげに見ていた。
「どうしたのかしら?」
「オー、ヤリチン」(訳:聞いたことがある。
 サーフの腕のタトゥーは彼の家族が増えた記念に彫っているんだって。
 だからあのタトゥーは彼と家族との絆なんだ)

「くそ……俺は、なんだ……」
セラフィニがマットに膝をつく。目の前にちらつくのは家族の顔。
そして、その家族のために自分は何をしてきたか。
「お前、ベースボールプレイヤーだ、サーフ」
正面から声がしてセラフィニは顔を上げる。顔を腫らし口から血を流すベニー。
のそりとその巨体が起き上がり始めていた。
「てめぇ……」
「まだ、終わってない、来い!」
セラフィニは立ち上がる。まだ中腰のベニーを見下ろし、顔を紅くしながら叫ぶ。
「俺は守らなくちゃいけねぇんだ」
「ファミリー、か」
「そうだ。そのために俺はこの腕一本で世界を渡ってきた。俺の力を信じてな。
 だからこそ負けられねぇ。絶対に舐められるわけにはいかねぇ。
 あのパナマ野郎にも、てめぇにもな!」
セラフィニが駆け出し、そして跳ぶ。高く飛び上がった。
ベニーを見下ろす。体を前のめりに倒しながら、体を後ろに反らす。
それがベニーに触れそうな瞬間、溜めた体のバネを一気に前に開放する。膝がベニーに突き刺さる。
「死ねええっ!」
一際に鈍い音が場内に響く。空中でセラフィニは一瞬止まり、そして青ざめる。

116 :番外 李承■と愉快な同士たち31(3/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:48:11 ID:HdONuZ6k0
突き出された膝をベニーの左手が掴む。左肩と肘の関節がうめきを上げた。
しかしベニーは歯を食いしばり、その左ひざを掴み続ける。
長身のセラフィニの体がそのまま宙に浮いていた。
「てめぇ……離せっ……」
「サーフ、お前、家族のため。強い、折れない、心。
 尊い、でも……」
ベニーの左手が更に左膝を握り締める。セラフィニがその痛みに悲鳴を上げた。
その時既に、ベニーの体は右腕を弓のように後ろに引く。
セラフィニの左膝が左手から離れると同時、ベニーの右拳はセラフィニの腹に突き進む。
ハワイアンパンチ、そう叫んだ次の瞬間には、セラフィニの体はロープまで吹っ飛んでいた。
重力のままにマットに叩きつけられ、ロープにもたれるようにセラフィニはうなだれる。
口から血の混じった吐しゃ物を吐き出し、ベニーの姿をうつろな目で見ている。
「俺達の言葉、拳、違う。ベースボール、あるべき」
ベニーがそう言い終わると同時に、セラフィニは白目を向いて意識を失った。

117 :番外 李承■と愉快な同士たち32(1/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:48:39 ID:HdONuZ6k0
『勝負あり。勝者ベニー・アグバヤニ』
セラフィニが担架で運ばれるのを見つめながら、ベニーはふらふらと檻に戻る。
「ベニーさん」
「オー、ヤリチン!」
傷だらけのベニーに声をかける。ベニーは二人を見て、済まなそうに言う。
「俺、時間、かせげなかった。すまない……」
倒れこむように檻の中に入ると、ベニーはあっという間に気を失った。

「ふん、セラフィニはやられたか。しかし今の勝負はなかなか見ごたえがあった。
 これなら老もお喜びになったのではないか」
「それならば幸いですが」
モニターの前でほくそ笑む瀬戸山隆三の後ろで、松本尚樹がボソリと喋った。
「なんか言ったかね?」
「いえ」
「それなら早く三人目の洗脳資料を探しなさい。次の勝負を始めなくては」
それを聞いて松本の顔が一変する。拾った分の書類を落としかけて、なんとか手に戻す。
「次と言いますと……、やはり谷保さんを?」
「私は約束を破らない男だ。ふふん、最後に一方的ななぶり殺しというのも悪くないだろう」

『では第三試合に参ります。まずは、谷保恵美!』
谷保の檻の格子が下がる。谷保は一瞬それに驚いて後ろに下がる。
しかし、意を決したように頷くと前に歩き出した。
「オー、ヤリチン!」
「皆さんが戦ったんです。私だけ逃げるわけにはいきませんもの」
谷保は笑っていたが、その膝は震えていてなかなかリングに上がることが出来ない。
リングに上がると、膝の震えは一層激しくなった。
『怖いようだね、谷保君』
「早く始めたらいかがです?」
精一杯の虚勢。そう、どんな時にも冷静な声は冷静な表情から。
どんなピンチも、どんなチャンスでも、その気持ちを押さえつけるのがウグイス嬢の務めだ。
そう思うと、不思議と膝の震えまで止まった。

118 :番外 李承■と愉快な同士たち32(2/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:49:00 ID:HdONuZ6k0
『ならば始めましょう。三人目の対戦相手は、彼です』
奥のドアが開く。ゆっくりと、逞しい体のシルエットが見える。
軽快な足取りで、全速力でダッシュしてくる。
その走り方には覚えがあった。何度も目の前で、投げ終わるごとに見たのだから。
ユニフォームは巨人、そして胸の番号は42。
「なんてこと…あなたまで」
ロープをこともなげにピョンと飛び越える。
そして何年も見慣れていたいつものまま、腕をグルングルンと回し始める。
『ブライアン・シコースキー! さあ、戦いなさい』

腕をグルングルンと回しながら、シコースキーが谷保に近づく。
あの愛くるしい笑顔が嘘のように、無表情のシコースキー。
ハッと気づくと谷保の背中はロープについている。知らないうちに、そこまで後退していた。
心と体は別物なのか。足が再び震えだした。
「ブライアン、やめて」
シコースキーが近づく。今にも手の届きそうな距離。
谷保はもはや動くことが出来ない。シコースキーがいきなり飛び掛った。
しまった、と思った瞬間に谷保は目をつぶる。もうおしまいだと思った。
『なにっ!?』
瀬戸山の声が響く。不思議なことに谷保の体はなんともない。何かが触れた感触すらなかった。
誰かの叫び声が聞こえる。その方向を谷保は振り返った。
兵士が一人、二人、シコースキーの体当たりで吹き飛ばされる。
そしてリーダーらしき男にまで飛び掛ると、首をつかんで羽交い絞めにしてのけた。
「全員の檻を空けろ!」
奪った銃をリーダーの兵士に突きつけると、シコースキーは引き金に手をかけた。
残った兵士は動くことが出来ない。リーダーは命乞いをしながら、機械を操作する。
檻の格子が全て下り、ベニーやフランコ、それにミンチーが驚いた様子で出てくる。
「行こう! ここから逃げるんだ!」
促されるようにシコースキーの後ろに皆が隠れると、そのまま入ってきたドアへと向かう。

119 :番外 李承■と愉快な同士たち32(3/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:49:19 ID:HdONuZ6k0
 その様子を瀬戸山は唖然として見つめていた。そしてハッと顔つきが変わる。
『何をしている! そんな人質なんていい! 撃たんかあっ!』
命乞いする兵士に構わず、残された兵士達は一斉に射撃を開始する。
しかし既にドアの付近にいたシコースキー達は、すんでのところでその向こうへ消えた。
後に残ったのは、体中を撃たれながら命乞いを続けるリーダーだった兵士だけであった。
『追えい! 逃がすな!』
瀬戸山の声に反応して兵士達も一斉にドアへ駆け込んだ。

「どうなってるんだ! シコースキーは洗脳されていたのではないのか!」
頭をかきむしりながら叫ぶ瀬戸山。顔を真っ赤にし青筋を浮き立たせている。
その光景を眺めながら、松本は手元の書類の中の一枚の紙に目を落とした。

――シコースキーの洗脳記録。
私の用いる洗脳は前述の通り人間の"悪い心"を増幅し方向性を操作することで成り立つ。
このシコースキーという男は、しかしながら、ロッテに対する恨みが微塵も無いようだ。
いや、それどころか人に対する恨みや憎しみといった"悪い心"がほとんどないのだ。
ナイスガイ過ぎて洗脳は不可能ということだ。だから全く操り人形には使えない。

「松本! シコースキーの洗脳記録はどうなってる!?」
瀬戸山が叫ぶ。松本はそちらを向き、静かに口を開く。
「まだ、見つかりません」
「グズが! もういい!」
そして瀬戸山は再びモニターに向かいながら何か指示を出し始める。

 廊下を後ろから兵士達が追ってくる。
最後尾のミンチーが、曲がり角で威嚇射撃をしてはそれを足止めする。
先頭ではシコースキーが道の先に誰もいないのを確認し、こっちに来いと促す。
谷保を抱えたフランコとベニーが後に続く。
 シコースキーは、牢屋の中でのことを思い出していた。
いきなり眠らされ捕まえられて、気づけば牢屋のような壁に囲まれた部屋。
しばらくして現れたのはロッテ監督のボビー・バレンタインだった。

120 :番外 李承■と愉快な同士たち32(4/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/30(火) 00:49:37 ID:HdONuZ6k0
仕切りにロッテを恨んでいるかなどの質問をする彼だったが、全然そんなことはないと答える。
何度か似たような質問をされて、しばらくすると彼は自分の顔を覗き込み首を振った。
そしてまた牢屋に戻された。わけがわからないままだった。
ずっとそこにいると、松本尚樹がやってくる。見知った顔だった。
一部始終を聞き心がとても痛くなった。とても悲しい気持ちになった。
だから松本からの頼みを聞いたとき、迷う気にすらならなかった。

 廊下を走るさなか、フランコが話しかけてきた。
「オー、ヤリチン」
「ブライアンでいいよ」
「オー、ヤリチン?」
「そう、去年までロッテにいて、今は巨人の選手だ」
「オー、ヤリチン…」
フランコが済まなそうに言う。
それを見るとシコースキーは困った顔をした。
「そんなこと言わないでくれ。
 例えチームは離れても、僕はマリーンズを愛しているよ」
「ブライアン、ありがとう」
フランコに抱えられた谷保が目に涙を潤ませていた。
シコースキーは彼女を見て、右拳を小さく突き上げニコリと笑う。
「スカウトの松本が味方になってくれた。
 僕らはこれからあるところへ向かう。そしてこのゲームを止めるのさ」
「オー、ヤリチン?」
「僕らが騒ぎを起こす間に、松本がゲームのシステムをこっそり停止させる作戦なんだ」
「わかった。それで、俺達、どこ行く?」
「ゲームをコントロールしている場所。管制室さ」

「やつらめ!どこへ逃げる気か知らないが、逃がさんぞ!」
瀬戸山がモニターに向かって叫んだ。その背中を松本が見つめる。
(彼らは逃げているんじゃないさ。スンヨプ達のどちらか、成功してくれよ……)
管制室から一本の緊急連絡が入ったのは、そのときだった。

121 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 00:59:00 ID:+XS144zZ0
職人様乙で―-(゚∀゚)――す!
シコタンナイスガイww

122 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 01:02:03 ID:4Ju+7M38O
新作キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
ナイスガイだぜシコ!

123 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 01:08:26 ID:OnSrjljl0
シコタンかっこよすぎるwww

124 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 01:13:21 ID:iTVyLpC+0
シコタンキタ━━━[`,〜,´]━━━!!!!!
かっこいいぜ!!

125 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 01:23:47 ID:NHTXYQKX0
シコタソカコイイ!そして紅たん強い…惚れた。

126 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 07:27:35 ID:ETIIaEwNO
職人様乙です!
シコタンナイスガイすぎる(*´Д`)

127 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/30(火) 20:04:00 ID:5TVZBQfL0
紅たんカコイイよ紅たん!!
そしてここでシコタン…!!何故だろう、眼から汗が…(´;ω;`)

それにしても、ウグイス嬢さんまで登場するロワは野球板広しといえども
ここだけだよなw

128 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 00:10:52 ID:k0xe1aoe0
まぁあれほど特徴のあるウグイス嬢も
そういないからなw
「サ〜ブロ〜」は一度聞いたら忘れられない。

129 :番外 李承■と愉快な同士たち33(1/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/31(水) 02:18:50 ID:sQNJqJSS0
〔丶`J´〕ノ○<オッス、ユルラン!李承■デス。

 そこへ向かう途中、不思議なことに廊下には兵士が誰もいませんでシタ。
おかげで無闇に敵と衝突することなく、目的の場所へ進むことが出来ましたガ。
両手を後ろ手に縛られた重光サンを先頭に、私と覆面の彼が続きまス。
「貴様ら、私をどこへ連れて行くつもりだ」
「今に分かる」
更に廊下を歩き、階段を昇り、更に歩いていきまス。
途中で重光サンがハッと息を洩らしましタ。
「そうか……管制室へ向かっているのか。
 私を人質に取り、このゲームを終了させるつもりか……無駄なことを」
「何? お前はこの計画の指揮者じゃろう?」
「お前達は分かっていない。私を人質に取っても止めることは出来ない」
「どういうことじゃ!?」
覆面の彼が重光サンの前に立ち、彼を睨みましタ。
重光サンはどこか冷めたような目で、その様子を鼻で笑いましタ。
「このゲームの骨子である禁止エリア・選手位置の照合と、爆破命令システム。
 これは一度動き出したら最後、途中での停止命令は受け付けない。
 停止するのは全日程が終了した時か、10人の生き残りが確定した時だけだ」
「嘘…じゃないじゃろうな」
「私が指示を出して作ったのだ。
 不心得物がいきなり仏心でも出して停止させたりできないようにな。
 分かったか。管制室に行っても構わないが、徒労だよ」
「それでも私達はこのゲームを止めます」
「はっ、どうやって」
「信頼できる人物が、それを止めるために授けてくれた秘策があるから。
 私達の武器は、信じることです」
重光サンの表情が変わりまス。いぶかしげに私を見ていましタ。
手をポケットに入れると松本から受け取ったCDが触れ、私は祈りましタ。

 しばらくして、『管制室』と書かれた大きなドアの前に私達は到着しました。

130 :番外 李承■と愉快な同士たち33(2/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/31(水) 02:19:12 ID:sQNJqJSS0
出入り口についていた見張りの兵士が2人、私達を見て銃を構え、すぐに収めマス。
覆面の彼と私、その前には両手を縛られたオーナー代行がいるのですかラ。
「お、お前らっ」
一人の兵士が声を震わせながら言いまス。
覆面の彼が兵士を抑えるように重光サンに促そうとすると、彼は自ら前へ出ました。
「早く扉を開けんか!」
「は、はい!」

 管制室の中は、瀬戸山主催の"余興"で起きたアクシデントへの対応に追われていた。
逃げ出した外国人達、彼らを包囲するために既にここからも何人か動員されている。
そもそも、既に逃走中のスンヨプを探すためのビル内部の監視まで行われている。
そこに更に人員を減らされるのだから忙しくなるのは当然である。
「もうすぐ0時だぞ! まだ終わらんのか!」
その中で一際大きな声を上げる男。どうやらリーダーのようだった。
男に怒鳴られて、一人の部下がキーボードを打ちながら返事をする。
「予定されている禁止エリアの入力は既に完了しています!
 しかし、例のアクシデントで死亡したことになっている薮田に関して修正できません!」
「もう何時間やってるんだ! 薮田は生存が確認されたため、払い戻しはしていない。
 このままでは予定死亡数より一人少ないまま終了してしまう。
 そうなればお客様方の怒りを買い、我々の責任問題だぞ!
 小林宏のときは実際に死んだから事なきを得たが……」
「しかし、このシステムは途中から停止や変更のできない仕様です。
 我々には正常に作動しているかのチェックと、禁止エリアの入力程度の作業しか…」
「ううむ……本当にそれ以外はどうにもならないのか?」
「あとはエクストラゲーム決行の場合に使う、生き残り人数の下方修正ぐらい……あ!」
「それだ! 生き残り予定者を9人に減らせば、数合わせにはなる。
 あと2人死亡で10人だからな。それを使え!」
「了解!」
部下の兵士が作業を開始する。作業は簡単なもので、すぐに終了した。
「生き残り人数の下方修正、完了しました!」 
管制室のドアが開いたのは、その時である。

131 :番外 李承■と愉快な同士たち33(3/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/31(水) 02:19:33 ID:sQNJqJSS0
 兵士がキーボタンのついた装置を操作すると、ドアが両側に開いていきましタ。
中には先ほども見た、何人もの兵士が行き交う管制室がありましタ。
「いいか! 全員落ち着いて今から言うことを聞け!」
重光サンが声を張り上げると、全員が私達を振り向きその状況を確認しまス。
一瞬で緊張が張り詰めましタ。全員の意識がこちらに向けられまス。
「各人、その場で両手を上げていろ。
 いいか、これは私の命令だ! 絶対に破るんじゃないぞ!!」
全員がばらばらと両手を上げまス。
必死で声を張り上げる重光サンの緊張が声に現れてかすれていましタ。
「このことは何処にも連絡するな! そのまま大人しくしているんだぞ!」
私達が指示もしないのに重光サンは大声で命令を出していきマス。
重光サンのお腹の中の爆弾の作動スイッチの端末は、私の手の中で暇そうデス。
これをちらつかせて言うことを聞かせるつもりだったのですガ。
「いやに協力的じゃな。何を考えている」
「どうせシステムは止められん。それよりも、これが知られたらと思うと」
「体裁か。小さなプライドじゃな」
覆面の男の言葉を聞いた重光サンは、また冷めたような目で見まス。
「貴様らは何も分かっていない。私を人質に取っても止めることはできない。
 これは、システム上の問題だけではないのだから」
「なんじゃと!?」
「そんまことより急ごう。時間が惜しいよ」
室内をゆっくりと横切り、メインコンピュータの前を目指しまス。
その間も私と覆面の彼は近くの兵士達の動きに目を配っていまシタ。
彼らは大人しくしていますが、その目は私達の隙を窺っている目でス。
部屋は静まり返り、私達3人の足音だけが響いていまス。
メインコンピュータの前にいた兵士に、覆面の男は遠くへ行けと指示を出しましタ。
そしてそこに座ると、松本が持たせてくれたCDをドライブに差し入れまス。
「何だそれは?」
重光サンが私に背を向けたままで聞いてきましタ。私に答える義務はありまセン。
ディスプレイにメッセージが表示され、覆面の彼が実行を選択しまス。
CDが読み込まれ、次々と新しいウインドウが現れまス。

132 :番外 李承■と愉快な同士たち33(4/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/05/31(水) 02:19:57 ID:sQNJqJSS0
プログラムが実行される間、私達には待つことしか出来まセン。
何十分かかるのかも分からず、今何が起きているのかも分かりまセン。
ただ、停止できないはずのシステムを止めるというプログラムを信じるだけでス。
管制室の中は静まり返り、ずっと膠着状態が続いていマス。
喉が渇きまス。やはりあの時もう少しカツ丼のつゆを味わっておけばよかっタ。
重光サンを見ると、さっきより随分と汗をかいていまス。
何度もちらちらと、怯えながらあちこち見ている様子さえありまス。
「重光サン、一体さっきから何を……」
その時、スピーカーにスイッチの入る音がし、誰かの声が流れてきましタ。

『ほっほっほっ、そこまでじゃな』
どこかで聞いたような、年老いた男のくぐもった声。
それを聞き、重光サンの顔が一気に青ざめましタ。目を開いて肩を震わせまス。
膝まで震え出し、ついには涙を溜めて崩れてしまいましタ。
「あ……お……」
『今すぐそのプログラムとやらを止めなさい。力づくでもだ。
 ワシは重光武雄ぞ。わかるじゃろう?』
「父さん!」
『敵の人質になる男などもう息子ではない。要らん』
一瞬にして空気が変わりましタ。兵士達からの鋭い殺気が突き刺さりまス。
それに気づいた瞬間、私と覆面の彼はすぐそばの机に隠れマス。
間髪入れず、一斉に弾丸が私達を目掛けて飛んできましタ。
覆面の彼が重光サンの部屋で調達した銃で応戦しまス。
しかし、こちらが一発撃つ所を、向こうは十発撃ってくるのでス。
防ぎきれナイ。時間の問題だと、私は直感しましタ。
「重光サン! 止めてくれ!」
「誰だ、誰があの人に知らせたんだ? いや……
 敵に占拠された場合は秘密裏に連絡をする。私の作ったマニュアルの通りだ……」
重光サンは天を仰ぎ、放心していマシタ。
「重光サン!?」
「だから言っただろう。私を人質に取っても止められないと……」
【同士8名  ※■は火へんに華】

133 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 02:36:41 ID:XBJIdHH50
うわ…なんか…島もこっちもチョーヤバス…

てかJrもヤバス

134 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 11:50:55 ID:oIiLdEaM0
オーナーこええぇ
がんばれスンちゃん!!

135 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 12:10:55 ID:iEH30wbIO
払い戻しってなんだ

136 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 19:33:38 ID:pJd+j2AQO
>>127
公式タンまで出てくるのもすごいけどなw

137 :Far East(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/05/31(水) 23:34:16 ID:8v6lsGzv0
「……ふむ、これで船の操縦は何とかなるだろう」
里崎から提示されたマニュアルをざっと読み終えると、小宮山が顔をあげた。
暗闇の中には、ぼんやりと光る電気スタンド。
それを中心にして小宮山、里崎、初芝、内の4人が額を寄せ合っている。
「あとはこの島の位置だな。皆が帰ってくるまでにははっきりさせたいが」

――本当に帰ってくるのだろうか。今江も薮田も成瀬も。
不意に於保の最期が思い出されて、内は身震いする。
あんなに畏怖の念を抱いた人さえ、今はもういない。
この島ではほんの数秒後の命さえ保障されない、誰に何が起きるかわからないのだ。
あれが今生の別れになる可能性だってある。
ましてや敵とも味方とも知れぬ者たちを集めるなど、危険極まりない行為で。
そこまで考えて、内はぶんぶんと首を振った。わずかな迷いを拭い去る
敵であるはずがない。自分たちは皆、同じチームの一員なのだから。
絶対にここから抜け出す、その思いを強くかみ締めた。

「船の移動は全員そろってからだ。相当目立つ作業になる。
 無用な戦いを避けるためにも、できる限りギリギリまで待ちたい」
「そうですね。幸い、もうトレーラーにも積んでありますし。
 この船は納期が近かったようです。 ここに修理計画書があるんですが、それによれば……」
里崎が書類を取り出すと、小宮山はすぐにそれを奪い取った
何かを探すように一通り目を通した後、真剣なまなざしで問う。
「サト、他にはなかったか!? 契約書とか請求書とか」
「え…? 探せば出てくると思いますけど、それが何か?」
「住所だよ、ここの」
全員の脳裏に閃光が走る。これだけの書類が出てきたのだ。
この場所の住所も記された書類も見つかるはずだ。それがこの位置を知るヒントになる。

138 :Far East(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/05/31(水) 23:34:36 ID:8v6lsGzv0
そこから一斉に倉庫内の捜索が始まった。
引き出し、棚、段ボール箱、掲示板……ありとあらゆるものを漁る。
出てくるのはおよそ専門的な書類や本ばかりで、目を通すのにも骨が折れた。
棚を片っ端から調べるうちに、里崎は一冊の地図帳を見つけた。
元の棚に戻そうとして、思い直してやめる。これは必ず必要になる時が来る。
地図帳を小脇に抱えると、引き続き棚を漁る。
「あったぁ!」
初芝が叫ぶ。その高い声に、皆が集まる。その手には封を切られた茶封筒。
メガネのずり上げ、宛先の住所を読み上げた。
「えっと、『沖縄県島尻郡北大東村大字ラサ……』」
「沖縄!? ここ沖縄なんですか」
「ほら見ろ、やっぱり俺の予想が正しかったんじゃないか。
 薮田のヤツ、伊豆とか言ってやっぱり騙されてたんだよ!」
そう言われれば、思い当たる節はいくらでもあった。所々で見かけた防空壕らしき洞穴。
ここが沖縄なら、その多さも頷ける。この時期にしては暖かい気候も、沖縄なら当然だ。
塀のある家が多かったのも、台風が多い地域ならではだろう。
「いや、ちょっと待て沖縄…? 秋季キャンプの場所が変わったって、もしかして」
「!?」
小宮山の言葉に、全員が目を見開いた。やられた。これが沖縄キャンプの正体か。
キャンプ地の変更を告げられた時点で、もうこの殺戮の舞台は整っていたのだ。
「クソッ、なんていうキャンプを組みやがるんだ!」
里崎が手にしていた冊子を、力任せに床に叩きつける。
「とにかく住所がわかっただけでも収穫だ。後は脱出ルートを」
「あっ、地図あります」
里崎は叩きつけたばかりの地図帳をそそくさと拾い直す。
索引で『北大東』の文字を探し出した。
「ここですね」
里崎が示した先には、北大東島という島が描かれている。
その南方には、それより一回り大きな島、南大東島があった。
「違うな。支給された地図と形が違う」
小宮山が一蹴する。一目瞭然だった。
それに地図中の島、北大東島はどう見てもこの島より広いのだ。

139 :Far East(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/05/31(水) 23:34:53 ID:8v6lsGzv0
「確かにここにあったからって、この宛先がこの場所だって言う確証はないよなぁ」
初芝が腕組みをする。そこで行き詰ってしまった。
またふり出しに戻るのかと皆が思いかけたそのとき、内がある文字列に気づく。
「あの、もしかしてここじゃないですか…?」
ページの下に位置する島を指した。そこには『沖大東島(ラサ島)』という文字。
里崎がペラペラとページを繰り、その島の拡大ページを開く。
「ああっ!」
全員が一斉に声を上げた。支給された地図と形が見事に一致したのだ。
「ここだ、間違いない!」
「いや待てよ、この場所って」
思い当たる節があって、里崎はページを戻る。
およそ日本語とは思えない「ラサ」と言う響き。嫌な予感がした。
そこに描かれたものを見た瞬間、硬直する。
「あ、あははは……」
急に笑い出した里崎に、気が触れたかと全員がビクつく。
「ど、どうしたんですか…?」
内が恐る恐る訊く。里崎は笑いながら、返事の代わりに問題の箇所を指す。
目は笑っていない。内もその場所を改めて認識し、絶句した。
「……これは笑うしかないですね」
「だろ? こんな僻地にあんな球場建てて、頭おかしいんじゃねぇの? ははは……」
里崎の笑いは止まない。顔が引きつっている。
「実際おかしいんだろうよ。殺し合いをしろなんて言い出すくらいなんだから」
覗き込んだ初芝も呆れるしかなかった。
顎に手を当て、なにやら考え事をしていた小宮山が割り込む。
「なぁ、この島に滑走路あったか?」
「見てないです」
「なら、あの球場がヘリポートを兼ねているのかもしれんな。
 こんな離島なら、通常は緊急時用の空路も確保してあるだろう」

140 :Far East(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/05/31(水) 23:35:12 ID:8v6lsGzv0
「目指す地点はここですかね」
初芝がそういって指差したのは南大東島と記された島。沖大東島のちょうど真北に位置している。
「だな。沖縄本島は遠すぎる。少しでも近い方がいい。
 幸い人が住んでいるような施設も見える。なんとかここまでたどり着ければ……」
3人が鳩首会議を続けている間も、笑い声が聞こえてくる。
里崎はまだ笑っていた。よほどショックだったのだろうか。
「えぇい、サト、いい加減にしろ! 気味悪いぞ」
小宮山が叱りつけても里崎の笑いは止まらない。
それも無理のない話だった。里崎が見たページは大東諸島周辺の全体図。
大東諸島は沖大東島、南大東島、北大東島の3つの島からなる。
その「大東」と言う名の通り、大東諸島は沖縄本島のはるか東に位置し、
殊に沖大東島、別名ラサ島はその最南端、距離にして那覇市の南東408km、
最も近い南大東島からでも南に150km離れた孤島である。
「どうした。らしくないぞ」
見るに見かねて初芝がにじり寄り、里崎の肩に手を回す。
「確かにとんでもない場所だが、ものは考えようだ。北に直進するだけなら素人でも進路が取りやすい。
 それに上手く他の船が通りかかれば、もっと短い移動ですむかもしれないだろ?」
「そ、そうですよね、できますよね…? そうです、Yes, I can't ですよ!」
里崎が自信を取り戻し、そう口にした瞬間、場の空気が凍りついた。
初芝の動きが固まる。思わず耳を疑った。眉間にしわを寄せながら小宮山が問う。
「今何て言った…?」
「え? だから Yes, I can't って」
聞き間違いではない。里崎ははっきりとそう発音している。
小宮山は右手で顔を覆い、力が抜けたようにがっくりとうなだれた。
「おまえさ、不吉なこと言うなよ……」
「へ?」
里崎にはその理由がわからない。初芝に尋ねようとしても、顔が強張ったまま反応がない。
内の方を見ても、すぐに目を背けられる。里崎の耳に、どこからともなく深いため息が聞こえた。

141 : ◆vWptZvc5L. :2006/05/31(水) 23:35:34 ID:8v6lsGzv0
沖大東島は実在する島ですが、実際は無人島です。
文章ではわかりにくいので、以下を参考にしてください。
ttp://www.rasa.co.jp/k_island.htm
ttp://ma-samahp.hp.infoseek.co.jp/DAITOKYOTU/index.htm

142 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 23:42:23 ID:+qyi80FR0
Yes, I can't来てしまったwwwwww

143 :代打名無し@実況は実況板で:2006/05/31(水) 23:55:38 ID:sQNJqJSS0
これは不吉wwwwwwwww



144 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/01(木) 00:50:26 ID:G8n1nBCSO
職人様乙です!
さっそくYes,I can't出てきたwww

145 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/01(木) 10:14:21 ID:9MMAHDuUO
里www

146 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/01(木) 13:39:27 ID:6HXMcNXh0
サトの英語がこんなところでまでネタになるとはw
不吉すぎだゴラァ!

職人さん乙。

147 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/01(木) 23:19:01 ID:CdQFX/eQ0
保管庫さん仕事早っ!もう「Far East」まで収録されとる!
職人さんも保管庫さんもいつも乙です!

148 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/02(金) 06:44:38 ID:IpCPh/jTO
保守あげ

149 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/02(金) 06:45:16 ID:+doM4ast0
さくらの彼氏なのか

150 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/02(金) 08:44:28 ID:AyAaLycHO
>>140
ワラタ

151 :番外 李承■と愉快な同士たち34(1/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:09:34 ID:g9SHCuoD0
〔丶`J´〕ノ○<オッス、カルククス!李承■デス。

 絶体絶命デス。兵士達は少しずつ、着実に私達に近づいてきまス。
ある程度の距離まで近づいた時、一気に突入し私達を蜂の巣にするのでショウ。
遠くでは何人かの兵士がプログラムを止めようとしているような話し声。
はっきりとは聞こえませんが、プログラムはまだ動いているようデス。

「管制室の侵入者共は包囲したようだな。
 あとは逃げ出した外国人達だけだ。早く捕えろ!」
次々と入る通信を切り替えながら、瀬戸山隆三はテキパキと指示を出す。
管制室からの緊急連絡に対しても、その対応は迅速であった。
松本尚樹はその処理能力に舌を巻く。中年サラリーマン風の外見になんと似つかわしくないことか。
シコースキーを先頭にした一団は、追っ手と包囲網を運良くかいくぐり階を上がっている。
松本の指示の通り管制室を目指しているようだ。
一方で、スンヨプ達はもはや袋のネズミだ。捕まるのは時間の問題である。
額に汗が滲む。もう少し、早くシコースキー達が到着すれば。彼の出番が早ければ。
いや、スンヨプ達が首尾よく重光昭夫を人質に取った。それが早過ぎたとも言える。
どちらにせよ、彼の期待と現実に生じた小さな誤差。それがスンヨプを危険に晒している。
仕方ない、松本は決意を固める。今の自分にできることをしよう。
「その先の階段を封鎖しろ! 手前のT字路で奴らを挟み撃ちにする!」
瀬戸山は目の前のモニターに熱中していて後ろに気づかない。
松本はこっそりと部屋を抜け出すと、走り出した。

 覆面の彼の持つ銃がガチガチという音とともに、火花を出さなくなりましタ。
それを合図に、突入という声で兵士達が堰を切ったように突入してきまス。
隠れていた机を蹴飛ばしまス。2・3人の兵士が動きを止めましタ。
その横で覆面の彼は椅子を投げまス。兵士に直撃デス。そのまま他の兵士に体当たり!
私もすかさず一人の兵士の足に組み付きマス。転倒させて銃を奪うのデス。
ジャッ。頭の後ろで機械の音がしましタ。
一つではありまセン。それが何の音かは考えるまでもなく、背筋が凍りつきマス。
横目に覆面の彼を見れば、彼もやはり数人に取り囲まれ銃を向けられていまス。

152 :番外 李承■と愉快な同士たち34(2/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:09:56 ID:g9SHCuoD0
ここまでのようでス。しかし、あのプログラムさえ上手く動いていれば私達の勝ちデス。
いつ引き金が引かれるのか、それを思う時間は数秒のはずなのに何日にも感じマス。
『待てい。まだ殺すな』
その声が聞こえて、私は顔を上げましタ。
オーナーの声が部屋に響き、兵士達の動きは止まりましタ。
なぜ止めたのか見当がつきませんでしたが、理由はすぐに分かりましタ。

『さて、続けろ』
その声に反応したのは、ディスプレイの前でプログラムと睨めっこする一人の兵士でしタ。
「プログラムが途中で強制終了できません。三度目の試行も失敗しました」
『状況を説明せい』
「構造上、管理システム自体は停止させることができません。
 しかしこのプログラムは選手の位置や禁止エリアのダミーデータを大量に作成しています。
 そのせいでシステムの情報処理がエラーを起こし始めています。
 このままではダミーデータは更に増え続け、正規の情報もエラーに埋没してしまいます!」
『細かい話は分からん。結果のみを言え』
「選手の位置・生存、また禁止エリアの情報が把握できなくなります。
 すると禁止エリアの照合ができずに、禁止エリアに侵入しても爆発は起こりません。
 事実上、このシステムが全く機能しなくなります!」
『というわけだ。さて、李承■君に頼みたいことがある』
その低いしわがれた声に呼ばれ、私は肩を硬くしました。
「なんでしょう?」
『システムが役に立たんのは困るんじゃ。なんとかならんかの。
 このシステム止めてくれたら、命を助けてやらんでもない』
「そうですね」
私の答えは決まっていまシタ。
「生憎、私はそのプログラムの止め方など知りません。
 もっとも知っていたとして…」
『教えんというわけか』
顔を上げまス。例えここで死すとも、私は大儀を果たしましタ。
心残りと言えば、松静につらい思いをさせてしまうかも知れません。

153 :番外 李承■と愉快な同士たち34(3/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:10:16 ID:g9SHCuoD0
メジャーへの道も叶わぬまま終わってしまいます。
ただ、それは私の生き方と照らし合わせて仕方の無いことです。
「私には幸せがあり夢があります。全ての人がそうであるように。
 それが理不尽に奪われるのを、私に手が届くというのに見過ごすなら……
 私にそれを持つ資格はありません。私にとって、私の同士もまた幸せであり夢なのだから」
『そうか、残念じゃ。祖国の英雄をこんなところで失うとは』
唾を飲み込んだ音が大きく聞こえまシタ。
まもなく私は死ぬのでしょウ。目をつぶると、妻の顔が浮かびましタ。

『さて、プログラムじゃが』
「四度目も失敗です! ダミーデータの生成速度は更に増加中です! 止まりません!」
『もうよい。ならばそのプログラムの元ごと壊してしまえ』
「元ごと……CDをドライブごと破壊しろということですか?
 そのような止め方をしたら、システム自体が深刻なエラーに陥る可能性が……」
『二度、言わせる気か』
オーナーの声に答えていたリーダーらしき男の顔が青ざめましタ。
一瞬で血の気が引いたのが分かりまス。彼はすぐに了解の返事を叫びマス。
そして、手持ちのライフルでCDドライブの箇所を力いっぱい叩きまス。
もしこれで途中で止まってしまったラ。同士を助けることが出来まセン!
「やめろ!」
私の声には、誰も答えてくれずに、大きな破壊音だけが更に響きまス。
ガン、ガン、その音が一際大きく聞こえた時、二つに割れたCDが飛び出すのが見えましタ。
「ああ!」
「取り出し、完了しました」
『ふむ。それでよい』
そのときでした。島の地図の表示されている大きなモニターの画面が揺らぎましタ。
ノイズのような横線が入り、そして選手達の背番号が短い間隔で点滅し始めまス。
「なんだ?」
「システムに異常発生!」
すぐに数人の兵士達がパソコンに向かいましタ。
「ダミーデータは消えています! しかし、システム実行速度、極端に低下!」

154 :番外 李承■と愉快な同士たち34(4/4) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:10:38 ID:g9SHCuoD0
「生き残り人数設定、9名のまま変更なし確認!」
「禁止エリア設定……確認できません!」
「現在の生存者……位置情報受信されていません! 表示なし! いや……」
更に、選手の背番号らしき点が画面のあちこちに現れましタ。
それらはあっという間に画面上に増えていき、ついには島を多い尽くすほど大量に広がりマス。
プツン。次の瞬間、島地図の上から背番号の表示は全て消えていましタ。
「生存者からの発信は受信中。薮田を除く11名のまま変わらず。
 しかし、位置情報のデータがオーバーフローしたためか、位置認識システム故障!」
『どういうことだ』
「強制的にプログラムを終了したため、恐れていた深刻なエラーが…」
『そんなことは聞いておらん。結果だけ説明せい』
「選手の生存情報だけは分かりますが、位置が確認できなくなっています」
『生きてるかどうか分かるなら支障はない。続行じゃ」
私はショックを受けましタ。システムの要が壊れてイナイ?
数多くの同士達を助けることは、失敗に終わったと言うことでしょうカ?
まだシステムのチェックは続いているようですが、私は力が抜けるのを感じましタ。
『さて、李君。なぜ君を少し生かしておいたか分かるかね』
「え?」
思いもよらぬ問いかけに、私は呆けた声で返事をしていましタ。
『できるなら、志を果たせず無駄に命を散らした者の顔が見たくての。
 いやいや、いい顔しておるよ。ほっほっほ!』
悔しさに、私は言葉を発することが出来ませんでしタ。
兵士達が引き金を引くために、もう一度気合を入れなおしまス。
もう終わりなのでしょうカ。私はせめて、このオーナーを殴ってやりたいと思いまス。
生きてそれが叶わないなら、霊となってでモ。
『言い残す言葉はあるかの』
私は何も言いませんでしタ。その時既に覚悟をしていたからでス。
ああ、天が私を見放していなければ、もしかして最後のチャンスがやってくるだろうニ。
そう心の中で呟き、私は天を仰ぎましタ。しかし、そこには電灯のついた天井が広がっていテ。

おや? 私は目を疑いましタ。
そのとき、私がそれまで見つめていた天井が黒に包まれまたのデス。

155 :番外 李承■と愉快な同士たち35(1/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:11:02 ID:g9SHCuoD0
〔丶`J´〕ノ△<オッス、パッピンス!李承■デス。

 そのとき、天は私を見捨てて、もう死んでしまったのだと思いましタ。
ところが慌てるような声が聞こえまス。兵士達がおののき、薄暗い中で騒いでいまス。
停電?モニターなどの明るさを除き、電灯が全て消えているのでス。
私はまだ死んでいまセン。そのとき、私はすぐに横にあった銃を掴みましタ。
勢いよくそれを奪うと、手探りに引き金を探り、手当たり次第に撃ちまくりまス。
怒号と悲鳴が飛び交いまス。辺りは一気に狂乱と化しましタ。
天は私を見捨てなかっタ。形勢は圧倒的劣勢から混迷へ。
「スンヨ! こっちじゃ!」
声がしましタ。覆面の彼もまた、このチャンスで迅速に動いていたのでしょウ。
私は声のするほうへ向かいまス。一方で、同士討ちを恐れて兵士達は声のした方を撃てませン。
薄暗い中を私は奇跡的なスピードで障害物をかいくぐりましタ。
そしてそこに到達した時、壁が割れてゆっくり光が現われまス。そこはドアでしタ。
その瞬間、一気に入り込んだ光に照らされた私達の姿に部屋の中が色めきたちましタ。
「ドアだ! 撃てええ!」
間一髪、私達はドアを閉めマス。間に合いましタ。
すぐに逃げようとしたその時、私は覆面の彼ともう一人そこにいる事に気づきましタ。
震えながら頭を抱えるその人は、重光サンでしタ。
「さて」
覆面の彼がドアを抑えるよう私を指差し、重光サンの胸元を掴みマス。
「秘密の逃げ道なんぞあると最高なんじゃが。
 重光サン、あんたはそういうの知ってないか? そのために連れて来たんじゃ」
重光サンはうつろな目で覆面の彼を見ていマス。
不意に、廊下の向こうに目をやりましタ。

156 :番外 李承■と愉快な同士たち35(2/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:11:20 ID:g9SHCuoD0
「間に合った……か?」
配電盤の前に立つ松本はゆっくりと息を整えていた。
管制室と表示のあるブレーカーだけが下りている。
すぐに部屋を出る。廊下の向こうから叫び声とも銃声ともつかない音が響いてくる。
この階の電源はこの階からしか操作できない。
ロッテ本社の地下深く、管制室のある階に松本もやって来ていた。
松本はすぐに管制室のほうへ向かう。
自分の起こしたハプニングが二人の身を助けるように祈りながら。

 廊下の向こうから走ってくるのは、紛れもなく見慣れたあの姿でしタ。
「フランコ!ベニー!」
フランコに抱えられて谷保さんもいまス。それと見慣れない外国人モ。
ドン。私が抑えていたドアが向こうから強く押されましタ。
その衝撃に私はドアを抑え切れず、前に倒れてしまいましタ。
そこから兵士達が飛び出してくる瞬間、向こう側から声がしまス。
「伏せろ!」
その声に全員が伏せた瞬間、銃声が響き、後ろの兵士達が声を上げましタ。
ミンチーの持つ銃から煙が昇っていまス。
うろたえる兵士達を見て、私はすぐにドアを力いっぱい押し返しマス。
ドアが再び閉められ、それを合図に私達は駆け出しましタ。
フランコ達も廊下を引き返しまス。後ろから再び銃声が追いかけてきまス。
20mもないはずの廊下が長く感じられましタ。銃弾が床に跳ねていまス。
頬を風がかすりましタ。しかし、私は最速で走り抜け曲がり角に飛び込みまス。
「オー、ヤリチン!」
フランコの声に振り向くと、そこには一つのドア。
ドアを開けると、ここに入れとフランコがジェスチャーしまス。
見ると、挟み撃ちにするように道の向こうからも兵士の影がありまス。
その部屋に飛び込む他に選択肢はありませんでしタ。
私が最後に入りドアを閉めた瞬間、ミンチーや見知らぬ外国人の彼が机や椅子を運びマス。
一瞬でドアの前は塞がれ、誰も入ることも出ることも出来なくなりましタ。

157 :番外 李承■と愉快な同士たち35(3/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:11:40 ID:g9SHCuoD0
「これでしばらくは、なんとかなる」
「君は?」
「シコースキー、一昨年まではロッテにいたのさ」
彼の目を見て、すぐに私は手を差し出していましタ。目が全てを語っていましタ。
力強く彼も片手を握り返すと、ニコリと笑ってくれましタ。
ドア一枚隔てて盛んに人の声が聞こえマス。何度もぶち破ろうとドアが押されまス。
しかし大量の机で押さえつけているため、びくともしませン。
私は部屋の中を見回しましタ。数多くの同士たちが、そこにイマス。
なぜでしょう?私達を取り巻く状況は厳しいのに、不思議と恐怖は感じませんでしタ。

「篭城か」
二人の兵士の片方が小声でもう片方に呟いた。
一つのドアの前に群がる兵士達を目の前に、松本は立ち尽くす。
彼らがまだ無事であるらしいことが分かった反面、依然として危機が迫っているようだ。
「チェーンソーを持って来い! ドアごと切断して強行突入だ!」
もうどうすることも出来ないのか。松本は様子を見ながら歩き出す。
背広の男が歩くのを邪魔そうに兵士達が見る。松本はその場を一旦離れることにした。
確かめたいことがあった。彼らは果たしてシステムの停止に成功したのだろうか?
既に電源が復旧して明るくなった室内に入る。彼を気に留める者はいなかった。
「位置情報の表示エラー、回復できません!」
コードが引きちぎられ、バラバラになった機械を見て松本は愕然とする。
すぐそばにCDが割られた状態で転がっていた。
「なんて乱暴な……」
言葉の端々から聞こえるのは、生存情報は確認できていると言うこと。
松本の目論見の通りになっていれば、それすらも不明になっているはず。
上手く行かなかったのかと、松本は片手で顔を抑える。
(いや、まだだ)
禁止エリアの設定が壊れていれば、そちらが成功していれば同じことだ。
システムを動かなくするために過剰なダミーデータを読み込ませエラーを誘発する。
それが禁止エリアの入力に対して効果を発揮していれば、事実上のシステム解除だ。
そう松本が抱いた期待に応えるように、一人の兵士の声が上がる。

158 :番外 李承■と愉快な同士たち35(4/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:12:02 ID:g9SHCuoD0
「禁止エリア設定情報、やっと確認できました! ……しかし、これは」
「どうした!?」
「既に発動されたエリアはそのまま有効。
 しかし、まだ発動されていない0時以降の設定情報が入っていません!」
松本は喜ぶべきか落ち込むべきか複雑だった。
確かに禁止エリアの設定は止めることはできたが、それは今からの分だけなのか。
いや、喜ぶべきかも知れない。禁止エリアが増えなければこのゲームは意味を成さない。
そうだ、上手く行ったのだ。松本は拳を握った。
「え、あれ?」
禁止エリアの設定を確認していた兵士が再び声を上げる。穏やかでない声だ。
「違う。禁止エリアの設定は0時以降消えたわけじゃない……
 全て、午前6時に設定されています! 現時点で設定がされていた最終時刻です。
 その時刻に、発動する禁止エリアが全て押し込まれるように設定されていて」
「それは、6時に今までの設定が全て発動するということか?」
「違います……全て、なんです」
兵士の顔色が深刻なのが松本にうかがい知れた。嫌な予感が全身を覆う。
「全てのエリアが……午前6時をもって禁止エリアに指定、発動します。
 解除は不可能。新しい入力を受け付けません」
それを理解するまでしばらく時間がかかる。ふいに目まいがして松本は倒れそうになった。
全てのエリア? 午前6時? 仲間たちはどうなる?

159 :番外 李承■と愉快な同士たち35(5/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:12:24 ID:g9SHCuoD0
「止めるのは不可能か」
「はい。システムを止めることはできませんから。
 ただ午前6時までにあと2人が死亡して生き残りが確定すれば、或いは」
『構わん』
スピーカーから響いた低い声にざわめきが起こる。
松本が顔を上げる。それは確か重光武雄の声だったはずだ。
『あと2人。6時間あればなんとか死ぬじゃろ。
 それでよいから業務はこのまま続けろ。今の騒ぎで滞っとる』
兵士達が揃って了解の返事をする。
すぐに各人がパソコンの前について"本来の業務"に動き始めた。
と、そこに一人の兵士、隊長らしき男がマイクの前に近づく。
「オーナー! よろしいですか」
『なんじゃ』
「立てこもった外国人達の中に、ご子息の昭夫代行も連れ込まれております!
 例えドアを破ったとしても、突入に支障が」
『己はワシの言葉を覚えておらんのか、この愚か者が』
「申し訳ありません! では、やはり昭夫代行は……」
『ワシの息子に無能はいない』
「……了解しました」
その兵士が再びスンヨプ達の篭る部屋に戻ろうとした時、ふと管制室の隅を見る。

頭を抱えてうずくまった松本が壁にもたれかかっている。
瀬戸山の側近の彼がここにこうしているのに疑問を覚える。
が、その様子に声をかけるのもはばかられ、彼は通り過ぎて言った。

160 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 01:16:21 ID:mONM2kNA0
リアルタイム投下キタコレ 職人様乙です。
ちょっ、ちょっ、えーー!!あと6時間って!
スン様なんとかしてーー!!

161 :番外 李承■と愉快な同士たち36(1/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:22:34 ID:g9SHCuoD0
〔丶`J´〕ノ○<オッス、シッケ!李承■デス。

「さーて」
覆面の彼が重光サンの胸倉を掴みましタ。
あの騒ぎの中で彼を引っ張って連れて来たことに私は最初驚きましタ。
どうやら覆面の彼には、重光サンに対して期待するところがあるようでス。
「お前さんも見捨てられた。やつらがあのドアを破ったら最後、まとめて……」
覆面の彼が重光サンの顔の前に握りこぶしを持ってきまス。
ぼかーん、と言いながら手を開きマス。
「ば、ばかなことを……」
「さっき見捨てられたばかりじゃろうに」
重光サンの顔がひきつりまス。今にも泣き出しそうでス。
「ワシらはなんとしても助かる。そしてこのゲームを潰す。
 さっき分かったことがある。そのためには、お前さんに協力してもらう」
「協力……だと?」
「指を咥えていても死ぬだけじゃ。足掻いてみんか?
 協力ってのはどういうことかと言うとじゃな……」
覆面の彼が重光サンに計画を聞かせまス。それを聞いていた私はなるほどと思いまス。
確かに、私達がこの状況をなんとかするにはそれしかもう手立てがないように思いましタ。

162 :番外 李承■と愉快な同士たち36(2/2) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:22:52 ID:g9SHCuoD0
「そんなこと……無理だ」
「お前さんに断る権利はない。なあ、スンヨ?」
覆面の彼が私を見マス。私はすぐにその意図を汲み爆破コントローラーを取り出しましタ。
「駄目だ! どう脅されても、それだけは出来ない。死んだほうがマシだ!」
「じゃと。スンヨ」
私はコントローラーのスイッチに指をかけましタ。ほんの少しだけ力を込めてみマス。
「わかった、わかった、わかった! 協力する! するからぁっ!!」
「よし、ならば行こう。反撃はこれからじゃ」
そう言って、覆面の彼が皆に合図をしましタ。
「そのプラン、分かった。でも」
「その前に、さっきから気になってるんだ……覆面さん、あなたは誰?」
「オー、ヤリチン?」
「私もだ」
覆面の彼に、四人が疑問の目を向けましタ。
そういえば、ずっと彼が何者か知らずにここまで一緒にいましタ。
もっとも彼への信頼はとてもとても強いものですガ。
「ああ、そういえば言ってなかったのぉ」
そう言って、その覆面をゆっくり剥いでいきまス。
褐色の肌に、筋骨隆々の引き締まった腕。スラリとした体。
彼がマスクを取った時、全員が驚きの声を上げましタ。
メジャーへ憧れる私にとって知らないはずがありまセン。
そして、彼が嘗てロッテにいたことも思い出しましタ。
現役の野球選手という私の勘は、見事に当たっていましタ。
「あなたは…」
「ワシはフリオ・フランコ。元ロッテのキャプテン。
 年齢はごじゅ……48じゃが、体力は若いモンには負けんぞい」

【同士9名  ※■は火へんに華】

163 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 01:29:35 ID:c6c9LxWk0
職人様乙です!
だぁぁあぁ〜っ、どうなっちゃうんだ!
救いの神は現れるのか…?

164 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 01:38:58 ID:c6c9LxWk0
書き込んでたらまた新作が…本当に乙です。
ついに覆面の正体キタ―!頼りにしてます。
そしてプランって何だろう…ワクワクテカテカ

165 : ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 01:41:03 ID:g9SHCuoD0
現在の地図っと禁止エリア・人の位置です(あくまで概ねのもので、正確に内容を踏まえているわけではありません)
ttp://www.age.cx/~marines/cmbr/writers/img/470.gif

打ち合わせ板にうpしたやつなんですが見られますかね。

166 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 01:41:27 ID:YHyMeiYL0
長文お疲れ様です。最近、スンちゃん動きまくりですな。
クライマックスに向けてドキドキしっぱなしです。

167 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 01:50:13 ID:mONM2kNA0
先走りしてしまった…重ねて乙です
地図、うちの環境ではプレビューしようとするとパスワード入力画面が出ます…

168 : ◆CpgsCDAZJ6 :2006/06/03(土) 02:04:51 ID:g9SHCuoD0
やっぱり駄目ですか

ではこちらから見たい方は落としてください(パス:cmbr)
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1279.gif.html

後で保管庫さんがうpしてくださると思いますので


169 : ◆CLM31pWOr6 :2006/06/03(土) 02:44:42 ID:Mxq9dMxD0
>>168
お手数おかけします
保管庫にもうpっておきました
ありがとうございます

170 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 20:47:10 ID:9lXLKVEk0
スンちゃんの語り口調なのに息もつかせぬ展開だ…職人さんすげぇ!乙です!

ところで覆面さんの正体が明らかになったはいいけど、
いったい何語で会話してるんだこの人w

171 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 22:58:44 ID:HvMrzh1UO
キャプテンだったのか!


マジでずっとわからなかった・・・

172 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 23:28:33 ID:wf/ZogNg0
 

173 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/03(土) 23:57:57 ID:rVEEvaUrO
うぉおー見れるようになっとるー良かった(ノД`)゚・。
てっきりdat落ちしたかとオモタ

174 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/04(日) 00:38:51 ID:e0QGPSwA0
公式タンの安否も気になる…

175 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/04(日) 03:44:03 ID:CrSyQAYbO
戸見山が、気になる。一人で、酔ってる場合じゃねぇぞ!!

176 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/04(日) 09:57:28 ID:jXF1766sO
公式タンは松本スカウトじゃないの?

177 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/05(月) 07:27:46 ID:Nw2Ynr95O


178 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/05(月) 17:04:09 ID:CtGIlTuPO


179 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/05(月) 22:29:56 ID:7pIpM9jo0


180 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/05(月) 23:08:11 ID:QS2gKE4q0
ヽ´_J`) <だから俺は(ry

181 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/05(月) 23:51:40 ID:41DUxJg3O


182 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/06(火) 01:17:08 ID:7dIqrhoFO


183 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/06(火) 07:11:53 ID:L7EzMg+HO


184 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/07(水) 03:21:58 ID:8qE2shp0O


185 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/07(水) 21:44:15 ID:kUPtybzeO
>>183-184
(ノ∀`)アチャー

186 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/07(水) 22:18:10 ID:oaiFTESHO


187 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/07(水) 22:42:31 ID:fWFmsgSH0


188 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 06:09:28 ID:A986nISaO


189 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 15:40:02 ID:a2ReosMBO


190 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 21:01:29 ID:tfNTNntnO


191 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 21:16:14 ID:F6dme6Y10


192 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/08(木) 22:22:28 ID:KhjWTu2UO


193 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/09(金) 00:46:36 ID:gQN/NNWf0


194 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/09(金) 01:07:39 ID:7PK/D47YO


195 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/09(金) 07:19:43 ID:hJLOjxKdO


196 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/09(金) 13:24:17 ID:mJqQfR+iO


197 :不明(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/10(土) 01:57:28 ID:+bV+taW30
「監督、少し気になることが」
「ナンデスカ?」
簡易のリクライニングシートにゆったりと体を預けるボビー・バレンタインが目を開いた。
胸の前で重ね合わせていた両手を解き、自らの体を起こす。
その傍らには、たった今そこにやって来た筒井良紀が立っていた。
ヘリでの散策を終え、給油も兼ねて一旦スタジアムに戻ってきている。束の間の休息だった。
「参加者の中で今までで一番大きなグループができています。その数、6名」
「ダレ?」
「初芝、小宮山、……、以上です」
バレンタインがシートの逆サイドに立っていた中曽根俊になにやら話しかける。
二度ほど頷いて、中曽根がその言葉を伝える。
「カメラからは監視できているか?」
「断片的に前を通過した時の映像ならありますが……現在位置にカメラは存在しません」
「その場所は?」
「ここです」
そう言って筒井は携えていた探知機端末を差し出した。
そこに映る映像のやや左上には、確かに6名分の点が重なり点滅している。
「先ほどからずっと動きません。何か妙なことでも……」
筒井はやや神妙な面持ちで意見を述べる。
だが、それに反してバレンタインの顔は動揺の欠片もない。
それどころか、画面に注視してその場所をよく確認すると、顔に微笑が浮かんだ。
筒井がその様子を見て困惑の表情を浮かべる。それに気づきバレンタインは得意げに笑う。
含み笑い混じりにまた何か喋ると、それをすぐに中曽根が日本語に直す。
「これは心配することではない。全てが首尾良く行っている証拠ですらある。
 一つの良い仕事があったということさ」
「それは、一体?」
「今は待っていればいい。じきに動き出す。そのときに最高のショーが始まる」
バレンタインがにこやかに笑いながら、再びシートにもたれかかろうとする。
筒井は端末の一点に集まる点滅達を首をかしげながら眺めていた。そのときである。
「おお?」
突然、端末の画面上に無数の点滅が現れた。

198 :不明(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/10(土) 01:57:58 ID:+bV+taW30
「何だ?」
点滅は次から次と増え、画面を覆わんばかりに増殖する。
筒井は困惑の声をあげながら、それをただ見つめていた。その様子に周囲の人間が気づく。
今横になったバレンタインも飛び起き、筒井に呼びかける。
「ドウシマシタカー?」
「え、い、いや、これ」
筒井の視線が探知機の画面とバレンタインの顔の間を行き来する。
バレンタインは手を伸ばすと即座に探知機を奪い取った。
見ると、眩いばかりに島全体に点滅がはためく。バレンタインですらその様子に困惑の声を上げた。
そして次の瞬間、画面上から点が全て消え去った。まるで最初から何もなかったかのように。
バレンタインが叫んだ。
「探知機がおかしい。おい、そちらの表示は正常に作動しているか!?」
指差しているのは近くにいた佐々木信行である。
長々とグラウンド内へ引かれたコードが繋がれたパソコン、その画面を佐々木は見やった。
「あれ? 何も、何も映ってない!?」
ついさっき、点滅していたはずの赤い点が全て消えている。
周囲がざわついた。空気が緊張と困惑を帯び始める。
「すぐに本部に確認しろ!」
言われてすぐに兵士の一人が通信を試みる。何度もコールするが、何も返ってこない。
「ダメです! コールバック無し! しかし通信回線には異常ありません!」
「何だそれは!? どうなってる?」
「分かりません。本部、通信要員の誰もこちらからのコールに応答してくれません!」

「なんや?おい!」
前を行く西岡剛に遅れて数歩、立ち止まった彼に大塚明が追いつく。
負傷の上に更に弾丸を受けたわき腹がきしむ。
気を抜けば息の仕方を忘れるぐらい、体の内部から響く痛みに苦しんでいた。
それでも西岡に悟られまいと気丈に走っていたのは、先輩としてのプライドだろうか。
「どうした?」
仕切りに腕を動かす西岡の手の中が見えてくる。どうやら探知機を持っているようだ。
それを振り回したり叩いたり、明らかに彼のイライラする様子が伝わってきた。

199 :不明(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/10(土) 01:58:19 ID:+bV+taW30
「この機械、消えよった!」
「消えた?」
「選手の番号書いた点滅です。これでずっと、他の人の位置確認しながら来てましたから」
横顔に口惜しそうな歯軋りがのぞく。見ると、その端末にあったはずの点滅が映っていない。
「電池切れか? いや、電源はついとるか
 なら何なんや、おい! 故障か! あああ、ついてへん」
地面に叩きつけようと探知機を振り上げたところで、腕が止まる。
勿体ないと思ったかそそくさと自分のバッグにしまった。
「とにかく、これで晋吾さんや平下さんの位置はわからんようになりました」
「そうか」
大塚はそう言いつつ辺りを見回した。暗い、深い森が周囲を包む。
二人がいるのはそんな森に囲まれた中の一本道だ。
その道の向こうにも、どこにも人影はない。大塚はしばらく後ろを振り返ったままだった。
「どこ行きますかね」
「さてな」
急ぎ足で、今までと同じ方向を西岡が進む。
大塚はわき腹を度々抑えながら、何度か後ろを振り返りつつ後についていった。

「どうしましょう……」
「そうやな……」
端末の画面を睨みながら、薮田安彦と今江敏晃が心なしか肩を落とす。
「どうしたんですか?」
今江の背後から成瀬善久が二人の間を覗き込む。
 倉庫を離れてからすぐに走り続けた。
生き残った仲間を探す。頼りは薮田の持つ端末だった。
まず目指したのは近くに映っていた西岡・大塚・小野・金澤の集団。
走り始めてすぐに金澤の点滅が消えた。浅間に次いで、短時間に二人。
向かう速度をますます速め、三人の間は自然と会話が消えた。
西岡達は逆にこちらに向かっているようで、それを追うように離れて小野、そして平下。
この中で西岡ならば大丈夫と言ったのは今江だ。まずは西岡・大塚に会おうとしていた。
その矢先、確認のために端末を取り出した時には既に点滅が全て無くなっていた。

200 :不明(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/10(土) 01:58:45 ID:+bV+taW30
途方に暮れる今江、横でそれを見ていた薮田も言葉が出ない。
「あのぉ、どうしたんですか?ふたりとも」
絶句する二人に成瀬が再度話しかけた。
沈痛な面持ちで、かぶりを振りながら薮田が答える。
「よくわからんけど……選手の点滅が全部消えてまいよった」
「ええ?」
「スイッチは入ってるのに……生き残りの選手が一人も表示されなくなったんだ」
「そんな……」
今江の言葉を聞き、成瀬が悲しそうな顔をした。
仲間探しの鍵となる機械を失ったのだ。とても困惑した表情を浮かべている。
「そんな……そんな……」
涙まで浮かべそうな成瀬を見て、今江が肩を叩く。
「そんなにショック受けるなよ」
「だって……」
落ち込む成瀬に困り果て、今江は少し明るい声の調子で今度は背中を叩く。
冗談でも言えば落ち着くだろうか。
「単なる機械の故障なんだから。別に点滅が消えたからって俺達まで死んだわけでもないしさ」
「ええ!? そうなんですか! ……よかったあ!」
「……あ?」
大はしゃぎする成瀬を見て、今江は言葉を発することができずにいた。
その様子を見ていた薮田もしばらく止まった後、何かを諦めたように切り出す。
「……とりあえずや。西岡達と合流できるように、先へ行こう」
言い終わった薮田がため息をつくと、相づちを打つように今江もため息をつく。
成瀬は胸を撫で下ろしながら喜んでいるままで、二人の様子には気づかなかった。

「おい、聞こえるか! 本部、聞こえるか……お!」
兵士の一人が片手で丸のサインを作る。
そのまま通信機に対して何度も頷いて、片手でペンを走らす。
その場に張り詰めていた緊張が少しだけ緩くなる。
通信機を片耳に当て、兵士はバレンタインの方を向く。
「本部は侵入者の撹乱によって、一時運営が停止していた模様です!」

201 :不明(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/10(土) 01:59:20 ID:+bV+taW30
「なに!?」
その場の全員が驚いて声を上げる。バレンタインを除いては。
バレンタインだけがその様子を、前で手を組みながら無表情で聞いている。
「しかしすぐに反撃。侵入者は直に鎮圧の方向のようです」
安堵の声が漏れる。しかしバレンタインだけは矢継ぎ早に質問を伝える。
「探知機の異常の原因は?」
兵士は通信機にその内容を伝えると、しばらく応答を聞く。
それが終わるとバレンタインの方に目を向ける。
「侵入者の攻撃によってシステムに異常が発生したそうです。
 まず現在、選手の位置表示が全て不可能とのことです。
 そして0時からの禁止エリアが消失し……午前6時に一斉に全エリアが禁止になると」
ざわめきが再び起こる。それは即ち、午前6時を以ってこのゲームが終了するということだ。
残りの選手が例え10名に達しなくとも。
バレンタインが少し考え込むようにして、更に問いかける。
「その異常は直らないのか?」
「現段階では不可避とのことです。老の指示では、そのまま継続せよと」
「ふむ」
バレンタインが指を手の上で小刻みに叩く。
つとめて無表情を装うその顔と裏腹に、体のゆすりは大きくなり、心なしか肌が赤い。
「6時間か。できれば慎重にやらせて欲しかったのだがね。もう死ぬべき人間は決めてあるんだ。
 まして位置が把握できないのは論外だ。私のやり方を邪魔しないで欲しいね。
 球団上層部が無能だと必ず監督が被害を受ける。彼らは自らの不明を恥じるべきだ!」
そうぶつぶつと呟いたのが中曽根だけに聞こえた。
いや、例え聞こえても意味は中曽根にしか分からなかったろうが。

 バレンタインが立ち上がる。
ベルトを上げて上着の裾をしまいこむと、息を大きく吐きながら腕を組んだ。
右足のつま先を地面に何度か叩き、少しだけ目を閉じ何か考える。
そして目を開けると、にこやかな笑みを浮かべながら声を張り上げる。
「ソロソロ0ジデース! 0ジノアナウンス、ハジメマス!」

202 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/10(土) 09:14:01 ID:vaJk6clR0
新作キテタ(゚∀゚)! 乙です!!
あと6時間… 無事に残り全員脱出できてほしい。


つか戸田寝てんな(´Д`;;

203 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/10(土) 11:15:31 ID:VPKNzcfV0
職人さん乙です。
ベテラン組も若手組も中堅組も、揃って脱出してほしい。
特にベテラン組。

204 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/10(土) 11:40:02 ID:WqFG8sJAO
新作乙です!!
うわうわ皆いそげいそげっ
読んでるこっちが焦るっ

205 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/10(土) 14:25:37 ID:Ii713sFS0
成瀬の動向が気になる…
職人様乙です!がんがってください!!

206 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 02:39:26 ID:wdI+5djoO
ワトソンすげー

207 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 03:13:09 ID:Wb/rQQfpO


208 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 10:15:32 ID:B1gfEo9SO


209 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 11:34:10 ID:hEjCdNND0


210 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 11:59:19 ID:TxGMG0aaO


211 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/11(日) 23:00:09 ID:GtpSigFrO


212 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 05:10:41 ID:9ad1yJmCO


213 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 12:24:36 ID:mzTaNLB0O


214 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 15:34:55 ID:Itr0rSBJ0


215 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 17:52:22 ID:bq6TgMRz0
     ∧ ∧
     ( ・ェ・ ) <まだまだ粗いサネ
    /∪ ∪


216 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/12(月) 18:13:49 ID:jyMpeCGGO
>>207-215
ワロスwwwwww

217 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 03:05:16 ID:jg12gxP/O


218 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 06:55:52 ID:BD/7sU940


219 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 09:41:35 ID:V9tDjMp7O


220 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 15:39:53 ID:qTojK4Ae0


221 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 19:01:13 ID:140VpE1+O


222 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/13(火) 22:15:55 ID:QobFuZG60


223 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/14(水) 05:28:45 ID:wanuLMgbO


224 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/14(水) 23:33:25 ID:nMxbhzP50


225 :Party Hard(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/06/15(木) 03:15:45 ID:bWgozks20
一本道の先、細長いシルエットが見える。座り込んだ影を気遣うように、寄り添って。
遠目で見ても確信が持てるあれは間違いない、西岡だ。隣は恐らく大塚だろう。
「に……」
今江が呼びかけようとして、その声を飲みこむ。
どこに危険が潜んでいるかわからないのだ。大きな声は出せない。
「西岡」
小声で呼ぶ。何度呼んでも気づく気配はない。
「ちょっと、俺、先行ってきます」
薮田にそう断ってから、西岡に向かって走り出す。
「西岡、おい!」
西岡は相変わらず気づかない。大塚に気をとられて、周りにまで注意がいかないのか。
こういうとき、一発で相手を振り向かせるとっておきの方法がある。
「バカヤロー!」
「は? バカ…?」
それまで全然聞こえていなかったはずの西岡が、急にキョロキョロと周りを見渡す。
やっぱり、こういうことには耳ざとい。すぐ目が合った。
「西岡!」
駆け寄ってくる今江を、西岡は唖然とした表情で見ていた。
「アンタ、今、『バカ』言いました?」
「そうでも言わな気ぃつかへんやろ! …って、そんなことどうでもええねん。
 今、みんなを探してる。薮田さんと成瀬も一緒に」
今江の背後には、遅れて薮田と成瀬。西岡がちらりと一瞥をくる。
西岡の傍らには大塚が具合悪そうにじっと下を向いている。成瀬が心配そうに覗き込む。
「おおつかさん、だいじょうぶ?」
「悪い、そっとしといてくれ……」
そう言ったっきり、大塚は黙り込んだ。わき腹を押さえ、歯を食いしばる。
脈動のリズムに合わせて、周期的に響いてくる痛み。全身に脂汗が浮かぶ。
うつむいたまま誰にも見せようとしないその顔は、きっと苦痛に歪んでいるのだろう。
人に弱みを見せたくない、その意志を薮田はそっと汲み取る。
大塚を気にしない素振りで、脱出計画の一部始終を話し始めた。
「聞いてほしい。ここから抜け出す方法があるんや。実は――」

226 :Party Hard(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/06/15(木) 03:16:29 ID:bWgozks20
チッ。その光景を目に、平下晃司が舌打ちをする。余計な連中が増えやがった。
森の一本道からそれた木陰、そこに彼はいる。目前の集団の動きも伺える。
途中で座り込んでしまった大塚に追いつくのは、たやすいことだった。
なのに視界に捉えれば、いつのまにか標的が増えている。これでは圧倒的に不利だ。
仕留めるなら、まとめて一気に仕留めたい。でなければ、こちらが危険に晒される。
こんなことなら、2人だけのうちにさっさと片を付けておくべきだったか。
あの死に損ないはどこへ行った。まさかどっかでくたばってんじゃねぇだろうな。
あいつが奴らの注意を削いでくれれば、まだ勝機はあるだろう。
ここであの死に損ないに働いてもらわないと、わざわざ生かしておいた意味がないのだ
――『ミナサーン、ボビー・バレンタインデス。0ジのアナウンス、ハジメマショーネ!』
突如、響き渡るスピーカー音。ひとまず休戦か。
平下はその音に耳を傾けた。

「12時か」
一同が放送の音に注意を向ける。
「俺、メモります」
今江がすぐにカバンから地図とペンを取り出した。
『ソレデハ、シボウシャノハッピョデース! No.3サブロー、No.5ホリ、No.9フクウラ、No.13アサマ、
 No.30コバヤシマサ、No.51オホ、No.54クロキ、No.62カナザワ、イジョウ8ニンデスネー!』
フクウラ、その名前にドキリとする。
(俺はまだあの人について何も語っていない。何から伝えればいいのか。
 その福浦さんを殺めた雅さんも、か。それにサブローさん、堀さん、ジョニーさんまで…
 浅間だって、金澤だって、俺より年下で……)
様々な思いが巡って、危うく次の重大な告知を聞き逃すところだった。
『ツギハ、キンシエリアデース。6ジマデ キンシエリアハ、アリマセーン』
「へ?」
予想もしないことに、思わず声が漏れた。
周りを見回しても皆、訝しげな顔をしている。今江の聞き違いではないらしい。
『タダシ6ジニハ、all area ガ キンシエリアデース。
 ツマリ、アト6ジカンデ フタリシナナイト ゼンイン シニマスネー。
 デハミナサン、ガンバリマショー! HAHAHAHAHAMANA!』――
プツンというノイズと共に放送の音は途絶えた。

227 :Party Hard(3/3) ◆vWptZvc5L. :2006/06/15(木) 03:17:02 ID:bWgozks20
「どういうこと…?」
成瀬がきょとんとしている。
「もしかして、これと何か関係あるんか?」
薮田が光の消えた探知機端末を取り出す。見慣れたその機械に、西岡ははっとした。
「薮田さんも!? 俺のも実は……」
「おまえも持っとるんか?」
「ってことは、このシステム全体が壊れた? もしかして運営側の持つ探知機も……?」
「それより、あと6時間って――」
今し方の放送について議論が繰り広げられる間も、大塚は時折後ろを振り返る。
他の4人は放送の内容に気をとられ、その様子には気づいていなかった。

頭の中が朦朧とする。辺りに響く放送さえも断片的で、しっかり頭に入ってこない。
水を求めて砂漠をさまようよう人間の意識は、きっとこれに似ているのだろう。
境も果ても闇に紛れ、どこまで行っても果てしない悪夢が続く。
息は切れ切れ、早鐘のように脈打つ鼓動は体の限界を知らせる。
それでも一度座り込んでしまえば、もう二度と立てなくなる気がした。
ただ「殺す」という強い念だけが寄生し、彼の正気を食っていく。
切り裂かれ、血と泥にまみれたユニフォームは歩くごとに着崩れる。
これが自分の死装束になるだろうと、小野晋吾はどこかで予感していた。
「晋吾…」
後ろを見ていた大塚が呟く。道の向こう、よたよたと歩いてくる人影が見える。
必ず来ると思っていた。むしろ彼が行き倒れにならなかったことに安堵さえ覚える。
握力が戻らないその左手には、握るというよりただ持っているだけのスパナ。
手にした凶器が月夜に光る。内に秘めた殺意を思わせるような鋭さで。
半ば諦めの境地だった。いつまでも逃げてはいられない。
いずれは決着をつけねばならないだろう、どんな形にせよ。
それが自分も彼も――誰も傷つかない方法であって欲しいと、ただただ祈るばかりだ。

「来たか。遅ぇんだよ……」
平下の目線は大塚と同じ対象を捉えている。その顔に、これから起きることへの期待が浮かんだ。
「さぁ、宴の始まりだ」
銃を握る手に力をこめ、平下はほくそ笑んだ。

228 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 03:54:35 ID:foQNnizzO
職人さん乙です。どうか一人でも多く生き残れますように(-人-)

229 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 07:01:10 ID:VPof1rnzO
職人さん乙です!!!
小野も大塚も生きろ!!

230 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 07:21:46 ID:+kiodgsAO
職人様乙です!
もう誰も死なないでくれ…。゚・(ノД`)・゚。

231 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 13:13:59 ID:QkfFKhJb0
職人様乙です!
バカヤローって、言っちゃった…
ところで戸崎は何をやってるんだ?

232 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 20:28:24 ID:MBcSOLLd0
戸崎なんて選手いたっけ?
戸塚の間違いじゃない?

それはそうと早速バカヤローがネタにされてる…職人様乙です!
あと二人って…やばそうなのは何人かいるけど…?((((;゚Д゚)))

233 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 21:40:02 ID:wSHlP2LvO


234 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 21:43:16 ID:K3PZwrBoO


235 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/15(木) 21:49:44 ID:JxBL++olO
千葉!ロッテ!マリーンズ!

236 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 04:31:15 ID:WnSpqykKO


237 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 06:08:37 ID:jvGBOjsOO


238 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 07:34:57 ID:uU5Af8ICO


239 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 08:34:13 ID:/aRO176HO


240 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/16(金) 14:02:10 ID:XPKpvpUb0
今年もまた5000万円ですかあ!
もう使い道ないよな、そんなに貰っても。
プライベートジェットでも買いますか?
ワハハハハハハハハハハハハハハ

241 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 02:16:20 ID:8MvTcRBCO


242 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 03:55:53 ID:8mI/JZxAO


243 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 08:14:33 ID:S9fGD7w20


244 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 11:27:33 ID:9lY3vwVX0


245 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 12:37:16 ID:HvDjp+DlO


246 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 12:50:56 ID:QibxrjTi0


247 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 13:07:18 ID:VjTaJuP80


248 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 16:15:31 ID:LCxrS5LZ0


249 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 20:31:54 ID:itRVx7kTO


250 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/17(土) 22:51:39 ID:5YraMLbV0
 _     -―-    _
, ', -、ヽ'´       `'´, -、ヽ
! {  /  ━   ━  ゙  } i
ヽ`ー,'   ●    ●  ゙ー'ノ
 ` !      ┬     l"
  `ヽ.     ┴    ノ
    /`==ァ'⌒ヽ=='ヽ

251 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/18(日) 18:49:37 ID:pzeB1KEO0
職人様乙です!
先が気になるーーーーーーー!!!

252 :標的(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/19(月) 00:33:21 ID:f2VUL+U+0
 彼の近づく気配を察したか、大塚明の決意が空気を伝わったか。
まるで見えない誰かに肩を叩かれたように、西岡剛は後ろを振り返った。
その先、今歩いてきたばかりの一本道の向こうに彼がいる。
はっきりと誰か確かめる前に、背筋に悪寒が走る。西岡は戸惑った。
汚れきったユニフォームが暗闇に溶ける。疲れ切った眼の周りは昏くくすむ。
それも暗闇に溶け込んで、余計に白い二つ眼だけがギラギラとこちらを狙う。
「逃げえ!」
振り返り声を張り上げる。その先、一番近くにペンを手にする今江敏晃。
その更に向こうの薮田安彦と成瀬善久も、その声にまず肩をすくませた。
西岡に視線を向ければその背中越し、遠くにゆらゆらとおぼつかない足取りが見える。
拡がる火煙のようにやってきた殺意が彼らを一瞬で包んだ。小野晋吾の姿に、三人は戦慄する。
「あっちは走れへん、せやから走れば逃げれる!」
すぐさま三人は踵を返し、来た道を戻り始める。
さっきまで最後尾にいた成瀬が今度は先頭を切った。
戻るのもまた一本道。行く先は右に曲がりつつ、木々と茂みの向こうに消えている。
後に続いて西岡も駆け出す。小野の位置を確かめようとした振り返りざま、足が止まった。
「ちょっ、何して……」
「行け」
後ろを振り返ることもなく、やってくる小野に対峙しながら大塚は言い放った。

 ひたすら息を潜めて様子を窺う。葉と枝の隙間に動く影の全てを視界に捉える。
たったの一秒もないはずの時間が、十を数えるより長く感じる。
平下晃司の意識はかつてないほどの集中力を見せる。持てる知覚を最大限と意識する。
人影が動いた。複数人が来た道を戻りかけている?
勝機か。動くことで、集団が分散すれば誰か一人に隙を見つけられる。
そう考えると同時に、走り出す人影の行く先に視線を移す。
道を示す木々の切れ目は、自分を中心にするようにグルっと横たわっている。
その曲がり道を内側で横切れば先回りできるか、そう思い平下が更に遠くを見る。
平下は瞬きをする。
まだ今走り出した人影達が全然達しない、その道の先の方を影が横切った。
曲がった一本道の向こうから、逃げる彼らとは逆にこちらに来る人影。

253 :標的(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/19(月) 00:33:51 ID:f2VUL+U+0
瞬きをする間に動く距離、その長さはやってくる人影のスピードを即座に分からせた。
人間の速さとは思えない。だから、平下にはそれが誰かすぐに分かった。

 少し右に体を傾けながら、成瀬は曲がり道を加速する。
出来るだけ速く。先頭は自分なのだ。
 ふと小野のことを考える。その顔つきを見た瞬間、まず感じたのは恐怖だ。
その前に会ったのは堀が死んで自分達の前を去って行った時。
あの時も決して彼は温和だったわけではない。ささくれ立っていた。
だがそれでも堀への輸血に応じ、すんでのところで対話はできていたはずだ。
しかしさっき目の前にいた小野は、もはや思考すらその目に感じ取れない。
そのことを成瀬は漠然と感じ、思い出しては胸が締め付けられた。恐怖も覚える。
もしかして、かつての成瀬自身の姿が重なったようで余計に怖いのかもしれない。
成瀬の意識が少なからず感情に飲まれる。
そのとき、見通しの悪いその道の向こうから影が飛び出した。
成瀬にはそれが何か分かるわずかな暇すらない。
視界に映った影が一瞬で大きくなり、右から左へ飛び去る。
「ひ!」
反射的に体の動きが止まり足がもつれ前へつんのめる。
なんとか踏みとどまって体勢を立て直す。
振り上げた頭が目の前の状況をしっかりと捉えた時、成瀬の首筋に冷たい刃の感触があった。
その一部始終を少し後ろから見ていた薮田が、突如飛び出してきた人影の正体に気づく。
「……っ!」
成瀬の首筋に刃を当てたまま、震える右手以外は静止する。
内竜也以外のルーキー、彼の知らないロッテ選手の一人である成瀬。
それを前にして、代田建紀の思考は束の間の混乱に陥っていた。
憎いロッテ選手の証であるユニフォーム。されど知らない顔。
何かが右手を止める。命令と激情の間隙を縫って、わずかに顔を出した何か。
しかし、一瞬で彼の頭の中を駆け巡った思考の中で、生き残りリストが現れる。
その中に成瀬はいない。だから次第に、数秒の間で彼の思考は一色に染まり始めた。
ロッテ選手を殺してやりたい、その感情に。

254 :標的(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/19(月) 00:34:36 ID:f2VUL+U+0
 薮田に次いで走り出した今江が、後ろからした怒声に振り返っていたのはそのときだ。
前を行く二人に少し遅れ、だからこそ耳に飛び込んできた声に反射的に振り返っていた。
小野はまだ、少し離れたところをふらつきながら歩いている。
西岡と大塚が、どうやら走り出さずにそこに立っている。
声からしてあの怒鳴り声はおそらく西岡。逃げろと言った張本人がまだそこにいる。
「何をトチ狂ったことを!」
再び西岡が怒鳴る。どうやら大塚に対してのようだった。
大塚はわき腹を抑えながらも、道の真ん中で二本の足を真っすぐにして立っている。
西岡の方を一度も振り返らず、その顔の向きは今まさにやってくる小野だった。
大塚が何か呟いたのが聞こえた。低い声で、何を言ったかまでは今江には分からなかったが。
ただそれを聞いた西岡が、しばくように右手を大塚の肩に伸ばす。
左肩を押して大塚の体勢を自分の向きに修正させると、そのままグッと掴む。服にシワが寄った。
「あれは戻らんよ! ああなったら、もう無理や!」
「んなこたぁ、てめぇが決めることじゃねぇだろ!」
小野を指差した西岡の叫びをかき消すように大塚が声を張り上げた。
一瞬ぐっと口をつぐんだ西岡の表情があまりにも必死で、今江は違和感を覚えた。
「無理やろ! 無理やんか!」
なぜ、あの西岡がそこまで躍起になって、感情をむき出して否定する?
まるで、小野とは関係ない何かに念を押すように、何度も何度も。
今江には見当もつかなくて。しかしその間にも、小野が二人のすぐ近くへ迫ってきている。

 成瀬の首筋にナイフの刃を当てたまま代田が静止している。
カタカタと震えるナイフの刃先が、成瀬の首の肌上ほんの少しの空間を挟んで震える。
成瀬は声も出せない。それを目の前に、薮田は全身の血液が沸き立つ感覚を覚えた。
その瞬間には地面を蹴っていた。何か考えていたわけではない。
愛甲の死に様、それが成瀬に重なって、その時にはいてもたってもいられなかった。
腕を顔の前に交差させながら代田に向かって突進する。
叫んでいたかも知れない。代田の思考が再び殺害に固まる前に、薮田の体が触れた。
後先を考えない勢いが代田を襲う。体は浮いて、腕が絡んだ薮田ごと横に吹き飛ぶ。
そのままもつれ合った二人の体が茂みに突っ込んだ。

255 :標的(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/19(月) 00:35:12 ID:f2VUL+U+0
代田の顔を眼前に見ながら、薮田は呟いていた。
「お前だけは、許さへん……っ!!」
僅かに地面についている足を更に伸ばして地面を蹴る。
浴びせ倒すように代田の体を運ぶ。その先、茂みの切れ目が見れた。
曲がった道の外側の向こうは、どうも木々も茂みもなくなっているように見える。
不意に薮田は戸惑いに駆られた。
しかし慣性は消えない。その向こう側に二人の体が飛んで行くのは止められない。
 一瞬、空が見えた。無重力。体が宙を浮いていた。
次の瞬間、視界が揺れて暗転する。代田のナイフに映る光が激しい動きで軌跡を描く。
目まいがする。頭が激しく動いたからだ。何が起こったかわからない。
何がそこにあるか分からない。ただ右手の感触が、そこにいる標的の存在を伝える。
「やぶたさん!」
成瀬の声が聞こえる。それすらもゆわんゆわんと揺れた感じで。
目の前にある影、そこに一際輝く細長い銀。
ナイフだ。その根元をすぐに抑えつける。
力を込めるようなうめき声が聞こえた。右手には一気に抵抗を感じる。
 ようやく視界が安定する。代田のナイフを持つ手を抑えつけながら、体も覆いかぶさる。
右を見れば土がせりあがっている。岩肌が露になったその上に、木や草が生え伸びる。
露出した土から飛び出るように根が幾重にもむき出しになり、大小の石片がその下に落ちていた。
高さならたった1メートル。それだけを落ちてきたのにあの衝撃か。
代田が体を左右に振った。薮田の腕を振り解こうと両腕も力いっぱい動かす。
それを薮田は抑えつける。だが、徐々に掴む手の力が弱くなる。
あの凄まじい脚力ほどではないが、腕力までその細腕からは考えられない強さ。
いつまでも抑えつけていられない。それは確実だと直感した。
そのときナイフが自分を襲う。自分の銃はベルトに固定したままで、今は取れない。
薮田の思考が巡る。あと数秒か、或いは次の瞬間か。時間は待ってくれない。

256 :標的(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/19(月) 00:35:53 ID:f2VUL+U+0
 今江が一瞬振り返ったとき、そこには誰もいない。
成瀬も、薮田も。まだ曲がり道の向こうに消えるほどの時間ではない。
それなのに、見える一本道には二人の姿がない。
再度振り返る。小野晋吾が更に近づいている。
逡巡する。大塚は動く様子はない。西岡もそこにいるだけだ。
今、自分にできることがあるとしたら。このまま走り去るわけにはいかない。
踵を返し、今江は西岡の方へと駆け出した。

 目前で、小野はもうすぐ大塚と西岡のところへ到着する。
このまま、もう少しで最大の隙が窺えるはずだ。だから今は大人しく。
そう自分に言い聞かせて平下はずっと静かに呼吸を続ける。
来るべきチャンスを逃さぬように、小野と大塚達の様子を窺わなくては。
それなのに。
何故か視線がチラチラと右方向へ移ってしまう。無意識の内にだ。
代田が薮田と組み合いながら茂みの向こうへ消えていった。更に成瀬。
二対一。いや、あの人外のスピードがそれを不利にするとは思わないが。
しかも薮田も成瀬も、彼のポジションとは関係ない投手なのだ。
今狙うべきは、大塚ただ一人。残った唯一の外野手。標的は彼だけなのだ。
だからここを動く必要はない。代田を気にする必要などないのだ。
――俺は仲間を殺して得られる居場所なんて信じない。
代田はあの時、自らの右手を抑えながら言っていた。歯を食いしばっていた。
何故、その顔が浮かぶ?と自問する。
何故自分は……こうして、代田の消えた方を見ているのか?
口に手を当てて荒くなりそうな息を抑える。視線が彷徨う。
平下は何度も、この場に留まれと心の中で自分に呼びかけていた。

257 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/19(月) 00:57:30 ID:sLyP1ceoO
リアルタイム投下に遭遇してしまった…!職人様乙です!
平下…どうするんだ…?!

258 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/19(月) 16:10:38 ID:QwxLo5Bd0
職人さん乙です!
成瀬危機一髪だよ成瀬(((( ゚Д゚)))ガクブル
平下も小野も代田も皆どうなっちゃうのか気になるーー!!

259 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/20(火) 03:32:10 ID:5URJnTXdO
保守

260 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/20(火) 15:13:58 ID:OiN4i/1mO
職人さん乙です!!
西岡は金澤のことがあるからなのか…大塚どうするっ

261 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 08:50:03 ID:MlpXPyiUO


262 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 11:16:32 ID:5RPbq9x20


263 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 18:10:24 ID:r9e8uyJQ0


264 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 19:15:08 ID:OrDGFCddO


265 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 19:44:33 ID:IDPjxv0A0


266 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/21(水) 22:34:46 ID:qc6QRLd30


267 :酔ひもせず(1/1) ◆vWptZvc5L. :2006/06/21(水) 23:57:24 ID:vsQY+mR20
――『ミナサーン、ボビー・バレンタインデス。0ジのアナウンス、ハジメマショーネ!』

いきなりの轟音に戸部は目を覚ます。とっさに耳を塞いだ。
何も聞かなかったことにして、うっとおしそうに寝返りを打つ。
それでも漏れ聞こえてくる声はどこかで聞いたことのあるような、クセのある話し方。
だが、その内容に耳を傾ける気はさらさらなかった。寝起きの身にはただうるさいだけだ。
「あーもう、うっせぇ!」
いい加減頭にきて飛び起き、怒鳴り散らす。
戸部の声に反応したわけではないだろうが、その瞬間、放送は途切れた。
はたと寝ぼけ眼で周りを見回した。まだ辺りの暗さに目が慣れず、何も見えない。
どうやら誰もいないらしい。誰もいないのになぜ人の声がしたのだろう。
まだアルコールの抜け切らない脳では、そんな単純な疑問すら解けなかった。
戸部が納得のいかない様子で首をかしげれば、関節がボキボキと鳴る。
そういえば体のあちこちが痛い。ずっと固い地べたで寝ていたからだろう。
そして、それとは別に全身を襲うこの倦怠感。何だろう、全く記憶がない。
「頭痛ぇ…」
出てくるのはしゃがれ声。指でこめかみをぐりぐりと押さえる。
ぶつけたとか殴られたとか、そういう物理的な痛みではない。もっと内部から来る化学的な痛みだ。
もっとも、世間一般ではそれを「二日酔い」と呼ぶのだが、当の本人にはそんな自覚は皆無である。
今、自分が置かれている状況さえも把握できていない。半分寝ている頭でぼーっと考え込んだ。
「……寝よ」
結局、出た結論はそれだった。
再び眠りの体勢に入ろうとしたとき、地面に下ろしかけた手が冷たい何かに触れる。
その正体に気づく間もなく、それは丸太よろしく地面を転がった。
その上に体重をかけたせいで体のバランスは崩れ、戸部は地面にたたきつけられる。
そのままの体勢から目を向ければ、そこには転がっていく円筒状のものが見えた。一升瓶だ。
「こんなとこにゴミ捨てんなよっ!」
手を伸ばして一升瓶を拾うと、腹立たしげに投げ捨てた。
その行方も確かめず、戸部はふてくされたように背を丸めて寝っ転がる。
彼は知らない。今、何が起きているのか。これから何が起きるのか。

268 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 00:35:29 ID:/Rp97ph00
戸川暢気すぎるよ戸塚…

269 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 02:34:33 ID:UT4Op3ET0
戸田…でもこのまま寝てたらお前……

270 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 02:44:09 ID:6i9WCdz30
>>268-269
ちょww名前全部違うww

271 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 02:55:05 ID:TpJa40SsO
職人様乙です!
戸山…お前は最強だよ…

272 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 07:08:22 ID:+/2zzCeY0
戸泉かっこええwww起きろwwwww

273 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 09:01:44 ID:QZ8vH5/l0
戸倍wwwww

274 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 09:50:38 ID:B8alR6brO
頑張れ戸愚呂!

275 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 11:43:35 ID:6eH5M+SeO
なんか戸村がいいなぁ(・∀・)

276 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 13:54:29 ID:7Ik6B6gNO
戸島ワロスwwwwww

277 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 14:08:02 ID:eq6r4BZz0
戸林危ない橋渡りすぎだろwwwwww

278 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 16:34:35 ID:z7cFJq51O
戸松寝すぎ

279 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 17:30:21 ID:6/pU9BDz0
しかしいつも思うが戸渡編が更新されると大反響だよね。
人気あるなぁ〜戸崎は。

280 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 18:17:27 ID:+/2zzCeY0
実は戸河内が生き延びられるかどうか真剣に心配。
はつしばさんたちもわすれてませんか?

281 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 21:10:12 ID:NXB/9fjEO
こんなに間違えられると、正しい名前がすぐ出てこなくなるなw
戸口だよな?

282 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 21:21:36 ID:X+HhaUtn0
いやいや戸森

283 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 22:00:39 ID:ACAfVB+20
戸坂頑張れ!

284 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/22(木) 23:40:22 ID:z7cFJq51O
みんな、いい加減に名前覚えろ!!戸岡だよ。

285 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 00:17:01 ID:Q7cpfsmb0
ここまで盛り上がれるなんて、おまいらよっぽど戸間口の事が好きなんだなー

286 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 00:58:03 ID:X3m0RG0r0
え?戸辺じゃなかったの?

287 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 05:47:23 ID:tRwsVR8T0
ここまで名前が被らずその上全く戸野の名前が出てこないことに逆に愛を感じる。

288 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 09:11:15 ID:pNSq749GO
戸本ちゃうんかと

289 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 09:44:53 ID:ECRFTrug0
マジに戸浪じゃなかった?あれ??

290 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 11:15:08 ID:abFwXxlM0
扉部!

291 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 17:35:20 ID:pZTOftW00
あぁ、蔀だったね。
ごめんよ度邉。

292 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/23(金) 18:07:17 ID:+LnDmuD6O
し、しとみ?
嘘言っちゃいかんよ。戸宮だろ。

293 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 03:38:39 ID:obfULp7VO
残念、戸宮山でした。

294 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 05:00:34 ID:l2fr52t50
飛べ君か

295 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 08:18:28 ID:aOORBxkZO
もうそろそろいいだろ?戸芝さんだよね

296 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 10:32:47 ID:qLeem3gq0
何度言ったらわかるんだよ。戸澤だろ?

297 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:07:47 ID:VuFAPAbd0
戸江くんだって何度言ったら(ry

298 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:21:34 ID:ngrayf370
もしかして新作が投下されるまで
ずっとこの流れが続くんだろうかww

ていうか戸橋だろ?

299 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:23:43 ID:B5pbVIij0
お前ら戸柱のことになると調子付きやがってw

300 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:30:46 ID:f71qO3O50
ここまで続いていて、何で出てこないかな〜
戸叶だってば

301 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:36:12 ID:NZw1Q0eU0
>>300
楽天GO

みんなそれだけ砥部を愛してるんだよね!

302 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:38:52 ID:Vha0G8tq0
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=www.doubleh.fr/audio/index.htm&btnI=I%27mFeelingLucky&Ir=


303 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/24(土) 23:41:16 ID:Vha0G8tq0
http://www.keygen.us/


304 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/25(日) 12:33:21 ID:SjT/O0vv0
>>302
ok、ウイルスゲット。

>>303
Ok,洋物グロサイト閲覧。

305 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/25(日) 21:36:15 ID:0Aje1HJ+0
戸・・・=飛べない鴎は(ry

306 :焦燥(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/26(月) 00:43:22 ID:RS60Gm+50
 両腕の力は最大限。跳ね返そうとする力を必死で受け流す。
目の前の代田建紀の細い腕、それなのに彼の力は完全に自分を凌駕している。
その乱暴な上下左右への動きに握力がついていかなくなりそうになる。
薮田安彦は馬乗りになった有利さで、なんとかその動きを制そうとしていた。
だが、それもほんの僅かの時間に過ぎなかった。不意に胴が引っ張られる。
見ると、代田の右手が自分の腹の辺りを掴んでいた。そのまま体を寄せる。
左腕でそれを引き剥がそうとしても、伸ばす力は代田の右腕を畳む力に完全に負けていた。
そして一瞬、代田が右腕を突き出す。体は後方に頭から返り、両手が服から離れる。
 でんぐり返しのように一回転、そのまま薮田は屈んだ状態で代田を向く。
代田は薮田の右手に気づく。後ろに帰る間に、ベルトの銃を引き抜いている。
それは予想の上だった。起き上がりざまに薮田はすぐさま臨戦態勢を整えたのだ。
その銃口が代田を向く。薮田は言葉も発せず、すぐに引き金に人差し指をかけた。
それに気づいた代田の脳内に自己防衛命令が駆け巡る。
相手がリスト入りの薮田である、攻撃ではなくただの回避をせよ。
背中は今しがた落ちてきた段差の露出した岩肌。銃口に対して左へ、一瞬で代田は跳んだ。
 放った弾丸が銃声とほぼ同時に岩肌にめり込む。土の部分に命中し土煙が巻いた。
しかし代田はその前に、引き金を引く瞬間に右の方へ残像を残す。
すぐに薮田はその残像の先に右手を動かそうとする。そのとき、鈍い衝撃音が飛んで来た。

 声もなく代田が仰け反る。宙に浮いたままで、まるで後ろに突き飛ばされたように。
背を向ける代田の前にある黒い影が、その形から人影だと分かったのはそのすぐ後だ。
宙に浮いた代田の体が真下に叩きつけられる。同時にその前の人影が向こうへ吹き飛ばされる。
横向きに身を丸めながら。今、段差の上から飛び降りようとした体勢のまま横に飛んでいく。
その人影、成瀬善久は二メートルほどの距離を飛び、横向きに地面に着地し滑っていった。
薮田は思わず、代田を通り過ぎて成瀬の元へ駆ける。
近づくと小さくうめき声をあげながら土をかぶって倒れる成瀬がいた。
「成瀬! おい、成瀬!」
頭を打ったか、成瀬からは苦しそうな声が漏れるだけだ。

307 :焦燥(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/26(月) 00:44:06 ID:RS60Gm+50
代田の体が当たったと思われる右肩の辺りを抑えながら苦しそうに目をつぶっている。
おそらく薮田の身を案じて降りてきた瞬間だ。成瀬には何が起きたかも分かるはずがない。
あのスピードで動く物体にまともに衝突すれば、その衝撃は計り知れない。
(……!)
ハッと薮田の脳裏にあることが浮かぶ。
振り返る。
代田は今しがた倒れこんだ場所で、まだ仰向けに倒れている。
それはそうだ。成瀬がこれだけの衝撃を喰ったのだから、代田にとっても全く同じはずなのだ。
しかも横から当たった成瀬とは違う。
自分の目に焼きついた残像を頼りにすれば、代田は顔からまともにその衝撃を喰らっている。
 薮田は立ち上がると、ピクリとも動かない代田にそろそろと近づく。
近づくとその顔が見えてきた。目を開いたまま、その二つの瞳は互いにあさっての方向を見ている。
右手の銃に力がこもる。手の平が汗ばむ気がした。
「これで、終いや」
薮田が呟く。そして、震える右手がその銃口を代田の体に向ける。
唾を飲む。ふと愛甲の顔が浮かんだ。
 自分を信じろ。そうや、自分を信じろ。代田を再び起こすわけには行かない。
また誰かが、初芝や成瀬のように命を危険に晒される。
だからここで自分が、やらなければいけないのだ。
手に胸を当て、目をつぶった。
やらなければいけないのだと。何度も言い聞かせる。
意を決して目を開く。そのときだった。
 薮田の視界が、代田の姿でなく黒い影に覆われる。
意味も分からず薮田の身体は硬直。そこにその影は大きくなって、薮田にぶち当たる。
代田の上、段差から飛び出すようにその影は薮田に真っすぐ向かってきた。
「なっ!?」
右手から銃が離れる。体は背中から地面に倒れていく。
銃が地面の凹凸に跳ねる。カラカラと音を立てて、倒れる成瀬のつま先に当たった。

308 :焦燥(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/26(月) 00:44:44 ID:RS60Gm+50
薮田の真正面に見えるのは人の頭。誰だ。視界がぶれて分からない。
腰をしこたま打って薮田は一瞬目をつぶってしまう。そこに今度は右ほほに強い衝撃。
顔が弾かれ、目の前が一瞬真っ暗になった。なすがまま、その間に両腕が掴まれる。
腹にはドスンと重く何かがのしかかる。途端に身動きができなくなった。
それは先ほど代田に対して薮田がした格好の、全く逆だ。
 顔を見る。見覚えのある顔、そして、このゲームの開始から一度も見なかった顔だ。
もう何年も見ていない感覚すら覚えて、その名前が瞬時には出てこない。
「お前は……」
言葉に詰まった薮田を馬乗りになりながら見下ろす。
その様子を理解して、余計に顔がこわばったように見える。
「忘れましたか、薮田さん? 俺ですよ、平下ですよ」
「平下!? なんや、なんで止めるんや」
薮田が両腕を動かすが、平下晃司は両袖をがっちりと掴みその勢いを殺す。
拳はその顔に届く前に、ぎくしゃくした動きで空を切った。
「止める?」
「代田や。そいつは運営側の人間で、仲間を殺すこともいとわん。
 今がチャンスなんや。このまま生かしておけん!」
平下の口が止まる。無言のまま、薮田の手を御し続ける。

 自分でもよくわからない。なぜ、自分はここに割って入ったのか。
動かなければ、大塚を殺す最大のチャンスであったはずなのだ。
それなのに、気づけば代田達が消えた周辺へ足が向いた。
陰から様子を見ていて代田が殺されかけた瞬間に、いつの間にか飛び出していた。
そして今もこうして薮田を抑えつけている。
何故だ?今までも、ずっと自分は目的のためにだけ冷静に動いてきたではないか。
代田を助けて得することなどない。それなのに。
あの姿を見てしまったからか。ほんの僅かに正気に返ったあの姿。
馬鹿な。だからと言ってなぜ助けなければならない?
参加者でもない。むしろポジションは同じなのだ。自分にとって彼が死んでも損などない。
苦しむ姿に同情したわけでもない。そんな感傷など持ったことはないのだから。
それなのに今こうして代田を庇っている。そんな自分のことが、平下にはにわかに理解できない。

309 :焦燥(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/26(月) 00:45:10 ID:RS60Gm+50
「離せ! ワイは代田を」
薮田が叫ぶ。平下は倒れたままの代田をちらっと見た。
「代田さんはさ、クビになったせいでお前達への憎しみが抑え切れないらしい。
 運営側の奴に何かされたとも言ってました」
「なんやと!?」
「自分ではどうにもならないって、苦しんでましたよ。それでも殺すんですか?」
薮田の顔が戸惑いに変わる。抗う腕の力が少し抜けた。
だがすぐに顔つきは厳しく変わる。
「せやけど、代田が起きればまた仲間を殺そうとする。放っとくことはできん!」
「仲間を守るために?」
薮田の叫びを、平下はつとめて冷静な顔つきで聞いていた。
「そうや。仕方ないんや。
 それに例え何かされているとしても、ワイらへの逆恨みでまた人を殺すなら……
 チームのみんなを守るために、ワイはやらなあかんのや!!」
その言葉を合図に薮田が一気に上体を起こす。平下の体が押されて後ろに仰け反った。
にわかに腕の力が弱まる。その隙を逃さず薮田は両手を大きく振り、平下の手から切った。
地面を前に押して、平下の体の下から抜け出そうとする。片腕は肘で平下の胸を突いた。
両者の呼吸が激しくなる。口からは押し殺した声が不連続に漏れた。
薮田が平下の馬乗りから抜け出る瞬間、諦めたように平下は掴もうとしていた両手を地面につく。
目が薮田と合った。その一瞬の後、折りたたまれた平下の両脚が薮田を目掛けてバネのように伸びる。
両足が薮田を捉えて、その胸にめり込む。薮田の体が後ろに向かって飛んで行った。
胸に大きな衝撃、続いて体中が地面に打ち付けられる。呼吸ができず、薮田は苦しみながら手を胸に当てる。
顔だけは平下に向ける。力が入らない。
 平下は悠然と薮田を見下ろし、そこに佇んでいる。
すぐ脇には代田がまだ仰向けのまま倒れていた。
平下の右手にあるのは拳銃。目から放たれるのは殺気。
そこを少しでも動けば銃弾が薮田に向かう、その無言の意思表示に薮田は動けない。
薮田の銃はまだ少し後ろ、成瀬の足元に落ちたままだ。
体を伸ばしてももう少し足りない。最低でも一歩踏み出してから滑り込んで届く距離なのだ。
だから、平下の前でもう動くことができない。

310 :焦燥(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/06/26(月) 00:45:49 ID:RS60Gm+50
 そんな余裕のはずの状況の中にあって、しかし平下の顔は少しも綻んでいない。
それどころか口を真一文字に結んで、動けない薮田を見下ろしている。
 平下は考えていた。目の前の薮田はリスト入りの人間であり、標的である。
だからこうなった以上、すぐに殺してしまえばいい。
だが平下の中で、すぐにそうするのを何故かためらう気持ちがある。
率直に言えば、イライラしている。
それは薮田に対しての、なんとも言いがたいわだかまりだった。
自分が代田を助けたことへの疑問とも相まって、平下にはその怒りの正体が判別できなかったが。
しかし自然とその感情は薮田へと向き、イライラは募る。問い詰めたい衝動に駆られる。
気づけば自分だけが銃を持つ圧倒的な有利。その余裕が、平下の意思をそちらへ向かわせたのかもしれない。
平下は薮田に対して、いささかきつい口調で話し始めた。
「チームのみんなを守るためか……所詮は外様ってことですね。
 辞めたら、チームメイトとは思わんのですね」
「違う! そういう意味で言ったんやない」
平下の言葉を慌てながら薮田は強く否定する。
そんな様子を見て、平下はどこか嘲るような表情にも変わった。
イラつきと、一方では鼻で笑ってやりたい気持ち。それを抱えて平下は薮田を見下ろす。
「なあに、責めてるわけやないんですよ。むしろ俺は安心してるんです。
 仲間を守りたいだのと綺麗事を言わんでもいいんです。あんたも俺も同じ」
「……何が言いたい」
平下が足元にあった石を踏む。少し強く踏むと、それはあっけなく粉々になった。
「このゲームの本質ってのはとどのつまり、命の選別、ってことでしょう」

311 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/26(月) 09:47:08 ID:abv0IC1+0
やべ、悪役なのに平下がカッコイイ…
新作乙です!

312 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/26(月) 10:26:14 ID:4zo0hmBf0
新作乙です
代田も含めて誰が死んでも泣ける自信ある…
頑張れ薮田!

313 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/26(月) 18:36:33 ID:XJOz1kxZO
平下は野球板バトロワ史に残るマーダーになりそうな気がしてきたけど、でも藪田しっかりー!
職人様乙です!頑張ってください!!

314 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/26(月) 22:31:47 ID:IoQV44ux0
職人様乙で〜す!
平下すごいなぁ〜
薮田には生き残ってほしい

315 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/27(火) 23:06:34 ID:MQYlqyq3O


316 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/27(火) 23:47:50 ID:yP/3shfE0


317 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/28(水) 00:08:11 ID:6VUA75WQ0
|

318 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/28(水) 00:36:00 ID:wrOrf2hN0


319 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/28(水) 15:12:10 ID:MXwc01tDO
百々理亜さん

320 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 00:28:50 ID:JmJ4f4of0


321 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 06:10:41 ID:pf6I0MM9O


322 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 17:20:11 ID:sCfyLPXo0


323 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 21:20:40 ID:ZRFX1yRG0


324 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 22:17:12 ID:7CTNFxqh0


325 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/29(木) 22:34:09 ID:QzJJbmFe0
ちゅ

326 :代打名無し@実況は実況板で:2006/06/30(金) 02:43:28 ID:O2kYJ9jBO


327 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 00:39:05 ID:Y4+1uWwJO


328 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 10:18:23 ID:AAx385o20


329 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 10:21:28 ID:WpnzZT10O


330 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 13:49:05 ID:bWQlegSEO


331 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 16:26:31 ID:g1LOwHss0


332 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 17:33:24 ID:lHroiDWo0


333 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 22:49:55 ID:AfMCFLnq0


334 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/01(土) 23:29:21 ID:tTpf+KoV0


335 :推算(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 02:54:17 ID:CCoSV/v10
 船のある倉庫の中は電灯が灯っていない。唯一つ、小さな明かりが船のデッキの上にある。
そこに動くのは1つの影。船体の端から端までせわしなく動く内竜也の姿があった。
そのすぐ下で、里崎智也が椅子に座ってその様子を見つめていた。
薮田らを送り出した後、やることといえば逃走の準備を万全にすることぐらいである。
食料や水の調達のため小宮山悟と初芝清はごく近い民家を探して外に出た。
その間に、倉庫内にあった救命胴衣やボートなどの装備を船に積む任務を買って出たのが内である。
 はしごを降りてきた内を見ながら、里崎はそこにある救命胴衣の入った袋を差し出す。
「すいません」
「いや、これぐらいしか出来ないし」
すまなそうな里崎の表情に内は首を振りながら答える。
「いえ、里崎さんはケガがありますから仕方ないですよ。
 こういう力と身軽さがいる仕事は一番年下の僕がやるもんですし」
左手をはしごの枠にかけ体を斜めに倒した状態で、右手に里崎から受け取った袋を持つ。
ひょいとその袋を小脇に抱え、テンポよく音を立てながらまた梯子を登りだす。
力と身軽さが要る仕事。確かに足に怪我を抱えた自分にはできない。
それよりも里崎が気にしていたのは、力も身軽さも初芝の方が上なのでは、ということだった。
あのときのとび蹴りを思い出したりしながら。

「うーん、なかなか近くに民家はなさそうですねえ」
「そうだなぁ」
少し見晴らしのいい、数mほどの崖際から海のほうを見下ろす。
見る限り民家らしき建物は、歩けばそれなりに時間のかかりそうな下の方にぽつぽつとあるだけだ。
初芝と小宮山はさっきからそこに足を止めこれからどうするかを議論していた。
「俺達があまり時間をかけるようだと、複数人残した意味が無いからな」
「しかし全員分合わせた食料でも、今の量じゃ三日持つかどうかですからね」
「船を移動させるついでに民家に寄るか。
 いやいや、わざわざ運営側に見つかりやすいことをしなから無駄に動くのは理に適ってない」
「今行くしかないですかね。よし、一っ走り行きますか」
そこにどこからともなくスピーカー音がこだます。

336 :推算(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 02:54:51 ID:CCoSV/v10
すぐさま小宮山は地図とペンを取り出す。同時に初芝が懐中電灯を取り出し照らす。
地図を中心に、二つのメガネが闇夜に浮かび上がった。
『ミナサーン、ボビー・バレンタインデス……』

「……くそっ!!」
放送を聴き終わり、里崎が力任せに船のどてっ腹を叩く。
その衝撃で上から垂れていたロープが揺れる様を内竜也は見つめていた。
「浅間はやはり死んじまったのか。一緒にいた金澤まで!
 あいつら間に合ったのかよ!一体どうなったんだ!?
 くそ、俺はそれなのにこんなところで……」
下を向きながら怒り震える里崎の表情はさながら仁王のようだった。
歯を食いしばりながら視界に入る自分の右ひざを怨む。拳を握ったが行き場も無く、また船を叩く。
一方で、内は放送が終わったあとも表情を変えずに、視線を次第に窓の方に移した。
黒木、そして於保。改めてその名前が呼ばれ、どうにも難しい気持ちがこみ上げてくる。
悲しいのか、腹立たしいのか、あるいは負の感情だけではないなんともいえない気分。
不意に、於保に最後に出会ったときに里崎と今江が一緒にいたのを思い出した。
それと同時に疑問が一つ沸きあがる。
「里崎さん、あの」
「ん? なんだ?」
少し乱暴な口調で、里崎が顔を上げながら聞き返す。
「あ、いや」
それに驚いたのは里崎自身だった。慌てて体を起こすと、一つ息を吐いて内に向き直る。
「里崎さんと今江さんは、於保さんと一緒にいましたよね」
「ああ」
里崎にとっては忌まわしい思い出の一つに違いない。
今江ともども騙され、仲間として行動し、危うく成瀬と内を誤解したまま殺すところだったのだ。
最後は今江の機転で於保の企みは阻止されたが、あのときのことを思い出すと悔しい気持ちがこみ上げる。
「まさかな、スパイだったなんてな。でも……それがどうした?」
「里崎さん達は、この船の存在をあのとき既に知ってましたよね?」
内の声がにわかに興奮を帯びた。その調子に押されて、里崎も思わず返事に焦りの色を帯びる。

337 :推算(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 02:55:24 ID:CCoSV/v10
「ああ、俺が最初に見つけて、そこにあの二人がやってきたんだ。それで倉庫の中で会ったからな」
「そのとき於保さんはどうしてました?」
「いや、どうって言っても……すごく仲間らしく、うん、もっともらしく振舞って……
 そうだ、あの『修理計画書』も於保さんが見つけたんだよ」
そこまで言って内の口からえっという声が漏れ、眉間にしわが寄る。
その様子に里崎も自分の言ったことに気づいた。更にあのときの於保の行動を思い出す。
「それに、脱出の計画とかも自分から先頭に立って意見を出してたし……
 正直頼りになると思った。思ったよ。そうだ、でもそれって」
内は黙って里崎の言うことを聞いていた。
里崎は確かめるように言葉を続ける。
「あの人は運営側のスパイなのに、なんでそんなに俺達に積極的に協力してたんだ?
 でも……あの人の言ってたことはたぶん間違ってなかったと思うんだ。一体、なんなんだ?」
「そうですか」
ただ一言、それだけを返して内は再び梯子を登りだした。
まだ作業が残っているらしい。だが里崎は自分で至った疑問に納得がいかず、考え込み始めた。
内が梯子を登りきったぐらいのところで、里崎が上を向く。
「おい内。お前の方が於保さんとは長く一緒にいたんだろう?
 あの人は一体何のつもりで俺達を協力したり攻撃したり……」
「すいません、僕にも分からないんです」
船のへりに足をかけたまま静止し、内はつぶやく。
「ただあの人の言葉を借りれば、僕らの味方でも敵でもないらしいんですが……分かりませんね」
そう言ったきり内は船の上へ消える。
それを見送りながら、里崎は再び椅子に座ると、天井を見つめながら腕を組んだ。

 放送が終わり、初芝と小宮山はしばらく無言を保っていた。
舌打ちをしてから、先に切り出したのは小宮山だ。
「あと……6時間だと?」
「ばかな!」
立ち上がった二人が同時に海までの距離を見る。
そこから見下ろした先、ぽつぽつと見える民家の更に向こうに漁港を含んだ街区と砂浜があった。

338 :推算(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 02:55:45 ID:CCoSV/v10
直線距離ならば車を使えばそれほどの距離ではないかも知れない。
だがここは山の中腹であり、道は山頂から真っすぐに伸びて降りているわけではない。
曲がりくねり、ところどころ雑な舗装しかされていない道路を思い出す。
「一体、あそこから海まで行くのにどれぐらいかかるんだ?」
小宮山が先にそれを口にした。残り6時間ならば、決して小さくない問題。
「僕らが普通に道なりに降りていけば、急いでも1時間は確実にかかるでしょう。でも車なら」
「あれは牽引車だ。危なくてスピードはそれほど出せん。
 しかも俺達はこの辺の地理に疎いから、道の選択を間違えでもしたら走るよりも」
小宮山が額に手を当てながら早口で呟く。その横で初芝も腕組みしながら考えをめぐらす。
「もし途中で運営側の奴らが襲ってきたら……いや、目立つはずだからその可能性はかなり高い」
「海まで到着できたとして、それを海に着水させる作業も不慣れな俺達には」
「仮にうまく操縦できたとして、海上の禁止エリアを抜けるまでの航行所要時間は」
小宮山が声の調子を変えながら唸る。少し顔を紅潮させながら。
膨大なケースを想定し続けているのだろう。計算に継ぐ計算。
最悪のケースばかりは考えていられない。最悪のケースは死なのだから。
全て上手く行くかは確率だが、ある程度の事項が上手く行かなくてはこの計画は実現しない。
しかし上手く行くとして、その中での最悪のケースとは何か。
小宮山の頭が少しずつ下がっていった。唸りながら。
「……コミさん?」
「3時間……3時間は必要か」
額から手を離し、小宮山はおもむろに呟いた。
「逃げ出すためには最低でも3時間は見ないといけないだろう。出発は遅くても午前3時だ。
 もし薮田達がそれまでに返ってこれなくても3時には出発だ。なに、探知機があれば追ってくる」
探知機が既に使い物にならないことなど知る由もない。小宮山は初芝の方を向くと、初芝は黙って頷いた。
もう食料の調達に向かう時間などはない。視線の合図だけで、二人は倉庫へと走り出した。

 倉庫へ戻るまでの間、小宮山と初芝は無言だった。
初芝が小宮山の表情を窺う。まだ何やら考えているようだった。

339 :推算(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 02:56:18 ID:CCoSV/v10
不意に、その視線が初芝のほうへと向く。
「なあハツよ」
「なんです?」
軽めに走るペースを変えず、小宮山は顔だけ初芝に向いて話しかける。
一度視線を外して前を見ると、走る足元を見てから再び初芝を見た。
「お前は船の操縦の仕方覚えたか?」
「ああ〜、一応マニュアルは読みましたがね。実際やってみないと」
「そうか」
小宮山は初芝の顔から視線を外し、軽くステップを踏んで曲がり角を右に曲がる。
薄暗い森の中、道はあるが曲がりくねっている。少し道幅が広くなった。
初芝が少し速めに走り、再び二人が併走した。
小宮山は前を向いたままだったが、初芝が来るのを待っていたようにまた話し出す。
「あのさ、ハツ。もし6時ギリギリでもう船を出さないと間に合わないって時……
 もし俺だけが船に乗ってないなんてことになったら」
「え?」
初芝が小宮山の方を向く。しかし小宮山は前を向いたままだ。
突然のことに、思わず初芝はつま先を地面の凸凹に引っ掛ける。
ふらついたがなんとか体勢を立て直す。小宮山はまだその横を併走していた。
「そのときはお前が船を操縦して、俺を置いて脱出してくれ」
「ちょ、ちょっとコミさん!? 縁起でもないこと言うの止めてくださいよ!」
初芝が慌てつつも少々の怒りを含んだ調子で叫ぶ。
小宮山は初芝に視線を合わせず、行く先を見つめて走るだけだ。
しばらく黙った後、前を見たままおもむろに口を開く。
「そうだな、すまん。忘れてくれ」
そう言って、小宮山は走るピッチを上げた。
にわかに初芝との距離が開き、初芝は後を追って同じくピッチを上げた。
初芝は困惑して、自分に背を向けている小宮山の表情が気になった。
この状態では分かるべくもないのだが。
いや、そういえば――初芝はある事に気づく。
その真意を計ろうにも、さっきから小宮山はポーカーフェイスのままだったっけ。

340 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 03:53:33 ID:aCdb/LfS0
投下キター
小宮山、初芝・・・

職人様乙です

341 : ◆QkRJTXcpFI :2006/07/02(日) 10:07:20 ID:CCoSV/v10
訂正

最終行
×計ろう
○量ろう
ですね。収録の際に修正お願いします。


342 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 11:39:30 ID:5I3A4y960
職人さん乙です。

ベテラン2人が…
コミーさんも初様も頑張れ!

343 :番外 園川一美と愉快なコーチたち33(1/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/07/02(日) 13:01:21 ID:9oZJMu2c0
「くそっ、見失ったか・・・。」
ベンチの奥から飛び出してきたのは、高橋慶彦一、二軍巡回コーチ(87)だった。
高橋は、ゆっくりとグラウンドを見渡し、目当てのものがいないことを確認すると、改めてマウンドを見つめた。
しばらくの間、高橋はマウンドから視線を逸らさずにじっと見つめていた。
「違うよな・・・。」
吉鶴たちのほかには誰もいないグラウンドに向かって小さく呟くと、
高橋はそのままグラウンドを後にした。

高橋の姿が見えなくなった後、吉鶴たちはめいめいに口を開いた。
「今の慶彦さんだよね?」
「俺にはそう見えた、というよりむしろあれが慶彦さんじゃなかったら、いったい誰なのかと思うんだが。」
「全くみんなキャンプサボって何やってるんだろうね、もう!」

「・・・荘さん、僕達も人のこといえないと思うんですけど・・・。」
「そ、そうだ、こんなところで油を売ってちゃいけないよ!!ってああっ!?」
荘は拳をぐっと握り締めて声を上げたのだが、それが瞬時にして悲鳴に変わった。

344 :番外 園川一美と愉快なコーチたち33(2/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/07/02(日) 13:02:08 ID:9oZJMu2c0
荘の突然の悲鳴に、吉鶴は恐る恐るたずねた。
「あの・・・どうしたんですか?」
「で・・・でちゃった・・・。」
荘の目にはじわりと涙が浮かんでいた。
「出たって何が・・・?」
吉鶴がいぶかしげにたずねると、荘はすっと片手を差し出した。
覗き込んだ手の中には、無残にも潰れてしまい、こしあんがはみ出たもなかがあった。

「もう、おしまいだ・・・。この世の終わりだ・・・。」
「荘さん、落ち着いて!!もなか一個くらいで世界が終わったりしないから!!」
吉鶴は必死でなだめたのだが、荘はおさまらなかった。
「おわりだ、おわりだ、おわりだ!!」

「HAHAHAHAHAMANA!!」
泣き喚く荘の声を切り裂くかのように、突如どこからか大声が響いた。
吉鶴たちは突然現れた声の主を探った。
「何だ、いったいなんだ!?」
「ひっく、ひょっとして・・・。」

345 :番外 園川一美と愉快なコーチたち33(2/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/07/02(日) 13:02:34 ID:9oZJMu2c0
「ハーイ、ミナサンコッチコッチ!!」
先ほど浦和で遭遇したカラフルな頭髪に派手なメガネ、金ぴかの服を着た男が、
浦和で乗っていたものと同じ自転車に乗り、吉鶴たちの方へ突撃してきたのだ。
「む・・・あの男は。」
「え、ちょ、ど、どこから!?」
「ひょっとして自転車でここまで来たの!?」
慌てふためく吉鶴たちを尻目に、男は荘の目前まで来ると、
自転車からゆっくり降り、懐から包みのようなものを取り出した。
「荘サン、プレゼントガアリマス!!」
そして包みの中から一つ取り出すと、荘の左手に握らせた。
「これは・・・?」
「コレデ元気ダシテクダサイ!!」
そう言いながら男は荘の手をぎゅっと握り締めた。

その瞬間を吉鶴は見逃さなかった。
荘がほんのわずかながら顔をしかめるのを。

346 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 17:24:04 ID:Wjuhp5ht0
ついに慶彦コーチ登場ですか!
それにしても、潰れた最中にハゲワラw

347 :DON'T STOP BELIEVING(1/5) ◆vWptZvc5L. :2006/07/02(日) 20:01:22 ID:dXViVj/W0
大塚には一瞥をくれただけ。小野の視線が西岡を捉える。
歩く事すら怪しいくせに、その目だけは憎しみを糧にして、尽きることのない殺意を放つ。
標的を確認すれば、顔には狂気の片鱗が浮んだ。その眼光鋭さに思わず西岡は後ずさる。
本当は逃げ出したい。大塚をひとり残すことになるのが、それをためらわせる。
相手は満身創痍、やられるはずはない。そうわかっていても、背中が寒くなる。
むしろあの体だからこそ、そこまで見せ付ける執念が恐れを感じさせるのだ。
この先を考えあぐね、立ちすくむ西岡。その前にすっと影が現れる。今江だ。
まるで親鳥が雛をかばうように西岡に背を向け、今江はそこに立っていた。

スパナを握った小野の左手。利き手ではない上に、動きも鈍い。
大塚がその手首を素早く掴み、たやすくねじりあげる。
ろくに抗う力もないくせに何故ここまでするのか。見ているだけで痛々しい。
「晋吾、よく聞け! ここから抜け出す方法がある。もういいんだ、こんなことしなくても」
その言葉の意図を探るように、小野がはっと大塚の目を覗き込んだ。
「晋吾さん、聞いてください!」
割り込んできたのは今江。大塚の覚悟を目にすれば、自然と声が出ていた。
「島の外は禁止エリアじゃないんです。海から逃げられるんです。
 そのための船もあります。もう、こんなこと終らせられるんですよ!」。
小野が戸惑いを見せるが、それもほんの一瞬。
視線を滑らせ、大塚と今江の顔を見比べる。
「もっと簡単な方法があるだろう?」
つりあがった口元から覗く八重歯が、二人を嘲る。
「俺が西岡を殺す、お前らが俺を殺す……それで二人だ」
「晋吾っ!」
掴んでいた手首を強引にひきつけ、そのままスパナを抜き取る。
言葉で納得しないのなら、力づくで止めるしかない。
左手の凶器は、驚くほど簡単に奪うことができた。もう握力もほとんど残っていない。
それを取り戻そうと伸ばす手も虚しく、スパナはあさっての方向へ投げ捨てられる。
小野の両手首は掴まれ、自由を奪われた。
「ほら諦めろ。そんな体で何ができる」
「邪魔すんな……殺すんだ…西岡を、西岡を…っ」

348 :DON'T STOP BELIEVING(2/5) ◆vWptZvc5L. :2006/07/02(日) 20:01:43 ID:dXViVj/W0
それでも大塚を押しのけようと、なお小野はあがく。泣いても喚いても前に進めない。
その苦界はいつしか故障続きだった日々に重なり、小野を苦しめる。
自分の体すら思い通りにならないこの煩わしさ。もうたくさんだ。
終わりが見えない。いつまで続く、この悪夢。いっそ、この体ごと全部打ち捨ててしまえたなら。
「どいてくれ……どけえぇぇっ!」
何がしたいのかもわからなくなっている。ただ憎くて。
西岡も、西岡をかばう今江も、目の前に立ちはだかる大塚も。
それを振りきる力のない自分までもが、恨めしくてたまらない。

何もできずに、今江と西岡は立ち尽くす。
小野と大塚の間には入り込めない空気。その様子を固唾を呑んで見守る。
大塚が一瞬こちらを振り向いた。行け、とその目が訴える。
西岡はどうする。今江がチラリと後ろを伺う。
顔を強張らせて、じっと一点を見つめる西岡。わずかに震える右腕。
いつの間に取り出したのか、その手に握られている小型の銃。銃口は下に向けて。
「しまえ」
今江が小声で諭す。西岡は聞こえていないふり。
「そんなん必要ない、しまえ」
それでも西岡はそれをしまう素振りは見せない。今江からは目を逸らしたまま。
「西岡っ!」
今江が一喝する。
わかってる、今の小野にそんな力はない。なのに恐れている。
理屈じゃない、あの殺意を直接受けたことのない今江にはわからないのだ。
「……もうあかんよ、あの人は」
西岡の返答はそれだけ。銃を握る手に力を入れれば、手のひらが湿る。
何かあれば、すぐさま撃ち放つ覚悟はできていた。


349 :DON'T STOP BELIEVING(3/5) ◆vWptZvc5L. :2006/07/02(日) 20:02:06 ID:dXViVj/W0
なおも暴れ続ける小野を止めようと、大塚は身をよじる。その度にわき腹はきしんだ。
どくどくと早まる鼓動。それに比例するように、痛みの時間が長くなる。
大塚が顔をしかめる。散漫になる注意、どす黒く染まったわき腹。
小野は見逃さない。そこにひざが入った。
「ぐあぁ…っ」
大塚の身体が折れ曲がる。たいした威力はなくとも、患部に入れば激痛。
緩んだ手を振り切り、小野は踏み出す。と、同時にがくんと視界が落ちた。
迫り来る地面。足をとられた。前のめりに倒れ込む。
「行かせねぇ!」
大塚が小野の左足に腕を回し、がっしりとしがみついている。
「明、てめぇっ!」
大塚を振り落とそうと、小野は足をばたつかせる。
背中に蹴りを入れようが、頭を踏みつけようが、大塚は離れようとしない。
絶対にこいつを止める。そう思えば、この両腕を解くわけにはいかなかった。
「もうやめろ! 西岡殺してどうなる。お前だって、好きでこんな…っ」
「好きでやってんだよ!!」
「嘘つけ! じゃあ、なんでそんなに苦しんでんだよ!?」
小野が苦しげに見えるのは、負傷のせいだけではないはずだ。
胸の奥であげる悲鳴が今にも聞こえてきそうなのは、勝手な思い込みか。
その目に悲しみが見え隠れするのは、普段の姿が見せる錯覚か。
「西岡殺す……西岡ぁ……にしおかぁぁぁ…っ」
小野はうわ言のように繰り返し、煩悶する。
その抵抗も体力を浪費するばかりで、長くは続かない。
呼吸が荒くなる。もがけばもがくほど、目の前が眩む
ついにはぐったりとうつ伏せになり、塞ぎ込んでしまった。

350 :DON'T STOP BELIEVING(4/5) ◆vWptZvc5L. :2006/07/02(日) 20:02:32 ID:dXViVj/W0
「もうやめよう。一緒に帰ろう、な?」
「……」
黙ったまま、小野の手が爪を立てる。
土の上に残る爪跡。土粒が指との隙間に入り込んだ。
「……何のために」
さっきまでの威勢が嘘のような、弱気な応答。
力の入らない手のひらが、土を掴む。
「帰ってどうする、生きて何になる。自分達だけ生き残って、
 何もなかったことにして……それでお前らは満足か」
「なら、お前は西岡殺せば満足か!?」
「……ああそうだ」
「てめぇ、その体で西岡に挑みかかってみろ。死ぬのはお前だぞ」
「それでいい、西岡殺して俺も死ぬ……」
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ! 生きろよ、なぁ?」
「……」
小野が手中の土をはらりと放した。
顔は地面に伏したまま。その表情はわからない。
「今まで俺、何やってたんだろう……俺は俺なりに精一杯やってきたつもりだった。
 もう終った奴だってボロクソに叩かれても、絶対にここから這い上がるって、
 そう信じて耐えて来たのに。もうわからなくなった。こんな仕打ちまで受けて。
 一体何のために生きてたんだろ。俺にはもう…わからない……」
消え入りそうな声。心許なくて震えている。
今まで自分が信じてきたもの全て否定された。
生きてる意味がわからない。自分の命などどうでもいい。
そんな投げやりな感情に包まれれば、他人の命もどうでもよくなった。
誰が死ぬことも、誰かを殺めることも厭わない。恨みが晴れるなら、それでよかった。
「奥さんも子供も待ってる」
「……会いたくない」
「嘘つけ」
「今更、どの面下げて帰れる!?」
小野がむせぶ。その背中が、最後の力で牙をむく。

351 :DON'T STOP BELIEVING(5/5) ◆vWptZvc5L. :2006/07/02(日) 20:02:59 ID:dXViVj/W0
はるか彼方に残してきた係累。気にかけないはずはない。
けれどこの手が何をしたのか、わが子を目にして言えるだろうか。
死にゆく仲間、変わりゆく仲間。気づけば自分も変わっていた。
残ったのは混沌と憎しみ。口を開けば、出てくるのは他人を呪う言葉ばかり。
こんな姿、見せられるはずない。帰りたくない、帰らない、帰れない。
今はただ祈るだけだ。こんな零落した自分が見つからぬように。
その屍すら異郷の土と消えて、彼らの目には触れぬように。
「殺すんだ……それで、俺も将のとこに行く……」
「たすく…?」
そういえば金澤への罵倒の中に、その名が混じるのを聞いた気がする。
それか。それがこいつを縛り付けているものの正体か。

「本当は辛いんと違いますか」
切り出したのは西岡だった。今江の広げる腕をそっと押しのけ、小野の元へ歩み寄る。
「苦しくて仕方ないんでしょ?」
「……」
小野は微動だにせず、突っ伏したまま。
「もう……楽になりませんか…?」
少し震えた声。その口調に今江はハッとする。
始動する西岡の右腕、その手に握られているのは。
「西岡ああああ!!」
今江が西岡の腕を押さえ込んだのは銃声とほぼ同時。
瞬きさえできぬほどの時間、その光景は大塚の網膜に鮮明に焼きついた。
目の前に放たれる火花も、それを受けて跳ねる小野の体も、すべて。

352 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 21:11:41 ID:MTL5OZyq0
職人様乙です…あああああ明ぁ!?

353 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 21:25:11 ID:2CvCTU0t0
うはあ、西岡はキッツイ役どころだなあ。

職人様乙です!

354 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 21:39:50 ID:cOc6uocI0
職人様、乙であります……うわぁぁぁぁぁぁぁ晋吾ぉ――!!!!



355 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 22:28:40 ID:UDIlFXib0
職人様乙です。
( ノД`)シクシク…晋吾……

356 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 23:38:44 ID:i98k6/5h0
職人様乙です!

晋吾おおおおおお。・゚・(ノД`)・゚・。

357 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 23:43:04 ID:fIeI+RVgO
職人様乙です!
あぁ…もう、何というか…。・゚・(ノД`)・゚・。

358 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/02(日) 23:47:37 ID:iKt4y2IK0
職人さん乙です
ここまで来ると、誰がいなくなってもきっついですね…( ノД`)

ラストまでもうちょっとですよね…
ティッシュ用意して待ってます!がんがって下さい!!

359 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/03(月) 01:08:58 ID:TKpdWxbOO
職人さん乙です!
小野に西岡…( ´;ω;`)

360 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/03(月) 06:32:11 ID:YnNOnLMOO
職人様乙です!
西岡しっかりしてー!!
自棄になるなー!!

361 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/03(月) 18:28:34 ID:uFELpY9Q0
職人様乙です。
…晋吾。・゚・(ノД`)・゚・。

362 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/03(月) 21:53:52 ID:eTiZ7+3M0
うわああぁぁ、晋吾ぉー!!
これはキツいなあ。でも凄い。
職人様乙です!!

もっと細かい感想も書きたいんだけど、次の展開の予想になるとまずいのかな?
とりあえず、西岡お前…。

なんというかその、ここまでくれば、誰がどうなっても、覚悟はしときますよ。

363 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/04(火) 10:23:33 ID:XOYttrJi0
ほしゅ

364 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/05(水) 01:17:09 ID:6btQNzhjO
捕手サネ

365 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/05(水) 23:39:33 ID:NfDHBrsW0
ほ   ゅ
  し

366 :散々(1/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:36:46 ID:8ML4Z49v0
「命の選別……やと?」
体を堅くしたまま、薮田安彦は石がちな土の上に片膝を立ててしゃがみ込んでいた。
その後ろ、わずか2mもないところには横向きに地面に転がる成瀬善久。依然として気を失っている。
そのつま先のところに、薮田の持っていた銃がある。そしてそれを取りに動くことは出来ない。
「そうです。このゲーム、誰も彼も構わず殺してやるっちゅう人間は、むしろ少ないと思いませんか」
平下晃司が微動だにせず、仁王立ちして薮田を見下ろしている。
その右手には彼の拳銃、真っすぐに薮田へと向く。
平下の更に後ろに、もう一人倒れた人間の姿。頭を平下側に向けながら天を仰ぎ横たわる。
代田建紀もまた、白目のまま平下の背中を見つめるだけである。
 眼光鋭く正面の平下を睨みつける薮田。それに悪びれる様子は皆無で、平下は言葉を続ける。
「どんなに大きな理由があろうと、殺すか殺さないかは当人の胸先三寸。
 そいつにとって利になるか害になるかで、相手の命を選別してるに過ぎないんですよ。
 俺にとっては外野手やリスト入りしてるあなたを殺したいし」
「平下、まさかお前……ゲームに乗ったのか」
嫌な予感がその顔に浮かぶ。薮田の感じた良くない直感は正解であった。
平下は自分の競争相手となる参加者達を狙っている。運営側の企画に乗った人間。
「そしてあなたにとっちゃ、馴れ合って仲良くできるお友達以外は、殺したい相手。
 ゲームに乗った? それは薮田さんも同じでしょう?」
「一緒にすなや! ワイは乗ってなんかない。ただ運営側の奴らを」
「殺してやりたい?」
「……っ!」
思わず言葉に詰まった薮田の顔を見て、平下は酷く愉快そうな顔になる。
薮田の眉間にわずかに皺が寄る。苦悩の表情は、どこか泣き顔にも見えた。
「所詮はね、理由が違うだけなんですよ。何かを守るために、他の何かを殺す。
 それがこのゲームの本質。骨の髄まで浸かってるんです。俺も、あなたもね」
薮田は沈黙したままだ。それを見ながら平下がほくそ笑む。

 ほら、所詮は正義感を気取っている連中もこの程度なのだ。俺と何も変わらない。
反論などできるはずが無い。殺意を持った瞬間から、その土台は崩れ去っている。
いや、その土台を崩すことからこのゲームは始まっていたのだから。

367 :散々(2/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:37:04 ID:8ML4Z49v0
無理もないのだ。そしてそれぞれが、それぞれの理由の元に殺し合う。
正義も悪もない、ただの弱肉強食。選択する権利を与えられるのが強者というだけだ。
仲間を守るなんてキレイゴトを吐いても、弱ければ昼間に夢を見るのと同じ。
そう。強くなければ、勝たなければ、生き残らなければ、永遠にコールドゲームをやり続ける。
だから俺は、自分の居場所を勝ち得るために全力を尽くせる。
そして最後に生き残り、俺の今まで歩いたところが強い者の道だったと示してやる。
そうだ、俺の居場所を勝ち取るために。

 しばらく流れた沈黙を破るように、薮田がうつむいていた顔をやや上げた。
その視線が相変らず悲しげで、しかししっかりと見開かれているのに少し驚いたのは平下の方だ。
それは少なくとも、自信を失い打ちひしがれた者の目ではない。弱者の目ではない。
「平下……お前の言うとおりかも知れん」
薮田が静かに言葉をつむぐ。次第にその声は熱を帯び、少しずつ大きく平下の耳に届く。
「誰かを守るために誰かを殺すのは己の勝手なのかも知れん。
 それでもワイはこれ以上、大事な仲間が死ぬのを見たくないんや。
 そのためにはワイが例え一人の仲間を殺すことになっても、大勢の方を守る」
平下の右手が震える。血管が額に浮き上がる気がした。
薮田はこちらを見て動かない。いとも簡単に、目の前の男は自分の答えを言い放った。
まだ手が震える。なぜ? 怒りに震えているのか。こめかみでピクリと何かが動く。
「おエライもんですねぇ。自分のすることに、よくもそんなに自信満々になれるもんです」
「そうしろて、最期に言うてもろたから」
「は?」
「自分を信じろ、てな。ワイはあの人を信じてる、せやから、ワイはワイを信じることに決めた」
鼓動が高まる。息が荒くなった。血液が熱くて、気づくと肺の奥から喉を通る息まで熱を帯びる。
薮田は微動だにしない。片膝をつき、地面にしゃがみ込んでいるままだ。
その真っすぐに自分を向く視線を見て、何故か平下は激しく憤りを覚える。
右手に持つ銃を使うことも忘れ、体中が震えるのにも気づいていなかった。
目の前の男が公然と言い放った仲間を守るという言葉。
白々しいただの絵空事のはずの言葉に、なぜか平下の心はどうしようもなく苛立っているのだ。

368 :散々(3/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:37:35 ID:8ML4Z49v0
「……カッコつけるんやないぞ。俺達の生業を考えや。
 ええ結果を残すってのはその分誰かを踏みにじるいうことや。誰かを犠牲にして今があるんやろうが」
突如険しくなった顔と共に、努めて静かにゆっくりと喋っていた口調が一変する。
まくし立てるような早口に薮田は一瞬驚いた表情を見せ、しかしゆっくりと答えを返す。
「確かにそうや。そうやけどな、野球ってそのためにやるんと違うやろう?
 勝つために、そして優勝するために。そのためには9人どころか、大勢の力が要る。
 それがチームや。ずっとそのために一緒にやってきた、それがチームメイトやないか」
その言葉にピクリと目頭の筋肉が反応する。平下の目は更に険しくなった。
ほんの僅かなその変化は、さすがに薮田も気づかない。月が平下の背側から、彼を照らしている。
「同じモン目指してきた仲間や。せやから、ワイは守りたいと思ってる」
今度は平下が動かない。しばし、薮田に見据えられたまま何も言葉を発さない。
ただただ静かな空気が二人の間に流れていく。
 薮田は手のついた地面の感触を確かめる。固い土に、石と土くれの混ざる地面。草はまばらだ。
ほどなく後ろには銃がある。一歩では届かない、二歩で届くかと言う距離。
平下からの攻撃を避け、この距離を詰める方法を思案する。何か隙が、ほんの一秒でも出来れば。

「あんたには、わかんねぇよ」
平下が口を開く。薮田の視線がすぐにそちらに戻った。
どことなく声の調子に、怒りが薄れたような気がする。いや、薄れたと言うかむしろ……
一瞬、その声が哀し気に聞こえて薮田は耳を疑った。
もう一度見ると、平下の顔は依然として険しい。だた、それもやはりどこか愁いを帯びたように見える。
すぅとその視線が薮田から外れる。首が少しだけ回り、視線はその後ろに流れ、すぐに前に戻る。
平下の後ろ、いるのは仰向けに倒れた代田だけだ。
やや下向きの視線。それに向いていたような気がしたが、薄暗いために薮田は確信を持ちきれない。
何の意図も無いちょっとした動きだったのかもしれない。或いはちらりと彼を見たのかもしれない。
ただ、平下は既に薮田に対して目線を合わせるだけだった。

369 :散々(4/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:38:19 ID:8ML4Z49v0
「トレードされたり、中には一度クビになっても色んなチームを渡り歩いてる奴がいる。
 そんな奴は優勝どころやない。自分の居場所を確保するのだけに毎日必死なんや。
 チームメイトが大事やと? 俺にしてみりゃ、邪魔者でしかない」
 そう言う平下の表情がひどく冷たくて、薮田は怒りよりも先にやるせない気持ちを覚える。
風が少し吹き抜けた。邪魔者だと、そんな風に思っていたのか。
確かに今季の途中から入ってきた、まだよく知らない間柄だ。
それでも一軍に上がってお立ち台に上がった時は、あんなに笑い合っていたのに。
あの笑顔も、全て、そんな疎ましさを包んでいただけのものなのかと、薮田は思う。
「なんでそんな風にしか思えんのや」
「そら、俺はまだこのチームに来て一年も経ってないんでな」
平然と言い放つ。さも当然で、何の不思議もないかのように。
そうなのか、結局平下にはマリーンズの選手達はまだチームメイトではないのか。
自分達と積み重ねてきた日々がないから、いとも簡単に殺してしまおうと思えるのか。
薮田の中に諦めにも似た気持ちが起こる。
今、自分が信じているその拠り所が、目の前の男には通じない。
それがやるせなくて、それでも薮田はだからこそ平下の手にかかることはできないと思う。
このまま平下に殺されれば、自分の信じてきたものは全て崩れ去ってしまう。
もう一度考える。平下とは全く相容れることがないのか。
そのとき薮田の視界には平下の後ろに倒れる一つの影が入り、ふとした疑問が心に浮かんだ。
「なら……なんでお前は代田を守ろうとする?」
平下が口をつぐんだ。先ほどまでの威風堂々の態度に、少し堅さが混じるのが分かる。
何かが平下の心に触れた。薮田はそう感じる。
「そんなんと違うわ。成り行き。
 あんたを殺そうと思ったついでに、なんとなくや」
そう言い捨てる平下に薮田は更に問いかける。明らかに声に苛立ちが聞き取れた。
「嘘つけ! そんな風には見えん。
 お前にやって、何故か知らないけど、代田を守ろうとする気持ちがあるみたいに」
「違うて言うてるやろが!」
「俺と同じで、そいつは失くしたくないチームメイトみたいなんと違うんか? なあ!?」

370 :散々(5/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:38:35 ID:8ML4Z49v0
平下が代田を一瞥する。
それは一瞬で、すぐに薮田に向き直るが、何も言葉を発せない。しばらく沈黙が続く。
彼らは気づかなかった。先ほどまで白目をむいていた代田の瞳に少しずつ変化があることを。

 気づくと、夜空が見えた。その脇に夜空を狭めるように木々の黒い影。
視界の上には、更にちらちらと動く白い影。朦朧とした意識の中で、代田は誰かの叫ぶ声を聞いた。
背中にはゴツゴツとした感触。なぜか自分が倒れているのがわかる。
そんなことをしている場合か。耳元で誰かが囁く。自分の声によく似ている誰かが。
殺せ。ロッテの選手を。憎い。お前から野球を奪った奴ら。怨んでいる。ロッテ選手。殺すんだ。
何度も何度も耳元で囁く。それを聞いていると、いてもたってもいられない気になる。
ロッテの選手を殺してやりたい。憎い。憎い。憎い。
視界の上にまた何かが動く。白い影は、よく見慣れたユニフォームだ。ロッテのユニフォームだ。
誰かが着て、こちらに背中を向けている。上下逆さまに背中の字を読めば24番。誰だ? 
いや、ロッテ選手には違いない。24番をつけた、ロッテ選手。そうだ……確か立川だ。
憎い。殺してやりたい。俺とは違って野球が出来る者たち。
俺を蹴落としてのうのうと野球をやっているロッテの選手達を、この手で殺したい。
右手を握ると、慣れたナイフのグリップの感覚。血流が倍化する。体温が上がっていく。
さあ起き上がるんだ。この恨みの深さを、奴らに味あわせてやるんだ。

「ねぇよ」
平下が呟くように、静かに口を開いた。
その短い一言が、薮田の言ったことへの言及だと最初気づかなかった。
平下は少し下向きで、そのとき久しぶりに自分の右手にある銃に気づいたようだ。
少し下がっていた銃口を慌てて薮田へと向けなおす。手にかいた汗で湿り、グリップがやけに滑る。
薮田は言った。失くしたくないチームメイト。薮田の言うチームメイト。
勝つために、優勝するために、ずっと一緒にやってきた、そんなチームメイト。
代田が自分にとっての、それだと言う。バカが。自分の中で怒りが頂点に達するのが分かる。
やはりこの男には、薮田には分からない。何も分かっていない。
「ねえんだよ! もうそんなチームはなぁ!!」

371 :散々(6/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:38:53 ID:8ML4Z49v0
 もう、ない。
存在しないのだ。そんなチームメイトは。そんなチームメイトのいる場所は。
そんな甘ったるい夢を見ていたはずのあの場所は、もうどこにもないのだ。
だから、あのときのみんなは、何処にもいない。
散り散りになった。俺達は、原点のないまま空間にポツンとあるただの点に過ぎない。
今はただ、そんな奴らの一人と一人であって、生きるために蹴落としあうためだけの相手に過ぎない。
後ろにいる代田も、そう、助けたのなんて気の迷いでしかなかった。感傷でしかなかった。
分かっているのに。そのことは分かっているのに。
何故、自分は代田へ救いの手を差し伸べていたのか。
 頭の血管という血管で圧が上がるのを感じる。熱い、体温がどんどん熱くなる。
目の前の薮田がどうしようもなく疎ましく思えた。奴には守るべきチームメイトがいる。
その自信に満ちた思いが、どうにも苛ついて苛ついて。
それは背後の人間への感傷に動かされた自分への怒りも含み、平下は我を失いそうになる。
その溢れる激情はもはや止めようがなく、もう薮田へと乱暴にぶつけることしか考えられない。
 右手の銃の引き金に力を込める。汗ばんでいた人差し指の腹が滑った。
「ちっ」
少し焦ったせいで、もう一度しっかりと指をかけようにも上手くいかない。
薮田は動かない。止まった的だ。当てるのは至極簡単だ。
こちらを見つめたままだ。死んでしまえ。よく考えれば始めから殺してしまえば良かった。
指が今度はしっかりと引き金にかかる。一発ではない、何発も撃つ為にしっかりとかけろ。

ドン。

視界が揺れた。いや、体が揺れていた。そのせいで、放ったはずの銃弾が薮田の頬をかすめる。
何が起こった? チクチクと、右の背中、いや体内に違和感が拡がる。
薮田の顔が、何かに驚いた様子で自分を見ている。いや、自分ではない。
視線はそれよりも、わずかに右にずれていて。自分の斜め後ろを見つめているのに気づく。さっきからだ。

372 :散々(7/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/06(木) 01:40:09 ID:8ML4Z49v0
 平下は反射的に首を後ろに曲げた。
こけた頬に浮かぶ二つの黒い瞳が、平下の顔のすぐ近くで彼を迎える。
焦点のあいまいな、どこか虚ろな代田の瞳。彼がじっと見つめている。
その両腕は腰の辺りで曲がり、何かをしっかと握っている。その先が良く見えない。
薄い根元の辺りが銀に輝くのが分かった、根元だけ、それしか見えない。
あとは平下の背中のユニフォームから先に飲み込まれて。
彼の背中、防弾チョッキより下の布一枚に深々と突き刺さったまま、ナイフはその輝きを隠す。
平下は動くことも出来ず、その状況を分からないまま背中が熱くなるのを感じた。
静止画のような時間が流れる。そのわずかな間に、代田の手を伝って赤い雫が三つほど地面に落ちた。
そのとき、平下の顔をまじまじと見ていた代田の瞳孔が開く。
「平下……お前、なんで……ここに?」
震える声で代田が後ずさる。それにつられて平下の背中から赤い光を帯びたナイフが姿を現す。
そしてそれが完全に抜け切ると、まるで湿らしたスポンジを握ったみたいに血がとくとくと噴出した。
代田は更に後ずさる。虚ろだった目は正気に帰るのと引き換えに、怯えに満ちて瞼が震え続ける。
それを平下はただ見続けていた。幾らかうめき声が喉から漏れる。
代田の姿を見続ける平下は、やがて、膝からゆっくりと地面に崩れ落ちた。

373 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/06(木) 01:51:14 ID:XJ2ayMwDO
うわ…リアル投下…
職人様遅くまで大変乙です!
平下…代田…悲しすぎるorz

374 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/06(木) 20:59:07 ID:5pPdVXP+O


375 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/06(木) 21:22:04 ID:rkXQcnWbO
職人様乙です!
えぇー、こう来たかー!!
深い、深すぎるぜマリバト…!

376 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/06(木) 22:21:01 ID:Yu71TJN30
>>「ねえんだよ! もうそんなチームはなぁ!!」



。・゚・(ノД`)・゚・。

377 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/07(金) 00:33:35 ID:dThgZK1d0
平下……薮田神と分かり合って欲しかった……

378 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/07(金) 00:50:10 ID:pffqMwHN0
はじめから一気にここまで読んでしまった・・・
人間ってこわいな・・・深くて悲しすぎる・・・

379 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/07(金) 21:18:20 ID:L+IFK41i0
平下がぁ〜 ○| ̄|_

380 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/07(金) 22:52:39 ID:fXWieYX/0
牛ファンだった者にとって平下の言葉はかなりジンときます。
職人様、乙です。

381 :番外 園川一美と愉快なコーチたち34(1/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/07/08(土) 10:46:13 ID:z2rs2/gD0
「これは・・・、つぶれちゃっているじゃないか・・・。」
荘は再び涙目になった。
「え、いったい何が・・・?」
脇から吉鶴が荘の手にあるものを覗き込んだ。
荘の左手には、もなかが握らされていたのだ。

しかしそれは、男が荘の手を強く握ったときに、無残にもつぶれてしまい、
中から餡がはみ出てしまっていた。
「ひ・・ひどいよ。人を喜ばせておきながらこんな仕打ちはないよう。」
「荘さん、つぶれても味は変わらないよ、きっと。」
吉鶴は荘を宥めながら、なぜこんな事をしなければいけないのかと、うんざりした気分になっていた。

「HAHAHA、マダマダアリマスヨ。」
「えっ、ほんとに?」
問に答えるかのように男が包みからもなかを取り出すと、荘の表情がようやく明るくなった。

382 :番外 園川一美と愉快なコーチたち34(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/07/08(土) 10:46:54 ID:z2rs2/gD0
やれやれと思っている吉鶴に、ふとある疑問が浮かんだ。
吉鶴は一瞬躊躇した後、思い切って疑問をぶつけてみた。
「そういえばさあ、あんた誰なの?」
よく考えたら、やけに馴れ馴れしく近寄ってくる割には、
吉鶴はこの男に対して面識が無いのだ。
「エート、ア・・・ア、ジ、自己紹介忘レテマシタネ!」
なぜか突然男はしどろもどろになった。
「エエト、エエト・・・ソッソウダ、私ノ名前ハ。」
男が自ら名乗ろうとしたそのとき、背後から大声が響いた。

「いたぞ!!あそこだ!!」
振り返ると先ほどきた高橋が、再びグラウンドに戻ってきていたのだ。
「シマッタ、ココハ一旦サヨナラデス。」
そう言うや否や、男は自転車に乗り、ふらふらと外野のほうへと逃げていった。
「ちょっと、名前は!?」
吉鶴はあわてて追いかけたが、思いのほか自転車は速く、あっという間に引き離されてしまった。
そして、そのうしろ姿を園川はじっと見つめていた。
「・・・変装までして、何考えてるんだ、あいつは?」

383 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 12:37:56 ID:maoLWsV1O
職人様乙です!!
最中ワロスwwwww

384 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 18:35:05 ID:jjPnpuw6O
クライマックスを迎えてテンポも熱も激しくなる島と比べて、彼等の展開の遅さとヌルさはいったい何なんだ・・・

385 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:09:13 ID:f+EYuswU0
 折れ曲がった膝が地面に突き刺さる。膝頭をしたたか打った。衝撃に頭も揺れる。
体が倒れる寸前のところで左手が地面についた。しなやかに彼の上半身を支える。
固い地面に立ち膝になったところで平下晃司の視界にはふらふらと立つ影が映った。
代田建紀は平下を見つめながら、所在無さげな足取りで少しずつ後ずさる。
「だ……いた、さん? な……」
すぐに上げようとした右腕が上がらない。まるで力が入らずに、握力どころか肩から先は他人の物だ。
背中の下、やや右の部分からチリチリと痺れが拡がって、あっという間に胴周りと右腕全体を覆った。
動かし方を忘れたのか。何度頭が命令してもどこか導線が切れたロボットの部品のようだった。
歯を食いしばり、まだ思い通り動く左腕でなんとか体を支える。
腹にも力が入らない。声が出ないどころではなく、呼吸すら充分にするには細心の注意を要する。
傷周り全体が痺れ、痛みの感覚が不思議とほとんど無いのがにわかに恐怖を募らせた。
下半身、特に右の腰から下辺りは内部が異常に冷たい。その上を生温かいしみが広がって行く。
それがどういうことなのか理解できそうで、理解したくなくて平下は代田を睨む。
 代田はただ震えるばかりで、視線は右手に持つナイフと平下とを右往左往する。
しかしその状況を理解したか、あるいは受け入れるのを拒否したか。
顔の筋肉がひきつり始めたかと思うと、左手で自分の額辺りを強く押さえつける。
その手で左目だけが隠されると、残る右目は周りを見渡す。視線の行き来が徐々に遅くなり始めた。
ついには体の震えはなくなる。そしてまた、代田の目はドロンと鈍い光を放つように戻った。
左手をゆっくりと外すと、両目は先ほどまでの虚ろで濁った瞳に戻る。
それでも平下を見ている間はその大きな瞳をより大きく見開き、戸惑う様子が垣間見える。
代田は何度か場を見渡して、しかしその場で立ち尽くしたままだった。
 刺した瞬間に現れたのは予想外のかつてのチームメイトの顔。
代田の高まっていた憎しみは一瞬どこかへ消え、ただ平下に対する代田に戻っていた。
しかしそれも束の間、代田の中では再び催眠が優位に立ち、殺意が取り戻され始めたのだ。
そこにいる平下だけが、ロッテ選手としての照合が上手くいかず命令系統は混乱する。

386 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:10:16 ID:f+EYuswU0
ばちん。チップの制御命令、これも代田の精神を余計に混乱させるだけだった。
「リスト外、ヒトリ……フタリ?……ヒトリ?」
代田が小さく呟いたのが平下には聞こえた。

 代田の中で何が起こっているのか皆目見当がつかない。
だが、その声に混乱が混ざっていて、どうやら次の行動に逡巡しているらしいのは確かだった。
その間に平下は立ち上がろうと試みるが、足にまだ力が戻らない。
口惜しさが口を突いて出たつもりだったが、まともな声にならずにただの喘ぎ声となって漏れた。
 そんな様子を目の前に、一瞬先に動き出したのは薮田安彦だった。
代田が平下を刺した瞬間は驚いたが、それから代田の様子が明らかにおかしい。
平下はそのダメージで思うように動けないようだ。二人は自分自身に気を取られているようだった。
注意が完全に削がれたと判断した瞬間、薮田は真後ろに体を傾けながら地面を蹴る。
地面の上で回転し、でんぐり返りながら横たわる成瀬善久の元まで一気に距離を詰める。
 その様子に平下が気づいた時には、既に成瀬の足元の銃に手がかかっていた。
もっとも銃を持つ右手が思うように動かせぬ平下にそれを止める術はないのだが。
代田のほうはと言えば、リストの人間である薮田は攻撃対象でないだけに何も行動は起こさない。
ただその動きはしっかりと眼に映っている。
だから、成瀬の元までたどり着いた薮田が起き上がり様に拳銃を持ったのも見逃してはいない。
間髪入れずにその銃口が代田を向いたのを判断すると、すぐに横へと跳んだ。
 響いた銃声が鼓膜を揺らす。その頃には、狙っていたはずの代田の姿は消えている。
「ちぃっ!」
右か左か、どちらに移動したのか。残像すらも見えなかった。
勘か、あるいは感覚か。パッと右を振り向こうとした時には、強い衝撃で頭が揺れる。
右手に特に強い衝撃。痺れが覆う。ナイフではなく、肩から薮田の拳銃ごと右腕に当たられた。
衝突のために若干緩めたスピードで、しかし隙を突かれた薮田は体ごと吹き飛ばされる。
拳銃がすぐ傍に転がった。薮田はすぐに起き上がろうと体を起こす。
沈黙したままの代田の方から、何か動く衣擦れの音が聞こえた。
視界がそれを認識した時、成瀬の真上でナイフを振り上げる代田の姿がある。

387 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:10:58 ID:f+EYuswU0
声を出したか定かではないが、口を大きく開けたまま薮田は地面を蹴って突き進む。
身を挺して代田に当たるつもりが、代田は薮田を一瞥し次の瞬間にはまた消えている。
誰もいない中空にぶちかまし、まさに肩透かしを食らった薮田がつんのめって倒れる。
その様子をほんの少しだけ移動していた代田が見下ろしていた。
「ぷぎゃ!」
幸いだったのは、倒れた拍子に成瀬の上に薮田の体が覆いかぶさったことであった。
 代田はナイフを持ちながら逡巡する。隙間はあるが、薮田もまた動いている。
正確に狙わなければリスト入りの薮田を殺してしまうのだ。
首を曲げて代田の方を向いた薮田はそのことに気づき、成瀬の上で大文字になりながら覆い隠す。
「うう……おもい!?」
「大人しくせえ!」
薮田が倒れ掛かってきた衝撃で気がついた成瀬が、今度はその重みに呻いている。
代田は小刻みに体を揺らしながら二人の周りを回ろうとしていた。
しかし成瀬のすぐ後ろは落ちてきた高い段差である。背後は壁に守られている。
薮田はそのまま地面を少しずつ蹴って、背中で成瀬を押しながら移動する。
ついには壁際まで成瀬を押し付けた。
「いだ! やぶたさん、いしがかおに……わぷ!」
「ええからそのまま体を小さくしとけ!」
崖の土から露出した石が頬にめり込んでわめく成瀬を薮田は必死で押さえつける。
大きく手を広げながら成瀬に寄りかかればその隙間をかいくぐって行くことは出来ない。
にらみ合いがしばらく続く。代田は立ち尽くしているが、その場を去る様子もない。
薮田の額に汗が滲み始めた、そのとき、一発の銃声がこだます。

 薮田がその音の方に顔を向け、代田が同じく振り返ると、蜃気楼のように立ち上がる平下の姿。
首に力が入らないのかうつむきがちに、上目遣いで二人の方を睨んでいる。
いや、正確には代田を見ている。その苦悶の表情は刺された怒りなのか、自身の苦しみからなのか。
しかし代田は走り出さない。平下の銃口は地面へと向いているからだ。
右腕が震えている。なんとか銃こそ握っているが、肩が上がらないように見える。
おそらく今の銃声も地面へと発射された物なのだろう。
自分へと攻撃が向いていないと判断し、代田はその場を動かなかった。

388 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:11:32 ID:f+EYuswU0
 薮田は代田の視線が自分を外れたのを見て、攻撃しようかと考えるが思いとどまる。
銃口は向けた途端に逃げられる。ちょっとした隙をつくだけならば簡単にかわされる。
しかも不用意に動けば成瀬が危険に晒されるのだ。
あのスピードが生きているうちは、代田をまともに倒すことは不可能に思えた。
(考えろ。こいつを倒すには、どうすればいい?)
助けようとした平下まで刺してしまった。やはり代田はこのまま生かしておくには危険過ぎる。
なんとかして、命を奪うか瀕死にするかしなければ、成瀬の身も守りきれない。
銃は体を伸ばせば届く位置にはある。問題はそれをどう使うかだ。
 代田がこちらを再び振り向く。今度は向かって左側に回りこもうと動く。
しかしすかさず体を寄せて成瀬をガードする。
「いだだ!」
後ろで成瀬がまた叫ぶ。それもそのはずだ、かなり強く壁に押し付けている。
成瀬もここに来なければ危険に晒されなかったのに。いや、今考えても仕方がないと思う。
後を追って成瀬がきたときは逆に成瀬のおかげで――。
(……そうや!)
目の前の地面には、いくつもの大きな石が転がっている。隆起した土壁からこぼれて落ちたのだろう。
薮田は成瀬を守りながら、足の届く範囲にある野球ボール大の石を少しずつかき寄せ始める。
(もう少し、一か八かやけど……)
足元には手に持ちきれないばかりの石が集まった。代田はこちらの様子と、同時に平下の様子も窺う。
平下は少しずつ回復してきた右腕を、振るえながら上げている途中だった。
あと少し上向けば、その銃口の角度はピタリと代田へと向く。
薮田は唾を飲んだ。
平下の腕が少しずつ、ほんの少しずつ上がってくる。
声にならない声を吐き続け、鬼のような形相の平下が代田だけを睨んでいる。
もう少し、もう少しで代田に向く。薮田は集中力を高める。
警戒を強めているのか、代田の視線が平下に向くのが多くなり始めた。
あと数秒もない、薮田の視線は代田の足元へと向く。
あと少しだけ平下の肩が上がれば、その瞬間にあの足が爆発的な駆け出しを見せるはず。
その瞬間を見極める。おそらく、筋肉が大きく伸縮する直前には、全体が一瞬脱力するはずだ。
注意深く、代田の膝の辺りを見る。かき集めた石を腕に抱えながら。そしてその時は来た。

389 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:12:12 ID:f+EYuswU0
 平下は腕を90度付近まで上げると、一気に手首を返す。銃口が向いた。
そして代田はそれを見て飛び出す。まずは横、薮田から遠ざかるように。
薮田からは直線の、近くから遠くへ行くだけの動き。はっきりとその影が映った。
平下は代田を見失い戸惑っている。しかし、薮田からははっきり見える。
「今や!」
薮田は体を回転させると、投網を投げるように腕に抱えた石を一気に空中へ投げ飛ばした。
勢いがついた十数個の石は、空高く舞い上がり放物線を描いて飛んで行く。
投げた先は平下と代田の間にある数mの空間。
それらが地面へと落ちて行く途中、鈍い衝撃音と人間のうめく声が響く。
幾つかの石を体の正面にめり込ませ、代田が突き飛ばされたような格好で空中に静止している。
無数の石はトップスピードで平下へと向かった代田の前に現れ、避ける暇もなくそれに突っ込んだのだ。
高速で移動する物体が物に自ら当たれば、その衝撃は高速で向かってきた物体が当たるのと同じである。
自らの速度で飛んできたボール大の石が次々と体にめり込むのと同等。石の弾幕を喰らったのである。
 代田は銃撃を避ける横移動から、今度は平下のほうへと駆け出すはず。
この移動の癖に賭けた薮田は、トップスピードで駆ける代田の前に石を投げつけた。
そう、成瀬が偶然にも段差を降りてきて代田と衝突し双方が大きなダメージを受けた時のように。
 よし、と心の中で相づちを打つ間に、薮田はすぐそこにある銃に手を伸ばす。
代田は顔や腹に弾幕を食らった影響で、前後不覚になりよろめいている。
このチャンスを作るためだった。代田はまだ、こちらを見てすらいない。
銃を取り上げ銃口を向ける。引き金に手をかける。
(愛甲さん……!)
今際の際の顔が浮かんだ。それが最後に躊躇う気持ちを振り払う。
やはり仇討ちなのかもしれない。憎しみで代田を撃つのかもしれない。
立て続けに引き金を引くと、ありったけの弾丸が火花とともに発射された。
ほんの少しの自問自答を背に、弾丸は真っすぐと代田へと向かう。
 代田の頭が見えない何かに殴られたようにグンと大きく動く。
代田の体が一瞬直立して、そして薮田の方を向きながら前のめりに倒れていく。
横向きに地面に顔を打ち付けてから横たわる。その顔に赤い筋がゆっくりと伝うのが見えた。

390 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:12:46 ID:f+EYuswU0
左側の側頭部、そこが抉られたように髪が凹む、そこから血が滲んでいる。
薮田の息が荒くなる。動悸がどんどん収まらなくなっていく。
「やっ……たっ……」
薮田は腰から力が抜け、両腕を下げた。代田はピクリとも動かない。
ただのその目は見開かれたままであった。そして代田の元に、ゆっくりと平下が歩み寄る。

 感覚が抜け落ちていく。見えるのは薄暗い地面。
こうなるまでの経緯が妙に断片的に思い出されて、コマ送りのようだった。
ばちん。頭の中で火花が弾ける。でも体は動かない。
はち、ばちん。もう二度、三度。動かない。
 少し嬉しい。やっとこの火花から開放されたか。苦しみの時間から。
ずっと野球がしたかった。ずっとあの場所にいたかった。
プロに入り、何度も夢に見た一軍の選手。それに自分はなりたかった。
チームメイトとして優勝目指して、一緒にやっていきたかったのに。ロッテは自分を追い出した。
年齢的にこれが最後かもと感じていた。だから最後にロッテに賭けていたのに。
いとも簡単にクビにされて、しかもケガしてて、どうしようもなくて。
そうしたらロッテ選手達がたまらなく妬ましくて憎くて、うらやましくて。
そんな俺が嫌いになりそうだった。でも、消えようがないどす黒い気持ちは事実だった。
その憎しみに自分を見失いそうになっても踏みとどまっていたのに、一線を越えてしまった。
もしこのまま死んでしまうなら、それだけが悔やんでも悔やみきれない。
 夢があった。ずっと昔のあの時から。藤井寺にいたあの時から。
二軍暮らしの仲間達はみんなイイ奴で、プロに入って良かったと思った。
全員一緒にいつか一軍に上がって大活躍してそんで優勝して…。そんなことを頭の中に描いてた。
年下で、でもプロ入りは自分より先輩の平下って奴がいた。
同じ外野手で、同じく足が速いのが売りで、だからか1・2番を二人で打たされたりした。
本当なら競争相手だった。だから最初は特に仲は良くなかったし、話す事もなく過ごしてた。
でも試合に出ていれば監督から色々と教えられるし、会話もする。実力も分かる。
俺が塁に出たら平下が一二塁間を抜いて、俺は三塁まで行くなんてのはよくある作戦。
平下にちゃんと引っ張れといったら、その前に塁に出ろよと返してきやがった。

391 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:13:17 ID:f+EYuswU0
ある日それができたとき、なんだか笑いがこみ上げてきた。
凄いな、できるんだな俺達はって。小さな自信が、少しずつ大きくなった。
そんな日々を過ごしているうちに、俺も、そして平下も、他の仲間もみんな凄くなるんだって。
いつか一軍の世界で俺達がドでかいことをやってやるって思ってた。
……現実はそんなに甘くなかったけど。結局、俺も平下も、そのチームを移っていった。
 でも俺の夢はあの頃から変わっていない。まだそのために俺は野球を続けている。
俺がいて、仲間がいて、そして一軍で俺達は活躍する。それが俺の夢見た居場所。
だから殺したくはなかった。どんなにかロッテ選手が憎くても、殺したら台無しなんだ。
それなのに体が勝手に動いた。バレンタイン監督の目を見ていると、気持ちが抑え切れない。
俺の夢を、俺がどんどん裏切ってた。
だから今何もかも動かなくなって、やっと安心できるんだ。

「……なあ……俺は、ただ、あの頃みたいに野球がしたいだけなのにさ……」
ごく小さな声で代田が呟くのを、そのすぐ傍に立つ平下だけが聞き取れた。
焦点はどこにも合わず、心なしか光が濁ったような両目はしっかりと見開かれていた。
何を見て言ってるのだろう。いや。何も見えていないのか。
左側頭部の抉れた部分から血が滲む。既に顔や首を伝って落ち、地面に染みが広がっていく。
放っておいたら死ぬだろうか。あるいは回復するのだろうか。
平下には知る由もない。
ただ朦朧として自分の存在さえ認識できない代田を見て、もはや恐怖は感じなかった。
血だるまになりながら、何故か顔がにこやかな代田を見ていると頭に怪我を負っているとは思えない。
平下自身、噴き出す血がようやく止まりだしたものの全身には倦怠感がのしかかっている。
「代田さん」
「あの頃みたいにさ……俺達は……凄くて……」
話しかけた平下への返事はなく、代田はひたすら何か呟くばかりである。
その言葉に反応して平下はしばらく口をつぐむ。あの頃、という代田の言葉である。
「……いつか、一軍で俺達が……ドでかいこと……」

392 :ないものねだり ◆QkRJTXcpFI :2006/07/08(土) 22:14:12 ID:f+EYuswU0
聞き覚えがある。そういえばこの人は、酒を飲むと柄にもなくこんなことを言っていた。
子供みたいにただ単に野球が好きで。ひょろっちい癖に兄貴肌なときがあって。
「そう、優勝……させるんだ……バファローズを……って」
「そうすか、あの頃みたいに、ですか」
代田の顔に伝う血が、目に入ってからまた溢れて流れる。まるで涙のようで、酷く滑稽で。
どうやらそれを気にする様子もなく、朦朧とした意識の中で代田は話し続けている。
平下の右腕の痺れはだいぶ和らいだ。一時的なショックによるものだったのだろう。
その代わりに立ちくらみはするし、逆に今さら背中は張り裂けるように痛んで苦しいのだが。
すっかり握力も戻り、右手の銃もしっかり握っていられる。
だから平下は、しっかりと狙いをつけた。
たった一発。血の滲む代田の側頭部に、垂直に放たれた銃弾はしっかりとそこを突き抜ける。
代田の体がビクンと大きく跳ねると、目を一際大きく見開いてからゆっくりと弛緩していく。
何かを言いかけていたが、それは断末魔の小さな嗚咽となって喉から漏れる。
「もう無いんすよ、あの頃は。俺達のあの頃は……
 ないものねだりしてたら……いかんのです」
不意に平下の意識が遠くなる。気を持とうにも、先ほどからの立ちくらみが更に酷くなる。
ふっと意識が途切れる。平下は膝を突くと、急激に眠くなるのを感じた。
ふと前を見ると誰かが立っている。薮田と成瀬だった。
何も言わない。ああ、これは殺されるのかと平下は思う。
そして平下はほどなく、完全に気を失った。
 ガクンと前に倒れる平下を受け止める。薮田は平下の腕を取ると、うつ伏せに横たわらせる。
ユニフォームの背中をまくる。成瀬に出した指示は、応急処置の道具だった。
「やぶたさん?」
「何や?」
成瀬の問い。平下の背中の傷口にタオルを押し当てながら、薮田は振り向かずに答えた。
「ひらしたさん、なんで、ないてるんですか?」
「……そやな」
再び平下が意識を取り戻すのは、しばらく時間が経ってからのことである。

【代田建紀×】

393 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 22:27:16 ID:wDZAWh5+0
。・゜(ノ0`)゜・。

代田・・・平下・・・そして近鉄・・・。・゜(ノ0`)゜・。

394 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 22:35:17 ID:XkcwXa/60
新作キタ━━━━━━(T∀T)━━━━━━ !!!!!代田カワイソス
職人様は俺を泣き死なせるおつもりか…。゚(゚´Д`゚)゚。

395 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 22:45:30 ID:vw4pVy070
近鉄を優勝・・・。゚(゚´Д`゚)゚。

396 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 22:47:30 ID:3qrnJTpW0
代田――――――――――――。・゚・(ノД`)・゚・。――――――――――ッッ!!!!!!

397 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 23:16:13 ID:9KUjU+wI0
全米が泣いた
そして、私も号泣した

398 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/08(土) 23:17:09 ID:RIjU6kI1O
代田、、、おつかれ・゜・(ノД`)・゜・。


399 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/09(日) 03:01:25 ID:ck5v4rTp0
職人様、乙です……・゚・(つД`)・゚・
そうだよなあ、これ04年オフの話なんだよな……

本当に、全部戸田の見てる夢だったらいいのに
助かる方法が見つかったのにまだ殺し合いがとまらないなんて悲しすぎる

400 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/09(日) 10:17:57 ID:JuDOJYSd0
職人様乙です!

代田・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

401 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/09(日) 17:36:31 ID:2+VnFZ5f0
代田…ごめんよ…お前は悪くないのに…ウッ…

402 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/10(月) 06:18:18 ID:kcp3FjHWO
捕手。
代田に全米が泣いた( ゚ μ,゚)

403 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/10(月) 06:19:56 ID:kcp3FjHWO
>>402
しまった、ひらりんはっちまった…orz
本当にすいません゚・(ノД`)・゚。

404 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/11(火) 00:02:44 ID:YCG+XdaJ0
>>403
ワロスwwwwwwww


405 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/11(火) 00:07:59 ID:037Ucj5h0
思い出の藤井寺球場はもうないんだよぅ ノД`)゚・。 
…と直前まで涙と鼻汁たらしてたのに、>>402-403 で爆笑してしまった
「かお」でひらりん顔文字を辞書登録していたのかな?

406 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/11(火) 17:36:54 ID:+zcI7Ys7O
そんな代田が今日から一軍ですよ

407 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/12(水) 22:23:49 ID:J5/Q8IHjO
保守

408 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/13(木) 08:55:32 ID:fA1H8rlEO


409 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/13(木) 12:20:08 ID:nBGvWUD80
保守

410 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/13(木) 16:25:03 ID:qEI5fWRp0
●●●●●●●●●●珍珍●●●●●●●●???珍珍珍
●●●●●●●●●●珍珍●●●●●●●●???珍珍珍
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411 : :2006/07/13(木) 22:47:00 ID:e4yYLy3m0


412 :悪夢はもう見ない(1/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:45:13 ID:WH+mCYv50
肩も腰も、体が痛い日常が当たり前のように存在した。
これはその延長か。切り裂かれた右肩、腰に受けた銃創。
体を板ばさみにして、押さえつけられたような重苦しさを小野は感じていた
起き上がろうとすれば、全身が鉛のようで重い。動けない。
こんなに苦しいのに、なぜか頭だけは冴えている。そっとまぶたを開けば、
不思議と周りの空気が澄んで見える。何もかもが、あんなに澱んで見えたのに。
鱗が落ちたとでも言うのか。目に映る景色は暗がりにきらめき、
石ころ一つ一つまでもが静寂の中に自己主張をする。そこに白いものが目に入った。
銃弾を受けたはずみで、背にした荷物から転げ落ちてきた白球。
それを視界に捉えれば、なんという気もなしに血が騒ぐ。きっと投手の本能だ。
指先はまだ動く。そっと右手を地面に這わせ、ボールを受け止める。
触れるだけの指先。馴染んだ皮の手触り。縫い目の感触まで、この手が覚えている。
幼い頃から身近にあった。無邪気にボールを追い、投げつづけてきた日々。
あぁ、この手はボールを握るようにできていたんだなあと、今更ながらに思う。
自分の武器は、誰かを傷つける刃でも誰かを呪う言葉でもない。このボール。
こんな近くに答えがあったんじゃないか。生きる意味とか、そんな大げさなものじゃなくて。
俺はただ素直に野球が好きだったんだって、それだけのこと。
好きだからこそ、リハビリも2軍生活も耐えてきたし、ここから帰りたいと一時は思った。
なのに憎しみに溺れるあまり、そんな単純なことさえも見失っていたんだ。
憎しみも悲しみも消えたわけじゃない。そういう汚れた部分も確かに認める。
でも、それ以上に大切なものがあったはず。今まで悪い夢を見ていたんだ。
気づくのが遅すぎる。なんで今頃になって。
もう自分にはそのボールを握る力さえ、残されていないというのに。
「……、晋吾ッ!」
思考に割り込む声。そこで初めて名を呼ばれているのに気づいた。
小野がおぼつかない目線をあげる。そこには必死な顔をした大塚。
そしてその向こうに――

413 :悪夢はもう見ない(2/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:46:05 ID:WH+mCYv50
「西岡、お前なんで…っ!?」
なおも発砲しようとする西岡を押さえるべく、今江が西岡の腕を掴む。
「あれやったら死んだ方がマシや!」
今江のせいで手元が狂った。相手にはまだ息がある。
早くとどめを刺さなければ。相手が苦しまないうちに。
「あんな弱っとる人を撃つ理由がどこにあんねん!?」
「けど、あんな状態で生きとっても…ッ!」
西岡が今江の腕を振り切る。突き飛ばされた今江が尻餅をつく。
「にしおかぁあああ!!!」
今江が体勢を立て直そうとしても間に合わない。
西岡の照準はすでに小野の頭部へ定められていた。
それが一番苦しまずに逝ける。それが互いのため。
(晋吾さん、苦しいんやろ。今、解放したるさかい)
西岡が引き金を引こうとしたそのとき、
「……いい弾をもらったよ」
小野が懸命に声を絞り出す。誰に向けて言ったのかわからず、大塚が振り向いた。
その声が、西岡の全身を駆け抜ける。にわかに全身の熱が引いていく。
「あれで…目が、覚めた……」
屈託のない声で続けられる。語りかけるのは穏やかな瞳。
まるで感謝するかのように。心なしか口元に微笑さえ浮かべて。
それを見ただけで、もう撃なかった。体が硬直し、指先が震える。力が一気に抜けた。
「あ……」
両手で頭を抱え込み、その場に崩れ落ちる。
西岡を止めようと背後から飛び掛ってきた今江がそれを支えた。

何故そんなことが言える。自分を撃った相手に向かって「いい弾」だなんて。
さっきまでのように殺してやると罵られれば、ためらいなく撃てたのに。
自分に対してあんなに敵意を向けていた小野がどうして。
あんな精神を病んだ人間に何をやっても無駄だと、そう思っていた。
それなら肉体も滅んでしまったほうが身のためだと。
なのに小野の正気はまだ生きていた。そうでなければ、あんなこと言えるはずがない。
西岡の信念が揺らぎ始める。打ち寄せる波が岸辺を崩すように、少しずつ。

414 :悪夢はもう見ない(3/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:46:41 ID:WH+mCYv50
病んでいるのは本当に小野だったのか。狂っているのは? 非があるのは?
本当に小野「だけ」だったのか。繰り返す自問自答。答えは出てこない。
違う、自分でも自覚しているからこそ答えられないのだ。
本当は、無抵抗の相手に銃を向けた自分の方ではなかったか。
解放? 裁く? 嘘つけ、どの口がそんな戯言をほざく。
自らの行いを正当化するだけの、都合のいい言葉だ。
そして西岡は気づく。自分の足元に転がる幾体もの骸を。
そのうちの一体が自分に向かって笑いかけてくるのを。
それを見た瞬間、体の芯から震えが来た。背筋が凍る。
両手で自分の二の腕を押さえるが、震えはとまらない。
何故笑う。ざまあみろと責めているのか。気にするなよと許してくれるのか。
西岡の見た幻は、紛れもなく自分が手にかけた金澤岳。
自分が撃ったのは本当に小野晋吾だったか。
その姿に他の誰かを重ね合わせてはいなかったか――

「西岡…?」
今江が呼びかける。様子がおかしい。何を考えている。
宙を見つめたまま小刻みに震えて。さっきまでの勢いはどうした。
さっきまで銃口が向いていた方を見れば、大塚が応急処置を試みている。
ひとまずもう撃つ事はないだろうと判断して、今江は大塚のもとへ駆け寄った。
「大塚さん!」
「晋吾は死なない。これくらいで死ぬか! 絶対に…絶対にっ!」
今江に何か聞かれる前に、答えを返す。だが口ではそう言っても、内心の焦りは隠せない。
撃たれたのは頭でも心臓でもないし、意識もある。
ただその前の衰弱を考えれば、予断は許されない。出血との戦いになる。
小野のベルトを抜いて、銃創から心臓に近い側にきつく巻きつける。
心臓につながる血管を圧迫して、少しでも出血を食い止めることができれば。
「…?」
小野が大塚のズボンの布地を引っ張っているのに気づいた。何か言いたそうにして。
「どうした?」
「もう、いい……」
小野が小さく首を振る。

415 :悪夢はもう見ない(4/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:47:49 ID:WH+mCYv50
「潔く…死なせろ……」
「はぁ? ふざけんな!? カッコつけてんじゃねぇぞ。
 死なせねぇ、絶対に。引きずってでも一緒に帰るんだ」
大塚が小野の訴えを一蹴する。血は止まる気配がない。
自分の死期は本人が一番よくわかっているのかもしれない。
それでも認めたくない。これ以上は、もう誰も。
「ああ、どうしたら……」
今江は頭をフル回転させ、必死で打開策を探し出す。
自分には何もできないのか。ただ死にゆく姿を見ているだけなのか。
不意に里崎の手当てをしていた初芝が思い浮かんだ。
わずかな望み。倉庫に戻ればそれなりの手当ても道具もあるかもしれない。
藁にもすがる思いだったが、それでもこんな原野で途方に暮れるよりは。
「大塚さん、とりあえず皆のとこに運びましょう。
 こんなとこにおっても、どうしようもないです。あそこに戻れば、もしかして」
「わかった」
すっかり力の抜けた両腕を自分の肩に回し、今江が小野を背負おうと試みる。
その瞬間、涙が出そうになった。ユニフォームに血が染み込んでくる感触までそっくりで。
血だまりに浸かっていた小野の左手から、赤い雫が滴り落ちる。
ぽたりぽたりと鈍い音を立て、今江の胸に響きわたる。
何もかも既視感があった。それに似た重さを背中が知っている。
「さむ…い……」
「え…?」
突如、耳に聞こえたうわ言が、今江を現実に引き戻す。
血の気を失った唇が震えている。血液と共に体温までもが失われていく。
小野の言葉の意味を即座に理解し、大塚は自分のリュックの中身を漁る。
適当な厚手の上着を見つけると、小野の上に羽織らせてやった。
「頼むな」
今江は無言で頷くと、わき目もふらずに歩み出す。
大塚もそれについていこうとして、足を止めた。振り返れば、まだ座りこんでいる西岡。
「立てよ、おらぁっ!」
西岡の背に思いっきり蹴りを入れる。体が前に揺れ、地に手をつく。
首根っこをつかみあげ、無理やり立たせた。

416 :悪夢はもう見ない(5/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:48:11 ID:WH+mCYv50
「迷うな、生きろ。誰を殺してもいいからッ!」
「あ、あぁ……」
生返事しか出てこない。文字通り大塚に背中を押され、足を踏み出す。
まだ頭の整理がついていないせいか、思うようにスピードが出ない。
大塚も後を追おうとしたそのとき、急に腹部の痛みが増した。
周りから人が離れていったことで気が緩んだか。
歩き出す気力もなく、大塚はその場にくず折れる。
お前に他人を心配する余裕があるのかと、傷口はあざ笑う。
時間を置けば少しは痛みも和らいでくれるだろうか。
歯を食いしばり、天を仰げば、そこには満天の星空。
胸を締め付けるほどにきらきらと輝く星たち。
この空のどこかにあいつはいるんだろうか。もし、そうなら。
「和也、晋吾はまだ連れて行くなよ……」――

感傷に浸る余裕はない。それより足を動かせ。
あの時は助けられなかった。だから、今度こそ必ず。
「晋吾さん、負けんといてくださいよ……ねぇ、晋吾さん!」
呼びかけても返事はない。わずかに聞こえるのは苦しげな息と呻きだけ。
それが今江の不安を煽る。拭い去れない記憶が否応にもよみがえってくる。

濁りゆく意識。痛みより、恐怖より、寒さが全身を蝕んでいく。
辛うじて小野を繋ぎ止めるのは、遠くで聞こえる声。
もうその意味すら、自分には聞き取れないけれども。
恨みと憎しみに流されるだけだった自分は死んでいたも同然。
たとえその成就が自分の命と引き換えになろうとも構わなかった。
なのに、こんなにも生きたいと迷う自分がいる。
遠ざかっていく声。まだ生きてた自分が、ここにいた――

417 :悪夢はもう見ない(6/6) ◆vWptZvc5L. :2006/07/14(金) 00:48:28 ID:WH+mCYv50
風に溶けてゆく息吹。いつしか聞こえなくなる。
肩に回された小野の手が、重力のままにすべり落ちた。
「晋吾、さん…?」
だらりと垂れ下がった手のひら。力尽きて凍えてゆく。
今江の背に覆いかぶさる深い闇。その腕も足も頬も、時間までもが凍てつくようで。
「嘘ですよね……ねぇ、嘘ですよね…?」
誰も死なせない、そう思うたびに同じことの繰り返し。
また一つ、生命が自分の手をすり抜けていった。
何もできない自分が、あまりにも無力で情けない。
「誰か…助けてくださいよ……直さん…福浦さん!」
声にならない声。喉の奥から出てくるのは悔しさと無念さと。
もう少しなのに。助かるための方法がある。そのための手段もある。
なのにどうして。小野の言葉も最後には、トゲも毒気も消えていたのに。
あんなに敵意をむき出しにしていた西岡に対してまでも。
(そうや、西岡……)
はっと、今江が背後を振り返った。あいつは大丈夫か。
今江の視線の5メートルほど先、西岡はひとりその場に立ち尽くしている。
小野がどうなったかなんて、今江の嗚咽を聞けば火を見るよりも明らかで。
それ以上近寄ることはできなかった。

大塚に幾度となく言われてきた言葉が西岡の脳裏に浮かぶ。
――『誰を殺してもいいから』
大塚サン、あんたはそう言うけどな。
俺、もうアカンかもしれへんよ……。

【29小野晋吾× 残り11名】

418 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 00:49:42 ID:/0Y7ZiWa0
ああああああああああああああああああああ。・゚・(ノД`)・゚・。

419 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 00:52:40 ID:9zLwGjH/0
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!・゜・(ノД`)・゜・。

420 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 00:54:03 ID:CJqc6xLY0
おお、もうこれは…。

421 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 00:56:19 ID:4TisMmuF0
おおおおおお…
何かもう泣くしかないじゃないか…

職人さん乙です。

422 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 00:57:37 ID:VW0b4W020
うわぁぁああぁぁああああああぁぁぁ・゚・。・゚・。・゚・(ノД`)・゚・。・゚・。・゚・

423 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 01:14:09 ID:sYvSSozoO
晋吾――。・゜・(ノД`)・゜・。――!!

424 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 01:39:51 ID:UFTvhlpcO
職人さん乙です。
はあぁぁあぁああぁぁぁ…何の言葉も出てこない……
。・゜・(つД`)・ ゚・。

425 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 07:28:24 ID:CFL9WpT9O
職人様乙です!

うわあああ…晋吾おおぉぉぉぉぉぉ。゚・(ノД`)・゚。

西岡しっかりしてくれ…!!

426 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 11:08:15 ID:0X5en/AE0
うわぁ・・・
晋吾さん・・・

427 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 15:14:21 ID:XI3edZcx0
晋吾おぉぉぉっ!?
うわああああああ。・゚・(ノд`)・゚・。ああああああああんっ

リアルで涙出てきた・・・


428 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 16:55:44 ID:d6NjqaBK0
晋吾…晋吾おおおおおおおぉぉぉぉ!!!!。・゚・(ノД`)・゚・。

429 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 21:01:43 ID:L6rxpkbJ0
晋吾・・・・゚・(ノД`)・゚・
というかさりげなく大塚がorzうああああああ

430 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/14(金) 23:31:34 ID:jWB7wwTw0
うわぁぁああぁぁぁん。・゚・(つД`)・゚・。
久々にマジ泣きした。
晋吾お疲れ様…そして西岡…イ`

431 :番外 李承■と愉快な同士たち37 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/07/15(土) 00:45:05 ID:kliLOZj70
 けたたましい轟音と共に、部屋と廊下とを隔てていた扉が中へと飛んでいく。
蝶番が切られた扉は、トドメの発破でいとも簡単に吹き飛んだ。
まるで板切れのように重い扉は部屋の中へと舞い、床に倒れて大きな音を立てた。
扉の後ろに重ねられていたであろう椅子や机の同じく倒れる音がする。
立ち込める煙の中、号令の声が響き一斉に人が部屋の中へなだれ込んだ。
手に手に銃火器を携えた兵士達は中に入ると辺り構わずその武器を乱射する。
部屋中に銃声が飛び交って鼓膜が破れんばかりの音をがなりたてたが、しばらくして止んだ。
「どうした!?」
「壁です!」
兵士はうろたえていた。部屋の中ほどには更に壁があった。
大きな机を重ね立てて天井近くまで、部屋を半分に仕切るようにバリケードが存在していた。
「ぶち破れ! ただし反撃には充分に注意せよ!」
返事と共にバリケードに兵士達が正対する。
注意深く近づき、机の小さな隙間から向こうを窺おうとした。
パーンと甲高い破裂音。机が揺れ、覗いていた隙間に焦げ跡がつく。
すぐに兵士達は後退し、警戒体制を取る。
しかし数秒の間を置いても、バリケードの向こう側からはそれ以上の反応はない。
何かが動く気配すらしない。兵士達はまだ警戒の体制のまま動かない。
 ふう、と銃から立ち込める煙を吹く。
フリオ・フランコはバリケードの向こうで兵士達の動きをうかがっていた。
天井を見つめる。この部屋の秘密通路への入り口は既に塞いである。
これなら誰が見てもそこが通路に繋がっているとは思わないだろう。
スンヨプの心配そうな顔が浮かんだ。すぐに後から追うと言ってある。
そのすぐは、バリケードが破られる最後の瞬間だとフリオはもう決めていたのだが。
そのつもりだったことを知ったら、生真面目なスンヨプは怒るのだろうか。
フリオは少しだけ笑う。
そこには彼一人だけ。兵士達はバリケードの向こうでこちらの様子を窺っている。
「悪いが出迎えは一人なんでな。もう少しワシの相手をしてもらうぞい」
ぼそりと呟き、フリオは息を完全に殺した。
他のメンバーは一人もいない。既にその部屋にはいないのだ。

432 :番外 李承■と愉快な同士たち38 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/07/15(土) 00:46:31 ID:kliLOZj70
〔丶`J´〕ノ旦<オッス、スジョンガ!李承■デス。

「あとどれぐらいかかる?」
「まだだ。どこへ行くと思ってるんだ。時間はかかる」
私達は重光サンに導かれて、狭い通路の中を匍匐全身で進んでいましタ。
なんとか彼に道案内をするように説得した後、バリケードを作ってこっそりこの通路に入ったのデス。
一人、フリオ・フランコがあの部屋に残っていまス。
もっとも彼も少し時間を稼いでから後を追ってくることになっていまスガ。
 一番先頭は重光サン。次が私、更にフランコ、ベニー、シコースキー、ミンチー、谷歩さんと続きまス。
ゆっくりですが、確実に私達はある場所を目指していましタ。
そこまでの行程はかなりの難関デス。通路が急な上り坂になっているところを滑らないように前進シタリ。
垂直に伸びた通路の中を梯子を使って上りもしましタ。
通気孔としても使われているせいか埃っぽいのも困りまス。
何より困るのが狭いということでス。重光サンと谷歩さんを除けば、私達外国人は皆が大きな体。
途中、肩がガツガツと引っかかったり、狭くなっているところを通り抜けるのに一苦労でしタ。
それでも私達は進んでいマス。目指すは、上デス。
私達は、狭い通路の中を上へと移動しながら長い時間をかけましタ。
不意にフリオ・フランコのことが気になりましタ。まだ追ってきませン。追いつけないのでしょうカ?

「やっと半分だな」
重光サンが呟きましタ。思わず私達の口から不満の声が漏れまス。
狭い通路をひたすら無理な体勢で重力に逆らって進み続け、もう数十分は経っていマス。
これでは目的地につく頃は一時間を優に超えることになりマス!
「うるさい! 貴様らの言った通りにしているだけだろうが!」
重光サンが額に青筋を浮かべていまス。その迫力に思わず怯んでしまいましタ。
フンと言って重光サンが進みマス。また登りの梯子、上の方に次の通路へと続く出口がありまス。
その出口を見て冷や汗が出ましタ。どう見ても今までの道で一番狭くなっていまス。
重光サンは苦もなく通り抜け、更に先の方へ進んで行きましタ。
次は私デス。少し横に広い長方形の出口。両肩一緒には入りまセン。
まず頭を上に出して、次に肩を右から出して、左肩を引っ込めながら斜めに……なんとか出ましタ。

433 :番外 李承■と愉快な同士たち38 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/07/15(土) 00:47:12 ID:kliLOZj70
左肘の関節が逆に曲がって凄く痛いデス。しかし胴体もなんとか通し、体が全部出ましタ。
「オー、ヤリチン…」
次に通るフランコが困っていマス。なぜなら彼の体は私よりも僅かに大きいのデス。
しかし意を決したか、私と同じように出ようとしまス。
「よし、その調子だ」
「オー、ヤリチ……!」
なんということでしょう、フランコのお腹が出口に引っかかっていまス。
どんなにもがいても、こちらへ出てきまセン。フランコの顔は真っ赤デス。
「よし、俺に、まかせろ!」
フランコで塞がれた出口の向こうからベニーの声が聞こえましタ。
その瞬間、フランコの顔がひきつりましタ。何かに気づいたようで、ずっと叫んでいマス。
「いくぞ、ハワイアーン……」
「オー、ヤリチン!!」
「パンチ!」
轟音と共に、フランコの巨体が出口から勢いよく飛び出してそのまま通路の低い天井に激突しましタ。
私は日本のあるゲームを思い出しましタ。そう、まるで黒ひげの海賊のようでしタ。。
目がクラクラしている様子のフランコ、それを気にせずベニーが出口から頭を出しましタ。
「あ」
私のいやな予感は当たりましタ。同じように出てこようとしたベニーですが、当然出られまセン。
彼の体、特にお腹の周りはフランコよりも大きいのですカラ。
顔を真っ赤にしていますが、物理的限界の悲しさ、ベニーのお腹どころか胸すら出てきまセン。
「おい、俺も、押せ!」
そうベニーは下に向かって叫びます。
「無理だよ。僕には君みたいな怪力はないもの」
シコースキーが諦め気味に返事をしましタ。
困りましタ。狭い通路では順番を入れ替わることができませン。
ベニーが通れないと、その後ろにいる仲間も通れマセン。どうしたらいいのでショウカ。
「どうした、行かんのか」
前で事の成り行きを見ていた重光サンが話しかけてきマス。
私は思い出しましタ。この計画はとにかく一刻を争うのデス。戸惑ってはいられまセン。
「行け、早く」

434 :番外 李承■と愉快な同士たち38 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/07/15(土) 00:48:23 ID:kliLOZj70
ベニーが首を出したまま悲しそうに言いましタ。彼も理解っていたのでショウ。
「すまない。先に行く」
「オー、ヤリチン」
こうして重光サンと私とフランコの3人だけが先に目的地へと向かったのでシタ。
 更に、上へ、上へト。秘密の通路を何階分上ったのでしょウ。
3人の疲れが頂点に達した頃、重光サンが小声で言ってきましタ。
「……そこだ」
指差す先には、一つの格子が通路の床についた状態でありまシタ。
近づいてそこを覗き込むと、部屋の中を見下ろすような風景が見えましタ。
どうやらこの格子は天井についている通気口のようデス。
重光サンは恐怖のせいか震えているようでしタ。私はフランコと向き合い、目で合図をしまス。
そして格子を外すと、一気に下へと飛び降りましタ。
絨毯に着地すると、すぐさま辺りを見回しマス。一瞬、目がくらみましタ。
驚くほど煌びやかな内装と照明が、眩しいほどの光を放っているのデス。
フランコも後から続いて降りてきましタ。
周囲には人の気配はありまセン。誰かいるだろうという予想が外れ私達は困惑しましタ。
よく見れば部屋の中にある机や絵画、窓に至るまで全て豪華な装飾のあるものデス。
100人は入りそうなぐらいの広さに感じまス。狭い通路にずっといたせいか余計に。
この部屋の主が、高い地位にあることはハッキリと確認できましタ。
ただ、その部屋の主がどこにも見当たらないのでス。
「ようこそ」
静かな部屋に声が響きましタ。私とフランコは慌てて声のした方向を向きまス。
大きなスクリーンが壁にかけられ、その前にある大きなソファーがゆっくりと回転しましタ。
こちらに向けていた背をゆっくりと反転させ、その男は姿を現しましタ。
「李承■くん、祖国の英雄に会えて光栄じゃ。きっとここに来ると思っておったよ。
 そうじゃそうじゃ、君達、ガムをどうぞ」
私とフランコの二人を前にして、広い部屋の中に一人。
しかし据わった目が眼光鋭くこちらを見ていて、全く脅えた様子はないのでス。笑ってすらいまス。
その様子に、むしろ私達の背筋が寒くなっていきマス。
ロッテグループ総帥重光武雄は、ソファーにゆったりと腰掛けたままガムをこちらに差し出していまシタ。
【同士9名  ※■は火へんに華】

435 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/15(土) 02:04:55 ID:4WwxbRHM0
職人さんたち乙!
真剣に読んでたのに「ガムをどうぞ」で鼻噴いたw

436 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/15(土) 19:36:44 ID:qGunuOv60
職人様乙です!
ベニたんはどうなっちゃうんだ?
そして「ガムをどうぞ」て…w

437 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/15(土) 21:39:03 ID:47D63v32O
おおっスンちゃんだ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
職人さん乙です!

438 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/16(日) 23:53:10 ID:cMWgFHOjO


439 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 00:03:02 ID:HOJoO0MI0


440 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 00:46:58 ID:lrPVNxKI0


441 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 09:01:14 ID:7oboe0GEO
|   イッチロー!
L_●
 Y
 /\



442 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 13:36:54 ID:a5WUcFrW0
>>438-441
この流れに吹いたw

443 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 15:52:33 ID:OTgpGA2a0
今気がついたけど、晋吾の最期の章タイトルはマッチカードプログラムからか!
細かいな〜。

444 : ◆vWptZvc5L. :2006/07/17(月) 21:26:35 ID:5553S1480
>>443
その通りです。気づいてもらえて嬉しいです。
ttp://wwwnc03.so-net.ne.jp/marines/store/img/matchcard/pic4.jpg

445 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/17(月) 23:03:28 ID:z5uKCojQO
右のページが地味だわぁ…

446 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 00:15:31 ID:cT2GUO8x0


447 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 12:05:56 ID:YnqWQ5/70


448 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 12:56:12 ID:e2y6pehpO


449 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 14:05:11 ID:IDZBC1DL0
このバトロワの開始時期によっては「やるしかないねん」という章タイトルもありえたのか・・・

450 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 18:06:05 ID:ubXaVBwy0
そういうことになるね。
地味様…・゚・(つД`)・゚・。

451 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 20:34:37 ID:FOR02D/+0
それが死に章のタイトルになるなら泣けるか笑えるかのどっちかだな・・・
大塚は「魅せます打ちます走ります」?だっけ
どんな死に様になるんだよ!!w

452 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 21:58:49 ID:l3b/2b1y0
やるしかないねんが死に章のタイトルなら爆弾抱えて敵陣に突っ込みそうだよな・・・

453 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 22:07:29 ID:RGLr/K++0
>>451
思い切り運営サイドになってはっちゃける<魅せます
機関銃撃ちまくり<打ちます
走ります<走ります

そして自滅

454 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/18(火) 22:43:50 ID:V6CSMHoU0
【やるしかないねん】

(俺は、エースや。俺がやらんで、誰がやるん)

清水直は、悲壮な決意を固めた。
懐には、ダイナマイト。
手には、マシンガン。
ポケットには、今江がくれたボール。

「やるしか、ないねん」

ボールの感触を確かめるように握りしめ、清水直は敵陣へと走り込んでいった。

−−−−−−−−−
こんなカンジですか?分かりません!

455 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/19(水) 00:01:01 ID:NgzKmdfI0
妄想バトはもうお腹いっぱい
他所でやってくれ

456 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/19(水) 00:20:42 ID:J+eW/4vkO
>>453
自滅かよw

457 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/19(水) 22:16:10 ID:RwRNOullO
保守

458 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/20(木) 06:09:17 ID:PE2X7iaX0
>>455
ただの保守だと思えばおk

459 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/20(木) 22:27:42 ID:Qpx13EYm0
一昨日から読み始めて
超寝不足。
・・・そして泣いた・・・

ふくうらぁぁぁ

460 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/21(金) 09:37:19 ID:scsFIudM0
鯖不安保守

461 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/21(金) 20:10:08 ID:RyVyrZD60
ほしゅ

462 :帰途(1/2) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/22(土) 03:36:27 ID:b4lra0UQ0
 地面のそこかしこに出張った石くれが、落ち葉と枝に紛れて見えづらい。
その、道というには木がないだけの凸凹の地面を歩くのは並の男ならたやすいはずだ。
だがそれが大きな怪我を負っていたり、大人一人を背負っていたり、疲労困憊の上であるならば。
行くときは早足に任せて気にも留めなかった道の粗悪さがこの上もなく辛く感じられる。
バランスの取りにくさと足の裏のゴツゴツした感覚のわずかな痛みに、疲れは一層増した。
 今江敏晃を先頭に、後をぞろぞろと集団がついていく。
怪我をかばいながら歩く大塚明。気絶している平下晃司を背負う薮田安彦。
歩くのがおぼつかない様子の西岡剛。最後尾で成瀬善久だけがいくらか軽そうな足取りを見せていた。
 決して速くはないペースを保ちながら、今江はこまめに後ろを向いては歩調を調整する。
6時までというタイムリミットを全員が頭では分かっているのだろうが、足は動いていない。
考えてみればただ仲間を救いたい一心で急いで駆けたときとでは、気の持ちようも違う。
ただ気を張っていて夢中に走ってきたあの時とでは、今の心境はまるで違うのだ。
徒労。その言葉が頭に浮かんで消えて、今江は首を振る。
無駄ではなかった。それは間違いないのだと自分に言い聞かせた。
ただし浅間敬太と金澤岳の死に際には間に合わず、小野晋吾は目の前で帰らぬ人となった。
正確に言えば目の前ではなく、また自分の背の上で息を引き取ったのだが。
これで3人目。それを考えると今江は胸が締め付けられる思いに駆られた。
だが同時にどこか諦めにも似た感情が心に薄くかかるのも感じる。
幾人もの死を背負いながらまだ生きている自分。悲しむのにはもう慣れすぎた。
ならば少なくとも見逃すまい。
うつむいたままで、未来を明るく照らしている灯火があるのを見逃すことだけはすまいと思う。
こうして生き残っている自分がそれを逃してしまうのは、あまりに申し訳が立たないからだ。
ある種の義務感かも知れない。
ただ、それが今江を無力感の底から引き上げるための唯一の意思となっているのだった。

463 :帰途(2/2) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/22(土) 03:36:48 ID:b4lra0UQ0
 道が殊更ひどい状態になっているとき、今江はそれを後ろに伝えつつ先頭を歩く。
ただその言葉に反応する者はなく、静けさの中に複数の足音が響くだけである。沈黙が心細い。
誰も彼も憔悴しきっているのだ。
 ふと振り返り、改めてその場の人間を見る。
わき腹に大怪我を負った大塚は何も言わずにさも平然としたようについてくる。だが足取りは重い。
額には玉の汗が滲み顎から滴る。泥に汚れた顔に、長い髪の毛がまとまって貼り付いている。
薮田は彼自身こそ平気だが、平下を背負っての行程は間違いなく辛いはずだ。
小野が息を引き取ったすぐ後に、成瀬と共に向こうから彼を背負って現れた。
聞けば代田に襲われ平下は怪我を負って気を失っているらしい。代田は死んだそうだ。
成瀬はこの中では一番体力が残っているようで、最後尾で周囲をキョロキョロと見回している。
 そしてもう一人、今江が最も気にしている彼はゆっくりと歩いている。
どこを見るともなく、心なしかうつむき加減に地面に視線をさまよわせる。
あのお喋りが何も言葉を発さない。表情は石像のようにかたくななままだった。
あそこを発つ時は立ち上がることさえ面倒くさそうにしていた。
そんな西岡を無理矢理に引っ張ってきて、今こうしている。
あの余裕たっぷりの、憎たらしいまでの自信はどこかへ消えてしまっていた。
再開した時から漠然と感じていた西岡のわずかな変化。
ほのかな焦燥は更にどんどん加速し、あの時、小野を手にかけた時に何かが西岡から消えてしまった。
それまで年上の自分がうらやむぐらいの西岡の行動力をもたらしていたエネルギーの源が。
西岡にとって大切な物が消えてしまったように見えるが、今江にはどうすることもできない。
しっかりしろとか気にするなとか、鼓舞する言葉はとうに無駄に終わっていた。
今はただ後をついてきてくれる西岡に、最後に生き残る意志が残っていると信じるしかない。
そんなヤワなタマと違うやろ。今江は誰にも聞こえない声で呟いていた。

464 :演出 ◆QkRJTXcpFI :2006/07/22(土) 03:39:10 ID:b4lra0UQ0
「今江・西岡・薮田・成瀬・平下・大塚の6人の集団は道なりに移動中。
 現在の歩行速度から判断する倉庫――小宮山達の現在地までの予想到着時刻は午前2時前後」
「チョット、ハヤイデスネー」
連絡員からの報告を聞いたバレンタインは、薄く笑いながら腕を組み右手の人差し指を動かす。
スタジアム本部、グラウンド内に設営された運営用機器の並ぶスペース。
その中央で椅子に座りながら、監視カメラの映像にバレンタインは目線をやる。
しかしそこに選手の影はない。今の情報は、監視のために向かわせた兵士からの連絡だ。
役に立たなくなった探知機がグラウンドに無残に転がっていた。
 バレンタイの視線が少し動くと、傍らにいる中曽根が耳を近づけた。
「倉庫までの到着をもう少し遅らせるよう、道を使えないようにしろ。
 橋を壊すでも、土砂に埋めるでもいい。1時間ほど遅れるようにな」
中曽根からその指令を聞き、同じく傍らにいた筒井良紀が不思議な顔をする。
「遅らせるだけでよろしいのですか? 奴ら合流したら何を企むか分かりませんよ」
大きく手を広げた筒井に対し、バレンタインは不敵な笑みを浮かべた。
「何を企んでいるかは知っているよ。
 彼らがあの倉庫の中にある物を見て、どんな行動を取るのかはね」
「倉庫の中にある物?」
「大道具さ。最高のスペクタクルのラストを飾るためのね。
 彼らがそれを見つければ、そう……行動を起こすリミットは午前3時ぐらいに設定するだろう。
 だからその時間に合流するように仕向けたい」
既に監視の兵士へと連絡が行き渡り、細かい応答が飛び交う中で筒井が一人困惑の表情でいた。
物知り気なバレンタインの様子を見る限りどうやら彼の計画通りのようだが、肝心のそれを知らないのだ。
「あの倉庫に一体何があるんです? なぜ時間を遅らすんですか!?」
声の調子が高くなる筒井に、バレンタインは片目をつぶって答えた。
茶目っ気タップリの笑顔。筒井は背筋が妙に寒くなった。
この表情をする時、それはバレンタインが彼にとっての最高の楽しみを考えている時だ。
「タイムリミットもまたスペクタクルを高める一つの重要なファクターさ。
 君にも見せてあげるから、観客として楽しむといい。HAHAHAHAMANA!!」

465 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/22(土) 09:26:38 ID:VHEyCHV70
ボビー何を企んでるんだ…
西岡がんがれ西岡
職人様乙です!

466 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/22(土) 14:38:12 ID:L6wmhRUvO
職人さん乙ですっ

こわいよボビー…

467 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/22(土) 16:36:35 ID:tVYRyfz70
ボビーは野球板バトロワ史上最強の黒幕ぽい。

468 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 00:35:54 ID:TGt0fq+C0
ボビーこええええ!

職人様乙です。

469 :夜は深く(1/3) ◆vWptZvc5L. :2006/07/23(日) 02:20:00 ID:N7Ry7dtE0
「遅いですね」
「そろそろ時間的にまずいな」
小宮山と初芝が二人並んで倉庫の小窓から外をうかがっている。
もはや丑三つ時さえ過ぎてしまった。月もだいぶ傾いている。
そこへ、ようやく持ち望んだ人の気配。連なって歩く人影が見えた。
「はつしばさーん!!」
最後尾を歩いていたはずの成瀬が真っ先に駆け寄り、倉庫の中に飛び込んできた。
「お帰り。ずいぶん遅かったね」
「はい、とちゅうではしがこわれてて、たいへんだったんです」
成瀬に遅れてぞろぞろと人が入ってくる。
皆が憔悴しきった様子で、中に入るなり各々座り込んでしまった。
「ええと、連れて来たのは大塚と西岡と」
「平下です。こいつ、怪我しとるんで……」
薮田が変わりに答える。背負った平下はまだ気を失ったままだった。
「晋吾は?」
初芝が問うが、皆口が重い。今江が力なく首を振った。
その衣服に付いた血痕が明らかに増している。
「そうか…」
「すいません」
今江が目を伏せる。西岡はどんな顔をしているのだろう。
気にはなったが、ここで視線を向ければ、彼を追い詰めてしまいそうで怖かった。
「これで全員そろったな」
小宮山が一同を見回す。
ずいぶん減ってしまったなあと、何ともいえないやりきれなさに包まれる。
だが、感慨にふけっている暇はない。手早く説明にかかった。
「皆も知ってると思うが、6時には全域が禁止エリアになる。それまでに脱出しよう。
 もう準備もできている。海辺に運ぶだけなら1時間もあれば足りるだろう。
 ただし何事もなければの話だ。実際はそうもいくまい。探知機なんてものもあるくらいだ。
 ここに全員が集まっていることは、恐らく向こうにも知れて――」
「いえ、それが…」
薮田が口を挟む。探知機を差し出した。
そこには真っ暗な画面。何も映っていない。

470 :夜は深く(2/3) ◆vWptZvc5L. :2006/07/23(日) 02:20:24 ID:N7Ry7dtE0
「どうしたんだ、これ?」
「わかりません。西岡のも壊れたって……」
それまでぼんやりと話を聞いていた西岡だったが、薮田に促されてバックから探知機を取り出す。
小宮山がそれを受け取る。二つ手にしてみても、同じく暗い画面が並ぶだけ。
もしこの事実を知らず、先に移動を開始していたらと思うとゾッとした。
「大本のシステムが壊れたのかもしれません。
 禁止エリアが変則的になったんと関係あるんでしょうか」
「もしそうなら、ここに僕達が集まっているのもバレてないかもしれませんね」
初芝がかすかな望みを口にした。
「……いや、楽観はできんな。もしかしたら、これが俺たちの手に渡ったことが知れて、
 薮田と西岡の分だけ使えなくしたのかもしれんし」
それでも小宮山の判断は冷静だ。悲観するわけではないが、
何につけ一応は最悪のケースを想定して動かなければ。
「とにかく、船を守るための何らかの策は必要になるだろう。
 ひとつ考えがある。おまえら、生き残りリストの話は知ってるか」
大塚と西岡に問う。二人は戸惑いつつも頷いた。
「なら話は早い。ここにいる中では、薮田、今江、西岡、内の4人になるが。
 お前らに頼みがある。船を守るための盾になってもらいたいんだ」
名前を挙げられた4人が、はっと互いの顔を見合わせた。
「なに、心配は要らん。向こうはリストの人間は攻撃できんからな。
 そこを利用して、操縦部とかエンジン部とか船の要所を守ってほしい」
4人が力強く頷く。いや、そう見えただけかもしれない。
少なくとも今江には西岡の様子が気になった。やっぱりおかしい。
気丈を装っていても、どこかに無理がある。こういう役目は進んで買って出そうなのに。
変なことを考えてはいないだろうか。暫くは気にかけてやらなければと思った。
「怪我のひどい奴は中に入ってろ。交代で仮眠を取っても構わん。
 長い夜になる。無理はしないでもらいたい。さぁ、移動開始だ」
小宮山の合図を皮切りに、各自がトレーラーや船上、牽引車に乗り込んでいく。
里崎も行動に移ろうとして足を止めた。
初芝が首をかしげ、何やら指折り数えているのが目についたからだ。

471 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 02:20:42 ID:N7Ry7dtE0
「どうしたんです、初さん?」
「あのさ、人数足りなくないか…?」
「え…?」
里崎が周りを見回す。目に入るのは見慣れた顔。
おかしな点は見当たらない。
「残念ですけど、これで全員ですよ。だって晋吾さんが」
「いや、でも」
まだ納得がいかない様子で、初芝が腕組みをする
「初さん、自分の分入れました?」
「あっ、それか!」
その一言に初芝は声を上げ、人差し指で里崎を指す。
里崎が呆れたような表情を見せた。
「もう頼みますよ、本当に…」
「あはは、スマンスマン」
笑いながら、二人は船に足を向ける。

しかし、このとき初芝はまだ気づいていなかった。
自分を二重にカウントしてしまったことに。

472 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 02:39:06 ID:s1yVz9kN0
職人様方いつも乙です。

次の展開が楽しみでしょうがないんだが、
一人足りないのって・・・やっぱあの人?w

473 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 02:45:21 ID:OCJTNU7CO
あぁ・・・アイツか・・・

474 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 04:50:43 ID:NMH+qoqsO
あの人に、いつ誰が気付くのか楽しみだ

475 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 05:15:50 ID:P4nuD6LkO
気付かない選択もありだよなw

職人さん乙です

476 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 07:50:08 ID:GS92jy38O
戸(ryのことか…。

一人置いてけぼりで爆死、それか忘れた頃に大活躍か。

職人様にwktk.

477 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 09:12:05 ID:G0149fhE0
あの人がここまで忘れられてることが
ここへきて重要な伏線になろうとは…

478 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 10:16:21 ID:JrrsGU0d0
平下!いつまで寝てるんだ!
お前しか戸田の存在に気づいてないじゃないか!

479 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 11:32:14 ID:vbw1xxAlO
戸島w
どうなるのか楽しみだ

480 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 13:11:57 ID:HzvMwIuE0
主催者側も気付いていなかったりして。

それと、西岡がすごい不安だ。

481 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 15:36:27 ID:AIA2XqRt0
戸波がんばれ戸松。


482 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 16:20:00 ID:+U/+oxjQ0
戸戸は本当にいいキャラだ。


483 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 18:08:40 ID:qszQs1+90
まさかこんな終盤まで忘れられたままとは…w
戸山そろそろ起きろよ戸川

484 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 18:43:58 ID:ZiyfPScy0
バトロワパロ史上でも屈指のおいしいキャラが誕生しようとしているようだw

485 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 21:29:41 ID:xSAT/8Nt0
どうなんだどうしたんだ戸笠原ー

486 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 21:41:33 ID:sY19zEsa0
チームメイトに忘れられ、ファンにも名前を覚えてもらえない戸愚呂さんが気の毒でなりません

487 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 21:50:46 ID:0D/Ya/UM0
戸沼w

488 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/23(日) 22:49:03 ID:/z3Dgy1V0
戸庄、早く来い!

489 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 01:09:43 ID:Zz9FjyMM0
戸嘉敷爆死はカワイソス

490 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 01:21:22 ID:onhN8w8U0
職人様いつも乙です!

先日保管庫で一気読みして、泣き、笑った。そして寝不足になった。
その後過去ログの方でも読んでみたんだけど、色々紆余曲折があったのが分かって面白いね。
サブローの展開とか、あんな誕生秘話があったとは。
あと西岡や今江は、去年活躍したから目立ってるのかと思ってたら、かなりの部分が'04年オフに書かれてて意外だった。
'04年の時点で既に相当期待されてたのか。
成瀬や内はどうだったんだろう?

戸中も最初はまともな扱いだったのにねw

491 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 01:41:10 ID:lFwiOSvF0
04年の今江・西岡はまさに売り出した年(今年で言えば大松・青野・根元)だから、05年への期待も含めていい扱いをされていたと思う。
内君はドラ1だから当然期待されていた。成瀬は当時はそれほどでもなかった。

492 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 04:04:38 ID:o2ZkCf09O
職人様gj

誰も戸ルビッシュに気付かないのカワイソス

493 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 10:12:54 ID:RsMJW7I1O
>>463
再開じゃなくて再会ですよね?

494 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 16:24:14 ID:Uh2ZU8os0
しかしプロバト史上に名を残す救世主になりそうな予感。ていうか期待。
>戸間口

495 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 17:41:51 ID:xdh3PzdM0
一昨日ここを見つけて、2日かけて読破しますた

寝不足と脱水症状で自分が生命の危機です

496 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/24(月) 22:09:13 ID:pj1NeMoZ0
過去ログだといろいろ経緯が解って保管庫とはまた違った面白さみたいなものがあるね
自分も一気に読み返してみた

いろんなバトスレ見ているけど、マリバトはいちばん職人が選手に思い入れが強いのではと感じる
福浦と大塚を書いていた人や途中から内君を書いていた人は多分その選手に対して
特に思い入れが強かったのかなと読み返してみてなんとなく思う
成瀬は覚醒(?)してからどんどんキャラが立つようになってきたなあ

497 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 12:41:10 ID:gm8mfF7/O
戸江がんばれ戸江

498 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 12:48:36 ID:cYFO2p0/0
ロッテジャイアンツって人気球団なの?
マリーンズと同じでマイナーなチーム?



499 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 13:03:17 ID:vXULvJCZO
思い入れと言えば・・・

俺はマリバトでは成瀬がお気に入りだけど、
「ひらしたさん、どうしてないてるんですか?」
は、妙に心に響いた。平下と代田の物語の終止符を打つにふさわしい言葉だった。

後は戸ギノールから目が離せねぇwwwwww

500 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 14:57:16 ID:X3QDT9pGO
戸ミレス出てこい!

501 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 16:25:34 ID:fCZ79cYBO
戸ロッカ最高w

502 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 17:46:47 ID:7zouF7P50
戸グスがんがれ

503 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 17:50:14 ID:Ms4fUrbJO
戸ランコ頑張れ

504 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 18:48:43 ID:tvevu6Mt0
戸ンカビリアの運命は・・・

505 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 19:48:05 ID:ATUzlrK+O
戸ィアスどうなるんかな…

506 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 21:07:50 ID:ib0P6A7k0
戸ルナンデスに気づいてくれ!

507 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 22:41:10 ID:t0k6rA2c0
戸ーベ見殺しちゃいやーん・゚・(つД`)・゚・

508 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 22:46:47 ID:YjUxW+sd0
おまいらいい加減に戸DNの苗字をちゃんと呼んでやれ!

509 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 22:48:56 ID:t0k6rA2c0
って「見殺し」は違うかorz

戸スター・・・・・・・・

510 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/25(火) 23:51:50 ID:0OLJpWa+O
>>499
あの台詞はくるものがあった。
成瀬は「カモメ」〜「ぼくわ」の流れも好きだなあ。泣ける。

その一方で青野が川井を追い詰めていく話も凄い好きなんだけどw

511 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 00:51:10 ID:/mV2ISi6O
戸チョレックは、どうなるの…

512 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 19:31:57 ID:e/JhN+Q4O
戸ーリック!戸ーリック!

513 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 22:14:11 ID:/l31mX880
戸ーマス・・・・

514 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 23:28:28 ID:sOcXzPnc0
(´・ω・`)

515 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 23:41:48 ID:jz22ZJJyO
戸部











……間違えた

516 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/26(水) 23:45:49 ID:tp0i61O30
>>515

こら 名前間違うなんて失礼だぞ

517 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 00:11:02 ID:8BdIjek0O
がんがれ戸ルーン!

518 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 00:14:39 ID:/HPz2EXW0
この流れ、本当に最高だ

519 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 00:16:26 ID:p4AMxU+E0
戸見はいざとなったら飛んで逃げそうだが…

520 :脱出行1(1/2) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:12:14 ID:nHCy9stL0
「よし、行くぞ!」
小宮山が高らかに声を上げる。
開いたばかりの倉庫のシャッターから牽引車の前部がゆっくりと顔を出した。
十人の人間を乗せた船体、それが乗るトレーラーも含めれば数トンはくだらない重量をエンジンを唸らせ引く。
牽引車を運転するのは薮田安彦。更に助手席には西岡剛が座っていた。
それに引っ張られ、トレーラーに乗せられたクルーザーが少しずつその本体を現す。
細長い船体のほぼ中央に箱を置いたような操舵室があり、甲板の両脇は狭い通路になっている。
周囲を見渡せるようにたくさんの窓がほぼ全方位を覗いており、その船首側の方の窓の外に立つのが二人。
今江敏晃と小宮山悟は、それぞれ前方右側または左側の周囲の様子に目を凝らしている。
船尾側の方を見れば、内竜也が後方、機関部のある箇所の真上の甲板に立っていた。
そのすぐ近くで、初芝清・成瀬善久は船の左右の端に立ちその方向に目を光らせていた。
三人が立つ船尾側の甲板からは、操舵室のドアが見える。
そこをくぐれば少し階段を降りて船倉があり、更に今度は少し昇って操舵室へと吹き抜けで続いている。
船倉部は外からは見えないが中は椅子や机などがあり、平下晃司・里崎智也・大塚明はそこで身を休めていた。
平下は気を失ったままだ。里崎と大塚が傷に手を当てながら、外の様子を時折気にしていた。
 慣れない牽引車での運転に薮田は低いギアでゆっくりと進みながら、慎重にハンドルを操作していく。
対向車を気にする必要はないので道は広く使えるが、時折急なカーブや傾斜の変化があるので油断はできない。
それでも次第にコツを掴み始め、徐々にスピードを速めて牽引車は進み始めた。
分かれ道になれば、地図を見ながら小宮山が身振りで左などに進行方向を指示をした。
 徐々に周囲に民家が増え始め、先刻に見下ろしていた漁港近くの街並みの風景に変わっていく。
深夜の暗い街の中を、重く大きな物体が動く時の重低音と、振動で金属の接合部がきしむ音が響く。
奇妙な光景だった。電気系統は通ったままのようで街灯は点いたままだ。ただし信号などは止まっている。
もっとも信号などは気にする必要はない。誰も飛び出さない道を、小さくない船体が堂々と進んでいく。
その船の上に乗りながら高い視点で少し田舎くささの残る街並を見下ろしている。

521 :脱出行1(2/2) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:12:47 ID:nHCy9stL0
生垣や石塀が何の障害にもならずに、そこらの民家の敷地を覗ける。
暗闇の中の民家にはもちろん人の気配などはなく、静止画のように固まってしまって見える。
そんな風景がひどく非現実的に思えて、まるで本当は自分がこの場にいないような錯覚すら受ける。
もしかすると、現実でなければ良いのにという願望がそう思わせるのかも知れない。
そんなことが頭に浮かび、内はしばしボーっと辺りを眺めていた。

「順調ですね」
右前方を見ながら今江が横の小宮山に聞こえるように言う。
しかし小宮山は少し沈黙を置くと、ひどく冷静さを帯びた声を発する。
「妙だ」
「……え?」
今江の背筋が僅かに張る。にわかに緊張が指先に帯びる。
小宮山は地図と周囲の状況に絶えず注意を払いながら眼鏡の位置を少し直す。
「誰もいない街中をこんなデカイ物が進んでいるのに、運営側の奴らは本当に気づかないのか?
 もし奴らが探知機を使えるならこの船を放っておくわけはない」
「もしかすると、あいつらも探知機が使えなくなったってことでは?」
「参加者の状況が把握できないのは奴らには最悪。それなら監視の人間が出歩いているはずだ。
 だとすると、こんな目立つ動きを嗅ぎ取れないわけがない。それなのに、そんな様子がない」
周囲を見回す。やはり仲間以外には人っ子一人いない。
牽引車は道をずっと直進し、真っすぐ向こうの港を目指している途中だ。
進行方向が一本道のように見通せる。
「考え過ぎだったのかも知れんな」
「小宮山さん」
「ボビーがいるせいで、運営側をかいかぶっていたのかも」
そう言って、小宮山が進行方向を向いたその時、今江と同時に異変に気づく。
すぐ前にはそれなりに広い十字路が見える。このまま直進するつもりの場所だ。
彼らと同時に、牽引車を運転していた薮田と西岡もその異変に気づく。
その十字路にある信号機にだけ赤が灯っているのだ。他の信号機は消えていたというのに。
牽引車に対して、止まれと示しているその信号。
気づいた人間がそれだけに気を取られた。薮田のアクセルの踏みが弱くなった、その時だった。

522 :脱出行2(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:13:35 ID:nHCy9stL0
 甲高い銃声音が立て続けに鼓膜を突き刺す。
無数の火花が周囲に散るのが見えた。その瞬間、反射的に小宮山は身を伏せる。
「来たか!」
周囲の二階建ての家の窓から、茂みの中から船へと向けて次々と火花が噴き出す。
まるでイチローの打席で一斉に焚かれるフラッシュのように、光と衝撃音が辺りを舞う。
衝撃音と共に操舵室の横の窓ガラスが割れた。

 薮田が緩めかけたアクセルを再び踏む。急なアクセルにエンジンの回転数は青天井に上昇する。
そして次に訪れたのは、咳払いのような噴射音と大きな振動。
エンジンの振動がぷっつりと止み、運転席内に一瞬の静寂が訪れる。
(……エンスト!?)
喋る間もなく、ギアを戻しもう一度キーを回す。再びエンジンが唸り、また大きな噴射音と振動。
エンジンはかかっていない。
「なんや、動け! おい!」
クラッチを操作する左足のことなど完全に頭から消し飛んでいる。そしてそれに気づかない。
またキーを回す。同じことの繰り返しだ。
 一斉の射撃音と裏腹に、運転席には全く銃弾が飛んでくる様子がない。
向こうはこちらの陣容を把握して撃ってきている。今は少なくとも安全だろう。
西岡は反射的にオートマチックの拳銃を構え腕を窓から突き出し、民家の窓に見える人影に向けた。
支給品ではなく、於保の荷物の中に残されていたものを皆で分けたのだ。
ドクン。引き金に指がかかったとき、一際大きな心臓の鼓動を感じる。
(…おい)
この銃弾は敵を討つため、そして仲間を守るため。今までなら躊躇うこともなく引けた。
(引けよ、俺。なんや、引けよ、おい)
引き金が指にかかったまま、まるで関節が無くなったかのように動かない。
銃口を向けたまま、いつまでも船を攻撃する一つの人影を見たままだった。

「きやがったな」
大塚がそう言うのと同時に、里崎は立ち上がりドアへと向かった。

523 :脱出行2(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:14:25 ID:nHCy9stL0
船倉の中に響く衝撃音。そして外から伝わってくる怒号。
元より中で大人しくしているつもりなどなかった。運営側の攻撃は予想の内だ。
足を引きずる里崎の後からライフルを手にした大塚もドアに向かう。
一足先にドアノブに手をかけた里崎がドアを引いた瞬間、目の前の甲板に銃弾が跳ねる。
一つや二つではない。あっという間に甲板は凸凹になり、更にこちらへと向かってくる。
「戻れ!」
大塚が里崎の首根っこを掴み引っ張る。次の瞬間ドアの中に弾幕が侵入する。
里崎のつま先をかすめるが、それ以上は進んでこない。追えないと見たか弾幕は止んだ。
その隙に大塚が足を伸ばしてドアを蹴る。バタンと閉まると同時に、再び銃弾がドアに当たる音が響いた。
急な動きでわき腹の痛みが増す。しかし、大塚はドアの近くまでもう一度進んでいった。
弾幕の移動する音が聞こえる。今度は船首の方へ向かい、そして操舵室からガラスの割れる音がした。
ドアノブに手をかけゆっくりと開く。その動きを狙っていたかのように、ドアに何かがめり込んだ。
その音に慌てて再びドアを閉める。里崎と大塚の二人はドアノブを前にして途方に暮れた。

 操舵室の壁には銃弾で次々と小さな凹みが生まれていく。
小宮山は身を伏せたまま周囲の状況に身を固くしていた。一気呵成な攻撃に死の恐怖が忍び寄る。
「小宮山さん!」
今江が小宮山に近づく。すると小宮山の近くへと降り注いでいた銃弾がパタリと止んだ。
目論見どおり、今江が近づいた瞬間に銃撃は標的を操舵室一帯から逸らしたのだ。
しかし今江が小宮山のいる操舵室左側に近づいたのを見たか、すかさず誰もいない操舵室右側に銃撃が始まる。
また窓ガラスの割れる音がして、ハッと小宮山は顔を上げる。
「今江、操舵室の計器の近くだ! あれを壊されるわけにはいかん!」
操舵室の正面の窓に張り付くように今江が立つ。小宮山も足元でしゃがみ込む。
銃撃は止んだままだ。小宮山は出発前に分け合った銃を構え、銃弾の飛んできた方向を思い出す。
民家の窓にちらりと黒い影が動く。すぐさま撃つ、が、遠過ぎて窓ガラスさえ割れない。
その時小宮山は気づく。ずっと流れていた風景が動いていない。船がこの場に停止している。
「おい薮田! なんで止まってるんだ!?」

524 :脱出行2(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:15:03 ID:nHCy9stL0
返事がない。まさか、撃たれたか。リスト入りの人間なのに。
いや、そのはずはないと思い直す。今江が狙われなかったのだから。
 小宮山の思考にいやな予想が次々と浮かぶ。
運営側がこの船に攻撃を仕掛けてきた以上、この船を使わせないことが目的のはずだ。
主要部は遠距離からの銃撃では破壊は難しい。しかし爆発物は無差別に死者が出る恐れがある。
そこでおあつらえ向きに停止した車。これから予想される行動は、一つだ。
「コミさん、動かん! エンジンが!」
運転席から顔を出し、薮田が叫ぶ。その声から焦りの感情が敏感に小宮山に伝わった。
その内容を反芻して、小宮山の血流が一気に減っていく。一瞬の寒気。
しかしすぐに再び心拍数が上がる。
「いいから動かせえっ!! 奴ら必ず乗り込んでくる!」

「どうやら僕らは狙いではないようだ」
「そうですか、よかったあ」
内竜也の足元で身を小さくする初芝と成瀬。
銃撃が始まった後に一旦は身を伏せたが、操舵室が狙われているのを見て逆方向に来たのだ。
そこにいた内を挟んで、二人は身をかがめていた。
 内もその銃弾の嵐に怯えてはいたが、自分に対してそれが向かってこないことが分かり恐る恐る立ち上がる。
自分のいる甲板の真下は船の機関部だから、いつ狙われるとも知れない。
ここに自分がいることをアピールして、少しでも攻撃されるのを防がなくてはならない。
「なんとかしなくちゃ……」
その場を動くことも出来ず、内が呟く。口惜しさが言葉に滲んだ。
と、足元でしばし何か考え込んでいた初芝が意を決したような顔になった。
「……僕の支給品を使うしかないか」

525 :脱出行3(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:15:54 ID:nHCy9stL0
 初芝は背のデイバッグを下ろし、中を探り始めた。
「しきゅうひん?」
「今まで使うチャンスが無かったんだけど……あった」
そう言って取り出したのは細長い円筒形の、表面が紙らしきものでできたバトンのようなもの。
その先に紐がついており、数センチほど伸びている。
形を見てすぐに、内も成瀬も映画などで見た例のモノが浮かぶ。
「ダ、ダイナマイト!?」
「ばくはつぶつ!」
慌てる二人をよそに、初芝は側面に書かれてあった文字を薄明かりの下で読む。
ウンと頷くと初芝はデイバッグからライターも取り出す。止める間もなく、その紐――導火線に火を点けた。
途端にバチバチと火花が導火線に生じ、本体の方へと近づき始めた。
そして初芝はそれを持ったまま、その様子を見つめているだけだ。
「わあああああ!」
「ちょっと初芝さん、離してくださいよ!」
二人の目が泳ぎ、慌てる声が一段裏返る。尚も導火線は短くなり続ける。
しかし初芝はそれを離さない。火花が根元に達しようとするのをじっと見守っている。
「早く投げて! 何やってんですか!」
内が素っ頓狂な声で叫んだ。
そしてついに火花が根元に達するかと思われた瞬間、初芝はそれを真上へと放り投げた。
それを見て更に叫び声を上げながら、成瀬と内が伏せる。初芝もそれに続く。
「大丈夫、これは……煙幕だ! たぶん!」
「たぶん!?」
そう内が聞き返した瞬間、空に閃光が走る。
ドカアアアア……
鼓膜が破れんばかりの高音。更には衝撃波が伏せている体の背中にビシビシと当たる。
どこが煙幕なんですか。その叫びも爆発の音に消えた。
と、衝撃波の感覚が無くなる。閃光が消え、辺りに闇が戻っていた。
「あれ?」
派手な爆発の割には体にダメージがないことに気づく。
どうやら光だけがやたらと強く、見た目よりも熱風などは少なかったらしい。

526 :脱出行3(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:16:40 ID:nHCy9stL0
 カランコロン。甲板の上に何かが落ちる音がした。
内が顔を上げた瞬間、目の前に灰色の煙が広がりあっという間に顔を覆った。
驚いてその煙を吸い込む。咳き込んだ瞬間、首を誰かが引っ張り、甲板の地表付近まで顔が戻された。
「吸い込んじゃダメだ。煙幕なんだから」
初芝の顔が目の前にある。内はそこにある空気を吸い込んだ。
もう既に頭の上辺りから煙に覆われている。見ると、あの筒から大量の煙が吹き出し空気中に拡がる。
その拡がり方は素早く、あっという間に操舵室を飲み込もうとする勢いだった。
「確かに煙幕ですが……その前のあれは何ですか?」
「だってこう書いてあるんだもの」
と言って初芝は全く同じ二個目のそれを取り出し、側面に書かれた文字を内に向ける。
――特製発煙筒の使用上の注意:最初にちょっと爆発します。5mぐらい離れてから使用してください。
それを読み、内は脱力しながら床に額をつける。
そういえば支給品は決してまともなものばかりではなかったと聞いたような。
「そんな悪趣味で物騒なもの……いきなり使わないでくださいよ」
「……僕だって、できれば使いたくなかったんだよ?」
袖を口に当てて静かに呼吸をしながら、小声で二人の会話が続いていた。

「わあ……すごい」
成瀬が見ていたのは、煙幕に船体が全て包まれていく光景だ。
会話の間にも煙幕は吹き出し続けていたのだ。ついには完全に船体がすっぽりと隠れる。
それとほぼ同時に、断続的に続いていた銃声がピタリと止んだ。

「ゲホッ、うおッ、なんだ……この煙は」
船尾から突如現れた煙に今江と小宮山も包まれる。
少し吸い込んでしまい動悸の早まった心肺には苦痛だったが、すぐに身を伏せて空気を確保する。
「攻撃が止みましたね」
「そりゃ誰がどこにいるかわからんからな……でもおかげで」
「で?」
「直接この船を制圧しに乗り込んでくるのには、増々おあつらえ向きの状況だよ!」

527 :脱出行3(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:17:09 ID:nHCy9stL0
さすがに焦りを隠せない小宮山。今江も事の重大さを認識する。
はたして耳を澄ませば、いくつもの走る足音が船の周囲から聞こえてくる。
その内の数人が、こちらに近づいてくる気がした。悪寒が背中を走った。

「かかった!」
後ろ半分ほど灰色の煙に包まれた牽引車の運転席で、薮田が声を上げた。
やっと自分のミスに気づき、クラッチを踏みながら慎重にキーを回したのだ。
エンジンが唸りを上げる。即座にアクセルを踏み、クラッチを上げる。
素早くしかし確実に。薮田は左手で胸を抑えながら自分に言い聞かせて操作する。
すると、車全体を覆おうと追って来る煙を振り払うように、少しずつ前に進み始めた。
 徐々に速度が上がっていく。
牽引車の全体、そしてトレーラーの一部が現れる。
そしてついに、その場に留まっていた煙の塊の中からゆっくりと船が現れ始めた。
その光景を、船に近づこうとしていた運営側の兵士達が逃げまどいながら見つめる。
乗り込もうとしていたのか。いずれにせよ、船が動き出した以上それはもはや不可能だ。
初芝は船が動き出したことに気づくと、すかさず発煙筒を掴んで後ろに投げた。
地面に落ちてもその筒から尚煙は吹き出し続ける。慌てふためく人間の声が聞こえた。
 船尾が煙を完全に脱した。既に速度は人が追いつけない程になり始めた。
それでも薮田は追っ手から逃れようとギアを上げる。幸いなことに道はずっと直進である。
更に速度が上がり、トレーラーの振動が激しくなった。
「やった……!」
後ろを振り返り、今江は胸を撫で下ろすと同時に右手に拳を作る。顔には少し笑顔が浮かんでいた。
運営側の戦力を把握しているわけではないが、相当数の兵士があそこで待ち伏せをしていた。
それを今完全に置き去りにすることに成功したのだ。
港はもう間近。これなら運営側の抵抗なくして、船を着水させる作業ができるかもしれない。
災い転じて福と為す。そんな言葉が浮かんだ。
 しかし、喜ぶ今江と対照的に、その横で小宮山はつとめて冷静な表情のままである。
危機的状況を抜け出したはずなのに、少しも安心する顔はしていない。
それどころか、攻撃を受ける前よりも厳しい表情ですらある。
しかし今江はそれに気づかず、前方にはっきりと見え始めた海に目を奪われていた。

528 :脱出行3(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:17:58 ID:nHCy9stL0
 薮田は快調に車を走らせる。
追っ手が来ることを考えて、今までよりもかなりスピードを出して運転している。
それ故にちょっとした振動が後ろのトレーラーを大きく揺らし、より集中力を要するようになった。
 そんな薮田の横で、手に持った銃を西岡は見つめる。
ついには一度もそれを使うことは無かった。相手が運営側の兵士だというのに。
分かりきった、運営側の、悪の手先に対して何を迷うことがあるのか。その自問自答を繰り返す。
悪。その自分自身の言葉に引っかかる。
対するのが悪だというなら、自分は正義ということになるのだろうか。
はっ。思わず自嘲気味な笑い声が口から漏れる。
それに自分で驚く。心の中のつもりが、実際に声に出てしまったからだ。
「……西岡」
ハンドルを握り、前を見つめたまま薮田が口を開く。
西岡が何でもないと言おうとする前に、更に言葉を続けた。
「ワイも大塚もお前を、お前のやることを信じとる。
 あとはお前が、自分を信じきれるかや」
西岡は何も答えられず、ただうつむくだけだった。
右手には拳銃が握られ、その下にそれを支える左手。その両手を乗せる膝。
自分の手が握っているもの、それは拳銃だけだ。
他に何も持たず、拳銃以外は空っぽの手。

 薮田さん、分かるよ。あんたの言いたいこと分かるけど。
俺の目に映ってる俺の手には、これだけしかないんよ。
それなのに何を信じろって言うの。

 まもなく港があることを示す看板が道脇に立っていた。
一つも船がないという港。そこを目指して、車とトレーラーは道をひた走っていった。

529 : ◆QkRJTXcpFI :2006/07/27(木) 01:19:09 ID:nHCy9stL0
>>493
そうですね。
ご指摘ありがとうございました。

530 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 02:43:52 ID:kyCT0Fhg0
うおおお、アクション映画みたいでカコイイ!
いよいよクライマックスなんですね……大量投下お疲れ様です。

531 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 11:46:28 ID:oFgqG71y0
うおぉぉおおおおおぉおお!乙です!
ドキドキしてきた…

532 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 14:07:46 ID:Ewl64kYeO
乙です!!!
どきどきwktk!!

533 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 17:32:12 ID:GZUGY9nv0
戸宮・・・

534 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/27(木) 20:34:00 ID:pI+eOnTX0
職人さん乙です。
スゴイドキドキしてます…

535 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/28(金) 21:27:30 ID:0xxH5jTSO
保守するよ

536 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 00:37:51 ID:M+JmQEGS0
キャラコンやったら戸浦がぶっちぎりな気がするw

537 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 00:53:51 ID:oA4hnVG7O
>>536
名前間違われまくるから大量の1票ずつ入る名前が出るぞw

538 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 01:08:47 ID:RqN+uDI2O
>>536-537
そして一位になれないわけかw

うわあ完結したら人気投票ぜひやりてぇwww

539 : ◆CLM31pWOr6 :2006/07/29(土) 01:26:40 ID:Ddhy8vag0
>>538
マリバト内でよければスクリプト用意して待ってますw

540 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 01:50:54 ID:4e6iYILt0
人気投票面白うそうだね!
戸永も良いけど、個人的には序盤〜中盤に消えた良キャラ達も掘り起こしてあげたい。

完結したらまた最初から読み返すかな…。

541 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 04:40:58 ID:3Y+jILZnO
まあぼくはなりせさんにとうひょうするよ!

542 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 08:36:35 ID:yb1A6/ubO
吉村乙

543 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/29(土) 17:25:57 ID:ZoDr3NwdO
>>541
なるせな。わかってやってるのかもしれんが。

戸米地はどうした───?

544 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 07:53:20 ID:rFFLMm7mO
戸ウゴー・成瀬・平下・フランコ・重光武雄・愛甲・荘

俺はこの辺りがたまらなく好きだ。甲乙付けがたい。

サイドストーリーがいくつもある為、キャラが立っているの選手が多いのがマリバトの特徴か?
そろそろマー君達も気になるな。

545 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 08:19:48 ID:Ozbxu+aK0
なんで初芝さんに票が入ってないんだ!!
といいながら代田にも一票。
足折った試合生で見てたから出てくるたびに思い出して泣けた…。

546 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 09:52:08 ID:R+ABuEmsO
見せ場が多かった大塚だな
おかげでリアルでも応援するようになった



と見せかけて戸口に一票!!!!

547 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 16:00:35 ID:0+j85aWGO
昨日代田プロ入り初のヒーローインタビュー。

548 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/30(日) 18:42:26 ID:r7KxO2VD0
ベニーに1票ww

549 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/31(月) 00:39:06 ID:ECqkC00c0
ひそーり地味様に1票。

550 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/31(月) 01:23:46 ID:efcjzk/ZO
俺が「人気投票やりたい」なんて言い出しっぺしたばっかりに早漏投票がw

>>539
マジっすか!
まあ一個人の提案なんで、他の皆さんの意見も聞いてみてはどうでしょう?


551 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/31(月) 05:52:16 ID:5+TBYQjkO
キャラ投票するなら、俺は於保に一票。
すげー印象に残るキャラですた

552 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/31(月) 18:48:33 ID:fVPRrytX0


553 :代打名無し@実況は実況板で:2006/07/31(月) 21:46:20 ID:x/npI+dmO


554 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 02:38:07 ID:ksbStEirO


555 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 07:25:22 ID:g4P+wJIlO


556 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 09:51:01 ID:+ARR6Pk00


557 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 10:46:15 ID:+5uLwS6KO


558 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 11:27:18 ID:gWmNXxeA0
ぶっちぎりサワイwww

559 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 12:50:25 ID:JPIVoDPhO
俺は青野に一票

560 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 20:38:07 ID:ar4vw41CO
澤井は速かった。ホントに速かった。

561 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 22:53:03 ID:yT1Nuk1R0
オイラは地味にマサウミにイピョウー


562 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 23:12:19 ID:uuR3ohITO
澤井 澤井 澤井
もう 迷うことはないよ

563 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 23:14:39 ID:PaC6GijHO
やっぱ大塚に一票

564 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 23:22:00 ID:lt23fNkH0
福浦に一票。まじ泣けた。

成瀬も捨てがたいが。。。

565 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 23:29:57 ID:8OO+G6o/O
薮田

566 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/01(火) 23:53:54 ID:tHhxCK2QO
地味様にいれてみる

平下もバトロワ史上に残るキャラなんで良いんだけどな

567 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 00:34:41 ID:k8lMlQaM0
大塚に一票。
バト読む前はただの競馬好きにしか思ってなかったが、
読み出して色々調べてみたらリアルでも応援するようになってしまった。
ラストまでgngr

568 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 11:33:11 ID:H/a0l1Un0
コバマサに一票

569 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 12:41:56 ID:kF7wTpeUO
於保・内一連の話が好きなんで於保にイピョウ

570 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 21:39:17 ID:zS0sPH9v0
なるせにいっぴょう
初登板初勝利も生で見たからリアルでも応援してる

571 :番外 李承■と愉快な同士たち39 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:03:58 ID:Q/2ymoBu0
 外国人が立て篭もっているとされる部屋の中のバリケード。
それを囲んで大勢の兵士達が、少しずつその破壊を試みる。
バリケードの中にいる唯一の人間フリオ・フランコは銃撃などでそれを再三威嚇していた。
だがいかんせん手の数が足りない。隙を突かれ一つ、また一つと机や椅子が片付けられていく。
兵士達は防護盾に身を守りながら、バリケードの一部を崩しにかかっているのだ。
いずれはバリケードが除かれ、中に自分しかいないのが判るだろう。
その時が潮時だ。フリオはこの先の運命を覚悟した。

 篭城した敵を攻める最前線の兵士がいれば、その後方で待機する兵士もいる。
連絡や医療業務を担当するものや、雑用が役割のものもいる。
そのうちの一人の兵士は、篭城者の立て篭もる部屋から離れ廊下の角で見張りをしていた。
彼はその役割がとても退屈だった。なぜなら敵はみな向こうの部屋にいるのだから。
これ以上の敵など今さら歩いているわけもないし、ただ立っていればいいだけなのだ。
そんな彼があくびをし、ぼおっと立て篭もりの起きている部屋を眺めていた。
彼の後ろから凄まじいスピードで走ってくるその大きな影に気づかずに。

 ついにバリケードの一角が崩れ、向こうから中が見通せるようになった。
すかさずフリオはそこに銃弾を撃ち込み威嚇する。
しかし一瞬の呼吸を置いて、今度は向こうから銃弾の雨が降り注いでくる。
ここが年貢の納め時か。フリオは天を仰ぎ、十字を切ろうとした。
「お前ら!?」
見上げて視界に入ったのは、天井裏の脱出孔から出てきた足。
あっという間に、見送ったはずの仲間たちが降り立ってくる。
ただし李承■とマット・フランコと重光昭夫だけはいないのだが。

572 :番外 李承■と愉快な同士たち39 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:04:16 ID:Q/2ymoBu0
「お前ら、何をしているんだ!? 最上階に行ったはずでは」
「事情があって一旦引き返してきたんだ。
 それよりフリオ、君こそ何故ここに留まっているんだい?」
「それは……」
シコースキーの質問にフリオは口をつぐむ。
自分だけが残り食い止めるつもりだったなどと言えるだろうか。

「自分だけ残って食い止めるつもりだったんだろう?
 だが、そうはいかないよ」
フリオが顔を上げた。ミンチーが笑っている。
そこにいる皆が手に銃を構えた。バリケードの一部が崩れ、風前の灯なのは理解していた。
「やるしかない、ようですね」
谷保恵美がゴクリと唾を飲んだ、その時である。バリケードの向こうから悲鳴が聞こえた。
全員が驚いてそちらに耳を傾けると、更に次々と悲鳴が上がる。
怒号と銃声、いくつもの衝撃音。そして断続的にやはり悲鳴が聞こえる。
バリケードの向こうは騒然となっていた。だが、彼らにその様子はうかがい知れない。
悲鳴を上げるポイントがどんどん近づいてくる。ついには部屋の前まで到着する。
「ぐわあああっ!」
ついに部屋の中で悲鳴が聞こえた後、ふいに静寂が訪れる。
それまで人の気配が行き交っていたバリケードの向こうでは物音も人の声もしなくなった。
一体何が起きたのだろうと、フリオ達が不思議に思ったとき、既にベニーが向こうを覗き込む。
「ベニー、危な……」
「アローハ!」
その声に一同がバリケードの向こうを見に駆け寄った。
倒れた兵士達がそこら中に散らばる中、一人だけ悠然と佇むダン・セラフィニがそこにいた。

573 :番外 李承■と愉快な同士たち39 ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:04:49 ID:Q/2ymoBu0
 セラフィニはベニー達に気づいて、少しバツが悪そうにそっぽを向いた。
「サーフ、どうして?」
「気づいたんだよ。ホークスと合併なんかしたらあのパナマ野郎と同じチームだってな。
 あの野郎とはきっちりカタをつけてえんだ……俺の自慢のストレートで無様に三振させてやるぜ」
ベニーが飛び出し、喜びながらセラフィニの肩を叩く。
セラフィニはそれを煩わしそうにしつつも、少し受け入れていた。

「どうしてここが分かった?」
フリオは改めてセラフィニに尋ねる。
「気絶した俺を起こした男がいる。そいつがここに行けっていうんだ。
 どうも捕まっていたところを、警備が手薄になったんで抜け出せたらしいんだがな」
それを聞いて谷保が何かに気づいたような顔をする。
「その人の、名前は?」
「聞いてない。一刻も早く行けっていうから置いてきたんだが……」
「そうですか。とにかく、李さんとフランコさんの向かっている最上階へみんなも」
その声に全員が気勢を揚げる。すぐに部屋を出たところで、谷保だけが足を止めた。
不思議がる面々に、谷保は少し悲しそうに答える。
「私は残念ながら足手まといですから。……みなさんにお願いしていいですか?」
深々と頷き、ある者は右手の親指を立てて走り去る。
谷保はその様子を見つめ、彼らの無事を祈り続ける。

 外国人達が去っていった廊下を、しばらくして一人の男がやって来る。
息を切らして走ってきた。それを迎えるのは残っていた谷保だ。
「あれっ? セラフィニはっ?」
誰もいないのを見て不思議そうな様子の彼に、谷保は仕方ないなという顔で答える。
「もうみんな行きましたよ、公式タン」

【※■は火へんに華】

574 :番外 李承■と愉快な同士たち40(1/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:05:20 ID:Q/2ymoBu0
〔丶`J´〕ノ貝<オッス、ソラチョリム!李承■デス。

 「なんじゃ? ガムは要らんのか?」
どこかおどけているような、しわがれた声。
しわが幾重にも刻まれた顔は、何を考えているのかその表情を全く読み取らせまセン。
ロッテオーナーの重光武雄はソファにゆったりと腰掛けていまス。
私達が何もしないのを見ると、ガムを差し出していた手を残念そうに引っ込めましタ。

 周りには彼の味方は誰一人としていないのに、とても落ち着いた雰囲気でス。
貫禄と言うのでしょうカ。とても奇妙に思いまス。
ここには彼と私とマット・フランコしかいませン。重光昭夫サンはまだ天井裏デス。
「さて、君らは何をしにここまでやって来たのかね?」
肘掛けに右腕を乗せもたれかかりながら、オーナーは私達に聞いてきまシタ。
「今すぐこのゲームを止めてください。
 さもないと、手荒なことをしなければいけません」
私は左手に銃を構えましタ。そしてオーナーを睨みつけまス。
しばらく沈黙が部屋の中に流れまス。
オーナーは私の様子を見ているようでしタ。手が震えているのに気づかれたでしょうカ。
「ほっほっほ。知らんのか? あのシステムは故障してもう止められん。
 ワシにもどうすることも出来んのだよ」
両手を上げて手の平を上に向け、オーナーはわざとらしく困った顔をして見せましタ。
それが私の焦燥の炎に油を注いだのは言うまでもありまセン。
「嘘は止めていただきたい」
「マコトじゃよ。なんなら管制室にもう一度案内してもよいぞ。
 さすれば、ワシを脅しても無駄じゃと判るはずじゃ」
「それを……信じろと……? 馬鹿を言うな!」
私は思わず右足で床を強く踏みつけていましタ。大きな音が鳴りまス。
強い振動に水槽の水が揺れ、シャンデリアが揺れて装飾がこすれあう音がしまス。
それに驚いたか、オーナーは口をつぐむと下の方を向いて動かなくなりましタ。
皺だらけの手がプルプルと震えていまス。驚かせすぎたのでしょうカ。

575 :番外 李承■と愉快な同士たち40(2/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:05:38 ID:Q/2ymoBu0
「……ほっほっほ」
うつむいたままの姿勢で、地鳴りのようなしわがれた低い声が響きましタ。
その声に怯えは感じ取れまセン。
私のささやかな同情は間違っていましタ。この老人は、いわゆるそんなタマではありまセン。
 オーナーがいきなり顔を上げましタ。その視線が私達を射抜きまス。
一瞬、本当に体に矢が刺さったような錯覚を受けましタ。
「戦後のドサクサをリヤカー引いて成り上がったワシを舐めるなよ?
 脅したところでどうにかなるとでも思うたかあっ!!」
その顔は、確か日本の寺院にある仁王と言う者にそっくりでしタ。
威圧感が私の足を気づかずに後ろに下がらせていまシタ。
 オーナーが右手を上げ、指をパチっと鳴らしまス。
低く唸るような音がして、天井の細長い隙間から彼と私達の間に透明な板が降りてきましタ。
板はあっという間に床まで降り、そこにあった溝に嵌り落ちましタ。
部屋の端から端まで、彼と私達が完全に分断されマシタ。
同時に部屋の壁が割れ、そこから潜んでいた兵士らしき人間が現れまス。
あっという間に私達へと迫ってきまシタ。
すぐに私はオーナーを捕まえようと前へ動きましタ。しかし透明な壁に阻まれまス。
いくら叩いても壁はびくともしまセン。
「強化プラスチックの防壁じゃ。厚さは20センチ。銃弾すら貫通させんよ」
そして、あっという間に私達は兵士に取り囲まれていましタ。

 もはやどうしようもありまセン。武器を捨てて、両手を上げまシタ。
強化プラスチックの壁の向こうには、オーナーが満足そうに笑っていまス。
「昭夫、そこにいるんじゃろう? 降りてきなさい」
表情を一変させ、オーナーは言い放ちマス。
直後、私達の降りてきた通気孔の穴から物音がしまシタ。
そして、まだ降りてきていなかった重光サンがゆっくりと部屋へ降りてきマス。
彼もまた、即座に兵士達に取り囲まれましタ。力なくうなだれていマス。
その様子をオーナーが細い目で見つめていましタ。
「ボンクラ息子が。無能までならまだしも、あまつさえワシを裏切るとはな」
静かな声に、重光サンはゆっくりと顔を上げましタ。

576 :番外 李承■と愉快な同士たち40(3/3) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:06:01 ID:Q/2ymoBu0
「……いつもそうでしたね、父さん。実の息子にも一切の妥協を許さない姿勢。
 私はそんなあなたを畏怖し、同時に憧れていました。
 けれどまさか人質にされた途端に私を不要とするとは…………思ってました。思ってましたけど……」
少し悲しそうな顔で、重光サンはオーナーを見つめていまス。
最後まで信じていたものを裏切られたような、絶望を帯びた悲しげな顔でス。
しかしオーナーは表情一つ変えることはありまセン。
「親子の情でも期待したか? 全く……育て方を間違えたな」
その言葉に重光サンはいきなり立ち上がり、オーナーの方へ猛然と突き進みましタ。
兵士達が止める間もなく、いえ、止める必要もなく透明な壁にぶち当たりマス。
そこに両拳を突き立て、怒り狂った表情で重光サンは叫びましタ。
「全てあんたに言われて、あんたの為にこの計画を遂行してきたんだ!!
 オーナー会議連中もマスコミも政治家にも話をつけて。
 もし……あんたがそれを認めてくれさえしたら、こんな……」
重光サンは壁に前のめりに寄りかかりながら、膝から崩れていきましタ。
不思議なのは、重光サンが泣いているような声なのデス。
一人でいたあの時、重光サンはオーナーを裏切るようなことを言っていたはずデス。
それなのに、なぜオーナーに悲しそうに訴えているのでしょうカ?

「認めろだと? お前の仕事振りなぞ、詰めの甘さが響いて60点じゃよ。
 危うく最後の儲けを失うところだったんじゃからな」
「オー、ヤリチン?」
重光さんの言葉に、フランコが反応しまシタ。“儲け”という言葉。
私は知っていまシタ。既に松本サンから聞かされていましたカラ。
まだフランコ達には話していない、このゲームの真実を。

【※■は火へんに華】

577 :番外 李承■と愉快な同士たち終(1/6) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:06:31 ID:Q/2ymoBu0
〔丶`J´〕ノ日<オッス、スンデ!李承■デス。

「なんじゃ、知らんのか」
重光武雄オーナーが顔をしかめるフランコの方を一瞥すると、手元のボタンを操作し始めましタ。
すると、部屋の向こうの壁にかかっている巨大なスクリーンにパッと映像が浮かび上がりマス。
「冥土の土産じゃ。これを見るがよい」
映し出されたのは、地図の画像。ほぼ円形をした、島らしき画像デス。
画面の端に幾つか別のウインドウがあり、番号などが映し出されていマス。
私はその時、違和感を感じまシタ。先ほど見たときにあったはずの物がありまセン。
「赤い点はどうした? 選手達を示す、赤い点は?」
「だから、システムが故障したといったじゃろう。ほれ」
そう言ってオーナーは画面を切り替えマス。
“Survival”と上に表示されたウインドウの中に、背番号と名前がローマ字で並んで書かれていマス。
『6 Kiyoshi Hatsushiba』、その下に更に『7 Tsuyoshi Nishioka』というようニ。
「薮田が生死確認不可になったため、ここには10人しか表示がないが実際はあと11人じゃ」
「オー、ヤリチン!」
フランコが怒りを露にしまス。私も一瞬で憤りと悲しみの感情に支配されましタ。
もう、あと11人しか生き残っていないなんてテ。そんな馬鹿なことがあるでしょうカ。
そんな様子を気にすることもなく、オーナーは更にウインドウを切り替えましタ。
それは切り替えられる前とあまり変わらない表示に見えましたが、いくらか違うことがありましタ。
各選手の横に書かれた9.68や3.14といった文字。そして、上に書かれている文字は“Odds”とありマス。

578 :番外 李承■と愉快な同士たち終(2/6) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:06:52 ID:Q/2ymoBu0
「オー、ヤリチン……」
「……そのまさかだよ、フランコ」
そう、名前の横に書かれているのは正にオッズであり、倍率なのデス。
次に死んだ人間を当てれば、賭け金に応じてその倍率で配当が支払われるらしいのデス。
――千葉マリーンズバトルロワイアル。
私が聞いた真実は、球界再編のためなどではなく、私利私欲のために行われたギャンブルなのデス。
人の命を弄ぶ最悪のギャンブル。その胴元こそが、正にロッテそのものだったのデス。

「最後の一人ということで、賭けられた金も今までで最大の額に達しとる。
 世界各国の暇と金を持て余す連中は、とても楽しんで金を落としてくださっておるよ」
「オー、ヤリチン!」
フランコが重光サンに突進しマス。透明な壁に力任せに体当たりしますガ、跳ね返されマス。
怒りの力も、全て徒労に終わってしまいましタ。
「怒るな怒るな。このゲームでどれぐらい利益を得たか判るかね?
 球界有数の弱小赤字球団を向こう百年持っても平気な額じゃ。
 そうじゃ、もし今後大人しくしてくれるなら、君たちにも相応の保証金をやろうじゃないか」
私の拳は震えていまシタ。フランコも、そして私もそれには答える気にすらなりマセン。
「しかしこうしてみると、プロ野球なんぞに無駄な年月を費やしたもんじゃの。
 最初からこうすれば良かったわい」
その一言に、ついに私が我慢の限界を越えていましタ。
気づいた時にはオーナーに突進し、透明な壁にぶち当たっても尚それを蹴り続けていまシタ。
悔しくて仕方ありまセン。私は叫びまシタ。
「オーナー、私は許さない!
 人間としての尊厳も、プロ野球選手の誇りも、全て踏みにじったあなたを!
 野球を愛する全ての人々に賭けて、許さない!!」
「やかましい遠吠えじゃのぉ」
オーナーが手を上げようとしたそのとき、バタンという音がして部屋のドアが開きまシタ。

579 :番外 李承■と愉快な同士たち終(3/6) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:07:15 ID:Q/2ymoBu0
「スンヨ、来たぞい!」
部屋に飛び込んできたのはフリオ・フランコを先頭とした仲間たちでしタ。
武器を持たない私達の様子を余裕で見守っていた兵士達が色めき立ちマス。
すぐに応戦しようとしましたガ、続くベニーが陰から飛び出し彼らへと突っ込みマス。
更にミンチー、シコースキー、なんとセラフィニまでが後に続いてきまシタ。
私とフランコもそれを見て後ろから兵士たちに襲い掛かりまス。
透明な壁を隔てて、その様子をオーナーとその周りの兵士達が呆然と見ていまシタ。
数分後、ついに、虚を疲れた兵士達は私達によって全て打ち倒されましタ。
おもむろに埃を払いながら、全員でじっとオーナーを睨みつけマス。

「な、なんだこれは?」
後から追ってきたのでしょウ。瀬戸山サンが部屋に入ってきてその様子に驚愕していマス。
セラフィニがチラリと睨むと、恐怖にひきつり両手を上げましタ。
しかし、まだ強化プラスチックの壁があるからでショウ。オーナーは余裕を崩しまセン。
「ほほ、ようやりおる」
「いつまでも余裕でいられると思っていますか?」
「そうじゃよ。お前達にこの壁を壊すことは出来ん」
そうデス。銃弾も通さないと言う壁が、部屋を完全に分断していマス。
 私は集まった同士達を見まシタ。一瞬の目配セ。同士達はそれを読み取りまシタ。
それから私達は一歩一歩その壁に近づいていきましタ。そして壁際まで来て両手を当てマス。
「オーナー」
「なんじゃ?」
「あなたはプロ野球を職業とする人間を軽んじ過ぎています。
 まして、我々がなんと呼ばれているかご存じないでしょう?」


580 :番外 李承■と愉快な同士たち終(4/6) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:07:36 ID:Q/2ymoBu0
 足を地面にベタリとつけて腰を低くし、透明な壁を両手で押しマス。
歯を食いしばりひたすら力いっぱいにデス。
「ほっほ。知るわけあるまい」
7人の外国人の全員が、己の力全てで壁を押しマス。
その時デス。ミシという音が天井の方から響きましタ。
そしてほんの少し、透明な壁がグンと動く感触を体が感じまシタ。
「なんじゃ、どうなっとる?」
オーナーの顔に動揺が初めて浮かびましタ。
更にミシと言う音と共に、天井から細かい破片が舞い落ちてきマス。
壁の向こうの全員が上を見て、表情を変えましタ。
透明な壁の出てきている天井の細長い穴、その周りにひびが入っているのですカラ。
7人で合わせた力が、壁を固定する根元から破壊しつつあるのデス。
「は、早く押し返せ!」
オーナーに言われて兵士達が向こうから壁を押してきますが、もはや破壊は止まりまセン。
更に私達は力を込めマス。オーナーの顔が青ざめていまシタ。

「己の力だけを信じて異国のチームを渡り歩き、その力でチームの勝利への道を切り拓いていく。
 そう、だからこそ我々は『助っ人外国人』と呼ばれているんだ!!」
一際大きな力でもう一度押したのが、最後の一押しとなりましタ。
壁を止めていた天井の穴は崩れ、そこから上部が露出しまス。
そしてそれは私達に押されながら、ゆっくりと向こう側に倒れていきましタ。
大きな音、叫び声、舞い上がる塵。
バランスを崩し、私達はそのまま透明な壁に倒れこんでいまシタ。
起き上がったとき、透明な壁の下敷きになり目を見開いた老人がそこにいまシタ。
「あ、あ……」
椅子が作った僅かな隙間の下で直接のダメージは避けられたようデス。しかし様子が変デス。
胸を抑えながら、しきりに口をパクパクさせていまス。

581 :番外 李承■と愉快な同士たち終(5/5) ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:08:07 ID:Q/2ymoBu0
 それを横でずっと眺めていた重光サンが気づき、慌てて駆け寄ってきまシタ。
オーナーの体を板の下から引きずり出すと、地面に寝かせて重光サンが話しかけまス。
「父さん? 父さん?」
「あっ……」
重光サンを一目見て、オーナーは息を引き取りましタ。
騒然となる周囲の声を他所に、全身から力が抜けくたりとなっていまス。
すぐに首に手を当てましたが、脈は既に無くなっていまシタ。
「もともと心臓が悪かったんだ」
そう一言だけ言うと、重光サンは表情を変えずにオーナーの顔を見つめていまシタ。
何も言わず、決して嬉しそうでもなく、しかし泣くでもなくじっと。
 そこに瀬戸山サンがゆっくりと歩いてきマス。
オーナーの亡骸を見て、がっくりとうなだれマス。しかしそれも束の間、顔を上げまシタ。
次に彼はその前の重光サンの前に座ると、深々と礼をしまス。
「重光昭夫オーナー、ご指示をお願いします」
面食らった顔をして、重光サンが瀬戸山サンを見ていマス。
しかし瀬戸山サンはもう一度頭を下げましタ。
「我々は命令でしか動けない者です。老が亡き今、次のロッテグループ総帥はあなたです。
 千葉ロッテマリーンズのオーナーも、全て」

 気づけば、回りの兵士達も重光サンを囲んでひざまずいていまス。
その様子に重光サンは最初に困惑していましたが、やがて顔に活力が満ち始めましタ。
「そ、そうか……。私が……ついに、ロッテの総帥に……」
喜びを露にしながら、重光サンは自分の周りにいる人間たちを見下ろしましタ。
その嬉しそうな表情は、しかし不意に私を見て凍りつきまス。
私の手には、重光さんの飲み込んだ発信機の爆破コントローラーが高々と掲げられていたのですカラ。
「すぐに救援の用意をしてください。李承■からのお願いです」
「は……はい」

【李承■と愉快な同士達 ‐完‐ ※■は火へんに華】

582 : ◆CpgsCDAZJ6 :2006/08/02(水) 23:12:55 ID:Q/2ymoBu0
最後なのでスパートかけたら長くなりましたが、番外のスンヨプ編はこれにて終了です。
以降は出るとしたら本編ですが、その辺りはまだよく分かりませんてことで。

583 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 23:49:49 ID:cxng2UYR0
なんと…!

職人様本当にお疲れ様です!!
最初はギャグだと思ってた李承■編だけど、凄い内容濃かったですよ!

584 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/02(水) 23:50:00 ID:P66AfzeD0
超超超乙!!!!!!!!!!

やべぇ!みんなかっこよすぎる!!
サーフが特によかったなぁ。

>>「オーナー、私は許さない!
 人間としての尊厳も、プロ野球選手の誇りも、全て踏みにじったあなたを!
 野球を愛する全ての人々に賭けて、許さない!!」
>>「己の力だけを信じて異国のチームを渡り歩き、その力でチームの勝利への道を切り拓いていく。
 そう、だからこそ我々は『助っ人外国人』と呼ばれているんだ!!」

ここのくだりはマジで鳥肌が立った。スンヨプかっこいいよスンヨプ。

585 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 00:09:28 ID:NM1Ga4450
公式タンもきたーーー

586 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 01:05:21 ID:4VyWoHlbO
スンヨプいいよスンヨプ

587 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 01:56:18 ID:UY65m8YiO
いやー、よかった!職人様乙です。
みんなかっこ(・∀・)イイ!!

588 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 11:30:42 ID:EmWvUBdKO
助っ人カコイイよ助っ人!!

藻前らみんな最高だ!!!!!

589 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 12:54:00 ID:3ua/oGemO
素晴らしいな!!!スンヨプかっけぇ!


怪物・重光武雄が意外なほどあっさり逝ったけど、全然ありだね。
この話は本編次第ではグダグダになる恐れもあったのに、すごいよ!

ところで、スタートからグダグダなあの連中はこれからどうなるんだw
ある意味、戸チローより期待してたりして。

590 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 13:16:24 ID:0wl0rOduO
スンちゃんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

職人さんホントにGJ!!

591 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/03(木) 20:32:24 ID:yNsVDo2D0
「助っ人外国人」て深い言葉だなぁ…
職人さんGJ&乙であります!!

592 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/04(金) 02:16:13 ID:q0LKqeUVO
保守します

593 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/04(金) 07:31:33 ID:h4QZTO2/O
職人様乙です!!

助っ人達カッコヨスギ(*´Д`)

594 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/04(金) 08:22:41 ID:yOC87t5EO
age

595 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/04(金) 10:21:26 ID:7aHy7TUl0
スンチャンーーー!
スンチャン編の職人さん乙です。

596 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/05(土) 01:02:40 ID:NU6ETnGk0
スンヨプ編すんごい面白かった。職人様お疲れでした。

597 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/05(土) 18:25:42 ID:N4HT/6/00


598 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/05(土) 21:53:56 ID:5Fqmsbxg0
もばー

599 :番外 愉快なカモメたち19(1/2) ◆vWptZvc5L. :2006/08/06(日) 03:05:26 ID:ichqF6zr0
――「僕、ロッテの球団関係者なんですけど、実はダイエーとの合併…」
ツーツー。全部話し終えないうちに電話が切られる。
またか、とマーくんはため息をついた。リストの上に線を引き、またひとつ候補を消していく。
マリーンズとホークスが合併するという事実が公になれば、
大騒ぎになって反対意見も出てくるだろうし、選手の行方もわかるかもしれない。
そんな期待をこめて新聞社、通信社、TV局、週刊誌――あらゆるマスコミ各社に
訴えてきたのだが、まるで腫れ物に触るかのようにどこも相手にはしてくれなかった。
ほとんど線を引かれて消されたリストを、マーくんは独りじっと眺める。
リーンちゃんとズーちゃんはもう寝てしまった。そもそもカモメは昼行性である。
そのうえまだ3歳と4歳の子供が起きているには、かなり無理のある時間帯になっていた。
(いや、そういう僕だって一応5歳だったりするんだけど)
ちなみにマーくんの誕生日は8月9日の"野球の日"であるが、
誕生日が来ても、マーくんは永遠の5歳ということになっている。
「……もうろくなとこが残ってないなぁ」
いわゆる大手や信頼性の高いところは、すでに門前払いを食らってしまった。
残りの結果も似たようなものだろうと、半ば諦めながらもマーくんは次の番号を押した。

600 :番外 愉快なカモメたち19(2/2) ◆vWptZvc5L. :2006/08/06(日) 03:05:54 ID:ichqF6zr0
――「あ、もしもしタモリフジさんですか。僕、ロッテの球団関係者なんですけど、
 実はロッテとダイエーが合併して『福岡ロッテホークス』になるという話が……」
そこでマーくんは微かな手ごたえを感じる。
今まで『合併』という単語を出しただけで電話を切られていたのに、今回はちゃんと聞いてくれている。
これは意外といけるんじゃないか。そんな淡い期待を抱いたが、それはすぐに裏切られることとなった。
――「……は? 世界の王…? いえ、それは確かにそうなんですけど、
 問題はそこじゃなくて……終身名誉監督ぅ?? いえ、もう結構です! 失礼しましたッ!」
話があらぬ方向に捻じ曲げられて、ついていけなかった。
すぐに電話を切り、マーくんはよりいっそう大きなため息をつく。
「やっぱ夕刊紙じゃネタ記事にされるだけだよなぁ」
急にどっと疲れが押し寄せて、ぐったりとテーブルの上に顔を伏せた。
「あー、僕ももう寝ようかな……」
そのままうたた寝しようとしたそのとき、急に着信メロディ流れ出した。
CHIBA ROCK MARINESバージョンの”WE LOVE MARINES”だった。
「誰…? こんな夜中に」
夢うつつで着信画面を見て、一気に目が覚めた。慌てて電話を取る。
「もしもしハリー!? あぁゴメン、ちょっと他のところに電話しててさ。
 で、何かわかったの? うんうん……」
電話の向こうから聞こえてくる事実に、マーくんは息を呑んだ。
「――『千葉マリーンズバトルロワイアル』?」

601 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/06(日) 12:03:08 ID:mB05igloO
職人様乙です!

ついにマー君達も知る時がきたのか!

602 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/06(日) 22:41:30 ID:hjYXNPSWO
戸羽さんはどうなってしまうんだ…。

603 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/06(日) 22:59:25 ID:Fv/XNZq5O
戸笠原頑張れ!!

604 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/07(月) 00:20:47 ID:1xt/zNKH0
マリバトの真のヒーローは戸崎しかいない!!

605 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/07(月) 02:09:59 ID:QIdTnbiU0
戸生田の人気に嫉妬

606 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/07(月) 19:00:50 ID:z5XgwRWZ0


607 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/07(月) 20:17:04 ID:otCL9lZYO
戸場age

608 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/07(月) 21:10:28 ID:XSlPKnhrO
みんな!あいつの名前は、戸レックスだろ!

609 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/08(火) 00:40:13 ID:57bdffgPO
がんがれ戸チョレック(・ω・)

610 :疎通 ◆QkRJTXcpFI :2006/08/08(火) 01:05:38 ID:epZe2DA70
 夜明けにはまだ早い。青の混じった黒い空と、光を吸い込むような濃い黒に染まった海。
水平線と平行に、コンクリートで作られた漁港の岸壁が続いている。
その岸からは断続的に海の向こうへとコンクリートの桟橋が突き出る。
その両脇には更にムカデのように木製や金属製の小さな桟橋が、並んでプカプカと揺れていた。
船着場なのだろうが、そこには一隻も船が浮かんでいない。生き物の動く影もない。
 海と漁港の建物の並びに挟まれた広い道路を少し行った、港の端に位置する辺りに動くものがあった。
コンクリートの桟橋のすぐ横で、レールの敷かれた道路が地続きで下りながら海面へと吸い込まれている。
小型から中型の船を進水させるための海へと続くレールだ。
そのレールを前に、クルーザーの大きな船体と周りを動く影があった。
クルーザーを載せていたトレーラーのロックを外し、船体からロープを伸ばす。
船に乗ったことはあっても、進水に立ち会った経験のないメンバーである。
まさに手探りと言ったたどたどしい作業。
それでも彼らを突き動かすのは脱出すると言う強い意志。
そして作業を後押ししているのは、進水の手順を知らない彼らに指示を出す小宮山悟の声である。
「そうだ、そのロープはそこの出っ張りまで持って来るんだ。
 引っ掛けて、ぐるぐる巻きにして固定してくれ」
海際のコンクリの上、キノコ型の係留用ブロックを指差し声を出す。
動ける者はその指示に従い、怪我を負っている者は一旦外に出て休んでいた。

 一旦、出すべき指示が終わって小宮山が一息つく。
そのまま何やら考えるように腕を組んだ。と、近くを牽引車に乗った薮田安彦が近づいてくる。
船と切り離した牽引車。しかし彼がもう一度それに乗って近づいてきたのも小宮山の指示だ。
「何か気になることでも?」
「ん、いや、なに」
手を振ってなんでもないという風に答えを濁す小宮山。
薮田もそれについては気にする様子もなく、船を眺めて一息つく。
「しかし、コミさんは凄いですわ。
 ワイらだけではどうやって船を水に浮かべたらええのか分かりませんもん」
さきほどからテキパキと指示を出していた姿を思い浮かべる。
その表情はあくまで冷静で、自信すら漂う小宮山らしい表情そのものだった。

611 :疎通 ◆QkRJTXcpFI :2006/08/08(火) 01:06:08 ID:epZe2DA70
「ん? 知らんぞ、俺も」
「……え?」
「大方、船を海に突っ込ませて勢いで行き過ぎないようにすれば大丈夫だろう」
「な、なら、今ロープで何箇所も固定してるのは……」
そう言いかけた薮田を他所に、作業が終わった様子を見て取り小宮山が叫ぶ。
「よし。 後はトレーラーごと海に押していくぞ!」
と言いつつ、牽引車の助手席に乗り込む。
「コ、コミさん、あのもう少し慎重に」
「時間がない時は、大胆かつ大胆だ!
 なあに、トレーラーのロックは外してあるから着水すれば自動的に船だけ浮かぶ寸法さ。
 ロープで固定したし、問題なし!」
かくして牽引車を再び発進した薮田は、小宮山の平静な表情に今さら不安になる。
あの小宮山があの表情で言うのだから疑いもしなかったが、よく聞けばなんとも荒っぽいやり方。
(ま、言われた通りやるけども……大丈夫かい)
そんな思いを胸に抱きつつ、トレーラーの後ろへと車を移動させる。
心なしかビクついた表情の薮田を他所に、小宮山が呟いた。
「そう、何の問題もない……今のところは」
 ただ……。
口には出さず、その考えは今はまだ胸にしまったままにしておく。
(簡単すぎる。あれだけの人間がいて、止まっている車に何も出来なかったなんて。
 あれ以降は追っ手すらない。まさか全戦力をあの交差点だけに集中させていたのか?
 向こうの状況が知れない以上、判断しかねるが……いや、そうだ、杞憂であってくれ)

バババババ…
「監督、大変です」
大きな音を立てながら空を進んでいくヘリの中で、筒井良紀が後ろを振り向く。
たった今、スタジアムからの連絡を聞き終えたところである。
ヘリの後部座席に腰掛けるバレンタインは、下界の風景を見下ろしたまま『What?』と返事をした。
「東京の本部から緊急連絡です。重光武雄オーナーが事故でお亡くなりになりました。
 そして昭夫代行、いえ、次期オーナーからの命令でCMBRは現時点を持って中止せよ、と」
「チュウシ?」

612 :疎通(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/08(火) 01:06:33 ID:epZe2DA70
バレンタインの眉が僅かに上がるのが見えた。口に手を当て中をモゴモゴと動かす。
首を振り、傍の中曽根にすら聞き取れない小声の英語で呟く。
――馬鹿な、クライマックスは、最後の大どんでん返しはこれからだと言うのに。
ヘリの中をプロペラ音だけが響く。
向かう先は、脱出を企む者達が向かったと思われる北側の漁港。
禁止エリアから考えられる進路、船の進水作業の必要性。彼らが行く先はそこしか考えられない。
だがあえて途中に阻止網を設置し、そして、適度な攻撃を経て突破させた。
そう、全てはここまで順調に運んでいるのだ。

「彼らはどうなっている?」
「はい、監視からの報告によるとまだ船を進水させる作業中のようです」
バレンタインは腕時計をチラリと見て考え込む。
ヘリの到着時間も、突破された兵士達の港までの到着も予定通りだろう。
彼の手に取ったパズルのピースは、次々と相応しい場所へとハメられている。
その後もう何ピースかを残して、それを突然奪おうとやってきた命令。
「昭夫氏はまだオーナーではない」
相変らず窓を見ながら、バレンタインは腕を組み直す。
「え? はい、そうですね。正式にはまだ」
横で中曽根が答える。筒井はその会話を内容が分からないまま漠然と聞き流している。
「重光武雄オーナーの命令は絶対だ。まだ変更する権限を持つ者はいない」
それを聞くやいなや、中曽根は筒井の方を振り向いた。
筒井もどうなったと顔を近づける。
「計画は続行だ。命令に従う必要はない」
「え?」
「監督はそう仰っている。よろしくお願いします」

 再び筒井は指示系統の役割に移り、急がしそうに無線機を操る。
中曽根は黙って窓を見続けるバレンタインの横顔をただ眺めていた。
不意に、バレンタインの口の端が少しだけ持ち上がる。
対象者の言葉ではなく、意思をくまなく読み取ることこそがプロの通訳の仕事である。
だから中曽根は、バレンタインのその笑みを見て寒気を感じずにはいられなかった。

613 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/08(火) 01:54:58 ID:hMqHpefi0
職人さん乙です!!
おわああ、バ監督怖っ((((;゚д゚))))

614 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/08(火) 14:19:34 ID:HGDP1HM90
ヴォヴィ〜

615 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/08(火) 16:25:52 ID:ZFYrDxEUO
最中

616 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/09(水) 02:05:56 ID:+l414IvNO
保守

617 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/09(水) 03:37:40 ID:X5nfLgWzO
このスレ、意味わかんねぇからさっさと落とせ

618 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/09(水) 03:38:27 ID:X5nfLgWzO
保守

619 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/09(水) 23:30:26 ID:nTXYpHcK0
捕手

620 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/10(木) 16:07:41 ID:lfXehWwR0
ho

621 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/10(木) 22:22:25 ID:2iRSLJW30
syu

622 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/11(金) 14:15:25 ID:2WaKK18MO


623 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/11(金) 15:11:07 ID:SoWWPQPA0


624 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/11(金) 22:07:05 ID:fpLy7MYuO
戸部浩……
ん〜何か違うな…?
何だっけ?

625 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/11(金) 23:28:44 ID:zndZyRyEO
戸チョレック。

626 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/12(土) 08:15:43 ID:CjvoOZlJO
いや、戸ォーレンだな。

627 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/12(土) 21:27:24 ID:CXDeNWVs0
戸ンヌラだっけ?

628 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/12(土) 21:36:59 ID:0+pNE6vl0
戸ークベックじゃなかったか

629 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/12(土) 21:52:16 ID:Zuz5TiPIO
戸ペンサーだよ

630 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/12(土) 23:40:09 ID:ID+uSwi00
お前らいくらなんでも戸ンカビリアに失礼だぞ

631 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 00:20:54 ID:ZhEyrRVZO
いい加減汁、戸ロマティーだろ!

632 :出航まで(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:48:40 ID:Hj1pZDom0
「よいしょおっ!」
海上に浮かんだ船を、取り付けてあったロープを持って総出で引っ張る。
ロープに固定されてはいたが、ゆらゆらと激しく揺れながら海上を動く船。
それを彼らのいるコンクリートの桟橋の近くまで引き寄せるのはかなりの重労働だ。
しかし、複数人のスポーツ選手が力を発揮すればそれは決して不可能ではなかった。
徐々にだが、船が彼らのいる桟橋の方へと近づいてくる。一度動き出せば慣性で動き続ける。
引くのを止めてもまだ船は止まらず、岸にぶつかりそうなのを今度は皆で抑えつつ停止させる。
コンクリートと船体の擦れる音が少しだけ響いた。
「よし、すぐに乗り込むぞ」
小宮山悟の号令に呼応するように一斉に声が上がった。
桟橋の上から少し高いところにある船の甲板までは渡り板がかけられ、一人ずつそこを昇っていく。
元気な者は傷を負ったものに肩を貸しながら、ゆっくりと渡り板を渡っていた。

 次の順番の薮田安彦が、依然として気を失ったままの平下晃司の肩を持ち上げる。
更にその手を遠い方の肩にまで回させて、背中に平下の体を乗せていく。
うつむき加減に少し体のバランスを調節し、掛け声とともに完全に平下を背負い込む形になる。
「……、……ん……」
薮田の耳元で僅かながらに声が漏れるのが聞こえた。
 久しぶりに開けられたまぶたは、薄目になっており暗闇から光を捉えきれない。
耳鳴りで周囲の音の区別もままならず。背負われているために地に足をつく感覚すらない。
そんな中で平下がまず最初に感じたのは、頬の辺りに感じる人間の体温である。
更に己の息遣いの生温かさと、胴体の置かれている奇妙な形に気づく。
それが人間の体であることに気づくと、平下は五感を加速度的に取り戻していった。
「起きたか」
人の会話らしき雑音が周囲を飛び交う中で、不意に近くから声が飛び出した。
見るとすぐ目の前に横顔でこちらを見つめる薮田を発見する。
そこに来て平下は初めて薮田に背負われている自分を完全に認識したのである。
同時に気を失うまでの全ての記憶、代田のことなどを、堰を切ったように思い出す。
記憶が一瞬で頭の中に弾けた。背中を深々と突き刺されたことも。

633 :出航まで(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:49:00 ID:Hj1pZDom0
右の背中側が熱い。内部で何かが暴れ回るようなじっとしていられぬ苦痛が襲う。
もっとも体力を消耗しきった平下では、その苦痛に我慢できず暴れることすら出来ないのだが。
傷口の周りを含む胴体への圧迫感は、それがおそらく包帯か何かであることを悟らせた。
「……なんで」
平下には分からなかった。
一度は銃口を向けたはずの薮田が、気を失った自分をこうして背負っている。
自分は仲間ではない。それどころか敵である。
薮田も理解したはずだ。自分の居場所を得るためならば殺すことも厭わない人種だと。
そのはずの自分を、今薮田が背負っていると言うことが理解できず、自然と言葉が口を突いた。
 平下の発した小さな一言を聞き、薮田は横目に平下を見ながらしばし沈黙する。
まるで敵意などない、穏やかな目でじっと平下を見つめている。
「チームメイトやから」
「え?」
薮田の言った言葉が理解できず、素っ頓狂な声を上げる。
それを気にせずに薮田は前を向き歩き始めた。
その時になって、平下はようやくすぐ目の前に大きな船があることを見つけた。
それへの渡り板に足をかけ、慎重に昇りながら薮田は言う。
「この船で脱出できる。もう殺すことなんかないんや」
平下は口を開けたまま、何も言わない。
視線は薮田ではなく宙を彷徨い、意識があるのか分からないように見えただろう。
薮田は平下の返事を聞くのも待たず、先ほどのセリフを繰り返した。
「お前もワイのチームメイトや。せやから」
チームメイト。その言葉を聞いて、平下の彷徨っていた視線が一方に固まる。
薮田の口元を見たまま、心の中では何度もチームメイトと言う言葉がこだました。
彼にとっては既にない者のはずなのだ。
もう一人もいなくなった。だから平下はずっと居場所を探し続けていたのだ。
それなのに目の前の男は、自分と彼を結んでそう呼ぶ。
違和感が消えずに心の中をグルグル回る。様々な疑問が巻き起こる煩悶に飲み込まれた。
ただこの時には、平下の薮田に対する殺意などはどこかへ消えていた。
それに平下自身は気づいていなかったが。依然として意識は朦朧としていた。

634 :出航まで(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:49:21 ID:Hj1pZDom0
 最後に今江が乗り込み、渡り板を船に引き込む。
全ての人間が乗り込み、小宮山は既に操舵室へと入っていた。
まだ意識のおぼろげな平下を薮田が背負い、大塚や里崎と供に再び船倉へと向かう。
船尾側の甲板の上では初芝や内や成瀬などが島の方を眺めていた。
ついに脱出できるか、その安堵の息を全員が吐き出そうとする。
だが、このとき、彼らを一瞬で恐怖に陥れる音が耳へと入った。

バババババ

静かな島に轟音を響かせ、遠くからプロペラ音が近づいてくる。
「コミさん、奴らきた!」
「まだ準備できてないぞ!」
その小宮山の叫びをかき消すかのように、ヘリから大きなスピーカー音が放たれた。
『HAHAHAHAMANA!
 ザンネン!ユータチハ、クルーザーツカウコトハ、デキナイデース!』
近づくヘリに全員が臨戦態勢を取る。
手に持っていた各自の武器を構えるだけ。ヘリに対してではささやかな牽制でしかない。
船はまだ動き出さない。しかし実際に追いつかれる前に出航すればまだチャンスはある。
だからこそ小宮山は船の出港準備をマニュアルと睨めっこしながら続けている。
その全員の意志を刈り取るように、バレンタインは一層の声で船へと呼びかける。
『ソノフネハー、ワタシガー、ヨウイシタフネデス』
「え……っ」
全員の表情が凍りつく。小宮山が操舵室から顔を出し、ヘリを見た。
甲板の上では誰もが唖然としたまま動けずにいた。

635 :鍵を握るのは(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:55:47 ID:Hj1pZDom0
スピーカーに乗って、バレンタインのカタコトの日本語が大音量で響く。
『クルーザーデニゲル、ケイカク、ヨクデキマシタネー。
 シカシ、ユータチガ、ケイカクヲツクルコトデキタノハ……』
それを聞き、里崎と内、更に今江がハッとした顔をする。
倉庫に残っていたときの会話。里崎と内はあのときの疑問の答えを感じ取った。
そして今江は、偶然に船の残された倉庫にたどり着いたことを思い出した。
いや、その偶然がよく考えれば彼の先導によってもたらされたものだということに。
『ホントウニ、ホントウニ、グッドジョブデシタネー。
 オホヒロミ。シヌマエマデハ、グッドジョブデシタ!』

於保浩己。バレンタイン側との内通者の一人だった男。
策謀を見破られ、最後にバレンタインの手にかかって絶命した。
その於保の名が、今、バレンタインの口から再び聞かされたのである。
『説明してあげましょう』
今度はスピーカーから流暢な日本語の、男の声が聞こえた。通訳の中曽根だ。
『於保が今江を倉庫に連れて行った。もっとも偶然里崎が先に発見していたが。
 その後に情報を集めさせて、倉庫にある船で脱出する計画を立てた。
 リモートコントロールの爆弾が取り付けられた船とも知らずにね。
 これらは全て私バレンタインが計画し、於保が誘導者として実行してきた』

「そんな」
内が呆然として呟いた。
於保の末期の姿、代田に切られ血しぶきを噴いて倒れていく光景が浮かぶ。
同じような様子のみんなの中で、ただ一人大塚だけが冷静に声を発した。
「はん…そんな情報を信じてやる筋合はねぇな」
その声を聞き小宮山も表情に生気が戻る。
「そうだ、俺達を止めるための方便かも知れん」
すぐに操舵室の中へ切り返す。と、スピーカーから再び甲高い声が響く。
『デハ、ジッセン、シテミマショー! ポチットナー!』

636 :鍵を握るのは(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:56:03 ID:Hj1pZDom0
窓から身を乗り出し、マイクを筒井に持たせて口に近づけさせる。
その右手にはいかにもといったアンテナのついた小さな箱が握られ、赤いボタンが幾つかついている。
そして喋り終えると同時に、左手を高らかに上げその指先を赤いボタンへと動かす。
 船体が揺れる。赤いボタンを押した直後、地震かと思うような大きな衝撃で全員が立てなくなる。
斜め上から降り注いだ爆音と熱風、そのやってきた方向は操舵室の真上だ。
焦げ臭い匂いに口で息をしながら、西岡は操舵室の上から黒煙が上がるのを見つける。
そこは先ほどまでは通信用らしき長いアンテナがあった箇所。
今は黒焦げになり破壊された操舵室の一部と、徐々に拡散する煙があるだけだ。
小宮山は操舵室の中から、天井の一部が崩れ空が見えるのを見ていた。
その場の全員が、バレンタインの言葉の信憑性を確かめる。
痛感する。それはもう、立っていられないぐらいに痛く。
成瀬が弱々しい声を上げながら膝から甲板の上にへたりこんでいく。

 スピーカーからは再び中曽根の声が流れた。
『理解できたら今すぐ投降して船から下りてきなさい。
 その船はもう一つ船倉に爆弾が仕掛けてある。
 お前らがなおも出航した時点で爆破し、船を沈める。脅しではない』
その場に立ち尽くして動けない選手達へ、宣告は更に続く。
しかしそれを聞いても、誰一人そこから動けない。
今まで脱出のために動いてきたことは、全てバレンタインの手の平の上で。
そして初めから脱出など不可能だったと言うことを知ってしまった今では。
徒労感がただ胸に去来する。誰も動くことも、言葉を発することも出来なかった。
『おい、何をしている? 早く船を下りろ。
 まさかその船と心中するつもりはあるまい』
一人、まず顔を上げたのは初芝だ。
ヘリを見つめ、周囲を見渡してから声を上げる。
「行こう。例え船がダメでも、まだ諦めちゃいけない」
全員がそちらを見る。初芝の表情は決して明るくない。
それでも顔の見上げ気味の角度のせいか、ヘリのライトがよく当たっていた。

637 :鍵を握るのは(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:56:22 ID:Hj1pZDom0
「はい……」
へたり込んでいた成瀬が、顔を上げてまた立ち上がった。
暗闇の中で光を求めるように、初芝のほうへと近寄っていく。
初芝ならばなんとか、きっとそんなことを胸に抱いている。
一方の初芝本人には、そこでそう皆を促すだけが精一杯なのだが。
 トボトボと一人一人船を下りていく。
時を同じくして、市街地で引き離した運営側の兵士達が終結し始めた。
彼らが船を下りきったとき、それを迎えるようにヘリで着地したバレンタインが歩いてくる。
桟橋の端に、横付けされた船と共に選手達。
その根元に当たる部分は、バレンタインを始めとする運営側の人間が勢ぞろいしていた。
桟橋の向こうは海。もはや袋小路に追いつめられたのと同じ状態である。

「ブキヲ、ステナサイ」
バレンタインが前に歩み寄り、数m隔てたところから命令する。
その周囲は兵士に守られた形で。
否応もなく、選手達は持っていた武器を地面に落としていく。
 その選手達の表情を見て、バレンタインは心の底からご満悦といった表情だった。
精神を痛めつける状況で見出された一つの希望。脱出。
そのお膳立てを全て整え、折を見てそれを利用させる計画を誘導する。
これ以上殺し合いをしなくて済むという希望の元、選手は必死になって動くだろう。
そして彼らは力を合わせて、脱出のために行動するだろう。
それはネガティブな物ではない、希望に満ちたより強い結束を生み出す。
あともう一歩。全てがこれで達成されるのだというところまで行かせるのだ。
(そして、その希望の全てを奪う)
船は予定通り使えない。脱出は出来ない。その時の絶望の顔はいかほどだろう。
思っていた通り、いや、思っていた以上に素晴らしい表情をしている。
今、目の前で力なく立ち尽くす男達の表情。それは本当に最高だ。
希望をすべて奪われた顔。それを見るために、今までの計画があったのだ。
心の折れた表情。彼らにあった燃えるような意志などとうに消え去ったはずだ。

638 :鍵を握るのは(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/13(日) 00:57:23 ID:Hj1pZDom0
こうすることで、合併後のチームでも私に逆らうこともないだろう。
ボビー・バレンタインの恐ろしさを知る従順な選手として彼らは生き続けていくだろう。
「サテ、シアゲデース」
もう一度、爆破するためのコントローラーを取り出すと高く掲げる。
ここで船を完全に木っ端微塵にして沈めてしまう。
そうすることで彼らの絶望はより深くなり、もっと私好みの良い表情になるだろう。
そして、私の期待はもう一つ、更にその後に起こる展開にある。
「HAHAHAHAMANAHAHAHA!
 HAHAHAHAHAMANAHAHA!」
笑いが止まらない。いつもより調子よく声が出る。
虚ろな表情でこちらを見る彼らの表情が、切なくてどうしようもなく滑稽で仕方ない。
 彼らはまだ気づいていない。
船を破壊しても、まだゲームが当然のこととして続行されるのだ。
残り1人の死亡者を決める戦いを彼らはこれから行うのだ。しかもほんの1・2時間の間に。
脱出と言う目的の元に結束してきた、一番の仲間達との殺し合いだ。
それに彼らは気づくだろうか。気づいた時、その表情をぜひとも見たいものだ。
あと一人だけ。それを決めるどんな展開があろうと、最高のショーになるだろう。
ああ、やはり笑いが止まらない。

 ひたすら笑い続けるバレンタインに、横の筒井は寒気を覚える。
一方で、ショックを隠し切れない選手達にその声はとてつもなく忌々しく聞こえた。
その中で、特に内は於保の笑いが頭に浮かんでは離れない。

「サア、ミテモライマショー! キミタチノキボウ、クダケチルコト!」
バレンタインは尚も笑い続けたまま、チャチャでも踊るような身振りでヘリから上半身を出す。
そしてついに、陽気な手の動きに乗って赤いボタンが押される。
それは選手達の絶望のファンファーレとでも言うべき爆発の音。バレンタインはそう考える。
その音が島中にこだました。

639 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 01:53:22 ID:FmpYQ+fs0
乙です!
ボビー怖えー。

640 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 02:13:33 ID:B1z4zFN8O
職人さん本当に乙です!(・∀・)

もうかなりクライマックスな局面なんで、新作の度にかなり緊張してますよ。
なにげにアレ様の同期がいてたけどw
やっぱり鍵を握る救世主はアイツしか居ないのか…?

641 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 13:31:46 ID:tNYe3Jbl0
ポチットナー

642 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 16:00:10 ID:MiKcavOtO
救世主は戸部か!?
……あれっなんか名前がしっくりこない…。

643 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 23:05:29 ID:HWsgna1KO
>>642
間違っちゃないと思うぞ








確か「とぶ」って読むんだよな?

644 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/13(日) 23:22:04 ID:R7j1uOsx0
…飛ぶピッチャー…

645 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 01:21:41 ID:1A81VoZk0
職人様乙です!

いよいよ大詰めだなあ…。どうなるんだろう。
戸ミンゴもいつまでも寝てる場合じゃないぞ!

646 :煙が晴れて(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/14(月) 03:29:09 ID:FxgyBLOO0
 爆発音が島中にこだました。
ボートの中心部に仕掛けられた爆弾が弾け、船体がバラバラに吹き飛ぶ――はずだった。
まだ船は平然とその姿を保っている。低い轟音、何かが弾ける音が響いていたのにだ。
「Oh?」
バレンタインは事態が飲み込めず、もう一度、今度は別の爆弾のボタンを押す。
爆発音がまた響いたが、やけに小さい音だと気づく。前を見るとやはり船はなんともない。
選手達がバレンタインの方を見つめている。
いや、見ているのはバレンタインではない。その後方だ。
バレンタインが振り返ると、そこから見える山の中腹に火柱と煙が上がるのが見えた。
「WHAT!!!???」
そこにいる全員が知っている。あの場所は船が格納してあった倉庫がある位置である。
そこで爆弾が爆発した音が、港まで響いて聞こえてきただけなのだ。
それをようやく把握したバレンタインだったが、目を見開いたまま体を震わせている。
目の前の選手達の姿も忘れ、顔に手を押し当てながら頭を振り続けている。
声にならない声、呻くような声を洩らしながら。
 船倉にあるはずの爆弾が倉庫にあり、それが爆発したことは理解できる。
理解できないのは、何故そのような状況が発生しているかだ。
彼の完璧な計画。仕掛けてあった爆弾は確認している。外れるはずなどない。
後の選手達の誘導だって首尾よく行われた。
あっさり投降した選手達の様子からして、爆弾の存在など気づいていなかったはずだ。
「WHY....YYAAAH!?」
バレンタインは首を振り乱して叫ぶ。
伸ばした声が奇妙な変調をして口から漏れていった。

647 :煙が晴れて(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/14(月) 03:30:41 ID:FxgyBLOO0
 何かの異変が起きたことだけはその場の全員が悟る。詳しい事態は飲み込めないが。
判るのは船がまだ無事であると言うことだけである。
運営側の人間たちは指示者のその様子に、次の行動を逡巡するばかりだ。
一方の選手達も、しばしその状況に目を奪われているだけだった。

 バレンタインは思考を巡らせる。彼の完璧だったはずの計画。
ゲームの開始前には確かに爆弾が仕掛けられたことは確認している。
いや、現に操舵室のアンテナに仕掛けられた物はしっかりと作動していたのだ。
船倉に仕掛けてあった致命的な爆弾だけが、何故か取り外され倉庫に残されていた。
もし誰かが爆弾を取り外したのだとしたら、一体誰がそれを行ったのか。
ゲーム中に爆弾に、船に近づくことができたのは、今ここにいる選手達だけである。
いや、一人だけここにいないものがいる。
(まさか……)
いや、彼も爆弾の存在など知らないはずだと思い直す。
ただ選手達を脱出へと誘導するための指示を実行していただけだ。
その先に、こんな計画があることなどは一切話していない。
(そういえば……!?)
ヘリの中で彼と移動しているさ中、指示を聞かせた後の会話を思い出す。

「なるほど面白そうだな」
バレンタインの計画を聞き、於保は笑いながら顎を手でさすった。
窓の外、広がる海を見下ろしている。
「しかし一つだけ気になることがある」
「なんだい?」
「脱出の計画を先導するってことは、あんたらには不都合と違うないのか?
 もし成功しちまったら」
その言葉を遮って、バレンタインは笑ってみせる。
最後に絶望にくれる者の表情を見たくないか。それがバレンタインが於保を納得させた言葉だ。
しばしバレンタインの表情を覗きながら、その後に納得の表情を見せていた。
あのときに計画の全貌について勘付いたのかも知れない。

648 :煙が晴れて(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/14(月) 03:31:47 ID:FxgyBLOO0
 だとしても、あの場で納得した彼がバレンタインの計画を邪魔する理由が思い当たらない。
あの狂った享楽主義者は、ただただ事態の二転三転を楽しむだけの人間のはずだ。
だからこそ、そのような大掛かりな計画を邪魔するはずがない。そう認識していた。
 結局バレンタインの思考はますます混沌に陥り、その場で頭を振るばかりだった。
その先に出すべき指示を出すなどままならず、時間だけが過ぎる。

「別に俺はどっちの味方でもないんでね」
バレンタインの姿を見ていて、不意に内の脳裏に於保のそんな声が浮かんだ。
なぜその言葉が今浮かぶのかは、内自身分からなかったが。
内通者として於保がバレンタインに従っていたということに、何か違和感があったかも知れない。
それが今の回想とどう結びついているのか見当がつくはずもなかったが。

(……成瀬君)
唖然として事の成り行きを見守る選手達の中で、いち早く行動を開始したのは初芝清である。
彼の丁度真後ろにいる成瀬を小さな声で呼ぶと、成瀬はすぐに小声で答える。
(僕の背負ってる袋の中にさっき使った発煙筒が入ってる。
 前の奴らに気づかれないように取り出してくれ)
(はい)
こっそりと、初芝を遮蔽物にして左手一本で袋を探る。
すぐに発煙筒は見つかった。更に指示を受けてライターを取り出す。
(そしたら火を点けて)
言われたとおり火を点けると、チリチリと火花が出る。
この時点で、筒井が選手達の方から聞こえてくる妙な音に気づいた。
「なんだ? この音は」
(はつしばさん!)
(いいから隠したまま、導火線がなくなるギリギリになるまで持ってるんだ!)
筒井が耳を澄ましながら、前に歩み出る。
確かに聞こえる妙な音。そして近づいたことで初芝の背中に現れる小さな光が目に入る。
その後ろで緊張に震えた表情の成瀬も。

649 :煙が晴れて(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/14(月) 03:32:19 ID:FxgyBLOO0
「お前ら、何をしている?」
更に筒井が近づこうとした時、初芝が身をかがめながら叫ぶ。
「今だ、投げろおおおっ!」
「はいいい!!」
成瀬の渾身の投てきは、空中で直線を描きながら筒井の方へと真っすぐに向かう。
慌てた筒井が身をすくませたその瞬間、彼の手前で閃光がきらめいた。
爆発音。筒井の叫び声。筒井の体に当たり、傍を転がる発煙筒の本体。
そしてそれから吹き出す煙があっという間に周囲に広がる。
「逃げるぞ! 船に乗り込め!」
その叫びを皮切りに全員が船へとダッシュする。
渡り板など介さず、飛び込むように甲板へ。怪我人は担ぎ上げて引き上げる。
「撃てえ! 行かせるな!」
どうやら無事だったらしい筒井の声が、煙の向こうから響く。
既に煙は桟橋上全体から船のほうまで包み込み始め、当たりの様子はわからなくなっていた。
煙の向こうから兵士らしき足音がこちらへ向かってくる。銃声が響く。
しかし狭い桟橋の上で完全に視界が奪われているため、真っすぐたどり着くのは至難。
銃弾も見当違いにしか飛んでいかない。
「よし、全員乗り込んだぞ!」
初芝の声が煙の中から聞こえた。
既に操舵室に乗り込んでいた小宮山は後ろを振り返るが、煙に遮られた視界で全く見えない。
だがその声を頼りにし船のスクリューを始動させる。
徐々に船が動き始めた。後ろから、兵士らしき人間の叫び声が聞こえた。
どうやら戦闘が起こっているらしい。

 甲板上の今江や内はその声を聞いてすぐに桟橋との接点へ向かう。
誰かが兵士が乗り込んでくるのを未然に防いでいると思ったからだ。
しかし、そこに行っても誰も戦っている様子はない。
ならば今の声はどこから聞こえたのだろう。

650 :煙が晴れて(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/14(月) 03:33:22 ID:FxgyBLOO0
 誰か乗り込まれるところを防いで戦っているようだと、小宮山は船の進行を急ぐ。
最初から全速前進だ。スクリューは泡混じりの水流を吐き出し、あっという間に加速する。
ついに、煙をも引き離し船は海へと出た。風を受けながら小宮山は方向を定める。
真っすぐ、北へ。
「よし、ついに逃げ出したぞ!」
腕時計を見る。6時まであと30分を切っている。
禁止エリアを抜けるまでは本当にギリギリの時間だろう。とにかく急がなくてはと胸に刻む。
 ふと、操舵室の窓から船尾側の甲板を振り返る。
そこには疲れ果てた様子の仲間達が座り込んでいる。皆一様に安心した様子だ。
ただ一人、成瀬を除いては。
彼だけがキョロキョロと周囲を何度も見ている。
「成瀬、どうした?」
「……いない」
その時になって小宮山は気づく。そして知る。
あのとき自分が口にした覚悟を、そっくりそのまま返されるとは。
もう時間がない。引き返している時間などない。
引き離してもこれからヘリが追って来る。それに手こずって時間内に抜け出せない可能性がある。
全員が助かるためには、運営側の人間を足止めする者が要る。
あいつは全て承知の上でこうしたのだ。船が引き返せないことを分かった上で、あそこに残った。

「初芝あああっ!!」

海の向こうへと叫んだ声は、煙の薄らいだあの桟橋の上のシルエットへと届く。
倒れた兵士達の中、ただ一人だけ佇む初芝。両手には何も持たず、拳のみの構え。
まだ十人近くはいる運営側の集団と、その向こうにヘリが見えた。
「あれを飛ばさせるわけにゃ、いかないんでね」
間髪を置かず駆け出す。彼の身を隠していた煙はすでに晴れていた。
しかし初芝は止まらない。
狙いをつけた銃口を視界に捉えながら、尚もその足は止まらなかった。

651 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 03:38:20 ID:uE3tocDeO
ぅおぉリアルタイムktkr…
職人様乙です!ドキドキしながらリロードしました。
って、は、は、初様ぁぁあぁあぁぁああぁぁぁ!!!

652 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 05:47:19 ID:FVtE9Kn80
初芝あああああああああああああ

653 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 09:27:42 ID:tvloZxJ70
ま、まさか最後の犠牲者・・・!?
い、いや、初様ならなんとかしてくれるはずだ!



それにしてもここにきてさらに於保がかっこよく見えてきた・・・

654 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 14:12:33 ID:o6iwrmonO
初芝ああああああああああああああああああああああああああああああ

655 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 19:36:22 ID:6H7D1G5K0
うほっ いい初芝

656 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 21:40:12 ID:gaynY40j0
遅ればせながら、好きなキャラは於保&内。そしてブッチギリで於保に1票

657 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/14(月) 22:24:01 ID:9uDKZcwmO
本当に戸井忘れさられてるな…。

658 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 00:18:17 ID:JxBQ62TQ0
初様ガンガレ!!超ガンガレ!!!。・゚・( ノз○)・゚・。

659 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 07:26:44 ID:2iKgd55pO
職人様乙です!

初様…かっこよすぎるよ初様…どうか無事でイテクレ。゚・(ノД`)・゚。

660 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 08:55:48 ID:ecTCQ3HQO
初様・・・イ`
そしてマジで於保イイね!

スレ違いだが、リアル於保が俺の付き合いのある会社に働いているのに気付いた。
バトロワで於保が好きになったから、頑張ってる姿を見れて嬉しかったよ。

661 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 10:46:00 ID:sM8hFHsV0
うお、ばーちゃんち泊まりに行ってる間に初芝が…!

大塚&西岡コンビが好きだからどっちか一人って悩む…けどやっぱ大塚に一票。
結構クレバーでやや熱い魂、ゴキブリ並の生命力。
でももう満身創痍だからいつもヒヤヒヤする。どうか生き残ってクレー

662 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 11:11:55 ID:wWkIBdgc0
初様ぁぁあああああああ!
イ`!生きてくれ!

663 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 12:20:11 ID:qt1HqTUSO
鳥肌が止まらねぇぇえぇええ
成瀬のためにも無事でいてorz

664 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/15(火) 17:24:07 ID:ptKL1CA7O
>>660
リーマンやってたのか…於保ガンガレ於保
このスレばれないように死守よろしくw

665 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/16(水) 01:08:46 ID:kVfv1mIEO
見守るスレでマリバトの長さについて言及されていたので、手近にあった本を元にして計算してみた。
テキストが約920,000字ということなので680字×300ページとして、比較的みっしりした文庫で4〜5冊分くらいですかね。
参考にしたのが古い文庫なので実際にはもう少し冊数増えるかな。
確かに長い。
250章くらいまでで読破に2日かかったもんなあ。
職人さんにも保管庫さんにもホント頭が下がる。

666 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/16(水) 01:56:07 ID:z2CsmT5B0
同人誌になった某板のロワリレー小説は
「原稿用紙3000枚を越える」で4、500頁(23文字*18行*2段)*7冊だった。

マリバトもついにこれだけの量になっていたのかと思うと
本当職人氏管理人氏には乙としか言いようがないですわ。

667 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 00:11:31 ID:QnVMbas/0
保守。
名前の出てない人が不安でしょうがない。

668 : ◆CLM31pWOr6 :2006/08/17(木) 00:58:42 ID:Y4rbI6i00
Wordに取り込んで原稿用紙(20x20)の書式にあわせてみました。
章ごとに改ページし、
章タイトルの後ろは1行空けて、

3643枚でしたwwwうはwwwwwwwww

669 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 16:31:20 ID:vvE0XQqx0
hisyu

670 :待つとは信じるということ(1/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 21:03:37 ID:UzZkmwSN0
「はつしばさあああん!」
成瀬が船尾の柵まで甲板を駆け抜け、そのまま飛び越えんばかりに身を乗り出す。
傍にいた内が慌ててその肩を抑えた。
なおも成瀬は両手を、既にマッチ棒の頭より小さくなった桟橋上の初芝に伸ばす。
目に涙を浮かべながら叫ぶ成瀬をなんとか内が制する。収まらず手がつけられない。
「早く、引き返しましょう!」
甲板に座り込んだ状態のままの里崎が、操舵室の小宮山へ叫ぶ。
操舵室横のドアから出てきていた小宮山は、遠い港を眺めながらしばし沈黙した。
その返事がない時間の長さに、全員の注目が集まる。しかし小宮山はうつむいたままだ。
海を裂いて波しぶきを上げる低い轟音がうなっている。
小宮山の雰囲気が何か違うと皆が感じ取る。
「船はこのまま、真っすぐ北へ進ませる」
ついに発せられた小宮山の言葉にざわめきが起こる。
「やだあ! やだああ!」
甲板の柵から、今度は一直線に小宮山へ向かって成瀬が走る。
止めようとした今江や薮田の手もすり抜け、小宮山へと勢いを緩めず突進していく。
成瀬がタックル気味に小宮山の胸ぐらに手をかける。
二人は勢いのまま倒れ込み、小宮山はしたたか背中を打った。
「はつしばさんがああ!!! もどってえええ!!」
小宮山を甲板に押し付け、胸ぐらを掴みながら両手でその体を揺さぶる。
叫ぶ成瀬の目からは既に大粒の涙がこぼれていた。
すぐに駆けつけた今江と薮田が力づくで取り抑える。なおも成瀬は暴れている。
一通り叫び声を上げた後、成瀬は甲板に顔を埋めヒックヒックとえづき始めた。
それを見ながら小宮山は口の血を拭う。済まなそうな顔だった。
「もう6時まで時間がない。戻っていたら確実にアウトなんだよ。
 ハツは……あいつは、それを知ってて残りやがった」
成瀬がハッと顔を上げ、小宮山を見つめる。
また目に涙を浮かべると、今度は声もなくむせび泣き始めた。

671 :待つとは信じるということ(2/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 21:04:33 ID:UzZkmwSN0
 その様子を横で眺めながら何もせずにいた彼が、ゆっくりと立ち上がる。
成瀬と小宮山の様子にみなの注目が集まる中、一人甲板を歩き端まで立つ。
前には柵。その向こう、低いところで濃い青を裂き白い泡が滑らかな図形を描いている。
速い流れで作られているそれは、目で追っていけば跡形もなく消えてしまう。
全て海の青に飲み込まれていってしまう。
 何も言わずに、柵に足をかける。
彼には考えがあった。だからこそすんなりと海へと気持ちが向いた。
こうすれば一人、かけがえのない人を救えるのだから。
その上、生きていくことにこんなに辛い思いをすることもなくなる。
 少なくとも、正しい天秤にかけて判断してきたと思ってきた。
例えそれが人として許されざる行為だとしても、それを看過する罪の方に秤は傾いた。
だから躊躇うことはほとんどなく、引き金を引くことができたのだ。
その天秤が壊れていたことに気づいたのはいつからだったか。
いや、最初から壊れていたのかも知れない。
いずれにせよ、もはや出鱈目な振り子しか乗っていない秤を直す術を彼は知らない。
そうなったら、後は廃棄するしかないのである。例え人はそれを許してくれても。
許すか許さないかは、結局自分が決めればいいことなのだから。
 右足のかかった柵、甲板を蹴ろうとする左足。
少しバランスを調整してから、西岡は飛ぼうとする。
海へ。彼を待っている海へと。
だが、飛んだはずの彼の体は柵を越えられない。あるはずの加速度が感じられない。
気づけば首に巻きつく細長い者。顔にも何かが挟み込まれている。
「この……」
伸ばした両腕が西岡の顔や首に引っかかり、すんでのところで跳躍を止める。
「バカヤロおおっ!」
その反動を利用して力任せに引っ張ると、西岡の細い体は甲板へと叩きつけられた。
直後に襲うのは右わき腹の強烈な痛み。そして全身の痺れ。
すぐに起き上がりかける西岡と対照的に、大塚がゆっくりと甲板に膝をつく。
「大塚さ…」
「てめぇ、バカか!」

672 :待つとは信じるということ(3/3) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 21:05:39 ID:UzZkmwSN0
唾でも吐き出すように、かすれた声で大塚が叫ぶ。
その剣幕に西岡は一瞬口をつぐみ、大塚から目を背けた。
「バカ違います。俺が死ねば、決められた人数になってこのゲームが終わります。
 ほなら初芝さんが、いや、みんな助かります」
「だからバカだってんだよ。このバカヤロォ」
西岡まで腕が届かない代わりに、甲板にこれでもかと拳を突き立てる。
大きな音と共に、西岡はうつむいて背を丸くした。
殻に閉じこもるように、誰とも目を合わせない。

 今江や薮田など、成瀬を抑えていた面子は今度はその騒ぎに気をとられる。
抑えられていた成瀬もだ。既に戒めの力は無いに等しかった。
そこにきて西岡の言葉を聞くと、ハッとした顔で立ち上がる。
下から勢いよく持ち上げられて今江と薮田がよろめく間に、成瀬の拘束は無くなる。
その隙を突いて、すぐそばの柵へと一目散に成瀬が助走を開始する。
「おいおいおい!」
しかし、今度はすぐに今江の腕が伸びた。服をつかまれ、また取り押さえられた。
「はなして! ぼくわしぬんだ! それで、はつしばさんを」
「止めろって」
二人がかりで抑えられては1ミリと進むことはできない。
しかし成瀬は必死でその腕を引き剥がそうと、駄々っ子のように暴れまわる。

「いい加減にしろ、馬鹿ども!」
その大きな声と共に、鈍い衝撃音。辺りは静まり返る。成瀬の動きも止まる。
仁王立ちの小宮山が、操舵室の壁に拳を打ちつけた状態のままでいた。
信条のポーカーフェイスも忘れ、その顔は仁王のような憤怒の表情だった。
「ハツは己から死を選ぶような奴じゃない。何か考えがあるはずだ。
 だからお前らも己から命を捨てるような真似は……許さん」
そう吐き捨てると、小宮山は振り返って操舵室へと戻っていく。
その場の全員はしばし動けず、海をかき分ける轟音だけが響いていた。

673 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:16:21 ID:61P8fwOW0
職人様乙です!
みんな生き残ってくれよー。・゜・(ノД`)・゜・。

生き残った人間のこれまでを思い返すと、遠い所を見ちゃうよ…。
フィクションなのに、「辛い中よく頑張ったなあ」と思ってしまう

674 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:22:02 ID:ImF2ZOGN0
職人様乙です。

・゜・(ノД`)・゜・。自分から死んだらいけんよー!

675 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:24:51 ID:eYP7BWWy0
2/3だけど、今回はここまでなのかな?

大塚がんばれ!
あと成瀬カワイス

676 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:30:03 ID:eYP7BWWy0
と思ったらNG登録に引っかかってるみたい。
すみません、携帯で見てきます。

677 : ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:30:47 ID:UzZkmwSN0
>>675
>>672が(3/3)ですが、偶々NGワードかなんかで消えてたりしませんか?

678 : ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:34:16 ID:UzZkmwSN0
あ、どうやらそのようですね。
では続き行きます。

679 :対価と代償と(1/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:36:06 ID:UzZkmwSN0
 最大限の蹴り足は、初芝の重い体をあっという間にトップスピードへ連れて行く。
煙のわずかに残る桟橋の上を、それを吹き散らして初芝は走る。
既に兵士達が銃をその手にしっかと構えたのが見えた。
撃たせない。瞬間的に反復横飛びの動き、ジグザグに前へと走る。
それが時間稼ぎになったのか、兵士達が銃撃を始めるまで幾ばくかの間ができた。
その一秒足らずの間が、初芝に最後のチャンスを与える。
 目の前には煙の切れた発煙筒の近く、伏せたままの筒井がいる。
もう距離は三歩、二歩、筒井がハッとした顔をした時には既に捕まえている。
両手でその腰を掴むと、抵抗の間も与えずに腰を落とす。
「ふんんぬ!」
「うおお?」
筒井を正面から担ぐように持ち上げる。額に血管が浮かんだ。
おののく筒井を他所に、そのまま前のめりにバランスを倒し足を駆る。
重心移動を上手く使えば、一気にトップスピードへと昇りつめた。
筒井の体で完全に身を隠した初芝の体を、兵士達は狙い撃てない。
高速で動く足元だけを狙っても当たるべくも無い。逡巡するうちに初芝が近づく。
「な、なにを」
不安定に持ち上げられ、無意識のうちにバランスをとるので精一杯な筒井。
体をわざと倒すなど思いもつかない。
そうこうするうちに桟橋の根元、兵士たちが並ぶ先に初芝が迫る。
更に体を低くし、筒井の体を前に傾ける。
「う、うわわわわ」
ほとんど横向きに突き出るように体を倒されたかと思うと、筒井はそのまま飛び出した。
最後の一押しをされてロケットのように前へ突き出され飛んで行く。
そして正面で待っていた兵士達の列へと、筒井の体は突っ込んだ。
巻き添えを食い二人の兵士が倒れる。

680 :対価と代償と(2/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:36:57 ID:UzZkmwSN0
 その時には既に初芝はすぐ横の兵士の足元へ回りこんでいた。
パッと足を掴むと、迷う暇もなく体を引っこ抜いて横へ投げ飛ばす。
その落下地点は海綿。兵士の悲鳴が水しぶきの音に飲み込まれた。

 間髪入れず初芝は更に横の兵士へとタックルを仕掛ける。
今度は相手も身構えて体を低くしたが、その瞬間に高く飛び上がる。
そのまま相手の頭を掴んで膝を一発入れると、よろけた相手をまた海に投げる。
 銃撃をさせないよう、常に敵方の誰かと接近している。
相撃ちを避けて撃ってはこない。
必然的に兵士達は初芝を取り囲むように、そして攻撃を仕掛ける。
しかし初芝はそれを上に飛び、下に潜って、横をすり抜ける。
訓練されたはずの兵士がその動きについていけない。
そして隙を突かれた一人、また一人と海へと放り込まれる。
一度放り込まれれば、海面から岸までの高さは一人では乗り越えられない。
ついには十人近くいた兵士達が残り四まで減っていた。
そこまで来ると、誰もうかつに近寄らない。しかし初芝は息をつく間もなく走る。
既に心臓が張り裂けそう。半分意識が朦朧とする中、動きを一瞬も止めない。
鈍くなった動きは相手を捕まえるには不十分か、ついに向こうの突きを顔面に受けた。
更に一発、二発。よろけたと見るや周囲の兵士が初芝を囲む。
銃ではなく、うずくまり気味の初芝を足で何度も蹴りつける。
その中心で初芝は、体を固くしながら自分の眼鏡が落ちたにのに気づいた。
したたか蹴られる体は、もはやどこが痛いかも分からない。
頭を守る腕をかいくぐって後頭部に衝撃、意識が揺らぐ。
スローモーションで映る世界の中、初芝の意識だけが高速で動いた。

 これで終わりか。もう、体が動かない。
精一杯頑張ったけど、多勢に無勢だったか。
せめて時間稼ぎにはなったかな。そうだ、それで充分だ……
――初芝清は死んではいけない。
思わず、初芝の意識が一瞬ハッキリする。
確かそんなことをあの子に洞窟の中で言ってみせたっけ。

681 :対価と代償と(3/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:37:32 ID:UzZkmwSN0
夢を与える側になれた人間は、その夢を自分自身のせいで奪うことは許されない。
だから必ず生き残る。そう思って今までやって来た。
そうだ。ここで、死んではいけない。死ぬわけには……
「いかない……」
落ちた眼鏡を拾い上げると、後ろも見ずにバックハンドで放り投げる。
一人の叫ぶ声が聞こえた。そして右の蹴り足が無くなる。
体を倒すようにそちらへなだれ込む。
見ると、メガネの欠けたグラスが顔に当たったらしく目を押さえる兵士がもんどりうっている。
 動かない体に念じる。強く念じる。
もう一度血を通わせて、痛めつけられても動き出せ。
だてにパ・リーグ現役最年長野手をやってきた身体じゃないんだ。

 初芝はよろめきながら立ち上がると。喉の奥からありったけの声を上げる。
本当にただ声を上げただけだったが、それに残った兵士達が一瞬気圧された。
そして初芝は瞬時にすぐ傍に落ちているライフルへと倒れこむ。
手に持った瞬間に辺り構わず発砲すると、兵士達は一瞬ひるんだ。
その隙に駆け出す。向かうは地上に降りたままのヘリ。誰も乗っていない。
ヘリは向かって左が尾翼、右が操縦席のドアになっている。スライド式のドアは開いたままだ。
飛び込むようにヘリの座席へ座る。振り向きざまに威嚇の銃撃。
すかさず抵抗の銃撃があった。しかしドアを閉め、それを陰にやり過ごす。
目の前にあるのはヘリのコクピット。乗ったことぐらいはあるが、操縦の仕方は知らない。
だがうろ覚えの手順を実行していく。手当たり次第にそれらしいボタンを押していく。
初芝の狙いは最初からこれだった。
ヘリを奪い、それで自分が船へと向かう。
追っ手の心配をなくした上で、自分も助かるための賭け。
あとはこれが操縦できれば、というところでしかし行き詰る。やはり適当な操作では動かない。
賭けは外れかも知れない。だが賭けるだけの対価ではあった。
それは自分の命だけでなく、若い奴らの命を繋ぐ逆転の一手。そうなるはずだった。
 弾丸が飛んでくる。破裂音と共にドアについていた窓が割れ穴が空いた。
初芝は思わず身を伏せた。と、このとき攻撃してくる兵士を見て思いつく。

682 :対価と代償と(4/4) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:38:10 ID:UzZkmwSN0
彼らを一人だけにまで減らして主導権を握れば、操縦させることはできるのではないか。
それしかないと思った初芝の行動は早い。すぐに臨戦態勢を取る。
「厳しいな。だがやるしかない」
手持ちは残り弾も知れないライフルが一丁。それでも初芝の目はまだ諦めを知らない。

「バイバイ、ハツシバ」
ヘリの中にこだましたのは銃声。初芝は腹部がカンと熱くなるのを感じた。
振り返ると、後部座席の陰からこちらを見て暗がりの中に顔が浮かぶ。
そういえば、煙が晴れた後一度も姿を見なかった。
それに気づかなかった。あの男は、ここにいたということか。
ボビー・バレンタインが持つ拳銃の先からは硝煙がくゆる。
初芝は血の滲み出る自分の腹を見つめると、苦悶で顔がひきつった。
「ワタシガ、イツマデモ、アワテル、ナイデスネー」
顔から笑みが消えたバレンタインは、ショックに動けない初芝の胸ぐらを掴む。
そのとき初芝は気づいた。バレンタインの表情の変化に。
もはや余裕など一片もない、それでいて全てが消え去れとでも語るような背筋の凍る目。
笑っていない。あのバレンタインの顔から笑みが完全に消えているのだ。
それを見ているだけで初芝の体がガクガクと震え始める。
バレンタインは初芝をヘリの操縦席から思い切り突き飛ばした。初芝の体が転がる。
「ワタシ、レイセイ。デモ、ワタシ、トテモオコッテマス。
 ミンナ、ワタシノプランデウゴカナイ。ソレドコロカ、ジャーマバカリ。
 モウ、チームナイヨ。シヌベキデス、スベテシヌベキデス!」
そう叫び、更に呆然とする表情の初芝を指差す。
「ソシテハツシバ、ユーハソコデミンナシヌノミテ、ソノアトニシヌベキ!!」
そう言い放つと、中曽根と兵士の一人を呼びバレンタインはヘリに乗り込む。
初芝は手を伸ばすが、体全体が痙攣して動けない。
ヘリのプロペラが回りだす。
ビュウビュウと吹きすさぶ風の中、初芝の顔に絶望が浮かんだ。
轟音を残しヘリは舞い上がる。そこに一片の笑いも浮かべなくなったバレンタインを乗せて。

683 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:50:04 ID:EZVXznre0
職人さん乙です
あわわわ・・・

684 : ◆QkRJTXcpFI :2006/08/17(木) 22:50:33 ID:UzZkmwSN0
お知らせ。

ある程度めどがつきましたので、これから3日ぐらいで本編の完結までを断続的に投下する予定です。
(全編終了という意味ではありません。あくまで本編の区切りです)
ええと、まあ、お楽しみいただけると幸いです。

685 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:57:53 ID:61P8fwOW0
わくわくわくわくわく

686 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/17(木) 22:59:14 ID:SJmVEkwn0
最後までwktkで待っています!!!!!!
ボビー(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

687 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 00:56:26 ID:ujoRM7PG0
いよいよクライマックス・・・!?
毎日楽しみです

688 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 01:04:15 ID:EETuXamb0
やばい本当に涙で画面が見えないよ・゜・(ノД`)・゜・。
初様ああぁぁ!!死なないでー!!

689 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 01:10:14 ID:RnRlLAgw0
は、初芝ぁー!!!
どうなっちゃうんだこれ。
あの人は未だに出てこないしw
職人様本当に乙です!最後まで楽しみに待ってます!

690 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 02:04:55 ID:hlXJd0S9O
戸……………………

691 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 03:30:48 ID:QaPFGDH1O
職人さま乙ですっ!いよいよクライマックスですね
ボビーは暴力的な発言が少ないのに怖い…

一つ気になったのが>>680の海綿→海面ですよね?

692 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 06:20:01 ID:j5fc/PXF0
初芝頼むから死なないでくれ・・・

あと戸トラッシュはどうした?

693 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 09:48:11 ID:R7D8ikLM0
戸…………………?

694 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 12:37:13 ID:jnv1ndaJO
戸トロはまだかー!!

695 :明け空、決戦(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/18(金) 22:24:21 ID:YMhle5zf0
 割れた海が白い波しぶきになって、その泡が後方へと流れて消えていく。
ずっとのその風景は繰り返される。見続けていたら世界が後ろへ流されているような気がした。
確実に島は小さくなっていく。夜明け間近の薄暗い中では港の様子は最早判らない。
憎たらしいほど快調に船は進んでいく。
一部の人間は船室内へと入ったが、何人かは甲板上に残ったまま。
誰も話すことも無く、船上は重苦しい雰囲気が包んでいた。
 操舵室では小宮山が自分の腕時計を見ていた。
どうやら禁止エリアを抜けるには数分は余裕がありそうだ。少し安心する。
同時に残してきた初芝のことが気にかかる。
途中、何度引き返そうと思ったか。しかし思いとどまった。
自分のわがままだけで他の選手達を死なせるわけにはいかないのだから。
 船尾側の甲板では、柵にもたれかかるように座った里崎と薮田が島を見つめている。
もう帰ることのない島。初芝の心配を抜きにしても、様々な思い出が甦る。
薮田は二回目の海である。波に飲まれた時を思い出し思わず恐怖を感じてしまう。
船の起こす波の音。里崎は寺本四郎と始めてあった波の音の聞こえる洞窟を思い出す。
互いに無言のまま、ずっと島の方を眺めていた。
「空が」
ふと何かに気づいたように里崎が呟く。
薮田が里崎を向くと、その目線は自分の後ろの方を見ている。
振り返ると、島に向かって左側の方の水平線が白み始めているのが見える。
「そうか、朝やったな」
改めて時間の経過を噛み締める。
本来ならば朝日を見れば神妙なり聖賢な面持ちになるものだが、今は微塵も感じない。
どこか空しさの残る。まだ弱いが、明るい光は疲れた目にあまり優しくない。
目を細め、しかし二人がなんとなくその朝日に見入っていると、島の方から何か音が聞こえてくる。

……バババ……バババババ

聞き覚えのある音に二人は一斉に島のほうを見た。

696 :明け空、決戦(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/18(金) 22:24:59 ID:YMhle5zf0
やはり。紛れも無く、それは運営側のヘリの機体だった。
まだマッチ棒の先ほど小さいそれだが、あっという間に大きくなってくる。
「追っ手や!」
薮田が船首側へ声を上げる。慌しく船室や甲板上の人間たちが集まってくる。
意識がハッキリしない平下を除く全員がその姿を見、そして戦慄する。
誰とも無く、武器を手に構え船室の陰へと身を隠す。
「操舵室だけは壊されたらあかん。
 とにかく全力で防ぐんや」
薮田の声に全員が頷く。直後、ヘリのプロペラ音が声をかき消すほどの大きさまで達する。
先手必勝。操舵室から一斉に全員が飛び出すと、音のするほうへ手持ちの銃で狙いをつける。
それは支給品であったり、死んだ於保の荷物から拝借した銃だ。
目前には旋風を巻き起こしながら空中をホバリングするヘリの機体が近づいている。
腹側を見せながら、距離にすれば5mもないだろう、船の甲板を押し潰さんばかりに迫ってくる。
わずかに機首の正面、コクピットの窓に人影が見える。
操縦する兵士らしき者、そしてその横には思った通りバレンタインの姿がある。
号令を待たず、全員がそこ目掛けて銃弾を発射した。
甲高い銃声が響いたかと思うと、コクピットの窓が数回揺れるのが見えた。
それだけで、中のバレンタインはピンピンとしている。
「防弾や」
「逃げろ!」
ライフルなど口径の大きな銃ならいざ知らず、彼らの持つのは片手持ちの小さなものばかり。
いとも簡単にヘリは銃弾を跳ね返すと、そのまま操舵室へと宙に浮かびながら近づく。
全員が避けると同時に、ヘリの下部に取り付けられたマシンガンが火を噴いた。
船室から操舵室までの天井に二列の穴がつけられ、ヘリは船を追い越していく。
今度は船の前方でゆっくりと旋回し、今度は正面衝突するかのように船に向かってくる。
全員が伏せる。操舵室の小宮山も窓際の機器の陰に身を隠した。
直後にまたもマシンガンが火を吹く。
衝撃にすら感じる大音量。操舵室の窓が全破砕し、窓枠がひしゃげた。壁に穴が空く。
割れた窓ガラスをかぶりながら小宮山は身を小さくする。

697 :明け空、決戦(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/18(金) 22:25:33 ID:YMhle5zf0
ヘリは船とすれ違いに、そのまま船尾へと飛んで行く。
そこをすかさず薮田などはヘリの窓へと銃弾を放つ。
しかしやはり当たっただけでヘリには何の損壊もない。まして内部には届かない。
全員が諦めて銃撃を止めた頃、ヘリは再び海上で旋回し、空中で停止する。
スピーカーにスイッチが入る音がした。
『HAHAHAHAMANA……』
それは確かにバレンタインの笑い声だったが、明らかにトーンが違う。
あの耳障りな甲高い声質は何処かへ消え去り、腹の底から笑うような低い笑い声。
まるで低回転で再生したかのような、地獄から響くような低い音だ。
思わずその場の人間は耳を疑い、ただならぬ様子を察知する。
『ミナゴロシ、スル。アーユーオーケー?』
それだけ言い放ち、プツっとスピーカーが切れる。
ヘリが再度船へと向かってくる。
既に向こうの状況が違うのだと、全員が初めて認識した。
あそこにいるのはゲームの進行役であったバレンタインではなく、全員を殺そうと狙う者。
 だとすれば。
そこに至って薮田が抱いた恐れは間もなく現実となった。
ヘリのドアが僅かながらに開くのが見える。そこから出た腕。
握られていたものが船に向かって投げつけられる。
だが、それは僅かに狙いを外して船の近くの海面へ。松ぼっくりのようなそれ。
直後に高い水しぶきと轟音が船のすぐそばの水面を突き破った。
間欠泉のように舞い上がった大量の水流の衝撃が船を大地震並に揺らす。
 大きく傾いた船の甲板でなす術も無く、全員が体を支えきれず重力に引かれていく。
ヘリのいる側と反対方向に斜めに向いた甲板上を、ある者は柵に掴まり凌ぐ。
ある者は掴まりきれずに滑り台のように甲板を落下し、海に近づいた柵に引っかかる。
細い金属柵に体を強く引っ掛けるのだから衝撃は緩くない。
胸や頭、手足を打ちつけ全員身動きが取れない。

「ぐあっ」
小宮山は操舵室の壁にもたれかかりながら、機器に腕を伸ばしてスクリューを停止させた。

698 :明け空、決戦(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/18(金) 22:27:01 ID:YMhle5zf0
この揺れの中で更に推進力を加えれば転覆の危険すらあるからだ。
まだ禁止エリアは抜けていない。
揺れが収まれば、また進まなければいけない。進めれば、だが。
 そのままひっくり返るかと思われた船だったが、振り子のように今度は正しい角度に。
ゆっくりと姿勢が戻り、今度は衝撃と共にヘリのある側へと甲板が向けられた。
全員がそのときヘリを見た。柵に掴まるしかできない船上の彼ら。
揺り戻しでヘリの方へと無防備で体を見せたその瞬間は、まさに格好の餌食だった。
バレンタインがヘリから身を乗り出し、手に持ったライフルで狙いをつけている。
その表情を全員は見た。
あのいつも浮かべていた余裕の笑みは消え、彫りの深い顔に一層深いしわを刻む。
悪魔か鬼か、その形相は憤怒のようでもあり、逆に引きあがった口の端が笑いに見えなくもない。
見開いた目がまず射抜いたのは斜めになった甲板の上で柵に掴まったままの里崎だ。
照準窓を覗き込み、銃口をそこに合わせると間髪を入れず引き金を引く。
「サト、手を離せ!」
叫ぶと同時に横の薮田が里崎に飛びつき、かけていた手を離させる。
重力に引かれ二人は斜めに甲板上を落ちていく。
里崎の居たところで粉塵が舞った。
「BIIIITcH!!!」
バレンタインの叫ぶような声が船上まで届いた。
船は再び振り子となって、ゆっくりと正しい角度へと戻っていき、さっきよりは小さくまた逆へ傾く。
同時に船が全く進んでいないことにその場の全員が気づいた。
「コミさん! 船が」
「もう少し待て!」
小宮山には判っていた。再び船を進ませるには、まだ幾らか揺れが強過ぎる。
いつでも進行できるよう準備を済ませ、そのタイミングを見計らう。
バレンタインはそれを見て取ったか次の手榴弾を手に取り、ドアから身を出そうとする。
 だがいち早くそれに気づいた今江は拳銃をむき出しのボビーへと発射する。
しまったと言う風に、バレンタインはすぐにヘリの中へ身を隠した。ドアが閉まる。
一旦、バレンタインの攻撃を凌いだ。

699 :明け空、決戦(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/18(金) 22:27:53 ID:YMhle5zf0
だが今江は気づく。持っている銃の弾丸が尽きた。
「おい、こっちだ!」
呼ぶ声に、揺れる船上を飛び跳ねるように操舵室へと向かう。
声の主は大塚。途中、弾切れの銃をヘリに投げつけたがあっさりと跳ね返された。
今江は自分の支給品のリボルバー式の銃に持ち替えた。弾はあと6発だ。

 操舵室付近で、手すりに掴まる大塚の元に一旦集まる。
「バレンタインを撃つ。チャンスはおそらく一回だ」
早口で大塚が一つの作戦を喋りたてる。
選択の余地はない。全員がすぐにそれを了承し、操舵室の横へと動いていく。
ヘリは船の横の上空を飛んでいる。中でこちらの様子を余裕で見下ろしている風ですらある。
東の空が先ほどより白んでいる。雲もその影がくっきりと映り形を示す。
それを背景に、影がかったヘリがうなりを上げてこちらへ機首を向けた。
全員が操舵室を挟んで、その陰に待機している。
船の揺れがだいぶ少なくなっていた。
「行くぞ」
静かな声を合図に、選手が飛び出した。

700 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 22:37:55 ID:k6SpOSeN0
(((( ;゚д゚)))はわわわわわわわ…………職人さま、乙です!!
みんなガンガレ超ガンガレ…!!

701 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/18(金) 22:53:20 ID:cmfwp1za0
うわあぁぁぁぁぁぁ、ほんとに、「決戦」、ですね
続き待ってます!超乙です!!


702 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 02:15:57 ID:b676MdqOO
職人様乙です



戸…いやなんでもない
とりあえずwktk

703 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 16:44:51 ID:Xy+EP+qo0
うおおおおお!!乙!!
戸マト

704 :照準の指す先に(1/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/19(土) 17:14:14 ID:2LhVA0DZ0
 揺れの残る船の船首側に、操舵室から影が飛び出す。
内竜也と成瀬善久。転がるように船首の一番先にたどり着き、その柵に取り付く。
ヘリのコクピットからその二人を眺める様子が見えた。
バレンタイン他のヘリ内部の人間の顔がそちらへ向く。
内と成瀬は間髪を入れずに拳銃の弾を撃ち込む。ありったけだ。
その弾は案の定、コクピットの窓を揺らしただけで貫通しない。中の人間は無事だ。
それでも二人は弾を撃ち続ける。ついにはほぼ同時に檄鉄が空しい音を立てた。
弾切れの銃身を掴むと、最大限の力で二人はそれを投げつける。
むしろ先程より大きな揺れをコクピットの窓に起こすが、それで持てる弾丸は終わり。
お返しにヘリの備え付けのマシンガンが火を吹いた。
二列の銃痕が二人のすぐ傍を通過する。それほど狙いがつくものではない。
おもむろにバレンタインがドアを小さく開けると、片手に銃を持ち二人を向ける。
「今だ!」
それを待っていたかのように操舵室の陰、上部から人影が飛び出す。
一瞬バレンタインはそれに面食らい、動きが遅れた。
大塚と里崎の肩に乗った西岡が上半身を屋根の上に現すと手持ちの銃をバレンタインへ向ける。
必死の形相の二人の上で、西岡は真っすぐバレンタインを見る。
慌ててバレンタインは腕を切り返すが、そのとき視界の左端にあったものには気づかない。
西岡に一瞬注目した後、しかし銃弾は発射されない。
バレンタインは一瞬戸惑った。そして彼の習性から、西岡をよく観察してしまう。
既に西岡の持つ銃は弾切れなどとは夢にも思わない。
だからか、視界の左の切れたところへの注意は完全に無くなっていた。
 薮田と今江が船尾の一番端から、ヘリの横っ腹を見据えていた。
ドアを開け少し体を外に出すバレンタイン、その姿を完全に正面に見る形で。
薮田と今江の持つ銃で最後だった。既に交戦でほとんどの弾は切れ始めていた。
最後のチャンス、しかしそれは作戦通り最大限の効果を発揮している。
内・成瀬で船首、そして中央部の西岡への視線の誘導。
その隙に船尾へ飛び出した二人は、完全にバレンタインの守備範囲から消えていた。
最後の弾丸を、薮田と今江はありったけ撃ち込まんと狙いをつける。

705 :照準の指す先に(2/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/19(土) 17:14:43 ID:2LhVA0DZ0
バレンタインがそれに気づいた時、彼はドアに手をかけようとしたが、伸ばした手は届かない。
足は動かない。ドアを閉めようとした手は空振って、無様に宙を彷徨う。
開いたドアの向こうまで、そこに立つ体を完全に二人に晒す。
完全な無防備で、その間抜けな体を。
「当たれ」
今江が声を出しながら引き金を次々と引く。リボルバーが回転する。
「当たれ、当たれ、当たれ」
薮田と今江、次々と発射する弾丸のたった一発でも命中すれば。
命中すれば、そこで終わっていたはずだ。いや、命中はしたのだが。
「なんちゅう……」
十は優に超える数の弾丸の内、少なくとも二・三発はバレンタインを捉えていた。
しかしその弾丸がバレンタインの体ではなく、中曽根の体にめり込んでいるのだ。
すんでのところで腕をバレンタインに掴まれて、そして力任せに引き寄せられた状態で。
完全にバレンタインの体を覆い隠し、命中を全て請け負った。
「バっ……ボビ……ぃ」
目を見開いたまま、中曽根の顔はバレンタインを振り向く。
その顔を見て、そして倒れゆく中曽根を見下ろしながらバレンタインの顔に笑みが戻った。
ずっと失われていたはずの笑みをたたえ、バレンタインは悠然と立つ。
「God……HAHAHA……」
片手を胸に当て、十字を切って微笑む。
その笑い顔が徐々に深く大きくなっていく。
「なんでや、なんでや!」
「ちくしょおおおゥゥっ!!」
薮田と今江、二人の叫びが波の音に飲まれる。
バレンタインは無傷のまま、銃弾の雨は一つも彼を濡らさなかった。
それだけが残った結果。
「……HAHAHAMANA……HAHAHA,HAHAHAHA!!」
呆れたような笑い。加速する。バレンタインは笑いが止まらなくなった。
ドアを閉める。もう最後のチャンスも与えてやらないつもりだ。

706 :照準の指す先に(3/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/19(土) 17:15:39 ID:2LhVA0DZ0
ヘリの機首を船尾の薮田達に向け、マシンガンで狙いをつけさせる。
ゆっくり、確実にヘリの角度を変えながら、呆然とその場を動かない二人に狙いをつける。
徒労感からかもはや誰も動けない。彼らの作戦は海の藻屑と消えた。
最後の最後で、傍にあった盾。運はバレンタインに味方してしまったのだから。
 船首にいた内と成瀬も、その様子を呆然と眺めていた。
だが、そのとき内は機首を右側に向けたヘリを見てある事に気づく。
ヘリのドアの窓、防弾のはずのそれに人の頭ぐらいの穴が空いている。
どうやら割れてできたようだ。大口径の弾丸は無かったはずだが。
これより前の戦闘で空いた穴だろうか。
いずれにせよ、内が気づいたのはその穴の向こうだ。
正に丁度、立った状態のバレンタインの頭がその穴の向こうにあるのだ。
今まで気づかなかった。ヘリをじっくり見ている暇などなかったのだから。
 まだチャンスはあると心が叫ぶ。だが、それを成功させる手段が無い。
周りに神経を巡らせる。見えるのは、操舵室の陰の大塚や里崎や西岡。
そして、操舵室の中の小宮山。
「!」
内は操舵室へ駆ける。
その様子にバレンタインは気づいたが、逃げ隠れるものだと思い放って置いた。
滑り込むように操舵室のドアを開け、中へ入る。
「小宮山さん」
「内?」
何事かと驚く小宮山の腰に、やはりそれはあった。
かつて小宮山から預かったコルトガバメント。既に返しているが。
入っているのはたった一発の弾丸。
それをずっと小宮山は腰に差して持っていたのだ。
用件を言うまでも無く、内はそれを抜き取ると、操舵室の逆側の窓際へ寄る。
そこからはハッキリとヘリの機体と、ドアの窓に空いた穴が見て取れた。
そしてその向こうにある、バレンタインの横顔。
どうやら彼はその穴を気にも止めていないらしかった。安心しきっている。

707 :照準の指す先に(4/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/19(土) 17:16:20 ID:2LhVA0DZ0
 内はコルトガバメントを握り締め、腕を真っすぐにヘリへと伸ばす。
距離にすれば10mはあるか。しかも揺れる船上で、揺れ動くヘリを狙う。
だが、船は既に止まっていたし、ヘリもまた薮田と今江を狙って動きを止めていた。
随分と軽減された不安要素の中、しかし内は思い返す。
駆け寄ってくる諸積を撃った時、至近距離ですら狙いは外れてしまった。
あの時を思い出すと、この最後の弾丸が外れるイメージしか沸かない。
唾をうまく飲み込めない。汗腺が一気に開いた。
心臓がこれでもかと脈打つ。無性に息苦しい。
自分はダメなのではないか。最後のチャンスが無駄に終わるのではないか。
そんな思いに駆られ始め、体に巻きついて、ついには引き金を引くことも出来ない。
腕が震える。どうしようもなくなる。
何も考えられない。今自分が何を見ているのか分からない。内は思わず目をつぶってしまう。

――自分を諦めるな。

ふと耳に聞き覚えのある言葉を聞き、内は目を開ける。
すると、ふわりとスローモーションのように目に見える世界が映っていた。
小刻みだった船の揺れも、ヘリのプロペラが回るのも、全てがゆっくり流れる。
と、コルトガバメントを握る内の手に、誰かの手が添えられている。
一人ではない。何人もの腕と手が重なるのが見えた。
すると内の両腕からストンと力が抜け、震えがどこかへ消えた。
内はもう一度しっかりと、向かうべき未来を見定めるように照準を定める。
指し示す方向に腕はピタリと止まり、そして内は最後の弾丸の引き金を引いた。

 後に内は、このときのことを思い出す度に不思議に思う。
その弾丸が狙いを外れるという気が全く無くなっていたからだ。
一瞬だけ全ての運命を覗いたように、その弾丸の軌道は撃つ前に理解できていた。
外れるはずが無い。これはみんなの――今生き残っているみんなだけではない――
今まで死んで行った人達も含めて、全てみんなの思いを背負って放たれるのだから。

708 :照準の指す先に(5/5) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/19(土) 17:17:17 ID:2LhVA0DZ0
絶対に、そう絶対にこの弾丸はあの点を射抜く。そして僕らの未来を切り拓いていく。
確信以上の絶対。そんな感覚がその時の内の体を包んでいた。

 タンッ…

ヘリと船の轟音の中、妙にその乾いた音だけが全員の耳に響く。
全員の動きが止まる。注目を浴びるのは僅かに空いた窓の穴、そこをすり抜け、向こうにいる男。
ボビー・バレンタインの側頭部に空いた小さな穴から、少し焦げた煙がくゆった。
「HA……HAA……? ……HA,MA,NAAHHHH?」
喉から漏れる声は、もはや言葉の形をなさない。
一旦向こう側に頭が振られ、反動で今度は前につんのめりながら倒れる。
ヘリの操縦をする兵士に覆いかぶさるが、その兵士の悲鳴を聞くことはできない。
低空でホバリングしていたヘリがいとも簡単にバランスを崩し、海面に触れる。
直後、プロペラが海面に触れた途端に水しぶきが高く上がり、バラバラになって舞い上がる。
細かな部品がしぶきと共に空を舞った。
そしてヘリが半分ほど海に突っ込んだ後、コクピットから火柱が上がる。
断続的な爆発音と衝撃波。そして飛び散る破片と水しぶき。
爆風が吹き付ける。またも船はひっくり返りそうに大きく揺れた。
全員がまた近くの柵などに必死で捕まる。
しかし一人だけ掴まれない者がいた。
里崎と大塚の上に立っていただけの西岡は、その大きな振り子から投げ出される。
高く宙を舞って、数m先の海へと頭から落ちていく。高いしぶきが上がった。
 その一部始終をなす術もなく、しかしずっと見ていた。
西岡がうねりに飲み込まれた直後、大塚は体の痛みも忘れて、反射的に海へと飛び込んでいた。

709 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 18:31:07 ID:p9H+vCT4O
新作キター(゜∀゜)---!!!

710 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 18:48:20 ID:aRlkonMyO
うあああぁぁぁあっっっ!!!!

みんな死ぬなぁぁぁぁっっっ!!!!

頼むから全員生きてくれぇえええぇぇ!!!!!!!!!!!!



そして戸ルナンデスの出番はまだなのか???

711 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 23:26:03 ID:t9uO7gk50
西岡ぁ―――!!
大塚ぁ―――!!!

っは、初様は!?

712 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/19(土) 23:33:11 ID:j8axcdMg0
あ、明ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!????

713 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 00:32:39 ID:24NB1dOD0
結末がまったく読めねぇ・・・・・・・・
もうこれ以上誰も犠牲にならないで・゜・(ノД`)・゜・

714 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 02:11:37 ID:k9JwcI5i0
職人さん乙!

内GJ!
西岡ー!
明ー!
初様ー!

みんなイ`!生きてくれ!

715 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 03:31:17 ID:ExZpOqmf0
うわぁぁぁ、皆スゲー!!
もう誰も死ぬなよ。生き残れ!

716 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 07:32:12 ID:oxuBAwjY0
職人さん乙です!

内君の精神的な成長に涙…。
そして西岡と明ぁぁぁ―――!! 無事でいてくれ―――!!!!

717 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 16:25:43 ID:UopzWW580
西岡ぁぁぁぁぁぁ!!明ぁぁぁぁぁぁぁ!!!

・・・そして戸元はどうなるのか・・・

718 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 20:12:52 ID:Dg+rnv9Z0
アキラぁーーー!
このまま死んだらカッコよすぎる! お前は三枚目だろ! 生きててくれー!

719 :俺たちの誇り(1/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:29:22 ID:zuhiDZ9V0
「終わった……?」
「そうです、ね」
揺り返しのきつい船の甲板上、船尾の柵に掴まりながら薮田と今江が呟く。
目の前で、海面に半分ほど機体を埋め火の手を上げるヘリ。
墜落する直前に見た、バレンタインの倒れる様。同時の銃声。
誰がそれを放ったかまだ彼らには知るよしもなかったが、眼前の光景だけは真実だ。
今まさに敵は倒れたのだと、無残な姿のヘリが語っていた。
「みんな、来てくれ!」
里崎と思われる声が操舵室の方から聞こえてきたのはその時だった。

 白い泡が下に降りていく。背景はひたすら青暗い、先の見えない青さ。
ほんの数秒、目の前の光景に目を奪われる。
と、気管から肺にかけて冷たいものが侵入する。反射的に肺がびくつき息を吐き出した。
 しまった、ここは水の中か。そして自分は逆さにいる。
そう気づいた時には天地も判らず、苦しさのまま両手両足をばたつかせる。
頭に酸素がいかない。あっという間に目の前が暗くなる。
このまま自分は死ぬ、死ぬという恐怖。余計にわけがわからなくなる。
その半面でひどく納得している自分を感じる。
やはりこのまま自分は死んでいく運命なのだろう。
そう、それが自然だ。
死んで当然。それが俺。
わざわざ止めることなどなくても、やはりこうなるのだ。
意識が泡に包まれていく。目の前が海の暗さに重ね塗りするように、視界が暗くなっていく。
「おい!」
なぜか目の前が明るい。海の暗さがない。
顔にまとわりつく物が、下へ下へと滴っていく。
これは水? 水が垂れて、そして顎を伝う。
水中にあるはずの自分がなぜそんな感覚を味わっているのだろう。
ドン、と胸の辺りに衝撃。

720 :俺たちの誇り(2/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:30:08 ID:zuhiDZ9V0
直後、胃やら肺やらが体の中でもんどりうった。
「ぶはあっ! ぶあっ、はぐあっ、ぁっ、あがっ」
喉が焼けるように熱い。ていうか痛い。
何かに引っかかれたような。誰がそんなことをした?
苦しい。水中の時よりもめっちゃ苦しい。
空気を吸い込もうとする方がよほど苦しいなんて知らなかった。
悶絶したまま、目をつぶっていては前も分からない。
と、頬に火花が出るような衝撃。
こっちは息も絶え絶えというに、こんな追い討ちをかけるのは誰だ。
息を何とか整えて、自分の体を掴んでいるやつの腕を掴み返す。
「なんや!」
思い切り怒鳴って目を開けると、すぐ前に睨み返すような顔がある。
ギョッとなる。
「目、覚めたか」
濡れた長い髪を顔に張り付かせ、大塚明は西岡の顔を睨む。
一方の西岡も、濡れた髪が顔に張り付くのを拭いながら大塚の顔に見入る。
咎められるかと思ったが、大塚は何も言わず、すぐに彼を引いて泳ぐ。
少し離れた所に見慣れた船。ただし水面からだと妙に大きく感じる。
一人ではとても上がれなさそうな高いところにある甲板を見上げる。
そこでは今江が手を広げ、こっちこっちと手招きをしていた。

 大塚は時折息継ぎをしながら、ゆっくりと確実に船へと近づいていく。
西岡は負けじと自ら泳ごうとするが、力がどうにも入らない。
長い呼吸停止の上、まだ満足に気管の水を吐き出せない。
大塚が支えてくれなければ、何も出来ず溺れていくだろう。つまりは酸素不足なのだ。
普段の一割も力を出せない己の体に苛々しながら、仕方なく大塚に身を委ねる。
そこで西岡は一つの心配事に気づく。
「大塚さん、あんた怪我は?」
大塚のわき腹にある銃撃による傷。
それは大塚の身動きすら満足にさせない重傷だったはずだ。

721 :俺たちの誇り(3/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:30:50 ID:zuhiDZ9V0
例え水の中でも、泳ぐと言う行為が決して楽なはずがない。
「あ? 別に」
そう言ってみせた大塚だったが、断続的に体に走る痺れるような痛みは治まらない。
そのたび気が遠くなりそうになるのだが、泳いでいる今は一瞬だけならそれも許される。
幸いなことに額に浮かぶはずの汗は水をかぶっているせいで気づかれない。
だから、外から見ただけなら平然とした様子のまま大塚は尚も泳ぐ。
 しかし西岡は大塚の身を案じるのを止められない。
別に平気、なわけがない。顔を浮かせた状態で必死に懇願する。
「俺はいいんや、このままもう置いていってや!
 ここで死ぬのが運命なんや。俺は……もう生きてちゃあかんのや……」
その声を聞くと、大塚はしばしの沈黙の後、息継ぎをして低い声で喋りだす。
「てめぇ、この期に及んでまだバカなことを……」
船まであと僅かと言う距離で、大塚が西岡を振り向く。
その顔はやはり怒っていたが、今までの怒りとは違っていた。
立ち泳ぎで西岡の服の襟を掴むと、その顔を引き上げて今までで一番強く睨みつける。
非難するのではなく、どこか懇願するような、訴えるような怒りの顔。
「生きていいとかお前で勝手に決めんな。
 いいか、お前は俺が許すといったんだ。
 それでいいんだよ。だから生きろよ! 生きろよ、なあ!」
泣き叫ぶように大塚が声を張り上げる。
西岡は圧倒されるばかりで、何も言えない。
チャプチャプと波が揺れ、二人の体が揺らされる。
「死にたくないのに死んだ奴がいる。殺したくないのに殺した奴がいる。
 でも生き残れたなら、いいか、もう俺達がやるしかないんだ。
 俺たちの誇りを、マリーンズの誇りを……」
ふっと大塚の気が逸れる。一瞬だけ白目で天を仰ぐ。少し体が沈んだ。
「大塚さん!」
「あっ」
すぐに目が覚め、大塚は頭を振る。明らかに表情が曇っていた。

722 :俺たちの誇り(4/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:31:47 ID:zuhiDZ9V0
「ちょっとアンタ!」
「いかんいかん」
「だから、俺なんか置いてけや! 自分の心配だけしたらええ!」
何度もかぶりを振る大塚に、西岡が声を張り上げて懇願する。
だが、大塚はそれでも西岡の体から手を離さない。
緩やかな波が彼らの体を通り抜ける。その場に浮かんだまま大塚はまた西岡を睨む。
「誓え、生き続けるって。じゃねえと俺はここを動かねえよ」
「えっ」
思わず間抜けな声を上げ表情が固まった西岡を、大塚は真っすぐ見続ける。
強い目だ。濡れた髪を伝って水が滴る。その間も動じることなく。
ただ西岡に対して訴える強い意志の目。ただ、どことなく悲しそうに。
「悪いが腹決めたぜ。俺の体力が尽きたらお前も俺も海の底に心中だよ。
 お前がこれから生き続けるって誓えないってなら、俺はこのままお前と死ぬ」
「何言うてん、アンタ正気か……」
西岡の顔に戸惑いだけが浮かび上がる。
真っすぐな大塚の瞳から目を離せず、顔が崩れていく。
しかし大塚は尚も表情を変えず、掴んでいた西岡の襟をもう一度上げる。
「さあどうする? 言っておくけどいい加減長くはもたねえぜ、俺は!」
襟を持つ大塚の手が震えていた。寒さか、疲労か。西岡にはもう否応もない。
「分かった分かりました! 生きる生きます生き続けます、もう死ぬなんて言わん!
 脅迫やでこんなん。とにかく、早く船へ行って!」
「そうか」
大塚の顔から緊張が消える。小刻みな呼吸の合い間に、確かにため息が漏れる。
それを見て西岡は、涙はこぼれなかったけど、何かこみ上げてきて泣きたくなった。
たぶん今泣いても水のせいで分からない。でも涙はどうにかこらえた。
「なんで、俺なんかをそんなに」
「あ? そりゃ…」
下を向きながら声を絞り出す西岡に、大塚は船のほうへと振り向きながら答える。
「お前が一番、他の誰かのために手段を選ばず必死だったからな」

723 :俺たちの誇り(5/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:32:28 ID:zuhiDZ9V0
体を船のほうへ向け、大塚は西岡を少し背負い気味に担ぎながらゆっくり泳ぎだす。
「残されたもんが俺たちの誇りを、マリーンズの誇りを宣言しなくちゃいけない。
 すぐには無理でも、いつかお前や今江や内がそれをするんだ。
 俺は出来ると踏んだ。でも生き続けねえとできねぇだろ、だから」
「……すんません」
震える息で静かに呟く大塚の横顔を見ながら、西岡は小さく声を絞り出すだけだった。
 西岡を引きつつ、大塚は船へと近づいていく。
もう距離はそれほど残っていなかった。だが西岡は耳元の大塚の呼吸に改めて気づく。
息継ぎは要らないはずなのに、断続的で不規則に小刻みな、震える息使い。
それが大塚の苦しさを痛いほど西岡にわからせた。
 船の下までたどり着くと、今江が柵の下から上半身を出して下に手を伸ばす。
「まずこのバカを頼む」
そう言って、大塚は立ち泳ぎしながら西岡の体を持ち上げる。
その際も表情が歪む。西岡はそれを嫌がったが、体は思うように動かない。
水位が上下し大塚が一瞬肩まで海水に浸かって、再び胸から上を海面から出す。
顔を上げ一つ大きく息を吐き、吸う。今江が一旦手を戻して様子を見た。
西岡の体をもう一度引き上げ、今江の手が来るのを待ちながら安心したか大塚は笑う。
「西岡ァ」
「はい?」
「お前、酒飲めたっけか。千葉に帰ったらどっか一杯いくか」
「え? 飲めなくはないですけど、苦手ゆえば苦手で」
「なんだ、お前も下戸か?」
「下戸ってほどじゃ」
「なら付き合えよ。割り勘とかじゃなくて、おごってやるから」
「はあ」
なぜそんな事を今言い出すのか不思議な顔をした西岡の肩に今江が手を回す。

724 :俺たちの誇り(6/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:33:28 ID:zuhiDZ9V0
しっかりと掴むと、今江の体ごと船の上の連中が引き上げていく。
体を船上に引き上げられ、顔だけ大塚を向きながら西岡は大塚を見る。
先輩なんだからおごるのは当たり前やないですか。そんな言葉が頭に浮かんだ。
 今江が西岡の体を後ろに運ぶのと入れ替わりに、今度は薮田が体を乗り出す。
伸ばした手を掴もうと、大塚が手を上げる。
薮田も腕を伸ばす。まずは右手を掴もうとする。
波に揺れて、一瞬大塚の体が遠くなった。それに伴い大塚の手と薮田の手が空を切る。
「おっと」
そう薮田が声を発した。もう一度手を差し伸べなおす。
大塚も手を伸ばし返す。
 ヘリの内部にはバレンタインの持ってきた手榴弾の残りがあったのかも知れない。
火に包まれるヘリの中で、更に炎が燃え盛る内にきっとそれは燻り続けていたのだ。
そして高熱に耐える限界が来た時、それらは一斉に、そして今さら弾けたのだろう。
ヘリから突然の大爆音と、その衝撃波が船を揺らし、一つの大きな波を起こす。
発生した波は船を廻りこみ、船の揺れは薮田の手をまた大塚の手から遠ざけた。
船の揺れに思わず目をつぶった薮田が、再び目を開ける。

「え?」

チャプン。
薮田の目の前で左右からやって来た波が合わさり、しぶきがはねる。
差し伸べていた手のそのすぐ前に、あったはずの大塚の右手。
今は、爆発のせいで大きくなった波のうねりが薮田の手の前にあるだけで。
あとに残るのは、小さく白い泡沫だけ。
薮田の手がまた空を切る。今度は何度も。何もないのに。
まるで始めから何もなかったように、水面の下にも、影も形も大塚の姿は見えない。
「おい、待て、待てやッ」
言いながら、すぐに薮田が海に飛び込む。その様子に気づいた今江も飛び込む。

725 :俺たちの誇り(7/7) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:34:06 ID:zuhiDZ9V0
今しがた、大塚が消えた辺りへ飛び込み海の中を目を開けて見渡す。
淀んだ視界。ほとんど何も見えない。手当たり次第に辺りを動くが、何も触らない。
薮田と今江は同時に、一旦海上へと顔を出す。そこへ内が紐をつけた木の板を持って現れた。
投げられたそれらを掴むと、再び海へ潜る。
今度はさっきと違うところで、精一杯目を凝らし腕を広げる。やはり何も当たらない。
顔を上げて息を吐く。再び息を吸うと、また海へ潜る。
成瀬と内も、紐付きの板を持って続いた。
西岡が何事か叫びながら、甲板上に腰を下ろしたまま海を見つめる。
里崎と小宮山は甲板上から目を凝らし、何か影がないかと探し続けた。
何度、彼らは潜ったろう。大塚は見つからず、全員が途方に暮れた表情に変わりつつあった。
小宮山が腕時計を見る。拳を作って力いっぱい握り締め、全員に告げる。
「……もう時間だ。俺達は禁止エリアを抜ける。船に戻れ」
海に浮かぶ全員がそれをにわかに躊躇った。誰も戻ろうとしない。
「戻れ! 戻るんだよッ!」
その叫びに、とぼとぼと、全員が甲板上へと上っていく。
誰も言葉はなかった。小宮山は全員の乗船を確認し、スクリューを始動させる。
船は進み始める。ほどなく、船は禁止エリア上から外れると思われる地点に到着した。
波は穏やかで、それが憎たらしく思えた。
東の空には太陽が顔を出し、眩い光で彼らを照らす。空は半分以上明るい。

 小宮山の腕時計は、丁度6時を指す。
全員に何事も起こらない。船の上にいる全員に何事も。
それが何よりも高らかにゲームの終了を告げていた。

【23大塚明×】

726 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 20:42:38 ID:0i0E3oKx0
うわぁぁぁぁ、明…
こんな形で死ぬなんて…
くそー、なんだか泣けてきた…

727 :生存者(1/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:42:51 ID:zuhiDZ9V0
 ヘリから立ち上る煙が、後方に小さくなっていく。
もう随分と小さくなった。それを見て小宮山はもう一度地図を見る。
一つ大きな問題は、通信用のアンテナが壊されたことだ。
当初の予定通りの進路で無事に目的の島へと到着すればよいが。
「コミさん、どうしたんですか」
横で椅子に座りながら里崎が尋ねる。
船の操縦マニュアルを見ながら、計器と睨めっこ中だ。
「ん、いや」
と言いつつ、気を引き締めるためにパンと両頬を張る。里崎が驚いた顔をしている。
ポーカーフェイス。どんな時でも沈着冷静。今一番必要なのはそれだと言い聞かせた。
【生存 14小宮山悟 22里崎智也】

 タオルをかぶって座ったまま、ヘリの煙が上がる地点をずっと見続ける。
西岡は何も言わず、時折うつむいて顔を隠しては、またそっちを見た。
「死ぬなよ」
横から話しかけたのは、同じく座っている今江だ。
こちらもタオルで全身を覆い、船が切る風の寒さから肌を守る。
「そんなバカなことできんわ。なんやねん、あれ。汚いわ!
 死ねへんやん。言いたいこと言って、そんで行きよって……こんなんで俺、死ねへんやんか」
「そやな。俺もや」
「へ?」
西岡が横を向く。今度は今江が顔を膝に埋めていた。
ため息をついて西岡はもう一度、朝焼けの空と島と一筋の煙を見た。
「ゴリさん」
「ん?」
「こんなんで生きるのって、死ぬより難しいな」
「せやな。でも……」
今江が顔を上げる。西岡と同じ方向を向く。

728 :生存者(2/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:43:50 ID:zuhiDZ9V0
「今はなんとなく、やれなくはない、気もしなくもなくもない。たぶん」
「なんやねん、まだるこし」
「すまん」
後輩らしからぬ西岡らしいツッコミを聞いて、今江はそっと安堵のため息をついた。
【生存 7西岡剛 25今江敏晃】

「……ん」
「大事ないか?」
平下の意識がハッキリと覚める。薮田が顔を覗き込んでいるのが見える。
心からの安心といった顔。
出血多量のせいか、或いは疲労のせいか、ずっと意識がハッキリせずにいた。
だが、断片的には薮田に背負われたいた時辺りから起きたことを覚えている。
船が大きく揺れて、この船室の中を転がり回っていたことも。
それでも意識がハッキリしないままで、そこらに体を打ち付けられていたことも。
「一体、どうなって……」
薄目を開けて薮田へ尋ねると、薮田は少し悲しそうな、嬉しそうな顔をした。
「全部終わったわ」
そう一言だけ言って、薮田は黙ってしまう。
その表情を見て平下はそれ以上の言葉を返せなかった。
一言だけ。
「そうですか」
それだけ呟く。そして起き上がろうとする。
心配そうに薮田が見守る中、よろめきながら平下は立ち上がると、物に掴まりながら歩く。
そして船室を出る。朝日が目に入った。はるか向こうに島が見える。
ああ、確かに終わったのだな。
深い深いため息が出て、平下は糸が切れたようにその場にへたり込んだ。
それを追ってきた薮田が慌てて支える。
「薮田さん、終わったってのはマリーンズも含まれてますか?」
突然平下は尋ねる。

729 :生存者(3/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 20:44:33 ID:zuhiDZ9V0
「また始める。こんだけになってもマリーンズは終わらせん」
「……俺、……いや」
平下は何かを言いかけて止める。
心に自然と抱いた思い。しかしまだ言うのがはばかられて。
【生存 20薮田安彦 24平下晃司】

 へ先に寄りかかりながら舞い上がる水しぶきを顔に受けて成瀬は水平線を見つめていた。
「はつしばさん……」
さっきから何度となく呟いては、その声は風にかき消されていた。
ただしこの時だけ、成瀬のすぐ後ろに来ていた人間にはその呟きが耳に入った。
「初芝さんのこと?」
「うち……」
振り返ると内がそこに立っていて、成瀬の横に並んだ。
成瀬は何もいわずコクリと頷く。
「大丈夫。生きてるさ」
「え? ほんと!?」
「勘なんだ、ごめん。だけど、初芝さんに限って死んだ気がしなくて」
思わず現れた喜びの顔がしゅんとなる。それを見て内は済まなそうにしていた。
船の進む先の水平線を身ながら、しばし二人は黙る。
内は遠い目をして、少し前の出来事を思い出す。
「たぶんさ、大切な人はさ、死なないんだよ。
 死んでしまっても、死なないんだ」
「どういうこと?」
混乱顔の成瀬。内はまた済まなそうな顔をした。
できれば分かって欲しかったが、説明すれば長くなると思う。
たぶん誰も信じてくれないだろうし。
からかわれたと思いムスっとした成瀬に謝りながら、内は初芝の身を案じていた。
【生存 21内竜也 60成瀬善久】

730 :生存者(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 21:01:38 ID:zuhiDZ9V0
「おい、起きろよ、おい」
「うう……」
苦しそうな顔をして苦しそうな声を上げる。
しかしまだ目を開かない。
「おい起きんか、初芝!」
「ぬぉわっ」
頭を小突かれた拍子に目が覚め、思わず飛び起きる。
同時にどてっ腹がひどく痛み、そこに手を当てながら抱え込む。
と、その辺りに包帯が巻かれているのに気づく。
初芝はその傷口あたりをさすると、キョトンとして周囲を見回した。
「起きたか」
「わっ」
振り向いた目の前に顔を突き出したのは筒井だった。
しゃがみこみ、憮然とした表情で初芝を見据えている。
「ななな」
「6時を回ったぞ。ゲームは終了だ」
「え?」
おぼろげながら、今までの記憶を思い出す。
そう、バレンタインに腹の辺りに銃撃を喰らって、いつの間にか気を失っていたのだ。
ところが目を覚ますとは、一体どういうことだろう?
あのまま止めを刺されるのが普通のはずなのに。
それに6時を過ぎた? 周囲は漁港の桟橋のたもとのままだ。
間違いなく禁止エリアのはずなのに、なぜ自分は生きているんだろう?
両目に?マークの浮かんだ初芝を見つめながら、筒井は頭をかいた。
「やれやれ。終了間際に大塚が死んだようだ。それでゲームは終了。
 ま、ついでにボビーも死んじまったみたいなんだが」
そう言って筒井は立ち上がると、北の海を眺める。
遠く、はるか遠くに一筋の煙が立ち昇っているのが見える。
朝日に右側を照らされて、左側に影が映っている。

731 :生存者(4/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 21:02:28 ID:zuhiDZ9V0
初芝は、朝焼けの空を眺めながら自分が気を失っている間の出来事を全て理解した。
「終わったんですね……」
「ああ」
痛む傷口に手を当てる。包帯が巻かれているのに改めて気づく。
「この包帯は筒井さんが?」
「……ついでだ。無駄な人死にを出す必要もない」
「ありがとうございます」
割れた眼鏡越しに妙な境界でぼやけた視界が、いつの間にか全てぼやけてくる。
何故だろう。呆けたような無感情な状態の、今の自分なのに。
溢れる大粒の涙を袖で拭いながら、初芝は海を眺め続けた。
【生存 6初芝清】

「そいつはスゲェ」
自分が意識を失ってからの一部始終を薮田から聞き、平下はしきりに頷く。
同時にその状況で、それでも見捨てなかった目の前の男に改めて感謝の念を抱く。
薮田が話し終えた後、平下はその話を反芻しながらふと船を見回した。
数えるような仕草に、薮田は何をしているのか尋ねる。
「いや、この船に乗っているのは8人ですよね?」
「そうや」
「で、大塚さんが死んで、初芝さんが島に残ったと」
「ああ、そやな」
「……えーと」
疑問符を頭にちらつかせる平下を見て、薮田は顔をしかめる。
自らも何が変なのか考える。平下のしたのは人数の確認か。
「あれ?」
ここに来て薮田も気づく。
8人+2人は10人しかいない。変だ。
ゲームは残り10人で終了で、あと一人の死亡を残すのみだったはずだ。

732 :生存者(6/6) ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 21:03:19 ID:zuhiDZ9V0
「んんー……?」
薮田の顔から脂汗が吹き出す。何かが心の中で引っかかっている。
平下は何やら考え込む。一人小さく呟きながら記憶を紐解いているようだ。
と、何かに思い当たったようにそれを口にする。
正確にはその人名を口にする。
「……ぅぁっ」
それを聞いた瞬間、薮田の口から妙な声が思わず出た。一瞬で記憶の検索が完了する。
呆然とした表情の後、薮田は人生で一番大きな声を上げた。
「忘れとったあああッッ!!!!!」


「いや僕はt……むにゃ……うん?」
朝の木漏れ日が丁度よく瞼の当たりに注がれて、眩しそうにしながら目を開ける。
ひょいと起き上がる。二日酔いもほとんど醒めて頭はだいぶスッキリしていた。
体が汚れている。地面に寝そべっていたせいだろう。
「あれ……? 誰か一緒にいた……、……いないか。
 やれやれ、変な奴に会わずにやり過ごせるといいなあ」

戸部浩は頭をかきながら、てくてくと森の中へ消えていった。

【生存 67戸部浩】
【千葉マリーンズバトルロワイアル:生存者10名の確定を以って終了】

733 : ◆QkRJTXcpFI :2006/08/20(日) 21:06:35 ID:zuhiDZ9V0
最後連投規制で空いてしまいました。
とりあえず本編の方は以上で終了になります。


734 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:08:18 ID:r5FzKD24O
お疲れ様!

735 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:08:52 ID:5MrJLGrsO
あああああ…
明あぁぁぁぁー!!!!



書き手様、本当にお疲れ様でした…

736 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:10:07 ID:B2TP829QO
職人様、本当に乙です!

737 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:10:54 ID:0i0E3oKx0
「割り勘とかじゃなくて、おごってやるから」
の台詞がかなりくるなぁ。福浦との会話を思い出して涙目だよ。

738 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:16:45 ID:9EWoB4120
うわあああぁぁぁぁ
明…あ、あきらぁぁ………

まずは本編終了ということで、
職人の皆様、本当にお疲れさまでした!!!

739 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:50:51 ID:o5akUIP30
職人様、ひたすら乙です!
凄い…涙出てきた

740 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:56:37 ID:jMRBfiDcO
明ああああああああああああああ



泣いた…

741 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 21:57:41 ID:Dg+rnv9Z0
うわぁぁぁん! あきら〜、あ、あきら〜〜〜!!

742 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 22:08:29 ID:JP4Gv6HS0
明―――――――――。・゚・(つД`)・゚・。――――――――――ッッッッ!!!!!

743 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 23:17:18 ID:m1mqQ3tG0
職人様方、本当にお疲れ様でした。
明かっこよすぎだよ…泣いたじゃないか。

そして戸山ぁぁぁ、結局寝てただけか!!w

744 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 23:18:06 ID:IazDEDWB0
職人様、お疲れ様でした!
もう、言葉にならない・・・・・・・



745 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 23:20:13 ID:8en0bJhC0
戸(ry …

(ノ∀`)


746 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/20(日) 23:56:01 ID:Mc7WDo830
明あああああああああああ・・・・!!!!


最後まで男らしかった・・・かっこよかった・・・



で、結局何もしなかった戸(ryワロスwwwwwww

747 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 00:39:38 ID:babfDptlO
職人様、本当に本当にお疲れ様です!!!

駄目だ…涙が止まらん……

748 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 00:54:47 ID:3m0qpJKeO
明…最期までかっこよすぎだよ゚・(ノД`)・゚・

749 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 01:04:40 ID:MO/uNzeN0
明ー!
明は海へ帰ってしまったのか…゚・(ノД`)・゚・

750 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 01:40:02 ID:GzkXX15R0
職人様方、本当に乙でした!!
冗談抜きで泣きました。明…福浦と会えたのかな…

751 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 02:08:09 ID:7v+t++EsO
職人様本当に乙です!
まだ全編終わってないとは言え、長い間本当に楽しませて頂きました。

大塚カッコ良すぎじゃないかよ〜!
西岡マジで生きろよ!
それにしても黄金の昭和50年会は全滅か…。

戸中は最後までそれかw

752 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 03:23:49 ID:w2qcfEJOO
ずーっと発言せずに読ませてもらってました。
何というか…もう、本当に感動しました。
職人さま、ありがとう。・゚・(ノД`)・゚・。

753 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 03:37:19 ID:iAXrVGMu0
職人様、長い間お疲れ様でした!


戸平・・

754 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 06:06:21 ID:W29dY5ewO
これであとまとまってないのは、コーチ編とマスコット編か。
どう蹴りが付くんだろう。

755 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 07:31:48 ID:JGwkPhMKO
明、めっちゃかっこよかったよ…ありがとう
戸山は…すごくおもしろかったよ

756 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 10:36:24 ID:gEKK6ozWO
職人さまたち本当にお疲れさまです!!

切ない…

757 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 13:12:00 ID:jTFlUqpb0
職人様、お疲れ様でした!
本当に長いこと楽しませてもらいました。有り難うございます!
で、できれば彼らのエピローグも見たいところですが…。

758 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 17:31:53 ID:Oe3/w3R8O
職人様、お疲れさまです!
内や平下がこんな大事な役回りになるとは…

759 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 19:01:52 ID:3meSdrtsO
職人様、本当にお疲れ様でした。もの凄く感動しました。

760 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 20:56:38 ID:oEhkMSiUO
職人様方、お疲れ様でした!

感動しました…。
明ぁぁぁぁー。゚・(ノД`)・゚。

761 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 21:15:45 ID:PU6qxohqO
職人様、お疲れ様でした!!
切なすぎるよ…(ノд`゚)
リアルでは小坂ファンなので最初は特に彼に注目して読ませて頂いていたけどリアルでも成瀬も気になりつつある。マリバトの影響力は大きいですな…
あと読んでると頭の中で島唄が流れてくる…

762 :番外 愉快なカモメたち 終(1/4) ◆vWptZvc5L. :2006/08/21(月) 23:32:49 ID:x89ESTgs0
マリンスタジアム裏の砂浜にマーくんファミリーの3羽が並んでいる。
リーンちゃんとズーちゃんが起きたときには、マーくんはひどく落ち込んでいた。
ハリーから何か聞いたらしいのだが、詳しくは知らないし、マーくんも教えてくれない。
外の空気でも吸えば元気になるかと思って、無理してここに連れ出したのに、
やっぱりマーくんは黙ったまま。何も言わずに、じっと寄せては返す波打ち際を見ていた。
「『波の下にも都のさぶらふぞ』……って知ってる?」
マーくんが、突然口を開いた。
「僕、知らなーい」
「『平家物語』……よね?」
ズーちゃんは知らないようだが、リーンちゃんは知っているらしい。
「そうそう。都を追われた平家がね、海で自害するときに言うんだ。
 波の下にも都がある、ってね」
「でも、それがどうしたの…?」
いきなりそんな話を始めるマーくんを、リーンちゃんが不思議そうに見ている。
「僕、思うんだ。波の下に都があるなら、そこには野球の出来る所もあるんじゃないかって。
 その中にはきっとマリンスタジアムみたいな球場もあって、それでマリーンズみたいな
 野球チームもあったりするんじゃないかな、ってさ」
「えー、海の中じゃ野球なんてできないと思うけどなぁ」
「違うよ! ものの例えだよ!」
ズーちゃんの茶々を一喝する。
咳払いを一つしてから、マーくんは再び話し始めた。
「だからね、これからマリーンズも僕らもどうなるのかわかんないけど、
 僕は野球も、パリーグも、マリーンズもみんな好きだし、その気持ちがあれば、
 案外どこででも生きていけると思うんだ。……ううん、生きていけなくても、
 その気持ちは生き続けると思うんだよ。だからさ……」
「あーもう、兄ちゃんの言ってること難しくてわかんないよ!」
「そっか……ズーはわかんなくていいよ」
「私はマーくんの言いたいこと、なんとなく分かったわよ」
リーンちゃんがそっとマーくんに笑いかける。
3つの長い影が砂浜に伸びていく。幕張に住むカモメは意外とたくましいのだ。

763 :番外 愉快なカモメたち 終(2/4) ◆vWptZvc5L. :2006/08/21(月) 23:33:33 ID:x89ESTgs0
一方、その頃――

「何なんだ? 一体どうなってるんだ?」
水面にキラキラ反射する夕日。黄金色に染まる桟橋に戸部浩は座り込んでいる。
辺りには飛び散ったガラスの破片、ところどころに残る血痕。
港に漂う潮風には硝煙の臭いが混じっていた。
なにか争いがあったことは容易に想像が付くが、人影だけは一切見当たらない。
6時間おきにあるはずの放送も、あれから一切聞かない。
実はこのとき、既に初芝と筒井含む運営側の生存者は島から引き上げていたのだが、
そのようなことを戸部が知る由などなかった。
「まさか俺以外の人間が全員死んだなんてこと、ないよな……?」
妙な不安が頭をよぎる。自分の知らないところで何があったのだろう。
誰かに殺されるのは嫌だが、誰にも会えないのも心細い。
「あの、すいません……」
不意に呼びかけられて振り返る。そこにいたのはイワトビペンギンのマスコット。
サングラスをかけたその姿は、まさにクールといった形容がふさわしい。
(ペンギン? 何でこんなとこにペンギンが??)
戸部の頭の中がはてなマークで埋め尽くされた。
「この島の中央に球場がありますよね?」
「あぁ、はいはい」
戸惑いながらも、応対する。
「そこにロッテオリオンズがいたりしませんか?」
「は? オリオンズ…? いや、オリオンズって球団は今はありませんけど?」
「えぇっ!?」
ペンギンが心底驚いたような声を出した。

764 :番外 愉快なカモメたち 終(3/4) ◆vWptZvc5L. :2006/08/21(月) 23:34:22 ID:x89ESTgs0
「『えぇっ!?』じゃないっすよ! オリオンズって、一体何年前の話をしてるんですか。
 今はオリオンズじゃなくて、マリーンズって名前に変わってるんです。本拠地も川崎から――」
「マリーンズ…? あのフロリダの!?」
「違う違う! それは『マーリンズ』。俺が言ってるのは『マリーンズ』。
 ロッテオリオンズの後身、『千葉ロッテマリーンズ』ですよ」
そういって戸部は自分の左肩のエンブレムを指す。
ペンギンがそこに書かれたアルファベットを読み上げる。
「『CHIBA LOTTE MARINES』……? 千葉ぁ??」
「そう。オリオンズは川崎から千葉に移転したときに名前が変わって、
 千葉ロッテマリーンズになったんです。それで、俺はそこの選手と言うわけ」
「えぇーっ!? だって僕もその噂を聞いて千葉の球場を探しましたよ。
 でも変なアヒルのマスコットがいて、そいつにオリオンズは見てないって言われて」
「アヒル? もしかして……」
戸部が自分のリュックの中身を漁る。
取り出したのは球団マスコット、マーくんのぬいぐるみ。
これが彼に与えられた支給品であった。
「それって、こんな格好してなかったか!?」
「あぁ、そうそう。このアヒルに似てましたよ。確かこの辺に絆創膏が貼ってあって」
そう言いながら、ペンギンは左頬に指でバツ印を描く。
戸部はすぐに悟った。ズーちゃんに間違いない。

765 :番外 愉快なカモメたち 終(4/4) ◆vWptZvc5L. :2006/08/21(月) 23:35:08 ID:x89ESTgs0
「あのね、これはアヒルじゃなくてカモメ。マリーンズのマスコットなの!」
「マスコット!? オリオンズ……じゃなかった、マリーンズにはもうマスコットがいるんですか!?」
「そう、マーくんとリーンちゃんとズーちゃんって言う3羽のカモメがね」
その言葉にショックを受けたらしく、ペンギンは地面にひざを付いてうなだれた。
「そんな……僕、今までオリオンズのマスコットになろうと思って、この13年間ずっと、
 一生懸命オリオンズを探してきたのに……もう別のマスコットがいるなんて、そんな……」
「あの、大丈夫?」
戸部がペンギンを気遣って声をかける。
しかしペンギンはすぐ立ち直ったらしく、すっくと立ち上がった。
「わかりました。とにかく千葉に行けばマリーンズに会えるんですね。
 いっぺん行ってみます。ありがとうございました!」
「ちょっと待てぇ!」
そのまま走り去ろうとするペンギンを戸部が呼び止めた。
「……なぁ、お前どっから来たんだ?」
「えっと、本島からあのボートで」
ペンギンが指差す先には、波止場に止められた小型のボートがあった。
「そのマリーンズの本拠地までの案内役、欲しくないか…?」
「そりゃ、あればいいですけど」
「俺が連れてってやるよ! だからその代わり……」
「わかりました。ロッテの選手の頼みなら断れませんよ。 どうぞ、乗ってください」
(よっしゃぁぁぁぁーーーーっ!)
天を仰いでガッツポーズをすると、戸部はペンギンの後ろを付いていく。

幕張の3羽の元に、新たに愉快なペンギンが加わるのはもう少し先の話である。

【愉快なカモメたち ‐完‐ 】

766 : ◆vWptZvc5L. :2006/08/21(月) 23:37:27 ID:x89ESTgs0
マーくん編も以上です。長い間、お付き合いありがとうございました。

>>757
たぶん、エピローグもあると思います。

767 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 23:39:02 ID:YqMYcazp0
乙です!
ここでそう来ますかw
最後まで和ませていただきました。

768 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 23:42:11 ID:ZlmolMVYO
( ^ω^)……………






( TωT)泣いたお

769 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 23:43:17 ID:MXLcap5j0
そして置いてかれている戸部ワロスwwwwwwwwww

770 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/21(月) 23:49:21 ID:N1poiLvW0
マリーンズ知らないのにマーリンズ(93年結成)は知ってるクールワロスww

771 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:02:16 ID:WOWjry3i0
ちょwwwwwwwww
戸木wwwwwwwwwwwwwwwww

772 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:12:15 ID:s8nCEVqiO
最後の最後で戸井がものすごく好きになったwwww

773 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:22:00 ID:piWYxVsYO
うお――!!荘はまだか―――!!!

774 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:22:55 ID:cDcsV2Hg0
GO GO おおつか・・・あきらぁ。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン

775 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:30:47 ID:7LFbBQUe0
戸部(最後なのであえてこう書く)の支給品そんなのだったのかwww
職人様乙です!番外編も楽しませていただきました。
あとは愉快なコーチ達だけですね。

776 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:34:24 ID:U4aL/nQn0
おいてかれてるーーー


777 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 00:36:12 ID:H8g0kCWPO
クールと戸(ryイイ!!

778 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/22(火) 08:31:49 ID:9NhF1kQHO
もしクールが来なければ、一人寂しくマーくんのぬいぐるみに話しかけたりして過ごしてたんだろうか戸瀬w

779 :757:2006/08/22(火) 20:55:15 ID:upic+1rs0
>>766
頑張ってください!

戸辺は本当に幸せな奴だ。

780 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 00:49:34 ID:FxI0CE4Q0
職人様ひとまずお疲れ様でした!
エンディングの演出いいなあ。映画みたい。

781 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 00:56:44 ID:zZpVESgc0
ユウゴーたちと別れたあたりから、密かに戸河内の支給品が何か気になってたんですが
ある意味彼の運命を左右するキーアイテムを持っていたとは…w

ともあれ、職人さんがたお疲れ様です。

782 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 01:19:45 ID:eOkdFqT+O
泣いた。目腫れた。
明…戸崎…orz

職人様本当に乙です!

783 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 15:13:29 ID:WPB5g2OeO
戸山泣くとこあったっけ

784 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 19:47:30 ID:jiOJ3DY2O
そして誰もいなくなった


からじゃない?w

785 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 23:03:00 ID:rJlxuTqBO
戸部浩…。

786 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/23(水) 23:44:19 ID:buUBxY5I0
>>783
ユウゴーとの最後の会話は泣いたけどな
ってそんな前の話ではなくて?>戸b

787 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/24(木) 07:40:19 ID:s9aG0jEx0
職人様、テラ乙!
あと残すはエピローグだけかぁ・・・。

788 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/24(木) 08:52:17 ID:eTrkX4250
>>787
(^Å^)

789 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/24(木) 14:26:30 ID:YBUA4htcO
別に僕一人で残ってるわけじゃないですし

790 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/24(木) 17:00:17 ID:iAGY4OyXO
吉鶴く〜ん…僕たち忘れられてるんじゃないかなぁ…
不安になってきたよ…最中でもどう?

791 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/25(金) 01:16:01 ID:VKKcnR+5O
全部終わったら色々感想書き込みたい。

792 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/25(金) 01:44:59 ID:PSdO32z90
職人の方々にも裏話的なものを聞かせて欲しいね。

793 :番外 園川一美と愉快なコーチたち35(1/3) ◆GDAA.BMJxc :2006/08/25(金) 05:58:11 ID:+WG4mIf90
「くそっ、今度こそ逃がすか!!」
高橋はかつて盗塁王の名を欲しいままにした俊足を武器に、男の後を追いかけて行った。
「ソウ簡単ニハツカマリマセン。」
男は一見速そうに見えないのだが、それでも自転車を巧みに操り、
高橋と一定以上の距離を保っていた。

二人の追いかけっこを遠目で見て、園川は何の気なしに呟いた。
「あいつ・・・、いい勝負しているなあ。」
「さすがですねえ。」
吉鶴は、園川の呟きに応えたのだが、園川の表情にまでは気づかなかった。
普段から園川の顔を見慣れているものでも、その表情の微妙な変化に気づいたものはごくわずかかもしれない。
よく見てみると、園川の眉間の皺がほんのわずか深くなっていたのだ。

園川の表情などお構い無しに、延々と追いかけっこは続いていた。
「いい加減にとまれっ!!」
高橋の声に動じることも無く、男は高橋の手をかわし続けていた。
「HAHAHA、マタ今度ネ」
男ぎりぎりのところで高橋の手を振り切り、
外野ゲートからグラウンドの外に逃れた。

「くそっ、逃げ足の速いやつめ。」
高橋は肩で息をしながら、男が逃げていった方をしばらく見やった。
二人の追いかけっこを眺めていた吉鶴たちは、ようやく高橋のもとへ駆け寄った。
「慶彦さん!」
吉鶴の声に気づいた高橋は、怪訝そうな表情で振り返った。
「・・・吉鶴か。」
「どうしたんですか、こんなところで?」
しかし、高橋は吉鶴の質問に答えず、逆に質問してきた。
「どうしたって、お前らこそどうしてここにいるんだ?」
「どうしてって・・・、それは福澤さんが・・・。」
そこまで言いかけて、吉鶴は福澤がなかなかやってこないことに気づいた。

794 :番外 園川一美と愉快なコーチたち35(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/08/25(金) 05:59:45 ID:+WG4mIf90
そんな吉鶴にはお構い無しに、高橋は怪訝そうな表情をさらに深めて吉鶴に詰め寄った。
「福澤、だって?」
「ええ、そうですけど。」
吉鶴が答えるが早いか、高橋は吉鶴の胸倉をつかんで叫んだ。
「お前ら、一体何をたくらんでいるんだ?」
「うっ、ぐ、く、苦し・・・。」
高橋が突然胸倉をつかんだため、吉鶴はまともに返事が出来なくなった。
「高沢は来ない、兼伊知も来ない、連絡も来ない、一体どうなっている!?」
「な、なに・・・。」

(だ、誰か助けて・・・)
だんだん意識が遠くなっていく中、吉鶴が心の中で必死に助けを求めた。
すると吉鶴の後方から、自信にあふれた声が聞こえてきた。
「何をって、決まっているじゃないですか!」
吉鶴が必死に視線を後ろに向けると、
そこには下を向いて必死にポケットの中をまさぐっている荘がいた。
結局目当てのものが見つからないのか、ポケットから手を出し、肩で小さく息をすると、
高橋をびしっと指差して叫んだ。
「キャンプに決まっているでしょう!」

高橋は返答に戸惑ったのか、無言で腕に力を入れた。
その弾みで、吉鶴の締め付けがいっそう苦しくなった。
(もうだめ・・・。)
吉鶴の意識が途切れる間際、遠くで誰かの悲鳴が聞こえた。

795 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/25(金) 08:36:12 ID:Ep5HY4qf0
sono様キター

796 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/25(金) 18:29:39 ID:SDeYjQaYO
おまいら待望の園様なのに反応薄いな

797 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/26(土) 00:01:57 ID:kLG+ZW0n0
職人さん乙です。
吉鶴、そんな役回りばっかじゃねぇかw

798 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/26(土) 02:12:41 ID:vLplu/4V0
もうなんだか本当にいい意味で園様たちはだるく見れるwww

全体的にgdgdで好き。

799 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/26(土) 20:00:25 ID:n1rlrZf90
確かにgdgdだw

800 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/27(日) 18:01:20 ID:G39qhhej0
ho

801 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/27(日) 21:58:49 ID:sebzbA+1O
金澤

802 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/28(月) 15:21:16 ID:NG6EljBIO
保守

803 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/28(月) 22:27:55 ID:v5FCnd1kO
杉山

804 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/29(火) 12:04:26 ID:NpmVUbyfO
黒木のエースの件はガチで泣いた

805 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/29(火) 14:42:47 ID:VzKFA52Q0
泣いた。
戸クルス何寝てんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

806 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/29(火) 21:55:30 ID:fLMYcZE80
清水将

807 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/29(火) 22:02:09 ID:YIwYVOPN0
だいたい終わったしそろそろ好きな話とか語ってもいいのか
それともちゃんと完結を待つべきか

808 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/29(火) 22:25:59 ID:De8yxqVCO
体育座りでエピローグ待ち続けてます

809 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 03:51:43 ID:5GCgAtPJ0
あんまりスレを消費しないようにしないとやばいかな?

810 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 16:16:58 ID:OLzv8YRY0
てゆうかこれ主人公誰?(マジで)

811 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 20:03:37 ID:NVYmi/DyO
>>810
戸下…と言われる前に、
所謂主人公タイプの立ち位置だと、内君、今江、薮田(展開がシュール過ぎるがw)辺りだろうけど、
その辺は好みかな
個人的には平下のアンチヒーローっぷりに惹かれた。
大塚も美味しいところをかっさらっていったなあ…。

812 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 20:23:33 ID:J8fE57hb0
>>811
大塚は主役ではないよな。
名脇役。
俺は西岡が主役っぽく感じた。

まぁ特定の主役がいないからこの話がまたいいんだよな。
誰が死ぬかわからないし。

813 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 20:45:52 ID:HyiCQJ98O
確かに。主役がいないのがマリバトのおもしろさ。
今だから言うが、途中まで西岡が大塚的役回りになりそうだと思ってたよ。

814 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 20:49:07 ID:J/MLvZSV0
戦隊モノなら今江がレッド、西岡がブルー、内がブラック、って感じかな
里崎はイエローでピンクは……成瀬?

平下はなんでこんな目立ってるんだ?と最初思ってたけど、
まさかああいうポジションだったとはね…


815 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/30(水) 22:51:48 ID:gyrYEm/t0
>>813
実際、西岡が死ぬと思った人は多いだろう。
見守るスレでもそんな話題で盛り上がってたような気がする。
代名詞ばっかりだったから、皆が誰を指してるのかはっきりとは分からなかったけどw

主役を中心に据えて掘り下げていくのもまた良いんだけど、
特定の主役がいないから、誰が死ぬか分からなくてハラハラした。

816 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 00:03:22 ID:niF3tXQN0
最後はほぼ全員にフラグ立ってたようなもんだったしね。
総司令官と補佐ロボット的役回りのコミさん&初様が、個人的には好きでした。

817 :見守るスレ610:2006/08/31(木) 00:14:08 ID:DsqHKmm20
>>815
指示代名詞だけでも大体話通じてたよ。戸(ryとか。

俺は小宮山もありうるな、とは思った。まさか大塚が美味しいところを掻っ攫っていくとは思わなんだ。
それにしても、例のコルトガバメントがキモでしたね。

818 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 00:27:09 ID:ejOsk3ew0
小宮山も意味深なセリフ言ってたもんなぁ…

ある意味、一番おいしかったのは戸田だろう。
探知機が壊れるとか、最後に会った平下が気絶してるとか、
全てが戸田にとっておいしい方向に働いてた。
最後の 平下気づく→薮田絶叫→戸田起きる の流れは見事すぎるw

819 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 02:39:31 ID:ypvDGkFGO
11人になった時点でフラグ立ってんなーと思ったのは
順に西岡、大塚、小宮山、平下だったな…。
平下の物語は「ないものねだり」で完結してたとはいえ、傷は深そうだったし、小宮山は既出の通り。
西岡は前半の迷いのないキャラ造形が、同期を手に掛けてから崩れて行く様が上手かった。
誰かが書いてたけど、自分で幕を引いた時点で何かが終わった感じ。
自分で落とし前を付けるんじゃないかと思ったけど、させなかった大塚が1枚上手だったな。

初様は絶対死なないと思ってたから、撃たれた時はびびった。

820 :810:2006/08/31(木) 05:56:54 ID:K0IRpNLs0
まとめ
主人公候補
今江 西岡 小宮山
脇役?
大塚 藪田 平下 ハツ様 サト 内

戸田
・・・こんな感じ?

821 :810:2006/08/31(木) 06:00:43 ID:K0IRpNLs0
成瀬忘れてた。
連投。
・・・本当にスンマセン。
・・・成瀬脇役?でいいっすか?

822 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 12:36:27 ID:gVW2vgwx0
いやぁ内君は主役級でしょう、ポジション的に。
エースから後を託され最後のケリをつけて。

823 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 15:28:10 ID:dJsL4Exj0
>>821
成瀬はヒロイ・・・

・・・いや、俺が悪かった。忘れてくれ。

824 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 15:32:24 ID:XhNbhivuO
自分は最初、宏之が主役だと思ったのに…

825 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 15:36:04 ID:iEru6lLZ0
>>824
宏之の死に様は悲しかった。
なんか扱いが・・・

福浦もかっこよかったのになー。

826 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 18:04:40 ID:7If5OAHfO
福浦が死ぬところはすげぇショックだった…。
読みながら、死ぬなー!と心の中で絶叫したw

827 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 18:48:53 ID:bJiPq2y8O
今江と地味様のキャッチボールが悲しかったなあ
直行そんなに動き回ったらダメーって思いながら読んでた…
あーあと前半はひたすら川井にむかついてたw

内君はジョニーのくだりがもう涙無しには読めません

828 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 22:22:51 ID:K0IRpNLs0
福浦、直は泣いた。
地味にコバマサの最後も泣いた。
そして黒木、大塚、小野、代田、清水将でも泣いた。
結局ほぼ全員で泣いた。

829 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 23:52:57 ID:tqkRctAh0
代田と平下の藤井寺の件は傑作だったと思う。
「旧知」は最後の一文だけで泣けた。

830 :代打名無し@実況は実況板で:2006/08/31(木) 23:56:31 ID:03bvR4jG0
藤井寺球場の話は自分も泣いた。
あと、やっぱり可哀想な地味様…ゴリを立ち直らせてくれたのに…

831 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 00:06:32 ID:k3hLfg3t0
俺はサブローの最後が悲しかった。
殺人マシンとなってボロボロの状態でも殺そうとして
最後の
「ミ…チ…ヨ……ごめん……よ…………」
あたりはなんか泣けた。

サブローも殺人者的キャラだったけどすげー悲しかった。

832 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 00:09:38 ID:+3YA6YEl0
おまえら泣きすぎwwww
何2ちゃんにマジになってんの





俺は平下の「ねえんだよ!もうそんなチームは!」で電車の中なのに泣いた

833 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 00:11:17 ID:XQEAL6+b0
川井は迂闊すぎるキャラだったけど、前半の物語を進行させてたよな。
しかも、あの最期は反則。
泣かせやがって…。

代田と平下の話は重かった…。
ああいう展開に持っていくつもりで代田を登場させたなら、ネ申。

834 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 01:04:56 ID:Oy/bvMZA0
最後の10人を見ると、
ベテラン→小宮山、初芝  中堅(?)→薮田、戸田 微妙に若い?→里崎、平下
若手(成長株)→今江、西岡 ルーキー→内君、成瀬
と、結構いろいろな年齢層の選手が生き残っているんだよな。
別に計算の上でのことではないだろうが、なんとなくすごいなと思った

薮田は話の中で結構キーパーソンだったような印象がある
青野と良平の話は泣けた
戸田の「くれるっていうなら、もらえばいいんじゃねー?」はワロタ

もしエピローグ、園様編など今後すべてが投下されたら、書き手さんのあとがきみたいな
ものを読みたいと思っている俺がいる…

835 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 07:17:38 ID:h1EK/RAF0
自分の「かわいそうな人ランキング」1位は浅間。
ずっと疑心暗鬼で、誤ってコーイチサン殺しちゃって、
気の休まるときがなく、最後は信じたかった人に裏切られて殺されて。
同じような境遇だった将海が最後は安らかに逝ったから、
余計に浅間の悲惨さが際立ったな。ラストのほうまで生き残ってただけに余計に。
かわいそうすぎて泣けなかったくらいだ。

836 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 07:23:27 ID:h1EK/RAF0
いろんな意味で、やりきってから死んだ人:
サブロー、川井、雅英、大塚、代田、晋吾、金澤、宏之、於保、四郎

837 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 12:00:59 ID:fQh25LfiO
成瀬は元に戻ると思ってた
けど、これはこれで萌えt

838 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 12:55:05 ID:TyfTtPfg0
泣いた箇所:原井と川井
真夜中一気読み返ししてたら、なんか原井のとこでぐっと来た
川井はリアルタイムで読んでて、「この最期は反則やろー!」と思いっきりぐっと来た

主要な登場人物の方が思い入れが強過ぎてかえって泣けない

839 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 12:59:00 ID:totXL9HoO
>>834
ポジション別で考えると、
投手→5人
捕手→1人
内野→3人
外野→1人
と、10人も枠があった割にちょっと偏ってるかなーという印象だな。
だから大塚は残るんじゃないかと希望的観測を抱いていたんだけどねorz

840 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 15:34:31 ID:onerNKO3O
投 内
捕 里崎
一 李
二 今江
三 初芝
遊 西岡
左 フランコ
中 ベニー
右 平下
DH ?
先発→戸部→薮田
監督 小宮山

みたいな感じになるのかね。あとやっぱりエースは戸部?

841 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/01(金) 19:38:26 ID:IUKsFJ8n0
エピローグで触れられるかもしれないからそういった予想は控えた方が

842 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/02(土) 00:58:45 ID:Vol677+d0
萌えキャラとかヒロインとか成瀬の存在って一体…

843 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/02(土) 13:44:36 ID:8IxPA5th0
>>842
癒し系

844 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/02(土) 17:15:18 ID:/MKHc95U0
薮田の位置づけみてると、当時「セットアッパー薮田」がいかにインパクトあったか分かるなw

845 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/03(日) 13:47:36 ID:b4z/pIv5O
里崎

846 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/03(日) 16:08:09 ID:GfVksTLWO
青松

847 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/03(日) 20:02:27 ID:jt+PSqPe0
保守の代わりに意外と好きな話。

299章 生きていてもいいですか

848 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/03(日) 21:22:11 ID:jt+PSqPe0
意外とっていうと変か。
そんなに目立った話ではないけど、垣内の絶望が呑気な戸bによって少し救われたのがなんだかジーンときたんだよね。

849 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/03(日) 22:22:43 ID:Dq0goMmA0
 

850 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/04(月) 00:59:29 ID:Ld5aZcEH0
第202章『カモメ』の結局麦茶を飲まされた成瀬が好きだな
その時は、コイツがこんなイイキャラなるとは思ってもいなかった

851 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/04(月) 11:21:00 ID:JDiYBNROO
成瀬スレ落ちたよ

852 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/05(火) 01:52:31 ID:P5cNmnI4O
捕手

853 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/05(火) 22:40:25 ID:PXnJ7XnS0
保守でも名台詞でも好きな話でも好きなキャラでも書いていかないと落ちるぞ〜

854 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 00:37:59 ID:HgLtrkMdO
もしも久保がバトロワに参加していたらどんな感じだっただろう。

855 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 00:49:53 ID:sEJWwAv90
運営側のスパイなんだけど、土壇場でこっちに寝返る、とか
分かりにくいかもしれないがNARUTOのサイみたいなキャラ

856 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 00:58:44 ID:NUgp6LaF0
>854
地味

857 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 01:00:29 ID:wyAzEgcN0
好きな話か…みんな好きだが特に内君の話が好きだ



というか内君が好きだ

858 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 01:11:44 ID:ryoyBhIz0
内を語るのに於保と黒木は欠かせない

859 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 07:04:59 ID:9dODOrCnO
ごめん…アホな質問かもしれないが。
モロさんに見えてて、内君にも見えるようになった於保の頭上の黒いもやもやって結局何だったの?
凄い夢中になって、早く早くって読んでたから読みとばしちゃったのかなあ

860 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 09:16:01 ID:ryoyBhIz0
一応314章に書かれている。

>諸積に殺されかけ、於保の頭上に見えたもやはいつしか見えなくなっていた。


861 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 10:07:17 ID:pWQs7nck0
>>859
『悪意』のような考えをもつ人をそういったカタチで見られる人も、世の中にいるよ。
とは言え、宗教的だったり超常現象的だったりするので、アレですけどね。

知り合いに「機嫌」がオーラのようなカタチで見えるって人がいた。
ホントかどうかはこっちが見えない以上確認できないけどね。

862 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 20:26:56 ID:ZE4uDrqoO
好きな話といえば、
福浦が雅に「見せ付けるんなら、それは俺たちの生き様だ!!」と言うとこが良かったな

最終章のタイトル見たとき、なんとなくこのシーンを思い出した

863 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 21:27:22 ID:JvwCqvoA0
その台詞は俺も好きだ。
バトロワの根底に通じるものもあるかと思う。
死人の出る話だが、死ぬことよりどう生きるかっていうのが
バトロワのメインだと思ってるし。

864 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 22:42:30 ID:9dODOrCnO
>>860
あっ、あったね。わざわざありがとうです。やっぱり読み方荒かったんだな。
長いけどもう一度、今度はじっくり読もうかなぁ。

>>861
実際にいるのか〜…。
練習して習得出来るなら頑張ってみたいが…。神社に100万円でお願いしないと無理かなw

865 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 23:22:58 ID:ryoyBhIz0
114章→395章と続けて読んでみると乙なものだ

866 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/06(水) 23:40:17 ID:/WoxVYT60
>>865
明…(ノД`;)゜・。゜

867 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 00:59:23 ID:Uer6RPT50
>>865
ちくしょーお前のせいでこんな真夜中に大号泣だよ゚・゚(⊃д`)゚・゚

868 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 02:32:06 ID:v793VOO7O
>>865
一回一通り読んじまったんだぜ?
今更泣くかよ





゜。・゜(ノД`)゜・。゜

869 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 12:42:03 ID:haCjb65L0
そっか、こういう流れだったのか…。

明るいきもちになりたいので戸島の章を見にいきます

870 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 22:09:53 ID:URd1OKrw0
保守

871 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 23:25:15 ID:cq3nzgkk0
携帯公式の晋吾のコラム読んでたら、
立川がこのバトにいたらどうなってたかなーなんて考えたよ。
特に福浦・大塚・晋吾との関係ね。
勿論その代わり平下がいないわけだけどさ。

872 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/07(木) 23:32:55 ID:lpm7v+xK0
あの4人はなあ…結束固そうだし、4人全員で何かしでかしてたかもしれないなw

平下はそういう意味では馴染みが薄い分、いいキャラになったと思う。

873 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/08(金) 13:14:08 ID:vdMEilRjO
椎木

874 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/08(金) 18:58:05 ID:hVvVs93+O
平下がいない話はもはや考えられなくなってしまったが
四人で結束して首謀者と戦う構図も見たかったな
しかも当初のラスボスはエカだったし、人間関係の濃い話になりそう

875 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 00:35:02 ID:+ZaJQPe/0


876 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 09:51:02 ID:UU0zqS/j0
内ブログの適度なひらがな具合見てると、思わずマリバトの成瀬を思い出してしまうんだ…。

877 :_:2006/09/09(土) 15:17:37 ID:F1q310Z50
サッカーの応援の真似して恥ずかしくねぇのか???
おまけにロッテって韓国系だろ???
日本人の真似ばっかする韓国人
サッカー応援の真似するおめえら
日本スポーツの恥恥恥恥恥恥恥


878 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 16:17:33 ID:9g+aoWYVO
実は同級生カルテット(トリオ)の流れになればいいな、と思って福浦と大塚をしょっぱなに出会わせた。
でも、結果的に自分の思い通りにならないのがリレーの良いところだったと思う。

後、澤井の反逆シーンで助っ人不参加設定に勝手にしてしまったのに書いた後で気付いて焦った・・・
一人でも指摘されたら無かった事にしてもらおうと思ってた。
まさかあんなの始まるとは思わなかったよw

879 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 17:59:47 ID:kXxZVqYw0
でも福浦と大塚は出会ったから色々フラグたって面白かったです。
やっぱり野球でもエピソードがあると、ストーリーに絡ませやすいですね。

880 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 21:59:15 ID:5m4hc4+30
おお、職人さん乙です。
ほんと、リレーの面白さを存分に感じたバトロワだったと思います。


ところで見守るスレのほうで、印象に残ったマーダーは、
という話が出てたけど、マリバト限定だと、
コバマサ・乾いた菓子・金澤・平下・於保とかいるけど、
正直みんな印象に残ってこまるw

意外だったのは西岡がけっこう殺してるってこと。
一覧には3人になってるけど富永も殺したようなもんだったし。

881 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/09(土) 23:48:42 ID:numhwcOQO
今江でさえ正人の介錯してるからなぁ…
あと平下はともかく成瀬も序盤はけっこうなマーダーだったよね。

中盤にかけて一番怖かったのはサブローだったな、好きな選手が瞬殺されたんで特に。
最期がああだったから忘れられがちだけど、実は改造前からヤル気だったんだよね、サブロー…

882 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/10(日) 01:26:28 ID:wlXoejXF0
職人さんの裏話良いっスね。

自分の場合サブローは、読み始めた時点で既にあの状態で、
操られて可哀相に…と保管庫を辿ってみたら、素の方が怖くてビビッた。

西岡も序盤は結構冷酷な感じだったね。
富永はまだしも、喜多は随分アッサリ殺すもんだなと。
それもあって、最後の1人は西岡なんじゃないかなーと思ったりもした。

平下・於保は美味しすぎ、コバマサも割り切りすぎで怖かったけど、
個人的には青野が印象的だな。
「いらない人間」〜「幻覚」は、その後の泣ける展開ともども、何度読んでもゾクゾクする。

883 : ◆vWptZvc5L. :2006/09/10(日) 07:15:51 ID:fSQU9T5Z0
おぉ、なんか裏話の流れになってるんで、自分も少し書かせてもらおう。

実は自分は晋吾のファンなんだけど、開始当初はなかなか登場しなくて、
「誰も書かないなら、自分で晋吾を活躍させてやる」と思ったのが書き手になるきっかけだった。
もし>>878氏が始めから同級生トリオを組ませていたなら、自分は今も読み手のままだったと思う。
印象に残った話なら川井の最期かな。
あれは川井がやられる寸前まで自分が書いて、その先は◆QkRJTXcpFIさんに託したんだけど、
このリレーがものすごく見事に決まって感激した。別に細かい打ち合わせをしたわけじゃないのに。
このとき◆QkRJTXcpFIさんに「絶妙のパス」と言ってもらったのがすごく嬉しくて、今でも一番印象に残ってる。

884 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/10(日) 11:24:59 ID:BVlxAMsa0
大塚と渡辺、大塚とコバマサのタイマン勝負がよかった
戦闘シーンを書くのはかなり難しいだろうし

885 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/10(日) 11:44:55 ID:9mL4MOxE0
自分、最初からほとんどリアルタイムで読んでたんだけど、
この選手の職人さんが代わったとかいうのは、
トリじゃなく文体とかで判断してたから、
◆vWptZvc5L.さんの話はすげー意外だった。
面白いっすね、職人さんの裏話。

しかしなんというか、
ジョニーとか福浦とかこさっちとか、殺すのに勇気がいる選手を殺すのは
大変だっただろうな、なんて考えてしまった。
いや他の選手に勇気いらないわけじゃないけども。
実際これらの選手が死んだときは、読んでて妙にショックでかかったよ。
そのへんに説得力を持たせる職人さんたちの表現力には本当に感服します。

886 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/10(日) 15:03:06 ID:RsWgdYnmO
保管庫で読んだから川井の最期で別の書き手さんになってたの気付かなかった

それよりマリバトのせいで成瀬が普通に喋ってると違和感感じるんだorz

887 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/11(月) 00:36:28 ID:XpoXM5UHO
>>885
確かに。
ジョニーは内くん、
福浦は大塚、
小坂はサブローに、
みんな死をもって影響を与えた。
死ぬヤツのほうが多いのがあたりまえの物語だからこそだけど。

888 : ◆QkRJTXcpFI :2006/09/11(月) 01:16:27 ID:MLeJhMvW0
◆vWptZvc5L. さんが書くなら私もちょっと乗りましょうかね。まだ完結はしてませんが保守の代わりと思って。

「幻覚」での川井の追いつめられ方が本当に切なくて、その感情に乗って一気に「あの背中に」は書き上げた記憶があります。
自分だけで書いてたら抱かないような厚みのあるイメージを持ちながら書けました(反映できたかはともかく)
絶妙のパスとは正にそんな意味で。リレーってのは凄いなと思った瞬間の一つです。

余談ですが於保と黒木のスパイ設定は◆vWptZvc5L. さんの「アンテナの街」を読んだ時に考え付いたものだったりします。

成瀬はあのネタを思いついたときからあのキャラになる運命だったのでもう申し訳ありませんとしかw
成瀬・初芝・於保・フランコなんかは書いてて楽しかったですね。

889 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/11(月) 17:13:44 ID:ErnlrfA50
職人さん達乙でした。
自分は堀さんに癒された。
コーイチの温かい手…(*´Д`)

890 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/12(火) 00:22:42 ID:1Qw05zTz0
>>884
23しく同意。
まるで映画の見てるみたいに、戦闘シーンが頭の中に浮かんできた。
情景と心情描写の掛け合いがいいね。
戦う二人の心境描写も絶妙。

俺は今江が好きで苦しかったなあ…。
今江も正人殺したっていう過去を、これからも持って生きてくんだろうし。

891 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/12(火) 02:32:54 ID:KWK4HhKj0
>>890
あの職人さんは読み手に想像させるのが上手かったと思う。
心情を細かく書いておいて
動きの部分は簡潔に書いて読み手に想像させる技術は凄かった。
福浦、西岡との会話もあって読んでいて面白かったし。

好きなのは原井さんかな。
あのいい人さはねぇ・・・。

892 : ◆vWptZvc5L. :2006/09/12(火) 03:29:55 ID:Tpf6u7PK0
>>888
リストの追加メンバーと於保・黒木を結び付けてしまう発想に感心してたんですが、
自分の書いた話がきっかけだったんですか…。初めて知りました。
「いらない人間」「幻覚」も、元は「ドライブ」での青野の変貌ぶりに惚れこんでしまい、
自分でこのキャラを動かしてみたいと思ったのが発端でした。
こうして個々の文章から話が繋がっていくことを思うと、やはりリレーは感慨深いものがあります。

私が書いてて好きだったのは青野、晋吾、戸部ですね。
重い話が続くと精神的につらいんですが、戸部はいい息抜きになりました。

893 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/12(火) 07:17:52 ID:jSQT9v650
>>890
自分も今江好きなんで、最後まで生き残ったのは
逆につらそうだななんて思ってしまった。
それに今江がボーッとしてなかったら、
地味様も福浦も(あの場では)死ななかったと思うので、
読んでてものすごく歯がゆかったw
迷う若者のまっすぐな感じが出ててよかったけどねぇ。

ジョニーや於保の初登場シーンを読みかえすと
たぶん最初はスパイ設定ではなかったんだろうなとは思っていたけど、
あれからあのシーンまで持っていく職人さんたちの力量すごすぎ。
そういう展開のすごさが、ジョニー於保だけじゃなくいろんなところに出ていて
本当に面白かった。
で、エピローグ(と、吉鶴憲治と愉快な仲間たちやスン編の完結)も体育座りで待ってますw

894 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/13(水) 02:02:46 ID:CUZSIctMO
おお〜更に職人さん達が来てる!

青野と川井の場面、やはり職人さん方も筆が乗って書かれてたんですね。
あの場面の青野はいちいち名台詞だと思う。
川井の最期の独白部分は絶句しました。

内とジョニーの邂逅、初様と成瀬、西岡と今江の会話、
最期に自分を取り戻した晋吾(しかし荒んだ晋吾も良かっry)…
印象的なシーンを挙げたらキリがないですね。
戸田と平下・良平の出会いも最高。あの職人さんも選手毎のキャラクター付けが上手かった。
まだ見てたら裏話聞かせてほしいです。

895 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/14(木) 00:25:56 ID:dJ9Nsa59O
捕手

896 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/14(木) 02:02:16 ID:rRK+dXKw0
>>894
ちょっと自分の環境が変わったのもあって中盤からはROMらせていただいてました・・・

戸部は最初は軽めノリ要員として”間の悪いキャラ”でいこうかと考えて書いてました。
名前間違いはちょっとした小ネタで混ぜた(最初から機会を狙ってはいましたが)つもりがいつのまにか凄いことにw
やはり◆vWptZvc5Lさんの戸部の素晴らしいキャラ立てには感動しました。

最初の方はちょっとマーダーが少なく正統派が多いかなと感じてたので
後々正統派を揺さぶる下敷きにできそうな話を意識していくつか書いてました。
そういうのもあって、自分にとって筆がよく進んだのは金澤ですかね。
結果的にそういうのも全部投げちゃっいまして職人の皆様には重ね重ねご迷惑をおかけしました・・・

897 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/14(木) 21:38:49 ID:xX5gauNDO
ほちゅ

898 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/14(木) 22:24:23 ID:hJNCj6cj0
今だからいえる。
熱出してフラフラの将に萌えていた。

899 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/15(金) 21:50:29 ID:WxWCeY4jO
保守

900 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/15(金) 21:58:24 ID:6x/44oWk0
>>898
萌えかよ!


・・・自分も少し萌えた・・・あと絶命シーンとか・・・

901 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/16(土) 01:42:06 ID:jYVi8cX/O
やっぱり戸部だよね
リアルでもあぶないけど

902 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/16(土) 01:42:14 ID:jSDAVj7b0
俺は三者三様〜終わらないかと思った〜君はなんて言う?の流れが好きだった。
あとは、青野と良平の話は何度読み返しても泣けてくる。あとはNOT easy going
も。

903 : ◆QkRJTXcpFI :2006/09/16(土) 01:59:59 ID:k8e5pQjJ0
青野と良平の物語はそれぞれの物語がキレイに対称形になりつつ収束しましたね。
あの展開に関しては打ち合わせ等は一切しておりませんので、まさに偶然の産物といえます(なんとなく展開の意識はあったかも知れませんが)
書いた職人も4・5人はいるはずですから、本当によくまあ出来上がったもんです。

904 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/16(土) 12:59:52 ID:kA9HwMXmO
良平が正気戻って青野に会えたら青野の方が一線越えちゃってたってのが切ない
切なすぎて泣いた

905 : ◆vWptZvc5L. :2006/09/16(土) 23:25:47 ID:Kb4Ni+wD0
青野・良平のリレーもすごかったですね。
自分の記憶では、あの流れに関わったのは、最初に二人の因縁を作った人、
青野をマーダー化させた人、良平を改心させた人、二人を再会させた人、の大きく4人がいたと思います。
今思えば曽我部が良平を動かしたあたりがポイントだったんじゃないでしょうか。

906 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/17(日) 01:34:03 ID:vuwGIXyY0
書き手さんの裏話、ええそうだったんだ、と思うエピソードが沢山出てくるなー。青野と良平のあの話にそれだけのいろんな人の関わりがあったなんて・・・マリバトって、改めてすごい。


>>900
橋本の絶命シーンは切なかったな。
取り残される晋吾がセツナスだったのかもしれんが・・・

どの絶命シーンも切なくて哀しかったけれど、
男前だなぁと思ったのが、雅彦とヤマケンだった。

907 :戸部浩:2006/09/17(日) 01:36:48 ID:lr4RRvG1O
俺がエースだ。








………二軍の。

保守

908 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/17(日) 22:55:02 ID:rKhOvKEPO
戸田さんは、来年もマリーンズで投げてくれますよね!?

909 :戸部浩:2006/09/18(月) 00:30:06 ID:gchdI02wO
契約更改の結果次第だよ。








というか俺は戸部ですけどね!!

910 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/18(月) 00:52:29 ID:Um6Uj8Hp0
好きなキャラは人それぞれあるんだろうが(人気投票じゃないが)

戸部はたぶん一番愛されている

911 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/18(月) 20:30:56 ID:ph2o3QLnO
戸部さんのために保守

912 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/18(月) 20:44:27 ID:z258EB4mO
せっかくだから俺も昔話を

一番初めだけ平下を書きましたが(当時は平下職人がこのまま出てこないのでは・・・、と思って)、まさかあそこまで話が昇華するとは。
当時のリアル起用・立場・年齢的に微妙な存在だった平下こそ、このゲームの積極的マーダーに相応しいと思い書きました。
後はゲームの骨組みをしっかり理解したクレバーな感じのマーダーがいればどうかなぁ、という感じだったかな。
・平下&良平vs戸保
・代田出現後の平下
はかなり面白かった。自分に文才が無いだけに、初出のあっさり具合と比べると素直に感心しました。
代田とのからみはホントに盲点だったなぁ・・・

913 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 00:47:48 ID:+Vo3bOmjO
平下の位置付けは絶妙だったね。
外野手と、後にリスト入りの選手もターゲットにする冷静さがうまく嵌ってた。
だからこそ代田との絡みが余計泣かせるんだなあ。


ところで、ここの成瀬がいくら可愛いからって、バト外にキャラを持ち出さないでほしいなあ。
鴎ネタスレ見て吹いたぞw

914 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 00:54:59 ID:RTCiIh0X0
平下に関しては>>912さんの狙い通りの方向性でキャラが育っていったね。慧眼恐れ入る。

>>913
それ言ったらフランコのオーヤリチン!しか言わないキャラも前から気になってるんだが

915 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 02:44:03 ID:SM6tLolO0
>>914
オーヤリチンは元々来日直後のフランコがキャンプ中に辻ちゃんに言ったから

辻ちゃん「アイアムプレイボーイ」
フランコ「オー!ヤリチン!」


916 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 03:18:14 ID:RTCiIh0X0
元ネタがあるのは知ってるよ。何でもオーヤリチン!しか言わないっていうキャラ付けはスン編の影響からじゃないのか?て話
どっちが先とか確かめようもないことだし、ネタスレ同士で影響を受け合うのは自然なことだと思うんで別にいいんだけどね。

917 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 10:06:23 ID:4ODKZxIN0
普通にネタスレの方が先


918 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 10:40:11 ID:5OVwBp8/O
前からオーヤリチン使ったネタはあったがマリバトの後ぐらいからネタスレでもオーヤリチンしか言わなくなったな

919 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/19(火) 21:32:34 ID:+57uY9ti0
今だから言える。



大塚がこのキャラのままマーダーになっていたら恐ろしかった…
自分もボロボロの癖に、着実にターゲット殺していけそうで。
平下みたいな、ゲームシステムを完全に把握した最悪マーダーになっていた予感。

920 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/20(水) 01:14:14 ID:DdPvXEJ70
保守ネタ
笑った話・シーンは?


「……柔らかかったぞ」

921 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/20(水) 01:27:01 ID:83hrc4IV0
「ふぅ・・・・・・ぬるぽ」
―ガッ―

まさか、この時の2人がその後あんな展開になるとは思わなかった

922 :戸部浩:2006/09/20(水) 03:09:24 ID:WDRA5OWCO
>912
だから俺は戸部ですけどね。



保守

923 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/20(水) 19:36:43 ID:jAlUqC5Y0
>>920
あそこは何度読んでも吹くよなー
・・・そしてその数章後に号泣・・・

924 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/20(水) 22:41:47 ID:FntirtFaO
藤田と小坂の鬼ごっこは笑ったなあ。
藤田が強面のイメージとギャップありすぎて。

セラフィニの初登場シーンも好きだ。
何の特訓してんだよサーフw
というか助っ人編は全体的に笑いに満ちてる。
ベニーの名前も地味に毎回間違えられてるし。

925 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/21(木) 06:48:30 ID:YYWAmVKhO
マリーンズ、選手の交代をお知らせします。
ピッチャー、戸川。背番号63

保守

926 :戸部浩:2006/09/21(木) 13:33:02 ID:YNFO3S8rO
だから戸部ですけどね!
あと背番号も67ですけど!





保守

927 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/21(木) 23:37:24 ID:I/YIgzkQ0
あげ


928 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/21(木) 23:50:19 ID:WShODTH6O
こんばんは、ベイスターズファンです。今年トレードで行った南や龍太郎はどうしてますか?ロッテファンの皆様教えて下さい☆

929 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/22(金) 00:10:44 ID:gPhgV9ruO
南は火曜の試合に出場してたよ。 快音は聞かれなかっものの,ファインプレーでスタンドを沸かせてた。


930 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/22(金) 00:27:06 ID:73vCuzTV0
>>927
あげなくても保守できるし。パロロワは好き嫌いはっきりするし、下のほうがいいんでは?
小姑みたいうるさくてスマンが。
>>928
浦和スレを見てごらんよ。過去スレも。
めんどうかもしれないけど、満足できる情報があると思う。

リアル戸山さんが心配で仕方がないですよ。ユウゴーもすごいことなっちゃうし。
これ、2004年の物語なんだよな……。



931 : ◆QkRJTXcpFI :2006/09/22(金) 00:27:38 ID:GTtISxb10
>>924
スン編は幕間で息抜きをという目的があって、どうやったら笑える要素を入れるかを考えて書いてたので
笑っていただけたんであれば幸いです。笑わせるって本当に難しいなと痛感しながら書いてました。

展開上シリアス気味にならざるをえないところは書いてて非常にはがゆかったり。

932 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/22(金) 12:27:46 ID:dL0+NekoO
>>920、921
ども、初期・薮田書かせてもらってました。
実は初めは薮田は純粋に外部に助けを求めるつもりでした。
オリジナルバトルロワイヤルには無い展開にしたかったので。
金澤はあまりに素晴らしい支給品だったので少しお借りしました。シリアス展開だったのにすいませんでした。
そして薮田はすんよぷかカモメ辺りが拾ってくれないかなーと思いつつ海へ。
しかし、薮田を海に出してすぐに、ある情報を知りました。

―フィルダー失踪―

電撃が走りました。あ、そう言えばあの人どうしてるかな?
そう考えるのは必然でした。

中途半端に投げ出してしまいましたが、後期・薮田職人さんの書く薮田の活躍と愛甲の漢ぶりは何か嬉しかったです。

933 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/22(金) 20:14:38 ID:XlThSydgO
戸辺さんは、補習とか良く受けてたほうですか?

補習そして保守

934 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/23(土) 15:38:28 ID:iudX8cTt0
捕手

935 :戸部浩:2006/09/23(土) 19:28:39 ID:WVOgntk6O
>>933
だから俺は戸部ですけどね!

戸辺さんの補習は俺にはわからないよ。


保守

936 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/24(日) 10:33:00 ID:2xEH1cdlO
守る

937 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/24(日) 23:51:56 ID:kOLVddqmO
荒れ気味なので保守

938 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/25(月) 07:56:45 ID:bTklbin4O
ト部さんが完全試合達成するまで保守

939 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/25(月) 20:20:21 ID:hUnBd+Xa0
マリーンズファンではないので選手とかよくわからなかったが感動したよ
ほんとマジ良かった!

940 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/25(月) 23:39:10 ID:vpZ/rV3M0
呟き。

マーダーになるのが想像できないけど見てみたい選手=福浦、小宮山、初芝、戸(ry
なってたら怖そうだった選手=西岡、大塚、小坂、戸(ry
泣きながら生きて帰って欲しいと思った選手=原井、ヤマケン、コバロリ、戸(ry


どう見ても戸(ryです。ほんとうにありがとうございました。

941 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/25(月) 23:40:19 ID:vpZ/rV3M0
IDがモロだ…しかもV3って…そうだったら良かったのに捕手

942 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/25(月) 23:47:53 ID:TXgQ6DeI0
>>940
西岡はある意味(ry

943 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/26(火) 00:03:13 ID:FC7S8e8DO
最近初めて読んだけど球団バトでは一番面白かった。心理面描写が緻密で良かった。
戸Bさんが最後の最後に脱出できて良かった。バトロワ史上省エネ最強かも。

944 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/26(火) 00:12:04 ID:7hcPo6O30
>>940
小宮山は冷静とか知能派とかのイメージが強いから、
逆に理性を抑えられない程キレたらどうなるか分からなかったかもね。
戸野はキレるところすら想像付かないんだがw

945 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/26(火) 05:51:09 ID:azw7zVlcO
でも、戸場さんは意外に修羅場潜ってるんだよな。

平下&良平(しかも両方拳銃)遭遇戦
酔っ払い状態でバリバリマーダー平下と再会

最終的に生き残りほぼ全員が拳銃装備の中、初期装備のマー君人形(最終話で判明)で生き残ったんだよな・・・

946 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/26(火) 09:01:56 ID:uvZrSiWfO
戸坂スゴスwwww


堀さんとかジョニーがマーダー化したらどんな感じになるんだろ?

947 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 06:16:16 ID:R4O5kAu70
【野球】八重山商工・大嶺がショックで朝練習を無断欠席「彼の甘さをロッテは分かってくれているのか」
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1159304796/

948 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 11:16:01 ID:+qbn0hMWO
野球知らない私が検索で偶然ここの存在知って読み始めてから数日。
やっと読破しました。
他と比べてクオリティ高くて、まさに神!だと思います。

選手それぞれ良い味出てますが、やっぱり戸川さんが最高だと思います!!1!!1!

949 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 11:45:52 ID:ryhjaPmY0
マーダー堀は見た目結構淡々としつつ、でも深く悲しみながら眉間にシワを寄せて人を殺す感じを妄想

>>948
悪意はないんだとおもうけど、
他とくらべて云々っていう褒め方はいけないとおもう

950 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 13:12:06 ID:+qbn0hMWO
>>949
スマソ
他の作品も決して悪くはないんですけど、読み物自体が苦手(+野球知らない)故に途中で断念してしまったから、此方は長いのに唯一最後まで読めた程素晴らしかったので。
他を陥れるつもりではなかったです…。

951 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 13:30:58 ID:4SX3CcwrO
あの〜荘さんは元気でしょうか?
金ぴか男も気になるしコーチ達はどうなるの?

952 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 14:11:39 ID:wOmC0bNPO
>>951
正座して待つノシ


保守てがら、語らせていただきます。
自分が好きだったのは、青野と良平・橋本と晋吾(と晋吾を止める大塚)・大塚と西岡。

特に、晋吾の復讐に燃えるところは泣いた。
「俺はもう恨まなきゃ生きていけない。憎まなきゃ前へ進めない。それをやめたらもう俺は…死ぬしかなくなる」というセリフはヤバス。


あと、明と平下に萌(ry


953 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 21:08:35 ID:se6LvcuL0
もし直行がマーダーだったらすげー怖そう
…詰めが甘くてすぐピンチに陥りそうだけどな

954 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/27(水) 23:16:59 ID:gQLLRtEw0
見守るスレに投下されてた、逆ロワ思い出した。>マーダー地味様

955 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 00:14:29 ID:yetgyIlUO
>>954
あれは心底怖かったなぁ…

ところで950越えたけど次スレどうするんだ?

956 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 08:57:51 ID:Faq8I29cO
僕は立てられませんが、保守

957 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 12:28:44 ID:moja5dhjO
川井とサブローと代田の最後、妙にホッとしてしまったと同時に代田が哀れになった。
チップてエンジェルダストみたいなもんだろう。
サブローは途中で埋め込まれたけど、代田は最初から暗黒面全開で
機能しない肉体を使命感だけでひきずって背中への一撃は壮絶だったなぁ。


958 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 21:00:06 ID:Faq8I29cO
保守

959 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 21:59:34 ID:+lWNSrRnO
生存者の話が映画みたいにきれいに幕って感じだからあれで終わりでいいと思うけどなあ

960 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/28(木) 22:04:28 ID:n97rtAnA0
でもまだ園様シリーズ終わってないんだよな・・・

961 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 00:34:20 ID:i59TXMO00
エンディングテーマがフェイドインしながらのラストシーン
って感じだったよね
船のそれぞれのシーン

962 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 00:40:56 ID:yyZ4U1qa0
そんなEDテーマが終わったあとにおまけでエピローグが入る映画もあるね

963 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 00:44:16 ID:yyZ4U1qa0
あそこがエンディングテーマとすると、どんな曲がいいかねぇ

964 :番外 園川一美と愉快なコーチたち36(1/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/09/29(金) 08:20:07 ID:eRCQYiv70
「何だろう、今の悲鳴?」
「さあ・・・?」
荘と園川が顔を見合わせる間に、高橋はすかさず声のした方へ駆け出していた。
「慶彦さんどこに行くの!」
荘は園川を置き去りにして、あわてて高橋の後をついて駆け出した。

荘が息を切らせながらようやくグラウンドの外に出ると、
高橋が立ち止まって足元を見下ろしているのが見えた。
目を凝らして良く見ると、そこには男が倒れていた。
駆け寄ってよく見ると、それは先ほどグラウンドから逃げ去った男である。
さらに男に近づいてみると、そこにもう一人いることに気づいた。
もう一人とは、吉鶴たちが先ほどまで一緒にいた男である。

荘が近づくと、福澤はむくりと起き上がり、軽く頭を揺さぶった。
「福澤くん、大丈夫?」
荘はそっと手を差し伸べた。
福澤は軽く頭をさすりながら、差し伸べられた手に自らの手を伸ばしたが、
不意に後ろから肩を掴まれ、後ろに引き倒された。
突然のことで反応が出来ずに、目をぱちくりさせていると、
頭の上から声が聞こえてきた。
「・・・やっと見つけたぞ、福澤!」
頭の上から顔をのぞかせたのは高沢だった。
口調は静かだったが、その表情は苛立ちを隠していなかった。
「散々手をかけさせやがって・・・。どうなるか分かっているよな?」
そして高沢の背後から、兼伊知も現れた。
「いままで散々面倒かけたぶん分、たっぷりお礼をしないとなあ。」
兼伊知の右手には、ロープのようなものが握られていた。

965 :番外 園川一美と愉快なコーチたち36(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/09/29(金) 08:20:41 ID:eRCQYiv70
「ちょっと、ちょっと、二人とも何息巻いてるのさ?」
事態の怪しさに気づいた荘が、堪らず二人に声をかけた。
「え・・・って、荘さん!」
「何であんたがここにいるんだっ!?」
想像もつかなかったのだろうか、高沢と兼伊知は慌てて福澤から飛び退き、
荘から十分な間合いを取って身構えた。
「何でって言われても・・・ねえ?」
予想外の反応に荘も戸惑い、ちらりと福澤に視線をやった。

ようやく落ち着いたのか、福澤はすっと立ち上がると、
服についたほこりをパンパンと叩き、高沢に対して微笑みを返した。
「手遅れでしたね、高沢さん。」
高沢は福澤の表情に一瞬戸惑ったが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。
「・・・そうだな。お前が奔走したことも水の泡となったわけだ。」
「いや、手遅れなのはあなた達のほうですよ、高沢さん。」
「何だと?」
福澤の余裕たっぷりの返答に、高橋も訝しんだ。
「・・・どういうことだ?」
「まあ、慌てなくともすぐにはっきりしますよ。」
福澤は時計見て時刻を確認すると、ポケットからラジオを取り出し、電源を入れた。

「―ニュースをお伝えします。」
手のひらに収まるような小さな携帯ラジオから、小さな声が聞こえてきた。
その場にいる人は何のことかと思い、ラジオから発せられる音声に耳を傾けた。
「―ソフトバンクが福岡ダイエーホークスの買収を発表しました。」

966 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 09:40:29 ID:yyZ4U1qa0
sonoキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
なるほどそういう流れか

967 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 10:50:29 ID:nxjUIRpJ0
園様!園様!

ところで>>952読んで
「復讐それだけが生きる意味に成り得るんだよ疑う余地はないね」
って歌詞思い出したお

968 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/29(金) 19:59:49 ID:BdIrwcEHO
・・・園様キタ━━。
     _
   , ^   `ヽ
  イ fノノリ)ハ
   リ(l|゚ -゚ノlリ
    /つ{⌒l^0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


969 :番外 園川一美と愉快なコーチたち37(1/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/09/30(土) 02:27:19 ID:bzazpQ800
「へえ、ダイエーって結局買収になったんですね。」
荘は先ほど貰ったもなかを取り出しながら深くうなずいた。
ところが、高橋はニュースの内容に納得いかないのか、首をかしげてラジオを見つめていた。
「どういうことだ・・・?」
「え、どういうことって何?」
さらに一方を見てみると、高沢と兼伊知がその場に座り込み、涙を流し始めていた。
「なんだって、話が違うじゃないか!!」
「やっぱりそうだったのか!!もうだめだ、これでお仕舞いだ・・・。」
「えーと、えーと・・・一体何事?」
突然のことに、荘はもなかを吹き出さないようにするのが精一杯だった。

そんな荘に構うことなく、兼伊知は福澤にしがみついて叫んだ。
「福澤、教えてくれ!!これはあいつの差し金なのか・・・?」
福澤は微笑みながら、わざとらしく聞き返した。
「あいつ、って誰のことですか?」
「決まっているだろ、う・・・。」
「いうな!!それ以上言うな!!」
高沢が慌てて兼伊知の口を塞いだ。
「兼伊知、迂闊にあいつの名前を出したらどうなるか分かっているよな?」
兼伊知は黙ってこくこくとうなずくだけだった。

970 :番外 園川一美と愉快なコーチたち37(2/2) ◆GDAA.BMJxc :2006/09/30(土) 02:28:18 ID:bzazpQ800
しばらくの沈黙の後、高橋が口を開いた。
「どういうつもりなんだ、一体。」
「どういうつもり・・・ですか。それは私の知るところではないですよ。」
「なんだと?」
「ただ一つ言えるのは、『上』はこうするのが良いと判断した、ということです。」
「そうか・・・。」
高橋はそれ以上話そうとしなかった。
「それでは、俺はこれからキャンプなので。」
そう言い、福澤はグラウンドに背を向け、静かにその場を去った。
その後姿を、誰も追いかけようとはしなかった。
ただ、高橋がその後姿を見つめ、一言だけ呟いただけだった。
「これは・・・、良かったことなのか?」


971 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/30(土) 02:35:35 ID:B2uPYd3x0
wktk

972 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/30(土) 09:32:45 ID:CiUDcfyy0
あげとく

973 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/30(土) 12:58:13 ID:llW+oPSk0
まったり園様

974 :代打名無し@実況は実況板で:2006/09/30(土) 21:06:33 ID:OMs/766BO
そのさま

975 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/01(日) 18:45:06 ID:akWKKyY0O
保守

976 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/02(月) 14:12:06 ID:VIpasY+cO
吉鶴

977 :番外 園川一美と愉快なコーチたち38 ◆GDAA.BMJxc :2006/10/03(火) 01:15:03 ID:tpctnq8S0
「もう・・・おしまいだ。」
「所詮俺達は捨て駒だったんだあっ!!」
ラジオがダイエーホークス買収の詳細を流し続ける中、
高沢と兼伊知は延々と泣きつづけていた。
そんな二人に荘がもなかを与えて宥めていると、園川がグラウンドから飛び出してきた。
「あれ、園川くん。もなか食べる?」
「ええ。貰います。」
園川は荘から受け取ったもなかを頬張ると、辺りをゆっくりと見回した。
そして、隅で幸せそうな顔で寝ている、カラフルな頭髪に派手なメガネ、金ぴかの服を着た男を見つけると、
園川は駆け寄りざまに蹴りを一発見舞わせた。
「ヒイッ!?」
蹴りを食らった男は思わず飛び起きたが、
目の前に立っている人物が園川な確認すると、園川に陽気な声で抗議した。
「ヒドイヨ、園川サーン!!」
しかし園川はいつもの顔で受け流すと、そっと男に耳打ちした。
「なあ、お前も行くんだろ、『キャンプ』。」
男はまじまじと園川を見つめていたが、しばらくして大きく相槌を打つと、
「オウ、ソウデシタ、ソウデシタ!」
と叫び、脇に倒れていた自転車にまたがり、猛スピードで球場を去っていった。
「ミナサン、マタネー!」
「またね!!」
突然の別れにも、荘は大手を振って男を見送っていた。

そのころ、吉鶴はまだグラウンドでのびていた。

978 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/03(火) 01:42:05 ID:6N7lbtg80
ktkr

sonokawaと荘のぬるいこと…


979 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/03(火) 22:53:41 ID:aWOrbygQ0
979

980 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/04(水) 00:50:01 ID:waKmAwI1O
age

981 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/04(水) 10:40:33 ID:vEWzgqiXO
もなか保守

982 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/04(水) 18:26:12 ID:lqx3RUjg0
誰か新スレたててください。自分はダメでした。
テンプレ変更は現行スレと保管庫だけ?

他球団バトロワ現行スレ
日本ハムファイターズバトルロワイアル
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1153574704/
阪神タイガースバトルロワイアル第八章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1157625315/
広島東洋カープバトルロワイアル2005第二章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1150097510/
一億円プレーヤーバトルロワイアル第五章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1153748230/

各球団のバトルロワイアルスレを見守るスレ8
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1147360492/
野球バトルロワイアル総合雑談所2
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1134993945/

保管庫の変更・追加は
中日ドラゴンズバトルロワイアル2004保管庫
ttp://qdr.mydns.jp/drbr2004/
オリックスバファローズバトルロワイアル
http://sbh.kill.jp/bs/

でいいのかな。

983 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/05(木) 05:01:36 ID:FfQo40tf0
983

984 :番外 園川一美と愉快なコーチたち39 ◆GDAA.BMJxc :2006/10/05(木) 07:51:58 ID:P0vSAkb70
「うーん、あ、あれ・・・?」
吉鶴が意識を取り戻したとき、あたりは既に明るくなっていた。
「ええと、何でここに俺はいるんだ?」
頭を抑えながら、吉鶴は必死に昨晩のことを思い出そうとした。
「確か、福澤さんにマリンスタジアムに連れられてきて、そこから・・・。」
そこまで考えて、吉鶴ははっと辺りを見回した。
「そういえば、誰もいないぞ?」
昨晩は園川、荘を初めとして何人かいたはずのマリンスタジアムだが、
今は誰の気配もしなかった。
その場で待っていても、誰も来なさそうなので、とりあえず外に出ることにした。

吉鶴が駐車場につくと、奥からエンジン音が聞こえてきた。
覗き込んでみると、どうやら車が一台止まっているようだった。
「良かった、誰かいたみたい。」
吉鶴はほっと胸をなでおろし、小走りで車に近寄った。
ところが、吉鶴が車に着くが早いか、車は突然発進して、吉鶴の目前から去ってしまった。
「ええっ、ちょっと待って、ちょっと・・・。」
慌てて追いかけたものの人の足では到底追いつくことは出来ず、
車は吉鶴の視界から消えてしまった。
「どうしよう、みんないなくなっちゃった・・・。」

吉鶴は誰もいないマリンスタジアムの前で呆然としていたが、
ようやく気を取り戻すと、携帯電話を懐から取り出した。
とりあえず誰かに連絡取ろうと思ったのだが、
携帯電話の液晶を見てみると、電池がほとんど残っていないことに気づいた。
「電池が切れないうちに、誰かと連絡をつけないと・・・。」
高沢に電話をかけてみたが、あいにく圏外にいるのか、電話は繋がらなかった。
次は誰に電話をかけようか考えている間に、携帯電話の電池が切れてしまった。
「しまった・・・。」
吉鶴は途方にくれていたが、駅前のコンビニまで行けば、充電器があるかもしれないと思い、
とぼとぼと海浜幕張駅へと歩き始めた。

985 : ◆GDAA.BMJxc :2006/10/05(木) 08:13:35 ID:P0vSAkb70
訂正
27行目 高沢に電話をかけてみたが → 福澤に電話をかけてみたが

986 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/05(木) 22:04:21 ID:2i4i869z0
園様編の続きを見るための次スレ立て

…ダメだったので代打よろしく

987 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 18:13:09 ID:gO6ZowXO0
コーチ編はあせってる人とぬるい人の温度差がたまりません。

自分も新スレ立てれませんでした。
誰かお願いします。

988 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 18:46:01 ID:tse/Hbjl0
988

989 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 22:37:52 ID:6LQeHFiP0
千葉マリーンズバトルロワイアル第15章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1160141375/l50

スレ立てられました。

990 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 23:55:37 ID:hJm4D3Yw0
したらば埋めよう



991 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 23:56:42 ID:53puG7DS0


992 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 23:58:20 ID:k89FVnm9O


993 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/06(金) 23:58:44 ID:Lcz6+1wc0


994 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:02:13 ID:hJm4D3Yw0


995 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:08:25 ID:giX2Qy7z0


996 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:21:12 ID:i92IVFFK0


997 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:21:51 ID:koxKMdQT0


998 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:22:25 ID:DhQwmbiI0


999 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:24:56 ID:qP2jUv3Z0


1000 :代打名無し@実況は実況板で:2006/10/07(土) 00:26:53 ID:jRnyCOLQ0


1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


実況は実況板でお願いします。プロ野球板での実況は禁止!
[ 野球ch ] http://live22x.2ch.net/livebase/

アンチ行為、他スポーツや球団・選手間との比較はアンチ板で。
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